JPH09117767A - 被処理水の電解処理方法 - Google Patents

被処理水の電解処理方法

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JPH09117767A
JPH09117767A JP29904895A JP29904895A JPH09117767A JP H09117767 A JPH09117767 A JP H09117767A JP 29904895 A JP29904895 A JP 29904895A JP 29904895 A JP29904895 A JP 29904895A JP H09117767 A JPH09117767 A JP H09117767A
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JP
Japan
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water
electrolytic cell
treated
electrode
microorganisms
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JP29904895A
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Nobutaka Goshima
伸隆 五嶋
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 微生物を含む被処理水の電解滅菌における電
解条件に関するデータを記録し、運転状況を把握する。 【構成】 固定床型炭素質電極15が収容された電解槽12
に微生物を含む被処理水を供給し前記炭素質電極15に通
電して該微生物の滅菌を行なうに際の被処理水温度や水
量等のデータを記録して保存し、後に得られる微生物濃
度と比較することにより、電解槽運転が正常であったか
異常であったかを含めた運転状況を特定する。又電解槽
の運転が正常であったことを示すデータを残しておく
と、前記微生物増加が電解槽の異常運転に起因するもの
でないことの証明になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物を含有する各種
被処理水の該微生物に起因する各種性能劣化を抑制する
ために前記被処理水を電解処理する際の電解条件を追跡
し該電解処理の円滑な進行を確保し又は異常の原因を特
定するための方法に関し、より詳細には写真処理液、各
種工場の純水、超純水あるいはプール水、製紙洗浄水、
熱交換器冷却水、飲料水、カップ式自動販売機用貯水、
養魚用水、薬剤希釈水、浴場水及びガス洗浄塔用循環水
等の微生物を含有しあるいは微生物発生の可能性のある
各種被処理水を複極型固定床式電解槽を使用して電解処
理することにより前記各被処理水中の微生物の制菌、殺
菌や滅菌を行なう際の被処理水の温度や電解電圧等のデ
ータを連続的に記録し、処理終了後に電解条件を追跡し
検討することを可能にするための方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来から各種用途に多種類の水溶液や他の
物質を溶解していない単独の水や純水が使用されてい
る。これらの水溶液等は溶質が適度な養分を提供し、あ
るいは該水溶液の液温が繁殖に好ましい比較的高温度で
あると、細菌等の微生物が繁殖して該微生物は前記水溶
液等の性能劣化を起こしたり、又製品に悪影響を与えた
り、処理装置内に浮遊したり蓄積して処理装置の機能を
損なうことが多い。通常の水道水中の微生物数は残留塩
素を殺菌剤として残すことで20個/ミリリットル以下に
されているが、この水道水を例えば熱交換器用冷却水と
して使用すると前記微生物が飛躍的に繁殖して配管の腐
食や悪臭が発生する。これらの現象を防止するために従
来は防黴剤や沈澱抑制剤等の各種薬剤を被処理水中に投
入したり各種フィルタを配管途中に設置したりしている
が、前記薬剤投入は前述の通り薬剤の残留による被処理
水への悪影響や薬剤使用のコスト面での問題点が指摘さ
れている。更に添加薬剤に対する抗菌が暫くすると発生
し、次の薬剤を検討したり必要量以上に多量の薬剤を供
給する等の必要が生ずるという問題点を抱えている。
又、フィルター操作で生菌を濾過分離することは原理的
に不可能であり、永続する菌除去はできない。
【0003】前述の各被処理水のうち、特に飲料水は人
間の健康に直結するもので、それに含有される細菌の滅
菌や黴の繁殖の防止つまり微生物の死滅除去は不可欠で
あり、該滅菌や防黴の方法としては塩素による方法が主
流である。しかし都市部の水道滅菌はその原水となる河
川水、湖水等が各種有機物等で汚染され微生物の死滅に
必要な量以上の塩素を添加するため、有機ハロゲン化物
等を生起したり、カルキ臭を発生する等の弊害を生じて
いる。該塩素法による前記欠点を解消するために、塩素
法以外の滅菌方法が提案されている。本出願人は飲料水
を含む前記各被処理水における前述の欠点を解消するた
めに、複数の炭素質三次元固定床型電極(以下炭素質電
極ともいう)が収容された電解槽に前記被処理水を供給
し電解処理することにより該被処理水中の微生物を滅菌
する水処理装置及び方法を提案した。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】このいわゆる電解滅
菌法は、前記炭素質電極に通電することにより該電極を
分極させ主としてプラスに分極した電極部分に接触した
微生物を滅菌するものであり、通電が継続されている限
り微生物の滅菌が継続され、塩素やオゾン等の薬剤を使
用しないため処理が長期間に亘っても微少量の電気代が
増加するのみで経済的な運転が可能になるという長所が
ある。他の被処理水の処理法例えばオゾン法や塩素法で
も同様であるが、得られる処理済の被処理水中の微生物
濃度(微生物数)はオンサイトでは測定できず、得られ
た被処理水をサンプリングし、2〜3日間培養しなけれ
ば微生物濃度は決定できない。従って電解槽運転中は処
理済の被処理水中の微生物濃度を測定して電解槽の運転
が正常か異常かを即時決定することはできない。しかし
ながら2〜3日経過後に電解槽の運転が異常であったこ
とが検出されても、その運転状態を再現できないため異
常の原因や、運転状態の微生物濃度に与える影響等を関
連付けて検討することができず、以後の運転の参考に供
することができない。
【0005】
【発明の目的】本発明は、前述の従来技術の欠点を解消
し、電解滅菌システムにおける電解槽の運転状況を、微
生物濃度が確定した段階において該微生物濃度と比較検
討することを可能にする電解処理方法を提供することを
目的とする。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明は、微生物を含
有する被処理水を、炭素質三次元固定床型電極が設置さ
れた電解槽に供給し、該電極に通電することにより分極
させ、該分極した電極に前記微生物を接触させることに
より前記微生物の滅菌を行なう被処理水の電解処理方法
において、被処理水の温度、液量及び電気伝導度、及び
電解槽の電圧及び電流から選択される少なくとも1種類
のデータを連続的に記録することを特徴とする方法であ
る。なお本発明方法による水処理では電極表面上で実質
的な酸化還元反応のような電気化学反応を生起していな
いことがあるので本発明方法による水処理及び本発明方
法中の電解槽はそれそれ電気化学的処理及び電気化学的
処理槽というべきであるが、一般呼称に従ってそれそれ
電解処理及び電解槽と称する。
【0007】以下本発明を詳細に説明する。本発明方法
は、写真処理液、各種工場の純水、超純水あるいはプー
ル水、製紙洗浄水、熱交換器冷却水、飲料水、カップ式
自動販売機用貯水、養魚用水、薬剤希釈水、浴場水及び
ガス洗浄塔用循環水等の微生物を含有しあるいは微生物
発生の可能性のある各種被処理水を対象とし、該被処理
水を固定床型三次元電極電解槽に供給し該電解槽に直流
又は交流電圧を印加し前記被処理水中の微生物の制菌、
殺菌あるいは滅菌を行う際の電解槽の運転方法に関する
ものである。本発明の微生物には、細菌(バクテリ
ア)、菌、糸状菌(黴)、大腸菌、酵母、変形菌、単細
胞の藻類、原生動物、ウイルス等が含まれる。
【0008】前記被処理水を、通電された炭素質電極が
設置された電解槽に供給すると、該被処理水中の微生物
は液流動によって分極した前記電極に接触しそれらの表
面で高電位のエネルギー供給を受け強力な酸化反応が微
生物細胞内で生じ、その活動が弱まったり微生物自身が
死滅して滅菌が行われると考えられる。このような被処
理水の電解処理によると、前記炭素質電極が適正に分極
しかつ供給される被処理水が確実に該炭素質電極の0.7
V(vsSCE)の電位のあるプラスに分極した部分に接
触する限り微生物の滅菌が行なわれ、この条件のいずれ
かが欠落すると電解槽から取り出される被処理水中の微
生物濃度が増加するといった問題点が生ずる。
【0009】測定可能なデータとして、被処理水の温
度、液量及び電気伝導度、及び電解槽の電圧及び電流な
とがあるが、これらのデータを単独又は組み合わせても
それのみで運転が正常に行なわれているか異常であるか
は決定できない。仮に処理済の被処理水中の微生物濃度
が許容限度以上に上昇している場合には、微生物濃度の
変動との比較検討により初めて異常運転の原因を明確に
したり、あるいは電解槽の運転は正常であり、微生物濃
度の増加は他の原因に帰されるべきであるとの結論を導
いたりすることができる。そのためには電解槽運転時の
全時間に亘るデータが記録されていることが望ましく、
該データと後ほど得られる微生物濃度のデータとの対比
による電解槽の運転状況の把握が可能になる。
【0010】従って本発明方法では、被処理水の温度、
液量及び電気伝導度、及び電解槽の電圧及び電流から選
択されるデータの少なくとも1種類、望ましくはこれら
の全てのデータを電解槽の運転とともに連続的に記録し
例えばコンピューターに記憶させる。一般に電解処理に
適した上記各条件の範囲は、被処理水温度5〜45℃、電
解槽内通過の線速は5〜30mm/秒、被処理水電気伝導度
は0〜5000μs/cm、電解電圧は2.0 〜8.0 V/電解
槽、電流密度は0〜5.0 A/dm2 であり、電解槽内に収
容された炭素質電極の高さと前記線速の関係が〔電解槽
高さ(mm)〕/〔線速値(mm/秒)〕≧1.0 (秒)を満
足すると効率良く被処理水の処理ができる。これらの値
は相互に関連しながら変動するため、いずれかの値がこ
の範囲内にあっても微生物濃度が満足できる低レベルに
あるとは限らず、逆にいずれかの値がこの範囲外にあっ
ても微生物濃度が満足できる低レベルとなることもあ
り、単にこれらの値の測定のみでは運転が正常に行なわ
れているかを確認できない。このデータの記録ととも
に、処理済の被処理水のサンプリングを行ない該サンプ
ル中の微生物濃度の測定を平行して行ない、微生物濃度
に関するデータが得られる2〜3日後に、微生物濃度の
異常が検出された場合には、各データの経時変化と対比
することにより電解条件のどの項目が微生物濃度の異常
に結びつくのかを特定できる。又微生物濃度が満足でき
る低レベルに維持されている場合には、各データの対応
する経時変化に応じた正常な運転が行なわれていること
が把握できる。更に微生物濃度が異常であるにもかかわ
らず各データに異常が見られない場合には、電解槽の運
転条件以外の要因で微生物濃度の異常が起きていること
が推測され、その場合には前記他の要因の検討を行なう
ことができる。
【0011】特にPL法の施行以後は製品の欠陥の原因
を追求し明確にすることが企業の存続にも影響すると予
想される。本発明の電解処理方法を人体の健康に直結す
る飲料水に適用する場合には特にその影響が大きく、単
に微生物濃度のデータのみでは製品の欠陥が電解槽や該
電解槽を使用する処理方法の欠陥に起因するのか、ある
いは他の要因によるものであるのか特定できない場合も
生ずる。しかし本発明のように、電解条件に関する各種
データを記録し後日に残すことにより、後に得られる微
生物濃度に関するデータと組み合わせることにより、製
品の欠陥原因を確実に特定することが可能になる。又微
生物濃度に異常がない場合にも電解処理が正常に行なわ
れていたことの補助データとして使用できる。
【0012】本発明方法に使用する電解槽は、固定床型
三次元電極電解槽つまり固定床型単極式電解槽及び固定
床式複極式電解槽であり、これらの電解槽では該電解槽
の三次元電極が莫大な表面積を有するため電極表面と被
処理水との接触面積を増大させることができ、これによ
り装置サイズを小さくし、かつ電解処理の効率を上げる
ことができる点で有利である。本発明の固定床型三次元
電極電解槽における電極は一般に分極現象を生じる炭素
質電極と給電用電極を含み、該炭素質電極は前述の使用
する電解槽に応じた形状を有し、固定床型複極式電解槽
を使用する場合には、前記被処理水が透過可能な炭素質
材料、例えばフェルト状、織布状、多孔質ブロック状等
の形状を有する活性炭、グラファイト、炭素繊維等の炭
素系材料から形成され、該炭素質電極の両端に設置した
平板状又はエキスパンドメッシュ状やパーフォレーティ
ッドプレート状等の多孔板体から成る給電用電極間に直
流電圧あるいは10Hz以下の交流電圧を印加して前記電極
を分極させその一端及び他端にそれぞれ陽極及び陰極を
形成させ得る三次元電極を収容した固定床型複極式電解
槽とすることが可能であり、この他に単独で陽極として
あるいは陰極として機能する炭素質三次元材料を交互に
短絡しないように設置しかつ電気的に接続して固定床型
複極式電解槽とすることができる。
【0013】前記電極が炭素質であるため、電解反応生
成物である酸素ガスにより酸化され炭酸ガスとして電極
崩壊することがある。これを防止するためには前記電極
の陽分極する側にチタン等の基材上に酸化イリジウム、
酸化ルテニウム等の白金族金属酸化物を被覆し通常不溶
性金属電極として使用される多孔質材料やチタン等の基
材上に白金族金属をメッキ等で被覆した電極材料を接触
状態で設置し、酸素発生が主として該多孔質材料上で生
ずるようにすればよい。前記炭素質電極の平均開孔径は
25〜125 μmとすることが望ましい。該炭素質電極を電
解槽に収容して被処理水例えば飲料水を処理する際に
は、炭素質電極の性質により被処理水の流通の容易性あ
るいは電解電圧等に影響が生ずる。該炭素質電極の開孔
径も比較的強い影響を有し、該炭素質電極の開孔径が大
きいと該電極に被処理水が接触することなく電解槽を通
過しやすくなるため微生物の滅菌効率が低下する。逆に
開孔径が小さすぎると被処理水が前記炭素質電極内を流
通することができずに電解電圧の上昇や電解槽内での液
流の圧力損失を招いてしまう。
【0014】本発明者の検討によると、炭素質三次元電
極の開孔径が25μm未満であると電解電圧の顕著な上昇
が生じ、又125 μmを越えると電流効率(滅菌効率)の
顕著な減少を招き、いずれも満足すべき効果(滅菌効
率)を達成することができない。従って本発明方法にお
ける電解槽で炭素質電極を使用する場合にはその平均開
孔径を前述の通り25〜125 μmとすることが望ましい。
そして該炭素質電極の空間率〔(電極の空隙容積)÷
(電極の全体積)×100 (%)〕は20〜80%、好ましく
は30〜60%である。所望の開孔径を有する炭素質電極は
次のように製造することができる。例えば炭素系粒子を
焼結して炭素質電極を形成する場合には使用する炭素系
粒子の粒径を調節することにより、調製される炭素質電
極の開孔径を調節して任意の開孔径を有する炭素質電極
とすることができ、焼結温度は1000〜4000℃、好ましく
は約3800℃とする。又、別の製法としては所定の開孔径
を有するセルロース系ペーパーを積層し同様な焼結温度
にてグラファイト化する。
【0015】又単極式固定床型電解槽を使用する場合に
は、三次元材料1個を隔膜を介してあるいは介さずに電
解槽内に設置し、あるいは複数の三次元材料を同一の電
解電位の状態で単一の電解槽内に設置するようにする。
いずれの形態の電極を使用する場合でも、処理すべき被
処理水が流れる電解槽内に液が電極に接触せずに流通で
きる空隙があると被処理水の処理効率が低下するため、
電極等は電解槽内の被処理水の流れが電極に接触せずに
ショートパスしないように配置することが望ましい。前
記電解槽内を隔膜で区画して陽極室と陰極室を形成して
も、隔膜を使用せずにそのまま通電を行うこともできる
が、隔膜を使用せずかつ電極の極間距離を狭くする場合
には短絡防止のため電気絶縁性のスペーサとして例えば
有機高分子材料で作製した網状スペーサ等を両極間に挿
入することができる。又隔膜を使用する場合には流通す
る被処理水の移動を妨害しないように多孔質例えばその
開口率が10%以上95%以下好ましくは20%以上80%以下
の隔膜を使用することが望ましく、該隔膜は少なくとも
前記被処理水が透過できる程度の孔径の微細孔を有して
いなければならない。
【0016】このような構成から成る電解槽の運転条件
は、被処理水中の微生物の滅菌効率が最大になるように
設定することが望ましい。電解槽で水の電解処理を行う
場合にはワンパス処理と循環処理があり、循環処理の方
が滅菌効率は上昇するが例えば飲料水の電解処理では循
環処理を行うことは困難であり、通常ワンパス処理とな
る。ワンパス処理では電解条件のうちの特に被処理水の
空間速度(liquid hourly space velocity)をなるべく小
さくして被処理水の電解槽内の滞留時間を長くすること
が望ましい。又その被処理水供給時の電極電位は前述の
通り陽極電位を+1.2 V(vs.SHE)より卑で+0.2 V(vs.
SHE)より貴である値とすることが望ましい。この電位範
囲では両極における通常の電解反応により生ずる酸素ガ
ス及び水素ガスの発生が僅かに生ずるか殆ど認められ
ず、前記微生物の滅菌に寄与することのない発生ガスに
配慮することなく、又電解電力を被処理水滅菌以外の無
駄でかつ滅菌処理を阻害する電解ガス発生に使用するこ
となく、前記被処理水の滅菌処理を行うことができる。
なお電解槽出口には開孔径10μm以下のフィルターを有
する濾過設備を設置して、電解処理により滅菌された微
生物の死骸を濾過により除去することが望ましい。
【0017】次に添付図面に基づいて本発明に使用でき
る電解槽の好ましい例を説明するが、前記電解槽はこれ
らに限定されるものではない。図1は、本発明方法の電
解槽として使用可能な単極式固定床型電解槽の例を示す
概略縦断面図である。底板中央に上水道水供給口1を、
又天板中央に上水道水取出口2をそれぞれ有する円筒状
の電解槽本体3内の下部には、炭素質材料から形成され
る短寸円柱形の多孔質固定床型陰極4が前記本体3の内
壁と実質的に液流動の生じないような僅かな間隙しか形
成しないように収容され、該陰極4上には若干の間隙を
介して例えばメッシュ状の白金族金属酸化物被覆チタン
材あるいはメッシュ状の白金族金属をメッキ等の手段で
被覆したチタン材から成る陽極5が収容されている。前
記電解槽本体3は、長期間の使用又は再度の使用にも耐
え得る電気絶縁材料で形成することが好ましく、特に合
成樹脂であるポリエピクロルヒドリン、ポリビニルメタ
クリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化エチレン、フェノール−ホルムアルデ
ヒド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等が好ましく使用
できる。
【0018】このような構成から成る電解槽本体3は例
えば水道配管の途中や水道の蛇口に設置され、該本体3
にその上水道水供給口1から、微生物、有効塩素成分、
カルキ臭、カルシウムイオン、マグネシウムイオン及び
鉄イオン等を含有する上水道水を供給すると、該上水道
水は多孔質陰極4の下面に接触し該陰極4面で前記有効
塩素成分やカルキ臭の除去、及び金属イオン成分等の還
元による対応する水酸化物又は酸化物との析出による除
去等が起こり、該陽極5面で前記微生物の滅菌が起こ
り、清浄化された上水道水が前記上水道水取出口2から
槽外へ取り出される。なお本電解槽では液流が上向きで
あるため、電解反応によって微量発生する水素ガスや酸
素ガスが容易に液流とともに電解槽外へ排出される。図
示は省略したが、図1の電解槽には小型のレコーダーが
装着され、電解槽運転の際の被処理水の温度、液量及び
電気伝導度、及び電解槽の電圧及び電流等のデータを連
続的に記録しかつ保存している。
【0019】図2は、本発明方法の電解槽として使用可
能な複極式固定床型電解槽の一例を示す概略縦断面図で
ある。上下にフランジ11を有する円筒形の電解槽本体12
の内部上端近傍及び下端近傍にはそれぞれメッシュ状の
給電用陽極ターミナル13と給電用陰極ターミナル14が設
けられている。該両電極ターミナル13、14間には複数個
の図示の例では3個のスポンジ状の固定床炭素質電極15
が積層され、かつ該炭素質電極15間及び該炭素質電極15
と前記両電極ターミナル13、14間に4枚のメッシュ状隔
膜又はスペーサー16が挟持されている。各炭素質電極15
は電解槽本体12の内壁に密着し炭素質電極15の内部を通
過せず、炭素質電極15と電解槽本体12の側壁との間を流
れる上水道水の漏洩流がなるべく少なくなるように配置
されている。
【0020】このような構成から成る電解槽に下方から
矢印で示すように上水道水を供給しながら通電を行う
と、前記各固定床15が図示の如く下面が正に上面が負に
分極して各固定床15の下面に多孔質陽極が形成され、前
記上水道水はこの多孔質陽極に接触して滅菌が行われ、
その後前記電解槽の上方に取り出され、蛇口に導かれ
る。本実施例の電解槽でも図1の場合と同様に小型のレ
コーダーが装着され、被処理水温度等の各種データを連
続的に記録しかつ保存している。
【0021】図3は、本発明方法に使用できる複極式固
定床型電解槽の他の例を示すもので、該電解槽は図2の
電解槽の炭素質電極15の給電用陰極14に向かう側つまり
陽分極する側にメッシュ状の不溶性金属電極17を密着状
態で設置したものであり、他の部材は図2と同一である
ので同一符号を付して説明を省略する。直流電圧が印加
された炭素質電極15はその両端部において最も大きく分
極が生じ、ガス発生が伴う場合には該両端部においてガ
ス発生が生じ易い。従って最も強く陽分極するつまり最
も激しく酸素ガスが発生する炭素質電極15の給電用陰極
14に向かう端部には最も速くかつ激しく酸化反応や電極
基材の溶解反応が生じる。図示の通りこの部分に不溶性
金属電極17を設置しておくと、該不溶性金属電極17の酸
素発生過電圧が炭素質電極15を形成する炭素系材料の前
記過電圧より低いため殆どの酸素ガスが前記不溶性金属
電極17から発生し炭素質電極15は殆ど酸素ガスを発生し
なくなるため、前記炭素質電極15の崩壊は効果的に抑制
される。又該電解槽12に供給された上水道水は図2の場
合と同様に処理され上水道水中の微生物の滅菌等が行わ
れる。本実施例の電解槽でも図1の場合と同様に小型の
レコーダーが装着され、被処理水温度等の各種データを
連続的に記録しかつ保存している。
【0022】図4は、本発明方法に使用できる複極式固
定床型電解槽の更に他の例を示す縦断面図である。中空
円筒形の電解槽本体21の下部には中央に上水道水供給口
22を有する碗状の底板23がクランブ24により接続され、
かつ前記電解槽本体21の上部には中央に上水道水取出口
25を有する碗状の天板26がクランブ27により接続されて
いる。前記上水道水供給口22の上方の電解槽本体21内に
は円板状の給電用陽極ターミナル28が、又上水道水取出
口25の下方の電解槽本体21内には円板状の給電用陰極タ
ーミナル29がそれぞれ設置されている。両ターミナル2
8、29間には図示の例では計10個の炭素質電極30が、2
枚の図3と同様の不溶性金属電極31とその間に位置する
スペーサ32を介して積層されている。各炭素質電極30は
電解槽本体21の内壁に密着し炭素質電極30の内部を通過
せず、炭素質電極30と電解槽本体21の側壁との間を流れ
る上水道水の漏洩流がなるべく少なくなるように配置さ
れている。
【0020】このような構成から成る電解槽に上水道供
給口22に上水道水を供給しながら通電を行うと、前記各
炭素質電極30の下面がマイナスに上面がプラスに分極し
て各炭素質電極30の上面に多孔質陽極が形成され、前記
上水道水はこの多孔質陽極に接触して滅菌が行われ、そ
の後前記電解槽の上方に取り出され、蛇口等に導かれ
る。本実施例の電解槽でも図1の場合と同様に小型のレ
コーダーが装着され、被処理水温度等の各種データを連
続的に記録しかつ保存している。
【0021】図5は、本発明方法に使用できる複極式固
定床型電解槽の更に他の例を示す分解斜視図である。中
空円筒形のケーシング41の内下部にはフィルター42と活
性炭43が収容されたカートリッジ44が設置され、該カー
トリッジ44の上には、円筒形の保持部材45内に収容され
た電解槽本体46が設置されている。該電解槽本体46は下
から順に給電用陽極ターミナル47、計10個の炭素質電極
と前記金属製保護電極がセットされた固定床電極ユニッ
ト48、給電用陰極ターミナル49の順に構成されている。
電解槽本体46の天板50には計3個の通孔51が穿設され、
被処理水供給管、被処理水取出管及び排水時の通気孔が
設置されている。この電解槽本体46は、その頭部にデー
タ記録用回路52とデータ表示板53を有する側面視「コ」
字状の取付台54に固定され、家庭やビル内の蛇口に近接
して設置し、特に上水道水つまり飲料水の電解処理に利
用される。
【0022】
【実施例】以下に本発明方法による飲料水等の被処理水
処理の実施例を記載するが、該実施例は本発明方法を限
定するものではない。
【実施例1】まず次のようにして本実施例の電解槽を構
成した。透明な硬質ポリ塩化ビニル樹脂製の高さ75m
m、内径40mmのフランジ付円筒形である図2に示した
電解槽内に、炭素繊維から成る直径39.5mm、厚さ10m
mの固定床(多孔質グラファイト、東海カーボン株式会
社製G−100 S)5個を、開口率80%で直径40mm及び
厚さ1mmのポリエチレン樹脂製隔膜6枚で挟み込み、
上下両端の隔膜にそれぞれ白金をその表面にメッキした
チタン製である直径38mm厚さ1mmのメッシュ状給電
用陽極及び給電用陰極を接触させて設置し、本実施例の
電解槽を構成した。又上水道水に微生物を854 個/ミリ
リットル添加して試験用被処理水を調製した。前記電解
槽の下部からこの試験用被処理水を1.5 リットル/分の
割合で供給し、直流電源により見掛け電流密度0.2 A/
dm2 、電解電圧が4.3 〜8.8 V(平均電解電圧5.8
V)となるように調節して前記試験用被処理水の電解処
理を行なった。
【0027】この条件で電解槽の運転を15日継続しかつ
運転時の被処理水の温度、液量及び電気伝導度、及び電
解槽の電圧及び電流のデータをコンピューターに記憶さ
せ、かつ1時間毎に電解槽から取り出される処理済の被
処理水をサンプリングし、3日培養して各時間毎の微生
物数をカウントした。その結果を表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】
【実施例2】次に実施例1と同じ電解槽を使用し、運転
時間の経過とともに意図的に被処理水量を増加させ、か
つ実施例1と同様に被処理水をサンプリングし、3日培
養して各時間毎の微生物数をカウントした。その結果を
表2に示した。
【0030】
【実施例3】次に実施例1と同じ電解槽を使用し、運転
時間の経過とともに意図的に電解電圧を減少させ、かつ
実施例1と同様に被処理水をサンプリングし、3日培養
して各時間毎の微生物数をカウントした。その結果を表
3に示した。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】表1から判るように、微生物濃度がほぼ満
足できるレベルにあるときは前述の各データの経時変化
値はほぼ一定していた。従ってカウントされた微生物濃
度だけでなく記録された各データ値からも電解槽の運転
が正常に行なわれたことが確かめられた。これに対し、
微生物濃度が十分に低下しない例では、被処理水量や電
解電圧に異常が生じており、サンプリング後通常2〜3
日で得られる微生物濃度と各データとを対比することに
より、微生物濃度上昇つまり運転異常の原因を特定でき
た。
【0034】
【発明の効果】本発明方法は、微生物を含有する被処理
水を、炭素質三次元固定床型電極が設置された電解槽に
供給し、該電極に通電することにより分極させ、該分極
した電極に前記微生物を接触させることにより前記微生
物の滅菌を行なう被処理水の電解処理方法において、被
処理水の温度、液量及び電気伝導度、及び電解槽の電圧
及び電流から選択される少なくとも1種類のデータを連
続的に記録することを特徴とする方法(請求項1)であ
る。上水道水等の被処理水を本発明の固定床型三次元電
極式電解槽に供給すると、該被処理水中の微生物は電位
を与えられた炭素質電極に接触しそれらの表面で高電位
の電流に接触し強力な酸化反応を受けたり、その活動が
弱まったり自身が死滅して滅菌が行われる。
【0035】しかしこの電解滅菌法では、電解槽から取
り出される処理済の被処理水中の微生物濃度を直ちに測
定することができず、微生物濃度の特定には通常3日程
度の日時を要する。従って電解槽運転時に運転が正常に
行なわれているか否かを直接決定する手段はない。本発
明では、電解槽運転時の前述の各運転条件のデータの少
なくとも1種類を記録することにより、微生物濃度が特
定された後に、前記データと微生物濃度を対比すること
により、電解槽運転が正常であったか異常であったかを
含めた運転状況を特定できる。更に微生物濃度は単に電
解槽の運転状況だけでなく、他の電解には関連しない要
因によっても変動する。被処理水のサンプリグの3日後
に微生物濃度が増加していたことが判明した時点で、電
解槽の運転が正常であったことを示すデータを残してお
くと、前記微生物増加が電解槽の異常運転に起因するも
のでないことの証明になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の電解槽として使用可能な単極式固
定床型電解槽の第1の例を示す概略縦断面図。
【図2】本発明方法の電解槽として使用可能な複極式固
定床型電解槽の一例を示す概略縦断面図。
【図3】本発明方法に使用できる複極式固定床型電解槽
の他の例を示す概略縦断面図。
【図4】本発明方法に使用できる複極式固定床型電解槽
の更に他の例を示す縦断面図。
【図5】本発明方法に使用できる複極式固定床型電解槽
の更に他の例を示す分解斜視図。
【符号の説明】
1・・・上水道水供給口 2・・・上水道水取出口 3
・・・電解槽本体 4・・・固定床型陰極 5・・・陽
極 12・・・電解槽本体 13・・・陽極ターミナル 14
・・・給電用陰極ターミナル 15・・・炭素質電極 21
・・・電解槽本体 22・・・上水道水供給口 25・・・
上水道水取出口 28・・・給電用陽極ターミナル 29・
・・給電用陰極ターミナル 30・・・炭素質電極 46・
・・電解槽本体 47・・・給電用陽極ターミナル 48・
・・炭素質電極 49・・・給電用陰極ターミナル 52・
・・データ記録用回路

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物を含有する被処理水を、炭素質三
    次元固定床型電極が設置された電解槽に供給し、該電極
    に通電することにより分極させ、該分極した電極に前記
    微生物を接触させることにより前記微生物の滅菌を行な
    う被処理水の電解処理方法において、被処理水の温度、
    液量及び電気伝導度、及び電解槽の電圧及び電流から選
    択される少なくとも1種類のデータを連続的に記録する
    ことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 記録されるデータの出力機が電解槽シス
    テムとは別個に存在する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 記録されるデータ量が30日量データ以下
    である請求項1に記載の方法。
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