JP3180318B2 - 微生物を含む被処理水の電気化学的処理方法 - Google Patents

微生物を含む被処理水の電気化学的処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物を含有する各種
被処理水の該微生物に起因する各種性能劣化を抑制する
ために前記被処理水を電気化学的に処理するための方法
に関し、より詳細には写真感光材料処理工程において使
用される写真処理液、あるいはプール水、製紙洗浄水、
熱交換器冷却水、飲料水、カップ式自動販売機用貯水、
養魚用水、薬剤希釈水、浴場水及びガス洗浄塔用循環水
等の微生物を含有しあるいは微生物発生の可能性のある
各種被処理水を固定床型三次元電極電解槽を使用して電
気化学的に処理することにより前記各被処理水中の微生
物の制菌、殺菌や滅菌を効果的に行うための方法に関す
る。
【0002】
【従来技術】従来から各種用途に多種類の水溶液や他の
物質を溶解していない単独の水が使用されている。これ
らの水溶液等は溶質が適度な養分を提供し、あるいは該
水溶液の液温が繁殖に好ましい比較的高温度であると、
細菌等の微生物が繁殖して該微生物は前記水溶液等の性
能劣化を起こしたり、又製品に悪影響を与えたり、処理
装置内に浮遊したり蓄積して処理装置の機能を損なうこ
とが多い。通常の水道水中の微生物数は20個/ミリリッ
トル以下であるが、この水道水を例えば熱交換器用冷却
水として使用すると前記微生物が飛躍的に繁殖して配管
の腐食や悪臭の発生が生ずる。これらの現象を防止する
ために従来は防黴剤や沈澱抑制剤等の各種薬剤を被処理
水中に投入したり各種フィルタを配管途中に設置したり
しているが、前記薬剤投入は前述の通り薬剤の残留によ
る被処理水への悪影響や薬剤使用のコスト面での問題点
が指摘されている。更に添加薬剤に対する抗菌が暫くす
ると発生し、次の薬剤を検討したり必要量以上に多量の
薬剤を供給する等の必要が生ずるという問題点を抱えて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】殺菌剤や防黴剤等の
薬剤投入による写真処理液、プール水、製紙洗浄水、熱
交換器冷却水、飲料水、養魚場水、薬剤希釈水及び浴場
水等の滅菌処理では薬剤の残存の問題が不可避で該残存
薬剤により微生物がもたらす以外の不都合が生ずること
があり、かつ使用する薬剤も危険で高価なものであるこ
とが多く特に大量処理の必要があるプール水、製紙洗浄
水及び浴場水等では経済的観点からもしても、より簡便
かつ安全で安価に微生物を含有する被処理水の滅菌処理
を可能にする方法の出現が望まれている。
【0004】
【発明の目的】本発明は、前述の従来技術の欠点を解消
し、薬剤を使用することなく又は僅少量の薬剤を併用し
て被処理水中の微生物を電気化学的に滅菌する方法を提
供することを目的とする。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明は、微生物を含
む被処理水を固定床型三次元電極電解槽に供給し、前記
被処理水を電気化学的に処理する被処理水の処理方法に
おいて、電流密度を0.5A/dm2 以下、空間線速度を
5.0 cm/sec以下、極間距離が0.1 mm以上で該極
間距離と被処理水の電気伝導度の逆数の積を15〔mm・
cm/μS〕以下とし、10ヘルツ以下の交流又は直流を
印加して被処理水の処理を行うことを特徴とする微生物
を含む被処理水の電気化学的処理方法である。なお本発
明では電極表面上で実質的な酸化還元反応のような電気
化学反応を生起していないことがあるので本発明方法に
使用される槽は電気化学的処理装置というべきである
が、一般呼称に従って電解槽と称する。
【0006】以下本発明を詳細に説明する。本発明は、
写真処理液等の各種被処理水を固定床型三次元電極電解
槽に供給し該電解槽に直流又は交流電圧を印加し前記写
真処理液等の被処理水中の微生物の制菌、殺菌あるいは
滅菌を行う際に、運転条件を上述の各範囲に設定するこ
とを特徴とするものである。本発明の微生物には、細菌
(バクテリア)、菌、糸状菌(黴)、大腸菌、酵母、変
形菌、単細胞の藻類、原生動物、ウイルス等が含まれ
る。前記被処理水を固定床型三次元電極電解槽に供給す
ると、該被処理水中の微生物は液流動によって前記電解
槽の陽極や陰極あるいは後述する誘電体等に接触しそれ
らの表面で高電位のエネルギー供給を受け強力な酸化還
元反応が微生物細胞内で生じ、その活動が弱まったり微
生物自身が死滅して滅菌が行われると考えられる。
【0007】従って本発明方法では、被処理水中の微生
物が電位の印加された電極や誘電体や固定床形成用粒子
等に接触すれば充分であり、両極間に電流を流して水素
及び酸素等のガス発生を伴う実質的な電解反応を生起さ
せることは必須ではなく、むしろ実質的な電解反応が生
じない低い電位を電極表面に印加することが好ましい。
これは実質的な電解反応が生じた場合に被処理水成分に
ガス発生に起因する化学的変化を与えてしまい、これに
より複雑な作用が写真処理液等の被処理水に起こること
があり、一定の処理性能を常に維持することが難しくな
るからであり、更に微生物を滅菌する以外のガス発生反
応に無駄な電力を使うことになり不経済でもある。特に
多量の酸素ガスや水素ガスの発生が生ずる電位では、こ
れらガスによる酸化還元反応が例えば写真処理液との間
で生じ、該写真処理液の写真処理性能に著しい変化を与
えてしまうことが多く、又それら発生ガスが電極表面上
を覆ってしまい微生物が電極表面と接触する効率も低下
させ滅菌効率を悪くする。従って本発明では電流密度を
0.5 A/dm2 以下とし実質的に電解反応によるガス発
生が生じないようにして滅菌効率を高い値に維持し、電
流密度がこの値を越えると前記したようにガスによる電
極面のマスキング効果により滅菌効率が低下する。つま
り被処理水の滅菌処理は被処理水中の微生物が電極に接
触することが必要であり、電流密度が高いと電極の周囲
にガス発生に起因するガスバリアが生じて微生物の電極
への接触が阻害されることになるのである。この阻害の
程度は電極の単位面積当たりの電流密度に比例するため
電流密度を前記値以下として微生物の電極への接触を促
進することが必要となる。なお多孔質の三次元電極を使
用する場合の電流密度(電流÷電極表面積)には、電極
表面に凹凸がないものと仮定して算出される見掛け電流
密度と実際の凹凸を有する表面積に基づいて算出される
実効電流密度があり、本発明における電流密度は実効電
流密度である。又ガス発生を伴わない電解電圧は通常、
陽極電位が+0.2 〜+1.2 V(vs.SCE)、陰極電位が0〜
−1.0 V(vs.SCE)であり、本発明でもこの範囲の電圧を
使用することが好ましい。
【0008】しかし被処理水として大量処理の必要があ
るプール水や製紙洗浄水では、本発明方法による滅菌処
理に必要な電力量は処理コストの大部分を占めることが
多い。電力量は、〔電力〕=〔電圧〕×〔電流〕で表さ
れ、電解電流が流れずガスが発生しない場合には電力量
は零であるが、ガス発生が生ずる程度の電流が流れると
処理すべき水量が莫大であるため消費電力量も莫大にな
る。従って消費電力量を極力少なくするためには更に電
解電圧値を減少させなければならない。処理すべき水量
が僅かで流れる電流も僅かな場合は電圧値の増減はさほ
ど消費電力量には影響しないが、大量処理の場合には僅
かな電圧降下が大きく消費電力量を減少させる。通常の
電解槽における電解電圧は、〔陽極ターミナルと陽極間
の抵抗による電圧降下〕+〔陽極の理論電解電圧〕+
〔陽極の過電圧〕+〔溶液抵抗による電圧降下〕+〔陰
極の理論電解電圧〕+〔陰極の過電圧〕+〔陰極ターミ
ナルと陰極間の抵抗による電圧降下〕により表される。
これらのうち理論電解電圧と過電圧は電解反応の種類を
変えるか、電極の材質や電流密度を変えなければ変化す
ることがなく、ターミナルと電極間の抵抗も導線を太く
するといったことで減少させることができるが有効な方
法ではなく、電解電圧を減少させるためには溶液抵抗を
小さくすることがその効率が非常に大きく最も望まし
い。溶液抵抗を減少させる手段としては、溶液の導電率
を上昇させる、両電極間の距離を小さくするといった方
法があるが、プール水や製紙洗浄水や浴場水等に例えば
食塩や硫酸ナトリウム等を添加して導電率を上昇させる
ことは現実的ではない。従って両電極間の電極間距離を
小さくして溶液抵抗を小さくすることが好ましいが、本
発明のごとく固定床型の三次元電極を使用する場合には
両電極間の極間距離を小さくして溶液抵抗を小さくする
にも限界があり、被処理水の電気伝導度が高い場合に極
間距離を小さくすると短絡の危険が生ずるため、(極間
距離)×〔1/(被処理水の電気伝導度)〕≦15〔mm
・cm/μS〕でかつ最低間隔距離 0.1mm以上の範囲
内で極間距離を調節する。なおここでいう極間距離とは
単極式電解槽の場合には陽極と陰極間の距離であり、複
極式電解槽の場合は使用する電極の形態によって異なる
が通常は電解槽内部で分極して電極として作用する誘電
体間及び誘電体と給電用電極間の距離である。
【0009】カルシウムイオンやマグネシウムイオンを
含む被処理水を電解槽に供給して該被処理水の電気化学
的処理を行うと、カルシウムやマグネシウムの水酸化物
等が三次元電極上特に三次元陰極上に析出すると該電極
の目詰まりが生じて被処理水の流通を阻害しかつ電極性
能を低下させる。これらを防止するには、前記三次元電
極の極性を反転させて析出したカルシウムの水酸化物等
を被処理水の水素イオン濃度が高い陽極面上で再溶解さ
せて電極表面から除去し、これにより陰極の目詰まりに
よる被処理水の流通阻害等を生じさせることなく、前記
被処理水の電気化学的処理を行うことができ、特に殺菌
を目的とする通電を停止することなく電極表面からカル
シウムやマグネシウムの水酸化物、酸化物あるいは炭酸
塩を除去することが可能であるため非常に有効である。
極性を反転させる時間的割合は水酸化物等を溶解させる
ことができる範囲で適宜選択されるが、前記水酸化物等
は一回の極性反転で全てが再溶解する必要はなく、又全
ての水酸化物を再溶解させた後も極性反転を継続しても
よく、極性反転の状態でも特別の支障なく被処理水の滅
菌処理が行われる。通常の水道水や地下水を処理する場
合には極性を正方向とする通電と極性を逆方向と(反
転)する通電の時間的割合を1:1から10:1の範囲で
行うことが望ましい。
【0010】極性を反転する運転時に電解槽から取り出
される処理済の被処理水にはカルシウムイオンやマグネ
シウムイオンが含有されている。これらのイオンを含む
ことが望ましくない被処理水の場合、例えば熱交換器用
冷却水や飲料水の場合には極性反転運転の時間をなるべ
く短くし、極性反転時に取り出される被処理水は廃棄す
るようにすることが望ましい。本発明方法に使用する電
解槽は、固定床型三次元電極電解槽つまり固定床型単極
式電解槽及び固定床式複極式電解槽であり、これらの電
解槽では該電解槽の三次元電極が莫大な表面積を有する
ため電極表面と被処理水との接触面積を増大させること
ができ、これにより装置サイズを小さくし、かつ電気化
学的処理の効率を上げることができる点で有利である。
大量処理が必要な被処理水の処理用に使用する電解槽
は、複極式固定床型三次元電極電解槽とすることが好ま
しい。これらの被処理水の場合、処理すべき水量は莫大
で例えば1時間当たり数トンとなるため、電解槽単位体
積当たりの処理能力の高い電解槽である複極式固定床型
電解槽の使用が望ましく、該電解槽の使用により処理す
べき被処理水との接触面積を増大させることができ、こ
れにより装置サイズを更に小さくし、かつ処理の効率を
上げることができる点で有利である。
【0011】本発明の固定床型三次元電極電解槽におけ
る電極は一般に分極現象を生じる三次元電極と給電用電
極を含み、該三次元電極は前述の使用する電解槽に応じ
た形状を有し、固定床型複極式電解槽を使用する場合に
は、前記被処理水が透過可能な多孔質材料、例えばフェ
ルト状、織布状、多孔質ブロック状等の形状を有する活
性炭、グラファイト、炭素繊維等の炭素系材料から、あ
るいは同形状を有するニッケル、銅、ステンレス、鉄、
チタン等の金属材料、更にそれら金属材料に貴金属のコ
ーティングを施した材料から形成された複数個の好まし
くは繊維状、フェルト状、織布状、多孔質ブロック状、
多孔板状、スポンジ状の誘電体つまり誘電率が高く分極
が起こりやすい物質を直流電場内に置き、両端に設置し
た平板状又はエキスパンドメッシュ状やパーフォレーテ
ィッドプレート状等の多孔板体から成る給電用電極間に
直流電圧あるいは10Hz以下の交流電圧を印加して前記誘
電体を分極させ該誘電体の一端及び他端にそれぞれ陽極
及び陰極を形成させて成る三次元電極を収容した固定床
型複極式電解槽とすることが可能であり、この他に単独
で陽極としてあるいは陰極として機能する三次元材料を
交互に短絡しないように設置しかつ電気的に接続して固
定床型複極式電解槽とすることができる。
【0012】前記誘電体として活性炭、グラファイト、
炭素繊維等の炭素系材料を使用しかつ陽極から酸素ガス
を発生させながら被処理水を処理する場合には、前記誘
電体が酸素ガスにより酸化され炭酸ガスとして溶解すま
ことがある。これを防止するためには前記誘電体の陽分
極する側にチタン等の基材上に酸化イリジウム、酸化ル
テニウム等の白金族金属酸化物を被覆し通常不溶性金属
電極として使用される多孔質材料を接触状態で設置し、
酸素発生が主として該多孔質材料上で生ずるようにすれ
ばよい。前記誘電体(三次元電極)として炭素系材料
(炭素質三次元電極)を使用する場合には、その平均開
孔径を25〜125 μmとすることが望ましい。炭素質三次
元電極を電解槽に収容して被処理水を処理する際には、
炭素質三次元電極の性質により被処理水の流通の容易性
あるいは電解電圧等に影響が生ずる。該炭素質三次元電
極の開孔径も比較的強い影響を有し、該炭素質三次元電
極の開孔径が大きいと該電極に被処理水が接触すること
なく電解槽を通過しやすくなるため電流効率が低下す
る。逆に開孔径が小さすぎると被処理水が前記炭素質三
次元電極内を流通することができずに電解電圧の上昇や
電解槽内での液流の圧力損失を招いてしまう。
【0013】本発明者の検討によると、炭素質三次元電
極の開孔径が25μm未満であると電解電圧の顕著な上昇
が生じ、又125 μmを越えると電流効率(殺菌効率)の
顕著な減少を招き、いずれも満足すべき電解条件(殺菌
効率)を達成することができない。従って本発明方法に
使用する電解槽で炭素質三次元電極を使用する場合には
その平均開孔径を25〜125 μmとすることが望ましい。
そして該炭素質三次元電極の空間率〔(電極の空隙容
積)÷(電極の全体積)×100 (%)〕は20〜80%、好
ましくは30〜60%である。所望の開孔径を有する炭素質
三次元電極は次のように製造することができる。例えば
炭素系粒子を焼結して三次元電極を形成する場合には使
用する炭素系粒子の粒径を調節することにより、調製さ
れる三次元電極の開孔径を調節して任意の開孔径を有す
る三次元電極とすることができ、焼結温度は1000〜4000
℃、好ましくは約3800℃とする。又フェルト状の炭素質
三次元電極とする場合には、成形時の圧力と使用する炭
素繊維の径を調節することで任意の平均開孔径を有する
三次元電極とすることができる。これらの場合の炭素系
粒子と開孔径の関係、及び成形圧力と開孔径の関係は経
験的に得ることができる。
【0014】又単極式固定床型電解槽を使用する場合に
は、前記した誘電体又は単独で陽極としてあるいは陰極
として機能する三次元材料各1個を隔膜を介してあるい
は介さずに電解槽内に設置し、あるいは複数の誘電体又
は前記三次元材料を同一の電解電位の状態で単一の電解
槽内に設置するようにする。いずれの形態の電極を使用
する場合でも、処理すべき被処理水が流れる電解槽内に
液が電極や誘電体や微粒子に接触せずに流通できる空隙
があると被処理水の処理効率が低下するため、電極等は
電解槽内の被処理水の流れが電極に接触せずにショート
パスしないように配置することが望ましい。前記電解槽
内を隔膜で区画して陽極室と陰極室を形成しても、隔膜
を使用せずにそのまま通電を行うこともできるが、隔膜
を使用せずかつ電極の極間距離あるいは誘電体と電極、
又は誘電体相互の間隔を狭くする場合には短絡防止のた
め電気絶縁性のスペーサとして例えば有機高分子材料で
作製した網状スペーサ等を両極間あるいは前記誘電体間
等に挿入することができる。又隔膜を使用する場合には
流通する被処理水の移動を妨害しないように多孔質例え
ばその開口率が10%以上95%以下好ましくは20%以上80
%以下の隔膜を使用することが望ましく、該隔膜は少な
くとも前記被処理水が透過できる程度の孔径の微細孔を
有していなければならない。
【0015】このような構成から成る電解槽の運転条件
は、被処理水中の微生物の滅菌効率が最大になるように
設定しなければならない。本発明方法では該運転条件の
うちの空間速度(liquid hourly space velocity)はワン
パス処理の場合には遅いほど滅菌効率が向上するが、本
発明方法は被処理水を循環させて電解槽を複数回通過さ
せることが望ましく、この場合には前記空間速度を1h
-1以上としてなるべく多く電解槽を通過させることが
望ましい。該空間速度は〔被処理水の供給速度(リット
ル/hr)〕÷〔電解槽の容量(リットル)〕で定義さ
れ、本発明における空間速度1hr-1以上とは電解槽の
容積と等しいかあるいはそれ以上の量の被処理水が1時
間で該電解槽に供給されあるいは循環することを意味す
る。本発明方法では好ましくは被処理水を循環方式とし
かつ固定床型三次元電極を使用するため比較的大量の被
処理水を処理することができるが、その供給量つまり空
間速度によって滅菌効率に大きな差異が生じ、該臨界値
は1hr-1付近であり、被処理水を1hr-1以上の空間
速度で供給し処理することにより効率的な被処理水の滅
菌処理が可能になる。又電解槽内の被処理水の空間線速
度は小さいほど電極との接触時間が長くなり殺菌処理が
効率良く行われる。従って本発明では該空間線速度を5.
0 cm/sec以下とし、この範囲で高い処理効率で被
処理水の滅菌を行うことができる。
【0016】又その電極電位は前述の通り陽極電位を+
1.2 V(vs.SHE)より卑で+0.2 V(vs.SHE)より貴である
値とし、陰極電位を−1.0 V(vs.SHE)より貴である値と
することが望ましい。この電位範囲では両極における通
常の電解反応により生ずる酸素ガス及び水素ガスの発生
が殆ど認められず、前記微生物の滅菌に寄与することの
ない発生ガスに配慮することなく、更にそれら発生ガス
による処理液との酸化還元反応により処理液成分が変化
することなく、又電解電力を被処理水滅菌以外の無駄で
かつ殺菌処理を阻害する電解ガス発生に使用することな
く、前記被処理水の滅菌処理を行うことができる。又電
解槽に供給される被処理水の流量は、該被処理水が効率
的に電極等の表面と接触できるように規定すればよく、
完全な層流であると横方向の移動が少なく電極、誘電体
及び微粒子表面との接触が少なくなるため、乱流状態を
形成するようにすることが好ましく、500 以上のレイノ
ルズ数を有する乱流とすることが特に好ましい。なお、
本発明方法に使用する電解槽では漏洩電流が電解槽から
写真処理液等の被処理水を通して他の部材例えば写真処
理槽に流れ込み、該写真処理槽中で好ましくない電気化
学反応を誘起したり、写真処理槽の壁面を電気化学的に
腐食させ壁面構成材料を溶出させることがあるため、電
解槽内の陽陰極が相対しない電極背面部及び/又は前記
電解槽の出入口配管内に、前記被処理水より導電性が高
くかつ電解反応を生じさせることのできる部材をその一
端を接地可能なように設置して前記漏洩電流を遮断する
ことができる。
【0017】次に添付図面に基づいて本発明に使用でき
る電解槽の好ましい例を説明するが、本発明に使用でき
る電解槽は、この電解槽に限定されるものではない。図
1は、本発明方法の電解槽として使用可能な単極式固定
床型電解槽の第1の例を示す概略縦断面図である。底板
中央に被処理水供給口1を、又天板中央に被処理水取出
口2をそれぞれ有する円筒状の電解槽本体3内の下部に
は、炭素質材料や金属焼結体等から形成される短寸円柱
形の多孔質固定床型陰極4が前記本体3の内壁と実質的
に液流動の生じないような僅かな間隙しか形成しないよ
うに収容され、該陰極4上には若干の間隙を介して例え
ばメッシュ状の白金族金属酸化物被覆チタン材から成る
陽極5が収容されている。前記電解槽本体3は、長期間
の使用又は再度の使用にも耐え得る電気絶縁材料で形成
することが好ましく、特に合成樹脂であるポリエピクロ
ルヒドリン、ポリビニルメタクリレート、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化エチレ
ン、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリロ
ニトリル樹脂等が好ましく使用できる。
【0018】このような構成から成る電解槽本体3は例
えば水道配管の途中や水道の蛇口に設置され、該本体3
にその被処理水供給口1から、カルシウムイオン、マグ
ネシウムイオン及び鉄イオン等を含有する飲料水を供給
すると、該飲料水は多孔質陰極4の下面に接触し該陰極
4面で前記イオン成分等が還元されて水酸化物又は酸化
物として析出し、前記イオン成分が除去された飲料水は
前記被処理水取出口2から槽外へ取り出される。なお本
電解槽では液流が上向きであるため、電解反応によって
微量発生する水素ガスや酸素ガスが容易に液流とともに
電解槽外へ排出される。この場合に飲料水中のカルシウ
ムイオン、マグネシウムイオン及び鉄イオン等は十分に
陰極4と接触し電気化学の法則に従って水酸化物又は酸
化物として前記陰極4上に析出する。つまりイオン交換
処理のような手間の掛かる方法と異なり、確実に飲料水
等から前記イオン成分を除去してその改質処理を行うこ
とができる。更にイオン交換処理と異なり、処理を長期
間継続しても消耗する部材が殆どなく、分解や洗浄ある
いは部材の交換を必要とすることなく大量の飲料水等の
処理を行うことができる。
【0019】図2は、本発明方法の電解槽として使用可
能な複極式固定床型電解槽の一例を示す概略縦断面図で
ある。上下にフランジ91を有する円筒形の電解槽本体92
の内部上端近傍及び下端近傍にはそれぞれメッシュ状の
給電用陽極ターミナル93と給電用陰極ターミナル94が設
けられている。該両電極ターミナル93、94間には複数個
の図示の例では3個のスポンジ状の固定床95が積層さ
れ、かつ該固定床95間及び該固定床95と前記両電極ター
ミナル93、94間に4枚のメッシュ状隔膜又はスペーサー
96が挟持されている。各固定床95は電解槽本体92の内壁
に密着し固定床95の内部を通過せず、固定床95と電解槽
本体92の側壁との間を流れる被処理水の漏洩流がなるべ
く少なくなるように配置されている。このような構成か
ら成る電解槽に下方から矢印で示すように被処理水を供
給しながら通電を行うと、前記各固定床95が図示の如く
下面が正に上面が負に分極して各固定床95の上面に多孔
質陰極が形成され、前記被処理水はこの多孔質陰極に接
触してカルシウム、マグネシウム及び鉄イオン等が除去
されその後前記電解槽の上方に取り出され、飲料水等の
電解処理水として所定の用途に使用される。
【0020】図3は、本発明方法に使用できる複極式固
定床型電解槽の他の例を示すもので、該電解槽は図2の
電解槽の固定床95の給電用陰極94に向かう側つまり陽分
極する側にメッシュ状の不溶性金属電極97を密着状態で
設置したものであり、他の部材は図10と同一であるので
同一符号を付して説明を省略する。直流電圧が印加され
た固定床95はその両端部において最も大きく分極が生
じ、ガス発生が伴う場合には該両端部においてガス発生
が生じ易い。従って最も強く陽分極するつまり最も激し
く酸素ガスが発生する固定床95の給電用陰極94に向かう
端部には最も速くかつ激しく酸化反応や電極基材の溶解
反応が生じる。図示の通りこの部分に不溶性金属電極97
を設置しておくと、該不溶性金属電極97の酸素発生過電
圧が固定床95を形成する炭素系材料の前記過電圧より低
いため殆どの酸素ガスが前記不溶性金属電極97から発生
し固定床95は殆ど酸素ガスと接触しなくなるため、前記
固定床95の溶解は効果的に抑制される。又該電解槽92に
供給された被処理水は図10の場合と同様に処理され被処
理水中のカルシウムイオン等の除去及び被処理水の殺菌
処理が行われる。
【0021】図4に図示された電解槽は図2の電解槽を
改良してフィルタを設置したものであり、図2図に示さ
れた電解槽の部材と同一部材には同一符号を付して説明
を省略する。電解槽本体92の上部のフランジ91上には、
中央部に上向き筒体211 が形成された蓋体212 が載置さ
れ、該筒体211 の上端のフランジ部と被処理水排出管21
3 の下端のフランジ部間にはフィルタ214 が挟持されて
いる。215 は、中央下面に被処理水供給管216 が下向き
に形成された底板である。このような構成から成る電解
槽に下方から矢印で示すように例えば写真処理工程の水
洗工程からの水洗水を供給しながら通電を行うと、前記
各固定床95が図示の如く下面が正に上面が負に分極して
固定床95内及び固定床95間に電位が生じ、該電解槽内を
流通する水洗水はこの電位を有する固定床95に接触して
その中に含有される黴や細菌の滅菌等の改質処理が行わ
れて該電解槽本体92の被処理水排出管213 から取り出さ
れる。このとき前記滅菌処理で生じた微生物の死骸等の
固形不純物は、フィルタ214 を通過する際に濾過されて
清澄な処理済水洗水として電解槽外に取り出され、必要
に応じて該水洗水は水洗工程へ循環供給され再度水洗水
として使用される。
【0022】
【実施例】以下に本発明方法による写真処理液等の被処
理水処理の実施例を記載するが、該実施例は本発明方法
を限定するものではない。
【実施例1】透明な硬質ポリ塩化ビニル樹脂製の高さ75
mm、内径40mmのフランジ付円筒形である図2に示し
た電解槽内に、炭素繊維から成る直径39.5mm、厚さ10
mmの固定床(多孔質グラファイト、東洋カーボン株式
会社製G−100 S)5個を、開口率80%で直径40mm及
び厚さ1mmのポリエチレン樹脂製隔膜6枚で挟み込
み、上下両端の隔膜にそれぞれ白金をその表面にメッキ
したチタン製である直径38mm厚さ1mmのメッシュ状
給電用陽極及び給電用陰極を接触させて設置し、極間距
離(mm)及び電気伝導度(μS/cm)を変化させ、
(極間距離)×(1/電気伝導度)〔mm・cm/μ
S〕と殺菌効率の関係を測定した。極間距離は固定床の
間にガスケットを挿入して0.1 〜5mmの範囲で調節
し、電気伝導度は被処理水(水道水)に塩化ナトリウム
を添加して50〜3000μS/cmの範囲で調節し、該被処
理水に活性汚泥槽よりサンプリングした一般細菌を添加
して細菌数が約57000 個/ミリリットルとなるようにし
た。
【0023】電解条件は直流電源により見掛け電流密度
が0.2 A/dm2 、電解電圧が槽当たり4.3 〜8.8 Vと
なるように調節し、前記電解槽への前記被処理水の供給
速度を3リットル/分(空間線速度3.98cm/sec)
として電解槽を1回だけ通過させるワンパス処理を行
い、電解槽の入口及び出口での菌数の比から殺菌効率を
算出し、その結果を図5のグラフに示した。なお菌数の
測定は少量の被処理水をサンプリングし該被処理水中の
菌を培地上で培養し、生成するコロニー数をルーペで目
視して算出し該コロニー数を菌数とした。図5から、
(極間距離)×(1/電気伝導度)が15〔mm・cm/
μS〕以下であると約50%前後の殺菌効率を得ることが
できることが判る。
【0024】
【実施例2】電流密度を0.01〜10A/dm2 で変化さ
せ、被処理水の電気伝導度を300 μS/cm、極間距離
を2mmとし、電解電圧を槽当たり4.1 〜8.4 Vとした
こと以外は実施例1と同一の電解槽及び電解条件を使用
し、前記電流密度の変化の殺菌効率への影響を調べ、該
電流密度と殺菌効率の関係を図6のグラフに示した。図
6から電流密度が0.5 A/dm2 を越すと殺菌効率が減
少しこれは酸素及び水素ガスの発生が顕著になるからと
考えられる。
【0025】
【実施例3】被処理水の供給速度を0.5 〜10リットル/
分(空間線速度0.66〜13.2cm/sec)の範囲で変化
させ、被処理水の電気伝導度を300 μS/cm、極間距
離を2mmとし、電解電圧を槽当たり4.1 〜8.4 Vとし
たこと以外は実施例1と同一の電解槽及び電解条件を使
用し、前記空間線速度の変化の殺菌効率への影響を調
べ、該空間線速度と殺菌効率の関係を図7のグラフに示
した。図7から空間線速度が5.0 cm/secを越すと
殺菌効率が減少しこれは被処理水が十分に固定床に接触
できないからと考えられる。
【0026】
【実施例4】電源の周波数を0ヘルツ(直流)から15ヘ
ルツの範囲で変化させ、被処理水の電気伝導度を300 μ
S/cm、極間距離を2mmとし、電解電圧を槽当たり
4.1〜8.4 Vとしたこと以外は実施例1と同一の電解槽
及び電解条件を使用し、前記周波数の変化の殺菌効率へ
の影響を調べ、該周波数と殺菌効率の関係を図8のグラ
フに示した。図8から周波数が10ヘルツを越すと殺菌効
率が減少しこれは周波数が大きすぎると固定床の分極頻
度が多くなりすぎ短時間では十分に分極せず殺菌効果が
生じないからと考えられる。
【0027】
【実施例5】透明な硬質ポリ塩化ビニル樹脂製の高さ 4
00mm、内径 600mmのフランジ付円筒形である図2に
示した電解槽92を図9に示すように、建築物301 屋上の
クーリングタワー302 に近接してフィルタ303 とともに
設置した。該建築物301 の各階には所定の冷暖房設備が
設置され、前記クーリングタワー302 のフィン304 に接
触して冷却されたクーリングタワー用冷却水は冷却水供
給配管305 を通して前記冷暖房設備に供給されて該設備
に使用される循環水を冷却した後、ポンプ306により冷
却水回収配管307 を通して屋上に循環されフィルタ303
を通って固体状不純物が除去された後、前記電解槽92に
供給されるようにした。
【0028】前記電解槽内には、炭素繊維から成る直径
600mm、厚さ10mmの固定床15個を、開口率80%で直
径 600mm及び厚さ1.2 mmのポリエチレン樹脂製隔膜
16枚で挟み込み、上下両端の隔膜にそれぞれ白金をその
表面にメッキしたチタン製である直径 580mm、厚さ
1.0mmのメッシュ状給電用陽極及び給電用陰極を接触
させて設置した。クーリングタワー用冷却水を10トン/
分の速度(空間線速度3.93cm/sec、空間速度21h
-1)で前記電解槽に給電し、かつ前記給電用電極間に
表1に示す電解電圧を印加して前記冷却水を循環させて
該冷却水の処理を行った。該処理操作における肉眼観察
による発生ガスの有無、電解槽通過前後の冷却水のカル
シウム及びマグネシウムイオン濃度、細菌数及び消費電
力量を表1に纏めた。表1からクーリングタワー用冷却
水は電解槽で処理されることによりカルシウム及びマグ
ネシウムイオン濃度及び細菌数が大幅に減少することが
判る。30日経過後に通電を停止し電解槽を解体して固定
床の状態を観察したところ変化は見られなかった。
【0029】
【表1】
【0030】
【実施例6】透明な硬質ポリ塩化ビニル樹脂製の高さ60
0 mm、内径500 mmのフランジ付円筒形である図2に
示した電解槽をプール水を濾過清浄して返送する設備の
前に設置した。該電解槽内には、炭素繊維から成る直径
500 mm、厚さ10mmの固定床30個を、開口率80%で直
径500 mm及び厚さ1.2 mmのポリエチレン樹脂製隔膜
31枚で挟み込み、上下両端の隔膜にそれぞれ白金をその
表面にメッキしたチタン製である直径480 mm厚さ1.0
mmのメッシュ状給電用陽極及び給電用陰極を接触させ
て設置した。細菌数が32150 個/リットルであるプール
水を供給速度(空間速度)で前記電解槽に供給し、かつ
該空間速度を変化させてこの空間速度の電解電圧、殺菌
数及び消費電力への影響を測定した。その結果を表2に
示した。表2から空間速度1hr-1を境にして殺菌数つ
まり殺菌効率に大きな変化が生ずることが判る。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【実施例7】被処理水の電気伝導度を300 μS/cm、
極間距離を2mmに固定し、被処理水の電解槽に循環さ
せて、計10回電解槽で処理したこと以外は実施例1と同
一条件で塩化ナトリウムを溶解した被処理水の処理を行
った。電解槽から取り出される各被処理水中の菌数を同
様の方法で測定したところ、表3の通りであった。
【0034】
【発明の効果】本発明方法は、写真処理液や飲料水をは
じめとする各種被処理水を固定床型三次元電極電解槽に
供給し前記被処理水を電気化学的に処理する際に、運転
条件をそれぞれ電流密度を0.5 A/dm2 以下、空間線
速度を5.0 cm/sec以下、極間距離が0.1 mm以上
で該極間距離と被処理水の電気伝導度の逆数の積を15
〔mm・cm/μS〕以下とし、10ヘルツ以下の交流又
は直流を印加して被処理水の処理を行うことを特徴とす
る微生物を含む被処理水の電気化学的処理方法である
(請求項1)。本発明は種々の被処理水を対象とし、こ
れらの被処理水は適度の塩類、ゼラチン等の栄養源を有
しかつ適度な温度に維持されるものが多く、従って微生
物が繁殖し易い環境となっている。該被処理水を固定床
型三次元電極電解槽に供給すると、該被処理水中の微生
物は電位を与えられた陽極や陰極あるいは誘電体や固定
床形成用粒子等に接触しそれらの表面で強力な酸化還元
反応を受けたり高電位の電流に接触し、その活動が弱ま
ったり自身が死滅して滅菌が行われる。
【0035】従って本発明方法では、被処理水中の微生
物が電圧印加部分に接触すれば充分であり、両極間に電
流を流して水素及び酸素等のガス発生を伴う実質的な電
解反応を生起させることは必須ではなく、むしろ実質的
な電解反応が生じない低い電位を電極表面に印加するこ
とが好ましく、これは実質的なガス発生が生じると被処
理水成分にガス発生に起因する化学的変化を与えてしま
い、これにより複雑な作用が写真処理液等の被処理水に
起こることがあり、一定の処理性能を常に維持すること
が難しくなるからである。更に微生物を滅菌することに
役立たないガス発生反応に無駄な電力を使うことになり
不経済でもある。特に多量の酸素ガスや水素ガスの発生
が生ずる電位では、これらガスによる酸化還元反応が例
えば写真処理液との間で生じ、該写真処理液の写真処理
性能に著しい変化を与えてしまうことが多く、又それら
発生ガスが電極表面上を覆ってしまい微生物が電極表面
と接触する効率も低下させ滅菌効率を悪くする。
【0036】従って本発明においては、電流密度を0.5
A/dm2 以下とし、ガス発生が生じないか生じても微
生物の電極への接触を実質的に阻害しない程度のガス発
生量として滅菌効率を高い範囲に維持する。しかも被処
理水の空間線速度を5.0 cm/sec以下としてあるた
め被処理水が十分に三次元電極に接触して滅菌が行われ
る。そして極間距離を0.1 mm以上で該極間距離と被処
理水の電気伝導度の逆数の積が15〔mm・cm/μS〕
以下となる値に維持してあるため電極間の短絡を生じさ
せることなく、安定な処理操作を継続することができ
る。そして電源は10ヘルツ以下の交流又は直流とし、10
ヘルツを越える交流を使用すると電極の極性の変化が速
すぎて効率的な滅菌処理を行うことができなくなる。本
発明方法は、被処理水を電解槽に1回だけ通すワンパス
処理により行っても又は被処理水を循環させて被処理水
を電解槽を複数回通過させるようにしてもよいが、後者
の場合には通過回数を多くするほど滅菌効率が高くなる
ため、被処理水の空間速度を1hr-1以上とすることが
好ましい(請求項2)。
【0037】前記固定床型三次元電極電解槽の三次元電
極は、グラファイト、炭素系材料、活性炭等の炭素質三
次元電極とすることが望ましく(請求項3)、これらの
物質は比較的安価で表面積が大きいため、本発明方法に
使用される固定床として有効である。この炭素質三次元
電極を使用する場合その平均開孔径は25〜125 μmの範
囲に維持することが望ましく(請求項4)、該開孔径が
25μm未満であると被処理水が該炭素質三次元電極内を
流通することができずそして該被処理水中の微生物が該
電極に接触できず、電解電圧の上昇と滅菌効率の低下を
招き、又前記開孔径が125 μmを越えると前記被処理水
が前記電極に接触することなく電解槽を通過しやすくな
り電流効率が低下する。
【0038】該炭素質三次元電極は本発明の電気化学的
処理により発生することのある酸素ガスと接触すると酸
化され炭酸ガスとして溶解し易くなる。これを防止する
ためには該炭素質三次元電極表面に、特に誘電体を使用
する場合には該誘電体の陽分極する側に基材上に白金族
金属酸化物を被覆し通常不溶性金属電極として使用され
る多孔質材料を接触状態で設置し(請求項5)、酸素発
生が主として該多孔質材料上で生ずるようにすればよ
い。本発明方法に使用する電解槽として複極式固定床型
三次元電極電解槽を使用すると(請求項6)、電極表面
積が莫大になりプール水や製紙洗浄水等の大量に使用す
る被処理水にも容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の電解槽として使用可能な単極式固
定床型電解槽の例を示す概略縦断面図。
【図2】本発明方法の電解槽として使用可能な複極式固
定床型電解槽の第1の例を示す概略縦断面図。
【図3】同じく第2の例を示す概略縦断面図。
【図4】同じく第3の例を示す概略断面図。
【図5】実施例1における〔(極間距離)×(1/電気
伝導度)〕と殺菌効率の関係を示すグラフ。
【図6】実施例2における電流密度と殺菌効率の関係を
示すグラフ。
【図7】実施例3における空間線速度と殺菌効率の関係
を示すグラフ。
【図8】実施例4における周波数と殺菌効率の関係を示
すグラフ。
【図9】実施例5における電解槽とクーリングタワーの
設置状況を示す概略図。
【符号の説明】
3・・・電解槽本体 4・・・陰極 5・・・陽極 92
・・・電解槽本体 95・・・固定床 97・・・不溶性金
属電極

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物を含む被処理水を固定床型三次元
    電極電解槽に供給し、前記被処理水を電気化学的に処理
    する被処理水の処理方法において、電流密度を0.5 A/
    dm2 以下、空間線速度を5.0 cm/sec以下、極間
    距離が0.1 mm以上で該極間距離と被処理水の電気伝導
    度の逆数の積を15〔mm・cm/μS〕以下とし、10ヘ
    ルツ以下の交流又は直流を印加して被処理水の処理を行
    うことを特徴とする微生物を含む被処理水の電気化学的
    処理方法。
  2. 【請求項2】 被処理水を循環させ電解槽を複数回通過
    させて該被処理水の処理を行う際の空間速度を1hr-1
    以上とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 三次元電極が炭素質三次元電極である請
    求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 炭素質三次元電極の平均開孔径が25〜12
    5 μmである請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 炭素質三次元電極が1対の給電用電極間
    に設置され、該炭素質三次元電極の陽分極側に該炭素質
    三次元電極により発生期酸素又は酸素ガスに耐性のある
    補助電極を設置して被処理水の処理を行うようにした請
    求項3又は4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 固定床型三次元電極電解槽が、電圧の印
    加により陽陰極に分極する固定床内を被処理水が流通す
    る複極式固定床型三次元電極電解槽である請求項1から
    5までのいずれかに記載の方法。
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