JPH0746980B2 - 魚肉珍味食品 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、嗜好品として魚肉に混
合する粒状肉の結着性を高め、製造過程に於て材料のロ
スをなくして歩留りを良好とする魚肉を中心とした魚肉
珍味食品に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、魚肉を中心とした珍味食品とし
て、魚肉の生身とゆで身とを夫々挽き出したものを混練
し、さらにこの混練したものにピーナッツ等の異種食品
を少なくとも原形乃至粒状、又は粉粒状のまま混練し、
これを粒状又はサイの目状に形成し、さらにこれを蒸煮
焙乾処理して味付けしたもの（特公昭３７ー１１６２５
号）があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする問題点】前記従来の珍味食品
は、魚肉の生身とゆで身とを夫々挽き出したものを混練
するので、該混練後においては粘りはなく、その結着力
はきわめて弱いので、この混練したものに前記異種食品
を混合しても異種食品に対する結着力は悪く、加工中に
応々にして魚肉と異種食品との分離が生じて商品化にお
いて歩留りはきわめて悪く、且つ商品価値も著しく低下
するものであった。

【０００４】又、元来結着力の弱い混練した身に異質の
食品を混練するので、蒸煮時魚肉の身の収縮は不安定で
身崩れを生じ、サイの目の形状が不規則な形状となって
商品不良を起こすとともに、サイの目状に裁断したとき
出る不定形な小粒肉等をそのまま再利用することもでき
ないもので、高価な魚肉を有効に使用し製品を安価に提
供することは出来ないものであった。

【０００５】更に、この種の珍味食品は、生身とゆで身
とを夫々挽き出したものを混練するので、元来生身は収
縮率が高く、逆にゆで身は収縮率が低いので、この収縮
率の差異とさらに生身との温度差とにより、成形工程に
おいて安定した状態の成形が行なえず不安定な状態でサ
イの目状の裁断となる為、身崩れが起こり、ロスが多く
発生して製品の段階において歩留りはきわめて悪くなる
ものであった。

【０００６】そこで本発明者は、魚肉の生身とゆで身と
を肉挽機（チョッパー）により夫々挽き出し、これらを
混練したとき、この挽き出した身に粘着力はないことに
気づき、魚肉の生身とゆで身とを同時に挽き出し、さら
にこの挽き出したものに粉末状小麦蛋白等の食用結着材
と水とを混合擂潰して最高の結着力を出した後、粒状肉
を混合撹拌することによって混合する粒状肉の強力な結
着を可能とし、前記従来の結着力の低い状体における魚
肉使用に伴う混合した食品との分離現象は完全に解消さ
れ、又、蒸煮時等においても魚肉の身の収縮が安定し、
生身とゆで身との温度差によって生ずる身の変化を防ぎ
魚肉の細胞を崩すことなく、最終工程に至っても正確な
サイの目の形状が保持され、又、サイの目形成に際して
出る欠損した小粒肉等を再使用し、マグロ等の高価な魚
肉を有効に使用し、経済的で製造される珍味食品の歩留
り良好な結果を得て、本発明を完成するに至ったもので
ある。

【０００７】

【問題点を解決するための手段】本発明に係る魚肉珍味
食品は、前処理し煮熟して焙乾後小粒状とした半固形の
粒状肉と、魚肉の生身とゆで身とを同時に混合して挽き
出し、さらに食用結着材と水とを加えて混合擂潰した粘
性を有する練物とを混合撹拌し、且つこの混合撹拌した
ものを加圧成形し煮熟して冷却・肉締めした後サイの目
状に裁断し味付け乾燥した魚肉珍味食品において、前記
サイの目状に裁断するとき出るサイの目状以外の不規則
形状の小粒肉を再使用し、該小粒肉を少量で半固形の粒
状肉を多量とした割合にて混合し、該混合したものと、
前記粘性を有する練物とを混合撹拌してから加圧成形し
煮熟して冷却・肉締めした後、サイの目状に裁断し味付
けして乾燥した構成にある。

【０００８】

【作用】本発明に係る魚肉珍味食品を得る場合、所定に
前処理したマグロ等の魚身を煮籠にのせこれを熱湯入り
の煮釜に入れて煮熟した後、さらに蒸籠に並べかえてこ
の蒸籠を焙乾釜の上に積み重ねて釜に火を入れ所定に焙
乾してから、冷蔵庫に入れて半固形となるように締め、
更に小粒状に形成して粒状肉を得る。

【０００９】引続きこれとは別にマグロ等の魚肉の生身
とゆで身とを同時に混合し、チョッパーにかけて挽き出
し、この挽き出した混練魚肉と粉末状小麦蛋白等の食用
結着材と水とを所定の割合にて擂潰機内において交ぜ合
わせながら擂潰した粘りのある練物を得た後、この練物
の中に前記半固形の粒状肉を混ぜて撹拌し、さらにこの
混合撹拌したものを成形機にかけて長方形に加圧成形し
てから、再度煮籠にのせて煮熟し、これを冷蔵庫に入れ
て冷却し肉締めを行なってから、裁断機にかけてサイの
目状に各ぎりし、これを均一なサイの目状に角示りし、
これを均一なサイの目形状のものを得る為、選別機にか
けてこの選別されたものを煮汁入りの釜に入れて充分煮
込み嗜好に適した味付けを行なってから、平蒸籠に広げ
て乾燥機に入れ熱風乾燥して所定の魚肉珍味食品を得る
が、本発明においては、前記珍味食品の製造過程でサイ
の目状に角切りし選別機にかけて出るサイの目状以外の
欠損した小粒肉を再使用し、この再使用する小粒肉を少
量とし、前記に示す半固形の粒状肉を多量とした割合に
て混合したものを、魚肉の生身とゆで身とを同時に混合
しチョッパーにより挽き出した混練魚肉と粉末状小麦蛋
白などの食用結着材と水とを所定の割合にて擂潰混合し
て得た粘りのある練物の中に混合し、これらを撹拌して
から成形機にかけて長方形に加圧成形し、さらに、蒸籠
にのせて煮熟し、引続き冷蔵庫に入れて冷却し肉締めし
た後、裁断機にかけてサイの目状に角切りし、この角切
りしたサイの目状のものを煮汁の入った釜内に投入して
煮込み、嗜好に合う味付けを行なって充分煮汁を含ませ
てから、平蒸籠に広げて乾燥機に入れ熱風により乾燥し
たものである。

【００１０】

【実施例】次に本発明に係る魚肉珍味食品の実施例を説
明する。

【００１１】先ずバチマグロ三枚に下ろして雄節と雌節
を得、これらをさらに７ｃｍ〜８ｃｍに切断してそのま
ま煮籠に並べこれを沸騰湯入りの煮釜に入れて１時間３
０分煮熟し、さらにこの煮熟したものを蒸煮にのせ、こ
れを焙乾釜上に複数段に積み重ねて、薪火により１時間
訪韓した後、粉胃を−５℃に保った冷蔵庫へ３日間入れ
て身を締め半固形としてから、５mm² のサイの目状に
細かく裁断した粒状肉を得る。

【００１２】一方これと平行してマグロのゆで身と生身
とを夫々ゆで身４０％、生身６０％の割合にて混合し、
この混合したゆで身と生身とを同時にチョッパーにかけ
て混練魚肉を得る。

【００１３】更にこの混練魚肉に食用結着材である粉末
状小麦蛋白を混練魚肉２６ｋｇに対し、１ｋｇ、水を２
ｌ夫々混合し、擂潰機にて６分間擂潰して最高の粘りの
出た練物を得て、この練物の中に前記半固形の粒状肉を
混練魚肉２６ｋｇに対し２０ｋｇ入れて役１分間混合撹
拌した後、成形機にかけて圧を加えながら６．５ｃｍＸ
１０ｃｍＸ１２ｃｍ寸法の小ブロック形の成形肉を得て
から、この成形肉を再度蒸籠に並べて熱湯釜に入れ約１
時間煮熟した後、蒸籠へ並べ変えて１時間焙乾釜にかけ
て焙乾し、風味付けと水分除去とを行ない、引続き焙乾
したものを−５℃に保った冷蔵庫に２日間入れて冷却し
肉締めしてから、スライサーにより前記小ブロック状に
成形肉を１ｃｍ厚にスライスし、さらに裁断機のくし刃
により５mm² のサイの目状に細かく裁断し、又、選別
機にかけて均一なサイの目状のものと、選別機の網目を
通った欠損する小粒肉や不定形の粒肉とを得てから、前
記サイの目状のものは醤油・砂糖・化学調味料からなる
煮汁入りの釜に入れて煮込み、さらに熱風乾燥して商品
化するが、前記選別機の網目を通過した欠損する小粒肉
や不定形の粒肉は再使用し、この再使用の粒肉２０％
と、半固形の粒状肉、即ち３枚に下ろしたバチマグロの
雄節、雌節を７ｃｍ〜８ｃｍに切断し、これを煮籠に並
べて熱湯釜で１時間３０分煮熟し、さらに蒸籠に並びか
えて焙乾釜で１時間焙乾し、−５℃の冷蔵庫へ３日間入
れて身を締めて半固形としてサイの目状に細かく裁断し
た粒状肉８０％とを混合したものを、マグロのゆで身と
生身とを同時に挽き出して混練魚肉を得、この混練魚肉
に粉末状小麦蛋白を混練魚肉２６ｋｇに対し１ｋｇ、水
２ｌの割で夫々混合し擂潰した粘りのある練物の中に入
れるが、半固形の粒状肉は、混練魚肉２６ｋｇに対し２
０ｋｇ入れて１分間混合撹拌した後、成形機にかけて圧
を加えながら６．５ｃｍＸ１０ｃｍＸ１２ｃｍ寸法の小
ブロックに成形し、更にこのブロック状の肉を再度煮籠
に並べて熱湯釜へ入れて１時間煮熟した後、この煮熟し
たものを蒸籠へ並びかえて１時間焙乾釜にかけて焙乾
し、風味付けと水分除去とを行なう。

【００１４】引続き焙乾したものを庫内−５℃を保持し
た冷蔵庫に２日間入れて冷却し、肉締めしてからスライ
サーにより小ブロック状の成形肉を１ｃｍ厚にスライス
し、さらに裁断機のくし刃により５mm² のサイの目状に
細かく裁断し、又、選別機にかけて均一な大きさの製品
を得てから、醤油・砂糖・化学調味料からなる煮汁入り
の釜に入れて、煮汁がなくなるまで煮込みを行なって充
分に味付けし、さらに煮汁が含浸したところで、平蒸籠
に広げてこれを乾燥機に入れ乾燥機内を７５℃の温度を
保って３時間３０分から４時間かけて熱風乾燥する。

【００１５】この比較的低い温度で長時間乾燥する理由
は、前記味付け肉の外部側と芯部との水分乾燥を均一化
し、旨味を良好とする。

【００１６】前記熱風乾燥後、再度不規則形状のもの
か、部分欠損しているものを取除く選別作業を行なって
から、サイの目状の製品を一粒毎包装紙にて包装するも
のである。

【００１７】本発明における粒状肉は、前記実施例にお
いてバチマグロを三枚に下ろして雄節、雌節に形成した
ものを使用した例を示したが、他の実施例として、各雄
節・雌節における刺身用として、切取った部分以外の削
とりした部分、即ち雄節・雌節の頭部側と尻尾側の端切
れ部分とか、サメ等などにより部分的に食いちぎられた
商品化不良で鮮度の低下していない魚身等を利用して粒
状肉を形成する場合もあり、これらを使用することで、
元来利用価値の低かった魚身を活用して製品とした魚肉
珍味食品の廉価化を可能とし、現今高価となりつつある
珍味食品を安価に提供できる実施上の効果がある。

【００１８】

【発明の効果】本発明に係る魚肉珍味食品は、前処理に
煮熟して焙乾後小粒状とした半固形の粒状肉と、魚肉の
生身とゆで身とを同時に混合して挽き出し、さらに食用
結着材と水とを加えて混合退館した粘性を有する練物と
を混合撹拌し、且つこの混合撹拌したものを加圧成形し
煮熟して冷却・肉締めした後サイの目状に裁断し味付け
乾燥した魚肉珍味食品において、前記サイの目状に裁断
するとき出るサイの目状以外の不規則形状の小粒肉を再
使用し、該小粒肉を少量で半固形の粒状肉を多量とした
割合にて混合し、該混合したものと、前記粘性を有する
練物とを混合撹拌してから加圧成形し煮熟して冷却・肉
締めした後、サイの目状に裁断し味付けして乾燥したも
のであるから、混合する粒状肉の結着性はきわめて良好
で、例え生身とゆで身との間の収縮率の差異や温度差が
あっても安定した状態の成形が行なえて、その成形又は
サイの目状の裁断、或いは味付け等の工程に際しても身
崩れとか、粒状肉の分離は生じないので、製品に対する
歩留りは大幅に向上する特有の効果がある。

【００１９】又、旨味成分が顕著に出る熟成された素材
の粒状肉の旨味と、生身の魚味を有する魚肉の旨味とが
ミックスされて、より豊かな魚味が得られ、又魚肉の生
身とゆで身とを使用することで、弾力性があって歯応え
の良い食感が得られ、又、肉身に腰が出て成形若しくは
サイの目状の裁断に当り型崩れの生じない正確な立方体
製品を得ることができるし、更に前処理し煮熟して焙乾
後、小粒状に形成した半固形の粒状肉を多量に使用する
ことにより、魚肉との混合撹拌後における煮熟の際、魚
肉の収縮は安定し、粒状肉の変形や欠損等を生ずること
もないし、魚肉細胞の崩壊も生ずることはなく、製造上
最終工程に至ってもサイの目形状が保持され、製品不良
を起こすことのない特有の効果もある。

【００２０】更に又、本発明はサイの目状に裁断すると
き出るサイの目状以外の不規則形状の小粒肉を再使用
し、これを少量で半固形の粒状肉を多量とした割合にて
混合したものを使用した場合、前記練物と、小粒肉及び
粒状肉との結着性は良好となり、通常製品として使用さ
れない小粒肉を再使用するので、高価化している魚肉原
料の無駄をなくし、経済的効果も大となるものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 前処理し煮熟して焙乾後小粒状とした半固形の粒状肉
   と、魚肉の生身とゆで身とを同時に混合して挽き出し、
   さらに食用結着材と水とを加えて混合擂潰した粘性を有
   する練物とを混合撹拌し、且つこの混合撹拌したものを
   加圧成形し煮熟して冷却・肉締めした後サイの目状に裁
   断し味付け乾燥した魚肉珍味食品において、前記サイの
   目状に裁断するとき出るサイの目状以外の不規則形状の
   小粒肉を再使用し、該小粒肉を少量で半固形の粒状肉を
   多量とした割合にて混合し、該混合したものと、前記粘
   性を有する練物とを混合撹拌してから加圧形成し煮熟し
   て冷却・肉締めした後、サイの目状に裁断し味付けして
   乾燥したことを特徴とする魚肉珍味食品。