JPH0741242B2 - 被処理水の処理方法及び装置 - Google Patents

被処理水の処理方法及び装置

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JPH0741242B2
JPH0741242B2 JP3022606A JP2260691A JPH0741242B2 JP H0741242 B2 JPH0741242 B2 JP H0741242B2 JP 3022606 A JP3022606 A JP 3022606A JP 2260691 A JP2260691 A JP 2260691A JP H0741242 B2 JPH0741242 B2 JP H0741242B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、飲料水等の被処理水の
改質処理方法及び装置に関し、より詳細には上水道から
家庭用及び業務用等として供給される飲料水を多孔質電
極電解槽を使用して電気化学的に処理することにより該
飲料水の味覚の改質を行うための方法及び装置に関す
る。
【0002】
【従来技術】飲料水は、貯水池等の水源に貯水された水
を浄水場で殺菌処理した後、各家庭や飲食店等に上水道
を通して供給される。飲料水の前記殺菌は塩素ガスによ
る処理が一般的であるが、該塩素処理によると飲料水の
殺菌は比較的良好に行われる反面、残留塩素の影響によ
り処理された飲料水に異物質が混和したような違和感が
生じて天然の水の有するまろやかさが損なわれるという
欠点が生ずる。飲料水は人間の健康に直結するもので、
それに含有される細菌の殺菌や黴の繁殖の防止つまり微
生物の死滅除去は不可欠であり、該殺菌や防黴の方法と
しては前述の塩素による方法が主流である。しかし都市
部の水道滅菌はその原水となる河川水、湖水等が各種有
機物等で汚染され微生物の死滅に必要な量以上の塩素を
添加するため、有機ハロゲン化物、次亜塩素酸イオン及
び残留塩素等の有効塩素成分を生起するという弊害を生
じている。該塩素法による前記欠点を解消するために、
塩素法以外の殺菌方法が提案されている。
【0003】例えば前記飲料水をオゾン添加処理や活性
炭吸着処理することにより改質する方法が提案されてい
るが、処理すべき飲料水が例えば浄水場の水である場合
には処理量が莫大である。又浄水場で処理しても水道管
末端の蛇口に至るまでに再度微生物が繁殖するという問
題があり、現在のところ塩素添加処理に優る方法はな
い。しかし前述の通り人体に有害な有機塩素化合物や飲
料水の味を損ない易い次亜塩素酸イオン等を生じさせ易
い塩素処理に代わり得る人体に害がなくかつ天然水に近
い味を有する飲料水の処理方法が要請されている。更に
飲料水以外にも食品類の処理水等の間接的に体内に摂取
される各種生活用水があり、これらの生活用水について
も塩素処理以外の方法が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】このように飲料水等
の従来の改質処理方法は、主として塩素法によるもので
あり、該方法では次亜塩素酸イオンが生成しあるいは塩
素ガスが残留していわゆるカルキ臭が生じ、処理後の飲
料水等の味が悪くなるという欠点があり、このカルキ臭
を除去するには該カルキ臭源である次亜塩素酸イオンを
活性炭等に吸着させる方法が使用されている。しかしこ
の方法では、活性炭の微粉末が処理後の飲料水等に混入
するという致命的な欠点があり、又活性炭の交換といっ
た煩雑な操作が必要であるとともに、完全なカルキ臭の
除去が達成できないことがある。
【0005】
【発明の目的】本発明は、有効塩素成分を含有する飲料
水等を電気化学的に処理することにより、次亜塩素酸イ
オン等の飲料水等に混入する味覚を悪化させるカルキ臭
成分をほぼ完全に分解除去して味がまろやかな飲料水等
を供給するための方法及び装置を提供することを目的と
する。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明方法は、有効塩
素成分を含有する被処理水を、多孔質ブロック状又はス
ポンジ状の固定床型陰極が設置された複極式電解槽に供
給し、該陰極上で前記有効塩素成分を分解又は還元して
前記被処理水の改質を行うことを特徴とする被処理水の
処理方法であり、本発明装置は、多孔質ブロック状又は
スポンジ状の固定床型陰極が収容され、有効塩素成分を
含有する前記被処理水が供給されかつ前記陰極上で前記
有効塩素成分の分解又は還元を行う複極式電解槽を含ん
で成ることを特徴とする飲料水の処理装置である。なお
本発明では電極等の表面上で実質的な電気化学反応を生
起しないことがあるため本発明に使用される槽は電気化
学的処理槽というべきであるが、一般呼称に従って電解
槽と称する。
【0007】以下本発明を詳細に説明する。本発明は、
飲料水等に含まれるカルキ臭を除去するために、該カル
キ臭源である有効塩素成分を含有する飲料水や食品処理
水等の被処理水を、活性炭処理等の不確実で煩雑な操作
に代えて、多孔質の複極式固定床型陰極を収容した電解
槽に供給し該多孔質陰極に十分接触させることにより前
記有効塩素成分特に次亜塩素酸イオンを電気化学的に分
解することを特徴とする。本発明方法及び装置により処
理される被処理水は人体に摂取される飲料水や食品処理
水を対象とし、飲料水は、上水道を流れて家庭や飲食店
等の水道の蛇口から注出される水道水等を含み、食品処
理水としては生鮮食品の洗浄水や豆腐等の含水食品に含
有される水等が含まれる。
【0008】前記多孔質陰極との接触により被処理水中
の有効塩素成分の主成分である次亜塩素酸イオンは次の
式に従って塩素イオンと水に分解される。 ClO- + 2 H + + 2 e - → Cl - H2O 更に被処理水中の残留塩素は陰極に接触し次の式に従っ
て塩素イオンに還元される。 Cl2 + 2 e- → 2 Cl- 一般的にはこれらの電気化学的反応では電子が消費され
るため電流を流して実質的な電解反応を生じさせること
が必要である。しかし被処理水中に含有される有効塩素
成分が微量つまり数ppmであり、陰極上に滞留する電
荷が存在すれば十分に被処理水の処理を行うことができ
る。従って本発明における被処理水処理ではガス発生を
伴っても伴わなくてもよいが、ガス発生が生ずると被処
理水に変化が生じ該変化に起因する味覚変化等が生ずる
恐れがあるため、実質的なガス発生が生じない陰極電位
つまり−0.1 〜−1.0 V(vs.SHE) の陰極電位が生ずる
よう電圧を印加することが好ましい。
【0009】実質的なガス発生を生じさせない電圧を印
加しながら処理を行うと流れる電流量がほぼ零に等しく
従って消費される電力量も零に等しいため、電力コスト
をほぼ零に維持したまま従来の塩素添加法や高電力消費
を伴う電解法とほぼ等しい効率で飲料水等の被処理水の
改質処理を行うことができる。水道水にはカルシウムイ
オンやマグネシウムイオンが含有され該イオンは飲料水
等の味を悪くする一因となっているが、該イオンは前記
飲料水等を電気化学的に処理を行うと前記多孔質陰極上
に水酸化カルシウムや水酸化マグネシウムとして析出し
て飲料水等から除去されて該飲料水等の味を向上させ
る。
【0010】又飲料水や食品処理水中には前記カルシウ
ムをはじめとする微量のイオンや溶解物がその周囲に水
和水を有するクラスターとして存在するが、この水和水
は飲料水等のまろやかさを失わせる一因となっている。
本発明により前記水和水を含む飲料水等に実質的な電解
反応が生じない程度の電圧を印加すると、電位勾配に従
って該飲料水中のイオンが液中で高速で泳動や移動をす
るために前記クラスターは移動できずに巨大クラスター
が破壊されて、あるいは前述の通り水和水を有するイオ
ンが多孔質陰極等で破壊され前記水和水の数が大きく低
減されて飲料水等の改質効果が生ずるものと考えられ
る。
【0011】本発明による被処理水の処理では、該被処
理水が陰極と接触する機会が多いほど処理効率が上昇す
る。従って本発明に係わる電解槽は多孔質の固定床型陰
極が設置された複極式電解槽とする。この複極式電解槽
では該電解槽の多孔質電極が莫大な表面積を有するため
電極表面と被処理水との接触面積を増大させることがで
き、これにより装置サイズを小さくし、かつ電気化学的
処理の効率を上げることができる点で有利である。
【0012】本発明の複極式電解槽は、陽陰極に分極す
る多孔質誘電体を使用する電解槽と、単独で陽極及び陰
極として機能する陽極材料及び多孔質陰極材料を交互に
設置した電解槽を含む。前者の電解槽では多孔質誘電体
の一端が分極して多孔質陰極を構成し、後者では多孔質
陰極自体が陰極として機能する。多孔質誘電体電極を使
用する場合も単独の多孔質陰極を使用する場合でもこれ
らの多孔質陰極は使用する電解槽に応じた形状を有し、
前記被処理水が透過可能な多孔質材料、例えば粒状、球
状、フェルト状、織布状、多孔質ブロック状等の形状を
有する活性炭、グラファイト、炭素繊維等の炭素系材料
から、あるいは同形状を有するニッケル、銅、ステンレ
ス、鉄、チタン等の金属材料、更にそれら金属材料に貴
金属のコーティングを施した材料から形成された好まし
くは粒状、球状、繊維状、フェルト状、織布状、多孔質
ブロック状、スポンジ状の誘電体(又は単独の多孔質陰
極)を使用することが好ましいが、ニッケル等の金属焼
結体を使用してもよい。
【0013】本発明による被処理水処理を行うためには
該被処理水が前記多孔質陰極と可能な限り接触すること
が必要であり、これを達成するためには被処理水の前記
多孔質陰極内の滞留時間をなるべく長く、換言すると被
処理水が可能な限り前記多孔質陰極の内部に浸透しかつ
透過することが必要である。被処理水を多孔質陰極内に
浸透させるためには、該陰極の材料の導体抵抗が小さく
かつ過電圧が大きいことが望ましい。つまり導体抵抗が
小さいと内部へ浸入する際の抵抗が小さいため浸透し易
くなり、過電圧が大きいと表面だけでなく内部でも所定
の反応が生じ易くなるのである。過電圧が小さいと表面
のみで反応が生ずるため多孔質陰極を使用する意味が減
殺される。
【0014】前記炭素系材料はこの要件つまり導体抵抗
が小さく過電圧が大きいという要件を満足する本発明に
おいて有効に使用される材料である。更に該炭素系材料
は毒性が全くなくかつイオンやその水酸化物を形成しな
いため飲料水等の体内に摂取される被処理水の処理用と
して好ましい。又表面積が莫大であり有効塩素成分が接
触する機会が非常に大きくなり処理効率が大幅に上昇す
る。更に炭素系材料は安価であり、他の金属材料極と異
なり電解を停止しても腐食が生じないため、経済的にも
操作性の面からも有利である。なおこれらの多孔質陰極
の開口率は流通する被処理水の移動を妨害しないように
10%以上95%以下好ましくは20%以上80%以下とし、貫
通孔の開孔径は被処理水が透過できる程度の孔径の微細
孔とすることが好ましい。
【0015】本発明に使用される陽極では有効塩素成分
の分解や還元は殆ど生ずることがない。従って前記被処
理水は該陽極に接触する必要はなく単独で機能する陽極
の場合その形状は特に限定されないが、該陽極を通って
被処理水が流れる場合にはその形状は多孔質でなくとも
よいが被処理水の流通を円滑にするためメッシュ状とす
ることが好ましい。陽極として多孔質陽極を使用する場
合にはその多孔質度は陰極の多孔質度より小さく(陽極
電流密度を陰極電流密度より小さく)することが望まし
い。又該陽極の材質としてはグラファイト材、炭素材、
白金族金属酸化物被覆チタン材(寸法安定性電極)、白
金被覆チタン材、ニッケル等を使用することができる。
【0016】本発明の電解槽では、前記陰極及び陽極を
隔膜を使用して区画して陰極室及び陽極室を形成しない
ことが望ましいが、本発明は隔膜の使用を排除するもの
ではなく、織布、素焼板、粒子焼結ブラスチック、多孔
板、イオン交換膜等の隔膜を使用してもよい。両極を接
近させて電圧の低減を意図する場合には、両極間の短絡
防止のため電気絶縁性のスペーサとして例えば有機高分
子材料で作製した網状スペーサ等を挿入することが好ま
しい。なお電解槽に供給される被処理液が層流であると
多孔質陰極の表面と充分に接触することなく前記電解槽
を通過することがあるため、前述のように前記多孔質陰
極を電解槽内に間隙なく収容するだけでなく、電解槽内
を通過する被処理液は500 以上のレイノルズ数を有する
乱流として、横方向の移動を十分に行わせてながら前記
電解槽を通過させることが好ましい。
【0017】このような電解槽を使用して被処理水の処
理を行うと、多くの場合該電解槽を1回通過させるのみ
でつまり一過性処理(ワンパス処理)で十分有効塩素成
分の除去を行うことができ、操作効率が向上する。又本
発明の電解槽では該電解槽に漏洩電流が生じ該漏洩電流
が電解槽から処理すべき被処理水を通して他の金属製部
材例えば水道管に流れ込み、該部材に溶出等の電気化学
的な腐食を生じさせることがある。そのため電解槽内の
両極が相対しない該電極背面部及び/又は前記電解槽の
出入口配管内に、被処理水より導電性の高い部材をその
一端を接地可能なように設置して前記漏洩電流を遮断す
ることができる。
【0018】前記誘電体として活性炭、グラファイト、
炭素繊維等の炭素系材料を使用しかつ陽極から酸素ガス
を発生させながら被処理水を処理する場合には、前記誘
電体が酸素ガスにより酸化され炭酸ガスとして溶解し易
くなる。これを防止するためには前記誘電体の陽分極す
る側にチタン等の基材上に酸化イリジウム、酸化ルテニ
ウム等の白金族金属酸化物を被覆し通常不溶性金属電極
として使用される金属材料を接触状態で設置し、酸素発
生が主として該金属材料上で生ずるようにすればよい。
前記電解槽内を流通する被処理水が効率良く、望ましく
は全ての被処理水を前記多孔質陰極と接触させるため、
該電解槽の被処理水の流通方向の断面積と実質的に同一
の断面積を有する多孔質陰極を前記電解槽内に該電解槽
の内壁との間に間隙が生じないように収容する。これに
より被処理水内の実質的に全ての有効塩素成分が塩素イ
オンに分解あるいは還元されてカルキ臭が除去される。
【0019】
【0020】このような構成から成る電解槽は、浄水場
の貯留水のライン中あるいは家庭や飲食店の水道の蛇口
に近接させ又は食品処理水等の他の被処理水の用途に応
じた箇所に設置され、これらの被処理水の全部又は一部
を前記電解槽に導入して該電解槽中で該被処理水を処理
し有効塩素成分の分解や還元による除去を行うようにす
る。本発明の電解槽は複極式であるため被処理水が複数
回陰極に接触して有効塩素成分の分解や還元が行われ、
確実に被処理水中の有効塩素成分を除去することができ
る。
【0021】次に添付図面に基づいて本発明に係わる電
解槽の好ましい例を説明するが、該電解槽及び本発明方
法に使用できる電解槽は、この電解槽に限定されるもの
ではない。図1は、本発明方法の電解槽として使用可能
な固定床型複極式電解槽の一例を示す概略縦断面図であ
る。
【0022】上下にフランジ1を有する円筒形の電解槽
本体2の内部上端近傍及び下端近傍にはそれぞれメッシ
ュ状の給電用陽極ターミナル3と給電用陰極ターミナル
4が設けられている。電解槽本体2は、長期間の使用又
は再度の使用にも耐え得る電気絶縁材料で形成すること
が好ましく、特に合成樹脂であるポリエピクロルヒドリ
ン、ポリビニルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化エチレン、フェノ
ール−ホルムアルデヒド樹脂等が好ましく使用できる。
正の直流電圧を与える前記陽極ターミナル3は、例えば
炭素材(例えば活性炭、炭、コークス、石炭等)、グラ
ファイト材(例えば炭素繊維、カーボンクロス、グラフ
ァイト等)、炭素複合材(例えば炭素に金属を粉状で混
ぜ焼結したもの等)、活性炭素繊維不織布、又はこれに
白金、白金、パラジウムやニッケルを担持させた材料、
更に寸法安定性電極 (白金族酸化物被覆チタン材) 、白
金被覆チタン材、ニッケル材、ステンレス材、鉄材等か
ら形成される。又陽極ターミナル3に対向し負の直流電
圧を与える陰極ターミナル4は、例えば白金、ステンレ
ス、チタン、ニッケル、銅、ハステロイ、グラファイ
ト、炭素材、軟鋼あるいは白金族金属をコーティングし
た金属材料等から形成されている。
【0023】前記両電極ターミナル3、4間には複数個
の図示の例では3個のスポンジ状の固定床5が積層さ
れ、かつ該固定床5間及び該固定床5と前記両電極ター
ミナル3、4間に4枚のメッシュ状隔膜又はスペーサー
6が挟持されている。各固定床5は電解槽本体2の内壁
に密着し固定床5の内部を通過せず、固定床5と電解槽
本体2の側壁との間を流れる被処理水の漏洩流がなるべ
く少なくなるように配置されている。隔膜を使用する場
合には該隔膜として織布、素焼板、粒子焼結ブラスチッ
ク、多孔板、イオン交換膜等が用いられ、スペーサーと
して電気絶縁性材料で製作された織布、多孔板、網、棒
状材等が使用される。このような構成から成る電解槽に
下方から矢印で示すように被処理水を供給しながら通電
を行うと、前記各固定床5が図示の如く下面が正に上面
が負に分極して各固定床5の上面に多孔質陰極が形成さ
れ、前記被処理水はこの多孔質陰極に接触して次亜塩素
酸イオンや塩素ガス等の有効塩素成分が分解又は還元さ
れて除去されその後前記電解槽の上方に取り出され、飲
料水等として所定の用途に使用される。
【0024】図2は、本発明に使用できる複極型固定床
式電解槽の他の例を示すもので、該電解槽は図1の電解
槽の固定床5の給電用陰極4に向かう側つまり陽分極す
る側にメッシュ状の不溶性金属材料7を密着状態で設置
したものであり、他の部材は図1と同一であるので同一
符号を付して説明を省略する。直流電圧が印加された固
定床5はその両端部において最も大きく分極が生じ、ガ
ス発生が伴う場合には該両端部においてガス発生が生じ
易い。従って最も強く陽分極するつまり最も激しく酸素
ガスが発生する固定床5の給電用陰極4に向かう端部に
は最も速く溶解が生じる。図示の通りこの部分に不溶性
金属材料7を設置しておくと、該不溶性金属材料7の過
電圧が固定床5を形成する炭素系材料の過電圧より低い
ため殆どの酸素ガスが前記不溶性金属材料7から発生し
固定床5は殆ど酸素ガスと接触しなくなるため、前記固
定床5の溶解は効果的に抑制される。又該電解槽2に供
給された被処理水は図1の場合と同様に処理され有効塩
素成分の除去が行われる。
【0025】
【0026】
【実施例】次に本発明による飲料水改質処理の実施例を
記載するが、該実施例は本発明を限定するものではな
い。
【0027】(実施例1)透明な硬質ポリ塩化ビニル樹
脂製の高さ100 mm、内径50mmの図1に示した電解槽
を使用して試験用被処理水の処理を行った。該電解槽内
には、炭素繊維から成る開口率60%で直径50mm、厚さ
10mmの固定床3個を、開口率85%で直径50mm及び厚
さ1.5 mmのポリエチレン樹脂製隔膜4枚で挟み込み、
上下両端の隔膜にそれぞれ白金をその表面にめっきした
チタン製である直径48mm厚さ1.0mmのメッシュ状陽
極ターミナル及び陰極ターミナルを接触させて設置し
た。前記試験用被処理水は水道水に次亜塩素酸ナトリウ
ム水溶液を添加して有効塩素成分濃度が1〜20ppmと
なるように調製した。被処理水供給量を2.5 リットル/
分に、印加電圧値を16.0Vに、電流値を60mAにそれぞ
れ固定し、該電解条件下で被処理水中の次亜塩素酸イオ
ン濃度を表1に示すように変化させて該被処理水の処理
を行い、電解槽通過後の次亜塩素酸イオン濃度をオルソ
トルイジンに依る比色分析を使用して測定したところ、
表1に示す結果が得られた。
【0028】(比較例1)粒径2〜5μmの活性炭40g
を内径4.0 cm、高さ100 mmのガラス製カラムに充填
した。なおこの活性炭は既に有効塩素2ppmの水を15
00リットル通過させたものを使用した。このカラムに表
1に示した濃度の次亜塩素酸ナトリウムを有する実施例
1と同一の試験用被処理水を2.5 リットル/分の速度で
供給し、該カラムから流出する該被処理水中の次亜塩素
酸イオン濃度を実施例1と同一の方法で測定した。その
結果を表1に纏めた。表1から多孔質陰極を使用するこ
とにより、活性炭処理の場合より次亜塩素酸イオン濃度
が大きく減少することが判る。
【0029】(実施例2)固定床を形成する電極物質を
代えたこと以外は実施例1と同一の電解槽を使用して被
処理水の処理処理を行った。試験用被処理水としては次
亜塩素酸ナトリウムを添加して2ppmとした水道 水を使用し、該試験用被処理水を2.5 リットル/分の流
速で表2に示した物質を使用して構成した電解槽に供給
して前記被処理水の改質処理を行い、その被処理水取出
口における次亜塩素酸ナトリウムイオン濃度を実施例1
と同一の方法で測定した。その結果を表2に纏めた。表
2から電極構成物質が炭素系材料であると次亜塩素酸イ
オンがほぼ100 %に近い値で分解するのに対し、他の金
属材料では分解効率が減少することが判る。
【0030】(実施例3)多孔質陰極をグラファイトと
した実施例1の電解槽を使用し、グラファイトの開口率
を変化させた場合の被処理水取出口における次亜塩素酸
イオン濃度(初期濃度2ppm)及び電解槽の被処理水
供給口と被処理水取出口の圧力差つまり圧力損失を測定
した。その結果を表3に纏めた。表3から10〜95%の開
口率の範囲で満足できる次亜塩素酸イオンの分解を達成
ができたことが判る。
【0031】
【発明の効果】本発明方法は、有効塩素成分を含有する
被処理水を、多孔質ブロック状又はスポンジ状の固定床
型陰極が設置された複極式電解槽に供給し、該陰極上で
前記有効塩素成分を分解又は還元して前記被処理水の改
質を行うことを特徴とする被処理水の処理方法である
(請求項1)。飲料水等の被処理水を本発明方法により
処理すると、該被処理水中に含有される次亜塩素酸イオ
ンや残留塩素ガス等が多孔質陰極表面に十分接触して分
解又は還元されて有効塩素成分がほぼ完全に除去されて
有効塩素成分を殆ど含まない飲料水等を得ることができ
る。
【0032】活性炭処理を主とする従来の飲料水等の処
理と異なり、本発明では電気化学の法則を利用している
ため、確実に次亜塩素酸イオン等の有効塩素成分を分解
あるいは還元して無味無臭の塩素イオンに変換すること
ができ、しかも電解槽内の部材の消耗が殆ど無く、長期
間に亘って被処理水の処理を継続することができる。又
本発明方法では複極式電解槽を使用し処理される被処理
水が複数の陰極と接触して各陰極で有効塩素成分の分解
又は還元が生ずるため、前記有効塩素成分をほぼ完全に
除去できる。被処理水が水道水等の飲料水であると(請
求項2)、該飲料水中にカルキ臭が残存していることが
多いが、本発明方法で処理することによりこのカルキ臭
を除去してまろやかな味の飲料水を提供することができ
る。
【0033】操作効率の面から、電解槽で処理した被処
理水を再度該電解槽に循環させないいわゆる一過性処理
(ワンパス処理)を行うことが望ましく(請求項3)、
この一過性処理を可能にするためには多孔質陰極の設置
法や開口率を調整して被処理水の電解槽内の滞留時間を
長くすることが望ましい。
【0034】本発明装置は、多孔質ブロック状又はスポ
ンジ状の固定床型陰極が収容され、有効塩素成分を含有
する前記被処理水が供給されかつ前記陰極上で前記有効
塩素成分の分解又は還元を行う複極式電解槽を含んで成
ることを特徴とする飲料水の処理装置である(請求項
4)。本発明装置によると、前述した本発明方法の場合
以上に有効塩素成分を含有する被処理水が前記多孔質陰
極内を透過して滞留時間が増加し更に処理効率が向上す
る。
【0035】本発明装置の多孔質陰極は炭素質材料から
成ることが望ましく(請求項5)、該炭素質材料から成
る単独の多孔質陰極又は誘電体の一端に形成された多孔
質陰極は、表面積が莫大であり有効塩素成分が接触する
機会が非常に大きくなるだけでなく、導体抵抗が小さく
過電圧が大きいという要件を満足するため、被処理水の
陰極内部への浸透を促進し多孔質陰極の全面で被処理水
の処理を行うことを可能にするため他の材料と比較して
処理効率が大幅に向上する。更に該炭素系材料は毒性が
全くなくかつイオンやその水酸化物を形成しないため飲
料水等の体内に摂取される被処理水の処理用として好ま
しい。又炭素系材料は安価であり、他の金属材料極と異
なり電解を停止しても腐食が生じないため、経済的にも
操作性の面からも有利である。
【0036】又多孔質陰極の開口率は10%以上95%以下
であることが好ましく(請求項6)、この範囲において
満足できる有効塩素成分の分解又は還元効果を達成する
ことができる。更に本発明の電解槽では該電解槽に漏洩
電流が生じ該漏洩電流が他の金属製部材例えば水道配管
に流れ込み、該部材に溶出等の電気化学的な腐食を生じ
させることがある。これを防止するためには両電極が相
対しない適切な箇所に、被処理水より導電性の高い部材
をその一端を接地可能なように設置して(請求項7)前
記漏洩電流を地面に放散させることができる。
【0037】又電解槽内を流れる被処理水が層流である
と該被処理水が多孔質陰極と十分に接触することなく複
極式電解槽を通り抜けてしまうことがあるため、前記被
処理水はレイノルズ数が500 以上の乱流として(請求項
8)前記被処理水が横方向にも移動して十分に前記陰極
と接触するようにするが好ましい。本発明に係わる電解
槽では、例えば陰極で塩素イオンと水に分解した次亜塩
素酸イオンが陽極で酸化されて元の次亜塩素酸イオンが
生成するといったことがないため、隔膜を使用して電解
槽を陽極室と陰極室に区画する必要はなく(請求項
9)、その電解槽構造が簡単なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用できる第1の複極式電解槽を例示
する縦断面図。
【図2】本発明に使用できる第2の複極式電解槽を例示
する縦断面図。
【符号の説明】
1・・・フランジ 2・・・電解槽本体 3、4・・・
電極ターミナル 5・・・固定床 6・・・スペーサ
7・・・不溶性金属材料 11・・・フランジ 12・・・電解槽本体 13・・・給電用陽極 14・・・給
電用陰極 15・・・固定床形成用多孔質粒子 18・・・
絶縁粒子

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有効塩素成分を含有する被処理水を、
    孔質ブロック状又はスポンジ状の固定床型陰極が設置さ
    れた複極式電解槽に供給し、該陰極上で前記有効塩素成
    分を分解又は還元して前記被処理水の改質を行うことを
    特徴とする被処理水の処理方法。
  2. 【請求項2】 被処理水が飲料水である請求項1に記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 被処理水を電解槽に供給して一過性処理
    を行う請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 多孔質ブロック状又はスポンジ状の固定
    床型陰極が収容され、有効塩素成分を含有する前記被処
    理水が供給されかつ前記陰極上で前記有効塩素成分の分
    解又は還元を行う複極式電解槽を含んで成ることを特徴
    とする飲料水の処理装置。
  5. 【請求項5】 多孔質陰極が炭素質材料である請求項4
    に記載の装置。
  6. 【請求項6】 多孔質陰極の開口率が10%以上95%以下
    である請求項4又は5に記載の装置。
  7. 【請求項7】 電解槽内の電極が相対しない該電極背面
    及び/又は前記電解槽の出入口配管内に、被処理水より
    導電性の高い部材をその一端を接地可能に設置した請求
    項4から6までのいずれかに記載の装置。
  8. 【請求項8】 電解槽内を流れる被処理水のレイノルズ
    数が 500以上である請求項4から7までのいずれかに記
    載の装置。
  9. 【請求項9】 電解槽が無隔膜式電解槽である請求項4
    から8までのいずれかに記載の装置。
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