JPH0742245B2 - プロスタサイクリン類縁体並びにそれを有効成分とする血液循環改善剤及び抗潰瘍剤 - Google Patents

プロスタサイクリン類縁体並びにそれを有効成分とする血液循環改善剤及び抗潰瘍剤

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JPH0742245B2
JPH0742245B2 JP61287740A JP28774086A JPH0742245B2 JP H0742245 B2 JPH0742245 B2 JP H0742245B2 JP 61287740 A JP61287740 A JP 61287740A JP 28774086 A JP28774086 A JP 28774086A JP H0742245 B2 JPH0742245 B2 JP H0742245B2
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洋三 西宮
武志 奈良
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規で安定なプロスタサイクリン類縁体並びに
それを有効成分とする血小板凝集阻害作用に高い選択性
を有し、各種循環器疾患の予防や治療に有用な循環改善
剤及び消化性潰瘍の予防や治療に有用な抗潰瘍剤を提供
するものである。
〔従来の技術〕
プロスタサイクリン(以下PGI2と記す。)は天然生理活
性物質として知られ、次式により示される構造を有し、 その化学名は(5Z,13E)−(9α,11α,15S)−6,9−エ
ポキシ−11,15−ジヒドロキシプロスタ−5,13−ジエン
酸である。PGI2は動脈壁中に存在し、強力な血小板凝集
抑制作用および末梢動脈平滑筋弛緩作用を有している
〔ネイチャー(Nature),263,663(1976)〕。かかる
作用を示すPGI2は血小板凝集の亢進、さらには血栓性傾
向の増大により誘発される脳血栓、心筋梗塞、急性狭心
症の予防および治療に有用であり、動脈硬化性疾患の予
防および治療に応用できるものと期待され、いわゆる血
流改善薬としての開発が期待される。またPGI2を含むプ
ロスタグランジン類には、胃粘膜保護作用および血流増
加作用が知られており〔1983年炎症セミナー「プロスタ
グランジン」予稿集50ページ(日本炎症学会主催)〕、
かかる作用を示すPGI2は胃潰瘍に代表される消化管潰瘍
の予防および治療に応用できるものと期待される。
しかしながら、PGI2は非常に不安定な物質であり、この
ことは医薬品としての実用化に対し障害となっている。
かかる障害を解決すべくPGI2の6,9位炭素間の酸素原子
を炭素原子に置き換えた安定類縁体の研究が行われてき
た。OP−41483〔特開昭54−130543〕に代表される一般
式(III)で示されるカルバサイクリン系化合物、化学
式(IV)で示される9−(O)−メタノ−Δ−PGI
1〔特開昭56−32436〕はいずれも化学的に安定なPGI2
縁化合物である。また9(O)−メタノプロスタサイク
リン(カルバサイクリン)の5位二重結合を6(9α)
位に移した9(O)−メタノ−Δ6(9α)−PGI1(イ
ソカルバサイクリン、化学式(V))も化学的に十分安
定であり、強力な生理活性を有するPGI2類縁化合物とし
て報告されている〔特開昭59−137445〕。
〔発明が解決しようとする課題〕 本発明者らは、室温においてほとんど分解が起らない安
定で且つ優れた薬理的性質を有するプロスタサイクリン
類の提供を目的として幅広い研究を行なった結果、新規
なプロスタサイクリン類を創製し、該化合物が強力な循
環改善作用および抗潰瘍作用をもち、かつ毒性が低いこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち本発明は式(I) 〔式中、R1は−CO2R5基(基中、R5は水素原子、又は炭
素数1〜12の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、又は1当
量のカチオンを表わす。)を表わし、Aは −CH2CH2CH2−、 −CH2CH2CH2CH2−又は −CH=CH−CH2CH2− であり、Bはトランス−CH=CH−を表わし、R2は炭素数
3〜10の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、又は炭素数3
〜8の直鎖もしくは分枝鎖アルキニル基を表わし、R3
水素原子又はメチル基を表わし、R4は水素原子、又は炭
素数1〜7のアシル基、トリ(炭素数1〜7)炭化水素
−シリル基、又は水酸基の酸素原子と共にアセタール結
合を形成する基を表わし、Aで表わされる置換基中の二
重結合はE又はZ、又はそれらの混合物であり、R2で表
わされる置換基中の不斉中心はR−配置又はS−配置、
又はそれらの混合物である。〕で表わされる安定プロス
タサイクリン類縁体に関する。
R1における炭素数1〜12の直鎖もしくは分枝鎖アルキル
基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、is
o−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチ
ル、n−ペンチル、iso−アミル、n−ヘキシル、n−
ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n
−ウンデシル、n−ドデシル等を挙げることができる。
R1における1当量のカチオンとしては、例えばNa+、K+
などのアルカリ金属カチオン、1/2Ca2+、1/2Mg2+、1/3A
l3+などの2価もしくは3価の金属カチオン、アンモニ
ウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオンなどのア
ンモニウムカチオンなどを挙げることができる。
但し、R1としては、R5が炭素数1〜12の直鎖もしくは分
枝鎖アルキル基である−COOR5基、特にカルボキシル
基、メトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基が
好ましい。
R2における炭素数3〜10の直鎖もしくは分枝鎖アルキル
基としてはn−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、
1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1,2−ジメ
チルペンチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、2
−メチルヘキシル、1,2−ジメチルヘキシル、n−ヘプ
チル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル等、好ま
しくはn−ペンチル、1−メチルペンチル、2−メチル
ペンチル、1,2−ジメチルペンチル、n−ヘキシル、1
−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル等を挙げること
ができる。
R2における炭素数3〜8の直鎖もしくは分枝鎖アルキニ
ル基としては、プロパルギル、2−ブチニル、3−ブチ
ニル、2−メチル−3−ブチニル、2−エチル−3−ブ
チニル、4−ペンチニル、3−ペンチニル、1−エチル
−3−ペンチニル、1−メチル−3−ペンチニル、2−
メチル−3−ペンチニル、1,2−ジメチル−3−ペンチ
ニル、1,1−ジメチル−3−ペンチニル、2,2−ジメチル
−3−ペンチニル、3−ヘキシニル、1−メチル−3−
ヘキシニル、2−メチル−3−ヘキシニル、1,2−ジメ
チル−3−ヘキシニル、1,1−ジメチル−3−ヘキシニ
ル、2,2−ジメチル−3−ヘキシニル、4−ヘプチニ
ル、5−オクチニル等、好ましくは、1−メチル−3−
ペンチニル、1−メチル−3−ヘキシニル、2−メチル
−3−ヘキシニル等を挙げることができる。
R2としては、特に、n−ペンチル、2−メチルペンチ
ル、1,1−ジメチルペンチル、1−メチルヘキシル、2
−メチルヘキシル、2,6−ジメチル−5−ヘプテニル、
1−メチル−3−ペンチニル、1−メチル−3−ヘキシ
ニル、2−メチル−3−ヘキシニルが好ましい。
R3としては水素原子又はメチル基が挙げられる。
R4は水素原子、又は炭素数1〜7のアシル基、トリ(炭
素数1〜7)炭化水素−シリル基、又は水酸基の酸素原
子と共にアセタール結合を形成する基を表わす。ここで
炭素数1〜7のアシル基としては、例えばアセチル、プ
ロピオニル、n−ブチリル、iso−ブチリル、n−バレ
リル、iso−バレリル、カプロイル、エナンチル、ベン
ゾイル等、好ましくはアセチル、又はベンゾイル等が挙
げられる。R4における、トリ(炭素数1〜7)炭化水素
−シリル基としては、例えばトリメチルシリル、トリエ
チルシリル、tert−ブチルジメチルシリル基の如きトリ
(炭素数1〜4)アルキルシリル、tert−ブチルジフェ
ニルシリル基の如きジフェニルアルキルシリル、トリベ
ンジルシリル基又はジメチル(2,4,6−トリ−tert−ブ
チルフェノキシ)シリル基等を好ましいものとして挙げ
ることができる。R4における、水酸基の酸素原子と共に
アセタール結合を形成する基としては、例えばメトキシ
メチル、1−エトキシエチル、1−メトキシプロピル、
2−エトキシ−2−プロピル、(2−メトキシエトキ
シ)メチル、ベンジルオキシメチル、2−テトラヒドロ
ピラニル、2−テトラヒドロフラニル、4−(4−メト
キシテトラヒドロピラニル)基又は6,6−ジメチル−3
−オキサ−2−オキソビシクロ〔3.1.0〕ヘキス−4−
イル基を挙げることができる。これらのうち、2−テト
ラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、1−エ
トキシエチル、2−メトキシ−2−プロピル、(2−メ
トキシエトキシ)メチル、4−(4−メトキシテトラヒ
ドロピラニル)、6,6−ジメチル−3−オキサ−2−オ
キソビシクロ〔3.1.0〕ヘキス−4−イル基が好まし
い。
R4としては、これらのうち水素原子、tert−ブチルジメ
チルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、2−
テトラヒドロピラニル基、アセチル基、4−(4−メト
キシテトラヒドロピラニル)基、6,6−ジメチル−3−
オキサ−2−オキソビシクロ〔3.1.0〕ヘキス−4−イ
ル基、ジメチル(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノキ
シ)シリル基が特に好ましい。
本発明により提供されるプロスタサイクリン類の具体例
の一部を以下に挙げる。
1)3−(3−カルボキシプロピル)−7−エキソ−
(3−ヒドロキシ−トランス−1−オクテニル)−8−
エンド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−
2−エン 2)3−(3−カルボキシプロピル)−7−エキソ−
(3−ヒドロキシ−4−メチル−トランス−1−ノネン
−6−イニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビシ
クロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン 3)3−(4−カルボキシブチル)−7−エキソ−(3
−ヒドロキシ−トランス−1−オクテニル)−8−エン
ド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−
エン 4)3−(4−カルボキシブチル)−7−エキソ−(3
−ヒドロキシ−4−メチル−トランス−1−ノネン−6
−イニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ
〔4.3.0〕ノナ−2−エン 5)3−(4−カルボキシ−1−ブテニル)−7−エキ
ソ−(3−ヒドロキシ−トランス−1−オクテニル)−
8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノ
ナ−2−エン 6)3−(4−カルボキシ−1−ブテニル)−7−エキ
ソ−(3−ヒドロキシ−4−メチル−トランス−1−ノ
ネン−6−イニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−
ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン等である。
〔合成法〕
本発明の前記一般式(I)で表わされる新規安定プロス
タサイクリン類縁体は下記の反応式に従い製造すること
ができる。
尚、本発明における下記一般式中のR8は水酸基の保護基
であり、保護基としてはt−ブチルジメチルシリル基、
トリエチルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニ
ル−t−ブチルシリル基等を例示することができる。
〔第1工程〕 本工程は、前記一般式(VI)で表わされるラクトール体
をウィティッヒ反応に付すことにより、前記一般式(VI
I)で表わされるα,β−不飽和エステル誘導体を製造
するものである。尚、前記一般式(VI)で表わされるラ
クトール体は、コーリーラクトンの還元により容易に得
られる(下記参考例参照)。
本工程のウィティッヒ反応は、トルエン、ベンゼン等の
芳香族炭化水素中メトキシカルボニルメチレントリフェ
ニルホスホランやエトキシカルボニルメチレントリフェ
ニルホスホランの如き安定イリドを用いて行われる。安
定イリドの使用量は通常1〜2当量であり、反応は50℃
〜130℃にて円滑に進行する。
〔第2工程〕 本工程は、前記第1工程で得られた前記一般式(VII)
で表わされるα,β−不飽和エステル誘導体を還元して
前記一般式(VIII)で表わされるヒドロキシ−エステル
体を製造するものである。本還元反応は、5%パラジウ
ム・炭素、10%パラジウム・炭素、ウイルキンソン錯体
の存在下1気圧の水素下に行うことができる。溶媒とし
ては、エタノール、メタノール、ベンゼン、酢酸エチル
等を使用可能であり、これらの溶媒の存在下、還元反応
は、0℃〜50℃で容易に進行する。
〔第3工程〕 本工程は、前記第2工程で得られた前記一般式(VIII)
で表わされるヒドロキシ−エステル体を酸化して前記一
般式(IX)で表わされるシクロペンタノン誘導体を製造
するものである。
本酸化反応は、メチレンクロリドの如きハロゲン化炭化
水素溶媒中、コリンズ試薬やピリジニウムクロロクロメ
ートを用いることにより容易に進行する。実験操作上よ
り簡便な反応として、Swern酸化反応も使用可能であ
る。Swern酸化反応は、メチレンクロリド中2〜3当量
のオキザリルクロリド、4〜5当量のDMSO、10〜15当量
のトリエチルアミンを用いて行うことができる。尚、反
応温度は−78℃〜室温の反応を選択することができる。
〔第4工程〕 本工程は、前記第3工程で得られた前記一般式(IX)で
表わされるシクロペンタノン誘導体をメチレン化するこ
とにより前記一般式(X)で表わされるエキソ−メチレ
ン体を製造するものである。
本メチレン化反応には、テトラヒドロフラン中、亜鉛・
メチレンブロミド・四塩化チタンより調製された試剤を
用いる。メチレン化反応は、メチレンクロリドの如きハ
ロゲン化炭化水素溶媒中行うものであり、反応温度は0
℃〜50℃の範囲を選択することができる。
〔第5工程〕 本工程は、前記第4工程で得られた前記一般式(X)で
表わされるエキソ−メチレン誘導体を水和反応させるこ
とにより前記一般式(XI)で表わされるヒドロキシメチ
ルシクロペンタン誘導体を製造するものである。
本工程の水和反応はヒドロホウ素化し、酸化することに
より行われる。ヒドロホウ素化にあたっては、例えばジ
シアミルボラン,9−BBN(9−ボラビシクロ〔3.3.1〕ノ
ナン)、テキシルボラン等のヒドロホウ素化試剤を用い
ることができる。ヒドロホウ素化試剤の使用量は1〜1.
5当量用いる。反応を行うにあたっては溶媒中で行うこ
とが望ましく、例えばテトラヒドロフラン、ジグライ
ム、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒を用いること
ができる。反応は−25℃〜室温にて円滑に進行する。更
に本工程はヒドロホウ素化に続き生成物を単離すること
なく酸化を行うものである。酸化にあたっては、例えば
過酸化水素等の酸化剤を用いることができる。過酸化水
素を用いて酸化を行う場合には、例えば水酸化ナトリウ
ム等の塩基性の状態で使用することが好ましい。酸化剤
の使用量は、5〜15当量であり、反応は室温〜60℃で円
滑に進行する。
〔第6工程〕 本工程は、前記第5工程で得られた前記一般式(XI)で
表わされるヒドロキシメチルシクロペンタン誘導体を還
元して前記一般式(XII)で表わされるジオール体を製
造するものである。還元反応は、テトラヒドロフランや
エーテル等のエーテル系溶媒中リチウムアルミナムヒド
リドの如き還元剤を用いて行うことができる。反応温度
は0℃〜40℃の範囲を選択することができる。
〔第7工程〕 本工程は、前記第6工程で得られた前記一般式(XII)
で表わされるジオール体を酸化、続いて脱水を伴うアル
ドール縮合に付すことにより、前記一般式(XIII)で表
わされる6員環エナールを製造するものである。
酸化にあたっては、例えばジメチルスルホキシド・オキ
ザリルクロリド、ジメチルスルホキシド・三酸化イオウ
のピリジン錯体等を使用することができる。酸化剤の使
用量は通常1〜5当量用いればよい。
反応を行うにあたっては溶媒中で行うことが望ましく、
例えば塩化メチレン等のハロゲン炭化水素等を用いるこ
とができる。
反応は酸化剤の種類によっても異なるが−70℃〜室温に
て円滑に進行する。
本工程での酸化生成物を得るには、反応物中にトリエチ
ルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の第三級アミ
ンを加え−70℃〜室温にて処理することにより行われ
る。
酸化反応終了後は生成物を単離することなく次の脱水反
応に付した。脱水反応は前記酸化反応で得られた生成物
を酸性触媒の存在下に加熱することにより行うものであ
る。酸性触媒としては、酸・アンモニウム塩を使用する
ことができる。酸・アンモニウム塩触媒は酸とアミンと
から形成することができる。使用する酸としてはトリフ
ルオロ酢酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン
酸、酢酸等を例示することができる。又、使用できるア
ミンとしてはジベンジルアミン、ジエチルアミン、ジメ
チルアミン、ジイソプロピルアミン、ピペリジン、ピロ
リジン、ピペラジン等を例示することができる。これら
の酸とアミンは適宜選択し、組み合わせ使用することが
できるが、とりわけトリフルオロ酢酸とジベンジルアミ
ンを組み合わせた触媒が収率よく目的物を得ることがで
きる点で好ましい。触媒の使用量は0.2当量程度でよい
が、反応を速やかに進行させるためには1当量程度用い
ることが好ましい。
反応を行うにあたっては溶媒の使用が望ましく、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素を用いるこ
とができる。
反応温度は室温〜100℃を選ぶことができるが、反応を
円滑に行うには50℃〜70℃の範囲で行うことが好まし
い。
前記一般式(XIII)で示される6員環エナールから前記
一般式(I)で表わされる新規安定プロスタサイクリン
類縁体は二つの経路で製造される。
〔第8工程〕 本工程は、前記一般式(XIII)で表わされる6員環エナ
ールをメチレン化することにより、前記一般式(XIV)
で表わされる共役ジエンを製造するものである。
メチレン化反応は、テトラヒドロフランのようなエーテ
ル系溶媒中、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド
とt−ブチルアルコールのカリウム塩のような塩基で調
製されるイリドを用いて行うことができる。反応温度は
0℃〜50℃を選択することができる。
〔第9工程〕 本工程は、前記第8工程で得られた前記一般式(XIV)
で表わされる共役ジエンを選択的にヒドロホウ素化続い
て酸化反応を行うことにより前記一般式(XV)で表わさ
れる一級アルコールを製造するものである。
本ヒドロホウ素化には、ジシアミルボランや9−BBNの
如きヒドロホウ素化剤を用いることができる。反応を行
うにあたっては溶媒中で行うことが望ましく、例えばテ
トラヒドロフラン、ジグライム、ジエチルエーテル等の
エーテル系溶媒を用いることができる。ヒドロホウ素化
後の酸化にあたっては、例えば過酸化水素等の酸化剤を
塩基性条件下使用することができる。
〔第10工程〕 本工程は、前記第9工程で得られた前記一般式(XV)で
表わされる一級アルコールを酸化することにより前記一
般式(XVI)で表わされるアルデヒドを製造するもので
ある。
本酸化反応はメチレンクロリドの如きハロゲン化炭化水
素溶媒を用いてコリンズ試薬、ビリジニウムクロロクロ
メート、Swern酸化等を用いることができる。反応温度
は−78℃〜50℃を選択することができる。
〔第11工程〕 本工程は、前記第10工程で得られた前記一般式(XVI)
で表わされるアルデヒドをウィティッヒ反応に付すこと
により前記一般式(XVII)で表わされるα,β−不飽和
エステルを製造するものである。
本工程のウィティッヒ反応は、トルエン、ベンゼン等の
芳香族炭化水素中、メトキシカルボニルメチレントリフ
ェニルホスホランやエトキシカルボニルメチレントリフ
ェニルホスホランの如き安定イリドを用いて行われる。
安定イリドの使用量は、通常1〜2当量であり、反応は
50℃〜130℃にて円滑に進行する。尚、前記一般式(XVI
I)におけるR9は、メチル、エチル、プロピル等の如き
低級アルキルである。
〔第12工程〕 本工程は、前記第11工程で得られた前記一般式(XVII)
で示されるα,β−不飽和エステルを選択的に還元して
前記一般式(XVIII)で表わされるエステルを製造する
ものである。
本還元反応は、テトラヒドロフランの如きエーテル系溶
媒中リチウム−sec−ブチルボロヒドリドやカッパー
(I)ヒドリドのような還元剤を用いて行うことができ
る。反応温度は−78℃〜0℃でを選択することができ
る。
〔第13工程〕 本工程は、前記第12工程で得られた前記一般式(XVII
I)で表わされるエステルの一級水酸基の保護基を選択
的に脱保護して、前記一般式(XIX)で表わされる一級
アルコールを製造するものである。
本脱保護反応の反応条件は、R8の種類により異なるがR8
がt−ブチルジメチルシリルの如きトリアルキルシリル
基で、R4がテトラヒドロピラニル基の如きアセタール型
保護基の場合には、テトラヒドロフラン中テトラ−n−
ブチルアンモニウムフルオリドという条件を用いること
ができる。
〔第14工程〕 本工程は、前記一般式(XIII)で表わされる6員環エナ
ールにウィティッヒ反応をほどこし、続いてカルボキシ
ル基を保護して前記一般式(XX)で表わされる1,3−ジ
エンを製造するものである。
本ウィティッヒ反応には、3−カルボキシプロピルトリ
フェニルホスホニウムブロミドとt−ブチルアルコール
のカリウム塩から調製されるイリドを用いることができ
る。反応溶媒は、テトラヒドロフランの如きエーテル系
溶媒が使用可能であり、反応温度は−78℃〜50℃を選択
することができる。本工程は、続いてウィティッヒ反応
により得られる生成物をエステル化するものである。R9
がメチルの場合は、エーテル中ジアゾメタンという条件
やアセトン中炭酸カリウム−ヨウ化メチルという反応条
件を用いることができる。尚、前記一般式(XX)におけ
るR9は、メチル、エチル、プロピルの如き低級アルキル
である。
〔第15工程〕 本工程は、前記一般式(XX)で表わされる1,3−ジエン
を選択的に還元して、前記一般式(XXI)で示されるモ
ノエンを製造するものである。
本選択還元は、接触還元反応を用いるものであり、接触
還元反応に使用する水素圧は通常1気圧である。還元触
媒としては、5%パラジウム・炭素、10%パラジウム・
炭素、ウィルキンソン錯体を用いることができる。還元
用溶媒は、メタノール、エタノール、ベンゼン、酢酸エ
チル等幅広く選択することができ、同様に、反応温度も
−78℃〜50℃と幅広く選択が可能である。
〔第16工程〕 本工程は、前記第15工程で得られた前記一般式(XXI)
で表わされるモノエンの一級水酸基の保護基を選択的に
脱保護して、前記一般式(XXII)で表わされる一級アル
コールを製造するものである。
本脱保護反応の反応条件はR8の種類により異なるが、R8
がt−ブチルジメチルシリルの如きトリアルキルシリル
基で、R4がテトラヒドロピラニル基の如きアセタール型
保護基の場合には、テトラヒドロフラン中テトラ−n−
ブチルアンモニウムフルオリドという条件を用いること
ができる。
〔第17工程〕 本工程は、前記第14工程で得られた前記一般式(XX)で
表わされる1,3−ジエンの一級水酸基の保護基を選択的
に脱保護して、前記一般式(XXIII)で表わされる一級
アルコールを製造するものである。
本脱保護反応の反応条件は、R8の種類により異なるがR8
がt−ブチルジメチルシリルの如きトリアルキルシリル
基で、R4がテトラヒドロピラニル基の如きアセタール型
保護基の場合には、テトラヒドロフラン中テトラ−n−
ブチルアンモニウムフルオリドという条件を用いること
ができる。
前記一般式(XIX,XXIIおよびXXIII)から前記一般式
(I)で表わされる新規安定プロスタサイクリン類縁体
は、以下に示す如く三つの経路に従って合成される。
〔第18工程〕 本工程は、前記一般式(XIX)で表わされるω−チェイ
ン−一級アルコールを酸化し、続いて、ウィティッヒ反
応により前記一般式(XXIX)で表わされる共役エノンを
製造するものである。酸化反応にあたっては、メチレン
クロリドの如きハロゲン化炭化水素中、コリンズ試薬、
三酸化イオウ・ピリジン錯体を用いて行うことができ
る。反応温度は−78℃〜50℃を選択することができる。
本工程は引き続き酸化により得られた生成物を単離する
ことなくウィティッヒ反応に付するものである。反応剤
としては、ジメチル(2−オキソヘプチル)ホスホネー
ト、ジメチル(2−オキソ−3−メチル−5−オクチニ
ル)ホスホネート等を用いることができる。本ウィティ
ッヒ反応は、塩基の存在下に行うことが収率よく目的物
を得る上で好ましく、例えば水素化ナトリウム、ブチル
リチウム、t−ブトキシカリウム等を使用することがで
きる。反応を行うにあたっては溶媒中で行うことが望ま
しく例えばテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジ
エチルエーテル等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族溶媒等を使用することができ
る。反応温度は−25℃〜50℃の範囲で選択することがで
きる。
〔第19工程〕 本工程は、前記第18工程で得られた前記一般式(XXIV)
で還元することにより前記一般式(I)で表わされるア
リルアルコールを製造するものである。
本還元は、ナトリウムボロヒドリド、亜鉛ボロヒドリド
の如き還元剤を使用することができる。反応に用いる溶
媒は、メタノール、エタノール、ジメトキシエタン、エ
ーテル、テトラヒロドフラン等であり、反応温度は、−
50℃〜50℃の範囲を選択することができる。
〔第20工程〕 本工程は、前記第19工程で得られた前記一般式(I)で
表わされるアリルアルコールの水酸基の保護基の脱保
護、エステルの加水分解により前記一般式(I)で表わ
される新規安定プロスタサイクリン類縁体を製造するも
のである。水酸基の保護基の脱保護は、R4の種類により
異なるが例えばテトラヒドロピラニル基の場合には、酢
酸・水・THFの条件で20℃〜80℃に加熱することにより
行うものである。
エステルの加水分解は、通常の反応条件である水・メタ
ノールあるいは水・エタノール中水酸化ナトリウムある
いは水酸化カリウムという条件で行うことができる。反
応温度は0℃〜50℃を選択することができる。
経路4、経路5での製造も経路3と同様の反応条件で行
うことができる。
又、本発明はプロスタサイクリン類縁体を有効成分とす
る循環改善剤に関するものである。
本発明者は、プロスタサイクリン類縁体の薬理作用を詳
細に検討した結果、前記一般式(I)で示される化合物
群が、従来既知のプロスタサイクリン類縁体のもつ血小
板凝集阻害作用、各臓器の血流増加作用、血圧降下作
用、抗潰瘍作用等の作用スペクトルと比較して、特に血
小板凝集阻害作用にきわめて高い選択性を有することを
見出し、各種循環器疾患の予防及び治療への応用につい
て更に研究を進め本発明を完成した。
本発明のプロスタサイクリン類縁体は血圧降下作用が弱
く、しかも各種臓器に対し適度な血流増加作用を示し、
更には血小板凝集阻害作用に高い選択性を有するなどの
従来の難点を克服したものであり、本発明により、心筋
梗塞、狭心症等の虚血性心疾患、脳血栓、脳梗塞及び末
梢循環障害などの循環障害の治療及び予防に意義ある薬
剤を提供することが可能になる。
本発明の一般式(I)で表わされるプロスタサイクリン
類縁体としては、例えば化合物(a):3−(3−カルボ
キシプロピル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−ト
ランス−1−オクテニル)−8−エンド−ヒドロキシ−
シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン、化合物
(b):3−(3−カルボキシプロピル)−7−エキソ−
(3α−ヒドロキシ−4−メチル−トランス−1−ノネ
ン−6−イニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビ
シクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン、化合物(c):3−
(4−カルボキシ−1−ブテニル)−7−エキソ−(3
α−ヒドロキシ−トランス−1−オクテニル)−8−エ
ンド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2
−エン、化合物(d):3−(4−カルボキシ−1−ブテ
ニル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−4−メチル
−トランス−1−ノネン−6−イニル)−8−エンド−
ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エ
ン、化合物(e):3−(4−カルボキシブチル)−7−
エキソ−(3α−ヒドロキシ−トランス−1−オクテニ
ル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.
0〕ノナ−2−エン、化合物(f):3−(4−カルボキ
シブチル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−4−メ
チル−トランス−1−ノネン−6−イニル)−8−エン
ド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−
エン等を挙げることができる。
本発明において、例えば化合物(b)の血圧降下作用は
プロスタサイクリンと比較して約1/135の活性である
が、コラーゲン凝集による血小板凝集阻害作用は1/12で
あり、又椎骨動脈、冠状動脈及び大腿動脈の血流を適度
に増加させる作用を有する。更に化合物(c)において
は、血圧降下作用はプロスタサイクリンの約1/125と弱
いがADP凝集による血小板凝集阻害作用は1/17であり、
又化合物(b)と同様各種臓器の血流を適度に増加させ
る作用を有することから、本発明の目的を十分達成する
ことができる。
更に本発明はプロスタサイクリン類縁体を有効成分とす
る抗潰瘍剤に関するものである。
本発明者らは、プロスタサイクリン類縁体の薬理作用を
詳細に検討した結果、前記一般式(I)で示される化合
物群が、動物を用いたエタノール潰瘍、塩酸潰瘍及びイ
ンドメタシン潰瘍に対して、経口投与においても著明な
抗潰瘍作用を有することを見い出し、消化性潰瘍の予防
および治療への応用について更に研究を進め本発明を完
成した。
本発明のプロスタサイクリン類縁体、例えば化合物
(b)、(d)および(f)においては、抗潰瘍作用を
有する代表的なPG、すなわちPGE2と比較し優るとも劣ら
ない抗潰瘍作用を有しており、更にPGE2類似体は激しい
下痢を誘発するのに比較して、上記プロスタサイクリン
類縁体は下痢誘発作用をもたない。又プロスタサイクリ
ンが著明な血圧降下作用を有するのに比較して、上記プ
ロスタサイクリン類縁体の血圧降下作用はきわめて弱
く、作用選択性に優れており、抗潰瘍剤として本発明の
目的を十分達成することができる。
本発明におけるこれらの化合物は治療のために経口的あ
るいは非経口的に投与することができる。
経口投与剤とては散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤など
の固形製剤あるいはシロップ剤、エリキシル剤などの液
状製剤とすることができる。また、非経口投与剤として
注射剤、直腸投与剤、皮膚外用剤、吸入剤とすることが
できる。これらの製剤は活性成分に薬学的に認容である
製造助剤を加えることにより常法に従って製造される。
更に公知の技術により持続性製剤とすることも可能であ
る。
経口投与用の固形製剤を製造するには活性成分と賦形剤
例えば乳糖、デンプン、結晶セルロース、乳糖カルシウ
ム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水ケイ酸な
どとを混合して散剤とするか、さらに必要に応じて白
糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリ
ドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤などを
加えて湿式又は乾式造粒して顆粒剤とする。錠剤を製造
するにはこれらの散剤及び顆粒剤をそのままあるいはス
テアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤加えて打
錠すればよい。これらの顆粒又は錠剤はヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースフタレート、メタアクリル酸、メ
タアクリル酸メチルコポリマーなどの腸溶性基剤で被覆
して腸溶性製剤、あるいはエチルセルロース、カルナウ
バロウ、硬化油などで被覆して持続性製剤とすることも
できる。また、カプセル剤を製造するには散剤又は顆粒
剤を硬カプセルに充填するか、活性成分をグリセリン、
ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油などに溶
解したのちゼラチン膜で被覆し軟カプセル剤とすること
ができる。
経口投与用の液状製剤を製造するには活性成分と白糖、
ソルビトール、グリセリンなどの甘味剤とを水に溶解し
て透明なシロップ剤、更に精油、エタノールなどを加え
てエリキシル剤とするか、アラビアゴム、トラガント、
ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウムなどを加えて乳剤又は懸濁剤としてもよい。これら
の液状製剤には所望により矯味剤、着色剤、保存剤など
を加えてもよい。
注射剤を製造するには活性成分を必要に応じ塩酸、水酸
化ナトリウム、乳剤、乳酸ナトリウム、リン酸一水素ナ
トリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのpH調整剤、塩
化ナトリウム、ブドウ糖などの等張化剤とともに注射用
蒸留水に溶解し、無菌濾過してアンプルに充填するか、
更にマンニトール、デキストリン、シクロデキストリ
ン、ゼラチンなどを加えて真空下凍結乾燥し、用時溶解
型の注射剤としてもよいし、活性成分にレシチン、ポリ
ソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを
加えて水中で乳化せしめ注射用乳剤とすることもでき
る。
直腸投与剤を製造するには活性成分及びカカオ脂、脂肪
酸のトリ、ジ及びモノグリセリド、ポリエチレングリコ
ールなどの坐剤用基剤とを加湿して溶融し型に流しこん
で冷却するか、活性成分をポリエチレングリコール、大
豆油などに溶解したのちゼラチン膜で被覆すればよい。
皮膚外用剤を製造するには活性成分を白色ワセリン、ミ
ツロウ、流動パラフィン、ポリエチレングリコールなど
に加えて必要ならば加湿して練合し軟膏剤とするか、ロ
ジン、アクリル酸アルキルエステル重合体などの粘着剤
と練合したのちポリエチレンなどの不織布に展延してテ
ープ剤とする。
吸入剤を製造するには活性成分をフロンガスなどの噴射
剤に溶解又は分散して耐圧容器に充填しエアゾール剤と
する。
本発明のプロスタサイクリン類縁体の投与量は患者の年
齢、体重及び病態によって異なるが、通常1日約1μg
〜500mgであり、1乃至数回に分けて投与することが望
ましい。
以下に参考例、実施例、試験例及び製剤の調整例によ
り、本発明を具体的に説明する。
参考例1 アルゴン雰囲気下、〔2−オキサ−3−オキソ−6−エ
キソ−t−ブチルジメチルシリルオキシメチル−7−エ
ンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ
〔3.3.0〕オクタン〕(10g,27mmol)をトルエン(80m
l)に溶解し、−78℃に冷却した。水素化ジイソブチル
アルミニウム(1Mトルエン溶液40.5ml,40.5mmol)を加
え−78℃で60分間撹拌した。−78℃で水素の発生が認め
られなくなるまでメタノールを加え、室温まで温度を上
げた。飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出、無水硫酸
マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し〔2−オキサ−3
−ヒドロキシ−6−エキソ−t−ブチルジメチルシリル
オキシメチル−7−エンド−テトラヒドロピラニルオキ
シ−シス−ビシクロ〔3.3.0〕オクタン〕(10.1g,100
%)を得た。
IR(neat):3430,2950,2860,835cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.70−5.30(m,1H),4.85−4.55(m,2
H),4.40−3.25(m,5H),0.90(s,9H). Mass m/z(%):213(5),159(17),85(100),75(1
9),73(13). 参考例2 アルゴン雰囲気下、〔2−オキサ−3−ヒドロキシ−6
−エキソ−t−ブチルジメチルシリルオキシメチル−7
−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシク
ロ〔3.3.0〕オクタン〕(10.1g,27mmol)をトルエン(1
00ml)に溶解した。メトキシカルボニルメチレントリフ
ェニルホスホラン(11.7g,35mmol)を加え60℃にて12時
間攪拌した。冷後、溶媒を留去して得られた残留物をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(エーテル:n−ヘキ
サン=1:2)により精製し、〔2α−(3−メトキシカ
ルボニル−2−プロペニル)−3β−t−ブチルジメチ
ルシリルオキシメチル−4α−テトラヒドロピラニルオ
キシ−1α−シクロペンタノール〕(10.9g,94%)を得
た。
IR(neat):3530,2960,2875,1730,1660,840cm-1. NMR(CDCl3)δ:7.06(m,1H),5.95(d,J=15Hz,1H),
4.66(bs,1H),3.70(s,3H),0.90(s,9H),0.05(s,6
H). Mass m/z(%):211(1),159(37),85(100),75(2
6),73(18),43(9). 参考例3 〔2α−(3−メトキシカルボニル−2−プロペニル)
−3β−t−ブチルジメチルシリルオキシメチル−4α
−テトラヒドロピラニルオキシ−1α−シクロペンタノ
ール〕(7.0g,16.4mmol)をメタノール(50ml)に溶解
した。10%パラジウム・炭素(700mg)を加え、水素雰
囲気下、室温で1時間攪拌した。触媒を濾別し、濾液の
溶媒を留去し〔2α−(3−メトキシカルボニルプロピ
ル)−3β−t−ブチルジメチルシリルオキシメチル−
4α−テトラヒドロピラニルオキシ−1α−シクロペン
タノール〕(6.5g,93%)を得た。
IR(neat):3520,2940,2850,1738,1738,830cm-1. NMR(CDCl3)δ:4.67(bs,1H),3.66(s,3H),0.90(s,
9H),0.05(s,6H). Mass m/z(%):257(10),211(1),165(29),159
(62),119(11),85(100),75(28),73(22),43(1
2). 参考例4 アルゴン雰囲気下、オキザリルクロリド(3.8ml,43.5mm
ol)を塩化メチレン(30ml)に溶解した。−78℃でジメ
チルスルホキシド(6.5ml,90.6mmol)の塩化メチレン溶
液(30ml)を加えた。−78℃で30分間攪拌後、〔2α−
(3−メトキシカルボニルプロピル)−3β−t−ブチ
ルジメチルシリルオキシメチル−4α−テトラヒドロピ
ラニルオキシ−1α−シクロペンタノール〕(6.5g,15.
1mmol)の塩化メチレン溶液(50ml)を加えた。−78℃
で30分間攪拌後、トリエチルアミン(31.3ml,226.5mmo
l)を加え、室温まで温度を上昇させた。水を加え塩化
メチレンで抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄後無水硫酸
マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた残留
物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(エーテル:n
−ヘキサン=1:2)により精製し〔2α−(3−メトキ
シカルボニルプロピル)−3β−t−ブチルジメチルシ
リルオキシメチル−4α−テトラヒドロピラニルオキシ
−1−シクロペンタノン〕(6.2g,95%)を得た。
IR(neat):2900,2810,1730,820cm-1. NMR(CDCl3)δ:4.63(bs,1H),3.66(s,3H),0.90(s,
9H),0.05(s,6H). Mass m/z(%):209(2),159(28),85(100),75(2
9),73(29),43(3),41(22). 参考例5 アルゴン雰囲気下、〔2α−(3−メトキシカルボニル
プロピル)−3β−t−ブチルジメチルシリルオキシメ
チル−4α−テトラヒドロピラニルオキシ−1−シクロ
ペンタノン〕(10g,23mmol)を塩化メチレン(100ml)
に溶解し、室温で亜鉛・チタニウムクロライド・臭化メ
チレン試薬(Zn−TiCl4−CH2Br2/THF)をTLCにて原料が
消失するまで加えた。反応液を飽和重曹水(500ml)と
エーテル(500ml)の混合液中にあけた。この混合液を
セライトにて濾過した。エーテル層を分取後、水層はさ
らにエーテルで抽出した。エーテル層を合わせ飽和食塩
水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留
去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(エーテル:n−ヘキサン=1:6)により精製し〔2α−
(3−メトキシカルボニルプロピル)−3β−t−ブチ
ルジメチルシリルオキシメチル−4α−テトラヒドロピ
ラニルオキシ−1−シクロペンチリデン〕(7.6g,76
%)を得た。
IR(neat):2900,2800,1730,1645,1240,820cm-1. NMR(CDCl3)δ:4.83(d,2H),4.63(bs,1H),3.80(s,
3H),0.90(s,9H),0.05(s,6H). Mass m/z(%):193(18),159(41),85(100),75(3
7),73(31),43(15). 参考例6 アルゴン雰囲気下、〔2α−(3−メトキシカルボニル
プロピル)−3β−t−ブチルジメチルシリルオキシメ
チル−4α−テトラヒドロピラニルオキシ−1−シクロ
ペンチリデン〕(7.5g,17.6mmol)をTHF(70ml)に溶解
した。
0℃にて、ジシアミルボランのTHF溶液(0.9M,43ml,38.
7mmol)を滴下した。0℃にて1時間攪拌した後、6N水
酸化ナトリウム溶液(25.5ml,153mmol)及び30%過酸化
水素水(22ml,194mmol)を加えた。室温にて1時間攪拌
した後、酢酸エチルにて抽出した。有機層は、チオ硫酸
ナトリウム溶液及び飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マ
グネシウムで乾燥後、溶媒留去し〔1α−ヒドロキシメ
チル−2α−(3−メトキシカルボニルプロピル)−3
β−t−ブチルジメチルシリルオキシメチル−4α−テ
トラヒドロピラニルオキシシクロペンタン〕(7.8g,100
%)を得た。
IR(neat):3450,2930,2850,835cm-1. NMR(CDCl3)δ:4.66(bs,1H),3.66(s,3H),0.90(s,
9H),0.05(s,6H). Mass m/z(%):285(15),255(9),193(30),159
(54)85(100),57(100),43(52). 参考例7 アルゴン雰囲気下、リチウムアルミニウムハライド(3.
34g,88mmol)をTHF(70ml)に懸濁した。氷冷下、〔1
α−ヒドロキシメチル−2α−(3−メトキシカルボニ
ルプロピル)−3β−t−ブチルジメチルシリルオキシ
メチル−4α−テトラヒドロピラニルオキシシクロペン
タン〕(7.8g,17.6mmol)のTHF溶液(100ml)を滴下し
た。氷冷下、30分間攪拌した後、硫酸ナトリウム・10水
和物を加え、セライト濾過した。溶媒を留去し、残留物
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(エーテル)に
より精製し〔1α−ヒドロキシメチル−2α−(4−ヒ
ドキシブチル)−3β−t−ブチルジメチルシリルオキ
シメチル−4α−テトラヒドロピラニルオキシシクロペ
ンタン〕(6.8g,93%)を得た。
IR(neat):3420,2935,2850,1730,830cm-1. NMR(CDCl3)δ:4.63(bs,1H),4.10(m,1H),0.90(s,
9H),0.05(s,6H). Mass m/z(%):331(M+−85,3),275(4),183
(8),159(35),85(100),41(31). 参考例8 アルゴン雰囲気下、オキザリルクロリド(9ml,105.6mmo
l)を塩化メチレン(70ml)に溶解した。−78℃で、ジ
メチルスルホキシド(16.2ml,228.8mmol)の塩化メチレ
ン(40ml)を加えた。−78℃で30分間攪拌後、〔1α−
ヒドロキシメチル−2α−(4−メトキシブチル)−3
β−t−ブチルジメチルシリルオキシメチル−4α−テ
トラヒドロピラニルオキシシクロペンタン〕(6.8g,16.
4mmol)の塩化メチレン溶液(40ml)を加えた。−78℃
で30分間攪拌後、トリエチルアミン(73ml,528mmol)を
加え、室温まで温度を上昇させた。塩化メチレンを留去
した。アルゴン雰囲気下、ベンゼン(150ml)及びジベ
ンジルアンモニウムトリフルオロアセテート(5.1g,16.
4mmol)を加え、60℃で5時間攪拌した。放冷後、水を
加え、エーテルで抽出した。エーテル層を飽和塩化アン
モニウム水溶液、飽和重曹水、及び水で洗浄した。無水
硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残留物を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(エーテル:n−ヘ
キサン=4:1)により精製し〔3−ホルミル−7−エキ
ソ−t−ブチルジメチルシリルオキシメチル−8−エン
ド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.
3.0〕ノナ−2−エン〕(3g,46%)を得た。
IR(neat):2950,2870,1680,1630,835cm-1. NMR(CDCl3)δ:9.43(s,1H),6.70(bs,1H),4.63(b
s,1H),0.90(s,9H),0.05(s,6H). Mass m/z(%):309(M+−85,trace),159(33),85(1
00),75(26),73(10),57(14). 参考例9 アルゴン雰囲気下、予め100℃で減圧下、十分に乾燥し
たメチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(44mg,
1.14mmol)をTHF(5ml)に懸濁させた。これに、t−ブ
トキシカリウム(140mg,1.14mmol)のTHF溶液(2ml)を
室温にて加えた。10分間攪拌した後、〔3−ホルミル−
7−エキソ−t−ブチルジメチルシリルオキシメチル−
8−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシ
クロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(150mg,0.38mmol)のT
HF溶液(2ml)を加え室温で30分間攪拌した。飽和塩化
アンモニウム水溶液を加えた後、エーテルで抽出した。
エーテル層を飽和食塩水にて洗浄して、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥後、溶媒を留去した。残留物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(エーテル:n−ヘキサン=1:
15)により精製し〔3−エテニル−7−エキソ−t−ブ
チルジメチルシリルオキシメチル−8−エンド−テトラ
ヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ
−2−エン〕(139mg,93%)を得た。
IR(neat):2950,2875,1640,1605,1475,1260,1200,840,
780cm-1. NMR(CDCl3)δ:6.33(dd,J=11.6Hz,1H),5.66(bs,1
H),5.03(d,J=20Hz,1H),4.88(d,J=11.6Hz,1H),4.
60(bs,1H),0.90(s,9H),0.05(s,6H). Mass m/z(%):374(M+−H2O,trace),308(7),251
(18),205(3),159(77),85(100),57(19). 参考例10 アルゴン雰囲気下、〔3−エテニル−7−エキソ−t−
ブチルジメチルシリルオキシメチル−8−エンド−テト
ラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノ
ナ−2−エン〕(245mg,0.63mmol)をTHF(4ml)に溶解
し、0℃にてジシアミルボランのTHF溶液(0.91M,1.7m
l,1.58mmol)を滴下し0℃にて1時間攪拌した。0℃に
て6N水酸化ナトリウム溶液(1.13ml,6.78mmol)及び30
%過酸化水素水(0.94ml,8.29mol)を加えた後、室温に
て、1時間攪拌した。水を加えたの後、酢酸エチルにて
抽出した。有機層は、チオ硫酸ナトリウム水溶液及び飽
和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、
溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグ
ファフイー(エーテル:n−ヘキサン=1:3)より精製し
〔3−(2−ヒドロキシエチル)−7−エキソ−t−ブ
チルジメチルシリルオキシメチル−8−エンド−テトラ
ヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ
−2−エン〕(259mg,100%)を得た。
IR(neat):3450,2930,2860,1475,1255,1200,835,775cm
-1. NMR(CDCl3)δ:5.40(bs,1H),4.56(bs,1H),0.90
(s,9H),0.05(s,6H). Mass m/z(%):410(M+,trace),326(7),269
(9),177(44),159(91),85(100),41(30). 参考例11 アルゴン雰囲気下、クロム酸(610mg,6.1mmol)を塩化
メチレン(10ml)に懸濁しピリジン(1ml,12.2mmol)を
滴下した。室温で15分間攪拌した後、〔3−(2−ヒド
ロキシエチル)−7−エキソ−t−ブチルジメチルシリ
ルオキシメチル−8−エンド−テトラヒドロピラニルオ
キシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(259
mg,0.61mmol)の塩化メチレン溶液(10ml)を加え、室
温で15分間攪拌した。反応液をエーテルで希釈し、フロ
ーリジルカラムクロマトグラフィー(エーテル)にて反
応液を濾過しエーテルで洗浄した。溶媒を留去した後、
真空ポンプにてピリジンを十分に留去した。シルカゲル
カラムクロマトグラフィー(エーテル:n−ヘキサン=1:
5)により精製し〔3−(1−ホルミルメチル)−7−
エキソ−t−ブチルジメチルシリルオキシメチル−8−
エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ
〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(180mg,78%)を得た。
IR(neat):2950,2850,1730,1475,1255,1200,835,775cm
-1. NMR(CDCl3)δ:9.56(t,1H),5.50(bs,1H),4.55(b
s,1H),2.94(d,1H),0.90(s,9H),0.05(s,6H). Mass m/z(%):324(M+−84,4),267(27),249(1
3),159(100),85(100). 参考例12 アルゴン雰囲気下、〔3−(1−ホルミルメチル)−7
−エキソ−t−ブチルジメチルシリルオキシメチル−8
−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシク
ロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(180mg,0.44mmol)をト
ルエン(1.5ml)に溶解した。メトキシカルボニルメチ
レントリフェニルホスホラン(220mg,0.66mmol)を加え
60℃にて4時間攪拌した。溶媒を留去し、残留物をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(エーテル:n−ヘキサ
ン=1:4)により精製し〔3−(3−メトキシカルボニ
ル−2−プロペニル)−7−エキソ−t−ブチルジメチ
ルシリルオキシメチル−8−エンド−テトラヒドロピラ
ニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エ
ン〕(201mg,98%)を得た。
IR(neat):2910,2840,1720,1640,1455,1420,1190,825,
765cm-1. NMR(CDCl3)δ:6.60(dt,J=16.7Hz,1H),5.84(d,J=
16.7Hz,1H),5.42(bs,1H),4.60(bs,1H),3.71(s,3
H),2.80(d,2H),0.90(s,9H),0.05(s,6H). Mass m/z(%):380(M+−84,13),323(24),231(3
4),199(8),159(100),85(100),57(33). 参考例13 アルゴン雰囲気下、臭化第一銅(1g,7mmol)をTHF(3m
l)に懸濁した。−20℃でビトライド(70%トルエン溶
液、1.97ml,14mmol)を滴下し30分間攪拌した。−78℃
にて2−ブタノール(1.4ml,15.8mmol)及び〔3−(3
−メトキシカルボニル−2−プロペニル)−7−エキソ
−t−ブチルジメチルシリルオキシメチル−8−エンド
−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.
0〕ノナ−2−エン〕(201mg,0.431mmol)のTHF溶液(8
ml)を加えた。−20℃で1時間30分間攪拌した。反応液
に水及び飽和塩化アンモニウム水溶液を加えエーテルに
て希釈した。室温にて水層が青色を呈するまで攪拌した
後、エーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、残
留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(エーテ
ル:n−ヘキサン=1:5)にて精製し〔3−(3−メトキ
シカルボニルプロピル)−7−エキソ−t−ブチルジメ
チルシリルオキシメチル−8−エンド−テトラヒドロピ
ラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エ
ン〕(200mg,100%)を得た。
IR(neat):2900,2830,1735,1455,1425,1225,1195,830,
775cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.30(bs,1H),4.62(bs,1H),3.56
(s,3H),0.90(s,9H),0.05(s,6H). Mass m/z(%):466(M+,trace),382(2),325
(7),233(13),201(12),159(34),85(100),28
(23). 参考例14 アルゴン雰囲気下、〔3−(3−メトキシカルボニルプ
ロピル)−7−エキソ−t−ブチルジメチルシリウオキ
シメチル−8−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−
シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(200mg,0.4
3mmol)をTHF(2.5ml)に溶解した。テトラ−n−ブチ
ルアンモニウムフルオリド(1M THF溶液、0.86ml,0.86m
mol)を加え室温にて一昼夜攪拌した。飽和食塩水を加
えた後、エーテルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥後、溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(エーテル:n−ヘキサン=3:1)にて精
製し〔3−(3−メトキシカルボニルプロピル)−7−
エキソ−ヒドロキシメチル−8−エンド−テトラヒドロ
ピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−
エン〕(154mg,100%)を得た。
IR(neat):3500,2950,2870,1740,1440,1200cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.32(bs,1H),4.62(bs,1H),3.65
(s,3H). Mass m/z(%):352(M+,trace),268(7),219(1
1),131(9),85(100),41(16). 参考例15 アルゴン雰囲気下、〔3−(3−メトキシカルボニルプ
ロピル)−7−エキソ−ヒドロキシメチル−8−エンド
−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.
0〕ノナ−2−エン〕(60mg,0.17mmol)をジメチルスル
ホキシド(2ml)に溶解した。トリエチルアミン(0.11m
l,1.02mmol)及び三酸化イオウ・ピリジン錯体(162mg,
1.02mmol)のジメチルスルホキシド溶液(2mnl)を加え
室温にて1時間攪拌した。氷水を加え、酢酸エチルで抽
出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥後、溶媒を留去し、〔3−(3−メトキシカ
ルボニルプロピル)−7−エキソ−ホルミル−8−エン
ド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.
3.0〕ノナ−2−エン〕(57mg,96%)を得た。一方、水
素化ナトリウム(油状60%,16mg,0.4mmol)をアルゴン
雰囲気下、ペンタンで洗浄し、THF(2ml)に懸濁させ
た。ジメチル(2−オキソヘプチル)ホスホネート(11
8mg,0.48mmol)のTHF溶液(10ml)を加え、室温で40分
間攪拌した。〔3−(3−メトキシカルボニルプロピ
ル)−7−エキソ−ホルミル−8−エンド−テトラヒド
ロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2
−エン〕(57mg)のTHF溶液(3ml)を加え室温にて1時
間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、
エーテルで抽出し、エーテル層を飽和食塩水で洗浄し
た。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去して得
られる残留物を、シルカゲルカラムクロマトグラフィー
(エーテル:n−ヘキサン=1:2)により精製し〔3−
(3−メトキシカルボニルプロピル)−7−エキソ−
(3−オキソ−トランス−1−オクテニル)−8−エン
ド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.
3.0〕ノナ−2−エン〕(62mg,84%)を得た。
IR(neat):2930,2860,1740,1690,1670,1620,1430,120
0,1025,865,730cm-1. NMR(CDCl3)δ:6.80(m,1H),6.16(dd,J=16.7Hz,1
H),5.33(bs,1H),4.60(m,1H),3.65(s,3H),0.90
(t,3H). Mass m/z(%):344(13),318(8),248(7),166
(36).85(100),57(21). 参考例16 参考例15と同様の方法で、ジメチル(2−オキソ−3,7
−ジメチル−5−ヘプチニル)ホスホネートとの反応に
より〔3−(3−メトキシカルボニルプロピル)−7−
エキソ−(3−オキソ−4−メチル−トランス−1−ノ
ネン−6−イニル)−8−エンド−テトラヒドロピラニ
ルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕
(84%)を合成した。そのスペクトルデータを示す。
IR(neat):2950,2900,1740,1700,1675,1630,1440,121
0,1040cm-1. NMR(CDCl3)δ:6.63(m,1H),6.23(dd,J=16.7,4Hz,1
H),5.30(bs,1H),4.56(m,1H),3.63(s,3H),1.23−
1.00(m,6H). 実施例1 アルゴン雰囲気下、〔3−(3−メトキシカルボニルプ
ロピル)−7−エキソ−(3−オキソ−トランス−1−
オクテニル)−8−エンド−テトラヒドロピラニルオキ
シ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(46mg,
0.14mmol)をメタノール(3ml)に溶解した。−25℃に
冷却し、過剰の水素化ホウ素ナトリウムを加えた。−25
℃で20分間攪拌後、過剰のアセトンを加えた。室温にも
どした後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、減圧
下、メタノール及びアセトンを留去した。残留水層を酢
酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶
媒を留去して〔3−(3−メトキシカルボニルプロピ
ル)−7−エキソ−(3−ヒドロキシ−トランス−1−
オクテニル)−8−エンド−テトラヒドロピラニルオキ
シ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(47mg,
100%)を得た。
IR(neat):3450,2930,2860,1740,1200,1030,910,730cm
-1. NMR(CDCl3)δ:5.60(m,2H),5.30(bs,1H),4.66(b
s,1H),3.33(s,3H),0.88(t,3H). Mass m/z(%):346(7),302(22),279(3),149
(21),85(100),57(21). 実施例2 実施例1と同様の方法で〔3−(3−メトキシカルボニ
ルプロピル)−7−エキソ−(3−ヒドロキシ−4−メ
チル−トランス−1−ノネン−6−イニル)−8−エン
ド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.
3.0〕ノナ−2−エン〕(78.1%)を合成した。そのス
ペクトルデータを示す。
IR(neat):3400,2950,2900,1750,1200,1020cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.60(m,2H),5.33(bz,1H),4.63(b
s,1H),3.33(s,3H),1.33−0.96(m,6H). 実施例3 〔3−(3−メトキシカルボニルプロピル)−7−エキ
ソ−(3−ヒドロキシ−トランス−1−オクテニル)−
8−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシ
クロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(45mg,0.1mmol)を酢
酸:THF:水(3:1:1,容積比)の混液(0.7ml)に溶解し、
50℃にて2時間攪拌した。冷却後、酢酸エチルにて希釈
後飽和重曹水で中和した。酢酸エチル層を飽和食塩水で
洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去
して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(エーテル:n−ヘキサン=5:1)にて精製し、高極
性成分として〔3−(3−メトキシカルボニルプロピ
ル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−トランス−1
−オクテニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビシ
クロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(9mg,25%)及び低極
性成分として〔3−(3−メトキシカルボニルプロピ
ル)−7−エキソ−(3β−ヒドロキシ−トランス−1
−オクテニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビシ
クロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(12mg,33%)をそれぞ
れ得た。α−エピマー体のスペクトルデータを以下に示
す。β−エピマー体のスペクトルも同様である。
IR(neat):3410,2980,2940,1742cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.57(m,2H),5.36(bs,1H),3.69(s,
3H),0.89(t,3H). Mass m/z(%):346(M+−H2O,13),302(36),149(10
0),79(12),43(86). 実施例4 実施例3と同様の方法で〔3−(3−メトキシカルボニ
ルプロピル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−4−
メチルトランス−1−ノネン−6−イニル)−8−エン
ド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−
エン〕(44%)及びβ−エピマー体(31%)を合成し
た。
α−エピマー体のスペクトルデータを示す。β−エピマ
ー体のスペクトルも同様である。
IR(neat):3400,2930,2870,1740cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.63(m,2H),5.30(bs,1H),3.30(s,
3H),1.23−0.88(m,6H). 実施例5 アルゴン雰囲気下、〔3−(3−メトキシカルボニルプ
ロピル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−トランス
−1−オクテニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−
ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(9mg,0.025mmol)
をメタノール(0.2ml)に溶解した。0℃で、10%水酸
化ナトリウム水溶液(0.2ml)を加え、一昼夜攪拌し
た。0℃で、1N塩酸溶液にて中和した後、メタノールを
留去し、残留水槽を1N塩酸溶液でpH4とした。酢酸エチ
ルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥した。溶媒を留去して〔3−(3−カルボキシ
プロピル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−トラン
ス−1−オクテニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス
−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(8.9mg,100%)
を得た。
IR(neat):3375,2970,2860,1720,1125cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.60(m,2H),5.35(bs,1H),0.90(t,
3H). Mass m/z(%):332(M+−H2O,10),288(18),218(1
0),208(13),138(50),91(53),43(100). 同様に、15β−エピマー体も加水分解し、〔3−(3−
カルボキシプロピル)−7−エキソ−(3β−ヒドロキ
シ−トランス−1−オクテニル)−8−エンド−ヒドロ
キシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕を得
た。スペクトルデータ(IR,NMR,Mass)は〔3−(3−
カルボキシプロピル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキ
シ−トランス−1−オクテニル)−8−エンド−ヒドロ
キシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕のデ
ータと同様である。
実施例6 実施例5と同様の方法で〔3−(3−カルボキシプロピ
ル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−4−メチル−
トランス−1−ノネン−6−イニル)−8−エンド−ヒ
ドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕
(97%)及びそのβ−エピマー体(98%)を合成した。
α−エピマー体のスペクトルデータを示す。β−エピマ
ー体のスペクトルも同様である。
IR(neat):3370,2940,2850,1710,1450cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.60(m,2H),5.30(bs,1H),1.30−0.
88(t,6H). 参考例17 アルゴン雰囲気下、3−カルボキシプロピルトリフェニ
ルホスホニウムブロミド(1.1g,2.5mmol)をTHF(10m
l)に懸濁した。t−ブトキシカリウム(560mg,5mmol)
のTHF溶液(10ml)を加え、室温で20分間攪拌した。そ
こへ〔3−ホルミル−7−エキソ−t−ブチルジメチル
シリルオキシメチル−8−エンド−テトラヒドロピラニ
ルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕
(200mg,0.5mmol)のTHF溶液(5ml)を滴下し、室温で3
0分間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、
反応液を10%塩酸水溶液にてpH5〜4に調整し、酢酸エ
チルにより抽出した。有機層は、無水硫酸マグネシウム
で乾燥後、溶媒を留去した。残留物にエーテルを加え、
0℃にてジアゾメタンのエーテル溶液を加えた。薄層ク
ロマトグラフィーにより〔3−(4−カルボキシ−1−
ブテニル)−7−エキソ−t−ブチルジメチルシリルオ
キシメチル−8−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ
−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕のスポッ
トの消失を確認後、少量のギ酸を加え、ただちに飽和重
曹水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで
乾燥後溶媒を留去して得られた残留物を、シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(エーテル:n−ヘキサン=1:
4)により精製し、〔3−(4−メトキシカルボニル−
1−ブテニル)−7−エキソ−t−ブチルジメチルシリ
ルオキシメチル−8−エンド−テトラヒドロピラニルオ
キシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(210
mg,88%)を得た。(Z)−及び(E)−の異性体比は
2:1であった。
IR(neat):2950,2860,1740,1430,1255,1200,1030,835c
m-1. NMR(CDCl3)δ:6.12(d,J=16.5Hz,1/3H,trans),5.96
(d,J=12Hz,2/3H,cis),5.63(bs,1H),5.30(m,1H),
4.65(bs,1H),3.70(s,3H),0.90(s,9H). Mass m/z(%):479(M++1,trace),337(12),245(1
4),213(9),159(34),85(100),57(17). 参考例18 アルゴン雰囲気下、〔3−(4−メトキシカルボニル−
1−ブテニル)−7−エキソ−t−ブチルジメチルシリ
ルオキシメチル−8−エンド−テトラヒドロピラニルオ
キシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(160
mg,0.33mmol)をTHF(0.5ml)に溶解した。テトラ−n
−ブチルアンモニウムフルオリド(1M THF溶液、0.68m
l,0.68mmol)を加え室温にて一昼夜攪拌した。飽和食塩
水を加えた後、エーテルで抽出し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(エーテル:n−ヘキサン=1:1)
にて精製し〔3−(4−メトキシカルボニル−1−ブテ
ニル)−7−エキソ−ヒドロキシメチル−8−エンド−
テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.
0〕ノナ−2−エン〕(108mg,90%)を得た。
IR(neat):3490,2950,2880,1740,1435,1200,1020,865c
m-1. NMR(CDCl3)δ:6.30(d,J=16.5Hz,1/3H,trans),5.83
(d,J=12Hz,2/3H,cis),5.60(bs,1H),5.30(m,1H),
4.68(m,1H),3.70(s,3H). Mass m/z(%):364(M+,trace),280(15),199
(5),177(11),85(100),28(29). 参考例19 アルゴン雰囲気下、〔3−(4−メトキシカルボニル−
1−ブテニル)−7−エキソ−ヒドロキシメチル−8−
エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ
〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(108mg,0.3mmol)をジメチ
ルスルホキシド(2ml)に溶解した。トリエチルアミン
(0.25ml,1.8mmol)及び三酸化イオウ・ピリジン錯体
(286mg,1.8mmol)のジメチルスルホキシド溶液(2ml)
を加え室温にて1時間10分攪拌した。氷水を加え、酢酸
エチルで抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。無水硫
酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、〔3−(4−
メトキシカルボニル−1−ブテニル)−7−エキソ−ホ
ルミル−8−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シ
ス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(106mg,100
%)を得た。一方、水素化ナトリウム(油状60%,18mg,
0.45mmol)を、アルゴン雰囲気下、ペンタンで洗浄し、
THF(5ml)に懸濁させた。ジメチル(2−オキソヘプチ
ル)ホスホネート(133mg,0.6mmol)のTHF溶液(5ml)
を加え、室温で40分間攪拌した。〔3−(4−メトキシ
カルボニル−1−ブテニル)−7−エキソ−ホルミル−
8−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシ
クロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(106mg)のTHF溶液(5
ml)を加え室温で40分間攪拌した。飽和塩化アンモニウ
ム水溶液を加えた後、エーテルで抽出し、エーテル層を
飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、溶媒を留去して得られる残留物を、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(エーテル:n−ヘキサン=1:3)
により精製し〔3−(4−メトキシカルボニル−1−ブ
テニル)−7−エキソ−(3−オキソ−トランス−1−
オクテニル)−8−エンド−テトラヒドロピラニルオキ
シ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(112m
g,84%)を得た。
IR(neat):2940,2880,1740,1700,1675,1625,1430,120
0,1030cm-1. NMR(CDCl3)δ:6.81(m,1H),6.22(dd,J=16.5Hz,3H
z,1H),6.08(d,J=15Hz,1/3Hz,trans),5.82(d,J=12
Hz,2/3Hz,cis),5.56(bs,1H),5.30(m,1H),4.62(s,
1H),3.70(s,3H),0.88(t,3H). Mass m/z(%):376(8),332(12),85(100),57(1
8).55(13),41(2). 実施例7 アルコン雰囲気下、〔3−(4−メトキシカルボニル−
1−ブテニル)−7−エキソ−(3−オキソ−トランス
−1−オクテニル)−8−エンド−テトラヒドロピラニ
ルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕
(110mg,0.24mmol)をメタノール(2ml)に溶解した。
−25℃に冷却し、過剰の水素化ホウ素ナトリウムを加え
た。−25℃で30分間攪拌後少量のアセトン及び飽和塩化
アンモニウム水溶液を加え、減圧下、メタノール及びア
セトンを留去した。残留水層を酢酸エチルで抽出し、無
水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去して〔3−
(4−メトキシカルボニル−1−ブテニル)−7−エキ
ソ−(3−ヒドロキシ−トランス−1−オクテニル)−
8−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシ
クロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(112mg,100%)を得
た。
IR(neat):3450,2900,2850,1738,1430,1200,1020cm-1. NMR(CDCl3)δ:6.11(d,J=16.5Hz,1/3H,trans),5.82
(d,J=12Hz,2/3Hz,cis),5.58(m,3H),5.25(m,1H),
4.68(bs,1H),3.70(s,3H),0.88(t,3H). Mass m/z(%):442(M+−H2O,trace),358(10),314
(11),234(31),150(21),85(100),41(24). 実施例8 〔3−(4−メトキシカルボニル−1−ブテニル)−7
−エキソ−(3−ヒドロキシ−トランス−1−オクテニ
ル)−8−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス
−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(112mg,0.24mmo
l)を酢酸:THF:水(3:1:1,容積比)の混液(2ml)に溶
解し、50℃にて4時間30分攪拌した。冷却後酢酸エチル
にて希釈後飽和重曹水で中和した。酢酸エチル層を飽和
食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶
媒を留去して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(エーテル:n−ヘキサン=5:1)にて精製
し、高極性成分として〔3−(4−メトキシカルボニル
−1−ブテニル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−
トランス−1−オクテニル)−8−エンド−ヒドロキシ
−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(34mg,38
%)及び低極性成分として〔3−(4−メトキシカルボ
ニル−1−ブテニル)−7−エキソ−(3β−ヒドロキ
シ−トランス−1−オクテニル)−8−エンド−ヒドロ
キシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(26m
g,26%)をそれぞれ得た。α−エピマー体のスペクトル
データを以下に示す。β−エピマー体のスペクトルも同
様である。
IR(neat):3400,2950,2880,1740,1440,740cm-1. NMR(CDCl3)δ:6.06(d,J=16Hz,1/3H,trans),5.81
(d,J=12Hz,2/3Hz,cis),5.53(m,3H),5.25(m,1H),
3.70(s,3H),0.86(t,3H). Mass m/z(%):358(M+−H2O,19),314(11),244(2
8),227(9),117(45),91(59),43(100). 実施例9 アルゴン雰囲気下、〔3−(4−メトキシカルボニル−
1−ブテニル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−ト
ランス−1−オクテニル)−8−エンド−ヒドロキシ−
シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(30mg,0.08
mmol)をメタノール(0.7ml)に溶解した。0℃で、10
%水酸化ナトリウム水溶液(0.7ml)を加え、一昼夜攪
拌した。0℃で、1N塩酸溶液にて中和した後、メタノー
ルを留去し、残留水槽を1N塩酸溶液でpH4とした。酢酸
エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥後、溶媒を留去して〔3−(4−カルボキ
シ−1−ブテニル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ
−トランス−1−オクテニル)−8−エンド−ヒドロキ
シ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(28mg,
97%)を得た。
IR(neat):3375,2950,2870,1720,1440,1120,965cm-1. NMR(CDCl3)δ:6.10(d,J=16Hz,1/3H,trans),5.85
(d,J=12Hz,2/3Hz,cis),5.63(m,.3H),5.40−5.13
(m,3H),0.90(t,3H). Mass m/z(%):344(M+−H2O,12),300(20),230(1
2),220(15),150(48),91(56),43(100). 同様に、15β−エピマー体も加水分解し、〔3−(4−
カルボキシ−1−ブテニル)−7−エキソ−(3β−ヒ
ドロキシ−トランス−1−オクテニル)−8−エンド−
ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エ
ン〕を得た。スペクトルデータ(IR,NMR,Mass)は〔3
−(4−カルボキシ−1−ブテニル)−7−エキソ−
(3α−ヒドロキシ−トランス−1−オクテニル)−8
−エンド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ
−2−エン〕のデータと同様である。
参考例20 〔3−(4−メトキシカルボニル−1−ブテニル)−7
−エキソ−t−ブチルジメチルシリルオキシメチル−8
−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシク
ロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(190mg,0.4mmol)をメタ
ノール(5ml)に溶解した。10%パラジウム・炭素(60m
g)のメタノール溶液(5ml)を加え、水素雰囲気下、室
温で1時間30分攪拌した。触媒を濾過し、濾液の溶媒を
留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(エーテル:n−ヘキサン=1:8)により精製し、〔3
−(4−メトキシカルボニルブチル)−7−エキソ−t
−ブチルジメチルシリルオキシメチル−8−エンド−テ
トラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕
ノナ−2−エン〕(187mg,97%)を得た。
IR(neat):2930,2850,1740,1210,835cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.35(bs,1H),4.63(bs,1H),3.66
(s,3H),0.90(s,9H). Mass m/z(%):339(8),247(12),159(28),85(1
00),75(17). 参考例21 アルゴン雰囲気下、〔3−(4−メトキシカルボニルブ
チル)−7−エキソ−t−ブチルジメチルシリルオキシ
メチル−8−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シ
ス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(93mg,0.19mm
ol)をTHF(3ml)に溶解した。テトラ−n−ブチルアン
モニウムフルオリド(1M THF溶液、0.48ml,0.48mmol)
を加え、室温で13時間攪拌した。飽和食塩水を加えた
後、エーテルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(エーテル:n−ヘキサン=3:1)にて精製
し〔3−(4−メトキシカルボニルブチル)−7−エキ
ソ−ヒドロキシメチル−8−エンド−テトラヒドロピラ
ニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エ
ン〕(62mg,89%)を得た。
IR(neat):3450,2930,2850,1740,1020cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.35(bs,1H),4.65(bs,1H),3.66
(s,3H). Mass m/z(%):366(M+,trace),282(5),85(10
0),65(11),57(10),41(11). 参考例22 アルゴン雰囲気下、〔3−(4−メトキシカルボニルブ
チル)−7−エキソ−ヒドロキシメチル−8−エンド−
テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.
0〕ノナ−2−エン〕(51mg,0.14mmol)をジメチルスル
ホキシド(3ml)に溶解した。トリエチルアミン(0.12m
l,0.84mmol)及び三酸化イオウ・ピリジン錯体(133mg,
0.84mmol)のジメチルスルホキシド溶液(2ml)を加え
室温にて1時間攪拌した。氷水を加え、酢酸エチルで抽
出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥後、溶媒を留去し、〔3−(4−メトキシカ
ルボニルブチル)−7−エキソ−ホルミル−8−エンド
−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.
0〕ノナ−2−エン〕(53mg,100%)を得た。一方、水
素化ナトリウム(油状60%,9.2mg,0.23mmol)をペンタ
ンで洗浄し、THF(2ml)に懸濁した。ジメチル(2−オ
キソヘプチル)ホスホネート(62mg,0.28mmol)のTHF溶
液(3ml)を加え、室温で40分間攪拌した。〔3−(4
−メトキシカルボニルブチル)−7−エキソ−ホルミル
−8−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビ
シクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(53mg)のTHF溶液
(3ml)を加え室温にて1時間攪拌した。飽和塩化アン
モニウム水溶液を加えた後、エーテルで抽出し、エーテ
ル層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで
乾燥後、溶媒を留去して得られる残留物を、シリカゲル
カラムクロマトグラフィー(エーテル:n−ヘキサン=1:
3)により精製し、〔3−(4−メトキシカルボニルブ
チル)−7−エキソ−(3−オキソ−トランス−1−オ
クテニル)−8−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ
−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(51mg,80
%)を得た。
IR(neat):2930,2880,1740,1700,1675,1625,1200,1030
cm-1. NMR(CDCl3)δ:6.83(m,1H),6.20(dd,J=15,3.5Hz,1
H),5.33(bs,1H),4.65(m,1H),3.70(s,3H), Mass m/z(%):376(10),312(13),85(100),67(1
6).57(20),43(21),41(20). 実施例10 アルゴン雰囲気下、〔3−(4−メトキシカルボニルブ
チル)−7−エキソ−(3−オキソ−トランス−1−オ
クテニル)−8−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ
−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(120mg,
0.26mmol)をメタノール(5ml)に溶解した。−25℃に
冷却し、過剰の水素化ホウ素ナトリウムを加えた。−25
℃で30分間攪拌した後、過剰のアセトンを加えた。室温
にもどした後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、減
圧下、メタノール及びアセトンを留去した。残留水層を
酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、
溶媒を留去して〔3−(4−メトキシカルボニルブチ
ル)−7−エキソ−(3−ヒドロキシ−トランス−1−
オクテニル)−8−エンド−テトラヒドロピラニルオキ
シ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(118m
g,98%)を得た。
IR(neat):3450,2930,2850,1740,1020cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.58(m,2H),5.31(bs,1H),4.67(b
s,1H),3.66(s,3H),0.86(t,3H). Mass m/z(%):444(M+−H2O,trace),316(13),85
(100),67(12),57(18),55(10),43(17),41(2
0). 実施例11 〔3−(4−メトキシカルボニルブチル)−7−エキソ
−(3−ヒドロキシ−トランス−1−オクテニル)−8
−エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシク
ロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(115mg,0.25mmol)を酢
酸:THF:水(3:1:1,容積比)の混液(2.5ml)に溶解し、
50〜55℃で4時間攪拌した。冷却後酢酸エチルにて希釈
後、飽和重曹水で中和した。酢酸エチル層を飽和食塩水
で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留
去して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(エーテル)にて精製し、高極性成分として〔3
−(4−メトキシカルボニルブチル)−7−エキソ−
(3α−ヒドロキシ−トランス−1−オクテニル)−8
−エンド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ
−2−エン〕(42mg,44%)及び低極性成分として〔3
−(4−メトキシカルボニルブチル)−7−エキソ−
(3β−ヒドロキシ−トランス−1−オクテニル)−8
−エンド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ
−2−エン〕(29mg,31%)をそれぞれ得た。α−エピ
マー体のスペクトルデータを以下に示す。β−エピマー
体のスペクトルも同様である。
IR(neat):3400,2940,2870,1740cm-1. NMR(CDCl3)δ:5,56((m,2H),5.33(bs,1H),4.10
(m,1H),3.68(s,3H),0.88(t,3H). Mass m/z(%):358(M+−H2O,21),342(18),329
(9),316(75),289(15),261(11),246(32),199
(17),193(20),179(27). 実施例12 アルゴン雰囲気下、〔3−(4−メトキシカルボニルブ
チル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−トランス−
1−オクテニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビ
シクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(38mg,0.1mmol)を
メタノール(1ml)に溶解した。0℃で、10℃水酸化ナ
トリウム水溶液(1ml)を加え、一昼夜攪拌した。0℃
で、1N塩酸溶液にて中和した後、メタノールを留去し、
残留水槽を1N塩酸溶液でpH4とした。酢酸エチルで抽出
し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥
した。溶媒を留去して〔3−(4−カルボキシブチル)
−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−トランス−1−オ
クテニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ
〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(35mg,96%)を得た。
IR(neat):3350,2950,2850,1720,1450cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.60(m,2H),5.33(bs,1H),3.73(s,
3H),0.88(t,3H). Mass m/z(%):346(M+−H2O,10),302(17),232(1
4),91(50),43(100). 同様に、15β−エピマー体も加水分解し、〔3−(4−
カルボキシブチル)−7−エキソ−(3β−ヒドロキシ
−トランス−1−オクテニル)−8−エンド−ヒドロキ
シ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕を得
た。データ(IR,NMR,Mass)は〔3−(4−カルボキシ
ブチル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−トランス
−1−オクテニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−
ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕のデータと同様で
ある。
参考例23 アルゴン雰囲気下、〔3−(4−メトキシカルボニル−
1−ブテニル)−7−エキソ−ヒドロキシメチル−8−
エンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ
〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(114mg,0.313mmol)をジメ
チルスルホキシド(2ml)に溶解し、室温でトリエチル
アミン(0.26ml,1.86mmol)を加え、ジメチルスルホキ
シド(2ml)に溶解した三酸化イオウ・ピリジン錯体(2
96mg,1.86mmol)を滴下し同温度で1時間攪拌した。
その後、氷水(20ml)を加え酢酸エチル抽出を行い、水
及び飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥後
溶媒を留去し、無色油状物を得た。
一方、60%水素化ナトリウム(19mg,0.475mmol)をTHF
(5ml)に懸濁させ、THF(5ml)に溶解したジメチル
(2−オキソ−3,7−ジメチル−5−ヘプテニル)ホス
ホネート(156mg,0.634mmol)を加え室温で40分間攪拌
した。更に、先に得られた無色油状物をTHF(5ml)に溶
解して滴下し30分間攪拌した。その後、飽和塩化アンモ
ニウム水溶液(50ml)を加えエーテル抽出を行い、飽和
食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留
去し、無色油状物を得た。
精製は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて行
い、淡黄色油状物として〔3−(4−メトキシカルボニ
ル−1−ブテニル)−7−エキソ−(3−オキソ−4−
メチル−トランス−1−ノネン−6−イニル)−8−エ
ンド−テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ
〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(93mg,61.6%)を得た。
IRνmax(neat):2950,1740,1700,1670,1625,1435,136
0,1320,1260,1200,1160,1130,1080,1030,975,915,870,8
15cm-1. NMR(CDCl3)δ:6.83(m,1H),6.30(dd,J=15Hz,3Hz,1
H),5.56(bs,1H),4.65(m,1H),3.72(s,3H),1.30−
1.00(m,6H). Mass m/z(%):398(M+−84,6),285(16),190(3
0),85(100). 実施例13 〔3−(4−メトキシカルボニル−1−ブテニル)−7
−エキソ−(3−オキソ−4−メチル−トランス−1−
ノネン−6−イニル)−8−エンド−テトラヒドロピラ
ニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エ
ン〕(89mg,0.184mmol)をメタノール(2ml)に溶解
し、−25℃で大過剰の水素化ホウ素ナトリウムを加え、
同温度で45分間攪拌した。その後アセトン(2ml)を加
え室温まで昇温し、飽和塩化アンモニウム水溶液(5m
l)を加えメタノール及びアセトンを留去し、更に飽和
塩化アンモニウム水溶液(15ml)を加え酢酸エチルで抽
出を行い無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去し、
淡黄色油状物を得た。
精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて行い、
〔3−(4−メトキシカルボニル−1−ブテニル)−7
−エキソ−(3−ヒドロキシ−4−メチル−トランス−
1−ノネン−6−イニル)−8−エンド−テトラヒドロ
ピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−
エン〕(83mg,93.1%)を無色油状物として得た。
IRνmax(neat):3500,2950,1750,1440,1360,1330,126
0,1160,1140,1080,1035,975,920,870,820cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.63(m,3H),5.25(m,1H),4.70(bs,
1H),3.70(s,3H),1.30−0.94(m,6H). Mass m/z(%):400(M+−84,4),382(24),338(4
6),234(100),107(100),85(100). 実施例14 〔3−(4−メトキシカルボニル−1−ブテニル)−7
−エキソ−(3−ヒドロキシ−4−メチル−トランス−
1−ノネン−6−イニル)−8−エンド−テトラヒドロ
ピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−
エン〕(74mg,0.153mmol)に酢酸:THF:水(3:1:1)の混
液(1.75ml)を加え、50℃で4時間攪拌した。その後、
酢酸エチル(10ml)を加え飽和重曹水にてpH8に調整
し、酢酸エチル抽出し、飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マ
グネシウムで乾燥後溶媒を留去し、淡黄色油状物を得
た。
精製は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて行
い、〔3−(4−メトキシカルボニル−1−ブテニル)
−7−エキソ−(3−ヒドロキシ−4−メチル−トラン
ス−1−ノネン−6−イニル)−8−エンド−ヒドロキ
シ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕のうち
高極性成分としてα−異性体(30.9mg,50.4%)、低極
性成分としてβ−異性体(17.5mg,28.6%)を得た。
以下にα−異性体のスペクトルデータを示す。β−異性
体のスペクトルデータもほぼ同様である。
IRνmax(neat):3420,2950,1745,1435,1360,1325,126
0,1200,1165,1080,1020,970,915,865,735cm-1. NMR(CDCl3)δ:6.10(d,J=16Hz,1H),5.60(m,4H),
3.71(s,3H),1.30−0.80(m,6H). Mass m/z(%):400(M+,1),382(4),234(32),145
(26),131(33),117(42),107(100). 実施例15 アルゴン雰囲気下、〔3−(4−メトキシカルボニル−
1−ブテニル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−4
−メチル−トランス−1−ノネン−6−イニル)−8−
エンド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−
2−エン〕(31mg,0.0774mmol)をメタノール(0.7ml)
に溶解し、氷冷下10%水酸化ナトリウム(0.7ml)を加
え同温度で11時間30分攪拌した。その後、1N塩酸溶液で
pH8に調整しメタノールを留去後、水槽をペンタン(1m
l)で洗浄し1N塩酸溶液でpH4とした後、酢酸エチル抽出
を行い飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥後溶媒を留去し、無色油状物として〔3−(4−カル
ボキシ−1−ブテニル)−7−エキソ−(3α−ヒドロ
キシ−4−メチル−トランス−1−ノネン−6−イニ
ル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.
0〕ノナ−2−エン〕(26.4g,88.2%)を得た。
IRνmax(neat):3300,2950,1715,1430,1380,1320,126
0,1200,1160,1120,1075,1010,970,920,865cm-1. NMR(CDCl3)δ:6.10(d,J=16Hz,1/3H),5.85(d,J=1
1Hz,2/3Hz),5.75−5.13(m,4H),1.35−0.85(m,6
H). Mass m/z(%):368(M+−18,4),324(10),273(1
1),174(28),145(26),131(29),117(41),107(1
00). また、β−ジオール体についても同様の操作を行い、β
−異性体を淡黄色油状物として14.4mg(85.3%)得た。
各種スペクトルデータは、α−異性体とほぼ同様であ
る。
参考例24 アルゴン雰囲気下、〔3−(4−メトキシカルボニルブ
チル)−7−エキソ−ヒドロキシメチル−8−エンド−
テトラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.
0〕ノナ−2−エン〕(63mg,0.172mmol)をジメチルス
ルホキシド溶液(1ml)に溶解し、室温でトリエチルア
ミン(0.144ml,1.03mmol)を加え、ジメチルスルホキシ
ド(1ml)に溶解した三酸化イオウ・ピリジン錯体(164
mg,1.03mmol)を滴下し同温度で1時間30分攪拌した。
その後、氷水(20ml)を加え酢酸エチル抽出を行い、水
及び飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥後
溶媒を留去し、淡黄色油状物を得た。一方、60%水素化
ナトリウム(10mg,0.25mmol)をTHF(3ml)に懸濁さ
せ、THF(3ml)に溶解したジメチル(2−オキソ−3,7
−ジメチル−5−ヘプチニル)ホスホネート(85mg,0.3
45mmol)を加え室温で40分間攪拌した更に、先に得られ
た淡黄色油状物をTHF(3ml)に溶解して滴下し1時間攪
拌した。その後、飽和塩化アンモニウム水溶液(50ml)
を加えエーテル抽出を行い、飽和食塩水で洗浄し無水硫
酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去し、黄色油状物を得
た。
精製は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて行
い、淡黄色油状物として〔3−(4−メトキシカルボニ
ルブチル)−7−エキソ−(3−オキソ−4−メチル−
トランス−1−ノネン−6−イニル)−8−エンド−テ
トラヒドロピラニルオキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕
ノナ−2−エン〕(57mg,68.4%)を得た。
IRνmax(neat):2950,1740,1700,1675,1625,1455,144
0,1360,1325,1200,1140,1080,1035,980,915,870,820cm
-1. NMR(CDCl3)δ:6.83(m,1H),6.28(dd,J=16Hz,3Hz,1
H),5.34(bs,1H),4.63(m,1H),3.70(s,3H),1.30−
1.00(m,6H). Mass m/z(%):400(M+−84,6),382(20),287(2
9),190(52),105(49),91(49),85(100). 実施例16 〔3−(4−メトキシカルボニルブチル)−7−エキソ
−(3−オキソ−4−メチル−トランス−1−ノネン−
6−イニル)−8−エンド−テトラヒドロピラニルオキ
シ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(56mg,
0.116mmol)をメタノール(1ml)に溶解し、−25℃で大
過剰の水素化ホウ素ナトリムを加え、同温度で30分間攪
拌した。その後アセトン(1ml)を加え室温まで昇温
し、飽和塩化アンモニウム水溶液(3ml)を加えメタノ
ール及びアセトンを留去し、更に飽和塩化アンモニウム
水溶液(10ml)を加え酢酸エチルで抽出を行い無水硫酸
マグネシウム乾燥後溶媒を留去し、淡黄色油状物を得
た。
精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて行い、
〔3−(4−メトキシカルボニルブチル)−7−エキソ
−(3−ヒドロキシ−4−メチル−トランス−1−ノネ
ン−6−イニル)−8−エンド−テトラヒドロピラニル
オキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(4
8mg,85.4%)を淡黄油状物として得た。
IRνmax(neat):3500,2950,1745,1440,1355,1325,126
0,1205,1140,1080,1030,975,915,870,815,735cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.65(m,2H),5.33(bs,1H),4.70(b
s,1H),3.70(s,3H),1.30−0.90(m,6H). Mass m/z(%):384(M+−102,4),340(19),107(2
0),85(100). 実施例17 〔3−(4−メトキシカルボニルブチル)−7−エキソ
−(3−ヒドロキシ−4−メチル−トランス−1−ノネ
ン−6−イニル)−8−エンド−テトラヒドロピラニル
オキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(4
7mg,0.0966mmol)に酢酸:THF:水(3:1:1)の混液(4m
l)を加え、50℃で4時間30分攪拌した。その後、酢酸
エチル(5ml)を加え飽和重曹水にてpH8に調整し、酢酸
エチル抽出し、飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥後溶媒を留去し、淡黄色油状物をえた。
精製は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて行
い、〔3−(4−メトキシカルボニルブチル)−7−エ
キソ−(3−ヒドロキシ−4−メチル−トランス−1−
ノネン−6−イニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス
−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕のうち高極性成
分としてα−異性体(20mg,51.4%)、低極性成分とし
てβ−異性体(13mg,33.4%)を得た。
以下にα−異性体のスペクトルデータを示す。また、β
−異性体のスペクトルデータもほぼ同様である。
IRνmax(neat):3450,2940,1740,1435,1320,1200,117
0,1080,1015,970,920,840,735cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.63(m,2H),5.36(bs,1H),3.70(s,
3H),1.30−0.80(m,6H). Mass m/z(%):384(M+−18,1),340(18),174(2
6),145(26),107(100). 実施例18 アルゴン雰囲気下、〔3−(4−メトキシカルボニルブ
チル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−4−メチル
−トランス−1−ノネン−6−イニル)−8−エンド−
ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エ
ン〕(20mg,0.049mmol)をメタノール(0.5ml)に溶解
し、氷冷下10%水酸化ナトリウム(0.5ml)を加え同温
度で12時間攪拌した。
その後、1N塩酸溶液でpH8に調整しメタノール留去後、
水槽をペンタン(1ml)で洗浄し1N塩酸溶液でpH4とし
後、酢酸エチル抽出を行い飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去し、無色油状物とし
て〔3−(4−カルボキシブチル)−7−エキソ−(3
α−ヒドロキシ−4−メチル−トランス−1−ノネン−
6−イニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビシク
ロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン〕(17.9mg,94.0%)を得
た。
IRνmax(neat):3400,2950,1715,1440,1380,1325,126
5,1080,1020,970,805cm-1. NMR(CDCl3)δ:5.60(m,2H),5.35(bs,1H),1.35−0.
85(m,6H). Mass m/z(%):370(M+−18,3),326(14),174(2
4),145(28)131(27),119(26),117(29),107(10
0). また、β−ジオール体についても同様の操作を行い、β
−異性体(11.1mg,88.4%)を淡黄色油状物として得
た。
各種スペクトルデータは、α−異性体とほぼ同様であ
る。
試験例 化合物(a):3−(3−カルボキシプロピル)−7−エ
キソ−(3α−ヒドロキシ−トランス−1−オクテニ
ル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.
0〕ノナ−2−エン、化合物(b):3−(3−カルボキ
シプロピル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−4−
メチル−トランス−1−ノネン−6−イニル)−8−エ
ンド−ヒドロキシ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2
−エン、化合物(c):3−(4−カルボキシ−1−ブテ
ニル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ−トランス−
1−オクテニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビ
シクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン、化合物(d):3−
(4−カルボキシ−1−ブテニル)−7−エキソ−(3
α−ヒドロキシ−4−メチル−トランス−1−ノネン−
6−イニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビシク
ロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン、化合物(e):3−(4−
カルボキシブチル)−7−エキソ−(3α−ヒドロキシ
−トランス−1−オクテニル)−8−エンド−ヒドロキ
シ−シス−ビシクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エン及び化合
物(f):3−(4−カルボキシブチル)−7−エキソ−
(3α−ヒドロキシ−4−メチル−トランス−1−ノネ
ン−6−イニル)−8−エンド−ヒドロキシ−シス−ビ
シクロ〔4.3.0〕ノナ−2−エンの化合物を例として、
以下に試験例1〜試験例8を述べる。
試験例1.血小板凝集阻害作用 体重2.0〜2.5kgの日本白色種雄性ウサギを用いた。
ペントバルビタールナトリウム麻酔下に頚動脈より採血
し、抗凝固剤のクエン酸デキストロース溶液1/7容と混
和した。次に140×gで15分間遠心分離し、上清(血小
板多血漿:PRP)を採取した。PRPを1300×gで7分間遠
心分離し、得られた血小板ペレットを血小板洗浄用HEPE
S緩衝液(pH6.5)で洗浄し、1300×gで7分間遠心分離
した。同条件下で2回洗浄した血小板ペレットを浮遊液
(血小板洗浄用緩衝液に0.1%ヒト・フィブリノーゲ
ン、1.8mM CaCl2、1.2mM MgCl2を添加)に浮遊させ、5
〜8×108個/mlになるように血小板浮遊液を作製した。
血小板凝集能の測定は凝集メーターを用い、380μlの
血小板浮遊液に10μlの被験薬又は対照として溶媒を加
え、3分後に血小板凝集物質(最終濃度として10μMの
ADP又は1μg/mlコラーゲン)を10μlを加えて凝集を
惹起した。
被験薬により血小板凝集阻害作用はED50(血小板凝集を
50%抑制する被験薬の濃度)で表わし、その結果を表1
の(A)欄に示す。
試験例2.冠状動脈血流増加作用 体重9〜15kgの雑種成犬をペントバルビタールナトリウ
ムで麻酔し、人工呼吸管理下に開胸した。心膜切除術
後、左冠状動脈前下行枝を周囲の組織から剥離し、ヘパ
リンナトリウム処理下に血流測定用プローブを設置し、
電磁流量計を用いて冠状動脈血流量を測定した。尚、被
験薬は冠状動脈内に近接動注し、冠状動脈血流増加作用
はED50(冠状動脈の血流を15秒間遮断した後、再開した
時に生ずる反応性充血の血流増加量を100%とし、被験
薬投与により血流が50%増加する量)で表わし、その結
果を表1の(B)欄に示す。
試験例3.椎骨動脈血流増加作用 体重8〜13kgの雌雄雑種成犬を用い、ペントバルビター
ルナトリウムの静脈内投与により麻酔し、人工呼吸下に
正中線に沿って開胸し、左椎骨動脈を露出した。ヘパリ
ンナトリウム処理下に椎骨動脈内にポリエチレンカニュ
ーレを挿入した後、その他端には血流測定用プローブを
設置し、これに左大腿動脈から誘導した血流潅流用チュ
ーブを接続し、電磁流量計を用いて椎骨動脈流量を測定
した。尚、被験薬は椎骨動脈内に近接動注し、椎骨動脈
血流増加作用はED50(塩酸パパベリン100μg/kgの椎骨
動脈内投与による血流増加量(ほぼ最大反応を示す)を
100%とし、被験薬投与により血流が50%増加する量)
で表わし、その結果を表1の(C)欄に示す。
試験例4.大腿動脈血流増加作用 体重8〜13kgの雌雄雑種成犬を用い、ペントバルビター
ルナトリウムの静脈内投与により麻酔した後、気管カニ
ューレを挿入し、人工呼吸を行なった。大腿動脈血流量
はヘパリンナトリウム処理下に左大腿動脈にカニューレ
を挿入し、他端に血流測定用プローブを設置し、電磁流
量計を用いて測定した。尚、被験薬は大腿動脈内に近接
動注し、大腿動脈血流増加作用はED50(塩酸パパベリン
100μg/kgの大腿動脈内投与による血流増加量(ほぼ最
大反応を示す)を100%とし、被験薬投与により血流が5
0%増加する量)で表わし、その結果を表1の(D)欄
に示す。
試験例5.血圧降下作用 体重9〜14kgの雌雄雑種成犬を用い、ペントバルビター
ルナトリウムの静脈内投与により麻酔した後、人工呼吸
下に左総顎動脈を露出し、電気血圧計を用いて観血的に
血圧を測定した。尚、被験薬は左大腿静脈から投与し、
血圧降下作用はED50(拡張期血圧を50mmHg低下させる
量)で表わし、その結果を表1の(E)欄に示す。
試験例6.エタノール潰瘍阻害作用 体重170〜270gの雄性ウィスター系ラットを個別ゲージ
に入れ24時間絶食した。この間、水は自由に摂取させ
た。被験薬又は対照薬のPGE2を3μg/kg,10μg/kgおよ
び30μg/kg経口投与した後、その30分後に99.5%エタノ
ール1mlをそれぞれ経口投与した。エタノール投与1時
間後に顎椎脱臼によりラットを致死せしめ、胃を摘出し
た。摘出した胃に1%ホルマリン溶液を約8ml注入し、
更に同液中にて30分間固定した。固定後、胃を大弯に沿
って切開し、流水にて粘膜表面を軽く洗い流した後、装
腺胃部に発生した損傷を長さの総和を求め潰瘍指数とし
た。
被験薬によるエタノール潰瘍阻害作用はED50(無処置群
の潰瘍指数に対して潰瘍を50%抑制する被験薬の用量)
で表わし、その結果を表2の(A)欄に示す。尚、無処
置群には溶媒を投与した。
試験例7.塩酸潰瘍阻害作用 体重190g〜240gの雄性ウィスター系ラットを用いた。試
験例6と同様にして絶食した後、被験薬およびPGE2を30
μg/kgをそれぞれ経口投与し、その30分後に0.6N塩酸1m
lを経口投与した。塩酸投与30分後に顎椎脱臼によりラ
ットを致死せしめた後、試験例6と同様にして胃を摘出
固定し、潰瘍指数を求めた。
被験薬による塩酸潰瘍阻害作用は抑制百分率(無処置群
における潰瘍指数に対して被験薬投与群の潰瘍指数の抑
制率)で表わし、その結果を表2の(B)欄に示す。
尚、無処置群には溶媒を投与した。
試験例8.インドメタシン潰瘍阻害作用 体重210g〜270gの雄性ウィスター系ラットを用いた。試
験例6と同様にして絶食した後、被験薬60μg/kg又はBG
E230μg/kgをそれぞれ経口投与し、その30分後にインド
メタシン60mg/kgを皮下投与した。インドメタシン投与
3時間後に再び被験薬又はPGE2を同量経口投与した。初
回のインドメタシン投与6時間後に顎椎脱臼によりラッ
トを致死せしめた後、試験例6と同様にして胃を摘出固
定し、潰瘍指数を求めた。
被験薬によるインドメタシン潰瘍阻害作用は抑制百分率
(無処置群における潰瘍指数に対する被験薬投与群の潰
瘍指数の抑制率)で表わし、その結果を表2の(C)欄
に示す。尚、無処置群には溶媒を投与した。
製剤化の調整例 前記試験例に使用した化合物の製剤の調整例をのべる。
製剤の調整例1 化合物 500mg バレイショデンプン 150mg 軽質無水ケイ酸 50mg ステアリン酸マグネシウム 10mg 乳 糖 全量1000mg 上記成分を均一に混合し、硬カプセルに200mgずつ充填
した。
製剤の調整例2 化合物 500gm バレイションデンプン 100mg 結晶セルロース 60mg 軽質無水ケイ酸 50mg ヒドロキシプロピルセルロース 30mg ステアリン酸マグネシウム 15mg 乳 糖 全量1000mg 活性成分、乳糖、バレイションデンプン、結晶セルロー
ス及び軽質無水ケイ酸を混合し、ヒドロキシプロピルセ
ルロースの10%メタノール溶液を加えて連合造粒し経0.
8mmのスクリーンで押し出して顆粒を製し、乾燥したの
ちステアリン酸マグネシウムを加えて圧縮成型し200mg
の錠剤とした。
製剤の調整例3 化合物 500mg プロピレングリコール 全量10ml 活性成分をプロピレングリコールにて溶解して無菌濾過
したのちアンプル0.2mlずつ充填した。
製剤の調整例4 化合物 250mg ポリエチレングリコール1500 3000mg ポリエチレングリコール6000 全量5000mg 上記成分を60℃で加温溶融して均一に混合したのちプラ
スチックの型に流しこんで冷却し、1g坐剤とした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 69/73 C07D 309/12 C07F 7/18 A (72)発明者 奈良 武志 福島県福島市飯坂町湯野字田中1 トーア エイヨー株式会社福島研究所内 審査官 船岡 嘉彦

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 〔式中、R1は−CO2R5基(基中、R5は水素原子、又は炭
    素数1〜12の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、又は1当
    量のカチオンを表わす。)を表わし、Aは −CH2CH2CH2−、 −CH2CH2CH2CH2−又は −CH=CH−CH2CH2− であり、Bはトランス−CH=CH−を表わし、R2は炭素数
    3〜10の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、又は炭素数3
    〜8の直鎖もしくは分枝鎖アルキニル基を表わし、R3
    水素原子又はメチル基を表わし、R4は水素原子、又は炭
    素数1〜7のアシル基、トリ(炭素数1〜7)炭化水素
    −シリル基、又は水酸基の酸素原子と共にアセタール結
    合を形成する基を表わし、Aで表わされる置換基中の二
    重結合はE又はZ、又はそれらの混合物であり、R2で表
    わされる置換基中の不斉中心はR−配置又はS−配置、
    又はそれらの混合物である。〕で表わされる安定プロス
    タサイクリン類縁体。
  2. 【請求項2】一般式(I) 〔式中、R1は−CO2R5基(基中、R5は水素原子、又は炭
    素数1〜12の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、又は1当
    量のカチオンを表わす。)を表わし、Aは −CH2CH2CH2−、 −CH2CH2CH2CH2−又は −CH=CH−CH2CH2− であり、Bはトランス−CH=CH−を表わし、R2は炭素数
    3〜10の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、又は炭素数3
    〜8の直鎖もしくは分枝鎖アルキニル基を表わし、R3
    水素原子又はメチル基を表わし、Aで表わされる置換基
    中の二重結合はE又はZ、又はそれらの混合物であり、
    R2で表わされる置換基中の不斉中心はR−配置又はS−
    配置、又はそれらの混合物である。〕で表わされる安定
    プロスタサイクリン類縁体を有効成分とする血液循環改
    善剤。
  3. 【請求項3】一般式(I) 〔式中、R1は−CO2R5基(基中、R5は水素原子、又は炭
    素数1〜12の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、又は1当
    量のカチオンを表わす。)を表わし、Aは −CH2CH2CH2−、 −CH2CH2CH2CH2−又は −CH=CH−CH2CH2− であり、Bはトランス−CH=CH−を表わし、R2は炭素数
    3〜10の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、又は炭素数3
    〜8の直鎖もしくは分枝鎖アルキニル基を表わし、R3
    水素原子又はメチル基を表わし、Aで表わされる置換基
    中の二重結合はE又はZ、又はそれらの混合物であり、
    R2で表わされる置換基中の不斉中心はR−配置又はS−
    配置、又はそれらの混合物である。〕で表わされる安定
    プロスタサイクリン類縁体を有効成分とする抗潰瘍剤。
JP61287740A 1986-02-28 1986-12-04 プロスタサイクリン類縁体並びにそれを有効成分とする血液循環改善剤及び抗潰瘍剤 Expired - Lifetime JPH0742245B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US07/014,591 US4837342A (en) 1986-02-28 1987-02-13 Prostacyclin analogue, and blood circulation improving agent and anti-ulcer composition containing it as active ingredient
EP87102721A EP0234576B1 (en) 1986-02-28 1987-02-26 Prostacyclin analogue, and blood circulation improving agent and anti-ulcer composition containing it as active ingredient
DE8787102721T DE3767731D1 (de) 1986-02-28 1987-02-26 Prostacyclinanalog, dieses als aktives bestandteil enthaltendes, den blutumlauf verbesserndes mittel und gegen magengeschwuere wirkendes mittel.
AT87102721T ATE60578T1 (de) 1986-02-28 1987-02-26 Prostacyclinanalog, dieses als aktives bestandteil enthaltendes, den blutumlauf verbesserndes mittel und gegen magengeschwuere wirkendes mittel.

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Application Number Priority Date Filing Date Title
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