JPH074851U - シリンダの冷却構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シリンダ間に設ける冷却水通路の開口両端の
冷却水ジャケット内の水圧に差圧を生じさせ得る冷却構
造により，シリンダ間冷却水通路への通水量を増加さ
せ，冷却効果を向上させたシリンダの冷却構造を提供す
る。 【構成】 シリンダの冷却水ジャケットがシリンダヘッ
ドで吸気側と排気側とに分割され，冷却水がラジエー
タ，吸気側シリンダヘッド，ウォータポンプ，シリンダ
ブロック，排気側シリンダヘッドの順に通水されるの
で，ウォータポンプの動作により吸気側シリンダヘッド
の水流に負圧が生じる。そこで，隣合うシリンダ間に，
シリンダブロックの排気側冷却水ジャケット７と吸気側
シリンダヘッドの吸気側冷却水ジャケット４とを連通さ
せる冷却水通路８を形成すると，冷却水通路８が連通す
るその両端に差圧が生じ，冷却水通路内の冷却水流量が
増加するため，シリンダ間の冷却効果を向上させること
ができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は，エンジンのシリンダ冷却構造に関し，特に，サイアミーズ型のシリ ンダブロックにおけるシリンダ間の冷却効果を向上させるシリンダの冷却構造に 関する。

【０００２】

【従来の技術】

シリンダ間隔が小さく形成されるサイアミーズ型のシリンダブロックでは，シ リンダ間の冷却が十分に行われないため，ボア壁面の温度上昇によりピストンリ ングあるいはピストンの焼付きが生じやすい。そこで，熱負荷の高いエンジンで は，図３の断面図に示すように，シリンダヘッドの冷却水ジャケット３１とシリ ンダブロック冷却水ジャケット３２とを連通させる冷却水通路３０を機械加工（ ドリルドパッセージ）で形成し，シリンダ間の冷却効果を高めている。しかしな がら，シリンダ間隔が小さいため，冷却水通路３０の断面積は大きく設定するこ とができず，冷却効果を十分に発揮させ難い。このような断面積の小さい冷却水 通路に少しでも多くの通水量を確保し，冷却効果を向上させるべく考案されたシ リンダ間冷却構造が，実開平３−８７８１８号公報に開示されている。 上記公報に開示された構造では，図４に示すように，シリンダ２３，２３が並 設されたシリンダ間の冷却水通路２４に冷却水が流れ込みやすくする流路の形成 がなされている。即ち，並設されたシリンダ２３，２３の並設方向の両側に形成 された冷却水ジャケット２２に，冷却水入口２５から流入した冷却水が分流する ように構成されており，この冷却水ジャケット２２の上記シリンダ間冷却水通路 ２４に臨む側壁面２７，２８のうち，一方の側壁面２７がシリンダ間冷却水通路 ２４に近づく突入形状に形成されている。 上記構成により，冷却水ジャケット２２の一方側での水流が，シリンダ間冷却 水通路２４に流れ込みやすい流路が得られる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】 しかしながら，上記従来構成では，流れ込みやすい流路方向が考慮されている だけで，シリンダ間冷却水通路２４の開口両端の冷却水ジャケット２２内での水 圧が同じであるため，上記流路方向だけでは狭い通路内への通水量を増加させる 効果は期待できない。 そこで，本考案の目的とするところは，シリンダ間に設ける冷却水通路の開口 両端の冷却水ジャケット内の水圧に差圧を生じさせ得る冷却構造により，シリン ダ間冷却水通路への通水量を増加させ，冷却効果を向上させたシリンダの冷却構 造を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案が採用する手段は，複数のシリンダを密に並 設してサイアミーズ型のシリンダブロックが形成されたエンジンのシリンダヘッ ド内の冷却水ジャケットが吸気側と排気側とに分割され，冷却水がラジエータ， 吸気側シリンダヘッド，ウォータポンプ，シリンダブロック，排気側シリンダヘ ッドの順に通水される吸気側先行冷却方式のシリンダ冷却構造において，隣合う シリンダ間を仕切るシリンダブロックに，シリンダブロック内の第１の冷却水ジ ャケットと吸気側シリンダヘッドの第２の冷却水ジャケットとを連通させる冷却 水通路を形成したことを特徴とするシリンダの冷却構造として構成される。

【０００５】

【作用】

本考案によれば，シリンダヘッド内の冷却水ジャケットが吸気側と排気側とに 分割され，冷却水がラジエータ，吸気側シリンダヘッド，ウォータポンプ，シリ ンダブロック，排気側シリンダヘッドの順に通水される吸気側先行冷却方式の冷 却構造が採用されているので，ウォータポンプの動作により吸気側シリンダヘッ ドの水流に負圧が生じる。そこで，隣合うシリンダ間を仕切るシリンダブロック に，シリンダブロックの排気側冷却水ジャケット（第１の冷却水ジャケット）と ，吸気側シリンダヘッドの吸気側冷却水ジャケット（第２の冷却水ジャケット） とを連通させる冷却水通路を形成すると，吸気側シリンダヘッドの水流に生じる 負圧により，上記冷却水通路が連通するその両端に差圧が生じ，冷却水通路内の 冷却水流量が増加するため，シリンダ間の冷却効果を向上させることができる。

【０００６】

【実施例】

以下，添付図面を参照して本考案を具体化した実施例につき説明し，本考案の 理解に供する。尚，以下の実施例は本考案を具体化した一例であって，本考案の 技術的範囲を限定するものではない。 ここに，図１は本考案の一実施例に係るシリンダブロックのシリンダ間平面図 （ａ）とシリンダ間断面図（ｂ），図２は実施例に係る吸気先行冷却方式の流路 順路を示すブロック図である。 本実施例は，４気筒自動車エンジン１として構成されたもので，シリンダブロ ックはサイアミーズ型式に形成され，冷却方式は吸気先行冷却方式が採用されて いる。従って，冷却水ジャケットがシリンダヘッドで吸気側と排気側とに分割さ れ，冷却水が図２に示すように，ラジエータ１０，吸気側シリンダヘッド冷却水 ジャケット４，ウォータポンプ９，吸気側シリンダブロック冷却水ジャケット６ ，排気側シリンダブロック冷却水ジャケット７，排気側シリンダヘッド冷却水ジ ャケット５の順路で流れるように構成されている。 上記自動車エンジンのシリンダ間には，図１に示すように，吸気側シリンダヘ ッド冷却水ジャケット４と排気側シリンダブロック冷却水ジャケット７とを連通 する冷却水通路８が設けられている。該冷却水通路８は，図１（ａ）（ｂ）に示 すように，シリンダブロック２の上面からシリンダ間を斜め下方向にドリルドパ ッセージにより形成される。 上記のように，シリンダヘッド３の冷却水ジャケットが吸気側と排気側とに分 割され，吸気先行冷却方式の冷却水流路が形成されることによって，ウォータポ ンプ９の吸引作用を受ける吸気側シリンダヘッド冷却水ジャケット４に負圧が生 じる。従って，この負圧が生じる吸気側シリンダヘッド冷却水ジャケット４と， 正圧状態にある排気側シリンダブロック冷却水ジャケット７との間に設けられた 冷却水通路８の両端には圧力差が生じる結果，該冷却水通路８の流量が増加し， シリンダ間の冷却効果を向上させることができる。

【０００７】

【考案の効果】

以上の説明の通り本考案によれば，シリンダ間に設けた冷却水通路が接続する 両端の冷却水ジャケットに差圧を生じさせる冷却水流路の構成により，上記冷却 水通路への流量が増加するので，シリンダ間の冷却効果が向上し，サイアミーズ 型のシリンダ構造におけるボア壁面の温度上昇が抑えられる。

【０００８】

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例に係るシリンダブロックの
シリンダ間平面図（ａ）とシリンダ間断面図（ｂ）。

【図２】 実施例に係る吸気先行冷却方式の冷却水順路
を示すブロック図。

【図３】 従来例に係るエンジンのシリンダ間断面図。

【図４】 従来例に係るシリンダブロックの水平断面図
（ａ）と垂直断面図（ｂ）。

【符号の説明】

２…シリンダブロック ３…シリンダヘッド ４…吸気側シリンダヘッド冷却水ジャケット（第１の冷
却水ジャケット） ５…排気側シリンダヘッド冷却水ジャケット ６…排気側シリンダブロック冷却水ジャケット ７…排気側シリンダブロック冷却水ジャケット（第２の
冷却水ジャケット） ８…冷却水通路 ９…ウォータポンプ １０…ラジエータ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のシリンダを密に並設してサイアミ
   ーズ型のシリンダブロックが形成されたエンジンのシリ
   ンダヘッド内の冷却水ジャケットが吸気側と排気側とに
   分割され，冷却水がラジエータ，吸気側シリンダヘッ
   ド，ウォータポンプ，シリンダブロック，排気側シリン
   ダヘッドの順に通水される吸気側先行冷却方式のシリン
   ダ冷却構造において， 隣合うシリンダ間を仕切るシリンダブロックに，シリン
   ダブロック内の第１の冷却水ジャケットと吸気側シリン
   ダヘッドの第２の冷却水ジャケットとを連通させる冷却
   水通路を形成したことを特徴とするシリンダの冷却構
   造。