JPH074666B2 - 溶接線倣い制御方法 - Google Patents

溶接線倣い制御方法

Info

Publication number
JPH074666B2
JPH074666B2 JP11817689A JP11817689A JPH074666B2 JP H074666 B2 JPH074666 B2 JP H074666B2 JP 11817689 A JP11817689 A JP 11817689A JP 11817689 A JP11817689 A JP 11817689A JP H074666 B2 JPH074666 B2 JP H074666B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
oscillating
signal
detection signal
welding torch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP11817689A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0252171A (ja
Inventor
克弥 久貝
英幸 山本
祐介 新村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daihen Corp
Original Assignee
Daihen Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daihen Corp filed Critical Daihen Corp
Priority to US07/438,677 priority Critical patent/US4990743A/en
Publication of JPH0252171A publication Critical patent/JPH0252171A/ja
Priority to US07/520,711 priority patent/US5130514A/en
Publication of JPH074666B2 publication Critical patent/JPH074666B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、溶接トーチをオシレートさせてアーク長及び
ワイヤ突き出し長の変化に伴う電気的変化を検出し、溶
接線に倣わせる溶接線倣い制御方法に関するものであ
る。
[従来の技術] 従来から、溶接トーチをオシレートさせてアーク長及び
ワイヤ突き出し長の変化によって発生する電気的変化を
検出するアークセンサの検出信号によって、溶接トーチ
を溶接線に倣わせる溶接線倣い制御方法が使用されてい
る。
この従来のアークセンサは、水平隅肉溶接の場合は、溶
接速度が120cm/min程度の比較的低速度の溶接において
は比較的良好な結果が得れている。また、水平隅肉溶接
の場合は、板厚2.0mm程度までの薄板であれば、実用可
能である。
通常、所定の板厚の被加工物の溶け込み深さは、溶接電
流値、溶接速度及びオシレート速度によって変化し、こ
のオシレート速度は、オシレート周波数、オシレート
幅、溶接速度、オシレート波形、オシレート停止時間の
変数によって定まる。以下、説明を簡単にするために、
オシレート速度に最も影響するオシレート周波数を変化
させ、他の変数は予め定めた略一定値とした場合につい
て説明する。
このように溶接速度が低速度の時は、溶接トーチのオシ
レート周波数も0.5乃至5Hz程度の低周波であるが、この
時の従来例について、第2図及び第3図を参照して、溶
接トーチWTが左側の被溶接物Wlと右側の被溶接物Wrとの
間をオシレートしている時の各オシレート位置に対する
溶接電流値の関係について説明する。第2図(B)は、
オシレートの中心位置C(以下、オシレート中心とい
う)と溶接線W0とが一致している場合であって、同図に
おいて、A0及びA1は溶接トーチの先端から突き出した消
耗電極の長さ(以下、ワイヤ突き出し長という)であ
り、B0は消耗電極(以下、ワイヤという)先端とワイヤ
先端方向の被溶接物表面との距離(以下、アーク長とい
う)を示す。溶接トーチWTがオシレート幅の左端L0の位
置にある時、突き出し長はA1であり、アーク長はB0であ
り、溶接トーチWTが左端L0からオシレート中心Cすなわ
ち溶接線W0の位置に達するまでの間、前述したように、
オシレート周波数が低周波である時は、定電圧特性の溶
接電源の自己制御作用により速かに溶接電流値が増加し
て溶融速度が増加してアーク長が略一定値B0になり、そ
のためにワイヤ突き出し長がA1からA0に徐々に増大す
る。ワイヤ突き出し長の増大により、同図(A)に示す
ように、オシレート位置P(横軸)に対して溶接電流の
平均値I(縦軸)がI1からI0に減少する。溶接トーチWT
がオシレート中心Cから右端R0に移動している時は、前
述した動作とは逆に、アーク長B0は一定値を保ちながら
ワイヤ突き出し長はA0からA1に減少し溶接電流値もI0
らI1に増加する。したがって、オシレート中心Cと溶接
線W0とが一致している時(以下、「位置ずれがない時」
という)は、溶接線W0の両側の溶接電流値Iは左右対称
であり、かつオシレート往復とも同一電流値になってい
る。また同図(C)及び同図(D)は、それぞれ時間t
(横軸)の経過に対する溶接電流値I及びオシレート位
置P(縦軸)の関係を示している。第3図は、オシレー
ト中心Cと溶接線W0とがずれている場合(以下、「位置
ずれがある時」という)であって、溶接トーチWTがオシ
レートの左端L1からオシレート中心Cをこえて右端R1
オシレートする間に、第2図の動作と同様にアーク長B0
は一定値を保ちながら、ワイヤ突き出し長はA3からA
0(溶接線)に増加した後、A0からA4(オシレート中
心)をこえてさらにA5まで減少する。したがって、位置
ずれがある時は、溶接線W0の両側の溶接電流値Iは左右
非対称になるが、オシレート往復とも同一電流値となっ
ている。また同図(C)及び同図(D)は、それぞれ時
間t(横軸)の経過に対する溶接電流値I及びオシレー
ト位置P(縦軸)の関係を示している。
以上は、従来の低周波オシレートの場合について第2図
及び第3図を使用した説明であるが、つぎに、公知の実
験式との関係について説明する。一般にアーク溶接のワ
イヤ溶融速度Vmは、次の式で示されている。
Vm=a・Ia+b・A・(Ia) ……(1) ただし 1a:溶接電流の平均値 A:ワイヤ突き出し長 a,b,c:定数 低周波オシレートではアーク長B0は略一定であるので、
ワイヤ溶融速度Vmとワイヤ送給速度Vfとは等しくなり、
次式が成立する。
Vm=Vf=g ただしgは定数 ……(2) (1)式と(2)式から a・Ia+b・A・(Ia)=Vm=Vf=g ……(3) (3)式を時間tで微分して整理すると a・dIa+b{(Ia)・dA+2A・Ia・dIa}=0 ……
(4) また溶接トーチWTの先端とワイヤ先端方向の被溶接物表
面との距離(以下、トーチ先端距離という)をDとする
と D=B0+A ……(5) となる。アーク長B0はワイヤ突き出し長Aに比べて値が
小さくかつ略一定なので、D≒Aなので、(3)式のA
にDを代入して整理すると次式となる。
(6)式には時間の項が入っていないので、オシレート
位置により定まるトーチ先端距離Dによって溶接電流値
Iaが定まる。すなわち、溶接トーチがオシレート幅の左
端から右端(右方向)に移動中に通過するトーチ先端距
離Dと右端から左端(左方向)に移動中に通過するトー
チ先端距離Dとが同じ値になる時は、溶接トーチが左方
向に移動中か右方向に移動中か又は溶接線の左半分の位
置にあるのか右半分の位置にあるのかは関係がなく、溶
接電流値は同一値になることを示している。これは、前
述した第2図及び第3図の動作と同じことを意味してい
る。したがって、従来技術は、前述した第2図及び第3
図の動作又は(6)式に基ずいて、 オシレートの右半分の溶接電流の積分値と左半分の溶
接電流の積分値とを比較することにより溶接線を認識す
る。
オシレートの右半分の特定した位置の溶接電流のピー
ク値と左半分の特定した位置の溶接電流のピーク値とを
比較することにより溶接線を認識する。
オシレート中の最小電流値の発生位置を溶接線と認識
する。
その他、以上の変形例又は組合せにより溶接線を認識
する。
ことが行われている。
このように、従来の0.2〜5Hzの低周波のオシレートで
は、オシレートの位置変化に対してワイヤの溶融速度の
変化が追従してアーク長B0が略一定を維持することがで
きるのでワイヤ突き出し長Aの変化又はトーチ距離の変
化に対して溶接電流値が追従して第2図及び第3図又は
(6)式に示す関係で変化するので、上述した〜の
制御方法で良好な溶接線倣い制御ができていた。
しかし、このような制御方法が次第に2.0mm程度の薄板
の水平隅肉溶接にも拡大使用されるようになったが、さ
らに1.6mm程度の薄板になると溶接速度が高速度になる
ために、オシレート周波数が従来の0.2〜5Hz程度では、
オシレートによる溶接ビードの蛇行が目立ち、それを防
ぐために、5Hz以上にオシレート周波数を高くする必要
が生じてきた。オシレート周波数が5Hz程度の周波数に
なると、第4図に示すように、オシレート位置の変化が
速くなるために、トーチ先端距離A+Bの変化に対応し
たワイヤの溶融速度Vmの追従が遅れてアーク長Bが変動
してしまい、溶接電流値Iの変化が前述した第2図及び
第3図又は(6)式が適用できなくなってくる。
すなわち、第4図(B)において、位置ずれがない時で
あって、溶接トーチWTがオシレートの左端L0から右端R0
に向かって移動するにしたがって、ワイヤ先端Waは同図
(B)に示すような曲線の軌跡を描く。このような軌跡
を描く理由は、オシレート周波数が5Hz程度の周波数に
なると、トーチ先端距離A+Bが次第に大になる時、ワ
イヤ溶融速度Vmの減少がオシレート位置の変化によるト
ーチ先端距離A+Bの変化に追従することができなくな
るので、アーク長Bを一定に維持することができず、第
4図(B)に示すように、アーク長が左端のB0からB2
増加してオシレート中心Cを通過してB3まで減少した
後、右端のB0まで増加する。それに伴って、溶接電流値
は、同図(A)に示すように、I5から減少してオシレー
ト中心Cの時のI6よりも、さらにI7まで減少した後、右
端のI5まで増加する。
次に、位置ずれがある時は、溶接トーチWTのオシレート
に伴って、ワイヤ先端Waは第5図(B)のような曲線の
軌跡を描き、それに伴って、溶接電流値は同図(A)に
示すような軌跡を描くことが知られている。
このように、オシレート周波数が5Hz程度に近くなって
くると、オシレートの右半分と左半分との溶接電流値の
積分値、ピーク値、一周期の最小値等を比較する従来の
方式では、位置ずれに対応した顕著な変化が得られなく
なり、実用化への適用が困難になってきている。この点
を改良するために、右方向にオシレート中の溶接電流の
最小値と右端の電流値との差と、左方向にオシレート中
の溶接電流の最小値と左端の電流値との差とを比較して
溶接線を認識する方法、又は右方向にオシレート中の右
半分と左半分との溶接電流の積分値と、左半分にオシレ
ート中の右半分と左半分との溶接電流の積分値とを比較
して溶接線を認識する方法等が考案されている。しか
し、これらの改良もオシレート周波数が5Hz程度の低周
波までであって、それ以上の高周波では、後述するよう
に、オシレート位置に対する溶接電流値の軌跡がさらに
変化するために、検出して求めた比較値の差が少なくな
り、精度よく溶接線を検出することが困難になってきて
いる。
[発明が解決しようとする問題点] 従来の0.5〜5Hz程度の低周波のオシレートにおける溶接
線倣い制御方法は、前述した第2図又は第3図の動作又
は(6)式の適用によって、オシレート位置に関係なく
アーク長B0を一定と仮定しているので、オシレート位置
すなわちトーチ先端距離が、右方向のオシレートか左方
向のオシレートかに関係なく同一であれば、溶接電流値
が同一であることを前提とした制御又はそれを改良した
制御方法である。
したがって、従来の制御方法では、最大溶接速度は、水
平隅肉溶接では、120cm/minまで、重ね隅肉溶接では、8
0cm/min程度までであり、最小板厚は、水平隅肉溶接で
2.0mm、重ね隅肉溶接では3.2mmであった。さらに、従来
の制御方法では、立向き下進溶接では、溶接速度よりも
溶融金属の垂れ落ち速度の方が速いために実用困難であ
ること、スプレーアーク溶接用とショートアーク溶接用
とは共有することができず、別々の制御方法を使用しな
ければならなかった等の用途が限定されていた。そのた
めに、最近の自動車の各部の薄板の高速度溶接、立向溶
接の自動化の要求に対応できなくなってきている。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、溶接速度の高速化に伴って、オシレート周波
数を5〜7Hzの中間周波から、さらに7〜10Hzの高周波
に至るまでの各範囲において、オシレート位置すなわち
トーチ先端距離の変化に対応したワイヤ溶融速度の変化
の遅れ、さらに溶接電源から出力される溶接電流値の変
化の遅れ等の過渡現象を考慮にいれたオシレート位置と
溶接電流値との関係に基ずいて、オシレート中心Cと溶
接線W0とのずれを検出する倣い制御方法を提案したもの
である。
本出願の第1の請求項は、溶接トーチをオシレートさせ
てアーク長及びワイヤ突き出し長の変化に伴う電気的変
化を検出し、前記検出信号により溶接トーチを溶接線に
倣わせる溶接線倣い制御方法において、前記溶接トーチ
がオシレート幅の右半分を右方向に進行している時に検
出した前記検出信号と左方向に進行している時に検出し
た前記検出信号とを比較する第1の比較信号及び前記溶
接トーチがオシレート幅の左半分を左方向に進行してい
る時に検出した前記検出信号と右方向に進行している時
に検出した前記検出信号とを比較する第2の比較信号と
を演算し、前記第1の比較信号と前記第2の比較信号と
の差が小さくなる方向に、溶接トーチのオシレート中心
を移動させる溶接線倣い制御方法についての発明であ
る。
本出願の第2の請求項は、溶接トーチをオシレートさせ
てアーク長及びワイヤ突き出し長の変化に伴う電気的変
化を検出し、前記検出信号により溶接トーチを溶接線に
倣わせる溶接線倣い制御方法において、前記溶接トーチ
がオシレート幅の右方向に進行している時のオシレート
右端で検出した前記検出信号と左方向に進行している時
のオシレート中心で検出した検出信号とを比較する第1
の比較信号及び溶接トーチがオシレート幅の左方向に進
行している時のオシレート左端で検出した検出信号と右
方向に進行している時のオシレート中心で検出した検出
信号とを比較する第2の比較信号とを演算し、前記第1
の比較信号と第2の比較信号との差が小さくなる方向
に、溶接トーチのオシレート中心を移動させる溶接線倣
い制御方法についての発明である。
[作用] 以下、本発明の前提となるアーク長の変化に影響する溶
接電源及びアークの特性の過渡現象について検討する。
溶接電源の特性 Ea=E0-R・Ia-L(dIa/dt) ……(7) R:回路の抵抗値 L:回路のインダクタンス値 (制御系の遅れ要素も含む) E0:溶接電源の無負荷電圧平均値 Ea:溶接電圧平均値 アークの特性 Ea=E1+αIa+β・B ……(8) Bはアーク長 E1,α,βは定数 ワイヤ溶融速度特性 (2)式の変形及び(5)式から Vm=Vf−(dA/dt) =Vf+(dB/dt)−(dD/dt) ……(9) (1)式,(5)式及び(7)式乃至(9)式から K2(d2Ia/dt2)+(K1+b・K2・I2a)(dIa/dt) +{a+b(D−K0+K1Ia)Ia}Ia =Vf−(dD/dt) ……(10) ただし、K0=(E0−E1)/β,K1=(R+α)/β, K2=L/β 以上のとおり求めた(10)式を用いてシュミレートした
結果を、第6図乃至第9図に示す。第6図乃至第9図
は、それぞれオシレート周波数が超低周波0.5〜2Hz,低
周波2〜5Hz,中間周波5〜7Hz及び高周波7〜10Hzにお
ける溶接トーチのオシレート位置P(横軸)と溶接電流
の平均値I(縦軸)との関係を示す図である。
したがって、本発明を第7図乃至第9図に基ずいて、オ
シレート中心Cと溶接線W0とのずれを確実に検出して溶
接トーチを溶接線に倣わせる制御方法を提案した。第7
図乃至第9図において、位置ずれがない時は、溶接電流
の平均値に最小値が存在しており、また位置ずれが小さ
い時も第5図に示すような曲線となりオシレート中に、
溶接電流の最小電流値を示す位置が存在している。しか
し、位置ずれが大きくなると、オシレート中に溶接電流
の最小電流値を示す位置が現れなくなっている。さら
に、オシレート周波数が7〜10Hzの高周波になると、2
〜5Hzの低周波の場合と溶接電流値の軌跡の方向が逆方
向になっている。
以上の検討結果をもとにした本発明の実施例を説明す
る。
[実施例] (1)請求項第1項の実施例 実施例1 第1の実施例は、請求項第1項に対する第1番目の実施
例であって、溶接トーチWTをオシレートさせてアーク長
及びワイヤ突き出し長の変化に伴う溶接電流の変化を検
出し、検出信号により溶接トーチを溶接線W0に倣わせる
溶接線倣い制御方法において、溶接トーチがオシレート
幅の右半分を右方向に進行している時に検出した溶接電
流の積分値ΣRr(第1の検出信号)と左方向に進行して
いる時に検出した溶接電流の積分値ΣRl(第2の検出信
号)との比ΣRr/ΣRlの第1の比較信号R1を演算し、次
に、溶接トーチがオシレート幅の左半分を左方向に進行
している時に検出した溶接電流の積分値ΣRl(第3の検
出信号)と右方向に進行している時に検出した溶接電流
の積分値ΣLr(第4の検出信号)との比ΣRL/ΣLrの第
2の比較信号L1を演算し、これらの差の信号J1=R1−L1
が小さくなる方向に溶接トーチのオシレート中心を移動
させる溶接線倣い制御方法である。
次に、オシレート周波数が2〜5Hzの低周波、5〜7Hzの
中間周波及び7〜10Hzの高周波の時のオシレート位置と
溶接電流値との関係について、第5図及び第7図乃至第
9図を使用して説明する。なお、いずれの周波数の場合
も位置ずれがない時は、第1の比較信号Rと第2の比較
信号Lとは一致してR=Lとなりオシレート中心は移動
しないので、以下の実施例において説明を省略する。
低周波及び中間周波オシレート 第7図(A)において、R1=ΣRr/ΣRl>1,L1=ΣLl/Σ
Lr<1であるので、R1−L1>0となり、オシレート中心
Cが溶接線W0に対して右にずれているので、オシレート
中心を左方向に移させる。同図(C)において、同図
(A)とは逆に、R1=ΣRr/ΣRl<1,L1=ΣLl/ΣLr>1
であるので、R1−L1<0となり、オシレート中心Cが溶
接線W0に対して左にずれているので、オシレート中心を
右に移動させる。
第8図(A)において、R1=ΣRr/ΣRl≒1,L1=ΣLl/Σ
Lr<1であるので、R1−L1>0となり、以下第7図
(A)と同様である。また第8図(C)において、R1
ΣRr/ΣRl<1,L1=ΣLl/ΣLr≒1であるので、R1−L1
0となり、以下第7図(C)と同様である。
高周波オシレート 第9図(A)において、R1=ΣRr/ΣRl<1,L1=ΣLl/Σ
Lr>1であるので、R1−L1<0となり、第7図(A)の
R1−L1>0とは逆符号になっているが、オシレート中心
Cが溶接線W0に対して右にずれているので、オシレート
中心を左方向に移動させる。同図(C)においては、R1
−L1>0となり、第7図(C)のR1−L1<0とは逆符号
になっているが、オシレート中心Cが溶接線W0に対して
左にずれているので、オシレート中心を右方向に移動さ
せる。
位置ずれが小さい場合 位置ずれが小さい場合は、第7図(A)の溶接電流軌跡
は第5図(A)に示す軌跡を描く。この場合において
も、R1=ΣRr/ΣRl>1,L1=ΣLl/ΣLr>1であるが、Ir
>Ilであるので、R1−L1>0となり、、以下、第7図
(A)と同様である。第5図(C)において逆の方向の
位置ずれが小さい場合も、第7図(C)と同様にR1−L1
<0になる。後述する各実施例において、位置ずれが小
さい場合は、通常の位置ずれが大きい場合と同様である
ので説明を省略する。
実施例2 第2の実施例は、請求項第1項に対する第2番目の実施
例であって、第1の実施例において、第1の検出信号Σ
Rrと第2の検出信号ΣRlとの差(ΣRr−ΣRl)の第1の
比較信号R2を求め、次に、第3の検出信号ΣLlと第4の
検出信号ΣLrとの差(ΣLl−ΣLr)の第2の比較信号L2
を求めて、これらの差の信号J2=R2−L2が最小値になる
ように溶接トーチのオシレート中心を移動させる溶接線
倣い制御方法である。
第1の実施例と同様に第7図乃至第9図を使用して説明
する。
低周波及び中間周波オシレート 第7図(A)において、R2=ΣRr−ΣRl>0,L2=ΣLl−
ΣLr<0であるので、R2−L2>0となり、以下、第1の
実施例と同様である。同図(C)において、R2=ΣRr−
ΣRl<0,L2=ΣLl−ΣLr>0なので、R2−L2<0とな
り、以下、第1の実施例と同様である。
第8図(A)において、R2=ΣRr−ΣRl≒0,L2=ΣLl−
ΣLr<0であるので、R2−L2>0となり、以下第7図
(A)と同様である。また第8図(C)において、R1
ΣRr−ΣRl<0,L2=ΣLl−ΣLr≒0であるので、R1−L1
<0となり、以下第7図(C)と同様である。
高周波オシレート 第9図(A)においてR2=ΣRr−ΣRl<0,L2=ΣLl−Σ
Lr>0であるので、R2−L2<0となり、以下、第1の実
施例と同様である。同図(C)において、R2=ΣRr−Σ
Rl>0,L2=ΣLl−ΣLr<0であるので、R2−L2>0とな
り、以下、第1の実施例と同様である。
実施例3 第3の実施例は、請求項第1項に対する第3番目の実施
例であって、溶接トーチWTをオシレートさせてアーク長
及びワイヤ突き出し長の変化に伴なう溶接電流の変化を
検出し、検出信号により溶接トーチを溶接線W0に倣わせ
る溶接線倣い制御方法において、溶接トーチがオシレー
ト幅の右半分を右方向に進行している時の予め定めた位
置(例えば中間位置)で検出した溶接電流値Rr(第1の
検出信号)と左方向に進行している時の上記予め定めた
位置で検出した溶接電流値Rl(第2検出信号)との比の
Rr/Rlの第1の比較信号R3を演算し、次に、溶接トーチ
がオシレート幅の左半分を左方向に進行している時の予
め定めた位置(例えば中間位置)で検出した溶接電流値
Ll(第3の検出信号)と右方向に進行している時の前記
予め定めた位置(例えば中間位置)で検出した溶接電流
値Lr(第4の検出信号)との比Ll/Lrの第2の比較信号L
3を演算して、これらの差の信号J3=R3−L3が小さくな
る方向に溶接トーチのオシレート中心を移動させる溶接
線倣い制御方法である。
第1の実施例と同様に第7図乃至第9図を使用して説明
する。
低周波及び中間周波オシレート 第7図(A)において、R3=Rr/Rl>1,L3=Ll/Lr<1で
あるので、R3−L3>0となり、以下、第1の実施例と同
様である。同図(C)において、R3=Rr/Rl<1,L3=Ll/
Lr>1,R3−L3<0となり、以下、第1の実施例と同様で
ある。
第8図(A)及び同図(C)において、それぞれR3≒0,
L3≒0になるが、上記と同様である。
高周波オシレート 第9図(A)においてR3=Rr/Rl<1,L3=Ll/Lr>1であ
るので、R3−L3<0となり、以下、第1の実施例と同様
である。同図(C)において、R3=Rr/Rl>1,L3=Ll/Lr
<1であるので、R3−L3>0となり、以下、第1の実施
例と同様である。
実施例4 第4の実施例は、請求項第1項に対する第4番目の実施
例であって、第3の実施例において、第1の検出信号Rr
と第2の検出信号Rlとの差(Rr−Rl)の第1の比較信号
R4を求め、次に、第3の検出信号Llと第4の検出信号Lr
との差(Ll−Lr)の第2の比較信号L4を求めて、これら
の差の信号J4=R4−L4が最小値になるように溶接トーチ
のオシレート中心を移動させる溶接線倣い制御方法であ
る。
第1の実施例と同様に第7図乃至第9図を使用して説明
する。
低周波及び中間周波オシレート 第7図(A)において、R4=Rr−Rl>0,L4=Ll−Lr<0
であるので、R4−L4>0となり、以下、第1の実施例と
同様である。同図(C)において、R4=Rr−Rl<0,L4
Ll−Lr>0であるので、R4−L4<0となり、以下、第1
の実施例と同様である。
第8図(A)及び同図(C)において、それぞれR4≒0,
L4≒0になるが、上記と同様である。
高周波オシレート 第9図(A)においてR4=Rr−Rl<0,L4=Ll−Lr>0で
あるので、R4−L4<0となり、以下、第1の実施例と同
様である。同図(C)において、R4=Rr−Rl>0,L4=Ll
−Lr<0であるので、R4−L4>0となり、以下、第1の
実施例と同様である。
実施例5 第5の実施例は、請求項第1項に対する第5番目の実施
例であって、第6図に示すように、オシレート周波数が
2〜5Hzの低周波の時と7〜10Hzの高周波の時とで、オ
シレート方向に対して溶接電流値の軌跡が逆回転方向に
なっている。すなわち、2〜5Hzの低周波の時は、オシ
レート右端において右廻りをし、オシレート左端におい
て左廻り(以下、正回転という)をしているのに対し
て、7〜10Hzの高周波の時は、逆に、オシレート右端に
おいて左廻りをし、オシレート左端において右廻り(以
下、逆回転という)をしている。
したがって、本実施例は、オシレート周波数を低周波2
〜5Hzから高周波7〜10Hzまでを共用する場合であっ
て、6Hz付近で、前述した第1乃至第4の実施例におい
て、第1の比較信号Rと第2の比較信号Lとの各々の信
号又は差の信号の極性を切替えることにある。
オシレート周波数が7〜10Hzの高周波になると、溶接電
流値の軌跡が逆回転方向になる理由は、(7)式の溶接
電源の特性の式において、L(dIa/dt)の回路のインダ
クタンスの影響によって溶接電流の時間的変化が、
(9)式のワイヤ溶融速度特性の変化に追従できなくな
るためである。
すなわち、第10図において、同図(A)は溶接トーチの
オシレート中心Cと溶接線W0とが一致している時(位置
ずれがない時)のオシレート位置と被溶接物の位置との
関係を示す図であり、同図(B)は時間経過tに対する
オシレート位置Pを示す図、同図(C)乃至(F)はオ
シレート周波数がそれぞれ0.5Hz,5Hz,7Hz及び10Hzの時
のオシレート位置Pに対する溶接電流値Iの変化の軌跡
を示す線図であり、同図(G)乃至(J)は時間経過t
に対する溶接電流値Iの変化を示している。オシレート
周波数が例えば0.5Hzの超低周波の時は、図(B)に示
すオシレート位置が右端のオシレート幅最大の位置R0
ある時、同図(G)に示す溶接電流値も最大のI5となり
両者は同位相にある。
オシレート周波数が0.5Hzの超低周波よりも増加して5Hz
の低周波になると、第4図(A)及び(B)で説明した
ように、トーチ先端距離の変化にワイヤ溶融速度の変化
が追従できなくなり、アーク長が変化して溶接電流値が
変化するために、第10図(H)に示すように、溶接電流
値の最大位置I5は、右端のオシレート幅の最大オシレー
ト位置R0に対してΘだけ速い位置(進んだ位置)にな
る。したがって、同図(B)と同図(H)とを合成して
時間tの成分を消去すると、オシレート位置に対する溶
接電流の軌跡は、同図(D)に示す回転方向(正回転)
となる。
次に、オシレート周波数が7Hz程度の中間周波になる
と、電源回路のインダクタンスの影響が現れ、同図
(I)に示すように、溶接電流値Iの最大位置I5がオシ
レート幅最大のオシレート位置R0に対して5Hzの低周波
の場合よりも遅れて、両者は同位相になる。したがっ
て、同図(B)と同図(I)とを合成して時間tの成分
を消去すると、オシレート位置に対する溶接電流の軌跡
は、同図(E)に示すようにオシレート往復ともほとん
ど一致する。なお、位置ずれが発生した時は、前述した
第8図(A)及び(C)に示すとおりの溶接電流軌跡と
なる。
さらに、オシレート周波数が10Hz程度の高周波になる
と、電源回路のインダクタンスの影響が大となり、溶接
電流値Iの最大位置I5がオシレート幅最大のオシレート
位置R0に対して7Hzの場合よりもさらに遅れて、同図
(J)に示すように、溶接電流値の最大位置I5は、オシ
レート位置が右端のオシレート幅の最大の位置R0に対し
てΘだけ遅い位置(遅れた位置)になる。したがっ
て、同図(B)と同図(J)とを合成して時間tの成分
を消去すると、オシレート位置に対する溶接電流の軌跡
は、同図(F)に示すように、5Hzの場合の(D)図の
場合とは逆の回転方向(逆回転)となる。
第11図は溶接電源の回路インダクタンス[mH](横軸)
とオシレート周波数[Hz](縦軸)との関係を示すグラ
フである。同図において、例えば、回路インダクタンス
が0.25[mH]の時は、溶接電流軌跡が逆回転になるオシ
レート周波数が6.5[Hz]であるのに対して、回路イン
ダクタンスが1.0[mH]に増加すると逆回転になるオシ
レート周波数は、3.0[Hz]まで低下することを示して
いる。
(2)請求項第2項の実施例 請求項第1項の構成においては、オシレート周波数が2
〜5Hzの低周波から7〜10Hzの高周波の範囲まで、溶接
電流の軌跡がオシレート方向によって差異が発生するこ
とを利用して、オシレート中心と溶接線との位置ずれを
検出している。したがって、オシレート周波数が2Hz未
満の超低周波になると、アーク長が一定値を維持して溶
接電流値がオシレート方向によって差異を生じなくなる
ので、オシレート中心と溶接線との位置ずれの検出がで
きなくなる。
そこで、請求項の第2項は、オシレート方向によって溶
接電流の軌跡に差を生じない従来の低周波オシレートの
技術とオシレート方向によって溶接電流の軌跡に差が生
じる低周波から高周波の範囲の請求項第1項の技術とを
組み合わせて、超低速度から高周波まで共用できる溶接
線倣い制御方法を提供したものである。
実施例6 第6の実施例は、第2の請求項に対する第1番目の実施
例であって、溶接トーチWTをオシレートさせてアーク長
及びワイヤ突き出し長の変化に伴う溶接電流の変化を検
出し、検出信号により溶接トーチを溶接線W0に倣わせる
溶接線倣い制御方法において、溶接トーチがオシレート
幅の右方向に進行している時のオシレート右端で検出し
た溶接電流値Re(第1の検出信号)と左方向に進行して
いる時のオシレート中心で検出した溶接電流値Cl(第2
の検出信号)との比のRe/Clの第1の比較信号R6を演算
し、次に、溶接トーチがオシレート幅の左方向に進行し
ている時のオシレート左端で検出した溶接電流値Le(第
3の検出信号)と右方向に進行している時のオシレート
中心で検出した溶接電流値Cr(第4の検出信号)との比
Le/Crの第2の比較信号L6を演算し、これらの差の信号J
6=R6−L6が小さくなる方向に溶接トーチのオシレート
中心を移動させる溶接線倣い制御方法である。なお、前
述した検出精度の向上のために、第1及び第2の比較信
号を、低周波の時はR6=Re/Cl及びL6=Le/Crとし、高周
波の時はR6=Re/Cr及びL6=Le/Clに切り替えるようにし
てもよい。
オシレート周波数が0.5〜2Hzの超低周波から7〜10Hzの
高周波まで共用できる実施例について、第6図乃至第9
図を使用して説明する。
超低周波オシレート 第6図(A)において、R6=Re/Cl>1,L6=Le/Cr<1で
あるので、R6−L6>0となり、以下、第1の実施例と同
様である。同図(C)において、R6=Re/Cl<1,L6=Le/
Cr>1であるので、R6−L6<0となり、以下、第1の実
施例と同様である。
低周波及び中間周波オシレート 第7図(A)において、R6=Re/Cl>1,L6=Le/Cr<1で
あるので、R6−L6>0となり、以下、第1の実施例と同
様である。同図(C)において、R6=Re/Cl<1,L6=Le/
Cr>1であるので、R6−L6<0となり、以下、第1の実
施例と同様である。
第8図(A)及び同図(C)において、それぞれL6≒1,
R6≒1になるが、上記と同様である。
高周波オシレート 第9図(A)において、R6=Re/Cl>1,L6=Le/Cr≒1で
あるので、R6−L6>0となり、以下、第7図の場合と同
様になる。同図(C)において、R6=Re/Cl≒1,L6=Le/
Cr>1であるので、R6−L6<0となり、以下、第7図の
場合と同様になる。なお、高周波オシレートの場合、Cr
とClとを切換えることにより、Re/Clの比及びLe/Crの比
よりもRe/Crの比及びLe/Clの比が大きくなるので精度を
向上させることができる。
実施例7 第7の実施例は、請求項第2項に対する第2番目の実施
例であって、実施例6において、第1の検出信号Reと第
2の検出信号Clとの差(Re−Cl)を求め、次に第3の検
出信号Leと第4の検出信号Crとの差(Le−Cr)を求め
て、これらの差の信号J7=R7−L7が最小値になるように
溶接トーチのオシレート中心を移動させる溶接線倣い制
御方法である。
なお、前述した検出精度の向上のために、第1及び第2
の比較信号を、低周波の時はR7=Re−Cl及びL7=Le−Cr
とし、高周波の時はR7=Re−Cr及びL7=Le−Clに切換え
るようにしてもよい。
第6の実施例と同様に、第6図乃至第9図を使用して説
明する。
超低周波オシレート 第6図(A)において、R7=Re−Cl>0,L7=Le−Cr<0,
R7−L7>0となり、以下、第1の実施例と同様である。
同図(C)において、R7=Re−Cl<0,L7=Le−Cr>0,R7
−L7<0となり、以下、第1の実施例と同様である。
低周波及び中間周波オシレート 第7図(A)において、R7=Re−Cl>0,L7=Le−Cr<0,
R7−L7>0となり、以下、第1の実施例と同様である。
同図(C)において、R7=Re−Cl<0,L7=Le−Cr>0,R7
−L7<0となり、以下、第1の実施例と同様である。
第8図(A)及び同図(C)において、それぞれL6≒0,
R6≒0になるが、上記と同様である。
高周波オシレート 第9図において、R7=Re−Cl>0,L7=Le−Cr≒0,R7−L7
>0となり、以下、第7図の場合と同様になる。同図
(C)において、R7=Re−Cl≒0,L7=Le−Cr>0,R7−L7
<0となり、以下、第7図の場合と同様になる。なお、
高周波オシレートの場合、ClとCrとを切換えることによ
り、Re−Clの差及びLe−Crの差よりもRe−Crの差及びLe
−Clの差が大きくできるので精度を向上させることがで
きる。
(3)本発明の制御方法を実施するための装置 第14図は、本発明の制御方法を適用してアーク溶接する
ための装置全体の概略構成図である。
第1図(A)は、請求項第1項及び第2項の溶接線倣い
制御方法を実施する装置の実施例のブロックを示す。
第1図において、1は溶接ロボット本体、WTは溶接ロボ
ットに手首に取り付けられた溶接トーチ、Wは消耗電
極、Waは消耗電極先端、We及びWrはそれぞれ左側の被溶
接物及び右側の被溶接物であって両者の突き合わせ線が
溶接線W0を形成している。溶接トーチWTと被溶接物との
間には、溶接電流検出回路10を通じて溶接電源9が接続
されいる。8はロボットの溶接トーチ位置制御回路であ
って、溶接トーチWTの移動及び矢印L0及びR0の方向のオ
シレート動作を制御すると共に、溶接トーチWTの位置を
検出するエンコーダの出力信号を入力としてトーチ位置
パルス列信号S8を出力する。11はトーチ位置パルス列信
号S8を入力として第1図(B)に示すオシレート位置検
出信号S11を出力する溶接トーチ位置検出回路である。1
8はオシレート位置検出信号S11を順次にメモリするオシ
レート用記憶回路である。19は、オシレート用記憶回路
18から、最新の信号よりも前のオシレートN周期分の信
号を読み出し低周波ノイズ及びドリフトを除去するオシ
レート用フィルタ回路である。20は溶接電流検出回路10
が検出した溶接電流に対応した信号S10を順次にメモリ
する溶接電流用記憶回路である。12は、記憶回路20か
ら、オシレート各位置に対応した最新の信号よりも前の
オシレートN周期分の信号を読み出し高周波ノイズを除
去して第1図(C)に示す溶接電流Iに対応する電流フ
ィルタ信号S12を出力する溶接電流用フィルタ回路であ
る。13は、位置フィルタ信号S19と電流フィルタ信号S12
とを入力として、第1図(D)に示すオシレート位置に
対する溶接電流の変化を示す波形信号S13を出力する位
置・電流波形合成回路である。14は波形信号S13を入力
としてオシレート幅の右半分を右方向に進行していると
き(以下、右進時という)に検出した溶接電流検出信号
(第1の検出信号)と左方向に進行している時(以下、
左進時とい)に検出した溶接電流検出信号(第2の検出
信号)とを比較して第1図(E)に示す第1の比較信号
Rを出力する右位置電流差演算回路である。15は波形信
号S13を入力としてオシレート幅の左半分を左進時に検
出した溶接電流検出信号(第3の検出信号)と右進時に
検出した溶接電流検出信号(第4の検出信号)とを比較
して第1図(F)に示す第2の比較信号Lを出力する左
位置電流差演算回路である。16は第1の比較信号Rと第
2の比較信号Lとの差の左右電流信号J=R−Lを出力
する左右電流差演算回路である。26は、左右電流差信号
Jを入力として、関数F(J)から、溶接線中心位置の
ずれ方向とずれ量とを表わす信号(以下、位置ずれ信号
という)Zを出力する位置ずれ演算回路である。17は位
置ずれ信号Zを入力として、倣い操作量Qを演算するオ
シレート中心位置補正回路である。25は、倣い操作量Q
を入力として、オシレート中心位置を修正する中心位置
補正信号S17を前述したロボットの溶接トーチ位置制御
回路8に出力する通信ドライバである。
第14図において、第1図と同一の符号の説明は省略す
る。同図において、2はロボット制御装置であって、第
1図(A)の溶接トーチ位置検出回路11及びトーチ位置
制御回路8を含んでいる。3は、倣い制御装置であっ
て、第1図(A)で説明した符号12乃至26の各回路を含
んでいる。21は、トーチ位置検出回路11の一部分を形成
するエンコーダ信号累積カウンタであって、オシレート
位置に対応するエンコーダ信号を累積して累積カウンタ
21のカウント値を後述するCPUに読込む。23は、CPUであ
って、第1図(A)で説明した符号12乃至17,19及び26
の各回路を形成する。24は主記憶回路であって、その領
域の一部分に、第1図(A)の符号18及び20の回路を形
成する。10は溶接電流検出回路であって、電流検出ホー
ル素子10a,増幅回路10b,サンプリングホールド回路10c
及びA/Dコンバータ10dより構成される。
上述した右位置電流差演算回路14及び左位置電流差演算
回路15は、前述した各実施においては次の演算を行う。
第1の実施例 演算回路14は、波形信号S13を入力として、溶接トーチ
がオシレート幅の右半分を右進時に検出した溶接電流の
積分値ΣRr(第1の検出信号)と左進時に検出した溶接
電流の積分値ΣRl(第2の検出信号)との比ΣRr/ΣRl
の第1の比較信号R1を出力する。
演算回路15は、波形信号S13を入力として、溶接トーチ
のオシレート幅の左半分を左進時に検出した溶接電流の
積分値ΣLl(第3の検出信号)と右進時に検出した溶接
電流の積分値ΣLr(第4の検出信号)との比ΣLl/ΣLr
の第2の比較信号L1を出力する。
第2の実施例 演算回路14は、第1の実施例において、第1の検出信号
ΣRrと第2の検出信号ΣRlとの差(ΣRr−ΣRl)の第1
の比較信号R2を出力する。演算回路15は、第1の実施例
において、第3の検出信号ΣLlと第4の検出信号ΣLrと
の差(ΣLl−ΣLr)の第2の比較信号L2を出力する。
第3の実施例 演算回路14は、波形信号S13を入力として、溶接トーチ
がオシレート幅の右半分を右進時の中間位置で検出した
溶接電流信号Rr(第1の検出信号)と左進時の中間位置
で検出した溶接電流信号Rl(第2の検出信号)との比Rr
/Rlの第1の比較信号R3を出力する。演算回路15は、波
形信号S13を入力として溶接トーチがオシレート幅の左
半分を左進時の中間位置で検出した溶接電流信号Ll(第
3の検出信号)と右進時の中間位置で検出した溶接電流
信号Lr(第4の検出信号)との比Ll/Lrの第2の比較信
号L3を出力する。
第4の実施例 演算回路14は、第3の実施例において、第1の検出信号
Rrと第2の検出信号Rlとの差(Rr−Rl)の第1の比較信
号R4を出力する。演算回路15は、第3の実施例におい
て、第3の検出信号Llと第4の検出信号Lrとの差(Ll−
Lr)の第2の比較信号L4を出力する。
第5の実施例 第5の実施例は、第1乃至第4の実施例において、オシ
レート周波数が7〜10Hzの高周波の時に、第1の比較信
号Rと第2の比較信号Lとの極性を互に逆にした場合で
ある。
第6の実施例 演算回路14は、波形信号S13を入力として、溶接トーチ
の右進時のオシレート右端で検出した溶接電流値Re(第
1の検出信号)と左進時のオシレート中心で検出した溶
接電流値Cl(第2の検出信号)との比Re/Clの第1の比
較信号R6を出力する。演算回路15は、波形信号S13を入
力として、溶接トーチの左進時のオシレート左端で検出
した溶接電流値Le(第3の検出信号)と右進時のオシレ
ート中心で検出した溶接電流値Cr(第4の検出信号)と
の比Le/Crの第2の比較信号L6を出力する。なお、高周
波のオシレートの場合に、前述した検出精度の向上のた
めに、第1の比較信号R6としてRe/Crを出力し、第2の
比較信号Le/Clを出力するようにしてもよい。
第7の実施例 演算回路14は、第6の実施例において、第1の検出信号
Reと第2の検出信号Clとの差(Re−Cl)の第1の比較信
号R7を出力する。演算回路15は、第6の実施例におい
て、第3の検出信号Leと第4の検出信号Crとの差(Le−
Cr)の第2の比較信号L7を出力する。なお、前述した検
出精度の向上のために、高周波のオシレートの場合に、
第1の比較信号R7として(Re−Cr)を出力し、第2の比
較信号として(Le−Cl)を出力するようにしてもよい。
その他の変形例 本発明の倣い制御方法は、以上の実施例に限定されるも
のではなく、請求項に含まれる各種の変形、例えば溶接
トーチをオシレートさせてアーク長及びワイヤ突き出し
長の変化に伴う電気的変化であれば、溶接電流の平均
値、サンプリングした溶接電流のディジタル信号、ショ
ートアーク溶接のアーク期間又は短絡期間の電圧又は電
流、パルスアークのベース期間の電流又は電圧等を使用
することができる。
(4)サンプリングの動作説明 第1図及び第14図に示す倣い制御装置3のサンプリング
動作について説明する。
トーチ位置及び溶接電流のサンプリング周期 溶接トーチWTの各オシレート位置のデータ及びその各オ
シレート位置に対応した溶接電流値のデータをサンプリ
ングする周期を定めるクロック信号の周波数Fsは、ショ
ートアーク溶接における短絡時又はパルスアーク溶接に
おけるパルス電流とベース電流との変化時における溶接
電流波形の微細な変化を、正確にサンプリングできるよ
うにするために、10〜15KHzの高い周波数を選定する。
オシレート中心位置補正の周期 オシレート中心位置補正の周期(以下、位置補正周期と
いう)Tdを短くすると、溶接トーチと溶接線との位置ず
れを微細に制御することができるが、この位置補正周期
Tdは1回の位置補正演算時間Tcよりも小さくすることは
できない。逆に、位置補正周期Tdを長くすると、倣い制
御のための演算時間を長くとることができるので、1回
のオシレート中心位置補正に処理できるデータ数を大き
くすることができ、信頼性を向上させることができる。
そこで、位置補正周期Tdとしては、位置補正周期Tdの間
に溶接トーチが溶接線方向に移動するる距離Ldとする
と、溶接トーチの溶接線方向への移動速度(溶接速度)
Vdの設定値に対して、移動距離Ldが略一定となり、かつ
位置補正周期Tdが、1回の位置補正演算時間Tcよりも長
くなる値を選定する。すなわち、TdはLd/Vd又はTcのい
ずれかの最大値を選定すればよい。
溶接トーチ位置及び溶接電流検出信号の記憶 溶接トーチ位置検出信号S11及び溶接電流検出信号S
10は、主記憶回路24の領域の一部分をしめるバッファに
記憶される。ここで使用するバッファは、バッファの最
終アドレスの次のアドレスが、先頭のアドレスに戻るリ
ングバッファ18a及び20aに、バッファのどの位置にデー
タを書き込み(読み出し)するかという情報(以下、リ
ングバッファポインタという)によって書き込み・読み
出しが行われる。
サンプリング動作の流れ図 第15図に、オシレート位置検出信号S11及び溶接電流検
出信号S10をサンプリングしてリングバッファ18a及び20
aに書き込むサンプリング動作の流れ図を示す。
電源の投入時に、オシレート用記憶回路18及び溶接電
流用記憶回路20を初期化する。
倣い制御の開始時に、図示していない検出信号サンプ
リング用クロック信号のクロックカウンタをリセットす
る。
倣い制御開始とともににサンプリング用クロック信号
を起動する。
トーチ位置検出回路11のエンコーダが検出したエンコ
ーダ信号を、エンコーダ信号累積カウンタ21で累積して
一連のオシレート位置検出信号S11をCPUに読込む。
CPUに読込んだ第16図(A)に示す一連のオシレート
位置検出信号S11を、主記憶回路24のオシレート用リン
グバッファ18aに、リングバッファポインタが指示する
位置に記憶する。
溶接電流検出回路10の溶接電流検出信号S10を、第14
図に示すA/Dコンバータ10dでディジタル信号に変換して
CPUに読込む。
CPUに読込んだ第17図(A)に示す一連の溶接電流検
出信号S10を、主記憶回路24の溶接電流用リングバッフ
ァ20aに、リングバッファポインタが指示する位置へ記
憶する。
リングバッファポインタを進め、第1図及び第14図に
図示していないクロックカウンタを1だけ増加させ、ク
ロックカウンタのカウント値が設定値Mに達するまでサ
ンプリングを繰り返す。(設定値Mは、例えば、前述し
たサンプリングのクロック信号の周波数Fsと位置補正周
期Tdとの積である。) クロックカウンタ値がMに達すると、クロックカウン
タをリセットするとともに、倣い制御演算開始の指令を
出力した後、サンプリングを繰り返す。
サンプリングを継続しないときは、サンプリングクロ
ック信号を停止して倣い制御を終了する。
(5)フィルタの動作説明 オシレート用フィルタ 第16図(A)に示す一連のオシレート位置検出信号S
11を記憶しているオシレート用リングバッファ18aか
ら、リングバッファポインタが指令する最新のオシレー
ト位置検出信号S11よりも前のオシレートN周期(例え
ば1周期)の一連のオシレート位置信号(以下、データ
Xmという)を読み出し、オシレート用バッファ18bに記
憶する(16図(B)参照)。
オシレート用バッファ18bに記憶されたデータXmを、
オシレート用フィルタ回路19に出力して低周波ノイズ及
びドリフトを取り除き、第16図(C)に示す位置フィル
タ信号S19(以下、データXという)を出力する。
溶接電流用フィルタ 第17図(A)に示す溶接電流検出信号S10を記憶して
いる溶接電流用リングバッファ20aから、リングバッフ
ァポインタが指令する最新の電流信号S201よりも前のオ
シレートN周期(例えば1周期)の一連の溶接電流信号
(以下、データYmという)を読み出し、溶接電流用バッ
ファ20bに記憶する(第17図(B)参照)。
溶接電流用バッファ20bに記憶されたデータYmを、溶
接電流用フィルタ回路12に出力して高周波ノイズを取り
除き、第17図(C)に示す電流フィルタ信号S12(以
下、データYという)を出力する。
オシレート用フィルタ回路の動作説明 第18図(A)乃至(D)を参照してオシレート用フィル
タ回路19の動作を説明する。
同図(A)に示すように、オシレート用バッファ18b
から読み出されたデータXmの最初の信号値と最後(最
新)の信号値S111とを直線で結び、その直線をオシレー
ト位置の零点となるように、同図(B)のとおり変換す
る。
さらに、同図(B)のデータの最大値Xlと最小値Xsと
の平均値Xa(同図(C))が、オシレート位置の零点と
なるように、同図(D)のとおり変換する。
溶接電流用フィルタ回路の動作原理 第19図の実線は、溶接電流用リングバッファ回路20aの
一連の電流バッファ信号S20(データYm)の時間的経過
tを示す。同図において、データYの平滑化時間Ta(10
〜50msec)の間のU個のデータの移動平均を演算する。
このときの移動平均個数Uは、バッファ信号の平滑化時
間Taとサンプリング用クロック信号周波数Fsとの積であ
り、時刻T1における移動平均値Ytは、次の式で表わさ
れ、第19図の点線のようになる。
(6)位置補正信号の演算 第16図(C)に示す位置フィルタ信号S19(データ
X)と第17図(C)に示す電流フィルタ信号S12(デー
タY)とを、位置・電流波形合成回路13に入力して、第
20図に示す波形信号S13を形成する。
右位置電流差演算回路14は、波形信号S13を入力とし
て、第21図(B)に示す溶接トーチがオシレート幅の右
半分を右進する時の電流データのディジタル値の総和Σ
Rrと、同図(C)に示す右半分を左進する時の電流デー
タのディジタル値の総和ΣRlとの差である第1の比較信
号R8=ΣRr−ΣRlを演算する(第21図(A)参照)。
なお、第21図(A)乃至(C)及び第22図(A)乃至
(C)の横軸は、オシレート位置Pに対応する位置フィ
ルタ信号S19を表わし、縦軸は溶接電流値Iに対する電
流フィルタ信号S12を表わす。
左位置電流差演算回路15は、波形信号S13を入力とし
て、第22図(B)に示す溶接トーチがオシレート幅の左
半分を左進する時の電流データのディジタル値の総和Σ
Llと、同図(C)に示す左半分を右進す時の電流データ
のディジタル値の総和ΣLrとの差である第2の比較信号
L8=ΣLl−ΣLrを演算する(第22図(A)参照)。
左右電流差演算回路16は、第1の比較信号R8と第2の
比較信号L8との差の信号J=R8−L8を演算する。
位置ずれ演算回路26は、差の信号Jを変数とする関数
F(J)から、溶接線中心位置ずれの方向と量とを表わ
す信号Z=F(J)を出力する。
関数F(J)としては、例えばaJ+bが用いられる。
ただし、a及びbは、予め定めた定数で、例えば、オシ
レート周波数5[Hz]の時は、波形信号S13が「8の
字」の正回転方向となるので、a>0とする。又10[H
z]の時は、逆回転方向となるのでa<0とする。
位置ずれ信号Zの算出 消耗電極先端Waを、予め溶接線W0より既知の値Zrだけず
らして溶接を行ない、前述した項の差の信号Jrを演算
すると、開先形状、溶接トーチ姿勢等によって、第23図
(A)、(B)等に示される状態図が得られる。
これにより、例えば第23図(A)においては、ZrとJrと
が略直線状であるので、Zr=aJr+b式に置換すること
ができ、回帰分析によって、a,bの値を求めると、前述
した項の差の信号Jから、オシレート中心位置ずれデ
ータZを求めることができる。
17は、位置ずれ信号Zから、倣い操作量Qを求めるオ
シレート中心位置補正回路である。倣い操作量Qは、例
えばPID制御においては ただし、k,l,mは定数、 iは倣い制御演算回数である。
倣い操作量Qを入力とする通信ドライバ25は、中心位
置補正信号S17を、トーチ位置制御回路8に出力してオ
シレート中心位置ずれを補正することにより、倣い制御
を行う。
[発明の効果] 本発明の効果は次のとおりである。
(1)高速溶接における溶接線倣いが可能となった。
従来の溶接線倣い制御方法では、オシレート周波数が5H
z程度の中間周波までしか溶接線の検出ができなかっ
た。第12図は、オシレート周波数[Hz](横軸)に対す
る溶接線との位置ずれ検出誤差(以下、検出誤差とい
う)の標準偏差[mm](縦軸)を示す線図である。同図
の点線は、従来の制御方法の検出誤差の標準編差を示す
曲線であって、オシレート周波数が6Hz以上になると、
検出誤差の標準偏差が1[mm]を大幅にこえるために使
用できなかった。これに対して同図の実線は、本発明の
制御方法の検出誤差の標準偏差を示す曲線であって、オ
ンレート周波数が2〜6Hzまでは検出誤差の標準偏差が
1.0[mm]未満であり、6Hzをこえると従来とは逆に、検
出誤差の標準偏差が減少して10Hzの高周波では、0.5[m
m]となり、特に高周波において検出誤差が小さくなっ
ている。
従来の倣い制御方法で、オシレート周波数を大にしない
で、溶接速度のみを大にすると、オシレートによる溶接
ビードの蛇行が目立つようになる。そこで、従来の溶接
線追従時の最高溶接速度は、下向隅肉溶接では120[cm/
min]程度であり、重ね隅肉溶接では80[cm/min]程度
であった。これに対して本発明では、オシレート周波数
を7〜10Hzの高周波にできるために、溶接線追従時の最
高溶接速度を、下向隅肉溶接では200[cm/min]、重ね
隅肉溶接では150[cm/min]程度まで上昇させることが
できた。すなわち、溶接速度を従来の2倍にしても、オ
シレート周波数も従来の2倍にすることができるため
に、オシレートによるビードの蛇行は同じで問題になら
ない。
また、従来では、溶接線追従時の最高溶接速度に前述し
た限度があったために、薄板においても、溶接速度を速
くすることができないので、最小板厚は、水平隅肉溶接
では2.0[mm]、重ね隅肉溶接では3.2[mm]が限度であ
った。これに対して本発明では、最小板厚を、水平隅肉
溶接では1.2[mm]まで、重ね隅肉溶接では2.3[mm]ま
で適用が可能となった。
(2)溶接線追従の精度が向上した。
アークセンサではオシレートの一周期又は半周期の溶接
電流の平均電流のデータを基に、溶接線からの位置ずれ
が検出されるが、オシレート周波数を高くすることによ
って単位時間に検出を行うことができる回数が増加す
る。
第13図は、教示された溶接線(横軸と一致)に対して、
傾斜して配置された実際の溶接線Wsの位置ずれを示して
おり、横軸は溶接時間[秒]、縦軸は教示溶接線(横軸
と一致)に対する傾斜して配置された実際の溶接線との
配置の位置ずれ距離[mm]である。同図におい点線は、
オシレート周波数が2.5Hzの従来の制御方法による傾斜
した実際の溶接線Wsとオシレート中心Cとの位置ずれの
時間経過を示し、位置ずれが最大1.0[mm]も生じてい
る。これに対して、同図の実線は、オシレート周波数が
10Hzの本発明の制御方法による傾斜した実際の溶接線Ws
とオシレート中心Cとの位置ずれの時間経過を示し、位
置ずれの最大値は0.5[mm]以下であって、従来の半分
以下になり、溶接線追従の精度が向上している。
(3)立向下進溶接における倣い制御が可能になった。
立向下進溶接においては、溶融金属がアークの下方に垂
れさがり、開先の表面まで溶融金属が不安定に流動する
ために、従来の倣い制御方法では、立向下進溶接をアー
クセンサ倣い制御によっ行うことは、極めて困難であっ
た。それに対して本発明の制御方法においては、オシレ
ート周波数を高周波にして溶接速度を高速度にすること
ができるようになったために、溶融金属が垂れ落ちる速
度よりも速い溶接速度で溶接トーチ(アーク)を移動さ
せるので、溶融金属の垂れ落ちの影響はほとんど受ける
ことなく、安定した立向下進溶接の倣い制御を行うこと
が可能になり、例えば、溶接速度が200[cm/min]の立
向隅肉下進溶接、溶接速度が150[cm/min]の立向重ね
隅肉溶接を行うことができる。
(4)小電流溶接時にも精度の高い倣い制御が可能にな
った。
アークセンサによる倣い制御方法は、溶接電流が小さく
なると検出誤差が大になるが、本発明の倣い制御方法で
は、小電流になっても、オシレート周波数を高周波にす
ることによって検出誤差が従来よりも小さくできるため
に、従来よりも小電流溶接時にも倣い制御方法を行うこ
とができる。
(5)各種溶接方法に適用できる。
従来の倣い制御方法では、アーク長が略一定であること
が前提であったために、アーク長が変動したり、溶接電
源の回路インダクタンスの異なる溶接法に共通に使用す
ることできなかった。それに対して、本発明の倣い制御
方法は、アーク長が変動しても、溶接電源の回路インダ
クタンスが変化しても適用できるために、スプレーアー
クでも、ショートアークでも、パルスアークでも広い溶
接条件の範囲にわたって、単独に又は共用して使用する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)は本発明の溶接線倣い制御方法を実施する
ための装置の実施例のブロック図であり、同図(B)乃
至(E)は各回路の出力波形図であって、同図(B)は
溶接トーチ位置検出回路11の出力でオシレート位置検出
信号の波形図、同図(C)はフィルタ回路12の出力の溶
接電流検出信号の波形図、同図(D)は位置・電流波形
合成回路13の出力の波形信号の波形図、同図(E)は右
位置電流差演算回路14の出力である第1の比較信号の波
形図、同図(F)は左位置電流差演算回路15の出力であ
る第2の比較信号の波形図である。 第2図は、従来の倣い制御方法の位置ずれがない場合で
あってアーク長が一定と仮定した場合の説明図であっ
て、同図(A)はオシレート位置と溶接電流値との関係
を示す図、同図(B)は溶接トーチWTのオシレート位置
に対応したワイヤ先端位置Wa、ワイヤ突き出し長A1,A0
アーク長B0の関係を示す図、同図(C)及び(D)はそ
れぞれ時間の経過t(横軸)に対する溶接電流値I及び
オシレート位置P(縦軸)との関係を示す図である。 第3図は、従来の倣い制御方法の第2図において、位置
ずれがある場合のオシレート位置と溶接電流値との関係
を示す図である。 第4図は、オシレート周波数が2〜5Hz程度で位置ずれ
がない場合であって、実測したオシレート位置と溶接電
流値との関係を示す図であり、第5図は第4図におい
て、位置ずれが少ない場合の実測したオシレート位置と
溶接電流値との関係を示す図である。 第6図乃至第9図は、本発明の制御方法を検討するため
のアーク長の変動及び溶接電源回路のインダクタンスを
考慮にいれた微分方程式から求めたオシレート位置と溶
接電流値との関係を示す図であって、第6図(A)乃至
(C)はオシレート周波数が0.5〜2Hzの超低周波、第7
図(A)乃至(C)は2〜5Hzの低周波、第8図(A)
乃至(C)は5〜7Hzの中間周波及び第9図(A)乃至
(C)は7〜10Hzの高周波の場合のそれぞれオシレート
中心が溶接線に対して右にずれている場合、位置ずれが
ない場合及び左にずれている場合のオシレート位置と溶
接電流値との関係を示す図である。 第10図(A)は溶接トーチのオシレート中心Cと溶接線
W0が一致している時(位置ずれがない時)のオシレート
位置と被溶接物の位置との関係を示す図であり、同図
(B)は時間経過tに対するオシレート位置Pを示す
図、同図(C)乃至(F)はオシレート周波数がそれぞ
れ0.5Hz,5Hz,7Hz及び10Hzの時のオシレート位置Pに対
する溶接電流値Iの変化の軌跡を示す図であり、同図
(G)乃至(J)は時間経過tに対する溶接電流値Iの
変化を示す図である。 第11図は、溶接電源の回路インダクタンス[mH](横
軸)とオシレート周波数[Hz](縦軸)との関係を示す
グラフである。 第12図は、オシレート周波数[Hz](横軸)に対する溶
接線との位置ずれ検出誤差の標準偏差[mm](縦軸)を
示す線図である。 第13図は、教示された溶接線(横軸と一致)に対して、
傾斜して配置された実際の溶接線Wsに対する位置ずれの
溶接時間[秒](横軸)と、教示溶接線に対する傾斜し
て配置された実際の溶接線との配置の位置ずれ距離[m
m](縦軸)との関係を示す線図である。 第14図は、本発明の倣い制御方法を適用してアーク溶接
するための装置全体の概略構成図である。 第15図は、倣い制御装置のうちのサンプリング動作の流
れ図を示す。 第16図(A)は、オシレート用リングバッファ18aに読
込んだ一連のオシレート位置検出信号S11の時間的経過
を示す図である。 第16図(B)は、オシレート用バッファ18bに読込んだ
一連のオシレート位置信号(データXm)の時間的経過を
示す図である。 第16図(C)は、オシレート用フィルタ回路19から出力
される一連のフィルタ信号S19(データX)の時間的経
過を示す図である。 第17図(A)は、溶接電流用リングバッファ20aに読込
んだ一連の溶接電流検出信号S10の時間的経過を示す図
である。 第17図(B)は、溶接電流用バッファ20bに読込んだ一
連の溶接電流検出信号(データYm)の時間的経過を示す
図である。 第17図(C)は、溶接電流用フィルタ回路12から出力さ
れる一連の電流フィルタ信号S12(データY)の時間的
経過を示す図である。 第18図(A)乃至(D)は、オシレート用フィルタ回路
19の動作順序を説明する波形図である。 第19図は、溶接電流用バッファ回路20の一連のバッファ
信号(データY)の時間経過を示す図である。 第20図は、左右電流差演算回路16から出力する波形信号
S13の波形図である。 第21図(A)乃至(C)は、右位置電流差演算回路14の
動作を説明する波形図である。 第22図(A)乃至(C)は、左位置電流差演算回路15の
動作を説明する波形図である。 第23図(A)及び(B)は、オシレート中心位置ずれを
算出する関数の定数を求める図である。 (第6図乃至第9図参照) 第1の比較信号 R……ΣRr/ΣRl,ΣRr/ΣRl,Re/Rl,Rr
−Rl,Re/Cl,Re−Cl 第2の比較信号 L……ΣLl/ΣLr,ΣLr/ΣLl,Ll/Lr,Ll
−Lr,Le/Cr,Le−Cr P……オシレート位置 I……溶接電流

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶接トーチをオシレートさせてアーク長及
    びワイヤ突き出し長の変化に伴う電気的変化を検出し、
    前記検出信号により溶接トーチを溶接線に倣わせる溶接
    線倣い制御方法において、前記溶接トーチがオシレート
    幅の右半分を右方向に進行している時に検出した前記第
    1の検出信号と左方向に進行している時に検出した前記
    検出信号とを比較する第1の比較信号及び前記溶接トー
    チがオシレート幅の左半分を左方向に進行している時に
    検出した前記検出信号と右方向に進行している時に検出
    した前記検出信号とを比較する第2の比較信号とを演算
    し、前記第1の比較信号と前記第2の比較信号との差が
    小さくなる方向に、前記溶接トーチの中心を移動させる
    溶接線倣い制御方法。
  2. 【請求項2】溶接トーチをオシレートさせてアーク長及
    びワイヤ突き出し長の変化に伴なう電気的変化を検出
    し、前記検出信号により溶接トーチを溶接線に倣わせる
    溶接線倣い制御方法において、前記溶接トーチがオシレ
    ート幅の右方向に進行している時のオシレート右端で検
    出した前記検出信号と左方向に進行している時のオシレ
    ート中心で検出した前記検出信号とを比較する第1の比
    較信号及び溶接トーチがオシレート幅の左方向に進行し
    ている時のオシレート左端で検出した前記検出信号と右
    方向に進行している時のオシレート中心で検出した前記
    検出信号とを比較する第2の比較信号とを演算し、前記
    第1の比較信号と第2の比較信号との差が小さくなる方
    向に、溶接トーチのオシレート中心を移動させる溶接線
    倣い制御方法。
JP11817689A 1988-05-11 1989-05-10 溶接線倣い制御方法 Expired - Fee Related JPH074666B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US07/438,677 US4990743A (en) 1989-05-10 1989-11-17 Control method for tracing a weld line in a welding apparatus
US07/520,711 US5130514A (en) 1989-05-10 1990-05-08 Control apparatus for tracing a weld line in a welding apparatus and control method therefor

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63-115069 1988-05-11
JP11506988 1988-05-11

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1286845A Division JP2969694B2 (ja) 1989-05-10 1989-11-02 溶接線倣い制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0252171A JPH0252171A (ja) 1990-02-21
JPH074666B2 true JPH074666B2 (ja) 1995-01-25

Family

ID=14653412

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11817689A Expired - Fee Related JPH074666B2 (ja) 1988-05-11 1989-05-10 溶接線倣い制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH074666B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014030841A (ja) * 2012-08-03 2014-02-20 Kobe Steel Ltd アーク倣い溶接方法および溶接装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0252171A (ja) 1990-02-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4990743A (en) Control method for tracing a weld line in a welding apparatus
US5130514A (en) Control apparatus for tracing a weld line in a welding apparatus and control method therefor
JPH10264067A (ja) 作業線探索機能を備えたロボット−レーザセンサシステム
US4608481A (en) Method of automatically controlling height of a weld bead
JPH0258031B2 (ja)
US5130515A (en) Control method for arc welding robot
JPH074666B2 (ja) 溶接線倣い制御方法
JPS6117590B2 (ja)
JP4854860B2 (ja) 溶接線の倣い判定装置と倣い制御装置
JPH0780643A (ja) 溶接ロボットの制御方法
JP2969694B2 (ja) 溶接線倣い制御方法
JPS6117591B2 (ja)
JP3115206B2 (ja) アークセンサ装置
JP3608060B2 (ja) 溶接線倣い制御方法および装置
JP2802301B2 (ja) アーク溶接装置
JPH0459992B2 (ja)
JP3230476B2 (ja) アーク溶接におけるルートギャップの検出方法
JPH0328980B2 (ja)
JPH0651824A (ja) 工具姿勢制御方法
JPS63248575A (ja) 揺動ア−ク溶接法および揺動装置
JPH0322267B2 (ja)
JPH05318121A (ja) 溶接継手終端部の検出方法及び装置
JPS6311105B2 (ja)
JPS60210357A (ja) 隅肉継手のすきま溶接方法
JPS5961574A (ja) 溶接線検出装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080125

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090125

Year of fee payment: 14

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees