JPH0744657Y2 - 板材の接合部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、雨水などが侵入することのない外壁を、容易
につくることが可能な、工場生産される長手方向の縁に
本実接合部を有する、主として単体で耐火構造の用途に
供される厚型の中空長方形の板材の接合部構造に関す
る。

〔従来の技術〕

第９図に示すような長手方向の縁に雄実１および雌実２
よりなる横断面がほぞ状の本実接合部を有し、内部に多
数の平行な貫通孔３が設けられている板材４は、セメン
ト等の押出し成形によって容易に製造され、長さが自由
に選択出来、さらに軽量で断熱性に優れていることか
ら、ビル用など大型建物の外壁用として広く用いられて
いる。

従来、上記板材４の雄実１、雌実２を接合して外壁を形
成するには、第10図（ａ）（ｂ）に示すように、下板材
4aの上縁雄実１に上板材4bの雌実２を嵌着し目地部５に
無定形シーリング材６を打設したり、雌実２の奥部に定
形シーリング材７を設けて上板材4bの雌実２を嵌着して
雨水等の侵入を防止している。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、前者は、特に建築現場で目地部５に不定
形シーリング材を打設しなければならないので、外壁面
が平で、意匠的に平凡となり、現場施工に熟練した人手
を要し、施工日程が増し、施工管理が困難となる。ま
た、後者は、接合した上板材4bが不安定化する等の問題
があった。

本考案は上記の事情に鑑みなされたもので、熟練した人
手を要さず、雨水等の侵入が防止され、安定した接合が
出来る板材の接合部構造を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、本考案に係る板材の接合部
構造においては、長手両縁に本実接合部を有する板材の
接合部構造において、雄実および雌実の横断面が台形に
形成され、雄実または雌実の台形の両側の傾斜面のう
ち、少なくとも一方の傾斜面に、長手縁に沿って定形シ
ーリング材が配設され、雄実または雌実の傾斜面に、定
形シーリング材が配設されている板材の接合部に、他の
板材の雌実または雄実を接合した場合、定形シーリング
材が当接する他の板材の雄実または雌実の傾斜面に、横
断面が鋸歯状の溝を設けてもよい。

〔作用〕

本考案は上記の構成となっているので、安定して接合さ
れるとともに接合部には定形シーリング材があらかじめ
配設されている。そのため現場でシーリングの要がな
く、目地部の陰が好ましい意匠となる。さらに、定形シ
ーリング材に、傾斜面に形成された鋸歯状の溝が食い込
んで離間しにくくなり、これにより、雨水侵入防止効果
が向上される。

〔実施例〕

まず、第１図から第４図によって本考案の基本となる板
材の接合部構造を説明する。

第１図（ａ）（ｂ）中符号11,12はそれぞれ横断面が台
形の雄実および雌実である。

上記雄実11の傾斜面11a,11aの一方の面にはゴム等の弾
性体よりなる定形シーリング材７が板材７の長手縁に沿
って配設されている。

これを接合すると、第１図（ｂ）に示すように雄実11の
傾斜面11aと雌実12の傾斜面12aが当接して安定な接合が
行われる。また、定形シーリング材７は傾斜面11a,12a
に押圧され高水密性が発揮され、雨水等の侵入が防止さ
れる。上記定形シーリング材は、雄実11の傾斜面11aに
配設する代わりに、雌実12の傾斜面12aに配設してもよ
い。

上記雄実は、第２図に示すように横断面形状を、長方形
部13aと台形部13bよりなる雄実13とし、これを雌実12に
嵌合した場合、目地部５が形成されるようにしてもよ
い。なお、14は目地部５の幅を調整するスペーサであ
る。

また第３図（ａ）（ｂ）に示すように定形シーリング材
７を雄実11の両傾斜面11a,11a或は雌実12の両傾斜面12
a,12aに設けてもよい。この場合、接合バランスは一方
の傾斜面11aまたは12aに定形シーリング材７を配設した
場合に比して、さらに安定した接合部が得られ、水密性
も高まる。

また、第４図に雄実傾斜面11aを代表例と示すように、
定形シーリング材７を間隔をおいて２段に配設し、水密
性をさらに向上させてもよい。

次に、本考案の板材の接合部構造の具体的な実施例を第
５図から第８図によって説明する。

第５図は、本考案の実施例を示すもので、雄実11の一方
の傾斜面11aに定形シーリング材７を配設し、この定形
シーリング材が当接する雌実12の傾斜面12aに、横断面
が鋸歯状の溝15を形成したものである。

このような接合部を有する板材４を接合すると第６図に
示すように、定形シーリング材７は鋸歯状の溝15にくい
込み抜けにくくなり、また鋸歯状の溝15には空部16が形
成されるので、風圧が調整され、水切れが良くなり、水
密性はさらに向上する。

当然のことながら、雌実の傾斜面に定形シーリング材を
配設し、雄実傾斜面に鋸歯状の溝15を形成してもよい。

この接合部構造においても、第７図（ａ）（ｂ）に示す
ように、雄実傾斜面11aの両側或は雌実傾斜面の両側に
定形シーリング材７を配設し、これら定形シーリング材
７が当接する雌実傾斜面12a或は雄実傾斜面11aに鋸歯状
の溝15を設けてもよい。また、第８図に示すように定形
シーリング材７を間隔をおいて２列に設けてもよい。

なお上記接合部構造は、貫通孔を有する中空板材につい
て説明したが、これに限るものでなく、中実な板材にお
いても同様な構造が利用出来る。

〔考案の効果〕

以上述べたように、本考案に係る板材の接合部構造は、
横断面が台形で傾斜面に定形シーリング材が配設されて
いるので、接合した場合、傾斜面同士が当接して板材が
安定して接合されるとともにシーリング材が挾持され、
さらに定形シーリング材が当接する面に鋸歯状の溝を設
けることによりこれが定形シーリング材にくい込んで離
間しにくくなり、また雨水侵入防止効果はさらに向上す
る等、多くの長所を有する。また、目地部にシーリング
しないので、目地に陰影が生じて美くしくなり、さらに
現場工事がなくなるので、労務対策上好ましい。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）（ｂ）は、本考案に係る接合部構造の基本
となるもので、第１図（ａ）は雄実および雌実の側面
図、第１図（ｂ）は第１図（ａ）の接合部構造を有する
板材を接合した状態を示す図、第２図は異なる形状の雄
実を有する板材を接合した状態を示す第１図（ｂ）相当
図、第３図（ａ）（ｂ）および第４図は定形シーリング
材の種々な取付け状態を示す第１図（ａ）相当図、第５
図は本考案の実施例を示す第１図（ａ）相当図、第６図
は第５図の接合部構造の板材を接合した状態を示す第１
図（ｂ）相当図、第７図（ａ）（ｂ）および第８図は定
形シーリング材の種々な取付け位置を示す第３図（ａ）
（ｂ）および第４図相当図、第９図は従来の本実接合部
を有する中空板材の斜視図、第10図（ａ）（ｂ）は第９
図の板材を接合した状態を示す図である。 １……雄実、２……雌実、３……貫通孔、４……板材、
4a……下板材、4b……上板材、５……目地部、６……無
定形シーリング材、７……定形シーリング材、11……横
断面台形の雄実（雄実）、11a……傾斜面、12……横断
面台形の雌実（雌実）、13……横断面が長方形部および
台形部よりなる雄実、13a……長方形部、13b……台形
部、14……スペーサ、15……鋸歯状の溝、16……空部。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】長手両縁に本実接合部を有する板材の接合
   部構造において、雄実および雌実の横断面が台形に形成
   され、雄実または雌実の台形の両側の傾斜面の少なくと
   も一方の傾斜面に、長手縁に沿って定形シーリング材が
   配設され、これら雄実または雌実の傾斜面に、定形シー
   リング材が配設されている板材の接合部に、他の板材の
   雌実または雄実を接合した場合、定形シーリング材が当
   接する他の板材の雄実または雌実の傾斜面に、横断面が
   鋸歯状の溝が形成されていることを特徴とする板材の接
   合部構造。
2. 【請求項２】定形シーリング材が傾斜面に、間隔をおい
   て複数列配設されている請求項（１）記載の板材の接合
   部構造。