JPH0748100A - フォークリフトのクランプ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数並べられた荷物を同時にクランプするこ
とが可能なフォークリフトのクランプ装置において、ク
ランプすべき荷物の側面形状に対するクランプパッドの
追従性を高める。 【構成】 左右のクランプアーム４のクランプ面側にそ
れぞれ複数個のクランプパッド６が前後方向に並設され
た構成のクランプ装置において、クランプアーム４のア
ーム部４ｂに、先端部にボール１０を備えたパッド支持
用の支持ピン８を軸方向に移動可能に取付け、この支持
ピン８のボール１０に対してクランプパッド６の裏面に
設けたソケット１２を嵌合する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、フォークリフトのクラ
ンプ装置に係り、詳しくはベールクランプと呼称され、
かつクランプアームのクランプ面側に複数個のクランプ
パッドが前後方向に並設された形式のクランプ装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来一般のクランプ装置は、クランプベ
ースの前面にレールホルダを介して左右方向に移動可能
に取付けられた左右一対のクランプアームをクランプシ
リンダにより相互に接近又は離隔方向に移動させて箱物
等の荷物をクランプするようになっている。ところが、
このようなタイプのクランプ装置では、前後方向に並ん
だ複数の荷物を同時にクランプしようとした場合、各々
の荷物に対して均一なクランプ力が作用しないと、荷物
のクランプが不安定なものとなり、荷物が運搬中に脱落
する虞があるため、実質的には複数の荷物を同時にクラ
ンプすることが困難又は不可能であった。

【０００３】そのため、上記のような不具合を解決する
ものとして、クランプアームに複数個のクランプパッド
を前後方向に並設したクランプ装置が創作されている。
このようなクランプ装置としては、例えば実開昭４７−
３４７１号公報が挙げることができる。上記公報のもの
は、クランプアームのクランプ面側にクランプパッドを
ピンを介してクランプ方向である左右方向に移動可能に
取付けるとともに、クランプパッドをスプリングにより
常にクランプ側に向かって付勢する構成としたものであ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した公
報記載のクランプ装置の場合、クランプパッドに付加さ
れた自由度がクランプ方向のみに限られており、そのた
め、クランプすべき荷物の側面形状に対する追従性に欠
けるという点に問題があった。

【０００５】そこで本発明は、上述の問題に鑑み、複数
並べられた荷物を同時にクランプすることが可能なフォ
ークリフトのクランプ装置において、クランプすべき荷
物の側面形状に対するクランプパッドの追従性を高める
ことを、解決すべき技術的課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次のように構成したものである。すなわ
ち、請求項１の発明は、クランプベースの前面に装着さ
れた左右一対のクランプアームのクランプ面側にそれぞ
れ複数個のクランプパッドが並設された構成のクランプ
装置において、前記クランプパッドが前記クランプアー
ムに対して支持ピンを介してクランプ方向に移動可能に
取付けられ、かつスプリングによりクランプ側に向かっ
て付勢されており、しかも前記クランプパッドは前記支
持ピンに対してはボールとこれに摺動可能に外嵌したソ
ケットからなる球面支持構造により支持される構成とし
たことを特徴としている。請求項２の発明は、請求項１
記載のフォークリフトのクランプ装置において、前記複
数個のクランプパッドが、それぞれ１本の前記支持ピン
によりその裏面の略中央部を支持される構成としたこと
を特徴としている。請求項３の発明は、請求項１記載の
フォークリフトのクランプ装置において、前記複数個の
クランプパッドが、それぞれ４本の前記支持ピンにより
その裏面四隅を支持され、しかも前記スプリングが各支
持ピン毎に配置される構成としたことを特徴としてい
る。

【０００７】

【作用】上述のように構成された請求項１の発明に係る
クランプ装置においては、クランプアームに並設された
複数個のクランプパッドは、クランプ方向に支持ピンを
介して自由に移動することで、大きさに多少のばらつき
のある複数の荷物に対して個々に対応し、支持ピンのス
トロークの範囲内でスプリングを介して付加されるクラ
ンプ力により荷物をクランプすることができる。この場
合において、ボールとそれに嵌合するソケットとにより
球面支持された各クランプパッドは、そのクランプ面を
荷物の側面形状に対応するように追従変位する。すなわ
ち、荷物の側面がクランプアームに対して平行でないよ
うな場合でも、クランプパッドは荷物の側面に対して適
応することができる。

【０００８】また、請求項２の発明に係るクランプ装置
においては、複数個の各クランプパッドは荷物のクラン
プ時には、その裏面の略中央部を支持する１本の支持ピ
ンを介してクランプ方向に移動するとともに、ボールと
ソケットとの球面を介しての相対変位により、そのクラ
ンプ面を荷物のクランプすべき側面形状に対応するよう
に追従する。

【０００９】さらにまた、請求項３の発明に係るクラン
プ装置においては、複数個の各クランプパッドは荷物の
クランプ時には、その裏面の四隅を支持する４本の支持
ピン個々の軸方向の移動と、各支持ピン毎での球面支持
により許容される相対変位との複合動作により、そのク
ランプ面を荷物のクランプすべき側面形状に対応するよ
うに追従する。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体
的に説明する。まず、図１〜図３に示す実施例１につい
て説明する。図３は本実施例に係るクランプ装置の全体
斜視図であり、図示省略のフォークリフトのマストに沿
って昇降するリフトブラケット１の前面にはクランプベ
ース２が縦向きに取付けられ、該クランプベース２の前
面の上下部には、断面溝形のレールホルダ３がそれぞれ
上下に２本ずつ水平状に固着されている。

【００１１】レールホルダ３には左右一対のクランプア
ーム４が左右方向に移動可能に取付けられ、それら両ク
ランプアーム４はクランプシリンダ５により互いに接離
方向に移動されることで開閉されるようになっている。
クランプアーム４はレールホルダ３に図示省略のガイド
ローラ及びサイドローラを介して移動されるレール部４
ａと、該レール部４ａの外端部に固着又は一体形成され
るとともに、前方に延出されたアーム部４ｂとからな
る。

【００１２】しかして、アーム部４ｂのクランプ面であ
る内面側には、複数個（本実施例では３個の場合を示
す）のクランプパッド６が前後方向に並設されている。
各クランプパッド６は前後方向にやや長い略方形状に形
成され、それらは図１及び図２に示すように、クランプ
アーム４のアーム部４ｂに設けた取付板７に各１本の支
持ピン８を介して取付けられている。

【００１３】以下、クランプパッド６の取付構造を図１
及び図２に基づいて詳細に説明する。クランプアーム４
のアーム部４ｂは、内面側を開放した断面略溝形に形成
されるとともに、その溝開放側を塞ぐような形で取付板
７が固着され、該取付板７にはクランプ方向を軸心方向
とする取付孔７ａが各クランプパッド６に対応して貫設
されている。支持ピン８は、基端部にはピン径よりも大
きい抜止用としての略半球状のフランジ９を、先端部に
はピン径よりも大きいパッド支持用としての略球形状の
ボール１０をそれぞれ備えている。そして、支持ピン８
は前記各取付孔７ａにクランプ側に向かって挿通される
とともに、フランジ９が取付板７の裏面に固着されたフ
ランジ受け１１の半凹球面１１ａに係合することでクラ
ンプ側への抜け出しが阻止されている。

【００１４】しかして、各クランプパッド６の裏面略中
央部には凹球面１２ａを備えたソケット１２が固着され
ており、このソケット１２が前記支持ピン８のボール１
０に摺動可能に外嵌されている。なお、本実施例では、
クランプパッド６自体が凹球面１２ａの半分を担当する
構成となっており、このことによりアーム部４ｂからの
クランプパッド６の突出量が可及的に短縮されている。

【００１５】また、ソケット１２と取付板７との間には
クランプパッド６をクランプ方向に付勢するスプリング
１３が介在されている。従って、クランプパッド６は常
には支持ピン８のフランジ９がフランジ受け１１に当接
した位置に保持され、荷物Ｗのクランプ時にはスプリン
グ１３に抗して支持ピン８と共に後退可能とされ、その
最大後退量はソケット端面が取付板 の表面側に固着さ
れたリング状のストッパ１４に当接することで規制され
るようになっている。かくして、クランプパッド６は支
持ピン８を介してクランプ方向に移動可能に支持される
とともに、ボール１０とソケット１２からなる球面支持
構造により全方向に変位可能とされている。

【００１６】本実施例のクランプ装置は、上述のように
構成したものであり、従って図１に示すように、前後方
向に並べられた複数の荷物Ｗをクランプすべく、クラン
プシリンダ５の作動により左右のクランプアーム４を接
近させると、前後方向に並設された各クランプパッド６
は、それぞれが当該荷物Ｗの側面に当接し、スプリング
１３に抗してクランプアーム４のアーム４ｂ側に押され
る。すなわち、スプリング１３の反力がクランプ力とし
て作用し、荷物Ｗをクランプするが、このとき左右の対
向し合うクランプパッド６単位で荷物Ｗをクランプする
ため、荷物Ｗの大きさに多少のバラツキがあってもこれ
を一定のクランプ力でクランプすることができる。

【００１７】また、上記クランプ時において、ボール１
０とソケット１２とによる球面支持構造を介して支持さ
れた各クランプパッド６は、荷物Ｗの側面形状に対して
全方向に追随することができるため、たとえ荷物Ｗの側
面がクランプアーム４のアーム部４ｂに対して平行でな
い場合であっても、図２に仮想線で示す如く荷物Ｗの側
面に対応して変位し、安定したクランプ状態を得ること
ができる。また、この実施例では、１本の支持ピン８に
よる支持構造であるため、部品点数の少ない簡素な支持
構造が得られ、コスト的に有利である。

【００１８】次に、本発明の実施例２を図４及び図５に
基づいて説明する。この実施例においては、クランプア
ーム４のアーム部４ｂに対して、クランプパッド６を４
本の支持ピン８を介して取付けるようにしたものであっ
て、４本の支持ピン８は、クランプパッド６の四隅に対
応するよう配置されている。そして、各支持ピン８のク
ランプアーム４のアーム部４ｂに対する取付構造及び各
支持ピン８に対するクランプパッド６の取付構造は、共
に実施例１と全く同様に構成されている。

【００１９】すなわち、支持ピン８は取付板７の取付孔
７ａに軸方向移動可能に挿通された状態で基端部の略半
球状のフランジ９が取付板裏面のフランジ受け１１の略
半凹球面１１ａに係合することで抜け止めされ、先端の
略球形状のボール１０にクランプパッド６の裏面に固着
されたソケット１２が凹球面１２ａを介して嵌合された
構造となっている。また、各支持ピン８毎にクランプパ
ッド６をクランプ側に向かって付勢するスプリング１３
が配置されるとともに、クランプパッド６の最大後退量
はストッパ１４により規制されている。

【００２０】従って、上記の如く構成された実施例２の
クランプ装置によるときは、図４に仮想線で示すよう
に、４本の各支持ピン８の軸方向の移動と、ボール１０
に対するソケット１２の相対変位との復動動作により、
クランプパッド６は全方向に変位することができる。す
なわち、実施例１の場合と同様に、荷物Ｗの大きさのば
らつきの有無及び側面形状の如何を問わず、荷物Ｗを一
定のクランプ力で安定にクランプすることができる。ま
た、この実施例では、クランプパッド６の四隅に配置さ
れた各支持ピン８毎にスプリング１３を配置しているた
め、クランプパッド６を荷物Ｗに向けて押圧するクラン
プ力が中央一箇所に集中する実施例１の場合よりも安定
したクランプ力を付することができる。

【００２１】なお、本発明は上記した実施例に限定され
るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、たとえ
ば下記の如く変更が可能である。 （１）実施例１及び２ではボール１０を支持ピン８に設
け、ソケット１２をクランプパッド６に設けたが、これ
を逆に設定してもよい。つまり、支持ピン８にソケット
１２を、クランプパッド６にボール１０を設けてもよ
い。 （２）実施例１ではスプリング１３を１本の場合で説明
したが、これを複数本、たとえば２〜４本としてもよ
く、その場合には、前後左右において力的にバランスす
るように配置される。 （３）実施例１及び２のスプリング１３を、図示のコイ
ルスプリングから板バネに変更してもよい。 （４）支持ピン８を２本又は３本に変更してもよい。 （５）実施例１及び２ではクランプパッド６を前後方向
に並設したが、上下方向に並設してもよい。

【００２２】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
クランプパッドに対してクランプ方向のみならず、全方
向に自由に変位できるため、クランプすべき荷物の側面
形状に対する追従性に優れ、安定したクランプ状態を得
ることができる。従って、不自然な姿勢でのクランプに
よる荷物の損傷や運搬中の荷物の脱落事故等を未然に防
止することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１に係るクランプ装置の平面図
である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】クランプ装置の全体を示す斜視図である。

【図４】本発明の実施例２に係るクランプパッド支持構
造の断面図である。

【図５】図４のＢ矢視図である。

【符号の説明】

１…リフトブラケット ２…クランプベース ４…クランプアーム ５…クランプシリンダ ６…クランプパッド ７…取付板 ８…支持ピン １０…ボール １２…ソケット １３…スプリング

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランプベースの前面に装着された左右
   一対のクランプアームのクランプ面側にそれぞれ複数個
   のクランプパッドが並設された構成のクランプ装置にお
   いて、 前記クランプパッドが前記クランプアームに対して支持
   ピンを介してクランプ方向に移動可能に取付けられ、か
   つスプリングによりクランプ側に向かって付勢されてお
   り、しかも前記クランプパッドは前記支持ピンに対して
   はボールとこれに摺動可能に外嵌したソケットからなる
   球面支持構造により支持される構成としたフォークリフ
   トのクランプ装置。
2. 【請求項２】 前記複数個のクランプパッドが、それぞ
   れ１本の前記支持ピンによりその裏面の略中央部を支持
   される構成とした請求項１記載のフォークリフトのクラ
   ンプ装置。
3. 【請求項３】 前記複数個のクランプパッドが、それぞ
   れ４本の前記支持ピンによりその裏面四隅を支持され、
   しかも前記スプリングが各支持ピン毎に配置される構成
   とした請求項１記載のフォークリフトのクランプ装置。