JPH0742740Y2 - ワイヤドットプリンタ用印字ヘッド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔概要〕 ワイヤドットプリンタ用印字ヘッドの構造に関し、 ビーム或いはアーマチュアに対する印字ワイヤの接合強
度を増加し、高速駆動可能な印字ヘッドを提供すること
を目的とし、 アーマチュアの先端に直接、或いはビームを介して一端
を鑞付けした印字ワイヤを備え、アーマチュアを駆動し
て印字を行うワイヤドットプリンタ用印字ヘッドに於い
て、印字ワイヤが鑞付けされるアーマチュア或いはビー
ムの接合面に段差状凹凸を設け、少なくとも印字ワイヤ
の印字側根本との接合部分には凹部を配するように構成
する。

〔産業上の利用分野〕

本考案はワイヤドットプリンタの印字ヘッドの構造に関
する。

近来、データ処理装置の入出力端末機や、ワードプロセ
ッサ等にドットに依って文字等を印字するシリアルプリ
ンタが多用されている。

これらプリンタには、印字速度の高速化と小型化が要望
されており、印字ワイヤの接合部に掛かる負荷が高くな
って来ている。

この為、接合部の鑞付け強度を充分に確保する必要があ
る。

〔従来の技術〕

本考案が適用されるワイヤドットプリンタ用印字ヘッド
（以下印字ヘッドと称す）１は、第４図の側断面図に示
す如く、その中央部に突出したワイヤガイド４にガイド
され所定位置4aに集中整列させた複数本の印字ワイヤ３
を備え、マグネット２に依って駆動され印字するように
構成している。

印字ワイヤ３は、第５図の接合部を示す斜視図の如く、
その一端がビーム８（或いはアーマチュア５に直接）に
鑞付け等の手段で固定され、ビーム８はアーマチュア５
の先端に固定されている。

アーマチュア５は、磁性材で成り、第６図の平面図に示
す如く放射状に配された板ばね６に依り弾力的に支持さ
れ、第４図の如く印字マグネット２のコア）７に対向し
ている。

コア７には、コイル９が巻装されて電磁石を形成し、一
方マグネットベース10a及び磁路部10bはその間に永久磁
石11を狭装し、更に磁性材より成るスペーサ10cを挟ん
で磁路部10dを成し、コア７とアーマチュア５と共にル
ープ状の磁路を形成している。

従って、印字マグネット２が励磁されていない時は、永
久磁石11の磁力に依ってアーマチュア５はコア７に吸着
されており、印字マグネット２に永久磁石11のNS極とコ
ア７の極が反対になるように励磁すると、コア７は電磁
石となって永久磁石11の吸引力を打ち消すように働く。

するとアーマチュア５は、板ばね６に蓄えられたエネル
ギーに依って、印字ワイヤ３と共に第３図の図中上方に
跳ね上がる。

この動作に依り、印字ワイヤ３はワイヤガイド４から突
出して印字を行う。

印字はこのようにして、印字ヘッド１内の複数の印字マ
グネット２を選択励磁して行う。

〔考案が解決しようとする課題〕

第５図の斜視図に示す如く、印字ワイヤはその一端がビ
ーム（或いはアーマチュア）の先端に例えば銀鑞（Ag-C
u合金）を使用して接合（鑞付け）されている。

鑞材には、鑞流れを良くする目的でZn、Cd、Sn、Ni、Mn
等が添加されており、これらの添加物やビーム或いはア
ーマチュアの材料が作用して、鑞材が凝固する時に生じ
る金属間化合物が隙間が殆ど無い部材間に形成され、こ
の為に接合部の強度が低下し、高速で駆動した場合に接
合部の強度不足に依り印字ワイヤの折損障害を発生する
と言う問題点があった。

本考案は、ビーム或いはアーマチュアに対する印字ワイ
ヤの接合強度を増加し、高速駆動可能な印字ヘッドを提
供することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案に於いては、第１図（ａ）の要部拡大側面図に示
す如く、印字ワイヤ３が鑞付けされるアーマチュア12或
いはビーム13の接合面に段差状凹凸14を設け、少なくと
も印字ワイヤ３の印字側根本との接合部分には凹部14a
を配するようにしたものである。

〔作用〕

段差状凹凸14の凹部14aに流入した鑞材15が凝固して、
印字ワイヤ３とアーマチュア12或いはビーム13とを確実
に鑞付けし、所期の接合強度を得ることができ、印字衝
撃の応力が最も掛かる印字ワイヤ３の根元で所期の強度
が確実に得られる。

更に、上記の印字ワイヤ３根元の凹部14aに凝固した鑞
材15の母材（例えば銀）の層が必ず形成され、この部分
で衝撃力が吸収されて接合強度の低下が防止される。

〔実施例〕

第１図乃至第３図は本考案の一実施例である。

全図を通じて同一部分には同一符号を付して示した。

本考案に於いては、第１図（ａ）の要部拡大側面図に示
す如く、印字ワイヤ３が鑞付けされるアーマチュア12或
いはビーム13の接合面に段差状凹凸14を設け、特に、段
差凹凸部14の凹部14aが印字ワイヤ３の突出側に設けら
れるようにしたものである。

斯くの如くすることで、同図（ｂ）の接合部の説明図に
示す如く、段差状凹凸14の凸部14bが印字ワイヤ３に当
接し、凹部14aは印字ワイヤ３との間に間隙を生じる。

鑞付けに際し、この凹部14aの間隙に鑞材15が流入して
凝固し、母材（例えば銀）の層15aが必ず形成される。

すると、この部分で印字ワイヤ３の衝撃力が吸収されて
強度低下が防止されるようになる。

図に於いて16は、従来技術同様に部材間の境界面に形成
された金属間化合物の層であって脆弱性を有するが、凹
部14aに於いては、金属間化合物の層16の間にバランス
の良い母材の層15aが形成され、強靭性を有する接合が
得られる。

又、応力が最も掛かる印字ワイヤ３の根本に対向する部
分を凹部14aとすることで、第１図（ａ）に示す如く滑
らかな形状の梁部15bが形成され、充分な強度を得るこ
とが出来る。

尚、上記説明は、アーマチュア５を電磁石で駆動する釈
放型の印字ヘッドに適用することで行ったが、吸引型の
印字ヘッドにも同様に適用可能である。

又、第２図の側面図に示す如く，駆動源として圧電素子
17を使用し、槓杆18の先端に印字ワイヤ３を固定して支
点19を中心に槓杆18を回動し、印字を行う圧電素子型印
字ヘッド20にも適用出来る。

更に、第３図の斜視図に示す如きムービングコイル型印
字ヘッド21にも適用可能である。

図に於いて、22はムービングコイル、23はムービングコ
イルを装着して端部に印字ワイヤ３を固定したコイルベ
ース、24はコイルベースを支持する板ばね、25は板ばね
を支持するベース、26は間隔を介して対向した永久磁石
であって、ムービングコイルに通電することでコイルベ
ース23は、板ばね24の付勢に抗して永久磁石の間隔を前
方に移動し、印字ワイヤ３で印字を行う。

〔考案の効果〕

本考案に依って、印字ワイヤとアーマチュア或いはビー
ムの接合強度は増加し、高速駆動可能な印字ヘッドの提
供が可能になる等、経済上及び産業上に多大の効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）は本考案のワイヤドットプリンタ用印字ヘ
ッドの要部拡大側面図、 第１図（ｂ）は接合部の説明図、 第２図は第２の実施例を示す側面図、 第３図は第３の実施例を示す斜視図、 第４図は本考案が適用される印字ヘッドの側断面図、 第５図はビームに対する印字ワイヤの接合部の斜視図、 第６図はアマチュアの配置を示す平面図である。 図に於いて、 １は印字ヘッド、２は印字マグネット、３は印字ワイ
ヤ、５、12はアーマチュア、６は板ばね、７はコア、
８、13はビーム、９はコイル、14は段差状凹凸、14aは
凹部、14bは凸部、15は鑞材、15aは母材の層、15bは梁
部、16は金属間化合物の層、20は圧電素子型印字ヘッ
ド、21はムービングコイル型印字ヘッドである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】アーマチュア（12）の先端に直接、或いは
   ビーム（13）を介して一端を鑞付けした印字ワイヤ
   （３）を備え、 前記アーマチュア（12）を駆動して印字を行うワイヤド
   ットプリンタ用印字ヘッドに於いて、 前記印字ワイヤ（３）が鑞付けされる前記アーマチュア
   （12）或いはビーム（13）の接合面に段差状凹凸（14）
   を設け、少なくとも印字ワイヤ（３）の印字側根本との
   接合部分には凹部（14a）を配することを特徴とするワ
   イヤドットプリンタ用印字ヘッド。