JPH0739766Y2 - 不活性ガス置換装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、食品等の内容物を充填した広口の成形容器、
特に落とし蓋等の成形蓋を有する成形容器内のガスを不
活性ガスに置換する不活性ガス置換装置に関する。

従来の技術 近年、食品包装において、酸素による食品の変質や変敗
を防止するために、容器内の食品を取り巻く空気等のガ
スを不活性ガスに置換して包装する不活性ガス置換包装
が広く行なわれている。

従来、成形容器に内容物を充填密封する充填シール機に
適用した不活性ガスの置換装置として、先に本考案者が
提供した特開昭62−158627号公報記載のものが知られて
いる。それは、内容物が充填されコンベヤで搬送される
成形容器の開口部を、不活性ガス吹き出し孔を設けた底
面が平坦なプレートで覆い、前記不活性ガス吹き出し孔
から不活性ガスを容器内に吹き出させることにより、容
器内のガスを不活性ガスに置換し、容器がプレート下部
を通過直後に蓋材フイルムによって容器開口部を封鎖す
るようにしたものであった。

考案が解決しようとする問題点 上記提案された不活性ガス置換装置は、従来の不活性ガ
ス置換チャンバー内に容器を収納密閉して、チャンバー
内を一旦脱気してから不活性ガスを吹き込んで不活性ガ
ス置換を行なうものや、コンベヤで搬送される容器開口
部に直接ノズルにより不活性ガスを吹き込んで不活性ガ
ス置換を行なうものに比べて、装置が簡単であり、しか
も効率良く不活性ガス置換ができる利点を有するもので
あった。然しながら、上記提案のものは、内容物が充填
された容器が開口している場合、即ち蓋が被せられてい
ない状態の場合しか適用できないものであった。

近年、成形容器の蓋として、ラミネート複合材で形成さ
れたフルオープンの落とし蓋が実用化されてきている。
このような予め成形された蓋を用いて容器を密封する場
合、従来成形容器の充填機として広く採用されている横
型充填シール機においては、内容物充填後に蓋供給装置
により蓋を開口部に被せてシール装置下部に搬送し、蓋
を容器開口部のフランジ部に溶着するようにしている。
したがって、このような充填シール機には、上記提案の
ものは適用できず、従来、落とし蓋によって容器を密封
する横型シール機に適用できる不活性ガス置換装置は未
だ実用化されていないのが現状である。

本考案は、上記実状に鑑み創案されたものであって、落
とし蓋等成形済みの蓋で容器開口部を密封する成形容器
の充填ラインに容易に適用でき、構造が簡単でしかも効
率良く高い置換率で容器内のガスを不活性ガスに置換す
ることができる不活性ガス装置を提供することを目的と
するものである。

問題点を解決するための手段 上記問題点を、本考案の不活性ガス置換装置は、横型充
填シール機の蓋供給装置とシール装置との間に設置さ
れ、内容物が充填されて開口部にあらかじめ成形された
落し蓋状の蓋が載置された状態で蓋シール位置にコンベ
ヤで搬送される広口の成形容器のヘッドスペース内のガ
スを不活性ガスに置換するための不活性ガス置換装置で
あって、前記内容物が充填された広口の成形容器に載置
された落し蓋状の蓋を吸引して保持する吸引保持手段
と、該吸引保持手段が前記蓋を吸引保持したとき前記蓋
の外周縁よりも外方に位置するように穿設され、上端が
不活性ガス供給源に連設された不活性ガス吹き出し孔と
が設けられたプレートを、前記コンベヤで搬送される成
形容器上面と近接するようにコンベヤ上方位置に配置し
てなることを特徴とする構成を採用することによって解
決した。

前記吸引保持手段として、前記プレートの下面に前記蓋
の表面凹部に嵌合できる範囲の面積を有する膨出部を形
成し、該膨出部にバキューム孔を形成し、該バキューム
孔の上部をバキューム源に連結して構成することがで
き、また下端に吸盤を有し上部がバキューム源に連結さ
れた吸盤保持筒を前記プレートに上下動可能に貫通して
設け、該吸盤保持筒を上下動機構により上下動駆動する
ように構成することも可能である。

作用 内容物が充填され、蓋が載置された容器が搬送コンベヤ
により搬送され、不活性ガス置換装置の下方に到ると、
吸引保持手段が作動して蓋を吸引して容器開口部から若
干持ち上げて、容器本体のフランジ部との間に隙間を開
ける。その状態で、不活性ガス吹き出し孔より不活性ガ
スを吹き出して、蓋との隙間から容器内に不活性ガスを
吹き込む。それにより、容器ヘッドスペース内の空気等
のガスが不活性ガスに置換される。所定時間不活性ガス
吹き出し後、蓋吸引保持手段が解除されて蓋を再び容器
開口部に載置し、シール工程に搬送する。

上記のように蓋吸引保持手段で蓋を持ち上げてから不活
性ガスを吹き込むので、不活性ガス置換が確実に効率良
く行なわれる。また、不活性ガス置換後すぐに容器の開
口部が蓋で覆われるので、不活性ガス置換後外気が流入
することも無く、高い置換率で不活性ガスに置換するこ
とができる。

実施例 以下、本考案の実施例を図面を参照しながら詳細に説明
する。

本実施例に係る不活性ガス置換装置は、成形容器に内容
物を充填して蓋をシールする充填シール装置において、
蓋供給装置とシール装置の間に設置されるものである。
成形容器本体１は、プラスチック、金属箔とプラスチッ
クフィルムとの積層フイルム、または紙材等で成形さ
れ、ガス遮断性に優れているのが望ましい。蓋３は、金
属箔とプラスチックフイルムとの積層フイルム等で成形
され、表面に開口タブが設けられた落とし蓋状に構成さ
れ、その周縁部が容器本体１のフランジ部２に支持さ
れ、該部で互いに熱溶着されるようになっている。

第３図に示す横型充填シール機５において、容器供給装
置６から容器１が台車コンベヤ７の台車８に供給され、
容器は該コンベヤによって充填機９の下部に搬送され、
内容物が充填され、次に、蓋供給装置10で蓋３が開口部
に載せられ、以下に記述する不活性ガス置換装置15の下
方に運ばれ、ヘッドスペース内の空気を不活性ガスに置
換する。

不活性ガス置換装置15は、下面に蓋の表面凹部に嵌合で
きる範囲の面積を有する膨出部16を有する平板プレート
17に、不活性ガス置換する容器の蓋３を吸引保持する吸
引保持手段と、容器本体内部へ不活性ガスを吹き出す不
活性ガス吹き出し孔20とを設け、該プレートを前記コン
ベヤで搬送される容器の蓋と接近する上方位置に適宜の
取付け手段によって固定してなる。前記吸引保持手段
は、蓋３をバキュームにより吸着するために、前記プレ
ートの膨出部に複数個のバキューム孔18を設け、該孔18
の上部をバキュームホース19により図示しない切り替え
バルブ等の管路制御手段を介して真空ポンプ等のバキュ
ーム源に連結されている。

前記、不活性ガス吹き出し孔20は、蓋吸引保持手段が蓋
を吸引保持した状態で少なくとも前記蓋の外周縁寄りも
外方に位置するように、前記膨出部16の外側に複数個形
成されている。該吹き出し孔20は、不活性ガスを容器内
に向けて吹き出すように、容器に向けて斜めに孔を穿設
して設けられ、本実施例では、図に示すように、コンベ
ヤの軸心に沿って上流側と下流側の２ヶ所に設けたが、
これに限るものでなく、適宜の位置に設けて良い。吹き
出し孔20のプレート上面側は、不活性ガス吹き込み管21
を介して図示しない不活性ガス供給ボンベに連結されて
いる。

本実施例の不活性ガス置換装置は以上のように構成さ
れ、内容物が充填され落し蓋３が載置された状態でコン
ベヤで搬送され、不活性ガス装置の下部に達すると、図
示しない切り替えバルブが切り替えられ、吸引口がバキ
ューム源と連通し、バキュームにより蓋が吸引され、プ
レートの膨出部16に吸着保持される。この状態で不活性
ガス吹き出し孔20から不活性ガスを吹きだすことによっ
て、不活性ガスが蓋３と容器本体のフランジ部２との隙
間から容器内部に吹き込まれる。それにより、容器内部
のヘッドスペースの空気が追い出されて、不活性ガスに
置換される。所定時間吹き出し後、バキューム減と連通
するバルブが切り替えられて蓋の吸着を解除して、再び
容器開口部に蓋を載置して空気の流入を防止する。しか
る後コンベヤ７により、シール装置22の下部に搬送さ
れ、第１シールヘッド23及び第２シールヘッド24によ
り、２段階シールを行い、冷却プレス25によりプレスし
て、蓋周縁部を容器本体のフランジ部に溶着して密封す
る。

第４図は本考案の他の実施例示す。蓋は軽量であるの
で、上記実施例のようにプレートに穿孔した吸引口で直
接吸着することが十分にできるが、本実施例では吸引保
持手段を上下動する吸盤27を採用して、より確実に吸着
保持するようにした。

吸盤27はプレート26を貫通して上下動可能設けられた吸
盤保持筒28の下端に設けられている。吸盤保持筒28は、
１個又は複数個配置され、プレート上面から突出する上
部が取付け板29に固定され、該取付け板29をエアーシリ
ンダーやカム等適宜の上下動機構によって、コンベヤの
間欠動作と同期して昇降作動する。容器がプレート下部
に位置したとき、吸引保持手段は吸盤27を下降させて蓋
を吸着して上昇し、蓋と容器本体との間に隙間を開けた
状態に保持し、不活性ガス終了後再び下降して、蓋を容
器開口部に載置する。本実施例の他の構成は前記実施例
と同様である。本実施例のように吸盤を昇降させて蓋を
吸着するものは、蓋の表面に開口タブ等の突出物があっ
たりなどしても、吸盤の位置を変更させることによって
柔軟に対応できる利点がある。

効果 本考案の不活性ガス置換装置は、以上のように構成さ
れ、蓋吸引保持手段で蓋を持ち上げてから不活性ガスを
吹き込むので、落とし蓋等成形済みの蓋で容器開口部を
密封する成形容器用充填シール機等の自動充填ラインに
容易に適用でき、成形済蓋で密封する成形容器への不活
性ガス置換包装の実用化を可能にすることができた。そ
して、構造が簡単であるので安価に製作することが出
来、しかも効率良く高い置換率で容器内のガスを不活性
ガスに置換することができる等、実用上顕著な効果を奏
するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の不活性ガス置換装置の実施例を示すもの
であり、第１図はその側面図、第２図は第１図に示され
たプレートの平面図、第３図は本考案の不活性ガス置換
装置を適用した横型充填シール機の概略側面図、第４図
は他の実施例の側面図である。 1:成形容器、3:蓋、5:横型充填シール機、6:容器供給装
置、8:台車、9:充填機、10:蓋供給装置、15:不活性ガス
置換装置、16:膨出部、17,26:平板プレート、18:バキュ
ーム孔、20:不活性ガス吹き出し孔、22:第１シールヘッ
ド、23:第２シールヘッド、25:冷却プレス、27:吸盤

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】横型充填シール機の蓋供給装置とシール装
   置との間に設置され、内容物が充填されて開口部にあら
   かじめ成形された落し蓋状の蓋が載置された状態で蓋シ
   ール位置にコンベヤで搬送される広口の成形容器のヘッ
   ドスペース内のガスを不活性ガスに置換するための不活
   性ガス置換装置であって、前記内容物が充填された広口
   の成形容器に載置された落し蓋状の蓋を吸引して保持す
   る吸引保持手段と、該吸引保持手段が前記蓋を吸引保持
   したとき前記蓋の外周縁よりも外方に位置するように穿
   設され、上端が不活性ガス供給源に連設された不活性ガ
   ス吹き出し孔とが設けられたプレートを、前記コンベヤ
   で搬送される成形容器上面と近接するようにコンベヤ上
   方位置に配置してなることを特徴とする不活性ガス置換
   装置。
2. 【請求項２】前記吸引保持手段が、前記プレートの下面
   に前記成形蓋の表面凹部に嵌合できる範囲の面積を有す
   る膨出部を形成し、該膨出部にバキューム孔を形成し、
   該バキューム孔の上部をバキューム源に連結して構成さ
   れている実用新案登録請求の範囲第１項記載の不活性ガ
   ス置換装置。
3. 【請求項３】前記吸引手段が、下端に吸盤を有し上部が
   バキューム源に連結された吸盤保持筒を前記プレートに
   上下動可能に貫通して設け、該吸盤保持筒を上下動機構
   により上下動駆動するように構成されてなる実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の不活性ガス置換装置。