JPH05329483A - 被処理水の処理方法及び被処理水処理用複極式電解槽 - Google Patents

被処理水の処理方法及び被処理水処理用複極式電解槽

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JPH05329483A
JPH05329483A JP10974991A JP10974991A JPH05329483A JP H05329483 A JPH05329483 A JP H05329483A JP 10974991 A JP10974991 A JP 10974991A JP 10974991 A JP10974991 A JP 10974991A JP H05329483 A JPH05329483 A JP H05329483A
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treated
electrolytic cell
anode
odor component
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JP10974991A
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Hisato Haraga
久人 原賀
Hiroshi Takamatsu
博 高松
Ayako Hirano
綾子 平野
Takeshi Takagi
健 高木
Hiroyuki Hashimoto
浩幸 橋本
Mina Satou
美奈 佐藤
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Konica Minolta Inc
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Toto Ltd
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 被処理水中のカビ臭成分の分解除去を通常の
飲料水処理方法である塩素処理や活性炭処理に代えて電
気化学的手法により行い、殆どカビ臭成分を含有しない
被処理水を得る。 【構成】 ジオスミン等のカビ臭成分を含有する被処理
水を、分極した固定床5に接触させて該固定床5の下部
に形成された多孔質陽極で前記カビ臭成分を陽極酸化に
より分解する。 【効果】 通常脂環式化合物であり相互の結合を開裂さ
せ難いカビ臭成分が電気化学反応に従って確実に陽極酸
化により分解除去される。従来の塩素処理のようにその
処理自体によりカルキ臭を生じさせる等の不都合がな
く、僅かな電力消費のみで大量の被処理水の処理を行う
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、浄水や飲料水等の被処
理水の改質処理方法及び該処理に使用できる複極式電解
槽に関し、より詳細には上水道から家庭用及び業務用等
として供給されるカビ臭成分を含有する浄水や飲料水を
多孔質電極電解槽を使用して電気化学的に処理して前記
カビ臭成分を除去することにより前記被処理水の改質を
行うための方法及び電解槽に関する。
【0002】
【従来技術】飲料水は、貯水池等の水源に貯水された水
を浄水場で殺菌処理した後、各家庭や飲食店等に上水道
を通して供給される。飲料水の前記殺菌は塩素ガスによ
る処理が一般的であるが、該塩素処理によると飲料水の
殺菌は比較的良好に行われる反面、残留塩素の影響によ
り処理された飲料水に異物質が混和したような違和感が
生じて天然の水の有するまろやかさが損なわれるという
欠点が生ずる。飲料水は人間の健康に直結するもので、
それに含有される細菌の殺菌や黴の繁殖の防止つまり微
生物の死滅除去は不可欠であり、該殺菌や防黴の方法と
しては前述の塩素による方法が主流である。しかし都市
部の水道滅菌はその原水となる河川水、湖水等が各種有
機物等で汚染され、浄水場では除去できずに浄水として
供給されるとともに、微生物の死滅に必要な量以上の塩
素を添加するため、有機ハロゲン化物、次亜塩素酸イオ
ン及び残留塩素等の有効塩素成分を生起するという弊害
を生じている。該塩素法による前記欠点を解消するため
に、塩素法以外の殺菌方法が提案されている。
【0003】例えば前記飲料水をオゾン添加処理や活性
炭吸着処理することにより改質する方法が提案されてい
るが、処理すべき飲料水が例えば浄水場の水である場合
には処理量が莫大である。又浄水場で処理しても水道管
末端の蛇口に至るまでに再度微生物が繁殖するという問
題があり、現在のところ残留塩素を残存させる塩素添加
処理に優る方法はない。従って前述の通り人体に有害な
有機塩素化合物を生成し飲料水の味を損ない易い次亜塩
素酸イオン等を残留させる塩素添加処理に代わり得る人
体に害がなくかつ天然水に近い味を有する飲料水の処理
方法が要請されている。更に飲料水以外にも食品類の処
理水等の間接的に体内に摂取される各種生活用水があ
り、これらの生活用水についても塩素処理以外の方法が
望まれている。これらの各種生活用水特に水道水にはカ
ビ臭成分が含有されている場合があり、このカビ臭成分
が水道水の味覚を低下させる主原因となっている。該カ
ビ臭成分は塩素処理や活性炭処理では十分には除去する
ことができず、塩素処理等により十分殺菌を行っても水
道水中からカビ臭成分を除去できず依然として味覚の低
下した水道水が家庭用あるいは業務用として供給されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】このように飲料水等
の従来の改質処理方法は、主として塩素法によるもので
あり、この塩素法は殺菌のみを対象とする改質方法であ
りカビ臭成分の分解除去を意図していない。従って従来
の水道水は殺菌は行われていても味覚の改質が行われて
いないため飲料水として十分に適格なものとは言い難か
った。しかも塩素法では次亜塩素酸イオンが生成しある
いは塩素ガスが残留していわゆるカルキ臭が生じ、処理
後の飲料水等の味が更に悪くなるという欠点があり、こ
のカルキ臭を除去するためにより以上の操作を必要とし
ている。
【0005】
【発明の目的】本発明は、カビ臭成分を含有する飲料水
等を従来の塩素による処理に代えて電気化学的に処理す
ることにより、カルキ臭成分を生成させることなくカビ
臭成分をほぼ完全に分解除去して味がまろやかな飲料水
等を供給するための方法及び電解槽を提供することを目
的とする。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明方法は、カビ臭
成分を含有する被処理水を、固定床型陽極が設置された
複極式電解槽に供給し、該陽極で前記カビ臭成分を酸化
分解することを特徴とする被処理水の処理方法及び該処
理に使用できる電解槽である。
【0007】以下本発明を詳細に説明する。本発明は、
浄水や飲料水等の被処理水に含まれるカビ臭成分を除去
するために、該被処理水を、多孔質の複極式固定床型陽
極を収容した電解槽に供給し該多孔質陽極に十分接触さ
せることにより前記カビ臭成分例えばジオスミン(化
1)や2−メチルイソボルネオール(2−MIB)(化
2)を分解除去して従来の塩素処理等では除去できない
前記カビ臭成分を除去して味のまろやかな飲料水等の被
処理水を提供することを特徴とする。本発明方法や電解
槽により処理される被処理水は浄水や飲料水、特に人体
に摂取される飲料水や食品処理水を対象とし、飲料水
は、上水道を流れて家庭や飲食店等の水道の蛇口から注
出される水道水等を含み、食品処理水としては生鮮食品
の洗浄水や豆腐等の含水食品に含有される水等が含まれ
る。
【0008】カルキ臭成分は主として次亜塩素酸イオン
や塩素ガス等の無機化合物であり還元反応により比較的
容易に無味無臭の塩素イオンに変換されるのに対し、前
記カビ臭成分は炭素又は酸素等から成る2以上の環構造
を有する脂環式有機化合物であることが多くこの環構造
の結合を開裂させるためには大きなエネルギを必要と
し、塩素処理程度の酸化力では前記結合の開裂は生じな
い。これに対し本発明の電気化学的処理によると、印加
電圧を調節することにより被処理水中の前記カビ臭成分
に前記結合を開裂させるための適度のエネルギを与える
ことができ、前記カビ臭成分を陽極酸化反応により分解
してカビ臭がない無害な化合物や単体に変換して前記被
処理水からカビ臭成分を除去することができる。
【0009】一般的にはこれらの電気化学的反応では電
子が消費されるため電流を流して実質的な電解反応を生
じさせることが必要である。しかし被処理水中に含有さ
れるカビ臭成分が微量つまり数pptであり、陽極上に
滞留する正の電荷が存在すれば十分に被処理水の処理を
行うことができる。従って本発明における被処理水処理
ではガス発生を伴っても伴わなくてもよいが、ガス発生
が生ずると被処理水に変化が生じ該変化に起因する味覚
変化等が生ずる恐れがあるため、実質的なガス発生が生
じない陽極電位つまり+0.2 〜+1.2 V(vs.SH
E)の陽極電位が生ずるよう電圧を印加することが好ま
しい。実質的なガス発生を生じさせない電圧を印加しな
がら処理を行うと流れる電流量がほぼ零に等しく従って
消費される電気量も零に等しいため、電力コストをほぼ
零に維持したまま被処理水の改質処理を行うことができ
る。
【0010】浄水や水道水にはカルシウムイオンやマグ
ネシウムイオンが含有され該イオンは多量に存在すると
飲料水等の味を悪くする一因となっているが、該イオン
は前記飲料水等を電気化学的に処理を行うと前記多孔質
陰極上に水酸化カルシウムや水酸化マグネシウムとして
析出して飲料水等から除去されて該飲料水等の味を向上
させる。又飲料水や食品処理水中には前記カルシウムを
はじめとする微量のイオンや溶解物がその周囲に水和水
を有するクラスターとして存在するが、この水和水は飲
料水等のまろやかさを失わせる一因となっている。本発
明により前記水和水を含む飲料水等に実質的な電解反応
が生じない程度の電圧を印加すると、電位勾配に従って
該飲料水中のイオンが液中で高速で泳動や移動をするた
めに前記クラスターは移動できずに巨大クラスターが破
壊されて、あるいは前述の通り水和水を有するイオンが
多孔質陰極等で破壊され前記水和水の数が大きく低減さ
れて飲料水等の改質効果が生ずるものと考えられる。
【0011】本発明による被処理水の処理では、該被処
理水が陽極と接触する機会が多いほど処理効率が上昇す
る。従って前述の通り本発明に係わる電解槽は好ましく
はその内部を前記被処理水が流通可能な固定床型陽極
(以下この陽極を「多孔質陽極」ということがある)が
設置された複極式電解槽とする。本発明の複極式電解槽
は、陽陰極に分極する多孔質誘電体(固定床)を使用す
る電解槽と、単独で陽極及び陰極として機能する陽極材
料及び陰極材料を交互に設置した電解槽を含む。前者の
電解槽では多孔質誘電体の一端が分極して多孔質陽極を
構成し、後者では陽極材料自体が陽極として機能する。
この複極式電解槽は被処理水処理に有効な陽極表面積が
莫大になり、大量の被処理水を短時間で処理することが
可能になる。前記電解槽内を流通する被処理水を効率良
く、望ましくは全ての被処理水を前記多孔質陽極と接触
させるため、該電解槽の被処理水の流通方向の断面積と
実質的に同一の断面積を有する多孔質陽極を前記電解槽
内に該電解槽の内壁との間に間隙が生じないように収容
する。これにより被処理水内の実質的に全てのカビ臭成
分が分解除去される。
【0012】又電解槽内を流通する被処理水の線速度が
0.1 〜10cm/秒となるように前記多孔質陽極の開口率
等を設定することが望ましく、該開口率は10%以上95%
以下好ましくは20%以上80%以下とする。前記被処理水
の線速度が0.1 cm/秒未満の低速であるとガス発生が
生じ又10cm/秒を越える高速であると分解率の低下が
生ずる。本発明の複極式電解槽の陽極(あるいは固定
床)は、前記被処理水が透過可能な多孔質材料、例えば
粒状、球状、フェルト状、織布状、多孔質ブロック状、
多数の貫通孔を形成した中実体等の形状を有する活性
炭、グラファイト、炭素繊維等の炭素系材料、あるいは
その中に例えば銅、ニッケル、鉄及び貴金属等を含有す
る前記炭素系材料から形成されることが好ましいが、ニ
ッケル等の金属焼結体、白金族金属酸化物被覆チタン材
(寸法安定性電極)、白金被覆チタン材、フェライト等
も使用することができる。本発明による被処理水処理を
行うためには該被処理水が前記多孔質陽極と可能な限り
接触することが必要であり、これを達成するためには被
処理水の前記多孔質陽極内の滞留時間をなるべく長く、
換言すると被処理水が可能な限り前記多孔質陽極の内部
に浸透しかつ透過することが必要である。被処理水を多
孔質陽極内に浸透させるためには、該陽極の材料の導体
抵抗が小さくかつ過電圧が大きいことが望ましい。つま
り導体抵抗が小さいと電流が電極全体に均一に分散で
き、過電圧が大きいと表面だけでなく内部でも所定の反
応が生じ易くなるのである。過電圧が小さいと陰極に面
した陽極表面のみで反応が生ずるため多孔質陽極を使用
する意味が減殺される。
【0013】前記炭素系材料はこの要件つまり導体抵抗
が小さく過電圧が大きいという要件を満足する本発明に
おいて有効に使用される材料である。更に該炭素系材料
は毒性が全くなくかつイオンやその水酸化物を形成しな
いため飲料水等の体内に摂取される被処理水の処理用と
して好ましい。又表面積が莫大であり有効塩素成分が接
触する機会が非常に大きくなり処理効率が大幅に上昇す
る。更に炭素系材料は安価であり、他の金属材料極と異
なり電解を停止しても腐食が生じないため、経済的にも
操作性の面からも有利である。本発明に使用される陰極
ではカビ臭成分の分解が生ずることがない。従って前記
被処理水は該陰極に接触する必要はなくその形状は特に
限定されないが、該陰極を通って被処理水が流れる場合
にはその形状は多孔質でなくともよいが被処理水の流通
を円滑にするためメッシュ状とすることが好ましい。陰
極として多孔質電極を使用する場合にはその多孔質度は
陽極の多孔質度より小さく(陰極電流密度を陽極電流密
度より大きく)することが望ましい。又該陰極の材質と
してはグラファイト材、炭素材、白金族金属酸化物被覆
チタン材(寸法安定性電極)、白金被覆チタン材、ニッ
ケル、フェライト等を使用することができる。
【0014】本発明の電解槽では、前記陰極及び陽極を
隔膜を使用して区画して陰極室及び陽極室を形成しない
ことが望ましいが、本発明は隔膜の使用を排除するもの
ではなく、織布、素焼板、粒子焼結ブラスチック、多孔
板、イオン交換膜等の隔膜を使用してもよい。両極を接
近させて電圧の低減を意図する場合には、両極間の短絡
防止のため電気絶縁性のスペーサとして例えば有機高分
子材料で作製した網状スペーサ等を挿入することが好ま
しい。本発明方法の電気化学的処理における被処理水の
温度は5〜80℃の範囲に維持することが望ましく、5℃
未満では被処理水の凍結や分解率の低下が生じ、又80℃
を越えると沸騰現象が生じ始めることにより気泡が発生
し、溶液抵抗が増加する。それに伴い電解電圧が上昇し
コスト面で大きな不利が生ずる。又沸騰条件下では電解
槽の部材に悪影響が及ぶことがある。
【0015】このような構成から成る電解槽は、浄水場
の貯留水のライン中あるいは家庭や飲食店の水道の蛇口
に近接させ又は食品処理水等の他の被処理水の用途に応
じた箇所に設置され、これらの被処理水の全部又は一部
を前記電解槽に導入して該電解槽中で該被処理水を処理
しカビ臭成分の分解除去を行う。なお電解槽に供給され
る被処理液が層流であると複極式陽極の表面と充分に接
触することなく前記電解槽を通過することがあるため、
前述のように前記多孔質陽極を電解槽内に間隙なく収容
するだけでなく、電解槽内を通過する被処理液を500 以
上のレイノルズ数を有する乱流として、横方向の移動を
十分に行わせてながら前記電解槽を通過させることが好
ましい。
【0016】このような電解槽を使用して被処理水の処
理を行うと、多くの場合該電解槽を1回通過させるのみ
でつまり一過性処理(ワンパス処理)で十分カビ臭成分
の除去を行うことができ、操作効率が向上する。又本発
明の電解槽では該電解槽に漏洩電流が生じ該漏洩電流が
電解槽から処理すべき被処理水を通して他の金属製部材
例えば水道管に流れ込み、該部材に溶出等の電気化学的
な腐食を生じさせることがある。そのため電解槽内の両
極が相対しない該電極背面部及び/又は前記電解槽の出
入口配管内に、被処理水より導電性の高い部材をその一
端を接地可能なように設置して前記漏洩電流を遮断する
ことができる。
【0017】次に添付図面に基づいて本発明の複極式電
解槽の好ましい例を説明するが、本発明の電解槽はこの
電解槽に限定されるものではない。図1は、本発明の固
定床型複極式電解槽の一例を示す概略縦断面図である。
上下にフランジ1を有する円筒形の電解槽本体2の内部
上端近傍及び下端近傍にはそれぞれメッシュ状の給電用
陽極3と給電用陰極4が設けられている。電解槽本体2
は、長期間の使用又は再度の使用にも耐え得る電気絶縁
材料で形成することが好ましく、特に合成樹脂であるポ
リエピクロルヒドリン、ポリビニルメタクリレート、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩
化エチレン、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等が好
ましく使用できる。正の直流電圧を与える前記陽極3
は、例えば炭素材(例えば活性炭、炭、コークス、石炭
等)、グラファイト材(例えば炭素繊維、カーボンクロ
ス、グラファイト等)、炭素複合材(例えば炭素に金属
を粉状で混ぜ焼結したもの等)、活性炭素繊維不織布、
又はこれに白金、イリジウム、パラジウムやニッケルを
担持させた材料、更に寸法安定性電極 (白金族酸化物被
覆チタン材) 、白金被覆チタン材、ニッケル材、ステン
レス材、鉄材等から形成される。又前記給電用陽極3に
対向し負の直流電圧を与える給電用陰極4は、例えば白
金、ステンレス、チタン、ニッケル、銅、ハステロイ、
グラファイト、炭素材、軟鋼あるいは白金族金属をコー
ティングした金属材料等から形成されている。
【0018】前記両給電用電極3、4間には複数個の図
示の例では3個のスポンジ状の固定床5が積層され、か
つ該固定床5間及び該固定床5と前記両給電用電極3、
4間に4枚のメッシュ状隔膜又はスペーサー6が挟持さ
れている。各固定床5は電解槽本体2の内壁に密着し固
定床5の内部を通過せず、固定床5と電解槽本体2の側
壁との間を流れる被処理水の漏洩流がなるべく少なくな
るように配置されている。隔膜を使用する場合には該隔
膜として織布、素焼板、粒子焼結ブラスチック、多孔
板、イオン交換膜等が用いられ、スペーサーとして電気
絶縁性材料で製作された織布、多孔板、網、棒状材等が
使用される。このような構成から成る電解槽に下方から
矢印で示すように被処理水を供給しながら通電を行う
と、前記各固定床5が図示の如く下面が正に上面が負に
分極して各固定床5の下面に多孔質陽極が形成され、前
記被処理水はこの多孔質陽極に接触してカビ臭成分が分
解して除去されて被処理水の改質が行われその後前記電
解槽の上方から取り出され、飲料水等として所定の用途
に使用される。
【0019】図2は、本発明の複極型固定床式電解槽の
第2の例を示すもので、該電解槽は図1の電解槽の固定
床5の給電用陰極4に向かう側つまり陽分極する側にメ
ッシュ状の不溶性金属材料7を密着状態で設置したもの
であり、他の部材は図1と同一であるので同一符号を付
して説明を省略する。直流電圧が印加された固定床5は
その両端部において最も大きく分極が生じ、ガス発生が
伴う場合には該両端部においてガス発生が生じ易い。従
って最も強く陽分極するつまり最も激しく酸素ガスが発
生する固定床5の給電用陰極4に向かう端部には最も速
く溶解が生じる。図示の通りこの部分に不溶性金属材料
7を設置しておくと、該不溶性金属材料7の過電圧が固
定床5を形成する炭素系材料の過電圧より低いため殆ど
の酸素ガスが前記不溶性金属材料7から発生し固定床5
は殆ど酸素ガスと接触しなくなるため、前記固定床5の
溶解は効果的に抑制される。又該電解槽2に供給された
被処理水は第1図の場合と同様に処理され有効塩素成分
の除去が行われる。
【0020】図3は、本発明の複極型固定床式電解槽の
第3の例を示すものである。上下にフランジ11を有する
円筒形の電解槽本体12の内部上端近傍及び下端近傍には
それぞれメッシュ状の給電用陽極13と給電用陰極14が設
けられている。電解槽本体12は、長期間の使用又は再度
の使用にも耐え得る電気絶縁材料特に合成樹脂で形成す
ることが好ましい。前記両給電用電極13、14間には、導
電性材料例えば炭素系材料で形成された多数の固定床形
成用多孔質粒子15と該固定床形成用粒子15より少数の例
えば合成樹脂製の絶縁粒子18とがほぼ均一に混在してい
る。該絶縁粒子18は、前記給電用陽極13及び給電用陰極
14が完全に短絡することを防止する機能を有している。
このような構成から成る電解槽に下方から矢印で示すよ
うに被処理水を供給しながら通電を行うと、前記各固定
床形成用多孔質粒子15が給電用陽極13側が負に又給電用
陰極14側が正に分極して表面積が莫大な多孔質電極とし
て機能し、図1及び図2の電解槽と同様にして前被処理
水中のカビ臭成分の分解処理が行われて該電解槽の上方
から取り出される。
【0021】
【実施例】次に本発明による飲料水改質処理の実施例を
記載するが、該実施例は本発明を限定するものではな
い。実施例1 透明な硬質ポリ塩化ビニル樹脂製の高さ100 mm、内径
50mmの図1に示した電解槽を使用して試験用被処理水
の処理を行った。該電解槽内には、炭素繊維から成る開
口率60%で直径50mm、厚さ10mmの固定床3個を、開
口率85%で直径50mm及び厚さ1.5 mmのポリエチレン
樹脂製隔膜4枚で挟み込み、上下両端の隔膜にそれぞれ
白金をその表面にめっきしたチタン製である直径48mm
厚さ1.0mmのメッシュ状給電用陽極及び給電用陰極を
接触させて設置した。前記試験用被処理水は水道水にジ
オスミンを溶解させてその濃度が表1に示す値となるよ
うに計10種類の濃度の異なる液温25℃のジオスミン水溶
液とした。被処理水供給量を3リットル/分(線速度2.
5 cm/秒)に、印加電圧値を24Vに、固定し、該電解
条件下で各濃度の被処理水の処理をそれぞれ電解槽通過
の被処理水中のジオスミン濃度を測定したところ、表1
に示す結果が得られた。
【0022】比較例1 実施例1で使用した初期濃度40pptのジオスミン水溶
液に塩素ガスを1リットル/分の割合で吹き込んでジオ
スミンの分解除去を試みた。3時間経過後のジオスミン
濃度は35pptであった。表1から電気化学的処理を行
う実施例1ではジオスミンが効率良く分解されているの
に対し、従来の塩素処理による比較例1ではカビ臭成分
であるジオスミンの分解が殆ど生じないことが判る。
【0023】実施例2 試験用被処理水のジオスミン初期濃度を20pptに固定
しかつ前記被処理水の液温を表2に示す通り変化させた
こと以外は実施例1の電解槽及び電解条件を使用して前
記被処理水の電気化学的処理を行った。異なる液温の前
記被処理水中の1時間経過後のジオスミン濃度及び電解
電圧を表2に示す。
【0024】実施例3 試験用被処理水のジオスミン初期濃度を40pptに固定
しかつ前記被処理水の供給速度(線速度)を表3の通り
変化させたこと以外は実施例1の電解槽及び電解条件を
使用して前記被処理水の電気化学的処理を行った。異な
る供給速度(線速度)の前記被処理水中の1時間経過後
のジオスミン濃度を表3に示す。表3から被処理水供給
の線速度が0.1 cm/秒未満であると被処理水の電解槽
内滞留時間が長くなりガス発生が多くなり、又線速度が
10.0cm/秒を越えると被処理水の電解槽内滞留時間が
短すぎてジオスミンが十分に分解されないことが判る。
【0025】
【発明の効果】本発明方法は、カビ臭成分を含有する被
処理水を、固定床型陽極が設置された複極式電解槽に供
給し、該陽極で前記カビ臭成分を酸化分解することを特
徴とする被処理水の処理方法である(請求項1)。飲料
水等のカビ臭成分を含有する被処理水を本発明方法によ
り処理すると、該被処理水中に含有されるカビ臭成分が
多孔質陽極表面に十分接触して陽極酸化を受けて分解し
カビ臭成分を殆ど含まない被処理水を得ることができ
る。塩素処理法等の従来の飲料水等の処理と異なり、本
発明では電気化学の法則を利用しているため、通常脂環
式化合物であり相互の結合を開裂させ難いカビ臭成分を
確実に分解して無味無臭の化合物に変換することがで
き、しかも電解槽内の電極をはじめとする各部材の消耗
が殆ど無く、長期間に亘って被処理水の処理を継続する
ことができる。
【0026】本発明方法は、人体に摂取されるため特に
不純物の混入を嫌う飲料水や浄水の処理に使用すると好
適である(請求項2、3)。カビ臭成分は主として2−
メチルイソボルネオール及び/又はジオスミンであり
(請求項4)、本発明方法はこれらのカビ臭成分除去に
特に有効である。本発明方法では処理される被処理水の
液温を5〜80℃の範囲内に維持することが望ましく(請
求項5)、この範囲内で被処理水を処理することにより
電解槽の部材に損傷を生じさせることなく被処理水中の
カビ臭成分を効果的に分解することができる。
【0027】又被処理水はその線速度が0.1 cm/秒以
上10cm/秒以下となるように電解槽に供給することが
望ましく(請求項6)、0.1 cm/秒未満では本発明の
電気化学的処理に不要なガス発生が顕著になり又10cm
/秒を越えるとカビ臭成分が十分に分解されなくなる。
本発明に係わる複極式電解槽は、カビ臭成分を含有する
被処理水を接触させて前記カビ臭成分を分解するための
固定床型陽極を含んで成る被処理水処理用複極式電解槽
(請求項7)である。浄水や飲料水等の被処理水をこの
ような電解槽に供給すると、本発明方法の場合と同様に
カビ臭成分が除去された被処理水を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の複極式電解槽の第1の例を示す縦
断面図
【図2】本発明方法の複極式電解槽の第2の例を示す縦
断面図
【図3】本発明方法の複極式電解槽の第3の例を示す縦
断面図 2・・・電解槽本体 3・・・給電用陽極 4・・・給
電用陰極 5・・・固定床 7・・・不溶性金属材料
12・・・電解槽本体 13・・・給電用陽極 14・・・給
電用陰極 15・・・固定床形成用多孔質粒子 18・・・
絶縁粒子
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
フロントページの続き (72)発明者 高松 博 神奈川県茅ヶ崎市本村2丁目8番1号 東 陶機器株式会社茅ヶ崎工場内 (72)発明者 平野 綾子 神奈川県茅ヶ崎市本村2丁目8番1号 東 陶機器株式会社茅ヶ崎工場内 (72)発明者 高木 健 神奈川県茅ヶ崎市本村2丁目8番1号 東 陶機器株式会社茅ヶ崎工場内 (72)発明者 橋本 浩幸 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内 (72)発明者 佐藤 美奈 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カビ臭成分を含有する被処理水を、固定
    床型陽極が設置された複極式電解槽に供給し、該陽極で
    前記カビ臭成分を分解することを特徴とする被処理水の
    処理方法。
  2. 【請求項2】 被処理水が飲料水である請求項1に記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 被処理水が浄水である請求項1に記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 カビ臭成分が2−メチルイソボルネオー
    ル及び/又はジオスミンである請求項1から3までのい
    ずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 被処理水の温度を5〜80℃の範囲に維持
    してカビ臭成分の分解を行う請求項1から4までのいず
    れかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 被処理水を0.1 cm/秒以上10cm/秒
    以下の線速度で電解槽に供給するようにした請求項1か
    ら5までのいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 カビ臭成分を含有する被処理水を接触さ
    せて前記カビ臭成分を分解するための固定床型陽極を含
    んで成る被処理水処理用複極式電解槽。
JP10974991A 1991-04-15 1991-04-15 被処理水の処理方法及び被処理水処理用複極式電解槽 Pending JPH05329483A (ja)

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