JPH0738648U - 内燃機関用ピストン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンパクト化及び軽量化が図れる内燃機関用
ピストンを提供する。 【構成】 ピストン本体１における少くとも冠面４とリ
ング溝部５，６，７の内面とランド部８，９，１０の表
面とに陽極酸化被膜層１３を形成した内燃機関用ピスト
ンにおいて、冠面４における陽極酸化被膜層１３はピス
トン本体１におけるピストンピン孔１２のピストンピン
支持部１２ａの投影範囲Ｓを除く部位に形成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、アルミニウム合金製の内燃機関用ピストンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種の内燃機関用ピストンには、特開昭６３−２８９３７０号公報に 記載されたものがある。

【０００３】 このピストンでは、ピストン本体における冠面，ランド部の表面，リング溝部 の内面，ピンボス部のピストンピン孔の壁面及びスカート部の摺動面に硬質アル マイト処理による陽極酸化被膜層を形成している。

【０００４】 前記ランド部の表面，スカート部の摺動面についてはシリンダ壁面との間、前 記リング溝部の内面については該リング溝部に挿入したリングとの間、また前記 ピストンピン孔の壁面については該ピストンピン孔に挿入したピストンピンとの 間で問題となるスカッフィングや摩耗等の発生を防止するために陽極酸化被膜層 を形成し、また、前記冠面については燃焼熱による荒れの防止等のために陽極酸 化被膜層を形成している。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、陽極酸化被膜層はこれを形成した面を保護すると同時に、該面を硬 くしてその伸び，粘りを失わせる。前記ランド部の表面，スカート部の摺動面， リング溝部の内面及びピストンピン孔の壁面については伸び，粘りが失われても 、ピストン本体の強度に大きく関わるようなことはない。しかしながら、前記冠 面については伸び，粘りが失われると、内燃機関の爆発・膨張行程で、冠面に燃 焼圧力が作用し、かつ、ピストンピン孔のピストンピン支持部にピストンピン， コネクティングロッドを介してクランクシャフトの回転抵抗が作用した場合に、 ピストン本体を構成するクラウン部におけるピストンピン孔のピストンピン支持 部に対応した部位に応力集中が生じて、高温疲労強度が低下するおそれがある。

【０００６】 この考案は上記課題を解決するためになしたもので、その目的とするところは 、高温疲労強度を向上させることができる内燃機関用ピストンを提供することに ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、この考案は、ピストン本体における少くとも冠面 とリング溝部の内面とランド部の表面に陽極酸化被膜層を形成した内燃機関用ピ ストンにおいて、前記冠面における前記陽極酸化被膜層は、前記ピストン本体に おけるピストンピン孔のピストンピン支持部の投影範囲を除く部位に形成したも のである。

【０００８】

【作用】

上記構成によれば、冠面におけるピストンピン孔のピストンピン支持部の投影 範囲に伸び、粘りを維持して、ピストン本体の高温疲労強度を向上させる。

【０００９】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図面により説明する。

【００１０】 図１（１）はこの考案の一実施例による内燃機関用ピストンを示す断面図、（ ２）は同ピストンの平面図である。

【００１１】 図において１はアルミニウム合金製のピストン本体で、クラウン部２とスカー ト部３とで構成されている。クラウン部２の頂部には、図示しない燃焼室を構成 する冠面４が形成され、該クラウン部２の外周部には複数のリング溝部５，６， ７が形成されて複数のランド部８，９，１０が隔成されている。また、前記スカ ート部３には、図示しないピストンピンを支持するピンボス部１１が形成されて いる。

【００１２】 そして、前記リング溝部５，６，７の内面と、前記ランド部８，９，１０の表 面と、ピンボス部１１のピストンピン孔１２の壁面と、スカート部３の摺動面と 、冠面４における前記ピストンピン孔１２のピストンピン支持部１２ａの投影範 囲Ｓを除く部位とには硬質アルマイト処理による陽極酸化被膜層１３が形成され ている。

【００１３】 以上の構成において、冠面４におけるピストンピン孔１２のピストンピン支持 部１２ａの投影範囲Ｓに陽極酸化被膜層１３を形成しないことで、該投影範囲Ｓ に伸び、粘りを維持して、クラウン部２におけるピストンピン孔１２のピストン ピン支持部１２ａに対応した部位に生じる応力集中を緩和する。これによって、 冠面４の全面に陽極酸化被膜層１３を形成した従来の場合に比べてピストン本体 １の高温疲労強度を向上させて、ピストン本体１のコンプレッションハイトを短 縮することを可能とする。

【００１４】 また、陽極酸化被膜層１３が有する低熱伝達性により燃焼室からピストン本体 １への熱伝達を遮断して、熱損失を防止し、燃費を向上させることを可能とする 。

【００１５】 更に、ピンボス部１１のピストンピン孔１２の壁面及びスカート部３の摺動面 における陽極酸化被膜層１３の表面の凹凸面にオイルの油膜を張って、耐摩耗性 および耐スカッフィング性を向上させ、特にスカート部３とシリンダ壁面との間 の摩擦を低減させることを可能とする。

【００１６】 また、陽極酸化被膜層１３が有する優れた耐摩耗性によりリング溝部５，６， ７の上下面やランド部８，９，１０の表面を保護して、摩耗、へたり等を少なく する。

【００１７】

【考案の効果】 以上の通り、この考案は、ピストン本体における少くとも冠面とリング溝部の 内面とランド部の表面とに陽極酸化被膜層を形成した内燃機関用ピストンにおい て、前記冠面における前記陽極酸化被膜層は、前記ピストン本体におけるピスト ンピン孔のピストンピン支持部の投影範囲を除く部位に形成したため、冠面にお けるピストンピン孔のピストンピン支持部の投影範囲に伸び、粘りを維持して、 ピストン本体の高温疲労強度を向上させることができることから、従来に比べて ピストン本体のコンプレッションハイトを短縮してピストン本体のコンパクト化 及び軽量化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（１） この考案の一実施例になる内燃機関用
ピストンを示す断面図である。 （２） 同ピストンの平面図である。

【符号の説明】

１ ピストン本体 ４ 冠面 ５，６，７ リング溝部 ８，９，１０ ランド部 １１ ピンボス部 １２ ピストンピン孔 １２ａ ピストンピン支持部 １３ 陽極酸化被膜層 Ｓ 投影範囲

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ピストン本体における少くとも冠面とリ
   ング溝部の内面とランド部の表面とに陽極酸化被膜層を
   形成した内燃機関用ピストンにおいて、前記冠面におけ
   る前記陽極酸化被膜層は、前記ピストン本体におけるピ
   ストンピン孔のピストンピン支持部の投影範囲を除く部
   位に形成したことを特徴とする内燃機関用ピストン。