JPH0739892Y2 - ダンボール紙の送出し装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は、平板状のダンボール紙を印刷機または裁断機
等の処理機器に１枚づつ供給するダンボール紙の送出し
装置に係わり、特に薄手のダンボール紙の送出しを確実
に行なえるようにしたダンボール紙の送出し装置に関す
るものである。

《従来の技術》 一般に、平板状のダンボール紙を印刷機または裁断機等
の処理機器に供給する場合、ダンボール紙をテーブル上
に１枚づつ載置して、そのダンボール紙の端部の一側辺
を、上記テーブル上を滑動して往復直線移動するキッカ
ーバーに取り付けた押し込み板に当接させて処理機器側
に押し出すようにしている。また、ダンボール紙にはそ
りが生じていることが多いので、そのそりを矯正してダ
ンボール紙の一側辺がキッカーバーの押し込み板に対し
てその全長に亘ってうまく当接するように、上記テーブ
ルは吸着テーブルになっている。つまり、ダンボール紙
はこの吸着テーブル上に載置される際、その端部の一側
辺が上記キッカーバー上に覆い被せられてセットされ、
その端部の一側辺にはキッカーバーの移動に伴いそのキ
ッカーバー上に一体的に固定して設けた押し込み板が当
接してそのダンボール紙を処理機器側に向けて押し出し
ていくようになっている。

《考案が解決しようとする課題》 ところで、上記のようにしてダンボール紙を処理機器側
に送出すようにすると、例えば第４図に示すように、単
一の方向に沿って波状に凹凸部を屈曲形成したコルゲー
ション紙２の上面と下面とにそれぞれライナー紙4,6を
貼り付けてなるような、厚さ3mm以下の薄手のダンボー
ル紙８の場合において、送出し不良が多々発生するとい
う問題があった。

すなわち、吸着テーブル上に載置されるダンボール紙の
端部はキッカーバーに覆い被さって若干上方に屈曲され
た状態になるとともに、その端部の一側辺に当接する押
し込み板の当接部位は平坦に形成されているので、当該
押し込み板がダンボール紙８の端部に当接して押し出す
際には、その平坦な当接部位は全幅に亙ってダンボール
紙に対しその厚み方向の下側に、つまり上面側のライナ
ー紙４やコルゲーション紙２に対するよりも下面側のラ
イナー紙６に対して大きな力を集中して作用させてしま
い、これにより当該ダンボール紙端部の下面側のライナ
ー紙６をコルゲーション紙２から削いで剥離させ、当該
剥離した端部が丸まってその結果、押し込み板とダンボ
ール紙８との係合が外れ、押し込み板がダンボール紙８
の下側に潜り込んで空送り状態になってしまうことがま
ま発生していた。

また、上記のようなダンボール紙８においてはその強度
が方向性があって、コルゲーション紙２の凹凸部に沿う
方向Ａに対するより、その凹凸部に直交する方向Ｂに対
する強度が低くなっているばかりか、ダンボール紙８に
対してそのＢ方向から押し込み板を当接させると下面側
のライナー紙６が剥離され易いので上記不具合が多発
し、3mm以下の薄手のダンボール紙８にあっては、実質
的にはこのＢ方向からの送出しは行うことができなかっ
た。このため、ダンボール紙８の効率の良い板取りが行
えなえず、不経済な面が表出することもあった。

本考案はこのような事情に鑑みてなされたものであり、
その目的は、薄手のダンボール紙をそのコルゲーション
紙の凹凸方向に関わる送出し方向に制約を受けずに、確
実にその送出しを行うことができるダンボール紙の送出
し装置を提供する事にある。

《課題を解決するための手段》 本考案は上記の目的を達成するために、平板状のダンボ
ール紙を吸着する吸着テーブルと、この吸着テーブル上
を滑動して往復直線運動するキッカーバーと、このキッ
カーバー上に一体的に固定されて取付けられ、キッカー
バー上に覆い被せられる前記ダンボール紙の端部の一側
辺に当接してこのダンボール紙を裁断機等の処理機器側
に向けて押出す押し込み板と、を備えたダンボール紙の
送出し装置において、前記押し込み板のダンボール紙と
の当接部に、該ダンボール紙に対して厚み方向に噛み込
む細かな突起を櫛歯状に形成した。

《作用》 上記構成の本考案によれば、押し込み板がダンボール紙
の端部一側辺に当接するとその当接部の櫛歯状の細かな
突起がダンボール紙の厚み方向にコルゲーション紙及び
その上面と下面のライナー紙とに亙って噛み込んでいく
ので、それらが相互にしっかりと係合してずれが生じ難
くなるとともに、下面側のライナー紙の剥離が可及的に
防止されるようになり、もってダンボール紙の送出しを
確実に行え得るようになる。

《実施例》 以下に、本考案に係るダンボール紙の送出し装置の好適
な一実施例を、添付図面に基づき詳述する。

第１図はダンボール紙の送り出し装置の概略構成を示す
平面図で、第２図はその一部破断側面図である。図示す
るように、送出し装置10はダンボール紙８を吸着する吸
着テーブル12と、この吸着テーブル12上を滑動して往復
直線移動するキッカーバー14とを備えている。

キッカーバー14は吸着テーブル12のほぼ横幅いっぱいに
これを横断して設けられていて、送りネジ機構16によっ
て往復直線移動されるようになっている。上記送りネジ
機構16は吸着テーブル12上に凹設されたガイド溝部18
と、このガイド溝部18内に挿通された送りネジ20と、そ
のガイド溝部18内に摺動移動自在に挿入されると共に上
記送りネジ20に螺合されて上記キッカーバー14の下面に
固定されたスライドブロック22、及び上記送りネジ20を
回転駆動させる駆動機構24とからなり、その駆動機構24
は電動モータと減速機とからなるごく一般的なものであ
る。

吸着テーブル12はそのテーブル面が多孔質のパンチング
ボード26で形成されていて、その下面にはターボバキュ
ームファン28等で構成される周知の吸引手段30が取り付
けられている。

また、吸着テーブル12の上方には平板状のダンボール紙
８を積み重ねて保持し、これをその吸着テーブル上12に
適宜１枚づつ落下供給させる給紙機構32が取り付けられ
ている。この給紙機構32はダンボール紙８の送出し方向
の先端部8a側を係止する先側部係止部材34とその送出し
方向の後端部8b側を係止する後端側係止部材36とを有
し、ダンボール紙８はそれら先端側係止部材34と後端側
係止部材36とのそれぞれの係止面34a,36a間に掛け渡さ
れて、先端部8a側が下方に傾斜された状態で積み重ねら
れて保持されるようになっている。そして、先端側係止
部材34はその係止面34aが下端部近傍において送出し方
向に向けて後退されて傾斜形成されており、ダンボール
８紙はその先端部8aが先端側係止部材34の傾斜された係
止面34a部位まで降下してくると、先端側係止部材34と
後端側係止部材36の係止面34a,36a間のスパンが広がる
ので、後端部8b側の降下量が大きくなって徐々に水平に
近い状態になりながら適宜１枚づつ吸着テーブル12上に
自重で落下するようになっている。

また、後端側係止部材36は吸着テーブル12上の送出し方
向後端側にその横幅いっぱいにこれを横断して設けられ
たケース38に、その送出し方向側の前面にこれより突出
されて複数個取り付けられている。そして、このケース
38はその両側部に送出し方向に沿って設けられた摺動ロ
ッド40などからなる支持手段42に支持されているととも
に、この摺動ロッド42の下方にはこれに平行に送りネジ
機構44が設けられており、上記ケース38は吸着テーブル
12に対して送出し方向に沿って前後に移動可能に取り付
けられていて、ダンボール紙８の寸法に合わせて前記先
端側係止部材34と後端側係止部材36との係止面34a,36a
間のスパンを任意に調整し得るようになっている。

またさらに、上記ケース38の前端面側の下端部には先端
側係止部材34と後端側係止部材36との間に保持されるダ
ンボール紙８を係止してこのダンボール紙８が吸着テー
ブル12上に落下供給されることを阻止する給紙停止機構
46の係止爪48が設けられている。この係止爪48はケース
38に回動自在に枢着されていて、図示していない作動機
構によって上下に揺動されてダンボール８紙の後端部を
キッカーバー14の上方に離間させて保持し得るようにな
っている。

ところで、キッカーバー14はそのダンボール紙８の送出
し作動の待機時には上記ケース38の下方に引き込まれる
ようになっていて、このときその先端部14aのみがケー
ス38の前面より突出されるようになっている。そして、
ダンボール紙８が吸着テーブル12上に落下供給される際
は、そのダンボール紙８の後端部8b側がそのキッカーバ
ー14の先端部14aを覆って被せられるようになってい
る。そして、キッカーバー14の上面にはこのキッカーバ
ー14の送りだし作動時の移動に伴い上記ダンボール紙８
の後端部8bの一側辺に当接してこれに係合し、このダン
ボール紙８を送りだし方向に押し出す押し込み板50が一
体的に固定されて取り付けられている。

この押し込み板50は複数に分割されて取り付けられてい
て、各押し込み板50の相互間には前記給紙停止機構46の
係止爪48との干渉を避けてこれを収納する溝部52が形成
されている。そしてさらに、その押し込み板50は第３図
に示すようにそのダンボール紙８との当接部50aには、
ダンボール紙８を押し出す際にこのダンボール紙８に対
して厚み方向に噛み込むように縦に細かな突起50bが多
数、押し込み板50全幅に亙って櫛歯状に形成されてい
る。

また吸着テーブル12の送出し方向先端部側にはキッカー
バー14によって押し出されてきたダンボール紙８を挾持
して裁断機あるいは印刷機等の処理機器54側に送出す一
対の送出しローラ機構56が設けられている。

従って、このようにしてなるダンボール紙の送出し装置
10では、キッカーバー14が待機位置に復帰されると、吸
着テーブル12上にその上方の給紙機構32部から当該部位
に積み重ねられて保持されたダンボール紙８が適宜１枚
づつ自重で落下供給される。この際、ダンボール紙８は
その送りだし方向の後端部8bがキッカーバー14の先端部
14a上に覆い被さってセットされるとともに、吸着テー
ブル12上に吸着されてそのそりが矯正される。

そして、キッカーバー14がその待機位置から送出し方向
に作動されると、押し込み板50がキッカーバー14の先端
部14aに覆い被せられたダンボール紙８の後端部8bの一
側辺にそのほぼ全長に渡って当接し、当該ダンボール紙
８を吸着テーブル12の吸引力による抵抗に抗して送出し
方向に押し出していく。このとき、ダンボール紙８の後
端部8bは若干上方に持ち上げられて湾曲された状態にな
っているので、押し込み板50はそのダンボール紙８の後
端部8bの一側辺に対して下面のライナー紙６側に大きな
力を作用させるが、押し込み板50の当接部は細かな突起
50bが縦に櫛歯状に形成されているので、櫛歯状の各突
起50bがダンボール紙８のコルゲーション紙２とその上
面のライナー紙４および下面のライナー紙６とに噛み込
んでいき、それらは相互にしっかりと係合される。この
ため、押し込み板50が下面側のライナー紙６にのみ大き
な力を作用させてその下面側のライナー紙６を剥離さ
せ、その下側に潜り込んで空送り状態になることが可及
的に防止されるようになり、もってそのダンボール紙８
の送出しが確実に行えるようになる。

また、押し込み板50の櫛歯状の多数の突起50bがダンボ
ール紙８の一側辺に縦に噛み込んで係合することから、
そのダンボール紙８のコルゲーション紙２の凹凸部の長
手方向に対して、これに直交するＢ方向（第４図参照）
から押し込み板50を当接させて押し出すようにしても、
そのダンボール紙８の送り出し不良が生じることを可及
的に防止できるようになり、ダンボール紙８の強度上の
方向性にかかわらず任意の方向に確実にダンボール紙８
を送出せるようになる。そしてこれにより、ダンボール
紙８の板取りを効率良く行え得るようにもなるばかり
か、強度の低いより廉価なダンボール紙，例えば厚さが
1.7mm程度のものを使用することも可能になって、経済
性の一層の向上が図れるようになる。

《効果》 以上要するに本考案によれば、押し込み板のダンボール
紙との当接部に、当該ダンボール紙に対して厚み方向に
噛み込む細かな突起を櫛歯状に形成して、当該当接部の
櫛歯状の突起をダンボール紙の端部一側辺のコルゲーシ
ョン紙及びその上面と下面のライナー紙とに縦に噛み込
ませるようにしたので、次のような優れた効果を発揮す
る。

（１） 押し込み板とダンボール紙とを相互にしっかり
と係合させてそれらにずれが生じることを可及的に防止
できるようになるとともに、下面のライナー紙の剥離を
可及的に防止できるようになり、もってダンボール紙の
送出しを確実に行なわせることができるようになる。

（２） また、押し込み板の櫛歯状の細かな突起がダン
ボール紙の一側辺に厚み方向に縦に噛み込んで係合する
ことから、そのダンボール紙のコルゲーション紙の凹凸
部の長手方向に対して、これに直交する方向から押し込
み板を当接させて押し出すようにしても、そのダンボー
ル紙の送り出し不良が生じることを可及的に防止できる
ようになり、ダンボール紙の強度上の方向性にかかわら
ず任意の方向に確実にダンボール紙を送出せるようにな
る。そしてこれにより、ダンボール紙の板取りを効率良
く行え得るようになるばかりか、強度の低いより廉価な
ダンボール紙を使用することも可能になって、経済性の
一層の向上を図ることができるようになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るダンボール紙の送出し装置の好適
な一実施例の概略構成を示す平面図、第２図はその一部
破断側面図、第３図は本考案の要部となる押し込み板の
斜視図、第４図はダンボール紙を説明する斜視図であ
る。 ８……ダンボール紙、8b……送出し方向後端部 10……送出し装置、12……吸着テーブル 14……キッカーバー、50……押し込み板 50b……（櫛歯状の）突起、54……処理機器

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】平板状のダンボール紙を吸着する吸着テー
   ブルと、この吸着テーブル上を滑動して往復直線運動す
   るキッカーバーと、このキッカーバー上に一体的に固定
   されて取付けられ、キッカーバー上に覆い被せられる前
   記ダンボール紙の端部の一側辺に当接してこのダンボー
   ル紙を裁断機等の処理機器側に向けて押出す押し込み板
   と、を備えたダンボール紙の送出し装置において、 前記押し込み板の前記ダンボール紙との当接部に、該ダ
   ンボール紙に対して厚み方向に噛み込む細かな突起を櫛
   歯状に形成したことを特徴とするダンボール紙の送出し
   装置。