JP2011140171A - インクジェット用記録紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、印刷前もしくは後、もしくは前後の両方にインク定着剤を記録紙に供給する形式のインクジェット用記録紙において、オフセット印刷用コート紙のような外観と優れたインクジェット適性の両方を提供し、特に印刷直後及び経時での印刷部の耐スクラッチ性に優れたインクジェット用記録紙を提供することにある。
【解決手段】支持体の少なくとも片面に主に顔料と接着剤を含有する塗工層を設けたインクジェット用記録用紙において、塗工層の顔料として、体積基準の粒度分布において粒子径5.0μm以上の頻度が0〜10%であり、かつ粒子径0.5μm以下の頻度が0〜10%の炭酸カルシウムを塗工層の全顔料固形分100質量部に対して50〜100質量部含むことを特徴とするインクジェット用記録紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット方式によって高速・連続印刷する印刷機に用いられるインクジェット用記録紙であって、特に印刷前または後、あるいは前後の両方にインク定着剤を記録紙に供給する工程を有する印刷機に好適なインクジェット用記録紙に関するものである。更に詳しくは、オフセット印刷用コート紙のような外観と優れたインクジェット方式の印刷適性の両方を提供し、特に印刷後の印刷部の耐スクラッチ性に優れたインクジェット用記録紙に関するものである。
インクジェット方式を用いて印刷する用途は、端末PC用プリンター、ファックス、または複写機に留まらず、多品種小ロット印刷、可変情報印刷等を可能とする、いわゆるオンデマンド印刷分野でも実用化が進み、技術的進展が目覚ましい。近年では印刷速度と画質の向上に伴い、印刷部数が従来オフセット印刷やグラビア印刷等で行われていた領域でも利用が検討されている。
インクジェット方式は、細かなインク滴を記録紙表面に噴出し、画像を形成する方式である。近年の技術進歩は目覚ましく、非常に高画質となり、弱点であった耐候性も顔料インクの出現により大幅に改善されてきた。しかし、インクジェット方式では比較的長い乾燥時間が必要となるという問題があった。また、顔料インクは染料インクに比べると記録紙表面から内部への浸透力が弱く、耐スクラッチ性が十分でない場合があった。
今後実用化が進み、かつ用途が広まっていくと予想される技術としては、色材を含んだアニオン性のインクが着弾する予定の記録紙の部分に予めもしくはインク着弾後に、カチオン性のインク定着剤を吐出して印刷する方式が挙げられ(例えば、特許文献1〜4参照)、インクのタイプとしては顔料インクが主流となると考えられる。また、高速化、高画質化への対応として、特に大量印刷の分野ではインクの乾燥機能を備えた印刷機が主流となると考えられる。記録紙としては既存のオフセット印刷用紙、電子写真用紙、インクジェット用紙の流用が考えられる。しかしながら、インクとインク定着剤の作用だけでは十分な印刷部の耐スクラッチ性が得られておらず、記録紙の工夫による改良が求められている。印刷物の搬送やユーザーの取り扱いによって引き起こる擦れや鋭利な物への接触による傷つき難さを示すものが耐スクラッチ性であり印刷物として重要な特性である。
特開平10−016376号公報 特許第3973794号公報 特開2002−029141号公報 特開2003−048317号公報
本発明の目的は、インクジェット方式によって高速・連続印刷する印刷機に用いられるインクジェット用記録紙であって、特に印刷前または後、あるいは前後の両方にインク定着剤を記録紙に供給する工程を有する印刷機に好適なインクジェット用記録紙に関するものである。更に詳しくは、オフセット印刷用コート紙のような外観と優れたインクジェット方式による印刷適性の両方を提供し、特に印刷後の印刷部の耐スクラッチ性に優れたインクジェット用記録紙を提供することにある。
本発明者は、上記の問題を解決すべく鋭意研究した結果、以下のようなインクジェット用記録紙を発明するに至った。すなわち、支持体の少なくとも片面に主に顔料と接着剤を含有する塗工層を設けたインクジェット用記録用紙において、塗工層の顔料として、体積基準の粒度分布において粒子径5.0μm以上の頻度が0〜10%であり、かつ粒子径0.5μm以下の頻度が0〜10%の炭酸カルシウムを塗工層の全顔料固形分100質量部に対して50〜100質量部含むことを特徴とするインクジェット用記録紙である。
更には、塗工層が炭酸カルシウムを塗工層の全顔料固形分100質量部に対して50〜95質量部含み、かつJIS K 5101−13に規定される吸油度が100〜400ml/100gである合成シリカを塗工層の全顔料固形分100質量部に対して5〜50質量部含むインクジェット用記録紙である。
本発明によって、印刷前または後、あるいは前後の両方にインク定着剤を記録紙に供給する手段を有するインクジェット方式の印刷機に好適な、オフセット印刷用コート紙のような外観を示し、かつ優れたインクジェット方式の印刷適性を示し、更には印刷後の印刷部の耐スクラッチ性に優れる性質を有するインクジェット用記録紙を提供することが可能となる。
以下、本発明のインクジェット用記録紙について詳細に説明する。インクジェット用記録紙は支持体の少なくとも片面に塗工層を設けたものである。
<塗工層>
本発明において塗工層は、顔料として、体積基準の粒度分布において粒子径5.0μm以上の頻度が0〜10%であり、かつ粒子径0.5μm以下の頻度が0〜10%の炭酸カルシウムを塗工層の全顔料固形分100質量部に対して50〜100質量部を含有する。好ましくは、粒子径5.0μm以上の頻度が0〜7%であり、また好ましくは粒子径0.5μm以下の頻度が0〜7%であり、また好ましくは炭酸カルシウムを70〜100質量部含有する。これらにより印刷部の優れた耐スクラッチ性を発揮することができる。
塗工層は、インクが塗工層表面に着弾した後、インク中の色材を分散していた水性媒体を毛細管現象によって塗工層の細孔を通り記録紙内部へと吸収し、色材を水性媒体から分離することによって色材の凝集物を形成する。塗工層は、色材を水性媒体から良好に分離することで表面に固着した凝集物を形成し、耐スクラッチ性を向上させることができる。炭酸カルシウムの体積基準の粒度分布において、粒子径5.0μm以上の頻度が10%を超える場合、優れた耐スクラッチ性を発揮することはできない。この理由としては、記録紙の塗工層に顔料同士の隙間として形成されている細孔が粗雑になり、毛細管現象による吸収性能が低下し、色材と水性媒体の分離が良好に行われないと考えられる。
また、インクが塗工層表面に着弾した後、インク中の水性媒体から分離した色材は記録紙表面と固着して凝集しなければ、耐スクラッチ性は得られない。炭酸カルシウムの体積基準の粒度分布において、粒子径0.5μm以下の頻度が10%を超えた場合、優れた耐スクラッチ性を発揮することはできない。この理由としては、微細な粒子径比率が高まることで塗工層に密な細孔が増加し、毛細管現象による吸収性能が強く働き、色材が塗工層表面と固着する前に水性媒体を吸収してしまうと考えられる。
本発明において塗工層に用いられる炭酸カルシウムの体積基準の粒度分布の調整は粉砕によって行う。粉砕の方法は乾式粉砕法と湿式粉砕法に大別される。乾式粉砕は、平均粒子径が数μm程度までの粉砕や、湿式粉砕の前段階の粗粉砕として用いるのに適しており、代表的にはジョークラッシャー、ハンマークラッシャー、コーンクラッシャー、ローラーミル、ピンミル、ボールミル、ジェットミル等が挙げられる。湿式粉砕法は、乾式粉砕よりも更に細かく粉砕を行うのに適しており、攪拌ディスクあるいはピン付ローターが設けられた粉砕室内に粉砕用のビーズを充填し、攪拌ディスクやピン付ローターを高速回転させながら炭酸カルシウムのスラリーを通過させる。湿式粉砕の装置として、代表的にはアイメックス社、アシザワ・ファインテック社、三井鉱山社、ホソカワミクロン社等の製品が挙げられ、縦型と横型がある。湿式粉砕法は本発明に用いられる炭酸カルシウムの粒度分布を最終的に調整する方法として特に適している。
湿式粉砕法において粉砕が進んでいないと、粒子径5.0μm以上の頻度は10%を超えて多いままである。適度に粉砕が進むと粒子径5.0μm以上の頻度が減少し、粒子径5.0μm以上の頻度が0〜10%となり、かつ粒子径0.5μm以下の頻度が0〜10%である炭酸カルシウムを得ることができる。しかしながら、過度に粉砕が進んでしまうと、粒子径0.5μm以下の頻度が増加してしまい、0.5μm以下の粒子が10%を超えてしまう。
また、湿式粉砕機の粉砕室の形状及び材質、粉砕用ビーズの形状、材質、及び充填率、攪拌部材の形状、材質、及び回転速度、分散剤の種類と添加量は、粉砕効率、部材の消耗による不純物の混入、スラリーの沈降性、粒子の粒度分布や再凝集性等を考慮して、適宜に適切な条件を選択することができる。
粉砕用ビーズの材質としては、アルミナビーズ、ジルコニアビーズ、ジルコニア・シリカ系セラミックビーズ等が高比重、高硬度、高耐久性の面で優れており、高性能なガラスビーズを用いることもできる。ビーズ粒子の大きさは直径0.1〜5.0mm程度のものが好適に使用される。比較的粗粒の炭酸カルシウムには粗めのビーズを、より細かくするためには微細なビーズを用いると効率が良い場合がある。
分散剤は、炭酸カルシウムの表面に吸着して、炭酸カルシウムの濡れを促進し、電荷的反発や高分子構造の立体障害によって炭酸カルシウムの凝集性と沈降性を弱め、炭酸カルシウムのスラリーを安定化させる作用がある。代表的なものとしてポリアクリル酸アルカリ塩、縮合リン酸塩、ポリビニルアルコール等が挙げられる。湿式粉砕が進むと新たに出現した炭酸カルシウム表面に新たな分散剤の吸着が必要となるため、分散剤を予め余剰に添加したり、湿式粉砕の途中で追加したりする場合がある。
本発明において塗工層に用いられる炭酸カルシウムは、天然に産出された石灰石原鉱を粉砕して使用するのが望ましいが、水酸化カルシウムを化学反応させて得られる軽質炭酸カルシウムを更に粉砕したり、炭酸カルシウム成分が十分に含まれる貝殻のような生物由来の材料を粉砕したりして使用することも可能である。
本発明において炭酸カルシウムの粒度分布は、レーザー回折・散乱法の粒度分布測定装置で得られた体積基準の粒度分布である。一般に粒度分布とはスラリーや粉体のような粒子の集合体について特定の粒子径範囲の頻度の分布を%で表したものであり、頻度の基準としては体積基準や個数基準等がある。レーザー回折・散乱法では、レーザーを粒子に照射した際の粒子の大きさによる散乱光の特性をその測定原理に用い、体積分布に応じた信号を検出、算出するものが一般的であり、代表的には日機装社(Microtrac.Inc)製の装置が挙げられる。
本発明における炭酸カルシウムの粒度分布は、先ず炭酸カルシウムのスラリーからスポイト等で採取したサンプルをイオン交換水または蒸留水等で希釈、分散した後、レーザー回折・散乱法の粒度分布測定装置の測定用セルに適量を滴下し測定される。次に測定装置より得られた体積基準の粒度分布から、粒子径5.0μm以上と粒子径0.5μm以下の頻度をそれぞれ求めることができる。
本発明の更に好ましい態様において、塗工層は体積基準の粒度分布において粒子径5.0μm以上の頻度が0〜10%であり、かつ粒子径0.5μm以下の頻度が0〜10%の炭酸カルシウムを塗工層の全顔料固形分100質量部に対して50〜95質量部を含有し、かつJIS K 5101−13に規定される吸油度が100〜400ml/100gである合成シリカを全顔料固形分100質量部に対し5〜50質量部含有する。更に好ましくは吸油度が150〜350ml/100gの合成シリカであり、また好ましくは合成シリカを10〜40質量部で含有することである。このような合成シリカを含有することで印刷部の耐スクラッチ性を更に向上させることができる。この理由としては、適度な吸油度を有する合成シリカが色材の固着に寄与し、印刷部の耐スクラッチ性が更に向上すると考えられる。
塗工層の合成シリカ含有量において、50質量部を超えて過剰に配合した場合は耐スクラッチ性が低下する。この理由は、合成シリカの吸油性が強く働き、色材が塗工層表面と固着する前に水性媒体を吸収してしまうと考えられる。一方、合成シリカが5質量部未満では効果が得られない。また吸油度が100ml/100g未満である合成シリカでは耐スクラッチ性の効果が得られず、吸油度が400ml/100gを超える合成シリカでは塗工液の粘度が上昇しやすく、塗工液作製時のハンドリング性に劣るため好ましくない。
また、本発明において塗工層に用いられる合成シリカは、天然に産出された二酸化ケイ素に富む原鉱を工業的に精製、加工したものである。製法としては乾式法と湿式法に大別され、前者には燃焼法、アーク法、後者には沈降法(沈殿法)、ゲル法が含まれ、吸油度の高い合成シリカが得られる。また、湿式法として、過飽和溶液から均一な核を形成し、これをシードとして成長させるケイ酸塩法、アルキルシリケート法、アルコキシド法、エマルジョン法といった製法があり、これらの方法で製造したものを特にコロイダルシリカと呼ぶ場合もあるが、本発明における合成シリカに含める。
本発明において塗工層に用いる顔料としては、前記の炭酸カルシウム及び合成シリカ以外に、タルク、サチンホワイト、リトポン、二酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、有機顔料、またはこれらをカチオン変性したもの、あるいはこれら二種以上の複合体が挙げられる。また、複数を組み合わせることができる。特にカオリンや中空の構造を持つポリスチレン−アクリル系の有機顔料はインクジェット用記録紙の白紙光沢を高める素材として大変有用である。
本発明において塗工層に用いられる接着剤としては、スチレン−ブタジエン系、アクリル系、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル等の各種共重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ユリアまたはメラミン等のホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン、エピクロルヒドリン等の水溶性合成物が挙げられる。更には、天然植物から精製した澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉、デキストリン、マンナン、キトサン、アラビノガラクタン、グリコーゲン、イヌリン、ペクチン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の天然多糖類及びそのオリゴマー、更にはその変性体が挙げられる。また、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、コラーゲン等の天然タンパク質及びその変性体、ポリ乳酸、ペプチド等の合成高分子やオリゴマーが挙げられる。これらは単独または組み合わせて使用することができる。また、接着剤はカチオン変性を施して使用することができる。顔料に対して過剰に接着剤を配合すると記録紙がインクの水性媒体を吸収する機能を阻害してしまう場合があるため、塗工層に含有する全顔料固形分100質量部に対して、接着剤は3〜30質量部、更に好ましくは5〜20質量部であることが好ましい。
本発明の塗工層には、必要に応じて、増粘剤、分散剤、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、耐水化剤、着色剤等の通常使用されている各種助剤を含有することができる。
本発明において、塗工する方法は特に限定されるものではなく、液だまりを有するサイズプレス、メタリングサイズプレス、ゲートロール、シムサイザー等の各種フィルムトランスファー、ロッド、ブレードコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、キャスト等の各方法を適宜使用する。塗工層は片面あたり5〜30g/mであることが好ましい。
<中間層>
本発明のインクジェット用記録紙は、インクジェット用記録紙の平滑性を高めたり、塗工性を改良したり、印刷適性を補うことを意図して、支持体と塗工層の間に主に顔料と接着剤を含有する中間層を設けても良い。中間層は先の前記塗工層で挙げた素材と塗工方法を適宜選択し、片面当たり固形分として2〜30g/mであることが好ましい。
<支持体>
本発明においてインクジェット用記録紙の支持体としては、代表的には木材パルプ繊維をシート状にした紙が使用される。その他として綿、麻、竹、サトウキビ、トウモロコシ、ケナフ等の植物繊維、羊毛、絹等の動物繊維、レーヨン、キュプラ、リヨセル等のセルロース再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリウレタン系繊維等の化学繊維、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維等の無機繊維をシート状にしたものを使用することもできる。
また、これらの繊維には、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、有機顔料等の各種填料、接着剤、サイズ剤、定着剤、歩留まり剤、紙力増強剤等の各種配合剤を各工程、各素材に合わせて好適に含有することができる。
繊維の支持体を用いる場合に各繊維をシート状にする製法としては、一般的な抄紙工程が用いられる。その他として不織布、フィルターの分野で使用される、湿式法、乾式法、ケミカルボンド、サーマルボンド、スパンボンド、スパンレース、ウォータージェット、メルトブロー、ニードルパンチ、ステッチブロー、フラッシュ紡糸、トウ開維等の各工程も使用することができる。
支持体は、必要とするサイズ性、表面強度、透気度を得るために表面サイズプレスを施すことが好ましい。表面サイズプレス液の成分としては、天然植物から精製した澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉、アクリル、スチレン−アクリル、スチレン−マレイン酸、スチレン−オレフィン、アクリル−酢酸ビニル等のアクリル系表面サイズ剤、オレフィン−マレイン酸、ジイソブチレン−マレイン酸等のオレフィン系表面サイズ剤等が挙げられ、その他に前記塗工層に用いられる全ての材料が適宜使用できる。
また本発明においては、表面サイズプレス液の成分としてインクジェットインク耐水化剤、インクジェットインク定着剤、インクジェット印刷適性向上剤等のカチオン性ポリマー、オリゴマーや多価陽イオン塩を含有することができる。カチオン性ポリマー、カチオン性オリゴマーは、プロトンが配位しやすいアミン類が代表的であり、1級、2級または3級のアミノ基、あるいは4級アンモニウム塩を含むモノマーとその他モノマーの共重合体が挙げられる。多価陽イオンとしては例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、亜鉛、銅、鉄、コバルト、スズ、マンガン等の二価陽イオン、アルミニウムイオン、鉄、クロム等の三価陽イオン、チタン、ジルコニウムの四価陽イオンや、それらの錯イオンが挙げられる。
表面サイズプレス液を塗布する方法としては液だまりを有するサイズプレス、メタリングサイズプレス、ゲートロール、シムサイザー等の各種フィルムトランスファーが挙げられる。表面サイズプレス液の塗布量は片面当たり固形分として0.1〜5.0g/m、更に好ましくは0.5〜3.0g/mである。
<カレンダー処理>
本発明において、支持体、中間層を設けた支持体、中間層と塗工層を設けた支持体、塗工層を設けた支持体は、必要とする密度、平滑度、透気度、吸水性、外観、光沢度を得るためにカレンダー処理を施すことができる。装置としては硬質ロール同士、弾性ロール同士、硬質ロールと弾性ロールの対の組み合わせからなるものが好適に使用され、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダー等と呼ばれており、意図的に加熱をする場合もある。過熱する際のロールの温度は40℃程の中低温から250℃程の高温に達する場合もある。また、ベルトとロールの組み合わせからなる装置も使用することができ、シューカレンダー、メタルベルトカレンダー等と呼ばれており、この場合も同様に加熱を伴う場合がある。ロール表面の微視的な形状は特に限定されるものではなく、鏡面、艶消し、エンボス用等、本発明の特性を損なわない範囲で平滑化または凹凸加工したものが使用できる。
最終的に得られたインクジェット用記録紙は用途に合わせて、大小のシート判またはロール状に加工されて製品となる。保存の際は、吸湿を避けるために防湿の包装を施すのが好ましい。製品の坪量は特に限定されるものではないが40〜300g/m程度である。
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り、質量部及び質量%を示す。
(実施例1)〜(実施例17)及び(比較例1)〜(比較例7)
下記の内容に従って、インクジェット用記録紙を作製した。
<表面サイズプレス液の調製>
リン酸エステル化澱粉 50部
カチオン性ポリマー系インクジェット定着剤(アミン系) 50部
上記の酸化澱粉を水に分散した後に加温して、95度以上の温度に保ちながら30分間攪拌した。上記のカチオン性ポリマー系インクジェット定着剤と上記固形分比率で混合して、水によって液の固形分濃度を調整して約5%とした。
<パルプスラリーの調製>
LBKP(濾水度420mlcsf) 80部
NBKP(濾水度450mlcsf) 20部
軽質炭酸カルシウム填料(原紙中灰分で表示) 11部
カチオン化澱粉 0.50部
カチオン系ポリアクリルアミド歩留まり向上剤 0.01部
アルキルケテンダイマー系内添サイズ剤 0.05部
硫酸バンド 1部
<支持体の作製>
上記パルプ、内添薬品を上記の配合で混合、希釈してパルプスラリーを調製し、長網抄紙機で70.0g/mの坪量で原紙を抄造した。尚、表面サイズプレス液の成分は固形分で両面2.0g/m塗布しており、支持体の坪量70.0g/mに含まれる。
<炭酸カルシウムの調製>
炭酸カルシウムA 粒子径5.0μm以上の頻度:15.2%
粒子径0.5μm以下の頻度: 7.4%
炭酸カルシウムB 粒子径5.0μm以上の頻度: 1.0%
粒子径0.5μm以下の頻度: 0.8%
炭酸カルシウムC 粒子径5.0μm以上の頻度: 0.0%
粒子径0.5μm以下の頻度: 0.0%
炭酸カルシウムD 粒子径5.0μm以上の頻度: 0.8%
粒子径0.5μm以下の頻度:15.7%
炭酸カルシウムは、天然の石灰石をジョークラッシャー、ハンマークラッシャー、ローラーミルによって平均粒子径30μm程度までに粗粉砕して、これに水と市販のポリアクリル酸アルカリ塩タイプの分散剤(以下、分散剤A)を加えて攪拌し、固形分約75%の予備分散スラリーとした。この予備分散スラリーをアシザワ・ファインテック社製湿式粉砕機(横型、円柱型粉砕室の寸法:直径約0.5m、長さ約1.3m)を用いて処理した。ビーズは直径約1mmのジルコニア製を、充填率83容積%で用いた。流量は約15リットル/分とした。パス回数は1回(炭酸カルシウムA)、3回(炭酸カルシウムB)、4回(炭酸カルシウムC)、6回(炭酸カルシウムD)の4水準で行って、上に示す粒度に調製した。スラリーの粘度上昇を防ぐため、各パスの前段階で分散剤Aを添加しながら処理を進めた。
<塗工層用液の調製>
顔料 配合部数は表1に記載
スチレン−ブタジエン系ラテックス接着剤 4部
ポリビニルアルコール(完全ケン化、重合度400) 5部
ステアリン酸カルシウム系潤滑剤 0.30部
合成保水剤(アルカリ増粘タイプ) 0.10部
印刷適性向上剤(水溶性変性ポリアミン系樹脂) 0.10部
蛍光染料 0.50部
青顔料 0.04部
上記、固形分質量部で配合し、pH10.0となるように水酸化ナトリウムで調整し、ブレード塗工用にはB型粘度500〜2000mPa・s程度、エアナイフ塗工用にはB型粘度40〜80mPa・s程度になるように水で調整し、合成消泡剤を加えて泡立ちを抑制しながら良く攪拌して塗工液とした。表1中に略称で示した合成シリカは、シリカA(ゲル法シリカ:吸油度120ml/100g)、シリカB(ゲル法シリカ:吸油度80ml/100g)、シリカC(ゲル法シリカ:吸油度350ml/100g)、シリカD(ゲル法シリカ:吸油度450ml/100g)、カオリン(微粒カオリン:平均粒子径0.3μm)、中空顔料(市販ポリスチレン系有機中空顔料:平均粒子径1μm、中空率50体積%)である。
実施例1〜8、比較例1、2、5、6についてはブレード塗工方法にて、合成シリカを配合した実施例9〜17、比較例3、4、7についてはエアナイフ塗工方法にて両面を塗工、乾燥した後、平滑化のためのカレンダー処理を行った。塗工量は固形分として片面当たり15g/mとした。カレンダーは弾性ロールと金属ロールからなるスーパーカレンダー装置を用い、加温用金属ロールの温度は60℃とした。
インクジェットプリンターとして、ヒューレット・パッカード社製「CM8060」を用い、実施例、比較例で得られたインクジェット用記録紙について、インクジェット印刷後の印刷部の耐スクラッチ性について評価を行った。
<耐スクラッチ性>
印刷後、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックそれぞれのベタ部を鉄の針で擦り、画像の欠損具合を目視で判定した。品質判定基準は以下の通りである。
6:画像の欠損がない。
5:画像の欠損がほとんどない。
4:画像が若干欠損されるが画像として問題ないレベル。
3:画像が欠損されるが実用上問題ないレベル。
2:画像が欠損して下地のインクジェット用記録紙が若干露出する。
1:画像がほとんど取れてしまい、実用上問題があり使用不可レベル。
Figure 2011140171
<評価結果>
実施例の1〜17全てにおいて、優れた印刷部の耐スクラッチ性であり、発明に値する結果となった。実施例1〜3、5及び7から、炭酸カルシウムの含有量が50〜100部であると、特に優れた耐スクラッチ性を示した。また実施例9〜14及び16から、本発明の更に好ましい態様である特定吸油量の合成シリカを配合することで、耐スクラッチ性は更に向上した。また実施例7、9、14及び比較例4の対比から、合成シリカが5〜50部であると耐スクラッチ性に効果があることと分かる。一方、比較例1と2は炭酸カルシウムの粒度分布が本発明で規定する範囲から外れるため、印刷部の耐スクラッチ性が劣る結果となってしまった。炭酸カルシウムまたは合成シリカの含有量が本願の範囲にない比較例3〜7も耐スクラッチ性に劣る。特に比較例5は耐スクラッチ性に劣るカオリンを100部配合するため、耐スクラッチ性に非常に劣る。
本発明におけるインクジェット用記録紙は、インクジェット用記録紙としての使用に留まらず、湿式及び乾式電子写真、オフセット印刷、グラビア印刷、熱転写等の他の印刷方式に使用することもできる。

Claims (2)

  1. 支持体の少なくとも片面に主に顔料と接着剤を含有する塗工層を設けたインクジェット用記録用紙において、塗工層の顔料として、体積基準の粒度分布において粒子径5.0μm以上の頻度が0〜10%であり、かつ粒子径0.5μm以下の頻度が0〜10%の炭酸カルシウムを塗工層の全顔料固形分100質量部に対して50〜100質量部含むことを特徴とするインクジェット用記録紙。
  2. 塗工層が炭酸カルシウムを塗工層の全顔料固形分100質量部に対して50〜95質量部含み、かつJIS K 5101−13に規定される吸油度が100〜400ml/100gである合成シリカを塗工層の全顔料固形分100質量部に対して5〜50質量部含む請求項1記載のインクジェット用記録紙。
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