JPH0748675A - 皮膜特性及び磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

皮膜特性及び磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH0748675A
JPH0748675A JP4150888A JP15088892A JPH0748675A JP H0748675 A JPH0748675 A JP H0748675A JP 4150888 A JP4150888 A JP 4150888A JP 15088892 A JP15088892 A JP 15088892A JP H0748675 A JPH0748675 A JP H0748675A
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Hiroaki Masui
浩昭 増井
Hiroshi Sato
弘 佐藤
Keisuke Yamochi
啓介 矢持
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼鈍分離剤スラリーの微細分散を行い、グラ
ス皮膜、磁気特性の優れた方向性電磁鋼板を得る。 【構成】 焼鈍分離剤スラリーを物理的、機械的な手段
で超微粒分散、均一分散及び粒子表面の活性化を行って
方向性電磁鋼板用素材に塗布することを特徴とする皮膜
特性及び磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
物理的、機械的な超微粒分散法として、超音波振動子、
砥石グラインダー、金属グラインダー等の回転体又はシ
ャー刃状の回転翼を設けた攪拌装置の1種又は2種以上
を用いることを特徴とする。 【効果】 焼鈍分離剤が超微細化、活性化されることに
より、鋼板面に均一、微細に、且つ密着性よく塗布され
て、グラス皮膜の形成性を著しく高めることができ、こ
の結果、方向性電磁鋼板の表面に均一なグラス皮膜が形
成され、同時に磁気特性の改善が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は方向性電磁鋼板の製造に
際し、均一なグラス皮膜を形成し、磁気特性の優れた方
向性電磁鋼板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】通常、方向性電磁鋼板はSi4%以下を含
有する素材を熱延し、焼鈍と1回又は中間焼鈍をはさむ
2回以上の冷延により最終板厚とされる。次いでN2
2又はH2 等の雰囲気でPH2O /PH2をコントロール
して脱炭焼鈍を行い、脱炭とSiO2 を主成分とする酸
化膜の形成を行う。その後MgOを主成分とする焼鈍分
離剤をスラリー状としてコーティングロール等で塗布
し、最終仕上焼鈍を行い、二次再結晶、純化、グラス皮
膜形成を行い、更に必要に応じて絶縁皮膜処理とヒート
フラットニングを行って最終製品とされる。更に高磁束
密度方向性電磁鋼板の場合、用途によっては絶縁皮膜処
理の前又は後に、レーザー、プレスロール、圧延ロー
ル、歯型ロール、ケガキ等を用いての線状疵の付与によ
る磁区細分化処理を行い、鉄損改善が施される。
【0003】この方向性電磁鋼板は<001>軸をもつ
(110)<001>結晶が高温の二次再結晶で優先的
に成長する現象を利用している。この二次再結晶過程で
低表面エネルギーをもつ(110)面が優先的に成長
し、鋼中のインヒビターとして微細に分散しているAl
N、MnS等により成長を抑えられている他の結晶を侵
蝕するために(110)<001>結晶が優先的に成長
するものと考えられている。
【0004】従って、優れた方向性電磁鋼板を製造する
ためには、鋼中のAlN、MnS等の分散制御とこれら
の分解までの制御が重要である。最終焼鈍におけるイン
ヒビターの変化は脱炭焼鈍で形成した鋼板表面の酸化
膜、焼鈍分離剤及び仕上焼鈍の熱サイクルや雰囲気条件
により影響を受ける。これらの中でとりわけ焼鈍分離剤
MgOの性状や添加剤の影響は大きい。焼鈍分離剤Mg
Oは脱炭焼鈍で形成されるSiO2 主体の酸化膜と反応
して通常グラス皮膜と呼ぶフォルステライト主体の皮膜
を形成する(2MgO+SiO2 →Mg2 SiO4 )。
このグラス皮膜形成においてはMgOの性状として、特
に粒度、純度、活性度の他、鋼板塗布時の水和量、塗布
量、塗布膜の密着性等の影響が大きく、更にフォルステ
ライト形成の促進剤として添加される添加剤の種類、添
加量及びMgO表面への分散状態、鋼板表面への分散状
態がグラス皮膜の形成時期、形成速度、形成量、均一性
等に影響を及ぼす。このグラス皮膜形成過程の反応の違
いが鋼板表面の追加酸化、焼鈍雰囲気ガス中のNの侵入
や逆に鋼中のN、S等の減少等を惹き起こして、インヒ
ビターに多大な影響を及ぼし、二次再結晶ひいては磁気
特性をも左右することになる。
【0005】この様に方向性電磁鋼板の商品価値を決定
する上で重要なグラス皮膜と磁気特性に対して焼鈍分離
剤の性状や鋼板表面での塗布状態のコントロールが重要
であり、これらの技術の開発は方向性電磁鋼板製造の同
業者にとって重要な開発課題となっている。この焼鈍分
離剤として用いるMgOは、一般的には水酸化マグネシ
ウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等の
原料を平均粒径で数百Å〜数μmのサイズの原料結晶を
調整し、700〜1500℃程度の温度でロータリーキ
ルン、バッチ式キルン等によって焼成して、例えば平均
粒径0.2〜5.0μmのMgO結晶を得て用いられ
る。この様にして得られたMgOに、通常はフォルステ
ライト形成促進剤として各種添加剤を配合し、水と懸濁
させてスラリーとし、プロペラ状、シヤー刃状等の回転
翼を設けたタンク内で攪拌した後、ゴムロール等で鋼板
表面に塗布し、乾燥される。その際のMgO粒子や添加
剤は製造段階での焼成時の焼結或いは焼成〜使用段階ま
での保存時の吸湿等による粒子の凝集や水と懸濁させる
段階での粒子の強い凝集反応により、鋼板面に塗布され
る段階では数μm〜数10μmの粗大粒子となる。これ
はMgO製造段階の粒子表面欠陥や粉砕等の段階で受け
る粒子表面の歪がもたらす問題であり、特に低水和Mg
Oを得ようとすると高温焼成による技術が必須となるた
め、焼結やこの様なスラリー中での凝集傾向が一段と強
まる。
【0006】この様な場合、塗布乾燥後の鋼板表面では
MgO粒子の接触面積の低下、塗布膜の密着性、均一性
の低下等をもたらす。又、この様な場合、スラリーの粘
性が低下して高速作業での塗布性が悪くなり、均一な塗
布膜が得られなくなり、この結果グラス皮膜特性の劣化
をもたらす。又、MgOに添加剤を併用する場合には、
添加剤自体もMgOと同様に製造時の焼結やスラリー中
での凝集により、粗大粒となって不均一に塗布膜或いは
鋼板酸化膜上に存在することになり、反応促進効果の低
下や不均一反応を生じることになり、均一なグラス皮膜
を得る上で問題が生じ、当然のことながら、インヒビタ
ー制御に影響を及ぼして、磁気特性に影響を及ぼす場合
がある。
【0007】この様な焼鈍分離剤の焼結や凝集による反
応性低下、密着性低下による問題を解決する手段として
は、従来はMgOの物性値を製造段階でコントロールし
て凝集性を抑えたり、MgO自体に水和性をもたせて、
水分によりフォルステライト形成を補助したり、反応促
進剤の添加剤を必要以上に添加する方法が行われて来
た。特開昭62−156226号公報には、本発明者等
によってMgO粒子の最表面層を活性化処理する方法が
提案されている。この方法では、高温焼成で得たMgO
の粒子最表面層のみにMgOの製造段階で水和層(Mg
(OH)2 )を形成するもので、グラス皮膜の均一性が
向上し、磁気特性の向上効果が得られている。また、特
開平2−26278号公報では焼成したMgOを100
℃以上の水蒸気含有雰囲気で処理し、MgO表面にOH
化学吸着相をH2 O換算でMgO重量に基づいて0.8
〜2.5%形成したMgOを含む焼鈍分離剤を脱炭焼鈍
後の鋼板に塗布し、仕上焼鈍することにより、均一なグ
ラス皮膜を有し、磁気特性の優れた方向性電磁鋼板を得
る方法が開示されている。
【0008】これらの技術はいずれも焼鈍分離剤塗布時
におけるMgO粒子の凝集問題の解決法として、焼成後
のMgO粒子表面を高温で特殊な表面処理を行うことに
より改質し、表面エネルギーを低下させ、水との相溶性
を向上させ、同時にMgO粒子表層部に形成した一定量
のOHにより、フォルステライト形成反応を向上させる
ものである。この効果により、従来よりも鋼板面に分散
のよい状態でMgO粒子が塗布され、かなりの効果が得
られている。
【0009】しかし、MgOの製造条件による焼結、化
学吸着相の安定性、MgO製造から使用までの経時変化
による凝集の問題があり、添加剤の分散状態までコント
ロールできないため、更に分散性の改善技術の開発が望
まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、方向性電磁
鋼板製造における焼鈍分離剤の脱炭板表面への塗布に際
し、MgO及び添加剤の製造時に生じた焼結体や凝集体
およびスラリー調整段階での凝集の問題を従来の方向性
電磁鋼板製造工程で試みられなかった新規なスラリー調
整法により改善しようとするものであり、その際MgO
として不活性な微粒MgOを用いることにより水和量を
極端に抑制し、分散効果、表面活性化効果によって反応
性を向上して均一な高品質のグラス皮膜を形成し、同時
に磁気特性の優れた方向性電磁鋼板を提供することを目
的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、方向性電
磁鋼板の脱炭焼鈍〜焼鈍分離剤塗布〜仕上焼鈍工程まで
の間のグラス皮膜形成工程において、均一なグラス皮膜
を有し、磁気特性の優れた製品の製造法について検討し
た。この研究の中では、特に焼鈍分離剤の主成分のMg
Oの性状とそのMgO及び添加剤のスラリー製造時にお
ける分散法に着目して検討を行った。
【0012】焼鈍分離剤のスラリー調整法としては通常
は攪拌用の容器(円筒状のタンク等)にプロペラ状、シ
ャー刃状等の回転体を設けた装置で自動的に攪拌し、分
散する方法で行われている。この様な攪拌装置でスラリ
ーの分散処理を行う場合、焼鈍分離剤の微粒分散を行お
うとすると、高速攪拌、長時間攪拌が必要であり、かな
り強力な攪拌条件で処理しても充分な粒子の分散が得ら
れない。特にこの様な攪拌では、MgO等の製造時の焼
結体、凝集体の解砕や粒子の表面活性化効果を得るのは
困難である。
【0013】更にこの様な方法での大きな問題は、高速
或いは長時間の攪拌によるスラリー中の粒子同士或いは
粒子と攪拌装置の回転体の摩擦によりスラリー温度の上
昇が生じ、水和水分が上昇する。この結果、グラス皮膜
特性や磁気特性を劣化させるという問題が生じる。そこ
で、本発明者らは短時間のスラリーの分散処理で、確実
に焼鈍分離剤の焼結体や凝集体が解砕でき、従来技術に
おいて生じる水和水分の増加のない分散技術について膨
大な実験と研究を行い検討した。
【0014】その結果、前記問題を解決できる焼鈍分離
剤の塗布方法として、物理的、機械的な方法を利用した
スラリーの新超微粒分散調整法によるグラス皮膜と磁気
特性の改善技術を開発した。これにより、MgO製造段
階で物性値を特定域にコントロールしたMgOを適用す
ることにより、焼鈍分離剤の焼結体、凝集体等による粒
子の粗大化と添加剤等の成分の不均一さ、塗膜の不均
一、塗膜の密着不良及び水和水分の増加等による問題を
一挙に解決するに至ったものである。
【0015】以下、本発明を実験結果に基づいて詳細に
説明する。この実験においては、重量でC;0.068
%、Si;3.23%、Mn;0.060%、S;0.
024%、Al;0.027%、N;0.0077%、
Cu;0.06%、Sn;0.07%残部Feと不可避
の不純物からなる高磁束密度方向性電磁鋼板スラブを公
知の方法で熱延−焼鈍−冷延して最終板厚0.225m
mとした。その後、N2 25%+H2 75%、露点65
℃の雰囲気中で850℃×120秒の脱炭焼鈍を行っ
た。次いで表1に示す様にMgO製造時のCAA値を変
更したMgO100重量部とTiO2 5重量部、Na2
4 7 0.3重量部の組成の焼鈍分離剤を、シャー刃
を設置した攪拌機で、液温5℃、1500RPM×30
分の攪拌を行った後、超音波振動子を設置した分散装置
でスラリーの流量、振動子の本数、処理時間を変えて処
理し、それぞれ平均粒子径2μmの焼鈍分離剤スラリー
として脱炭焼鈍板に塗布し、1200℃×20時間の仕
上焼鈍を行った。この後、20%コロイド状シリカ10
0ml+50%リン酸Al50ml+CrO3 6kgか
らなる絶縁皮膜剤を塗布し、850℃×30秒の焼付処
理をし、製品とした。
【0016】この実験において、焼鈍分離剤の塗布状況
の観察、製品のグラス皮膜、磁気特性の調査結果を表2
に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】この実験の結果、MgOのCAA値が本発
明範囲内にありかつ超音波攪拌分散によりスラリー分散
処理を行った本発明1、2、3は、スラリー塗布、乾燥
後の表面は非常に微細、均一に塗布され、グラス皮膜が
均一で、磁気特性も非常に良好な結果が得られた。一
方、スラリー分散法として超音波攪拌分散を行わなかっ
た比較例1、2では塗布後の表面はザラツキが多く、不
均一に塗布された。このため、グラス皮膜が薄く、不均
一に形成され、磁気特性がやや不良であった。また、ス
ラリー分散法として超音波攪拌分散を実施しても、Mg
OのCAA値が本発明範囲外の条件では、比較例3、4
の如く、スラリーの均一な塗布状況は得られたが、グラ
ス皮膜の形成状況が悪く、磁気特性は本発明と比較する
とかなり悪い状況となった。
【0020】ここで、処理内容の説明を簡単に述べる。
分散処理とは、一度凝集したMgO粒子同士を再び引き
はなす処理であり、後述の様に、物理的手段と機械的手
段がある。これに対して解砕とは、MgO粒子同士を引
きはなすのみならず、粒子1つ1つを粉砕する処理を言
う。次に本発明の限定理由について述べる。
【0021】本発明で最も特徴とするところは焼鈍分離
剤スラリーの調整法である。本発明ではスラリーの超微
粒分散法として、物理的或いは機械的な手段の1種又は
2種以上を用いて行われる。物理的手段とは超音波振動
子を設けた攪拌槽で、振動子の振動幅、クリアランス、
スラリーの流速、スラリーの濃度等を変えて行われる。
機械的手段とは砥石ロール、金属グラインダーロール、
シヤー刃等の回転体を設けた攪拌装置で、クリアラン
ス、回転数、スラリー流速、スラリー濃度等を変えて行
われる。本発明においては、これら物理的、機械的手段
の1種又は2種以上を1個又は2個以上連結したり、組
合せた形で使用する。
【0022】即ち、スラリーの超微粒化のために供給さ
れる原料は予め水に分散させた状況にしておくのが効率
的であり、このため先ず焼鈍分離剤をシャー刃状の回転
子を設けた攪拌槽で分散させたスラリーを超音波振動
子、砥石ロール、金属グラインダーロール等を設けた攪
拌装置で微細分散を行うのがよい。又、微粒化粉砕処理
はこれらの装置により連続的、間欠的或いは循環処理に
よって行われる。これらの方法による処理においては、
焼鈍分離剤の粒子の解砕時に粉砕工具と粒子との摩擦、
粒子同士の摩擦、衝突等により、スラリー温度が上昇し
て水和水分の増加をもたらす。好ましくは、スラリーを
連続的に冷却しながら行うのがよい。この様に解砕さ
れ、超微粒化処理を行ったスラリー内ではMgO粒子が
微細分散すると共に粒子の表面層に新たな極くうすい水
和層が形成し、粒子の表面エネルギーが低下され、安定
化される。この表面層への水和層の形成処理が活性化処
理である。このため、この後通常の攪拌で長時間攪拌し
ても再凝集はほとんど生じない。また、この様な解砕処
理によって粒子表面が活性化されることは言うまでもな
い。
【0023】更に焼鈍分離剤中に、グラス皮膜形成促進
剤として、酸化チタン、S化合物、B化合物を添加する
場合、これらも同様にして微細分散され、MgO表面に
均一に分散する。次に本発明での粉砕処理による粒子径
は平均粒径で10μm以下である。通常、方向性電磁鋼
板用のMgOは高温焼成されているため、焼結粒が多
く、更に水に混合してスラリーとした場合、凝集反応を
起して平均粒径20〜40μmの粗大粒となる。このた
め、100μm程度の粗大粒が混在した表面がザラつい
た塗布状況を呈しており、粗大化のために鋼板酸化膜の
フォルステライト形成反応を低下させてしまう。本発明
者らは膨大な研究、実験を行った結果、平均粒径10μ
m以下に粉砕できれば、顕著な皮膜形成反応の向上効果
が得られることを見出した。10μm超では反応性向上
効果が充分でなく、一方10μm以下では段階的に皮膜
形成反応の効果の向上は見られるが、1μm未満では水
和水分のコントロールが困難になる。粉砕処理による最
も好ましい粒子径の範囲は7〜1μmである。
【0024】本発明に適用される焼鈍分離剤のMgOと
してはCAA値で50〜150秒のものである。これは
超微粒化の処理と共に重要なMgOの水和特性とグラス
皮膜形成反応性を好適な範囲に保つために重要である。
CAA値50秒未満ではMgOの水和性が高いために、
超微粒化処理における水和水分の増加が多くなったり、
不安定になって、皮膜欠陥として過酸化現象特有のピン
ホール、シモフリ、ガスマーク等が発生したり、これに
よりインヒビターの安定性に影響を及ぼして、磁気特性
を劣化させるので好ましくない。一方、150秒超では
粒子の最表層の改質はできても粒子自体が不活性すぎて
グラス皮膜反応性が悪く、不均一なグラス皮膜となる。
特に反応が高温側にずれるため鋼板表面のシール効果が
得られず、皮膜特性と共に磁気特性が劣化するので好ま
しくない。CAA値が50〜150秒ではこれらの問題
がなく、グラス皮膜および磁気特性が共に優れた製品が
得られる。
【0025】次に本発明によりグラス皮膜が均一化さ
れ、磁気特性が向上する理由を述べる。本発明では、M
gO製造における物性値としてCAA値を適度にコント
ロールしたMgOの超微粒分散法として物理的、機械的
な手段でスラリー中の粒径として10μm以下に解砕処
理を行う。これにより、粒子の微細分散と表面活性化が
行われる。その際、必要に応じて添加される添加剤化合
物も微細化、活性化が行われ、均一にMgO表面に付着
する。この様にして得られたスラリーを鋼板に塗布する
と鋼板表面に超微細、均一に、又密着性良く付着する。
【0026】この結果、従来技術では見られなかった高
反応性及び反応の均一性が得られ、鋼板間雰囲気が比較
的Dryの状況下でグラス皮膜が均一に、且つ仕上焼鈍
の早期に形成する。この皮膜による表面のシール性向上
効果によってインヒビターのAlN、MnS等の安定化
がもたらされ、磁気特性の改善効果が得られるものと考
えられる。
【0027】
【実施例】
実施例1 重量でC;0.075%、Si;3.30%、Mn;
0.060%、S;0.025%、Al;0.028
%、N;0.0078%、Cu;0.070%、Sn;
0.070%、残部Feと不可避の不純物からなる高磁
束密度方向性電磁鋼板用素材を公知の方法で処理し、最
終板厚0.29mmの冷延コイルを得た。
【0028】この鋼板をN2 25%+H2 75%、D.
P65℃中で850℃×150秒の脱炭焼鈍を行った。
次いで焼鈍分離剤としてCAA値75秒のMgO100
重量部、TiO2 5重量部、Sb2(SO4)3 0.3重量
部の組成からなるスラリーを表3に示す如く攪拌条件を
変えて塗布し、コイルに巻取った後、1200℃×20
時間の最終仕上焼鈍を行った。この後、絶縁皮膜剤とし
て20%コロイド状シリカ100ml+50%リン酸A
l50ml+CrO3 6kgからなるコーティング液を
塗布し、850℃×30秒の焼付処理を行って製品とし
た。この製造工程における焼鈍分離剤の塗布状況、製品
特性を調査した結果を表4に示す。
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】この結果、本発明によるものは、超音波分
散、砥石ロール法及びこの両者を利用したもののいずれ
もスラリーは超微細化し、密着性良く塗布された。また
仕上焼鈍後のグラス皮膜は均一に光沢のある皮膜を形成
し、磁気特性も非常に良好な結果が得られた。一方、比
較例の攪拌をシャー刃回転体付の装置のみで行ったもの
は、凝集粒等が多く、ザラツキがあり、不均一な塗布膜
となり、鋼板への密着性も非常に悪かった。又、この場
合、仕上焼鈍後のグラス皮膜はうすく、不均一となり、
磁気特性も本発明よりかなり悪い結果となった。
【0032】
【発明の効果】本発明に従い、焼鈍分離剤スラリーの焼
結体、凝集体を解砕して超微細化すると共に、粒子表面
の活性化を行うことにより、方向性電磁鋼板用素材の酸
化層上に微細、均一に且つ密着性良く塗膜を形成するこ
とができ、その際、グラス皮膜形成の反応促進剤として
添加される添加剤も、同様に微細且つ均一に分散され、
皮膜の形成反応性を著しく高めることができ、かくして
仕上焼鈍昇温時のグラス皮膜形成時期を早めると共に、
均一にグラス皮膜を形成し、皮膜欠陥のないグラス皮膜
を形成することができ、この皮膜の早期形成と均一化に
より、鋼中インヒビターの安定化が保たれ、同時に磁気
特性の向上効果が奏される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 弘 福岡県北九州市戸畑区大字中原46番地の59 日鐵プラント設計株式会社内 (72)発明者 矢持 啓介 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 方向性電磁鋼板用素材に脱炭焼鈍後Mg
    Oを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍するこ
    とからなる方向性電磁鋼板の製造方法において、焼鈍分
    離剤スラリーを、解砕又は分散処理し、粒子表面の活性
    化を行った後鋼板に塗布することを特徴とする皮膜特性
    及び磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 焼鈍分離剤スラリーを解砕又は分散処理
    し、粒子表面を活性化をする方法として、砥石、金属グ
    ラインダー等の回転体又は超音波振動子の1種又は2種
    以上及びシャー刃等の回転翼を設けた装置を用いること
    を特徴とする請求項1記載の皮膜特性及び磁気特性の優
    れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 解砕又は分散処理及び粒子表面の活性化
    処理を行った後の、MgOのレーザー回折法により測定
    した粒子径を、平均粒径で10μm以下とすることを特
    徴とする請求項1記載の皮膜特性及び磁気特性の優れた
    方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 解砕及び粒子表面の活性化処理を行うM
    gOとして、液温30℃におけるCAA値が50〜15
    0秒であるMgOを使用することを特徴とする請求項1
    記載の皮膜特性及び磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の
    製造方法。
JP4150888A 1992-06-10 1992-06-10 皮膜特性及び磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JP2711614B2 (ja)

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