JPH0740018U - インターナル式ピンミラーカッタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 切削熱で膨張してもアダプタから簡単に外す
ことができるインターナル式のピンミラーカッタを提供
する。 【構成】 リング状に形成されたカッタ本体２に、切刃
よりも外周側でアダプタ２０にテーパ嵌合させるテーパ
面７を設けてこの面７とテーパ面２５のテーパ嵌合作用
でカッタ１とアダプタ２０の心出しを行い、これによ
り、アダプタとの間に設けるキー嵌合部の嵌合状態を緩
くして熱膨張でその嵌合部に締め付け力が働くことを防
止したので、切削直後も支障なくカッタをアダプタから
外すことができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、リング状本体の内周側に保有した切刃で主にクランクシャフトのピ ン部、ジャーナル部の外周の粗加工を行うサイドカッタ、即ち、インターナル式 ピンミラーカッタの使用後の着脱性についての改善案に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、この種のピンミラーカッタは、切刃となるスローアウェイチップを寿 命がきた時点で交換する必要があるため、加工機にアダプタを取付け、そのアダ プタの座溝に着脱自在に装着してチップ交換時にカッタをアダプタから外す構成 にしてある。

【０００３】 アダプタに対するカッタの装着は、図６に示すように、Ｘ軸方向、Ｙ軸方向と もに軸心のずれを所定値以内に納めないと切削中の切刃の振れとなって現われ、 加工精度、加工の安定性低下の原因となることから、駆動力伝達用のキー嵌合部 をＸ軸及びＹ軸方向の位置決めにも利用する方法を採っている。

【０００４】 このキー嵌合部を利用した位置決めは、カッタ本体２の外周に９０°ピッチで ４個のキー溝３を設け、この溝の巾とアダプタ２０に設けるキー２１の巾を百分 台の公差とし、さらに、キー溝設置点の割出し誤差も０．０２ｍｍ以内としてキ ー２１をキー溝３に精密嵌合させる。

【０００５】 なお、このようにして心出ししたカッタは、アダプタに設けた半月クランプ２ ２で座溝に押し当てて固定される。半月クランプ２２は中心のボルト２３を緩め るとカッタとの係合が解けるアンクランプ点から図示のクランプ点への回転或い はその逆の回転が許容されるもので、迅速な着脱のためにこの種のクランプが多 用されている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

カッタは、切削熱によってその温度が上昇する。場合によってはその熱がアダ プタに伝わり、アダプタの温度も上昇する。この温度はカッタの方が高く、１０ ０℃近くまで達することもある。アダプタの温度はそれより低く抑えられるが、 いずれにしても、この熱でカッタ、アダプタ共に膨張するため、キー嵌合を精密 に行っている従来のカッタはキー嵌合部の嵌合具合がきつくなり、切削直後の着 脱が難しくなると云う不具合があった。

【０００７】 なお、カッタが冷めるまでまって着脱を行うとその間の時間が無駄になり、生 産性が低下する。

【０００８】 そこで、本考案は、熱膨張による着脱性の悪化を無くすことを課題としている 。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するため、本考案においては、カッタ本体に切刃よりも外周 側でアダプタに同心嵌合させる環状のテーパ面を形成し、さらに、カッタ本体に 設ける駆動力伝達用のキー溝又はキーを、これに対応してアダプタに設けるキー 又はキー溝に緩く嵌まるサイズとなしたのである。

【００１０】 なお、前記テーパ面のカッタ軸心に対する傾き角は６０°〜１５°の範囲にし ておくのが望ましい。この範囲から外れると、カッタが傾いたり、嵌合部が締ま り嵌め状態になったりする恐れがある。

【００１１】

【作用】

カッタ本体に軸心と同心の環状テーパ面を設けてこの面をアダプタに対応して 設けたテーパ面に嵌合させると、この嵌合部に生じる求心作用でアダプタに対し カッタが正確に心出しされる。従って、キー嵌合部は、駆動力伝達の役割だけを 果たせばよく、キーとキー溝の嵌合を緩くしてもその目的は果たされるので、熱 膨張後もキー嵌合部に締付力が働かないようにしてカッタの易着脱性を維持する ことができる。

【００１２】

【実施例】

図１乃至図４に、本考案のインターナル式ピンミラーカッタの一例を示す。こ のピンミラーカッタ１は、リング状に加工されたカッタ本体２の内周側に切刃と なるスローアウェイチップ４を所定の配列にして取付けてある。

【００１３】 カッタ本体２の外周側には、図３に示すアダプタ２０の座溝２４に落し込むフ ランジ部５を設けてある。このフランジ部５の外周に駆動力伝達用のキー溝３を 複数個設け、さらに、このフランジ部の一面に半月クランプ２２（図４参照）を 係止させる円弧状の溝６を周方向に適当な間隔をあけて複数個設けてある。

【００１４】 さらに、カッタ本体２の他面側への突出部の外周を軸心と同心の環状テーパ面 ７とし、このテーパ面を図３に示すように、アダプタ２０に対応して設けるテー パ面２５に嵌合させるようにしてある。

【００１５】 テーパ面７は、図５に示すように、フランジ部５の他面側にあってもよい。こ の図５のテーパ面７は図２とは傾き方向が逆になっているが、得られる求心効果 に差はない。

【００１６】 キー溝３は、アダプタ側のキー２１（図４）が緩く嵌まり、切削熱でカッタや アダプタが膨張した後にも緩嵌合の状態が保たれるサイズにしてある。このキー 溝３は、図は９０°ピッチで設けているが、本考案では、駆動力伝達の役目を果 たせばよいので、少なくとも１個あればよい。また、アダプタ側にキー溝を、カ ッタ側にキーを設けてその両者を嵌合させる構造にしても構わない。

【００１７】

【考案の効果】

以上述べたように、本考案においては、アダプタにテーパ嵌合して求心効果を 生じるテーパ面をカッタ本体に付加し、アダプタとのキー嵌合部は嵌合状態を緩 くして駆動力伝達のみを行う構成にしたので、熱膨張によるキー嵌合部の締め付 けが起こらず、切削直後であってもカッタを楽に外すことかできる。例えば、従 来構造では、カッタが冷えるのを待ってカッタを外していたので、脱着に約２０ 分を要していたが、本考案の構造にすればその時間が約５分となり、ロス時間が 大巾に削減される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のカッタの一例を示す部分切欠き正面図

【図２】同上のカッタの断面図

【図３】テーパ面の嵌合状態を示す断面図

【図４】キー溝とキーの嵌合状態を示す正面図

【図５】本考案のカッタの要部の変形例を示す断面図

【図６】従来カッタの位置決め状態の説明図

【符号の説明】

１ ピンミラーカッタ ２ カッタ本体 ３ キー溝 ４ スローアウェイチップ ５ フランジ部 ６ クランプ係止溝 ７ 環状テーパ面 ２０ アダプタ ２１ キー ２５ テーパ面

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周側をアダプタ中心の座溝に嵌めてア
   ダプタに固定し、内周側に設けた切刃で切削を行う着脱
   式のインターナル式ピンミラーカッタにおいて、カッタ
   本体に切刃よりも外周側でアダプタに同心嵌合させる環
   状のテーパ面を形成し、さらに、カッタ本体に設ける駆
   動力伝達用のキー溝又はキーを、これに対応してアダプ
   タに設けるキー又はキー溝に緩く嵌まるサイズとしたこ
   とを特徴とするインターナル式ピンミラーカッタ。
2. 【請求項２】 前記テーパ面のカッタ軸心に対する傾き
   角を６０°〜１５°とした請求項１記載のインターナル
   式ピンミラーカッタ。