JPH0744336Y2 - 複雑形状ゴム品の絞り加工装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は外周側に金具を有する複雑形状ゴム品の絞り
加工装置に関する。

（考案の背景） 例えば自動車用の防振ゴム等として使用される金具付き
ゴムブッシュの場合、通常、耐久性等の特性を向上させ
る目的でこれを絞り加工した上で使用する。

かかるゴムブッシュを絞り加工する方法として一般に用
いられている方法は、ブッシュを加工形状に対応した形
状の筒状の絞りダイスを強制的に通過させて縮径させる
方法である。

しかしながら、円筒形状の外周側金具を有するゴムブッ
シュの場合にはこの方法によって支障なく絞り加工を施
すことができるものの、外周側金具の軸方向中間部分
に、中心側に窪んだ凹形状部分や逆に外側に突出する凸
形状部分を有する場合、即ちダイスの軸心方向の形状が
不規則である場合、このような方法により絞り加工を施
すことは無理である。

以上ブッシュの場合を例としてが、他の複雑形状ゴム品
を絞り加工する場合においても事情は同じである。

（課題を解決するための手段） 本考案の装置はこのような課題を解決するために案出さ
れたものであり、その要旨は、外周側に金具を有する複
雑形状ゴム品を絞り加工する装置であって、（イ）内周
側の各加圧面が該ゴム品の絞り加工形状に対応した形状
に形成され、加工すべきゴム品の周囲に位置させられて
後退位置より該ゴム品に対する絞り加工方向に前進させ
られる複数の絞り型と、（ロ）それら複数の絞り型の各
加圧面が前記ゴム品の外周側金具をほぼ囲繞する準備位
置まで各絞り型を後退位置より前進させるスライド移動
手段と、（ハ）それら絞り型の前進方向と直角方向に進
退させられ、その前進時に、自身に形成されたカム面を
予め前記準備位置で待機している各絞り型の対応するカ
ム面に当接させ、該カム面の作用でそれら絞り型を求心
方向に加圧移動させてゴム品に対する絞り加工を行わせ
る加圧型と、（ニ）該加圧型を駆動して型締力を与える
加圧手段とを含むことにある。

（作用及び考案の効果） 本考案の装置においては、加工すべきゴム品が所定位置
にセットされると、先ずその周囲に位置させられた複数
の絞り型がスライド移動手段により後退位置から準備位
置まで、即ち各絞り型の内周側の加圧面が互いに協同し
てゴム品の外周側金具をほぼ囲繞する位置まで前進させ
られる。すると次に加圧型が加圧手段により前進させら
れて、そのカム面が準備位置にある各絞り型のカム面に
当接させられる。引き続いて加圧型が前進させられる
と、各絞り型が加圧型を介して伝達される加圧手段から
の力により求心方向に前進させられ、ゴム品を求心方向
に絞り加工して縮径させる。

ゴム品に対する絞り加工は、各絞り型が前進端に達した
ところで終了し、そしてその後先ず加圧型が後退させら
れ、次に各絞り型が前進端よりスライド手段にて後退位
置まで後退させられ、絞り加工されたゴム品が外に取り
出される。

このように本考案の装置は、複数の絞り型を求心方向又
はその反対の遠心方向に進退させ、そしてその求心方向
への加圧によってゴム品を絞り加工する。従って例えば
軸方向に複雑な凹凸形状を有するブッシュのようなゴム
品に対しても、かかる絞り型を求心方向、即ち軸直角方
向内方に前進させ、加圧することによって、容易に絞り
加工することができる。

本考案の装置は、スライド手段，加圧手段を適正タイミ
ングで作動させることにより、ゴム品に対する絞り加工
を自動的に行うことが可能であり、加えて加圧型の移動
ストロークを必要最小限に抑え得る特徴を有する。

各絞り型を全ストロークに亘って加圧型により進退させ
るようにすることも理屈の上では可能であるが、この場
合加圧型の進退移動ストロークが必然的に大きくなって
無駄が多くなる。しかるに本考案の装置では、加圧力を
必要としないストローク部分については、スライド手段
により各絞り型を速やかに進退させるようにし、そして
最終の加圧力を必要とする部分のみ加圧型を介して各絞
り型を前進させるようにしている。このため加圧型のス
トロークを小さくすることができ、加えて各絞り型を速
やかに進退させ得て、高能率でゴム品を絞り加工するこ
とができる。

（実施例） 次に本考案の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。

第５図は絞り加工対象としてのゴム品を示したものであ
って、このゴム品10は、複雑形状のブッシュタイプの防
振ゴム品であり、内筒金具12と、その外側のゴム弾性体
14と、ゴム弾性体14の外面に固着された外周側金具16と
を有している。外周側金具16は、第６図に示しているよ
うに軸方向の中間部において中心側に凹陥する複雑形状
の凹形状部18,20,22を有している。

このゴム品10は、図中１点鎖線で示す当初の形状から、
実線で示す形状に絞り加工（縮径加工）されて使用され
る。

第１図及び第２図〜第４図にこのゴム品10を絞り加工す
る本例の装置の構成が示されている。この装置は、第２
図に示しているように回転アーム24を有しており、その
アーム24の受部26上にゴム品10（以下単にワーク10とす
る）が受治具28を介してセットされるようになってい
る。この回転アーム24は、モータ30によりギヤ32,34を
介して回転駆動されるようになっている。

回転アーム24の上方には、昇降テーブル36が配置されて
いる。この昇降テーブル36は、支柱38とガイド筒40との
案内作用の下に、シリンダ42によって所定ストローク昇
降駆動されるようになっている。

昇降テーブル36の上方には加圧型44が配置されており、
この加圧型44が、上盤46の上に下向きに配設されたシリ
ンダ48によって昇降させられるようになっている。

尚上記回転アーム24の下側には、加圧型44による加圧力
を受けるための受圧体50が配置されている。

第３図に示しているように、昇降テーブル36の中心部に
は、ワーク10をテーブル36上に突き出させるための貫通
穴52が設けられている。またこの貫通穴52の周囲におい
て、内周側の加圧面がワーク10の絞り加工形状に対応し
た形状とされた４分割形態の４つの絞り型54,56,58,60
が夫々内向きに配設されている。これら絞り型54〜60
は、各後端部においてシリンダ62,64,66,68に連結さ
れ、これらシリンダ62〜68によって後退位置から準備位
置まで、即ちセットされたワーク10を各加圧面がほぼ取
り囲む状態となる位置まで前進させられ、或いはその位
置から反対方向に後退させられるようになっている。そ
の際各絞り型54〜60は、ガイド部材70に設けられたガイ
ド溝72によって移動案内される。

上記加圧型44は、第１図に示しているように下面側に下
向きの円形の凹所76を有している。この凹所76の周壁面
はテーパ面78とされ、そしてこれに対応して前記各絞り
型54〜60にテーパ面80が設けられている。

加圧型44には、また、凹所76に連続する状態で中心孔82
が設けられ、この中心孔82内に、円形の外周面を有する
ストッパブロック84が上下方向に摺動可能に嵌合されて
いる。尚ストッパブロック84の円形の外周面は、ワーク
10における絞り後の外周側金具16の端部内径とほぼ同径
とされている。

このストッパブロック84は、鍔部90が中心孔82の周縁部
の段違い部に当接する状態に、スプリング88によって下
向きに付勢されている。

次に本装置の作用を説明する。

第２図において、回転アーム24の一方の端に乗せられた
ワーク10は、回転アーム24の回転により加工位置へと運
ばれる。すると次に先ず昇降テーブル36がシリンダ42に
よって下降させられ、セットされているワーク10を中心
の貫通穴52から上方に突出させる。このときテーブル36
上の各絞り型56〜60は後退位置に退避しており、そして
テーブル36が下降した段階で（或いはその途中で）シリ
ンダ62〜68によって上記した準備位置まで同時に前進さ
せられる。続いて加圧型44が下降させられて、下向きの
凹所76のテーパ面78が各絞り型54〜60のテーパ面80に嵌
合し、それらテーパ面76,80の作用で各絞り型44を内向
きに前進させ、ワーク10の外周側金具16を外側から内向
きに縮径加工させる。尚、その際加圧型44に装着されて
いるストッパブロック84の先端部が先ずワーク10の外周
側金具16の上端内周面に微少隙間をもって嵌合し、その
後に各絞り型54〜60が金具16を縮径方向に絞り加工す
る。このようにストッパブロック84によって金具16を内
側から受けるようにしているのは次の理由による。即ち
この金具16の上端内周面にはゴム弾性体14が配されてい
ないために、金具16を縮径方向に絞ると、この部分にお
いて金具16の不規則な変形、所謂ダレを生じる。そこで
こうしたことがないように金具16をストッパブロック84
により内側から受けるようにしているのである。

一方ワーク10の下端側においても事情は同様であり、そ
こで本例では受治具28を金具16の下端内周面に嵌合さ
せ、絞り加工時の力を受けるようにしている。

尚加圧型44は、ストッパブロック84がワーク10のゴム弾
性体14に当接した後も引き続いて下降させられるが、そ
の際スプリング88が撓むことによって、ストッパブロッ
ク84の運動吸収を行う。

さて加圧型44が下降端に達したところで、ワーク10の絞
りは終了する。そこで次に加圧型44がシリンダ48によっ
て上昇させられ、引き続いて各絞り型54〜60が夫々のシ
リンダ62〜68によって後退させられる。これとともに昇
降テーブル36が上昇させられた上、回転アーム24が再び
180°回転させられ、加工済みワーク10が外部に取り出
される。

以上の動作が次々と繰り返され、ワーク10に対する絞り
加工が自動的に且つ連続的に行われていく。

以上本考案の実施例を詳述したが、これはあくまで本考
案の一実施例であり、本考案はその主旨を逸脱しない範
囲において、当業者の知識に基づき様々な変更を加えた
形態で構成可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例である絞り加工装置の要部断
面図であり、第２図はその絞り加工装置の正面図（一部
断面図）、第３図は同じ絞り加工装置の昇降テーブルと
その周辺の平面図である。第４図は第１図に示す要部を
異なった作用状態で示す要部断面図であり、第５図は本
考案の装置によって絞り加工されるゴム品の一部切欠平
面図、第６図はその縦断面図である。 10:ゴム品、16:金具 44:加圧型 48,62,64,66,68:シリンダ 54,56,58,60:絞り型

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】外周側に金具を有する複雑形状ゴム品を絞
   り加工する装置であって、 （イ）内周側の各加圧面が該ゴム品の絞り加工形状に対
   応した形状に形成され、加工すべきゴム品の周囲に位置
   させられて後退位置より該ゴム品に対する絞り加工方向
   に前進させられる複数の絞り型と、 （ロ）それら複数の絞り型の各加圧面が前記ゴム品の外
   周側金具をほぼ囲繞する準備位置まで各絞り型を後退位
   置より前進させるスライド移動手段と、 （ハ）それら絞り型の前進方向と直角方向に進退させら
   れ、その前進時に、自身に形成されたカム面を予め前記
   準備位置で待機している各絞り型の対応するカム面に当
   接させ、該カム面の作用でそれら絞り型を求心方向に加
   圧移動させてゴム品に対する絞り加工を行わせる加圧型
   と、 （ニ）該加圧型を駆動して型締力を与える加圧手段と、 を含むことを特徴とする複雑形状ゴム品の絞り加工装
   置。