JPH0744705Y2 - 用心錠 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、引き戸に設けられて引き戸の開放幅を拘束す
る用心錠に関するものである。

〔従来の技術〕

用心錠は来訪者の確認をするために、来訪者の不法侵入
を防止する狭い幅だけ開扉することが出来るように施錠
するもので、引き戸の用心錠の従来技術としては実開昭
63−165072号公報記載の技術などがある。

同技術の用心錠は、第６図に示すように、錠ケース１に
設けられた軸２にカム３が枢着され、カム３はばね４に
より反時計方向に付勢され、カム３の端部3aには軸５に
よりロックプレート６が枢着され、軸５に嵌着されたリ
テーナ７に当接する座金８と端部3aとの間にばね９が弾
装される。

従って、ロックプレート６は端部3aに当接する方向に付
勢される。

サムターンの操作軸10に嵌合するハブ11の突起11aと錠
ケース１との間には、錠ケース１のピン12に嵌挿された
ばね13の両端が弾装され、操作軸10を回動するとハブ11
の押動部11bがロックプレート６に接離する位置に安定
保持される。

符号14は、ロックプレート６の先端に設けられたジョイ
ントピン15が下方に位置するように付勢するためのばね
である。

そして、突起11aが鎖線で示す11a′にある解錠状態で
は、ロックプレート６が錠ケース１の内部に後退してい
るが、作動軸10を反時計方向に約90度回動すると、第６
図に示すように、実線位置に移動した突起11aがロック
プレート６を押動し、突出したジョイントピン15がスト
ライクの受け孔に挿入され、引き戸を開いたときにジョ
イントピン15がストライクに連設された長孔に係合して
引き戸の開度が制限されるようになっている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記の用心錠には、カム３を介してロックプレートを錠
ケース１内に付勢するばね４と、カム３に対するロック
プレート６の軸方向の遊びを吸収するばね９と、ハブ11
を施錠及び解錠位置に付勢するばね13と、ロックプレー
ト６のジョイントピン15を下方に付勢して受け孔からの
離脱を可能とするばね14との四個のばねが必要であり、
用心錠の構造が複雑になる問題があった。

かかる問題を解決するために、ロックプレートを錠ケー
ス１内に付勢するばね４の機能と、ロックプレート６の
ジョイントピン15を下方に付勢して受け孔からの離脱を
可能とするばね14の機能とを一個のばねに持たせた用心
錠が開発されている（実開平１−142773号公報参照）。

この用心錠は、ばねの個数を減少したことにより、それ
だけ用心錠の構造が簡単になっているが、更に用心錠の
構造を簡単にしてコストを低減すると共に故障の少ない
信頼性の高い用心錠とすることが望まれる。

本考案は、かかる課題を解決することを目的としたもの
である。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案の用心錠は、引き戸
に内設される錠ケースと、該錠ケースの室外側の後壁に
穿設された孔に対して傾斜及び回動自在に遊嵌されたロ
ックプレートピンを一端に有しストライクの受け孔に連
設された長孔に係合可能なジョイントピンを他端に有す
るロックプレートと、上記錠ケースに摺動自在に嵌挿さ
れ、上記ロックプレートピンに設けられた平面部に当接
可能なリターンガイドと、上記錠ケースに枢着され外面
に指掛け用突起と上記ロックプレートを押動可能な押動
部を有し、施錠保持面と解錠保持面を有する角ブロック
を形成したサムレバーと、上記錠ケースに設けられたば
ね支持ピンに巻回され、一端が上記リターンガイドを介
して上記平面部に圧接し、他端が上記角ブロックに圧接
するリターンスプリングとを備えた。

〔作用〕

上記のように構成された用心錠の作用は次のようにな
る。

（解錠状態） リターンスプリングの他端はサムレバーの角ブロックの
解錠保持面を押圧し、解錠状態に保持されたサムレバー
の押動部はロックプレートより離隔している。

リターンスプリングの一端はリターンガイドを介してロ
ックプレートピンの平面部を押圧し、ロックプレートピ
ンと一体のロックプレートは、錠ケース内に没入する方
向に付勢されてジョイントピンは錠ケース内に没入する
と共に、ジョイントピンがストライクの受け孔に相対す
る位置に付勢されている。

従って、ジョイントピンはストライクには係合していな
いので、引き戸は開扉可能である。

（解錠状態より施錠） サムレバーを施錠方向に操作すると、サムレバーがリタ
ーンスプリングの付勢力に抗して回動し、リターンスプ
リングの他端がサムレバーの角ブロックの施錠保持面に
圧接してサムレバーが施錠状態に保持され、施錠状態に
あるサムレバーの押動部がロックプレートを押動するの
で、ロックプレートが錠ケースより突出してジョイント
ピンがストライクの受け孔に係入する。

（施錠状態における開扉及び閉扉） このような施錠状態において引き戸を開扉すると、開扉
に応じてジョイントピンが受け孔より長孔内に入り、長
孔内を移動する。

このとき、ロックプレートが開扉に応じて傾動するの
で、傾斜したロックプレートピンの平面部がリターンス
プリングの付勢力に抗してリターンガイドを押動する。

ジョイントピンが長孔の端部に達すると引き戸の開扉が
阻止されるので、引き戸の開度は訪問者が侵入できない
幅に規制される。

次に、閉扉すると、ジョイントピンが長孔に沿って受け
孔まで移動する。

ロックプレートピンの平面部を押圧されるロックプレー
トは、ジョイントピンが受け孔と相対する位置に付勢さ
れているので、ジョイントピンは受け孔とほぼ同心の位
置に復帰し、受け孔から離脱可能である。

閉扉後に、サムレバーを解錠方向に操作すると、サムレ
バーの押動部がロックプレートより離隔するので、リタ
ーンスプリングの付勢力によりロックプレートが錠ケー
ス内に没入し、解錠状態に復帰する。

〔実施例〕

本考案の実施例について図面を参照しながら説明する。

第１図は解錠状態の用心錠の縦断面図、第２図は施錠状
態の縦断面図、第３図は室内側から見た用心錠の正面
図、第４図は用心錠の斜視図を示す。

室内側の引き戸に内設される用心錠の錠ケース16は、第
４図に示すように、室外側の後壁16aと、該後壁16aの両
端縁よりほぼ直角に屈曲延設された両側壁16bと、両側
壁16bの端部を連結する二個の連結壁16cとにより構成さ
れ、室外側の後壁16aの外面には、中央に縦長孔17を有
するバックプレート18がねじ止めされる。

ロックプレート19は、一端に小径部20aと大径部20bを有
するロックプレートピン20が固着され、小径部20aは後
壁16aに穿設された孔21に傾斜及び回動自在に遊嵌さ
れ、大径部20bと後壁16aとの間にばね22が弾装される。

従って、ロックプレート19は後壁16aに圧接する。

大径部20b端部には、外周面の一部に切欠する平面部23
が刻設される。

ロックプレート19の他端には、軸部24aの先端に鍔部24b
を形成したジョイントピン24が固着される。

ストライクホルダ25にねじ止めされたストライク26に
は、受け孔27と、受け孔27に連設される長孔28が設けら
れ、受け孔27はジョイントピン24の鍔部24bが係入可能
な大きさを有するが、長孔28の幅は軸部24aの直径より
も大きいが鍔部24bの直径よりも小さい。

両側壁16bにはそれぞれ縦孔29が設けられ、縦孔29に
は、平面部23に当接可能なリターンガイド30が摺動可能
に嵌挿される。

両側壁16bを貫通する支軸31にはサムレバー32が枢着さ
れる。

サムレバー32の外面には指掛け用突起33が設けられ、サ
ムレバー32の両側面に角ブロック34が形成される。

角ブロック34は交叉する施錠保持面35と解錠保持面36と
を有し、角ブロック34に弾性を有する押動部37が着設さ
れる。

両側壁16bを貫通するピン38にリターンスプリング39が
取付けられる。

リターンスプリング39は、ダブルトーション型のたスプ
リングであり、接続された一端39aがリターンガイド30
を介して平面部23に圧接し、両他端39bが角ブロック34
に圧接する。

以上のように構成された用心錠の作用を説明する。

（解錠状態） 第１図に示すように、リターンスプリング39の他端39b
はサムレバー32の角ブロック34の解錠保持面36を押圧
し、解錠状態に保持されたサムレバー32の押動部37はロ
ックプレート19より離隔している。

リターンスプリング39の一端39aはリターンガイド30を
介してロックプレートピン20の平面部23を押圧し、ロッ
クプレートピン20と一体のロックプレート19は、錠ケー
ス16内に没入する方向に付勢されてジョイントピン24は
錠ケース16内に没入すると共に、ジョイントピン24が室
外側の引き戸に設けられたストライク26の受け孔27に相
対する位置に付勢されている。

従って、ジョイントピン24はストライク26には係合して
いないので、引き戸は開扉可能である。

（解錠状態より施錠） サムレバー32の指掛け用突起33を上方の施錠方向に操作
すると、サムレバー32がリターンスプリング39の付勢力
に抗して回動し、リターンスプリング39の他端39bがサ
ムレバー32の角ブロック34の施錠保持面35に圧接してサ
ムレバー32が施錠状態に保持され、施錠状態にあるサム
レバー32の押動部37がロックプレート19を押動するの
で、ロックプレート19が錠ケース16より突出し、ジョイ
ントピン24がストライク26の受け孔27に係入する（第２
図参照）。

（施錠状態における開扉及び閉扉） このような施錠状態において引き戸を開扉すると、開扉
に応じてジョイントピン24が受け孔27より長孔28内に入
り、長孔28内を移動する（第５図参照）。

このとき、ロックプレート19が開扉に応じて傾動するの
で、傾斜したロックプレートピン20の平面部23がリター
ンスプリング39の付勢力に抗してリターンガイド30を下
方に押動する。

ジョイントピン24が長孔28の端部に達すると、引き戸は
それ以上開扉できないので、引き戸の開度は訪問者が侵
入できない幅に規制される。

次に、閉扉すると、ジョイントピン24が長孔28に沿って
受け孔27まで移動し、ロックプレート19は、リターンガ
イド30を介して平面部を押圧されるので、ジョイントピ
ン24は受け孔27とほぼ同心の位置に正確に復帰し、受け
孔27から離脱可能である。

閉扉後に、サムレバー32の指掛け用突起33を下方の解錠
方向に操作すると、押動部37がロックプレート19より離
隔するので、リターンスプリング39の付勢力によりロッ
クプレート19が錠ケース16内に没入し、解錠状態に復帰
する。

〔考案の効果〕

本考案は、以上説明したように構成されているので、以
下に示すような効果を奏する。

（１）リターンスプリングは、ロックプレートを錠ケー
ス内に没入する方向に付勢する機能と、ジョイントピン
を受け孔に相対する位置に復帰する付勢する機能と、サ
ムレバーを施錠位置と解錠位置に安定保持させる機能を
兼用するので、ばねの個数が減少し、用心錠の構造が簡
単になった。

従って、用心錠の構造が更に簡単になりコストの低減と
共に信頼性が高くなった。

（２）リターンスプリングは、リターンガイドを介して
平面部を押圧するので、ジョイントピンの復帰位置が正
確となり、開扉時にジョイントピンが受け孔に係合して
開扉されない虞がなくなった。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図は本考案の実施例を示し、 第１図は解錠状態の用心錠の縦断面図、 第２図は施錠状態の縦断面図、 第３図は室内側から見た用心錠の正面図、 第４図は用心錠の斜視図、 第５図は施錠状態で開扉した場合の用心錠の正面図、 第６図は従来の用心錠の縦断面図を示す。 16……錠ケース、18……バックプレート、19……ロック
プレート、20……ロックプレートピン、22……ばね、23
……平面部、24……ジョイントピン、26……ストライ
ク、27……受け孔、28……長孔、30……リターンガイ
ド、32……サムレバー、33……指掛け用突起、34……角
ブロック、35……施錠保持面、36……解錠保持面、37…
…押動部、39……リターンスプリング、39a……一端、3
9b……他端。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】引き戸に内設される錠ケースと、該錠ケー
   スの室外側の後壁に穿設された孔に対して傾斜及び回動
   自在に遊嵌されたロックプレートピンを一端に有しスト
   ライクの受け孔に連設された長孔に係合可能なジョイン
   トピンを他端に有するロックプレートと、上記錠ケース
   に摺動自在に嵌挿され、上記ロックプレートピンに設け
   られた平面部に当接可能なリターンガイドと、上記錠ケ
   ースに枢着され外面に指掛け用突起と上記ロックプレー
   トを押動可能な押動部を有し、施錠保持面と解錠保持面
   とを有する角ブロックを形成したサムレバーと、上記錠
   ケースに設けられたばね支持ピンに巻回され、一端が上
   記リターンガイドを介して上記平面部に圧接し、他端が
   上記角ブロックに圧接するリターンスプリングとを備え
   たことを特徴とする用心錠。