JPH0738713Y2 - タンデムポンプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は、同一回転軸心線上に複数のポンプユニットを
縦列して形成したタンデムポンプに係り、特に軸方向の
ポンプ全長を短縮し、構造を簡素にすることができるタ
ンデムポンプに関する。

《従来の技術》 従来、この種のタンデムポンプは、例えば第３図に示す
ように構成される。すなわちタンデムポンプ１は、フロ
ントボディ２と、センターボディ３と、リアカバー４と
から成るハウジング５内に２基のポンプユニット6,7を
直列に配置して構成される。各ポンプユニット6,7は共
用する回転軸８に嵌着されたロータ9a,9bと、このロー
タ9a,9bに放射状に設けられているベーン10a,10bと、こ
のベーン10a,10bの先端が摺接するカムリング11a,11b
と、上記ロータ9a,9bおよびカムリング11a,11bを囲むサ
イドプレート18a,18bとから構成される。フロントボデ
ィ２およびセンターボディ３にはそれぞれ吸入孔12a,12
bが設けられ、図示しないリザーバからの油路パイプ13
が上記吸入孔12a,12bに接続される。各吸入孔12,12b
は、それぞれ吸入路14a,14bを経て、各ポンプユニット
6,7の吸込側に連通している。

また、フロントボディ２およびセンターボディ３にはそ
れぞれ、各ポンプユニット6,7の流量制御部15a,15bが配
設され、流量制御部15a,15bの吸入側はドレーン油路19
a,19bを介して各ポンプユニット6,7の高圧室16a,16bに
連通される一方、吐出側が吸入路14a,14bに連通され
る。

かかる構成において回転軸８の駆動によって、ロータ9
a,9bを回転させると、図示しないリザーバに貯留された
作動油は、油路パイプ13、吸入孔12a,12b、吸入路14a,1
4bを通り各ポンプユニット6,7のポンプ室17a,17bに導入
され、さらにロータ9a,9bおよびベーン10a,10bによって
加圧され、高圧室16a,16bおよび流量制御部15a,15bを経
て、各油圧流体機器に供給される。

《考案が解決しようとする課題》 しかしながら上記従来の構造のタンデムポンプでは、ほ
ぼ同一形状を有するフロントボディおよびセンターボデ
ィのほぼ同位置にそれぞれ独立して流量制御部、吸入
孔、サイドプレート、ロータを配設し、また吸入路につ
いても作動油が同方向から各ポンプユニットに流れるよ
うに配設していたため、各部品の幅および余裕しろが加
算されポンプ全体の軸方向の長さが大きくなりレイアウ
ト決定に支障をきたす場合があった。

また各ポンプユニット用の流量制御部は、それぞれフロ
ントボディとセンターボディという別個の部品に装着さ
れるため、流量制御部の収容穴の同時加工が不可能であ
り加工工数が高くなる欠点があった。

さらに各流量制御部は高圧室に近接して配設されていた
ため、流量制御部と高圧室とを結ぶドレーン油路が短い
ために整流作用が充分でなく、高圧の作動油によって騒
音や振動が発生しやすく該部の耐久性が低下するという
問題点もあった。

本考案は上記の問題点を解決するためになされたもので
あり、ポンプ全体の軸方向の長さを短縮して小型化する
ことが可能であり、また構造が簡単で加工しやすいタン
デムポンプを提供することを目的とする。

《課題を解決するための手段》 上記目的を達成するため、本考案は、回転軸を共有する
ように軸心線上に縦列した２基のポンプユニットを、フ
ロントカバー、センタボディー、リアカバーより成るハ
ウジング内に収容し、前記ポンプユニットの吐出量の一
部をポンプユニットの吸込側に還流させ、外部への吐出
量を制御する流量制御部を各ポンプユニットに対応して
２基ハウジング内に設けたタンデムポンプであって、前
記センタボディの中央部に仕切壁を設け、この仕切壁に
隣接して、該仕切壁の両側に各ポンプユニットの高圧室
を形成するとともに、各ポンプユニットの流量制御部を
相互に他のポンプユニット外周部に配設させたことを特
徴とする。

《作用》 上記構成に係るタンデムポンプによれば、センターボデ
ィ中央部に仕切壁を設け、この仕切壁の両側に各ポンプ
ユニットの高圧室を設け、この高圧室をはさんで対向す
るように各ポンプユニットをコンパクトにセンターボデ
ィ内部に収容しているため、ハウジングの幅方向の長さ
を大幅に短縮することが可能となり、タンデムポンプを
小型にすることが可能であり、配置上の自由度を大幅に
高めることができる。

さらに各ポンプユニットの流量制御部が相互に他のポン
プユニット外周部のセンターボディ壁内に配設されてい
るため、流量制御部からのドレーン油路の全長および吸
入路の全長を大きく設定することが可能となる。従っ
て、高速で流れる作動油に対して整流作用が発揮され、
キャビテーションによる騒音や乱流による振動の発生が
抑制され、部品の耐久性を著しく向上させることができ
る。

また仕切壁の両側に各ポンプユニットの高圧室を配設し
ているため、仕切壁の両側面にはほぼ等しい吐出圧が作
用する。このため吐出圧力差による仕切壁の変形が少な
く、ロータのかじりによる焼付事故を発生するおそれが
少ない。

《実施例》 次に本考案の一実施例について添付図面を参照して説明
する。第１図は本考案に係るタンデムポンプの一実施例
を示す断面図である。

すなわち本実施例に係るタンデムポンプ20は、回転軸21
を共有するように軸心線上に縦列した２基のポンプユニ
ット22a,22bを、フロントカバー23、センターボディ2
4、リアカバー25より成るハウジング26内に収容し、各
ポンプユニット22a,22bの流量制御部27a,27bと、この流
量制御部27a,27bとポンプユニット22a,22bの吸込側とを
連通する吸入路28a,28bとを備えたタンデムポンプ20に
おいて、センターボディ24の中央部に仕切壁29を設け、
この仕切壁29の両側に各ポンプユニット22a,22bの高圧
室30a,30bを形成するとともに、各ポンプユニット22a,2
2bの流量制御部27a,27bを相互に他のポンプユニット22
a,22b外周部のセンターボディ24壁内に配設して構成さ
れる。

また各ポンプユニット22a,22bは、回転軸21に嵌着され
たロータ31a,31bと、このロータ31a,31bに放射状に配設
されているベーン32a,32bの先端が摺接するカムリング3
3a,33bとから構成される。ポンプユニット22aはフロン
トカバー23と、サイドカバー34aとの間に配設され、ポ
ンプユニット22bはリアカバー25と、サイドカバー34bと
の間に配設される。

さらに回転軸21はフロントカバー23の端部において、軸
受35を介して回転自在に支持され、軸受35に隣接してオ
イルシール36が介装されている。

また各流量制御部27a,27bは、高圧室30a,30bから導出さ
れるドレーン油路37a,37bとポンプ吸込側に連通する吸
入路28a,28bとの間の設けられる。

図示しないリザーバから２系列の油路パイプ38a,38bを
通り吸入孔39a,39bを経て吸入路28a,28bに導入された作
動油は、流量制御部27a,27bより吐出された一部の高圧
作動油と合流し、ポンプユニット22a,22bにそれぞれ送
給される。各ポンプユニット22a,22bに導入された作動
油は、ロータ31a,31bおよびベーン32a,32bによって加圧
され、高圧室30a,30bおよび流量制御部27a,27bを経て各
油圧流体機器に供給される。流量制御部27a,27bは、高
圧室30a,30bに集合した吐出油のうち余剰分の吐出油を
低圧吸入路28a,28bに戻すことにより、各油圧流体機器
に供給する作動油の流量を一定に制御する。

本実施例に係るタンデムポンプ20によれば、センターボ
ディ24の中央部に仕切壁29を設け、その両側に各ポンプ
ユニット22a,22bの高圧室30a,30bを設け、この高圧室30
a,30bをはさんで対向するように各ポンプユニット22a,2
2bをコンパクトにセンターボディ24内に収容しているた
め、ハウジング26の軸方向の長さが短縮され、タンデム
ポンプの小型化が図れ、配置上の自由度を大幅に高める
ことができる。

また双方のポンプユニット22a,22bの流量制御部27a,27b
をともにセンターボディ24壁内に配設しているため、流
量制御部27a,27bの収容穴の加工を同時に実施すること
が可能であり、製作工数を低減することができる。

さらに各ポンプユニット22a,22bの流量制御部27a,27bが
相互に他のポンプユニット外周部のセンターボディ24壁
内に配置されているため、流量制御部27a,27bからのド
レーン油路37a,37bおよび吸入路28a,28bの全長を長くと
ることが可能となり、高速で流れる作動油に対して整流
作用が発揮される結果、騒音や振動の発生が抑制され
る。

次に本考案の他の実施例について第２図を参照して説明
する。なお、第１図に示す実施例と同一要素には同一符
号を付して重複した説明を省略する。

本実施例に係るタンデムポンプ20aはセンターボディ24a
の中央部に仕切壁29aを設け、一方のポンプユニット22a
用の流量制御部27aの２次側の吸入路28aと、他方のポン
プユニット22b用の流量制御部27bの２次側の吸入路28b
とを連通する連通油路40を設け、この連通油路40を上記
仕切壁29a内に設けて構成したものである。

このように構成することによって、一方のポンプユニッ
ト22aの流量制御部27aから吐出された高圧の余剰油が、
吸入孔39aから導入された作動油と合流して一方のポン
プユニット22aにスーパチャージされる。またスーパチ
ャージされた作動油の一部は連通油路40を通り、他方の
ポンプユニット22bの吸入路28bにスーパチャージされ
る。

本実施例によれば、縦列した２基のポンプユニット22a,
22bに対して１つの吸入孔39aによりリザーバからの作動
油の供給がなされるため、リザーバと吸入孔39aとを結
ぶ配管が簡素化され、ポンプ全体が小型化される。すな
わちタンデムポンプ20aをコンパクトに構成することが
可能となり、取付上の自由度を増すことができる。

《考案の効果》 以上説明の通り本考案に係るタンデムポンプによれば、
センターボディ中央部に仕切壁を設け、この仕切壁に隣
接して、仕切壁の両側に各ポンプユニットの高圧室を設
け、この高圧室をはさんで対向するように各ポンプユニ
ットをコンパクトにセンターボディ内部に収容している
ため、ハウジングの軸方向の長さを大幅に短縮すること
が可能となり、タンデムポンプを小型にすることが可能
であり、配置上の自由度を大幅に高めることができる。

さらに各ポンプユニットの流量制御部が相互に他のポン
プユニット外周部のセンターボディ壁内に配設されてい
るため、流量制御部からのドレーン油路の全長および吸
入路の全長を大きく設定することが可能となる。従っ
て、高速で流れる作動油に対して整流作用が発揮され、
キャビテーションによる騒音や乱流による振動の発生が
抑制され、部品の耐久性を著しく向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係るタンデムポンプの一実施例を示
す断面図、第２図は、本考案の他の実施例を示す断面
図、第３図は従来のタンデムポンプの構成例を示す断面
図である。 20…タンデムポンプ、21…回転軸、22a,22b…ポンプユ
ニット、23…フロントカバー、24…センターボディ、25
…リアカバー、26…ハウジング、27a27b…流量制御部、
28a,28b…吸入路、29a,29b…仕切壁、30a,30b…高圧
室。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回転軸を共有するように軸心線上に縦列し
   た２基のポンプユニットを、フロントカバー、センタボ
   ディー、リアカバーより成るハウジング内に収容し、前
   記ポンプユニットの吐出量の一部をポンプユニットの吸
   込側に還流させ、外部への吐出量を制御する流量制御部
   を各ポンプユニットに対応して２基ハウジング内に設け
   たタンデムポンプにおいて、前記センタボディの中央部
   に仕切壁を設け、この仕切壁に隣接して、該仕切壁の両
   側に各ポンプユニットの高圧室を形成するとともに、各
   ポンプユニットの流量制御部を相互に他のポンプユニッ
   ト外周部に配設させたことを特徴とするタンデムポン
   プ。
2. 【請求項２】一方のポンプユニット用の流量制御部の２
   次側の吸入路と、他方のポンプユニット用の流量制御部
   の２次側の吸入通路とを連通する連通油路を、仕切り壁
   内に設けたことを特徴とする請求項（１）記載のタンデ
   ムポンプ。