JPH0741376B2 - 薄帯連続鋳造方法 - Google Patents

薄帯連続鋳造方法

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JPH0741376B2
JPH0741376B2 JP2149864A JP14986490A JPH0741376B2 JP H0741376 B2 JPH0741376 B2 JP H0741376B2 JP 2149864 A JP2149864 A JP 2149864A JP 14986490 A JP14986490 A JP 14986490A JP H0741376 B2 JPH0741376 B2 JP H0741376B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は一対の冷却ドラムによって溶融金属から薄帯を
連続鋳造する方法に関する。
〔従来の技術〕
金属の連続鋳造の分野において、最終形状に近い薄帯を
連続鋳造する方法としてツインドラム方式(一対の冷却
ドラム使用)がある。この方式の概略を第2図で説明す
ると、溶融金属Mは一対の冷却ドラム1a,1bとサイド堰2
a,2bとの間に形成した湯溜り部4にタンデッシュから供
給され、次いで、冷却ドラム1a,1bを介して抜熱され、
冷却ドラム1a,1bの周面に凝固シェルを形成する。該凝
固シェルは前記冷却ドラム1a,1bのロールギャップ部に
圧着され一体化されて薄帯Sとなって送り出される。
上記の方式において、サイド堰は冷却ドラム間の溶融金
属をシールするために必要不可欠のものであり、例えば
実開昭63-90548に見られるような構造をしており鋳造中
はこの該サイド堰を冷却ドラム端面に一定圧力で押付け
たり、冷却ドラムとサイド堰の間のギャップを一定に保
持するようにして冷却ドラム端面とサイド堰間からの湯
洩れ、あるいはバリ発生等を防止する操業が試みられて
いる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、前者の押付け力一定制御方式では長時間
安定鋳造を継続するのは困難である。すなわち、 (1)押付け力を一定にしても、冷却ドラム、サイド堰
共に鋳造前の予熱及び鋳造中の溶鋼からの熱により不均
一に変形し、冷却ドラムとサイド堰の摺動面を早期に均
一合致させるのは困難である。
又、サイド堰は冷却ドラムとの摺動摩擦、冷却ドラム圧
下による凝固シェルの張出し等、冷却ドラムからの反力
を受ける。この反力は不安定で押付け力一定制御におい
て反力が押付け力より大きくなると、サイド堰が押返さ
れるため冷却ドラムとサイド堰の摺動を均一にすること
は困難である。エアーシリンダーを使用した押付け装置
では、押し返される時の後退量が大きく冷却ドラム端面
とサイド堰との間にギャップを生じ湯漏れを引き起こ
す。
一方、鋳造期間中、大きな押付け力を維持しておくこと
は冷却ドラム及びサイド堰の摩耗が早く経済的でなく、
又、サイド堰に生じた大きな摩耗溝はその溝の渕が欠損
し易くて欠損材の鋳片への巻き込みが生じたり、溝の縁
と凝固シェルの接触により鋳片の端部形状を不良にした
りする鋳造トラブルを引き起こし易い等の問題がある。
(2)同様に、ギャップを一定に保持する制御方式では
鋳造準備期間中及び鋳造初期の冷却ドラム及びサイド堰
の不均一な熱変形により、鋳造期間中、ドラムとサイド
堰の摺動面の全領域において、ギャップを一定に維持す
る事は極めて困難である。
本発明は、従来のこれらの問題点を解決するもので、冷
却ドラム点面へのサイド堰押付け方におけるサイド堰摩
耗量の低減とサイドシールの確保を両立させることを目
的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は上記目的を達成するために、鋳造の進行に応じ
てサイド堰の摩耗量を制御する鋳造方法を提供するもの
である。すなわち、本発明の要旨は回転する一対の冷却
ドラムの両側面に一対のサイド堰を押付けて湯溜りを形
成し、前記冷却ドラムを回転することにより前記湯溜り
内の溶湯を冷却して薄帯を連続的に鋳造する方法におい
て、前記薄帯の鋳造開始前に前記サイド堰を前記冷却ド
ラム端面に大きな面圧で押付けて該サイド堰に変形を付
与しながら該サイド堰を摩耗させて安定鋳造に必要な摺
動面を形成した後鋳造を開始し、次に、該摩耗量が最小
になるように前記押付け面圧を更に下げて摩耗抑制状態
にして鋳造を継続することを特徴とする薄帯連続鋳造方
法であり、前記サイド堰の鋳造初期の摩耗及び定常鋳造
の摩耗を該サイド堰のドラム側面への押付け力によって
制御する方法、又は前記各時期を該サイド堰の位置によ
って制御する方法ならびに、この押付け力制御と位置制
御を併用して制御する方法を提供する。
〔作用〕
本発明の薄帯連続鋳造方法は鋳造開始に先立ってサイド
堰を冷却ドラムに積極的に押付けて鋳造を開始して摩耗
を促進させ、サイド堰を冷却ドラムに馴染ませてサイド
シールを確保したのち、サイド堰シールの必要最小押付
け力で鋳造を継続し、鋳造期間全体としてサイド堰の摩
耗量を低減するものである。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明する。
〔実施例〕
まず、本発明で用いる装置について第1図及び第2図に
基づき説明する。前述の如く、本発明は第2図に示すツ
インドラム方式の鋳造装置で薄帯Sを鋳造するが、サイ
ド堰3は耐火物(ベースプレート)3-2と金枠3-1とより
構成されており該耐火物3-2にドラム端面2の摺動面2a
に当接するセラミックス3-3が埋込まれている。該セラ
ミックス3-3はBN,AlN,Si3N4等を主成分として構成され
ているが、本実施例では特に摩耗特性に影響の大きいBN
を50%含有した材料を用いた。
サイド堰3には該サイド堰3を冷却ドラム端面2に押付
けるための押付け装置5を複数個設ける。図示の押付け
装置は外力に対抗して前後進及び停止可能な電動式油圧
シリンダー5-1を使用した。
本発明における制御系は次のように構成されている。す
なわち、押付け装置5の前後進量を検出する検出器6が
該装置のシリンダー5-1に、サイド堰の位置を検出する
検出器7がサイド堰金枠3-1に、又冷却ドラム端面への
サイド堰押付け力(反力)を検出する押付け力検出器8
が押付け装置のロッド8にそれぞれ設けられ、更に、鋳
造中の鋳片のバリ状態、サイド堰からの湯漏れ状態或い
は冷却ドラム端部へのバリ付着状態等を監視する監視装
置9が適当箇所に設けられており、これら検出器又は監
視装置を制御装置10に連結してそれぞれの情報を該制御
装置10で処理するようになっている。
以上の装置を用いて次のような工程により薄帯を鋳造し
た。
(押付け力制御方式による工程) まず、鋳造開始前に1200〜1400℃に予熱されたサイド堰
3を回転する冷却ドラム端面2に押当てるが該押付け面
圧を冷却ドラム端面2の摺動面2-aとの単位摺動面積当
り約10kg/cm2とし、約1分間押付けることによりサイド
堰3及び上記摺動面を凹凸0.3mm以下に変形せしめた。
次いで、上記時間が経過後、面圧を約5kg/cm2に下げ、
この面圧で鋳造を開始し、長さ約30mの薄帯を鋳造し
た。この押付け面圧ではサイドシールは良好で湯漏れは
発生せず、又、サイド堰の摩耗速度は比較的大きく、摺
動長さ当りの平均摩耗速度は約7μm/mであった(摩耗
促進状態)。この状態で約30m鋳造した結果サイド堰の
摩耗量は約0.2mmとなり、冷却ドラム端部及びサイド堰
の熱変形に馴染んで、押付け力を下げても良好なシール
状態となった。
そこで更に押付け面圧を1kg/cm2に下げて鋳造を継続し
た(摩耗抑制状態)。この摩耗抑制状態ではサイド堰の
摩耗速度は押付け面圧にほゞ比例し、面圧1kg/cm2での
摺動長さ当りの平均摩耗速度は約1μm/mとなり、この
状態で約250m鋳造した結果、サイド堰の摩耗量は約0.45
mmとなった。
第3図は前述のサイド堰押付け面圧とサイド堰のセラミ
ックスの摩耗速度との関係を示したものである。
上記の面圧制御は押付け装置5に設けた押付け力検出器
8により押付け力を検出し、目標値と比較することによ
って行われた。押付け力が目標値より大きくなったとき
は、サイド堰の押付け装置5を停止してその状態を維持
し、サイド堰の摩耗によって押付け力が漸次低下するの
を待ち、押付け面圧が目標値となったとき目標面圧を維
持しつゝ再度前進させ、これを繰り返えした。これは押
付け力を下げるために押付け装置5を後退させると、押
付け装置5のガタにより押付け力が突変することがある
ので、サイド堰を前進させるだけで制御するものであ
る。又、サイド堰は鋳造中に、湯溜りからの静圧、ドラ
ムとの摺動摩擦力等の反力を受け退避方向に動かされよ
うとするので、サイド堰支持押付け装置はこれらの外力
に対抗して前後進及び停止が可能な様なサーボ機構を使
用した。このため実施例においては押付け装置の全体の
剛性(バネ常数)は500kg/mm2とし、押付け装置の位置
停止精度を30μmとした。
なお、以上の押付け力制御手段の他の例として押付け力
制御目標値を予め定めたパターンに従って鋳造途中で変
更する方法を用いてもよい。
鋳造初期のサイド堰の摩耗を促進させる状態から、それ
に続く摩耗抑制状態への切り替え時期の判定には本実施
例では鋳造長さを使用したが、この他に鋳造開始(又
は、ドラム起動)からの経過時間、サイド堰振動回数、
サイド堰の摩耗量、サイド堰押付け力の変化、鋳造ドラ
ムの回転駆動トルク、鋳造ドラムの回転駆動動力、鋳造
中の鋳片のバリ状態、サイド堰からの湯漏れ状態、又
は、ドラムの端部へのバリ付着状態の内のいづれか1
つ、又は、これらの内の2つ以上の組合せによって、押
付け力切り替えタイミングを決めることもできる。
又、鋳造中の鋳片のバリ状態、サイド堰からの湯漏れ状
態、又は、ドラムの端部へのバリ付着状態を監視装置9
により監視し、湯漏等サイドシールの異常発生を検知し
たときは押付け力を上昇させ、サイドシールの異常の回
復した後再度押付け力を低下させる制御を行った。
(位置制御方式による工程) 鋳造開始前にサイド堰を冷却ドラム端面に押付ける条件
は前記押付け力制御方式の場合と同様にし、面圧を5kg/
cm2として鋳造を開始した後、サイド堰を予め定めたパ
ターンに従って冷却ドラム側へ前進させた。即ち、鋳造
初期においては前進速度を早めて積極的に摩耗を促進さ
せ、安定鋳造に必要な初期摩耗量を得た後、その前進速
度を低下させ、目的とする低摩耗速度とした。
本実施例においては、第4図に示すように、鋳造開始時
のサイド堰押付け装置の位置を基準位置とし、鋳造長に
対応した位置のパターンを定めて制御した。
図において、鋳造開始前に面圧10kg/cm2で1分間サイド
堰3を冷却ドラム端面2に押付け(a)、その後面圧を
5kg/cm2に下げて鋳造を開始して30m鋳造し(b)、次い
で、更に面圧を1kg/cm2に下げて250mまで鋳造した
(C)。(d)はサイドシール異常発生時にとるべきパ
ターンである。
上記方式の場合でもサイド堰の摩耗量は0.5mmとなり、
従来の鋳造法に比べ大幅に摩耗量を減少することができ
た。
上記位置の測定には押付け装置の前後進量検出器6、サ
イド堰位置検出装置7を使用した。なお、サイド堰の摩
耗量と前進量の不一致が生ずる過剰押込みを防止するた
めにサイド堰位置検出器7で前進量を測定しておき、過
剰前進量が検出された場合はサイド堰の前進を停止して
基準前進量になるまで待機し、一方、過小前進量の状態
が続くときは基準前進量になる迄サイド堰を前進させ
た。
第5図は位置制御方式における鋳造長さとサイド堰押付
け装置の前進量のパターンとそのときの押付け面圧の関
係を示し、(a)は鋳造開始点、(b)は鋳造長さ30m
の点、(C)は過小前進量検知時点であり、(d)は前
進量回復時点でこれ以降はサイド堰前進を停止してお
き、(f)は過大前進量検知時点であり、(e)及び
(g)は基準前進量回復による低速前進再開時点であ
る。
鋳造初期のサイド堰の摩耗を促進させる状態から、それ
に続く摩耗抑制状態への切替え時期の判定には本実施例
でも鋳造長さを使用したが、この他に鋳造開始(又は、
ドラム起動)からの経過時間、サイド堰振動回数、サイ
ド堰押付け力の変化、鋳造ドラムの回転駆動トルク、回
転駆動動力、鋳造中の鋳片のバリ状態、サイド堰からの
湯漏れ状態、又は、冷却ドラムの端部へのバリ付着状態
の内のいづれか1つ、又は、これらの内の2つ以上の組
合せによって切替えタイミングを決めることもできる。
又、鋳造中に鋳片のバリ状態、サイド堰からの湯漏れ状
態、又はドラムの端部へのバリ付着状態を監視し、湯漏
等サイドシールの異常発生を検知したときは基準前進量
になるまで前進させた。又、定常状態では、サイド堰を
前進させ、前進量が目的値に達した時点でサイド堰前進
を停止させるか或いは規定量だけサイド堰を後退させ、
ある規定時間その状態を維持し、その後サイド堰を再
度、前進させ、前進量が目的値に達した時点でサイド堰
の前進を停止させるか或規定量だけサイド堰を後退さ
せ、ある規定時間その状態を維持する事を繰り返す前進
パターンとすることもできる。
又、このとき1個のサイド堰の全ての支持押付け装置の
前進速度を揃えることによってサイド堰の偏摩耗を防止
することができる。
〔発明の効果〕
本発明によって、鋳造開始後速やかに安定鋳造状態に達
し、良好なサイドシールを保ちつつ鋳造全期間を通じて
全サイド堰の摩耗量を極限にまで低下することができ、
大容量鋳造が可能になった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る装置の部分拡大概略図、 第2図は本発明に係る装置の全体斜視図、 第3図はサイド堰押付け面圧とサイド堰セラミックスの
摩耗速度との関係を示す図、 第4図は本発明の実施例における鋳造長さとサイド堰押
付け面圧のパターンを示す図、 第5図は本発明の他の実施例における鋳造長さとサイド
堰押付け装置の前進量のパターンとそのときの押付け面
圧の関係を示す図である。 1……冷却ドラム、2……冷却ドラム端面、3……サイ
ド堰、3-1……耐火物、3-2……サイド堰金枠、4……湯
溜り部、5……押付け装置、6……押付け装置の前後進
量検出器、7……サイド堰位置検出装置、8……サイド
堰押付け力(反力)検出装置、9……監視装置、10……
制御装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下村 健介 山口県光市大字島田3434番地 新日本製鐵 株式会社光製鐵所内 (72)発明者 岡 秀毅 山口県光市大字島田3434番地 新日本製鐵 株式会社光製鐵所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転する一対の冷却ドラムの両側面に一対
    のサイド堰を押付けて湯溜りを形成し、前記冷却ドラム
    を回転することにより前記湯溜り内の溶湯を冷却して薄
    帯を連続的に鋳造する方法において、前記薄帯の鋳造開
    始前に予め前記サイド堰を前記冷却ドラム端面に大きな
    面圧で押付けて該サイド堰に変形を付与し安定鋳造に必
    要な摺動面を形成した後鋳造を開始し、次に、該サイド
    堰の摺動面の摩耗量が最小になるように前記押付け面圧
    を更に下げて摩耗抑制状態にして鋳造を継続することを
    特徴とする薄帯連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】前記サイド堰の変形付与、鋳造初期の摩耗
    及び定常鋳造時の摩耗を該サイド堰のドラム側面への押
    付け力を調整することによって抑制する請求項1記載の
    薄帯連続鋳造方法。
  3. 【請求項3】前記サイド堰の変形付与、鋳造初期の摩耗
    及び定常鋳造の摩耗を該サイド堰の位置制御によって制
    御する請求項1記載の薄帯連続鋳造方法。
  4. 【請求項4】前記サイド堰の変形付与、鋳造初期の摩耗
    及び定常鋳造の摩耗を、該サイド堰の冷却ドラムへの押
    付け力制御と該サイド堰の位置制御を併用して制御する
    ことを特徴とする請求項第1項記載の薄帯連続鋳造方
    法。
JP2149864A 1990-06-11 1990-06-11 薄帯連続鋳造方法 Expired - Lifetime JPH0741376B2 (ja)

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