JPH0749030Y2 - 回転式圧縮機の給油部機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、冷凍冷蔵装置などに用いる回転式圧縮機の給
油部機構の改良に関するものである。

従来の技術 周知のように回転式圧縮機は、ハウジング内に電動圧縮
諸要素を配設した構造を有する。電動圧縮要素とは、モ
ーター用ステーター、ローター、クランクシャフト、サ
ポートフランジ、シリンダー、ローターピストン、弁筐
などである。

以下回転式圧縮機の理解のため、その全体の構成および
作用について説明する。

第２図は従来の回転式圧縮機の一例を示した全体図、第
３図はその要部の縦断面図である。第４図は第３図のＡ
−Ａ断面図である。

第５図は従来の吐出弁機構の一例を示した正面図、第６
図はその縦断面図である。

第２図において、（１）はハウジングであり、ケーシン
グ（1a）、圧縮機側キャップ（1b）およびモーター側キ
ャップ（1c）から構成されている。

（２）はモーター用ステーターであり、ケーシング（1
a）に固定されている。（３）はローターである。
（４）はクランクシャフトであり、ローター（３）に連
結されている。（５）はサポートフランジ、（６）はシ
リンダー、（７）は弁筐、（８）はシール板であり、シ
リンダー（６）はサポートフランジ（５）と弁筐（７）
との間に位置し、シール板（８）は弁筐（７）のシリン
ダー（６）とは反対側に設けてある。（９）は吐出カバ
ー、（10）は油導入管である。

そのほか、（11）はサポートフランジ（５）をケーシン
グ（1a）にセットするためのボルト、（12）はブラケッ
ト、（13）もブラケット、（14）はセンターピンであ
る。（15）はコンセント、（16）はプリクーラー用ノズ
ル、（17）はエバポレーター用ノズル、（18）はサクシ
ョンノズル用保護管、（19）はサクションノズルであ
る。

第３図において、（4a）はクランクシャフト・メインジ
ャーナル、（4b）はクランクシャフト・サブジャーナル
である。（20）は油導入管（10）の内部に挿入したスプ
リングであり、その一端側は前記のクランクシャフト・
サブジャーナル（4b）に固定され、他端側は潤滑油中に
浸漬されている。（21）はシリンダー（６）内部のロー
ターピストンである。（22）は、シリンダー（６）をサ
ポートフランジ（５）に固定する締め付けボルトであ
る。（23）は、吐出カバー（９）、シール板（８）、弁
筐（７）およびシリンダー（６）をサポートフランジ
（５）に固定する締め付けボルトである。シール板
（８）と吐出カバー（９）で形成される空間は吐出チャ
ンバー（24）である。（25）は、クランクシャフト
（４）の表面に付した油溝である。

第４図において、（26）は隔壁板、（27）はその隔壁板
（26）を支持する支持バネである。

第５〜６図において、（７）は弁筐、（28）はその弁筐
（７）に設けた吐出孔である。（35）はその吐出孔（2
8）を覆う板弁、（36）はその板弁（35）を支持する補
助板である。（37）は、板弁（35）と補助板（36）を弁
筐（７）に取り付ける弁取り付けボルトである。

なお、上記第２〜３図におけるシール板（８）、吐出カ
バー（９）、吐出チャンバー（24）は、場合により設置
を省略することもある。また吐出弁機構やその他の要素
についても、上記以外の種々の構造のものが知られてい
る。

考案が解決しようとする課題 回転式圧縮機においては、回転または滑りが行われる全
ての部位が潤滑油で充分に潤滑されることが不可欠であ
る。さもないと、潤滑不充分により騒音および振動が生
じ、円滑な運転が行いがたくなる。

第３図に示したように、油導入管（10）内に位置するス
プリング（20）は、その一端側がクランクシャフト・サ
ブジャーナル（4b）に固定され、他端側が潤滑油中に浸
漬するようにしてある。クランクシャフト（４）が回転
すると、潤滑油はクランクシャフト・サブジャーナル
（4b）の回転に応じて回転するスプリング（20）により
吸い上げられ、クランクシャフト・サブジャーナル（4
b）およびクランクシャフト・メインジャーナル（4a）
の表面に付してある油溝（25）を介して必要各部に送ら
れ、所期の潤滑が達成される。

しかしながら上記スプリング（20）は、油導入管（10）
が90°に屈曲しているため、回転時に捻れによる小径化
と原径への復帰とが交互に起きてノッキングを生ずるこ
とがあった。また、スプリング（20）の巻き数に対応す
る数まで回転しないとクランクシャフト・サブジャーナ
ル（4b）にまで潤滑油が吸い上げられないので、起動時
の潤滑性が必ずしも充分ではないという問題点もあっ
た。

ノッキングの発生および起動時の潤滑不足は直ちに騒音
および振動の原因となり、また装置の寿命にも悪影響を
与えることになる。

本考案は、このような状況に鑑み、上記のようなトラブ
ルを生じない回転式圧縮機の給油部機構を提供すること
を目的になされたものである。

課題を解決するための手段 本考案の回転式圧縮機の給油部機構は、ハウジング
（１）内に電動圧縮諸要素を配設した回転式圧縮機にお
いて、クランクシャフト（４）のサブジャーナル（4b）
先端にワイヤロープ（29）を設置してその他端がハウジ
ング（１）内の油溜まり部（30）に浸るようにし、かつ
このワイヤロープ（29）をそのほぼ全長にわたって油導
入管（10）で包接したことを特徴とするものである。

以下本考案を詳細に説明する。

本考案の特徴点はクランクシャフト（４）などへの給油
部にあり、回転式圧縮機の全体構造は、従来の構造を含
む任意の構造を採用することができる。

ハウジング（１）は、第２図に示したように、ケーシン
グ（1a）、圧縮機側キャップ（1b）およびモーター側キ
ャップ（1c）から構成される。ケーシング（1a）と圧縮
機側キャップ（1b）とは一体に形成することもできる。

上記ハウジング（１）内には、モーター用ステーター
（２）、ローター（３）、クランクシャフト（４）、サ
ポートフランジ（５）、シリンダー（６）、弁筐（７）
などの電動圧縮諸要素が配設される。

第２〜３図に示したシール板（８）、吐出カバー（９）
および吐出チャンバー（24）は設置を省略することも可
能である。吐出弁機構も、他の機構を採用することが可
能である。

そして本考案においては、第１図に示したように、クラ
ンクシャフト（４）のサブジャーナル（4b）先端にワイ
ヤロープ（29）を設置してその他端がハウジング（１）
内の油溜まり部（30）に浸るようにする。またこのワイ
ヤロープ（20）をそのほぼ全長にわたって油導入管（1
0）で包接する。

ワイヤロープ（29）の材質としては、たとえばばね鋼が
用いられる。

ワイヤロープ（29）のクランクシャフト・サブジャーナ
ル（4b）への取り付け側、つまり油導入管（10）の弁筐
（７）への取り付け側には、通常油溜まりケース（31）
を設ける。

作用 クランクシャフト（４）が回転すると、そのサブジャー
ナル（4b）の先端に取り付けたワイヤロープ（29）が回
転し、ハウジング（１）内の油溜まり部（30）の潤滑油
は、ワイヤロープ（29）と油導入管（10）との協力作用
により吸い上げられ、油溜まりケース（31）、クランク
シャフト・サブジャーナル（4b）およびクランクシャフ
ト・メインジャーナル（4a）の表面に付してある油溝
（25）を経て必要各部に送られる。

実施例 次に実施例をあげて本考案をさらに説明する。

第１図は本考案の回転式圧縮機の要部の断面図である。

第２〜３図に示した回転式圧縮機において、第１図に示
した給油機構を採用した。ただし、シール板（８）、吐
出カバー（９）および吐出チャンバー（24）について
は、この実施例では設置を省略した。

第１図において、（５）はサポートフランジ、（６）は
シリンダー、（21）はシリンダー（６）内のローターピ
ストン、（７）は弁筐である。

（４）はクランクシャフトであり、（4a）はそのメイン
ジャーナル、（4b）はそのサブジャーナルである。（2
5）は油溝である。

（10）は油導入管であり、その基端側は油溜まりケース
（31）に形成され、弁筐（７）に締め付けボルト（32）
で固定してある。（33）は、油導入管（10）の先端側に
設けた端末金具である。

（29）はばね鋼で作られたワイヤロープであり、油導入
管（10）内に挿入配置されている。ワイヤロープ（29）
の一端はクランクシャフト・サブジャーナル（4b）の先
端に固定用金具（34）で取り付けてあり、ワイヤロープ
（29）の他端は油溜まり部（30）に浸るようにしてあ
る。

第１図に示した給油機構を組み込んだ本考案の回転圧縮
機にあっては、第３図に示したようなスプリング（20）
を用いた従来の機構の回転圧縮機に比し、給油がより円
滑になされる。

考案の効果 本考案において、ワイヤロープ（29）は90°に屈曲した
油導入管（10）内においても円滑に回転し、また径が変
化しないのでスプリング（20）を用いた場合のようなノ
ッキングを生じない。加えて起動時にあっても、従来の
スプリング（20）に比し少ない回転数で潤滑油をクラン
クシャフト・サブジャーナル（4b）にまで吸い上げる。

そのため、回転式圧縮機の運転が円滑になされ、騒音、
振動も小さくなり、また装置の寿命も向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の回転式圧縮機の要部の断面図である。 第２図は従来の回転式圧縮機の一例を示した全体図、第
３図はその要部の縦断面図である。第４図は第３図のＡ
−Ａ断面図である。 第５図は従来の吐出弁機構の一例を示した正面図、第６
図はその縦断面図である。 （１）…ハウジング、（1a）…ケーシング、（1b）…圧
縮機側キャップ、（1c）…モーター側キャップ、（２）
…モーター用ステーター、（３）…ローター、（４）…
クランクシャフト、（4a）…クランクシャフト・メイン
ジャーナル、（4b）…クランクシャフト・サブジャーナ
ル、（５）…サポートフランジ、（６）…シリンダー、
（７）…弁筐、（８）…シール板、（９）…吐出カバ
ー、（10）…油導入管、（11）…ボルト、（12）…ブラ
ケット、（13）…ブラケット、（14）…センターピン、
（15）…コンセント、（16）…プリクーラー用ノズル、
（17）…エバポレーター用ノズル、（18）…サクション
ノズル用保護管、（19）…サクションノズル、（20）…
スプリング、（21）…ローターピストン、（22）…締め
付けボルト、（23）…締め付けボルト、（24）…吐出チ
ャンバー、（25）…油溝、（26）…隔壁板、（27）…支
持バネ、（28）…吐出孔、（29）…ワイヤロープ、（3
0）…油溜まり部、（31）…油溜まりケース、（32）…
締め付けボルト、（33）…端末金具、（34）…固定用金
具、（35）…板弁、（36）…補助板、（37）…弁取り付
けボルト

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ハウジング（１）内に電動圧縮諸要素を配
   設した回転式圧縮機において、クランクシャフト（４）
   のサブジャーナル（4b）先端にワイヤロープ（29）を設
   置してその他端がハウジング（１）内の油溜まり部（3
   0）に浸るようにし、かつこのワイヤロープ（29）をそ
   のほぼ全長にわたって油導入管（10）で包接したことを
   特徴とする回転式圧縮機の給油部機構。