JPH0747151A - アイオノマー及びそれを用いたゴルフボール材料 - Google Patents

アイオノマー及びそれを用いたゴルフボール材料

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JPH0747151A
JPH0747151A JP5194888A JP19488893A JPH0747151A JP H0747151 A JPH0747151 A JP H0747151A JP 5194888 A JP5194888 A JP 5194888A JP 19488893 A JP19488893 A JP 19488893A JP H0747151 A JPH0747151 A JP H0747151A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸湿性が著しく改善され、しかも優れた反発
弾性を保持しながら、柔軟性が著しく改善されているア
イオノマー並びにそれを用いたゴルフボール材料を提供
する。 【構成】 カリウムと、2価金属(M)とをイオン源と
し、それらの原子比がK/M=1/5〜8/1の範囲に
あり、全体としての酸単位含有量が3乃至14モル%
で、中和度が20乃至90%であるエチレン・不飽和カ
ルボン酸共重合体のアイオノマー及び該アイオノマーを
配合して成るゴルフボール材料。 【効果】 傷付きにくく打撃に対する耐久性に優れてお
り、良好な反発弾性を有する上に、柔軟で打撃感が向上
し、さらに吸湿性も低減されており、ゴルフボール表皮
材として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸湿性が少なく、柔軟
性と反発弾性との組み合わせに優れており、ゴルフボー
ル材料として特に有用な新規複合アイオノマーに関す
る。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】従来のツーピースゴルフ
ボールや一部の糸巻きゴルフボールの表皮材には、耐カ
ット性、耐衝撃性、反発弾性に優れたアイオノマー樹脂
が多用されている。金属イオンとして複数の金属イオン
を用いたアイオノマーも知られている。例えば、反発弾
性に優れたナトリウムアイオノマーと、耐衝撃性及び耐
カット性に優れた亜鉛アイオノマーを適当な割合で混合
することにより、ナトリウムアイオノマーそのものより
も反発弾性が向上することが知られており、この様なア
イオノマー樹脂の混合物を表皮材として用いたゴルフボ
ールが提案されている(米国特許第3819768号明
細書)。
【0003】また、特開平2−297383号公報に
は、さらに反発弾性に優れたゴルフボール用表皮材とし
て、ナトリウムアイオノマーよりも反発弾性に優れたリ
チウムイオンのアイオノマーを主成分とし、これに二価
または三価の金属イオンのアイオノマーを配合した組成
物が提案されている。
【0004】さらに、特開平3−207382号公報に
は、高反発弾性でかつ低温耐久性に優れたゴルフボール
用表皮材として、エチレン−アクリル酸共重合体をベー
スとした曲げ剛性率が3000kg/cm2 (294M
Pa)以上のアルカリ金属イオン中和アイオノマーと、
曲げ剛性率1500kg/cm2 (147MPa)以上
の二価金属中和アイオノマーの混合物が提案されてお
り、アルカリ金属イオン中和アイオノマーの曲げ剛性率
が3000kg/cm2 未満では反発弾性が不足するの
で適さないとされている。
【0005】さらにまた、特開平4−96771号公報
には、不飽和カルボン酸含有量が16〜30重量%と高
いエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を一価または二
価の金属イオンで中和したアイオノマー樹脂を表皮材中
20重量%以上配合した反発弾性に優れたゴルフボール
が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、アイオノマー
樹脂では、その剛性と反発弾性とがパラレルな関係にあ
り、ゴルフボールとしての反発弾性を高くしようとする
と、剛性も高くせざるを得ないという傾向がある。一方
逆に、ゴルフボールの打撃感は、表皮材の柔軟性と密接
な関係にあり、表皮材の柔軟性があるほど、打撃感もよ
く、ボールのコントロール性も良好であるという傾向が
ある。
【0007】上記従来技術にみられる手段は、反発弾性
を向上させるには有効な手法と認められるが、同時に表
皮材の剛性が高くなるため、この様な表皮材を用いたゴ
ルフボールは、飛距離を伸ばしたいというユーザーの要
求は満たすものの、打撃時の感触が悪くなり、ボールの
コントロール性も低下しやすいという欠点もある。
【0008】ゴルフボール等に使用するアイオノマーで
は、柔軟性と反発弾性とのバランスの問題に加えて、ア
イオノマーが吸湿しやすいという問題がある。
【0009】エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の
アイオノマーは、疎水性のエチレン連鎖に親水性のカル
ボキシル基が側鎖として結合しており、更にカルボキシ
ル基の一部もしくは全部が金属イオンによって中和され
た構造を持つ。このため、プラスチック類の中では、一
般にナイロンとポリエチレンの中間程度の吸湿性を持つ
が、アイオノマーの中でもアルカリ金属中和アイオノマ
ーでは、その吸湿性が、マグネシウムなどのアルカリ土
類金属や亜鉛などの遷移金属中和アイオノマーなどに比
較してはるかに大きい。また、酸含量が高い程、あるい
は中和度が高い程、アイオノマーの吸湿性は高くなる。
【0010】このため、酸含量が高くかつ中和度の高い
アルカリ金属中和アイオノマーのペレットを高温高湿雰
囲気中に放置すると、直ちに吸湿する。吸湿したアイオ
ノマー樹脂を高温で加工すると、水分が樹脂から脱着さ
れて気化するので、溶融樹脂中で気泡となる。こうした
気泡は、成形物にピンホールやクラックを生ずるために
品質の満足した製品が得られない。
【0011】また、いったん吸湿したアイオノマー樹脂
は再乾燥しないと使用できないことが多いが、この乾燥
はペレットの融着温度(35〜60℃)以下で行う必要
があり、除湿空気を用いて2〜3日間の乾燥を必要とす
る。
【0012】アルカリ金属中和アイオノマーの内でも、
カリウムアイオノマーは、吸湿性が著しく高いことが知
られており(特開昭60−240704号公報、特開平
3−106954号公報)、このカリウムアイオノマー
が、ゴルフボールの表皮材として未だ実用に供されてい
ないのは、著しく高い吸湿性によるものと推察される。
【0013】本発明者は、カリウムと、亜鉛及びマグネ
シウムのごとき2価金属(M)とをイオン源とし、その
原子比がK/M=1/5〜8/1の範囲にあるアイオノ
マーは、カリウムアイオノマーに比して吸湿性が著しく
改善されており、しかも優れた反発弾性を保持しなが
ら、柔軟性が著しく改善されていることを見いだした。
【0014】即ち、本発明の目的は、カリウムと、亜鉛
やマグネシウム等の2価金属(M)とをイオン源とし、
吸湿性が著しく改善されており、しかも優れた反発弾性
を保持しながら、柔軟性が著しく改善されているアイオ
ノマー並びにそれを用いたゴルフボール材料を提供する
にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、カリウ
ムと2価金属(M)、特に亜鉛、マグネシウム等をイオ
ン源とし、その原子比がK/M=1/5〜8/1の範囲
にあり、全体としての酸単位含有量が3乃至14モル%
で、中和度が20乃至90%であるエチレン・不飽和カ
ルボン酸共重合体のアイオノマーが提供される。
【0016】本発明によれば、上記アイオノマーから成
るゴルフボール材料が提供される。
【0017】
【作用】本発明のアイオノマーは、カリウムと、2価金
属(M)、特に亜鉛、マグネシウム等とをイオン源と
し、しかもその原子比がK/M=1/5〜8/1、好ま
しくは1/2〜5/1、より好ましくは1/1〜5/1
の範囲にあることが顕著な特徴である。このアイオノマ
ーにおいて、カリウムアイオノマーと亜鉛アイオノマー
との特定割合からなるものは単なる混合物とは異なる新
規物質であると思われる。
【0018】添付図面の図1を参照されたい。カリウム
中和アイオノマーは、カルボキシレート基の非対称伸縮
振動に帰属される波数1545cm-1の赤外吸収ピーク
を示し、一方亜鉛中和アイオノマーは、波数1585c
-1の赤外吸収ピークを示すが、本発明に用いる特定組
成比のカリウム・亜鉛アイオノマーは、これらの吸収ピ
ークとは全く異なる波数1615cm-1近傍に新しい赤
外吸収スペクトルを有しており、カリウム塩と亜鉛塩と
の複塩を形成しているものと思われる。
【0019】本発明では、複塩の形成に伴いイオン凝集
体のイオン基の性質が変わるために吸湿性も変化し、カ
リウムアイオノマーの著しく高い吸湿性が改善される。
【0020】添付図面の図2を参照されたい。この図に
は、亜鉛アイオノマーまたはマグネシウムアイオノマー
に、カリウムアイオノマーを種々の配合比で配合したと
きの配合比と、吸湿量との関係がプロットされている。
これらのプロットから、本発明のアイオノマーでは、カ
リウムアイオノマーと、亜鉛アイオノマーまたはマグネ
シウムアイオノマーとの量比から算出される算術平均値
よりもかなり低い吸湿量を示すという事実が明かとな
る。
【0021】本発明では、複塩アイオノマー中に、カリ
ウムアイオノマーを組み込むことも極めて重要である。
添付図面の図3は、種々のアルカリ金属イオン中和アイ
オノマーについて、曲げ剛性率と、反発弾性との関係を
プロットしたものである。このグラフによると、ナトリ
ウムアイオノマーやリチウムアイオノマーでは、曲げ剛
性の高い側で、曲げ剛性と反発弾性とが傾斜の緩やかな
比例関係にあるのに対して、カリウムアイオノマーで
は、曲げ剛性の低い側で、曲げ剛性と反発弾性とが傾斜
の急な比例関係にあり、反発弾性を高い水準に維持しな
がら、曲げ剛性を低い値に維持でき、打球感やボールの
コントロール性を向上させ得ることが理解される。
【0022】本発明において、カリウム(K)と、2価
金属(M)、例えば亜鉛、マグネシウム等との原子比が
K/M=1/5〜8/1、特に1/2〜5/1、とりわ
け1/1〜5/1の範囲にあることも重要であり、カリ
ウムの原子比が上記範囲よりも多いと、吸湿性が大きく
なり、好ましくない。一方、カリウムの原子比が上記範
囲よりも少ないと、反発弾性が不足するので好ましくな
い。
【0023】また、全体としての酸単位含有量が3乃至
14モル%、特に4乃至7.5モル%で、中和度が20
乃至90%、特に30乃至80%の範囲にあるのがよ
く、全体としての酸単位含有量が上記範囲を越える場合
或いは中和度が上記範囲を越える場合には、吸湿性や成
形性の点で好ましくなく、一方全体としての酸単位含有
量が上記範囲を下回る場合或いは中和度が上記範囲を下
回る場合には、アイオノマーが本来有する耐傷性や高い
反発弾性が失われるので好ましくない。
【0024】
【発明の好適態様】本発明に用いるエチレン・不飽和カ
ルボン酸共重合体としては、エチレンと不飽和カルボン
酸との二元共重合体、或いはエチレン、(メタ)アクリ
ル酸エステル及び不飽和カルボン酸の三元共重合体が使
用される。
【0025】不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、
メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸ハーフエステ
ル、フマール酸ハーフエステル等の炭素数3乃至8のエ
チレン系不飽和カルボン酸が挙げられるが、アクリル
酸、メタクリル酸が好適である。
【0026】この共重合体には、(メタ)アクリル酸エ
ステルが共重合成分として含有されていてもよく、この
共重合成分として、例えば(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソブ
チル、(メタ)アクリル酸t−ブチルのようなアクリル
酸エステルやメタクリル酸エステル等が挙げられる。こ
の共重合体には、スチレンあるいは酢酸ビニルなどの他
の単量体が共重合されていてもよい。
【0027】このような共重合体は、一般にはエチレン
が82〜97モル%、とくに90〜97%、(メタ)ア
クリル酸等の酸成分が3〜14モル%、とくに3〜10
モル%、その他の不飽和単量体成分が0〜10モル%、
とくに0〜8モル%の割合で共重合されているものが好
ましい。かかる共重合体は高温、高圧下、各重合成分を
ランダム共重合することによって得ることができる。
【0028】アイオノマー化の方法は、すでに知られて
いるように、前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体
を、金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、酢酸
塩、アルコキシド等によって、溶融状態または水等の媒
体に溶解または懸濁した状態で、部分的または完全に中
和する方法等がある。
【0029】二価の金属イオンとしては、ベリリウム、
マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム
などのアルカリ土類金属のイオン、また亜鉛、銅などの
金属のイオンが上げられるが、亜鉛あるいはマグネシウ
ムのイオンが好ましい。
【0030】本発明においては、上記アイオノマーとし
て、中和度が10〜90モル%、とくに20〜80モル
%程度のものを使用するのが好ましく、また190℃,
2160g荷重におけるメルトフローレートが0.01
〜500g/10分、とくに0.1〜100g/10
分、最も好適には、0.5乃至15g/10分程度のも
のを使用するのが好ましい。
【0031】メルトフローレートが上記範囲より小さい
と流動性が低く、成形加工性が悪化し、耐衝撃性の悪化
等の欠点を有する。また上記範囲より大きいと反発弾性
及び耐衝撃性の悪化等の欠点を有する。
【0032】本発明のアイオノマーは、カリウムと亜
鉛、マグネシウム等の2価金属(M)とを前述した原子
比で含むものであり、その製法は特に限定されない。一
般には、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカリウ
ム中和アイオノマーと、エチレン・不飽和カルボン酸共
重合体の二価金属中和アイオノマーとを、前記原子比を
与える所定割合で、溶融混合させることによって得るこ
とができる。
【0033】溶融混合の条件は、複塩形成可能な配合に
あっては得られる組成物のカルボキシレート基の非対称
伸縮振動に帰属される赤外吸収ピークが、カリウム中和
アイオノマー(1545cm-1近傍)や二価金属中和ア
イオノマー(亜鉛の場合1585cm-1近傍)と異なる
1615cm-1近傍に有するものとして得られるなら、
如何なる条件でもよい。例えばカリウム中和アイオノマ
ーと二価金属中和アイオノマーを、単軸あるいは2軸の
押出機で100〜250℃の温度下で溶融混練する方法
が最も簡便な方法である。
【0034】本発明のアイオノマー組成物を得る他の方
法は、イオン源となる前述のカリウム化合物と二価金属
化合物をあらかじめ所定量混合したのち、エチレン・不
飽和カルボン酸共重合体と反応することによっても得る
ことができる。この際、イオン化反応の原料は、単軸あ
るいは2軸押出機などで180〜280℃の温度下に溶
融混練するのが良い。また副生する水、炭酸ガス等を除
くためにベント式押出機を用いるのが好ましい。この方
法の違いは本質的ではない。というのは、本発明では、
混練過程で共重合体と二種の金属イオンとの間でイオン
交換が生じ、均質化による複塩の生成が生じればよいか
らである。従って、以下にはブレンド法について、専ら
説明するがこの例に限定されない。
【0035】本発明の好適な態様では、カリウムイオン
中和アイオノマー樹脂(A)として、不飽和カルボン酸
含有量が10〜25重量%、好ましくは13〜20重量
%のエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシ
ル基をカリウムイオンで20〜80モル%、好ましくは
25〜70モル%中和した、曲げ剛性率が280MPa
以下、好ましくは200〜280MPaのアイオノマー
樹脂を使用するのがよい。
【0036】不飽和カルボン酸含有量が10重量%より
少ないと、反発弾性の大きい組成物が得られず、また不
飽和カルボン酸含有量が25重量%より多いと、硬度及
び剛性が高くなると共に吸湿性が著しく高くなるために
好ましくない。
【0037】カリウムイオンによる中和度が20モル%
より少ないと反発弾性が不足し、また80モル%より多
いと吸湿性が著しく高くなると共に流動性が極度に低下
して成形加工性が悪くなるために好ましくない。
【0038】曲げ剛性率が280MPaより大きくなる
とボールの打球感が悪くなるので好ましくない。
【0039】カリウムアイオノマー(A)としては、1
90℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが
0.1〜30g/10分、特に0.5〜15g/10分
のものが好ましい。
【0040】本発明の好適態様では、二価金属イオン中
和アイオノマー樹脂(B)として、不飽和カルボン酸含
有量が8〜30重量%、好ましくは13〜25重量%の
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基
を二価の金属イオン、好ましくは亜鉛イオンあるいはマ
グネシウムイオンで20モル%以上、好ましくは25モ
ル%以上中和したアイオノマー樹脂を使用するのがよ
い。
【0041】不飽和カルボン酸含有量が8重量%より少
ないと反発弾性が不足し、また不飽和カルボン酸含有量
が30重量%より多いと、硬度及び剛性が高くなると共
に打撃に対する耐久性が低下するために好ましくない。
【0042】二価の金属イオンによる中和度が20モル
%より少ないと、反発弾性が低く、かつ耐久性が不足す
るためには好ましくない。
【0043】二価金属イオンで中和したアイオノマー
(B)としては、190℃、2160g荷重におけるメ
ルトフローレートが0.1〜30g/10分、特に0.
5〜15g/10分のものが好ましい。
【0044】上記カリウムアイオノマー(A)と上記二
価金属イオン中和アイオノマー(B)の配合割合は、前
述した原子比を与えるものであるが、一般にカリウムア
イオノマー(A)を20〜80重量%、特に好ましくは
25〜75重量%、及び二価金属イオン中和アイオノマ
ー(B)を80〜20重量%、特に好ましくは75〜2
5重量%用いるのが望ましい。
【0045】本発明のアイオノマーには、本発明の目的
を損なわない範囲で少量の他の重合体を配合してもよ
い。またゴルフボール表皮材に通常配合されているよう
な種々の添加剤を配合してもよいことは勿論である。こ
のような添加剤として各種着色剤、無機充填剤、酸化防
止剤、耐候安定剤などを例示することができる。例えば
酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸亜鉛などの
顔料や各種染料、色素などが代表的な添加剤である。
【0046】本発明のアイオノマーによる表皮は、公知
のソリッドゴルフボール用コア及び糸巻きゴルフボール
用コアのいずれの被覆にも使用することができる。上記
ソリッドコアとは、ゴムを主体とするゴム組成物を加硫
して一体成形したものであり、糸巻きコアとは、芯体上
に糸ゴムを巻き付けたものである。
【0047】コアに表皮材を被覆する方法は特に限定さ
れるものではなく、通常の方法で行われる。例えば、本
発明によるアイオノマー樹脂組成物、あるいはそれに必
要に応じて他の成分を配合した表皮材用組成物を、あら
かじめハーフシェルと呼ばれる半球殻状に成形し、それ
を二枚用いてコアを包み、130〜170℃で1〜5分
間加圧成形するか、あるいは表皮材用組成物を射出成形
してコアを包み込む方法が採用される。表皮の厚さは通
常1.0〜3.0mm程度である。そして表皮の成形時
に、必要に応じてボール表面にディンプルの形成が行わ
れ、また得られたボールは必要に応じてペイント仕上げ
される。
【0048】
【実施例】次に例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明
する。なお本発明の組成物を調製するために使用したア
イオノマー樹脂は表1の通りである。
【0049】
【表1】
【0050】また組成物及び原料の物性を測定した試験
方法は以下の通りである。 (1)メルトフローレート(MFR): JIS−K6760準拠 温度190℃、荷重2180g (2)曲げ剛性率: JIS−K7106準拠 180℃で熱プレス成形した3mm厚みのシートを打ち
抜いて測定試片とし、これについて試験を行った。 (3)硬度(ショアD硬度): JIS−K7215準拠 180℃で熱プレス成形した3mm厚みのシートを打ち
抜いて測定試片とし、これを重ねて試験を行った。 (4)反発弾性 JIS−K6301準拠 180℃で熱プレス成形した厚み12.7mm、直径2
9.0mmの直円柱形試片を用いて試験を行った。 (5)吸湿性:180℃で熱プレス成形した1mm厚み
シートを20mm幅×100mm長さに打ち抜いて試験
片とし、これを20℃水中に24時間浸漬後、試片中の
水分(表面付着水を除く)を測定して吸湿性とした。
【0051】実施例〜、比較例 表2に示す配合の組成物を、40mmφ単軸押出機(ナ
カタニ機械(株)製)を用いて樹脂温度185〜190
℃、スクリュー回転数40rpmでメルトブレンドし、
得られた組成物の物性を評価した。その結果を表2に示
した。
【0052】比較例〜 比較例〜のアイオノマー樹脂単体の場合、そのまま
物性を評価してその結果を表2に示した。
【0053】アイオノマーのイオン種として同じアルカ
リ金属に属するカリウムとナトリウムを比較すると、比
較例に示したカリウムアイオノマーは、比較例に示
したナトリウムアイオノマーと比べて、同一の反発弾性
を有しながら、硬度及び剛性が低くなっている。このた
めカリウムアイオノマーをゴルフボールの表皮として使
用した場合、ホールの反発弾性、すなわち飛距離を維持
しつつ打球感が向上することが期待される。
【0054】しかしながら比較例のカリウムアイオノ
マーは、吸湿性が他のイオン種のアイオノマー(比較例
,)と比較して著しく高く、ボールの表皮を成形加
工する際に樹脂中の水分の影響で発泡現象を起こし易く
なるため、樹脂の吸湿を防止するために他のイオン種の
アイオノマー以上に取扱いに配慮する必要がある。
【0055】カリウムアイオノマーにニ価金属イオンで
ある亜鉛イオンで中和したアイオノマーを50/50重
量%の割合で配合した実施例の組成物の場合、カリウ
ムアイオノマー単体に比較して吸湿性が著しく低減され
ている。本発明による組成物の吸湿性を図2に示した。
【0056】さらに実施例の組成物の物性を、ボール
表皮材として一般的である比較例の組成物と比較する
と、反発弾性は全く同一でありながら硬度及び剛性が低
下しており、実施例の組成物を表皮材に用いることに
より、ボールの飛距離を維持しつつ打球感が向上すると
考えられる。
【0057】実施例とはカリウムアイオノマーと亜鉛
アイオノマーとの配合割合を変えた実施例及びの組
成物の場合、カリウムアイオノマーの配合割合が増える
と吸湿性がやや高くなるが、両アイオノマーの配合割合
から予想される吸湿量に比べると実際の吸湿性が大きく
低減している。さらに実施例及びの組成物は、良好
な反発弾性を有しながら、比較例に比べて剛性が低下
している。
【0058】実施例〜及び比較例 表3に示す実施例〜の組成物は、実施例〜と同
一条件にてメルトブレンドを行って物性を評価した。ま
た比較例の樹脂単体の場合はそのまま物性を評価し
た。これらの結果を表3に示した。
【0059】実施例〜の組成物の反発弾性は、比較
例の反発弾性とほぼ同一でありながら、曲げ剛性が低
下している。また吸湿性についても、構成成分であるア
イオノマー単体の吸湿性とその配合割合から推定される
値よりも低減している。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【発明の効果】本発明のアイオノマーは、実施例や図面
で示すようにカリウム中和アイオノマーや亜鉛中和アイ
オノマーのカルボキシレート基の非対称伸縮振動に帰属
される赤外吸収ピークとは異なる吸収スペクトルを有し
ている。この分子構造と、前述した物性改善の事実とか
ら、本発明のアイオノマーは複塩を形成しているものと
信じられる。
【0063】本発明によれば、傷付きにくく打撃に対す
る耐久性に優れており、良好な反発弾性を有する上に、
柔軟で打撃感が向上し、さらに吸湿性も低減されてお
り、ゴルフボール表皮材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】エチレンアイオノマーのカリウムイオンと亜鉛
イオンの配合比と、赤外スペクトルにおけるカルボキシ
レート基の非対称伸縮振動吸収の変化を示した図であ
る。
【図2】亜鉛アイオノマーまたはマグネシウムアイオノ
マーに、カリウムアイオノマーを種々の配合比で配合し
たときの配合比と、吸湿量との関係をプロットしたグラ
フである。
【図3】種々のアルカリ金属イオン中和アイオノマーに
ついて、曲げ剛性率と、反発弾性との関係をプロットし
たグラフである。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カリウムと、2価金属(M)とをイオン
    源とし、それらの原子比がK/M=1/5〜8/1の範
    囲にあり、全体としての酸単位含有量が3乃至14モル
    %で、中和度が20乃至90%であるエチレン・不飽和
    カルボン酸共重合体のアイオノマー。
  2. 【請求項2】 前記2価金属(M)が亜鉛及びマグネシ
    ウムから成る群より選択された2価金属である請求項1
    記載のアイオノマー。
  3. 【請求項3】 該アイオノマーが、1615cm-1近傍
    の赤外吸収ピークを有する請求項1または2記載のアイ
    オノマー。
  4. 【請求項4】 エチレン・不飽和カルボン酸共重合体
    が、エチレンと不飽和カルボン酸との二元共重合体、或
    いはエチレン、(メタ)アクリル酸エステル及び不飽和
    カルボン酸の三元共重合体である請求項1、2または3
    記載のアイオノマー。
  5. 【請求項5】 エチレンと不飽和カルボン酸との二元共
    重合体、或いはエチレン、(メタ)アクリル酸エステル
    及び不飽和カルボン酸の三元共重合体のカリウム中和物
    (A)と、エチレンと不飽和カルボン酸との二元共重合
    体或いはエチレン、(メタ)アクリル酸エステル及び不
    飽和カルボン酸の三元共重合体の亜鉛及びマグネシウム
    から成る群より選択された2価金属(M)の中和物
    (B)とのブレンド物からなる請求項1乃至4の何れか
    に記載のアイオノマー。
  6. 【請求項6】 前記カリウム中和物(A)が、280M
    Pa以下の曲げ剛性を有するものである請求項5記載の
    アイオノマー。
  7. 【請求項7】 不飽和カルボン酸含有量が10〜25重
    量%のエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキ
    シル基の20〜80モル%をカリウムイオンで中和して
    なり、その曲げ剛性率が280MPa以下のアイオノマ
    ー樹脂(A)20〜80重量%と、不飽和カルボン酸含
    有量が8〜30重量%のエチレン−不飽和カルボン酸共
    重合体のカルボキシル基の20モル%以上が二価の金属
    イオンで中和されたアイオノマー樹脂(B)80〜20
    重量%を配合してなる請求項1乃至5の何れかに記載の
    アイオノマー。
  8. 【請求項8】 エチレンと不飽和カルボン酸との二元共
    重合体、或いはエチレン、(メタ)アクリル酸エステル
    及び不飽和カルボン酸の三元共重合体を、カリウムと亜
    鉛及びマグネシウムから成る群より選択された2価金属
    (M)との組み合わせをイオン源として、中和して成る
    請求項1乃至4の何れかに記載のアイオノマー。
  9. 【請求項9】 カリウム及び亜鉛及びマグネシウムから
    成る群より選択された2価金属(M)をイオン源とし、
    その原子比がK/M=1/5〜8/1の範囲にあり、全
    体としての酸単位含有量が3乃至14モル%で、中和度
    が20乃至90%であるエチレン・不飽和カルボン酸共
    重合体のアイオノマーを配合して成るゴルフボール材
    料。
  10. 【請求項10】 前記アイオノマーが、280MPa以
    下の曲げ剛性及び55%以上の反発弾性を有するもので
    ある請求項9記載のゴルフボール材料。
  11. 【請求項11】 該アイオノマーが、1615cm-1
    傍の赤外吸収ピークを有するものである請求項9記載の
    ゴルフボール材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002165900A (ja) * 2000-12-01 2002-06-11 Bridgestone Sports Co Ltd マルチピースソリッドゴルフボール
JP2007130473A (ja) * 2005-11-09 2007-05-31 Acushnet Co 水蒸気透過率が小さく高度に中和した酸ポリマー組成物およびそのゴルフボールへの使用
JP2008086757A (ja) * 2006-08-31 2008-04-17 Acushnet Co 水蒸気透過率が小さく高度に中和した酸ポリマー組成物およびそのゴルフボールへの使用
JP2014136066A (ja) * 2013-01-17 2014-07-28 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフボール用樹脂組成物及びゴルフボール

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