JP2574953Y2 - 圧迫止血用ベルト - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、動脈カテーテル検査等
を行なった後、カテーテル挿入傷口を止血するために用
いられる圧迫止血用ベルトに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】心臓や脳血管等の造影診断のため、最近
動脈カテーテル検査が行なわれるようになっている。心
臓カテーテル検査は、少数例として切開方式で行なう場
合もあるが、殆ど大部分はカテーテルを鼠蹊部の大腿動
静脈から大動脈に向けて進行させる、いわゆるカテーテ
ル穿刺法（セルジンガー法）によって行なわれている。
この検査方式では、大腿動静脈に穿刺したカテーテルを
通して造影剤や各種の薬剤を注入したり、エンポリゼー
ション、術前・術後の各種検査を行なうものであるが、
検査終了後、鼠蹊部の大腿動静脈からのカテーテルの抜
去によるカテーテル挿入傷口からの出血を防止するた
め、相当長時間にわたって傷口を圧迫する必要がある。
このような傷口の圧迫止血手段として、従来より絆創膏
止血方法、或いは、伸縮止血帯方法（特開昭60-92746、
特開昭60-198139号参照）が提案されている。前者は、
傷口にガーゼを当て、この上に布製絆創膏を3〜4本貼着
して傷口を圧迫し、さらに上記絆創膏の上に500〜1000g
程度の砂のうを載せ、これを絆創膏で固定して12〜24時
間維持する方法である。しかし、この方法では、砂のう
のずれによって圧迫部位にずれが生じやすく、また、患
者に突っ張り感や痛みを与え、皮膚炎、水泡等の発生を
招きやすいといった不具合がある。一方、後者は、上記
絆創膏の代わりに伸縮性の止血帯を使用する方法である
が、巻き方が複雑で且つ圧迫力が不安定であり、高コス
トのため使い捨てが行ないにくいといった問題点があ
る。また、再使用する場合には、血液感染防止のため滅
菌処理を行なわなければならず、手間がかかるという問
題点もある。

【０００３】これらの問題点に鑑み、本出願人は、特願
平4−20793号にて傷口圧迫手段として図３に示す圧迫止
血用ベルトを提案している。

【０００４】同図（ａ）（ｂ）に示すように、この圧迫
止血用ベルトは、非伸縮性の繊維布等からなる帯体
（１）の所定位置に、伸縮性繊維布からなる布片（２）
を縫い付けてポケット（３）を形成し、このポケット
（３）内に硬質ケース（４）及びバルーン（５）を収容
して構成される。前記硬質ケース（４）は、同図（ｂ）
の断面図に示すように、樹脂等で椀形状に形成されたも
ので、その開口側を布片（２）に向けて収納されてい
る。また、前記バルーン（５）は、ゴム等で形成された
もので、逆止弁（６）を有する流体供給管（７）をポケ
ット（３）の外部に突出させた状態で硬質ケース（４）
内に収納されている。

【０００５】以下、上記圧迫止血用ベルトの使用要領を
説明する。

【０００６】図３（ｃ）に示すように、先ず、カテーテ
ル挿入傷口（11）上にガーゼ（10）を載せ、さらに、こ
のガーゼ（10）上に、布片（２）をガーゼ（10）側に向
けた状態でポケット（３）を載せる。続いて、帯体
（１）を患者の身体に巻き付け、端部を布製絆創膏等の
固定手段を利用して係止する。この後、バルーン（５）
の流体供給管（７）に、手動操作式のポンプ（８）と圧
力計（９）とを接続し、圧力計（９）を眺めながらポン
プ（８）を操作してバルーン（５）内に適当な流体を注
入すると、バルーン（５）が硬質ケース（４）により傷
口（11）から離隔する方向への膨張を規制されながら傷
口（11）の方向に膨張する。これにより、ガーゼ（10）
を介して傷口（11）が圧迫され、帯体（１）が患者に固
定される。

【０００７】このように、上記圧迫止血ベルトでは、バ
ルーン（５）の膨張で傷口（11）を圧迫するので、カテ
ーテル挿入傷口（11）のみを圧迫することができ、それ
以外の部分には圧迫感が殆ど伝播しない。また、液体等
の注入量を調整することにより、傷口（11）に付加され
る圧迫力の大きさを自由に選択でき、且つ、逆止弁によ
り選択した圧迫力を長時間維持することもできる。さら
に、帯体（１）に繊維布を使用していることから突っ張
り感等を与えることもなく、皮膚炎等も予防され、安価
に構成できて使い捨ても可能になるといった種々の特徴
を備えるものである。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】ところで、上記圧迫止
血用ベルト（特願平4−20793号）は、カテーテル検査終
了後に横臥状態の患者に装着するので、ベルトの巻き付
け作業が行ないにくく、ベルトの身体の腰から尻部にか
けての部分に皺やよじれが生じやすい。このような皺や
よじれが生じれば患者に不快感を与えるだけでなく、巻
き付け後の皺等の伸びによって傷口の圧迫が不十分にな
る。また、皺等を伸ばそうとして力をこめて巻き付けれ
ば傷口を必要以上に圧迫してしまう。このように従来の
圧迫止血用ベルトでは、安定した圧迫力を得にくく、患
者の負担及び看護婦等の装着者の手間が増大するといっ
た問題点があった。

【０００９】そこで、本考案は、身体への装着時に皺や
よじれが生じず、安定した圧迫力を付与し得る圧迫止血
用ベルトを提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的の達成のため、
本考案は、繊維布からなる帯体の所定位置にポケットを
備え、前記ポケット内に流体又は気体により膨張するバ
ルーンを収納してなるものにおいて、前記帯体のうち、
少なくとも身体への巻き付け時に腰から尻部にかけてを
覆う部分に補強シートを備えさせた。

【００１１】また、前記補強シートを10〜90cmの長さに
形成し、且つ、この補強シートを帯体のポケットより一
側部側に配置した。

【００１２】

【作用】帯体のうち、少なくとも身体への巻き付け時に
腰から尻部にかけてを覆う部分に補強シートを備えさせ
ることにより、帯体の巻き付け時にこの部分に皺やよじ
れが生じず、それほど力を加えなくても帯体を確実に巻
き付けることができる。

【００１３】また、補強シートの装着位置及び補強面積
を適宜変更することにより、患者に適合した締め付け具
合を容易に得ることができる。

【００１４】

【実施例】以下、本考案の実施例を図１及び図２に基づ
いて説明する。

【００１５】図１（ａ）は、圧迫止血用ベルトの平面図
である。この圧迫止血用ベルトは、図３に示す従来品と
同様に、非伸縮性の繊維布等からなる帯体（１）の所定
位置に、伸縮性繊維布からなる布片（２）を縫い付けて
ポケット（３）を形成し、このポケット（３）内に硬質
ケース（４）及びバルーン（５）を収容して構成され
る。また、硬質ケース（４）は、その開口側を布片
（２）に向けて収納されており、バルーン（５）は、ポ
ケット（３）の外部に逆止弁（６）を有する流体供給管
（７）を突出させた状態で硬質ケース（４）内に収納さ
れている。

【００１６】本考案では、帯体（１）のうち、少なくと
も身体への巻き付け時に腰から尻部にかけてを覆う部分
にボール紙、ＰＥＴ、ビニール、ゴム、布等の材料から
なる補強シート（13）を装着する。そして、この補強シ
ート（13）の長さは10〜90cm程度とし、ポケット（３）
の一側部側の適当な位置に装着する。これにより、巻き
付け時に皺やよじれが生じず、それほど力を加えること
なく確実に帯体（１）を巻き付けることが可能になる。
また、補強シート（13）の材料、面積及び装着位置を適
宜変更することにより、身体への巻き付け時の締め付け
具合を調整することができ、患者の様々な体型、例えば
痩せ型、太り型或いは子供にも対応できるようになる。
なお、補強シートの長さが10cm以下の場合は、補強の効
果が殆ど見出せず、90cm以上であれば帯体（１）からは
み出してしまうという不具合を生じる。

【００１７】以下、上記構成からなる圧迫止血用ベルト
の使用要領を説明する。

【００１８】先ず、図３（ｃ）に示す従来品と同様に、
カテーテル検査後のカテーテル傷口（11）にガーゼ（1
0）を載せ、この上に、布片（２）を傷口（11）に向け
てポケット（３）を載せる。続いて、図（２）に示すよ
うに、帯体（１）を患者の腰の周りに巻き付け、端部を
布製絆創膏（14）等で係止すると共に、ずれ防止のため
身体の一部と帯体（１）とに布製絆創膏（15）等を適宜
貼着する。この後、バルーン（５）の流体供給管（７）
に手動操作式のポンプ（８）及び圧力計（９）を接続
し、液体（ゲル状も含まれる）又は空気、窒素ガス、炭
酸ガス等の気体を注入してバルーン（５）を膨張させ、
傷口（11）を圧迫する。

【００１９】なお、前記補強シート（13）は、図１
（ｂ）に示すように両面テープ或いは縫い付け等の手段
で帯体（１）の身体に触れる反対面に装着すればよい。
この他、同図（ｃ）に示すように、補強部分の帯体
（１）を二重構造にして帯体（１）間の隙間に補強シー
ト（13）を挟み込んだり、同図（ｄ）に示すように、帯
体（１）の端部に補強シート（13）を繋ぎ、補強部分を
補強シート（13）のみで構成してもよい。

【００２０】

【考案の効果】上述の如く本考案によれば、身体への巻
き付け時に腰から尻部にかけての部分に皺やよじれの生
じない圧迫止血用ベルトが提供できる。これにより、安
定して傷口を圧迫することができ、患者によじれ等に起
因する不快感を与えることもなくなる。また、巻き付け
時にそれほど力を要しないので、看護婦等の装着者の労
力低減が図れると共に、必要以上の圧迫による鬱血や皮
下血腫等の発生も防止できる。

【００２１】さらに、補強シートによる補強位置、補強
面積を適宜変更することにより、子供、痩せ型、太り型
といった種々の体型の患者に適合する締め付け具合を得
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は本考案の圧迫止血用ベルトの平面図、
（ｂ）・（ｃ）・（ｄ）は、（ａ）図中のＡ−Ａ線での断
面図である。

【図２】本考案の圧迫止血用ベルトの使用要領を示す図
であり、（ａ）は身体の正面から見た図、（ｂ）は身体
の背面から見た図である。

【図３】（ａ）は従来の圧迫止血用ベルトの平面図、
（ｂ）は（ａ）図中のＢ−Ｂ線での断面図、（ｃ）はバ
ルーンの膨張時における断面図である。

【符号の説明】

１ 帯体 ３ ポケット ５ バルーン 13 補強シート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A61B 17/12 330

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 繊維布からなる帯体の所定位置にポケッ
   トを備え、前記ポケット内に流体により膨張するバルー
   ンを収納してなるものにおいて、前記帯体のうち、少な
   くとも身体への巻き付け時に腰から尻部にかけてを覆う
   部分に補強シートを備えさせたことを特徴とする圧迫止
   血用ベルト。
2. 【請求項２】 前記補強シートが10〜90cmの長さに形成
   され、且つ、この補強シートが帯体のポケットより一側
   部側に配置されていることを特徴とする請求項１記載の
   圧迫止血用ベルト。