JPH0739050B2 - スパイラル管用切断装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 この発明は、可撓性コンジットパイプ等のスパイラル管
を切断するのに使用されるスパイラル管用切断装置に関
する。

〔背景技術〕 たとえば、横断面が段差形の長尺帯薄板をスパイラル状
に巻いて円筒形とした可撓形コンジットパイプ（スパイ
ラル管の一つ）は、電線被覆のために用いられている。
この可撓性コンジットパイプは中継ぎを行うため、一旦
切断したものを再び接合するようにしている。従来、そ
の切断装置として、手のこ切断機、フリクションソー切
断機、および、実開昭58-169911号公報に示されたよう
なメタルソー切断機がある。しかし、手のこ切断機およ
びフリクションソー切断機は、可撓性コンジットパイプ
を径方向に切断するようになっているため、パイプ接合
時に後加工が必要になったり、切断部に大きなバリがで
き、安全作業ができないという欠点があった。メタルソ
ー切断機は、可撓性コンジットパイプを軸方向に一部切
断するようになっているため、前述した問題はないが、
パイプが異なるごとに切断位置が変わったり、パイプ中
心線に対して切り口（切断線）が斜めになったりすると
いう欠点があった。

〔発明の目的〕

以上の事情に鑑みて、この発明は、中継ぎ作業が後加工
なしに安全に行え、中継ぎ時の接合精度を向上できるス
パイラル管用切断装置を提供することを目的としてい
る。

〔発明の開示〕

前記目的を達成するため、この発明は、長尺帯がスパイ
ラル状に巻かれて軸方向に一定のピッチで溝が形成され
たスパイラル管を保持する保持手段と、前記スパイラル
管の外周一側に配置されているカッタとを備え、前記カ
ッタがスパイラル管の一部を軸方向に切断するようにな
っているスパイラル管用切断装置において、前記保持手
段が、スパイラル管の外周一部を沿わせてカッタ位置に
対するスパイラル管の中心線位置の位置決めをするとと
もに、スパイラル管の溝と係合してカッタ位置に対する
スパイラル管の軸方向位置の位置決めをする位置決め手
段を備えていることを特徴とするスパイラル管用切断装
置をその要旨としている。

以下に、この発明を、その一実施例をあらわす図面を参
照しつつ詳しく説明する。

第１図（ａ）および（ｂ）は、この発明にかかるスパイ
ラル管用切断装置の一実施例を正面および右側面からみ
てあらわしている。このスパイラル管用切断装置は、装
置架台１を備えている。装置架台１は、基枠部２と、基
枠部２から立ち上がる立枠部３、および、基枠部２と立
枠部３を連結する補強枠部４と、基枠部２に水平に取り
付けられた棚部７とから構成されている。この装置架台
１の棚部７には、パイプホルダ５が立枠部３正面側の壁
面3aにその立面壁5aを沿わせるようにして載せられてい
る。このパイプホルダ５は、装置架台１と脱着できるよ
うになっている。パイプホルダ５は、壁面3aの長手方向
にその長手方向が適合するようにされている立面壁5a
と、この立面壁5aの上端から正面側へ向けて水平に突出
する上面壁5bと、台部5cとによって側面からみて略コ字
形の枠体となるように形成されている。前記上面壁5bに
は、カッタ侵入用のスリット６が形成されている。台部
5cは、スリット６下方まで伸びないように水平方向に短
く形成されている。このパイプホルダ５のコ字形内に
は、第２図（ａ），（ｂ）にみるように、スパイラル管
の一つである可撓性コンジットパイプＣが導入される。
パイプホルダ５の上面壁5b内面と台部5c上面との間の距
離Ｈは、導入される可撓性コンジットパイプＣの径サイ
ズＤに合わされている。したがって、パイプホルダ５内
に導入された可撓性コンジットパイプＣは、長手方向に
その外周３点がそれぞれパイプホルダ５の上面壁5b内
面、台部5c上面、および、立面壁5a内面に沿わされる。
そのため、同径サイズＤのものは、すべてその中心線Ｏ
が一定の位置になるように位置決めされる。このパイプ
ホルダ５は、可撓性コンジットパイプの径サイズに応じ
て設けられている。すなわち、径サイズが異なっても、
その径サイズ専用のパイプホルダが用意されている。

装置架台１の棚部７の長手方向の一端には、前記上面壁
5bのスリット６下方に対応するようにピッチ固定具８が
配置されている。ピッチ固定具８は、フレーム９と、こ
のフレーム９に上下できるように装備された係合片10
と、フレーム９に取り付けられていて係合片10を上下に
調整しロックすることのできる昇降ロック手段11からな
っている。前記係合片10は、装置の長手方向に向けて複
数個の突起10aを配置したものであり、これらの突起10a
は、第２図（ａ）にみるように、可撓性コンジットパイ
プＣの溝12内にそれぞれ係合するように同溝12間のピッ
チＰに対応したピッチをもって配列されている。各突起
10aの上端は、四角錐の形をしていて、溝12内に係合し
やすいようになっている。

装置架台１の正面側には棚部７に支持された押し付け具
13が配備されている。この押し付け具13は、支持フレー
ム14と、この支持フレーム14に回転自在に取り付けられ
ている押し付けアーム15と、この押し付けアーム15の上
端に取り付けられている押し付けパッド16を備えてい
て、連動レバー17による操作によって押し付けアーム15
を正面側からパイプホルダ５の方向へ回転し、押し付け
パッド16によって可撓性コンジットパイプＣの正面側の
外周を押し付けるようになっている。前記押し付けパッ
ド16は、可撓性コンジットパイプＣの長手方向に十分長
く接触して押し付けるようになっている。前記押し付け
具13には、押し付けパッド16が可撓性コンジットパイプ
の外周に当たった時点で押し付けアーム15をロックする
手段が設けられている。このロック手段は、連動レバー
17と、この連動レバー17と押し付けアーム15間の連動カ
ム（図示省略）と、可撓性コンジットパイプへの押し付
け力を過剰にせず一定以下に制御するばね（図示省略）
によって構成することができる。

立枠部３には、スイングアーム19が回転支軸20を介して
その自由端部を上下に揺動できるようにして設けられて
いる。このスイングアーム19の自由端部にはカッタ昇降
機構21が取り付けられている。このカッタ昇降機構21
は、ガイドフレーム22と、このガイドフレーム22に昇降
可能に取り付けられている防護用カバー24と、防護用カ
バー24の昇降調整を行うカッタ昇降用操作片23からなっ
ている。防護用カバー24には、カッタ軸受25と、回転式
のカッタ26と、ばねを備えたストッパシリンダ29と、こ
のストッパシリンダ29から下向きに突出していて出没で
きるようになっているストッパ片30とが配備されてい
る。カッタ26は、ハンドル28によって回転駆動されるよ
うになっているとともに、通常は、ストッパシリンダ29
に備わったばねの力により押し上げられていて、パイプ
ホルダ５からの可撓性コンジットパイプの取り出しを容
易にしている。前記ばね力に打ち勝ってカッタ26を押し
下げると、カッタ26は、スリット６を通してパイプホル
ダ５内に一部が進入するようになっている。この際、カ
ッタ26は、ストッパシリンダ29とストッパ片30とによっ
て、ある位置より下がらないようになされている。すな
わち、ストッパシリンダ29とストッパ片30とは、カッタ
26の可撓性コンジットパイプに向かう動きを制限するス
トッパ機構となっている。

第２図（ａ）および（ｂ）は、このスパイラル管用切断
装置に可撓性コンジットパイプＣがセッティングされた
状態をあらわしている。このスパイラル管用切断装置に
可撓性コンジットパイプＣをセッティングするには、ま
ず、セッティングしようとする可撓性コンジットパイプ
Ｃの径サイズＤに応じたパイプホルダ５を装置架台１に
設置しておく。設置に際しては、装置架台１の立枠部３
の壁面3aにパイプホルダ５の立面壁5aを沿わせるように
するとともに、ピッチ固定具８のフレーム９にパイプホ
ルダ５の台部5c一端面を当てるようにする。このように
して、カッタ26位置に対するパイプホルダ５位置の位置
決めがされ、スリット６がカッタ26の下方にくるように
される。つぎに、カッタ26位置に対する位置決めがされ
たパイプホルダ５のコ字形空間内に正面側から可撓性コ
ンジットパイプＣを導入する。前述したように、パイプ
ホルダ５に導入された可撓性コンジットパイプＣは、パ
イプホルダ５によってその中心線Ｏが一定の位置になる
ようにされるため、カッタ位置に対する可撓性コンジッ
トパイプＣの中心線Ｏ位置の位置が規定されるようにな
る。ここでは、カッタ26の動く軌跡線上に可撓性コンジ
ットパイプＣの中心線Ｏが合致するようにされている。
すなわち、パイプホルダ５は、カッタ位置に対する可撓
性コンジットパイプの中心線位置の位置決めをする位置
決め手段となっている。その後、ピッチ固定具の係合片
10を上昇させ、第３図にもみるように、可撓性コンジッ
トパイプＣの溝12に係合片10の突起10aが嵌まり込むよ
うにして、カッタ位置に対する可撓性コンジットパイプ
Ｃの軸方向位置の位置決めを行う。すなわち、ピッチ固
定具８は、カッタ位置に対する可撓性コンジットパイプ
の軸方向位置の位置決めを行う位置決め手段となってい
る。このようにして、位置決めされた可撓性コンジット
パイプＣは、押し付け具13の押し付けパッド16でその外
周一側を押されて、パイプホルダ５に押し付けられ固定
される。この押し付け具13および前記位置決め手段は、
可撓性コンジットパイプを保持する保持手段となってい
る。以上のようにして、可撓性コンジットパイプＣは、
セッティングされる。

セッティングが完了すると、第４図（ａ）および（ｂ）
にみるように、カッタ26を、ストッパ機構によって止め
られるところまで下げて、スリット６内に進入させるよ
うにし、カッタ26をハンドル28によって回転駆動させ
て、コンジットパイプＣの一部をその軸方向に向けて切
断するようにする。第５図（ａ）はコンジットパイプＣ
がカッタ26によって切断される様子をあらわしている。

以上にみてきたように、このスパイラル管用切断装置
は、可撓性コンジットパイプの外周の一部を沿わせてカ
ッタ位置に対する可撓性コンジットパイプの中心線位置
の位置決めをするとともに、可撓性コンジットパイプの
溝と係合してカッタ位置に対する可撓性コンジットパイ
プの軸方向位置の位置決めをする位置決め手段を備えて
いるので、切断位置が一定となり、切断線が斜めになる
ことなく、第５図（ｂ）に示したように、θ＝一定とな
って、接合時の接合精度の向上ができる。しかも、この
スパイラル管用切断装置は、可撓性コンジットパイプを
軸方向に切断するようになっているため、切断部に大き
なバリができず、後加工せずとも安全に中継ぎ作業を行
うことができる。さらに、このスパイラル管用切断装置
では、カッタの可撓性コンジットパイプに向かう動きが
制限されるように、ストッパ機構が設けられているの
で、切り込み深さ、つまり、第５図（ａ）にみるよう
に、切り口（切断線）32の長さＷを一定にすることがで
き、内周部C₁と外周部C₂との断面における連続した部分
を主な対象として切断され、余分な部分の切断が行われ
なくなる。そのため、中継ぎ後の可撓性コンジットパイ
プの外観が向上する。このスパイラル管用切断装置にお
いて、可撓性コンジットパイプの固定は、長手方向に長
い押し付けパッド16を有する押し付け具13によってなさ
れている。従来の切断装置である実開昭58-169911号公
報記載のものでは、その固定をボルトによって行ってい
た。そのため、可撓性コンジットパイプの外観にきずや
へこみをつけるという問題があった。これに対し、この
スパイラル管用切断装置では、押し付けパッド16によっ
て広範囲に軽い力で固定されるので、きずやへこみをつ
けることがないのである。なお、可撓性コンジットパイ
プのようなものでは、軸方向に伸びたり縮んだりするこ
とがあるが、このスパイラル管用切断装置では、可撓性
コンジットパイプの溝12に係合片10の突起10aを軸方向
に複数個嵌め込むようになっているため、前記係合片10
で可撓性コンジットパイプの伸び縮みを抑えることがで
き、可撓性コンジットパイプの伸び縮みによる切断長さ
の変動をなくすことができる。

可撓性コンジットパイプがサイズの異なる、たとえば細
い径ｄのものに対しては、第６図にみるように、パイプ
ホルダ５を可撓性コンジットパイプＣ′の径サイズｄに
対応した小さいサイズ用のパイプホルダ５に取り替える
ようになっている。これにより、径サイズが変わっても
前記径サイズがＤの可撓性コンジットパイプＣと同様に
精度よく切断できるのである。なお、パイプサイズの変
更に際しては、昇降ロック手段11により係合片10を上下
に動かして、可撓性コンジットパイプの溝への係合片の
突起の嵌まり込みを調整するとともに、カッタ昇降機構
21によりカッタ26を上下に動かして、カッタ26が可撓性
コンジットパイプに対して常に同じ進入角を得るように
調整するようにする。カッタ26を上下に位置調整するよ
うにすれば、径サイズが異なっても切断長さを一定にす
ることができ、余分な部分の切断をなくすことができ
る。

この発明にかかるスパイラル管用切断装置は、前記実施
例に限定されない。前記実施例では、スパイラル管とし
て可撓性コンジットパイプを例にあげて説明したが、切
断されるスパイラル管はこれに限られるものではない。
パイプホルダに係合片の突起を備えていて、このパイプ
ホルダがカッタ位置に対するスパイラル管の中心線位置
の位置決めを行うとともにカッタ位置に対するスパイラ
ル管の軸方向位置の位置めも行うようになっていてもよ
い。ピッチ固定具の係合片は、スパイラル管の溝ピッチ
に応じて取り替えられるようになっていれば、異なるピ
ッチのスパイラル管の切断も可能になる。

〔発明の効果〕

以上にみてきたように、この発明にかかるスパイラル管
用切断装置は、長尺帯がスパイラル状に巻かれて軸方向
に一定のピッチで溝が形成されたスパイラル管を保持す
る保持手段と、前記スパイラル管の外周一側に配置され
ているカッタとを備え、前記カッタがスパイラル管の一
部を軸方向に切断するようになっているスパイラル管用
切断装置において、前記保持手段が、スパイラル管の外
周一部を沿わせてカッタ位置に対するスパイラル管の中
心線位置の位置決めをするとともに、スパイラル管の溝
と係合してカッタ位置に対するスパイラル管の軸方向位
置の位置決めをする位置決め手段を備えていることを特
徴としているので、中継ぎ作業が後加工の必要なしに安
全に行え、中継ぎ時の接合精度を向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明にかかるスパイラル管用切断装置の一
実施例をあらわしていて、同図（ａ）はその正面図、同
図（ｂ）はその右側面図、第２図は前記実施例に可撓性
コンジットパイプをセットした状態をあらわしていて、
同図（ａ）はその要部正面図、同図（ｂ）はその要部右
側面図、第３図は第２図（ｂ）の一部拡大断面図、第４
図は前記実施例による可撓性コンジットパイプのカッテ
ィング状態をあらわしていて、同図（ａ）はその要部正
面図、同図（ｂ）はその要部右側面図、第５図（ａ）は
可撓性コンジットパイプとカッタとの位置関係をあらわ
す拡大図、第５図（ｂ）は前記実施例によって切断され
た可撓性コンジットパイプをあらわす平面図、第６図は
前記実施例に異なる径サイズの可撓性コンジットパイプ
をセットした状態をあらわしていて、同図（ａ）はその
要部正面図、同図（ｂ）はその要部右側面図である。 ５……パイプホルダ、８……ピッチ固定具、12……可撓
性コンジットパイプの溝、13……押し付け具、26……カ
ッタ、29……ストッパシリンダ（ストッパ機構）、30…
…ストッパ片（ストッパ機構）、C,C′……可撓性コン
ジットパイプ（スパイラル管）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】長尺帯がスパイラル状に巻かれて軸方向に
   一定のピッチで溝が形成されたスパイラル管を保持する
   保持手段と、前記スパイラル管の外周一側に配置されて
   いるカッタとを備え、前記カッタがスパイラル管の一部
   を軸方向に切断するようになっているスパイラル管用切
   断装置において、前記保持手段が、スパイラル管の外周
   一部を沿わせてカッタ位置に対するスパイラル管の中心
   線位置の位置決めをするとともに、スパイラル管の溝と
   係合してカッタ位置に対するスパイラル管の軸方向位置
   の位置決めをする位置決め手段を備えていることを特徴
   とするスパイラル管用切断装置。
2. 【請求項２】位置決め手段が、スパイラル管の外周一部
   を沿わせてカッタ位置に対するスパイラル管の中心線位
   置の位置決めをするパイプホルダと、スパイラル管の溝
   と係合してカッタ位置に対するスパイラル管の軸方向の
   位置決めをするピッチ固定具とからなり、前記パイプホ
   ルダがスパイラル管の径サイズに応じて設けられてい
   て、これらが脱着交換可能なようになっている特許請求
   の範囲第１項記載のスパイラル管用切断装置。
3. 【請求項３】カッタのスパイラル管に向かう動きが制限
   されるように、ストッパ機構が設けられている特許請求
   の範囲第１項または第２項記載のスパイラル管用切断装
   置。