JPH0747073A - 圧迫止血ベルト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 身体への装着がが容易で、しかも、装着後の
はずれやゆるみなどがなく、帯体の長さ（サイズ）も１
種類で対応できる圧迫止血ベルトを提供する。 【構成】 帯体の所定位置に硬質ケースを任意の手段で
取付け、この硬質ケースの内部に流体を充填することに
よって膨張可能なバルーンを収容させた圧迫止血ベルト
において、上記帯体の全体もしくは一部を粘着性材料で
構成したものであって、しかも、上記帯体が非伸縮性も
しくは低伸縮性の性質を有する材料を使用したもので、
具体的に繊維布或いは不織布、紙、フィルム等からなる
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、動脈カテーテル検査等
を行なった後、カテーテル挿入傷口を止血するために用
いられる圧迫止血ベルトに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】心臓や脳血管等の造影診断のために、近
年動脈カテーテル検査が行なわれるようになっている。
心臓カテーテル検査は、少数例として切開方式で行なう
場合もあるが、殆ど大部分はカテーテルをケソイ部の大
腿動脈（または上腕動脈）から心臓に向けて進行させ
る、所謂カテーテル穿刺法（セルジンガー法）によって
行なわれている。この検査方式では、大腿動脈に穿刺し
たカテーテルを通して造影剤や各種の薬剤を注入した
り、エンポリゼーション、術前・術後の各種検査を行な
うものであるが、検査終了後、ケソイ部の大腿動脈から
のカテーテルの抜去によるカテーテル挿入傷口からの出
血を防止するため、相当長時間に亘って傷口を圧迫して
止血する必要がある。このような傷口の圧迫止血手段と
して、従来より絆創膏止血方法、或いは、伸縮止血帯方
法（特開昭60− 92746号公報、特開昭60−198139号公報
参照）が提案されている。前者は、傷口にガーゼを当
て、この上に布製絆創膏を３〜４本貼着して上記ガーゼ
の上から傷口を圧迫し、更に上記絆創膏の上に 500〜10
00ｇの砂嚢を載せ、これを絆創膏で固定して12〜24時間
維持する方法である。しかし、この方法では、砂嚢のず
れによって圧迫部位にずれが生じ易いことから、傷口の
止血が不完全になるという問題があった。一方、後者
は、上記絆創膏の代わりに伸縮性の止血帯を用いる方法
であるが、巻き方が複雑で、しかも、圧迫負荷状態が不
安定であるという問題がある。また、伸縮性の止血帯を
使用するため、コストが高くつき、血液感染症の発生と
いう衛生上の問題があるにも拘らず１回限りの使い捨て
が難しい。このため、再使用する場合には、血液感染症
防止のための滅菌処理を行なわなければならず、衛生的
見地からだけではなく看護作業の省力化の促進に対して
も実用上大きな制約が認められるという問題がある。

【０００３】そこで、本出願人は上記不具合を解決する
ため、特願平４−２０７９３号において圧迫止血ベルト
を先に出願している。この出願に係る圧迫止血ベルト
を、図４〜図７に基づいて説明する。

【０００４】図４〜図６に示すように、上記圧迫止血ベ
ルトは、非伸縮性もしくは低伸縮性の繊維或いはフィル
ム等からなる帯体（11）の所定位置に硬質ケース（12）
を任意の手段で取付け、この硬質ケース（12）の内部に
流体を充填することによって膨張可能なバルーン（13）
を収容して構成される。

【０００５】上記硬質ケース（12）は、例えば合成樹脂
等の硬質部材でお碗形状に形成され、その上面中央部に
流体供給管（14）を貫通させて一体形成し、この流体供
給管（14）の硬質ケース（12）の外部に突出する外側端
部に逆止弁（15）が取付固定されている。

【０００６】上記バルーン（13）は、例えばゴム等の弾
性に富む部材で袋状に形成され、その充填口を流体供給
管（14）の硬質ケース（12）内に貫入する内側端部に任
意の手段で取付固定させている。

【０００７】上記流体供給管（14）の外側端部には、例
えば手動操作式ポンプおよび圧力計が必要に応じて接続
されるようになっており、圧力計を眺めながらポンプを
操作することによって流体が流体供給管（14）を通して
バルーン（13）に充填されて当該バルーン（13）が膨張
するようになっている。

【０００８】上記逆止弁（15）は、バルーン（13）に充
填された流体が漏れないように保持させるものである。

【０００９】次に、上記構成による圧迫止血ベルトの使
用要領を説明する。

【００１０】カテーテル挿入傷口に当てたガーゼの上に
バルーン（13）を収容させた硬質ケース（12）を、その
開口側をガーゼ側に向けた状態で置いた後、例えば図７
に示すように、帯体（11）を患者の胴部の周りを一回り
以上させてその端部を両面テープやマジックテープ等の
係止手段（16）を利用して係止することにより、患者の
身体に巻付ける。この後、流体供給管（14）に手動操作
式ポンプおよび圧力計を接続し、圧力計を眺めながらポ
ンプを操作してバルーン（13）内に流体を充填すること
により、バルーン（13）を硬質ケース（12）で傷口の反
対側への膨張を抑制しながら傷口側へ膨張させてガーゼ
を介して傷口を圧迫する。

【００１１】この圧迫止血ベルトによれば、バルーン
（13）の膨張を利用して傷口を圧迫するため、傷口のみ
を圧迫することができるとともに、その圧迫力の調整が
可能であり、しかも、その圧迫力を逆止弁（15）によっ
て長時間に亘って維持することも可能である。また、帯
体（11）に非伸縮性もしくは低伸縮性の繊維或いはフィ
ルム等を使用しているため、安価に提供することができ
て１回限りの使い捨てが可能で衛生面にも優れている。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記圧迫止
血ベルトでは、帯体（11）の端部の係止に両面テープや
マジックテープ等の係止手段（16）が用いられており、
このような両面テープやマジックテープ等の係止手段
（16）は繰り返し接着しているうちに接着力が低下する
ため、装着時に帯体（11）がはずれたり、ゆるんだりす
る虞があり、しかも、係止手段（16）の取付位置が患者
の体型により異なるため、患者の体型に応じて長さ（サ
イズ）の異なる帯体（11）を数種類準備する必要があっ
た。また、起伏があって凸凹な身体に非伸縮性もしくは
低伸縮性の繊維、不織布、或いは、フィルム等からなる
帯体（11）を巻付けるため、帯体（11）が肌から浮いて
いたり、例えば脚大腿部に巻付けている場合には脚を上
げると帯体（11）が浮き上がったりしてフィット性が悪
い。このため、長時間圧迫止血を行う間に皺やよじれが
生じて患者に不快感を与えたり、皺やよじれによって位
置ずれやゆるみが生じて傷口の圧迫が不十分になるとい
う問題があった。

【００１３】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、身体への装着が容易で、しかも、装着後のはずれ
やゆるみなどがなく、帯体の長さ（サイズ）も１種類で
対応できる圧迫止血ベルトを提供することを目的とす
る。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、帯体の所定位置に硬質ケースを任意の手段で
取付け、この硬質ケースの内部に流体を充填することに
よって膨張可能なバルーンを収容させた圧迫止血ベルト
において、上記帯体の全体もしくは一部を粘着性材料で
構成したものである。

【００１５】また、上記帯体が非伸縮性もしくは低伸縮
性の性質を有する材料を使用したもので、具体的に繊維
布或いは不織布、紙、フィルム等からなるものである。

【００１６】

【作用】帯体の全体もしくは一部が粘着性材料であるこ
とにより、帯体を患者の身体に貼着して固定する。

【００１７】また、帯体が非伸縮性もしくは低伸縮性の
繊維布或いは不織布、紙、フィルム等からなるから、安
価に提供することができて１回限りの使い捨てに有利で
実施が容易である。

【００１８】更に、

【００１９】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１〜図３に基づ
いて説明する。

【００２０】図１および図２は本発明に係る圧迫止血ベ
ルトの実施例を示す平面図および側面図である。この圧
迫止血ベルトは、帯体（１）全体が粘着性材料、例えば
布製絆創膏から構成されており、この帯体（１）の所定
位置に、図４〜図７に示す従来品と同様に、流体を充填
することによって膨張可能なバルーン（２）を収容させ
る硬質ケース（３）を適宜の手段で取付けている。尚、
図中（４）は硬質ケース（３）の上面中央部を貫通して
当該硬質ケース（３）と一体形成される流体供給管で、
硬質ケース（３）の外部に突出する外側端部に逆止弁
（５）を一体に有するとともに、硬質ケース（３）の内
部に貫入する内側端部（図示せず）にバルーン（２）の
充填口（図示せず）を適宜の手段で取付固定している。

【００２１】本発明の圧迫止血ベルトは、図３に示すよ
うに、カテーテル挿入傷口に当てたガーゼの上にバルー
ン（２）を収容させた硬質ケース（３）を、その開口側
をガーゼ側に向けた状態で置いた後、帯体（１）を患者
の身体に貼着して固定する。この後、流体供給管（４）
に手動操作式のポンプおよび圧力計を接続させ、圧力計
を眺めながらポンプを操作してバルーン（２）内に流体
を充填することにより、バルーン（２）を硬質ケース
（３）で傷口の反対側への膨張を抑制しながら傷口側に
膨張させてを圧迫する。

【００２２】本発明の圧迫止血ベルトによれば、帯体
（１）を患者の身体に貼着して固定することができるか
ら、従来のように身体に一回り巻付けたり、端部を両面
テープやマジックテープ等の係止手段で係止する必要が
なり、身体への装着が極めて容易である。また、帯体
（１）が患者の肌に密着するため、例えば脚大腿部等に
装着した状態で脚を上げても帯体（１）が浮き上がるこ
とがない。これにより、帯体（１）のフィット性が良好
になり、長時間の圧迫止血を行っても皺やねじれによる
位置ずれやゆるみを生じることがなく、効果的な圧迫止
血をなし得る。更に、従来のように帯体の端部に両面テ
ープやマジックテープ等の係止手段を設ける必要がない
から、短い目の１種類の帯体（１）で殆どの患者に対応
することができるようになった。

【００２３】尚、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなく、例えば上記実施例では帯体（１）は全体が粘
着性材料から構成されているが、患者の身体に密着して
貼着できるならば、粘着性材料で構成されている部分は
一部だけも可能である。この場合、傷口付近の剃毛の必
要がなくなり、看護作業の省力化に寄与することができ
る。

【００２４】また、上記実施例では、帯体（１）を構成
する粘着性材料が布製絆創膏である場合を述べている
が、布製絆創膏以外の非伸縮性もしくは低伸縮性の繊維
布或いは不織布、紙、フィルム等からなる粘着性材料で
も良い。

【００２５】更に、本発明の圧迫止血ベルトは血管カテ
ーテル検査に拘らず、カテーテル治療、腎臓等の透析や
各種注射針等の挿入傷口の止血に用いることができる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
帯体を身体に貼着して固定することができ、しかも、肌
に密着することができるから、患者の身体への装着が極
めて容易になって看護作業の省力化が図れ、かつ、肌に
対してフィット性が良好になって長時間の圧迫止血を行
っても位置ずれやゆるみが生じることがなくて効果的な
圧迫をなし得るとともに、短い目の１種類の帯体で殆ど
の患者に対応できるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る圧迫止血ベルトの一実施例を示す
平面図である。

【図２】図１の圧迫止血ベルトの側面図である。

【図３】図１の圧迫止血ベルトの装着状態を示す斜視図
である。

【図４】従来の圧迫止血ベルトの平面図である。

【図５】従来の圧迫止血ベルトの側面図である。

【図６】従来の圧迫止血ベルトの要部断面図である。

【図７】従来の圧迫止血ベルトの装着状態を示す斜視図
である。

【符号の説明】

１ 帯体 ２ バルーン ３ 硬質ケース ４ 流体供給管 ５ 逆止弁

【手続補正書】

【提出日】平成５年１１月２５日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１８

【補正方法】削除

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 帯体の所定位置に硬質ケースを任意の手
   段で取付け、この硬質ケースの内部に流体を充填するこ
   とによって膨張可能なバルーンを収容させた圧迫止血ベ
   ルトにおいて、 上記帯体の全体もしくは一部を粘着性材料で構成したこ
   とを特徴とする圧迫止血ベルト。
2. 【請求項２】 上記帯体が非伸縮性もしくは低伸縮性の
   性質を有することを特徴とする請求項１の圧迫止血ベル
   ト。
3. 【請求項３】 上記帯体の材料が繊維布或いは不織布、
   紙、フィルム等からなることを特徴とする請求項１およ
   び２の圧迫止血ベルト。