JPH0740648A

JPH0740648A - インクジェット記録用シート

Info

Publication number: JPH0740648A
Application number: JP5205522A
Authority: JP
Inventors: Kazuaki Oshima; 一晃大島; Masaru Kato; 勝加藤
Original assignee: New Oji Paper Co Ltd
Current assignee: New Oji Paper Co Ltd
Priority date: 1993-07-29
Filing date: 1993-07-29
Publication date: 1995-02-10

Abstract

(57)【要約】【目的】印字が鮮明で、高速プリンター適性に優れ、
高画質の記録が可能で、高い保存性と用紙の搬送性に優
れたインクジェット用シートを提供する。【構成】シート状支持体と、この支持体の少なくとも
一面上に形成され、かつ顔料及びバインダー樹脂を主成
分とするインク受容性被覆層とを有し、このインク受容
性被覆層中に顔料として平均粒径が０．５〜５μｍの球
状の沈降性炭酸カルシウムを含有することを特徴とする
インクジェット記録用シート。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は水性インクを用いたプリ
ンター、コピー等に用いられるインクジェット記録用被
記録材に関する。更に詳しく述べれば、本発明は優れた
発色性、画像の保存性、ドットの均一性、用紙のプリン
ターでの搬送性等に優れた特性を持つ改良されたインク
ジェット記録用シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】水性インクを用いるインクジェット方式
のプリンターの性能、特にプリント速度や解像度、階調
性などの画質の向上によって、被記録材に対してもイン
クの高速吸収性、高吸収容量、高濃度印字の他に、濃度
が均一でより高画質な印字特性と用紙のプリンターでの
搬送性等に優れ、かつインク受容性被覆層を低塗工量と
した普通紙ライクなカラーインクジェット記録用シート
が要求されるようになった。

【０００３】例えば、特公昭６２−１５８０８４号公報
には、合成微粒シリカを用いた被覆層を使用すること
で、光沢感と高いインク吸収性を有するインクジェット
記録媒体の製造方法が開示されている。このように合成
微粒子シリカはインクの吸収速度が早く、インク吸収容
量が大きく、インクの広がりが小さく、ドット形状が円
に近く、更に染料の発色を損なわないことで、最もイン
クジェット記録に適合した顔料であると考えられてい
る。しかしながら、被記録シートの微粒シリカを主成分
とするインク受容性被覆層は染料の発色を鮮明にする反
面、染料の安定性に影響し、経時的に変色するという重
大な欠点がある。

【０００４】また、特開昭５７−１２０４８６号公報に
は記載されるように軽質炭酸カルシウムと呼ばれる沈降
性炭酸カルシウムを被記録シートのインク受容性被覆層
の主顔料として使用することが知られている。沈降性炭
酸カルシウムは安価で、高い白色度が得られると同時
に、染料の安定性を損なわないという特徴を有するが、
微粒シリカと比較すると、紙送り性などの走行性が悪化
し易く、発色の鮮明性、濃度が低い等の画質の欠点を有
しており改善が望まれている。

【０００５】近年、パーソナルコンピューターの出力へ
の対応などで、高速な印字が要望されており、このよう
な状況で高濃度で均一な高画質印字ができ、インク吸収
速度が速く、かつ染料の発色を損なわないで、画像の解
像力の高く、かつ記録後の印字物の光、熱、オゾン等の
環境の変化に対して高い保存性を有し、走行性の良好な
インクジェット記録用紙を得ることが望まれているが満
足できるものは見出だされていない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる現状に
鑑み、水性インクを用いるインクジェット方式プリンタ
ーにおいて、インクの吸収速度が早く、吸収容量が大き
く、シャープな高解像度の画像を高速でプリント可能
で、しかも画像の濃度均一性に優れ、保存性が良好で、
かつ走行性の良好なインクジェット記録用シートを提供
することを目的としたものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明らは、上記の目的
を達成すべく鋭意検討した結果、インク受容性被覆層に
特殊な形状を有する沈降性炭酸カルシウムを含有させる
ことにより、上記課題を達成し得ることを見出し本発明
を実現した。すなわち本発明に係わるインクジェット記
録用シートは、シート状支持体と、この支持体の少なく
とも一面上に形成され、かつ顔料及びバインダー樹脂を
主成分とするインク受容性被覆層とを有し、このインク
受容性被覆層中に顔料として平均粒径が０．５〜５μｍ
の球状の沈降性炭酸カルシウムを含有することを特徴と
するものである。

【０００８】本発明に用いられるシート状支持体として
は、通常の天然パルプを主とした中性又は酸性の上質
紙、中質紙、再生紙、コート紙、アート紙等の他、炭酸
カルシウム、焼成クレー、ケイ藻土、タルク、シリカな
どの無機質微細顔料を８〜６５％含有する多層構造熱可
塑性樹脂フィルムを１軸又は２軸延伸した基材層の表及
び裏面に、１軸又は２軸延伸された紙状層が結着された
３層構造のものや、用途によって、上記紙状層と基材層
とに例えば、白色度を向上する目的で設けられ表面層を
含む４層以上の構造の無機質微粉顔料を含有する２軸延
伸した多層構造のポリオレフィンシートで、顔料の添加
量、種類によって、不透明な用紙から、半透明なトレー
ス紙のような種類まで製造されている合成紙がある。

【０００９】ここで用いられる熱可塑性樹脂としてはポ
リオレフィン樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸
ビニル共重合体が主成分となるが、他に、ポリスチレ
ン、アクリル酸エステル共重合体などの熱可塑性樹脂を
混合したものも用いられる。その他、合成フィルム、天
然樹脂フィルム等が使用できる。シート状支持体の厚み
は１０〜２００μｍ、坪量は１０〜２００ｇ／m²である
ことが好ましい。

【００１０】本発明のインク受容性被覆層には沈降性の
炭酸カルシウムを使用する。一般に炭酸カルシウムは天
然に産出する石灰石や海産微生物殻を湿式、又は乾式粉
砕、分級して製造されるチョーク、重質炭酸カルシウム
のほか、水酸化カルシウムの懸濁液に二酸化炭素を吹き
込んで反応させる方法、あるいは炭酸ソーダを反応せし
める方法により得られる沈降性の合成炭酸カルシウムが
知られている。

【００１１】前記重質炭酸カルシウムは粉砕機の能力に
より、粒径が限定され数μｍ以上の粒径となり、粒度分
布も広くなる。粉砕された形状も不定形となり、均質な
塗面を得ることは困難となり、インクジェットプリンタ
ーで印字した場合に印字品位が低下する。また、一般的
に沈降性炭酸カルシウムは粒径は０．１〜５μｍ程度の
均質な粒子を得ることが可能であるが、その形状は紡錘
型、立方型が中心のカルサイト型結晶形や、針状型、柱
状型、イガグリ状型のアラゴナイト型結晶形炭酸カルシ
ウムが普通であり、いずれも発色性、走行性の双方を満
足するものは見出だされていない。

【００１２】本発明に使用される球状炭酸カルシウム粒
子は、例えば特開平２−２４３５１４号公報又は特開平
２−２４３５１６号公報等に記載される合成方法により
製造される。本発明者らは、両公報記載の方法により得
られる球状炭酸カルシウムが、従来のカルサイト型結晶
形から得られる紡錘型、立方型の沈降性炭酸カルシウム
や、アラゴナイト型結晶形の針状型、柱状型、イガグリ
状型の沈降性炭酸カルシウムと比較してインクジェット
記録における印字品質、走行性を向上させることを見出
だした。

【００１３】本発明に使用される球状炭酸カルシウム粒
子は、前記特許公報に従い合成されるが、以下にその方
法を概説する。前記炭酸カルシウムは、通常の沈降性炭
酸カルシウムの製造法の改善により得られるもので、例
えば、水酸化カルシウム懸濁液に水酸化カルシウムと等
モル程度の過酸化水素を添加した後、液温を４０℃以下
とし、これに二酸化炭素を吹き込むことで球状炭酸カル
シウムが製造される。

【００１４】また、前記製造方法において、マグネシウ
ム、亜鉛、バリウム、ニッケル、アルミニウム等の２価
及び３価の金属塩、及び脂肪酸カルボン酸、ケトカルボ
ン酸、チオカルボン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スル
ホン酸、アミノポリカルボン酸等の金属イオンに対して
多座配位子の金属化合物を形成するキレート化剤を添加
する方法なども知られている。

【００１５】本発明に使用される球状炭酸カルシウムの
粒径は０．５μｍから５μｍが望まい。０．５μｍ以下
では、インク受容性被覆層に分散せしめた塗工層のイン
クの浸透性が低下するためにインクの吸収性が不足し、
解像力の低下等を引き起こすことから、好ましくない。
また、粒径が５μｍ以上では塗面の均質性が低下し、ド
ット形の不均質性が低下することから、望ましくない。

【００１６】本発明のインク受容性被覆層には前記球状
炭酸カルシウム粒子の他、顔料としてインクジェット記
録に用いて、鮮明な画像を与えるものを混合して用いる
ことができる。例えば、シリカ、珪酸アルミニウム、珪
酸カルシウム、カオリン、クレー、軽質炭酸カルシウ
ム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化ア
ルミニウム、ケイソウ土、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸
バリウム、酸性白土等の無機顔料、尿素系樹脂ピグメン
ト、エチレン系樹脂ピグメント、スチレン系樹脂ピグメ
ント、アクリル系樹脂ピグメント等の有機顔料であり、
これらは単独又は複数混合して用いられる。

【００１７】本発明のインク受容性被覆層に使用される
水性樹脂としては、ポリビニアルコール及びシラノール
基等で変性された誘導体、酸化澱粉、及びエーテル化、
エステル化、グラフト化等の変性澱粉、ゼラチン、カゼ
イン、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導
体、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリエステル樹脂等
の水溶性樹脂及びスチレン・ブタジエン共重合体、アク
リル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン・
酢酸ビニル共重合体等の水分散性樹脂を単独又は複数混
合して用いてもよい。

【００１８】この他、添加剤として、顔料分散剤、消泡
剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、
架橋剤、インクジェット記録後の印字物の耐水性を向上
するためのカチオン性樹脂等が製造条件、印字品質、要
求性能に応じて適宜使用される。

【００１９】本発明のインク受容性被覆層の顔料の使用
量は２０〜９０重量％の範囲、好ましくは３０〜８０重
量％の比率で使用される。顔料を９０重量％より多く使
用すると強度が低下し好ましくない。また、２０重量％
を下回るとインクの吸収性が低下し、インク乾燥性が不
十分となり画質が低下する。

【００２０】本発明のインク受容性被覆層は上述の構成
成分を通常の方法で均一に水中に分散し塗工液とし、こ
れを例えば、バーコーター、ブレードコーター、エアー
ナイフコーター、グラビアコーター等の塗工方式で支持
体上の少なくとも一方の面上に塗工量２〜２０ｇ／m²の
割合で設ける。塗工量が２ｇ／m²より少ないと画像の均
一性、画像濃度が不十分となり、また２０ｇ／m²より多
いと塗膜強度が低下する他、性能は飽和し、高価格とな
り好ましくない。

【００２１】

【実施例】以下に実施例によって本発明をより具体的に
説明するが、勿論本発明はこれによって限定されるもの
ではない。なお、以下において部及び％とあるのは、す
べて固形分重量部及び固形分重量％を示す。以下に球状
炭酸カルシウムの合成例を以下に示す。

【００２２】球状炭酸カルシウム合成例水酸化カルシウム４５ｇを水６００ｍｌに懸濁させ、エ
チレンジアミンテトラ酢酸２２．５ｇを添加し、これに
３０重量％過酸化水素水６９ｇを添加し、水で希釈し、
全量を７５０ｍｌとして乳化液とした。乳化液温を１０
℃として炭酸ガスを液中に導入して炭酸化反応を進行せ
しめた後、生成物をろ過、洗浄、脱水し、球状炭酸カル
シウムを得た。上記合成例に基づいて試作した球状炭酸
カルシウムを以下の実施例に用いた。

【００２３】実施例１６５ｇ／m²の上質紙に塗料１を濃度２０重量％に調製
し、固型分で５ｇ／m²の割合でメイヤーバー塗工、乾燥
し、インク受容性被覆層を持つインクジェット記録用シ
ートを得た。塗料−１球状炭酸カルシウム７０％（平均粒径３μｍ）ポリビニルアルコール（ＰＶＡ１２４：クラレ製）２８．５％ポリアクリル酸ソーダ（分散剤：東亜合成製）１．５％

【００２４】実施例２塗料−２を濃度２０重量％に調製し、６５ｇ／m²の上質
紙に固型分で１０ｇ／m²の割合でメイヤーバー塗工、乾
燥し、インク受容性被覆層を持つインクジェット記録用
シートを得た。塗料−２球状炭酸カルシウム５０％（平均粒径０．５μｍ）ポリビニルアルコール（ＰＶＡ１２４：クラレ製）４３．５％ポリエチレンイミン４級アンモニウム塩（日本触媒化学製）５％ポリアクリル酸ソーダ（分散剤：東亜合成製）１．５％

【００２５】実施例３塗料−３を濃度２０重量％に調製し、６５ｇ／m²の上質
紙に固型分で７ｇ／m²の割合でメイヤーバー塗工、乾燥
し、インク受容性被覆層を持つインクジェット記録用シ
ートを得た。塗料−３球状炭酸カルシウム２５％（平均粒径４μｍ）酸化澱粉（エースＡ：王子コーンスターチ製）５０％ポリビニルアルコール（ＰＶＡ１２４：クラレ製）２３．５％ポリアクリル酸ソーダ（分散剤：東亜合成製）１．５％

【００２６】実施例４塗料−４を濃度１０重量％に調製し、６５ｇ／m²の上質
紙に固型分で５ｇ／m²の割合でサイズプレス塗工、乾燥
し、インク受容性被覆層を持つインクジェット記録用シ
ートを得た。塗料−４球状炭酸カルシウム２５％（平均粒径４μｍ）酸化澱粉（エースＡ：王子コーンスターチ製）５０％ポリビニルアルコール（ＰＶＡ１２４：クラレ製）２３．５％ポリアクリル酸ソーダ（分散剤：東亜合成製）１．５％

【００２７】比較例１塗料−５を濃度２０重量％に調製し、６５ｇ／m²の上質
紙に固型分で１０ｇ／m²の割合でメイヤーバー塗工、乾
燥し、インク受容性被覆層を持つインクジェット記録用
シートを作成した。塗料−５炭酸カルシウム（ＰＺ：白石工業製）７０％（平均粒径３μｍ）ポリビニルアルコール（ＰＶＡ１２４：クラレ製）２８．５％ポリアクリル酸ソーダ（分散剤：東亜合成製）１．５％

【００２８】比較例２塗料−６濃度２０重量％に調製し、６５ｇ／m²の上質紙
に固型分で１ｇ／m²の割合でメイヤーバー塗工、乾燥
し、インク受容性被覆層を持つインクジェット記録用シ
ートを作成した。非晶質微粉シリカ（ファインシール：徳山曹達製）７０％シラノール基変性ポリビニルアルコール（Ｒ−１１３０：クラレ製）２８．５％ポリアクリル酸ソーダ（分散剤：東亜合成製）１．５％

【００２９】比較例３塗料−７を濃度１０重量％に調製し、６５ｇ／m²の上質
紙に固型分で５ｇ／m²の割合でサイズプレス塗工、乾燥
し、インク受容性被覆層を持つインクジェット記録用シ
ートを作成した。塗料−３炭酸カルシウム（ＰＺ：白石工業製）２５％（平均粒径３μｍ）酸化澱粉（エースＡ：王子コーンスターチ製）５０％ポリビニルアルコール（ＰＶＡ１２４：クラレ製）２３．５％ポリアクリル酸ソーダ（分散剤：東亜合成製）１．５％

【００３０】これらの各記録用シートの評価結果を表１
に示す。インクジェット記録用シートの記録特性は、イ
ンクジェットプリンター（キヤノン製ＢＪ−８２０Ｊ）
を用い印字した。画像濃度は印字物をマクベス濃度計
（シアン色）にて測定、濃度均一性はシアン色を目視評
価、また重色の複数のライン印字でニジミを目視評価
し、解像力とした。保存性は印字物をアトラス・フェー
ドメーターで２４時間光照射し室内に放置し、その変色
を観察した。走行性はインクジェットプリンター（キヤ
ノン製ＢＪ−８２０Ｊ）での給、排紙での重送、ミスフ
ィード、斜行性を観察した。評価は性能の優れているも
のを○、一般的な品質のものを△、使用に問題となる欠
陥のあるものを×として示す。

【００３１】

【表１】表−１インクジェット記録用紙品質評価 ───────────────────────────── 画像濃度解像度保存性走行性濃度均一性 ───────────────────────────── 実施例１ 1.35 〇〇〇〇２ 1.35 〇〇〇〇３ 1.32 〇〇〇〇４ 1.30 〇〇〇〇 ───────────────────────────── 比較例１ 1.31 △ × 〇 × ２ 1.54 〇〇 × △ ３ 1.28 △ × 〇 × ─────────────────────────────

【００３２】表１から明らかなように、シート状支持体
の少なくとも一方の面に、球状炭酸カルシウムとバイン
ダー樹脂を主成分として含有するインク受容性被覆層を
設けることを特徴とすることで、インクジェット記録に
よる画像が鮮明で、コントラストがあり、解像力、保存
性、走行性の良好なインクジェット記録用シートを得る
ことができる（実施例１〜４）。球状炭酸カルシウムを
含有しないインク受容性被覆層は、解像力、インク吸収
性が不十分となり、走行性が低下し（比較例１）、ま
た、保存性が低下する（比較例２）、走行性は不十分と
なる（比較例３）。

【００３３】

【発明の効果】本発明のインクジェット記録用シート
は、印字が鮮明でインクの吸収性に優れ、ドットの形状
が良好で、インク吸収性、解像力、保存性，搬送性が改
善されているものであり、従来の記録用シートに新たな
機能を付加した高品位で、高解像度のインクジェット・
プリント記録用シートを提供するものである。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シート状支持体と、この支持体の少なく
とも一面上に形成され、かつ顔料及びバインダー樹脂を
主成分とするインク受容性被覆層とを有し、このインク
受容性被覆層中に顔料として平均粒径が０．５〜５μｍ
の球状の沈降性炭酸カルシウムを含有することを特徴と
するインクジェット記録用シート。