JPH0748657A - 磁性薄帯及びその製造方法 - Google Patents
磁性薄帯及びその製造方法Info
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- JPH0748657A JPH0748657A JP22973593A JP22973593A JPH0748657A JP H0748657 A JPH0748657 A JP H0748657A JP 22973593 A JP22973593 A JP 22973593A JP 22973593 A JP22973593 A JP 22973593A JP H0748657 A JPH0748657 A JP H0748657A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、板面内の多方向に高い磁束密度を
有する磁性薄帯とその製造方法を提供することを目的と
する。 【構成】 結晶の(100)面が薄帯板面に平行で、板
面内の磁化容易軸方向が異なる2種の結晶粒で薄帯を構
成することにより、板面内の八方向に磁化容易方向を持
つ磁性薄帯を得ることができる。本発明では、非酸化性
のN2ガス雰囲気中での再結晶により、高配向の八方向
性の薄帯を得た。 【効果】 磁化容易方向に沿って測った磁束密度B20
は1.86Tであり、従来の無方向性電磁鋼板にない高
い値を示した。
有する磁性薄帯とその製造方法を提供することを目的と
する。 【構成】 結晶の(100)面が薄帯板面に平行で、板
面内の磁化容易軸方向が異なる2種の結晶粒で薄帯を構
成することにより、板面内の八方向に磁化容易方向を持
つ磁性薄帯を得ることができる。本発明では、非酸化性
のN2ガス雰囲気中での再結晶により、高配向の八方向
性の薄帯を得た。 【効果】 磁化容易方向に沿って測った磁束密度B20
は1.86Tであり、従来の無方向性電磁鋼板にない高
い値を示した。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、板面内の多方向に高い
磁束密度を有する磁性薄帯及びその製造方法に関するも
のである。モータ等各種電気機器の小型化、高効率化、
省エネルギー化が必要とされているが、本発明はそれら
に用いる磁心材料を提供する。
磁束密度を有する磁性薄帯及びその製造方法に関するも
のである。モータ等各種電気機器の小型化、高効率化、
省エネルギー化が必要とされているが、本発明はそれら
に用いる磁心材料を提供する。
【0002】
【従来の技術】Fe−Si合金をベースとする電磁鋼板
としては、一方向性電磁鋼板(圧延面:(110)、圧
延方向:〔001〕)、二方向性電磁鋼板(圧延面:
(100)、圧延方向:〔001〕)、及び無方向性電
磁鋼板がある。一方向性電磁鋼板は主としてトランスの
コア材として使われ、無方向性電磁鋼板は主にモータ等
の回転器機用のコア材として使われている。回転器機に
用いる無方向性電磁鋼板として理想的なものは、板を構
成する結晶粒の(100)面が板面に平行で、磁化容易
軸の〔001〕方向が板面内のすべての方向を等価に向
いている材料とされている。
としては、一方向性電磁鋼板(圧延面:(110)、圧
延方向:〔001〕)、二方向性電磁鋼板(圧延面:
(100)、圧延方向:〔001〕)、及び無方向性電
磁鋼板がある。一方向性電磁鋼板は主としてトランスの
コア材として使われ、無方向性電磁鋼板は主にモータ等
の回転器機用のコア材として使われている。回転器機に
用いる無方向性電磁鋼板として理想的なものは、板を構
成する結晶粒の(100)面が板面に平行で、磁化容易
軸の〔001〕方向が板面内のすべての方向を等価に向
いている材料とされている。
【0003】このような(100)面内無配向の材料
は、面内の任意の方向で高い磁束密度を得ることができ
る。古くから、Fe−3wt%Si合金薄帯を微量のO
2(<50ppm)を含む雰囲気で焼鈍すると、表面エ
ネルギーの結晶面による差で(100)面を薄帯板面に
平行に持つ結晶粒が優先成長することが知られている
(J.L.Walter,J.Appl.Phys.3
6,1213(1965))。特開昭60−15263
3号公報では、(100)面内無配向の材料を得る手段
として、液体急冷法により直接にFe−Si合金薄帯を
得、それを微量のO2を含む雰囲気で焼鈍する方法を提
案している。微量O2の制御を鉄鋼製造プロセスで行う
のが困難なために、この方法は実用的ではない。
は、面内の任意の方向で高い磁束密度を得ることができ
る。古くから、Fe−3wt%Si合金薄帯を微量のO
2(<50ppm)を含む雰囲気で焼鈍すると、表面エ
ネルギーの結晶面による差で(100)面を薄帯板面に
平行に持つ結晶粒が優先成長することが知られている
(J.L.Walter,J.Appl.Phys.3
6,1213(1965))。特開昭60−15263
3号公報では、(100)面内無配向の材料を得る手段
として、液体急冷法により直接にFe−Si合金薄帯を
得、それを微量のO2を含む雰囲気で焼鈍する方法を提
案している。微量O2の制御を鉄鋼製造プロセスで行う
のが困難なために、この方法は実用的ではない。
【0004】上記のように、(100)配向の材料とし
ては、単結晶状の二方向性電磁鋼板と多結晶の面内無配
向材料が提案されている。二方向性電磁鋼板の場合は、
面内に正負合わせて四方向に磁化容易方向があり、それ
らの方向には高い磁束密度を得ることができるが、その
間の方向では磁束密度は低い。したがって、回転器機用
のコア材のように全方向に高特性を要求されるものに対
しては応用範囲が狭い。一方、面内無配向の材料は、面
内の全方向で均一に高い磁束密度が得られるが、その値
は二方向性電磁鋼板の磁化容易軸方向のそれには遠く及
ばない。現状では、上記の2種の材料の中間に位置し
て、高磁束密度を与える材料は提案されていない。
ては、単結晶状の二方向性電磁鋼板と多結晶の面内無配
向材料が提案されている。二方向性電磁鋼板の場合は、
面内に正負合わせて四方向に磁化容易方向があり、それ
らの方向には高い磁束密度を得ることができるが、その
間の方向では磁束密度は低い。したがって、回転器機用
のコア材のように全方向に高特性を要求されるものに対
しては応用範囲が狭い。一方、面内無配向の材料は、面
内の全方向で均一に高い磁束密度が得られるが、その値
は二方向性電磁鋼板の磁化容易軸方向のそれには遠く及
ばない。現状では、上記の2種の材料の中間に位置し
て、高磁束密度を与える材料は提案されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、板面内の多
方向に高い磁束密度を有する磁性薄帯及びその製造方法
を提供することを目的とする。
方向に高い磁束密度を有する磁性薄帯及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、不可避的不純
物を除いてFeのみからなる薄帯であって、該薄帯が
(100)面を薄帯板面に平行に持つ2種の結晶粒
(A,B)からなり、結晶粒Aの〔001〕方向は圧延
方向から+αの角度回転した方向にあり、結晶粒Bの
〔001〕方向は圧延方向から−αの角度回転した方向
にあり、その時のαが5°以上40°以下であることを
特徴とする磁性薄帯を提供することにより上記課題を解
決する。本発明によって得られる磁性薄帯は、正負の方
向を含めて板面内の八方向に磁化容易方向を持つ。
物を除いてFeのみからなる薄帯であって、該薄帯が
(100)面を薄帯板面に平行に持つ2種の結晶粒
(A,B)からなり、結晶粒Aの〔001〕方向は圧延
方向から+αの角度回転した方向にあり、結晶粒Bの
〔001〕方向は圧延方向から−αの角度回転した方向
にあり、その時のαが5°以上40°以下であることを
特徴とする磁性薄帯を提供することにより上記課題を解
決する。本発明によって得られる磁性薄帯は、正負の方
向を含めて板面内の八方向に磁化容易方向を持つ。
【0007】本発明の八方向性磁性薄帯の製造方法は、
不可避的不純物を除いてFeのみからなる熱間圧延鋼帯
に、一方向に50%以上の冷間圧延を施して厚さ5μm
以上、500μm以下の薄帯となし、非酸化性のN2ガ
ス雰囲気中にて、γ/α変態点以下の温度で再結晶させ
ることを特徴とする。
不可避的不純物を除いてFeのみからなる熱間圧延鋼帯
に、一方向に50%以上の冷間圧延を施して厚さ5μm
以上、500μm以下の薄帯となし、非酸化性のN2ガ
ス雰囲気中にて、γ/α変態点以下の温度で再結晶させ
ることを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明の基本になる思想は、表面エネルギー制
御による二次再結晶である。圧延によって変形を受けた
薄帯を高温で焼鈍すると再結晶が起こる。変形組織から
新しい結晶核が生まれ、それが成長して全体を覆うまで
を一次再結晶という。二次再結晶は、一次再結晶後に、
特定方位の結晶粒が他の方位の結晶粒を食って優先的に
成長する現象である。
御による二次再結晶である。圧延によって変形を受けた
薄帯を高温で焼鈍すると再結晶が起こる。変形組織から
新しい結晶核が生まれ、それが成長して全体を覆うまで
を一次再結晶という。二次再結晶は、一次再結晶後に、
特定方位の結晶粒が他の方位の結晶粒を食って優先的に
成長する現象である。
【0009】酸素はFe−Si合金の(100)表面に
吸着してその表面エネルギーを下げ、(100)粒の優
先成長を促すと言われている(J.L.Walter,
J.Appl.Phys.36,1213(196
5))。微量酸素を含有する雰囲気で二次再結晶を起こ
させれば、全体が(100)粒からなる薄帯を得ること
ができるはずである。ところが、実際には、焼鈍中に表
面に酸化物が形成され、それが粒界のピン止め効果によ
り(100)粒の成長を阻害するために、(100)粒
のみからなる薄帯を得ることができない。又、この方法
は、微量酸素の制御が困難なために実用的ではない。
吸着してその表面エネルギーを下げ、(100)粒の優
先成長を促すと言われている(J.L.Walter,
J.Appl.Phys.36,1213(196
5))。微量酸素を含有する雰囲気で二次再結晶を起こ
させれば、全体が(100)粒からなる薄帯を得ること
ができるはずである。ところが、実際には、焼鈍中に表
面に酸化物が形成され、それが粒界のピン止め効果によ
り(100)粒の成長を阻害するために、(100)粒
のみからなる薄帯を得ることができない。又、この方法
は、微量酸素の制御が困難なために実用的ではない。
【0010】本発明者は、制御の容易な窒素(N2)に
着目した。窒素にも酸素と同様に(100)配向を促進
する効果があるのではないかという点に着目し、鋭意検
討した。その結果、酸素を排除した高純度のN2ガス雰
囲気(非酸化性N2ガス雰囲気)中での再結晶により、
純鉄薄帯において完全な(100)配向が得られること
を見出した。
着目した。窒素にも酸素と同様に(100)配向を促進
する効果があるのではないかという点に着目し、鋭意検
討した。その結果、酸素を排除した高純度のN2ガス雰
囲気(非酸化性N2ガス雰囲気)中での再結晶により、
純鉄薄帯において完全な(100)配向が得られること
を見出した。
【0011】純鉄の表面を高温でN2ガスに曝した場
合、窒化物は形成されず、表面にNが付着した状態が実
現される。Nの吸着により鉄の(100)面の表面エネ
ルギーが下がり、(100)粒が優先成長したものと思
われる。N2ガス中では窒化物は形成しないので、粒界
のピン止めにより(100)粒の成長が阻害されること
はない。本発明で得た薄帯の(100)粒の板面方向
は、正確な(100)面から±5°の傾きの範囲に入る
ものであった。
合、窒化物は形成されず、表面にNが付着した状態が実
現される。Nの吸着により鉄の(100)面の表面エネ
ルギーが下がり、(100)粒が優先成長したものと思
われる。N2ガス中では窒化物は形成しないので、粒界
のピン止めにより(100)粒の成長が阻害されること
はない。本発明で得た薄帯の(100)粒の板面方向
は、正確な(100)面から±5°の傾きの範囲に入る
ものであった。
【0012】本発明者は、N2ガス中焼鈍によって得た
純鉄(100)配向薄帯について、結晶粒の面内の磁化
容易軸(〔001〕と〔010〕の指す方向を調べた。
その結果、薄帯は同数の2種の結晶粒(A,B)からな
り、結晶粒Aの〔001〕方向は圧延方向から+αの角
度回転した方向にあり、結晶粒Bのそれは圧延方向から
−αの角度回転した方向にあることを見出した。この時
のαの値は圧延率によって制御可能であった。結晶粒A
とBがそれぞれ、薄帯板面内に正負の方向を含めて四方
向に磁化容易方向を持つので、薄帯としては合計八方向
に磁化容易方向があることになる(図1,図2参照)。
純鉄(100)配向薄帯について、結晶粒の面内の磁化
容易軸(〔001〕と〔010〕の指す方向を調べた。
その結果、薄帯は同数の2種の結晶粒(A,B)からな
り、結晶粒Aの〔001〕方向は圧延方向から+αの角
度回転した方向にあり、結晶粒Bのそれは圧延方向から
−αの角度回転した方向にあることを見出した。この時
のαの値は圧延率によって制御可能であった。結晶粒A
とBがそれぞれ、薄帯板面内に正負の方向を含めて四方
向に磁化容易方向を持つので、薄帯としては合計八方向
に磁化容易方向があることになる(図1,図2参照)。
【0013】本発明では、上記のαを5°以上、40°
以下と限定した。なぜならば、αが5°未満、もしくは
40°超では、従来の二方向性電磁鋼板と実質的に同じ
でそれを上回る特性を得ることができないからである。
本発明者は、上記の八方向性薄帯の磁化容易方向に測っ
た磁束密度が、B20(印加磁場20Oeでの磁束密
度)で1.86Tに及ぶ高い値を示すことを確認し、本
発明を完成した。
以下と限定した。なぜならば、αが5°未満、もしくは
40°超では、従来の二方向性電磁鋼板と実質的に同じ
でそれを上回る特性を得ることができないからである。
本発明者は、上記の八方向性薄帯の磁化容易方向に測っ
た磁束密度が、B20(印加磁場20Oeでの磁束密
度)で1.86Tに及ぶ高い値を示すことを確認し、本
発明を完成した。
【0014】以下、本発明の詳細を製造方法に沿って示
す。原料の純鉄としては、純度が99.9%以上のもの
が望ましい。これは、電解鉄もしくは転炉等で精錬され
た工業用純鉄として入手可能である。製法によって純鉄
の不純物の量は多少異なるが、C,P,S,Si,M
n,Al,O,Nの量はそれぞれ重量ppmで50pp
m以下とすることができる。このような純鉄のインゴッ
トを作製し、熱間圧延により厚さ2〜5mmの熱延板と
なす。
す。原料の純鉄としては、純度が99.9%以上のもの
が望ましい。これは、電解鉄もしくは転炉等で精錬され
た工業用純鉄として入手可能である。製法によって純鉄
の不純物の量は多少異なるが、C,P,S,Si,M
n,Al,O,Nの量はそれぞれ重量ppmで50pp
m以下とすることができる。このような純鉄のインゴッ
トを作製し、熱間圧延により厚さ2〜5mmの熱延板と
なす。
【0015】ついで、冷間圧延を行い、所望の厚さの冷
延板となす。必要によっては冷間圧延の途中に中間焼鈍
を入れる。ここで、再結晶により十分な量の(100)
結晶粒を得るためには、50%以上の冷間圧延を施す必
要がある。本発明では、薄帯の厚さは5μm以上、50
0μm以下に限定する。なぜならば、5μm未満の薄帯
は圧延によっては得難く、500μm超の薄帯では、本
発明によっても十分な量の(100)結晶粒を得ること
ができないからである。
延板となす。必要によっては冷間圧延の途中に中間焼鈍
を入れる。ここで、再結晶により十分な量の(100)
結晶粒を得るためには、50%以上の冷間圧延を施す必
要がある。本発明では、薄帯の厚さは5μm以上、50
0μm以下に限定する。なぜならば、5μm未満の薄帯
は圧延によっては得難く、500μm超の薄帯では、本
発明によっても十分な量の(100)結晶粒を得ること
ができないからである。
【0016】冷延薄帯の再結晶は、上記のように非酸化
性のN2ガス雰囲気で行う必要がある。N2ガス中にO
2又はH2Oを含むと、薄帯表面が酸化され、窒素の効
果を発現することができない。本発明では、再結晶焼鈍
雰囲気中のO2又はH2Oの濃度は1ppm以下にしな
ければならない。
性のN2ガス雰囲気で行う必要がある。N2ガス中にO
2又はH2Oを含むと、薄帯表面が酸化され、窒素の効
果を発現することができない。本発明では、再結晶焼鈍
雰囲気中のO2又はH2Oの濃度は1ppm以下にしな
ければならない。
【0017】再結晶は、γ/α変態点(910℃)以下
の温度で行う。変態点超の温度では原子配列が異なるの
で、(100)配向を得ることはできない。再結晶の速
度を早めるためには変態点直下の800〜900℃の温
度での焼鈍が好ましい。十分に(100)結晶粒を成長
させるためには、800〜900℃の温度範囲で1〜1
00時間の焼鈍を行う必要がある。なお、その焼鈍時の
昇温速度と降温速度は特に限定しないが、共に1〜10
0℃/分が好適である。
の温度で行う。変態点超の温度では原子配列が異なるの
で、(100)配向を得ることはできない。再結晶の速
度を早めるためには変態点直下の800〜900℃の温
度での焼鈍が好ましい。十分に(100)結晶粒を成長
させるためには、800〜900℃の温度範囲で1〜1
00時間の焼鈍を行う必要がある。なお、その焼鈍時の
昇温速度と降温速度は特に限定しないが、共に1〜10
0℃/分が好適である。
【0018】
【実施例】真空溶解により純鉄のインゴットを作製し
た。表1にその不純物分析結果を示す。そのインゴット
を1200℃に加熱後に熱間圧延を施し、厚さ3mmの
熱延板とした。熱延板の表面の酸化層を除去後に冷間圧
延を施し、厚さ50μmの薄帯を得た。
た。表1にその不純物分析結果を示す。そのインゴット
を1200℃に加熱後に熱間圧延を施し、厚さ3mmの
熱延板とした。熱延板の表面の酸化層を除去後に冷間圧
延を施し、厚さ50μmの薄帯を得た。
【0019】
【表1】
【0020】薄帯に非酸化性のN2ガス雰囲気で焼鈍を
施した。ここで、焼鈍雰囲気としては、酸素含有量が
0.01ppm以下の高純度N2ガス雰囲気を実現し
た。焼鈍温度は880℃で、焼鈍時間は10分、2時
間、20時間とした。この時の昇温速度と降温速度は2
0℃/分とした。
施した。ここで、焼鈍雰囲気としては、酸素含有量が
0.01ppm以下の高純度N2ガス雰囲気を実現し
た。焼鈍温度は880℃で、焼鈍時間は10分、2時
間、20時間とした。この時の昇温速度と降温速度は2
0℃/分とした。
【0021】作製試料につき、X線回折のθ−2θ法に
より、薄帯板面に平行な面からのX線回折線の強度プロ
ファイルを測定した。図3に、焼鈍前と焼鈍後の測定結
果について示す。薄帯板面の方位は(100)と(21
1)であり、焼鈍時間が増すにしたがって、(100)
面を表わす(200)反射強度が大きくなるのがわか
る。図4は、各焼鈍時間に対応する結晶粒組織を光学顕
微鏡により観察した結果である。焼鈍時間が10分では
一次再結晶が終った段階である。それ以降の焼鈍で、二
次再結晶により、(100)面を薄帯板面に平行に持つ
結晶粒((100)粒)が優先成長し、(211)粒は
浸食され消滅していく。焼鈍を20時間行うことにより
試料のほぼ全体を(100)粒とすることができる。一
個の(100)粒の大きさは1〜2mmである。
より、薄帯板面に平行な面からのX線回折線の強度プロ
ファイルを測定した。図3に、焼鈍前と焼鈍後の測定結
果について示す。薄帯板面の方位は(100)と(21
1)であり、焼鈍時間が増すにしたがって、(100)
面を表わす(200)反射強度が大きくなるのがわか
る。図4は、各焼鈍時間に対応する結晶粒組織を光学顕
微鏡により観察した結果である。焼鈍時間が10分では
一次再結晶が終った段階である。それ以降の焼鈍で、二
次再結晶により、(100)面を薄帯板面に平行に持つ
結晶粒((100)粒)が優先成長し、(211)粒は
浸食され消滅していく。焼鈍を20時間行うことにより
試料のほぼ全体を(100)粒とすることができる。一
個の(100)粒の大きさは1〜2mmである。
【0022】図5に、20時間焼鈍した薄帯についてシ
ュルツ法により(110)極点図を測定した結果を示
す。薄帯はAとBの2種の(100)粒からなり、その
板面内の磁化容易軸方向の一つ〔001〕は、圧延方向
からAが+32°、Bが−32°回転した方向にあるこ
とが証明された。AとB合わせた磁化容易軸の方向は、
正負合わせると、薄帯板面内に八方向あることになる。
ュルツ法により(110)極点図を測定した結果を示
す。薄帯はAとBの2種の(100)粒からなり、その
板面内の磁化容易軸方向の一つ〔001〕は、圧延方向
からAが+32°、Bが−32°回転した方向にあるこ
とが証明された。AとB合わせた磁化容易軸の方向は、
正負合わせると、薄帯板面内に八方向あることになる。
【0023】磁場200eにおける磁束密度
(B20)、50Hzの交流磁場下で最大磁束密度が
1.5Tの時の磁心損失(W15/50)を、上記の八
方向性の薄帯について測定した。表2に、磁化容易方向
の磁気特性と圧延方向(磁化困難方向)の磁気特性を示
した。比較として、(100)配向していない薄帯につ
いての測定結果も示した。比較材は、酸素を5ppm含
むN2ガス雰囲気中で880℃で20時間焼鈍を施した
薄帯である。
(B20)、50Hzの交流磁場下で最大磁束密度が
1.5Tの時の磁心損失(W15/50)を、上記の八
方向性の薄帯について測定した。表2に、磁化容易方向
の磁気特性と圧延方向(磁化困難方向)の磁気特性を示
した。比較として、(100)配向していない薄帯につ
いての測定結果も示した。比較材は、酸素を5ppm含
むN2ガス雰囲気中で880℃で20時間焼鈍を施した
薄帯である。
【0024】図6のX線回折結果に示すように、薄帯
は、(211),(100)及び(110)面を薄帯板
面に平行に持つ結晶粒からなる。表2に示すように、本
発明材の特性は、磁化容易方向のみならず、磁化困難方
向においてもよい。特に、磁化容易方向においては、B
20=1.86Tという従来の無方向性電磁鋼板にない
特性が得られている。
は、(211),(100)及び(110)面を薄帯板
面に平行に持つ結晶粒からなる。表2に示すように、本
発明材の特性は、磁化容易方向のみならず、磁化困難方
向においてもよい。特に、磁化容易方向においては、B
20=1.86Tという従来の無方向性電磁鋼板にない
特性が得られている。
【0025】
【表2】
【0026】
【発明の効果】本発明は板面内の八方向に磁化容易方向
がある磁性薄帯である。この薄帯は、従来の無方向性の
電磁鋼板に比べると、磁束密度が高く鉄損が低い。した
がって、モータ等の回転器機の磁心材料として用いた場
合、従来にない小型化又は高効率化が可能になる。
がある磁性薄帯である。この薄帯は、従来の無方向性の
電磁鋼板に比べると、磁束密度が高く鉄損が低い。した
がって、モータ等の回転器機の磁心材料として用いた場
合、従来にない小型化又は高効率化が可能になる。
【図1】八方向性薄帯を表わす結晶粒構造の模式図であ
る。
る。
【図2】図1の結晶粒A,Bの板面内磁化容易軸方向の
説明図である。
説明図である。
【図3】(a)焼鈍前、(b)880℃・10分、
(c)880℃・2時間、(d)880℃・2時間の焼
鈍前後の純鉄薄帯の板面方位を表わすX線回折強度プロ
ファイルである。
(c)880℃・2時間、(d)880℃・2時間の焼
鈍前後の純鉄薄帯の板面方位を表わすX線回折強度プロ
ファイルである。
【図4】(a)880℃・10分、(b)880℃・2
時間、(c)880℃・2時間の純鉄薄帯の焼鈍組織の
写真である。
時間、(c)880℃・2時間の純鉄薄帯の焼鈍組織の
写真である。
【図5】純鉄薄帯の880℃・20時間焼鈍材の(11
0)極点図で、図中等高線に付した数字(1,2,……
5)はX線回折強度の対ランダム比を表わす。
0)極点図で、図中等高線に付した数字(1,2,……
5)はX線回折強度の対ランダム比を表わす。
【図6】比較材の板面方位を表わすX線回折強度プロフ
ァイルである。
ァイルである。
Claims (2)
- 【請求項1】 不可避的不純物を除いてFeのみからな
る薄帯であって、該薄帯が(100)面を薄帯板面に平
行に持つ2種の結晶粒(A,B)からなり、結晶粒Aの
〔001〕方向は圧延方向から+αの角度回転した方向
にあり、結晶粒Bの〔001〕方向は圧延方向から−α
の角度回転した方向にあり、その時のαが5°以上40
°以下であることを特徴とする磁性薄帯。 - 【請求項2】 不可避的不純物を除いてFeのみからな
る熱間圧延鋼帯に一方向に50%以上の冷間圧延を施し
て厚さ5μm以上、500μm以下の薄帯となし、非酸
化性のN2ガス雰囲気中にて、γ/α変態点以下の温度
で再結晶させることを特徴とする磁性薄帯の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22973593A JPH0748657A (ja) | 1993-08-05 | 1993-08-05 | 磁性薄帯及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22973593A JPH0748657A (ja) | 1993-08-05 | 1993-08-05 | 磁性薄帯及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0748657A true JPH0748657A (ja) | 1995-02-21 |
Family
ID=16896873
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22973593A Pending JPH0748657A (ja) | 1993-08-05 | 1993-08-05 | 磁性薄帯及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0748657A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016153521A (ja) * | 2015-02-20 | 2016-08-25 | 公立大学法人兵庫県立大学 | 鉄板およびその製造方法 |
-
1993
- 1993-08-05 JP JP22973593A patent/JPH0748657A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016153521A (ja) * | 2015-02-20 | 2016-08-25 | 公立大学法人兵庫県立大学 | 鉄板およびその製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20010925 |