JPH0737682B2 - 摩擦防融性に優れたポリエステル繊維及びその製造法 - Google Patents

摩擦防融性に優れたポリエステル繊維及びその製造法

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JPH0737682B2
JPH0737682B2 JP61101530A JP10153086A JPH0737682B2 JP H0737682 B2 JPH0737682 B2 JP H0737682B2 JP 61101530 A JP61101530 A JP 61101530A JP 10153086 A JP10153086 A JP 10153086A JP H0737682 B2 JPH0737682 B2 JP H0737682B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は良好な摩擦防融性を有するポリエステル繊維並
びにその製造法に関するものであり、更に詳細にはポリ
エステル繊維中にある特定の状態で有機ポリシロキサン
が含有されている摩擦防融性に顕著な効果を有するポリ
エステル繊維並びにその製造法に関するものである。
(従来の技術) ポリエステル繊維は、その優れた寸法安定性、耐薬品
性、強度、耐久性などの点から、衣料素材として不可欠
のものとなつている。しかしながら、使用用途によつて
は表面特性が十分でないため品質改良が望まれていた。
特に、スポーツウエアー等の場合は激しい運動にも十分
に耐える性能を備えた繊維でなければならず、従来のポ
リエステル繊維はスライデイングなどの場合に過度の摩
擦力が繊維に加えられた時穴があいてしまつたりする欠
点が出やすかつた。
これを改良する手段としては、一般的には後加工法によ
り布帛表面へシリコン系の加工剤を処理して摩擦抵抗を
低下させ、摩擦発熱を低くおさえる方法が行なわれてい
た。この方法では、初期の性能はまずまず発揮される
が、耐久性という点で満足なレベルには至らないことが
わかつている。特に長期間着用していると繊維表面の後
加工の脱落が進み、最後には通常ポリエステル繊維並に
低下してしまう問題が発生していた。また洗たく回数が
増えた場合も同様の好ましくない現象が発生する問題が
起つた。また後加工タイプのシリコンは、乳化用活性剤
が含まれていることから分散染料を移行昇華させやす
く、問題が発生するケースが多かつた。
このような状況から、染色堅牢性を低下させず耐久性の
ある摩擦防融性能を有するポリエステル繊維の開発がト
レーニングウエア等のスポーツ衣装分野からの要求が強
まつていた。
本発明者はこの問題の解決のため鋭意検討した結果、高
粘度有機シリコーン化合物を特定の分散状態で含有した
ポリエステル繊維とすることで解決できることを見出し
たものである。
ところで、有機ポリシロキサンをポリエステル繊維表面
に付着させずにポリエステルポリマー中に含有させ、種
々の耐久性を有する改質の検討も多く行なわれている。
ポリエステル繊維の白度改良結果を見い出した特公昭43
-1778号、引張り結節強度と衝撃結節強度の改良を行な
つた特開昭60-194118号、表面摩耗性向上を狙つた特開
昭60-104521号、撥水性ポリエステル繊維を狙つた特開
昭61-12914号、表面滑性の改良を狙つた特開昭50-75241
号等の数多くのポリエステルと有機ポリシロキサン組成
物に関しての知見が知られている。
しかしながら、有効な耐久性のある摩擦防融性を付与さ
せるために、有機ポリシロキサンをポリエステル繊維中
へいかなるものを、いかなる状態で分散含有させたらよ
いのか、といつた認識も、したがつてまたそのための具
体的な手段についても知られていなかつた。
(発明が解決しようとする問題点) 即ち本発明の課題は、摩擦防融剤を繊維の表面に付着さ
せる従来の後加工法の前記欠点を根本的に解決するため
に、摩擦防融剤を繊維内部へ含有させた繊維とする場合
に、実効のある繊維とするためには、いかなる物を用
い、いかなる構成、条件としたらよいのかという点にあ
り、本発明はこの点を究明したものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、有機ポリシロキサンを1.0重量%以上、10重
量%以下となるようにポリエステル中へ含有させ、かつ
該有機ポリシロキサンの分散状態が、見かけ上島状態の
独立相を形成し、その上繊維断面の外層部が微細島状態
で内層部がそれより大きい島状態を形成し、しかも外周
部に高濃度分散状態を呈し、なおかつ島と島が完全に分
離した状態ではなく断面方向に島と島を結ぶ連絡路をラ
ンダムに有する状態で分散していることを特徴とするポ
リエステル繊維である。そしてまた本発明は、このよう
な繊維を得る方法として、特に、高粘度の有機ポリシロ
キサンを用い、これをポリエステルポリマーの重合完了
後紡糸直前の間で、該ポリエステルポリマーの溶融流体
中へ添加し、その後15エレメント以上のスタチツクミキ
アーで層分割混練した後、ノズル孔直径D、ランド長L
とした時L/Dが2.0以上となるノズル孔より吐出し、繊維
化するもので、この方法によつて上記繊維を実現させた
ものである。
本発明でいう有機ポリシロキサンとしては各種の有機シ
リコーン化合物を用いることが可能であるが、ポリエス
テルの紡糸温度において揮発しにくいものが好適であ
る。特に、150℃で24時間加熱処理した際の減量率が1
%以下のものが好ましい。具体例としては、ジメチルポ
リシロキサン、ジフエニルポリシロキサン、メチルフエ
ニルポリシロキサンなどを単独または混合使用すること
ができる。
有機ポリシロキサンの粘度は、25℃以下で10,000センチ
ストークス以上、好ましくは30,000センチストークスか
ら100,000センチストークスのものがよい。粘度が10,00
0センチストークスより低いものになると、摩擦防融性
の効果があまり発現しなくなり、高含有にしなければ摩
擦防融性が発揮されてこないことがわかつた。有機ポリ
シロキサン粘度が高い方が摩擦防融性に効果があり、特
に30,000センチストークス以上では飛躍的に効果が向上
することがわかつた。このことは今迄知られていなかつ
た事実であり、ポリエステル内部へ含有させる方式で摩
擦防融性を発現させることを種々検討した結果明らかに
なつた。
なぜ高粘度有機ポリシロキサンが際立つた効果をしめす
のかは、現時点では明確に解明されてはいないが、おそ
らく、ポリエステルポリマー中へ含有させた時の分散状
態が、後述するような摩擦防融性を顕著な効果を発揮す
る海島状態を形成しやすいためと推定される。
また有機ポリシロキサン粘度が低くなるとポリエステル
との相分離が一層進行し、紡糸性、延伸性が著しく低下
するのみならず、ポリエステル中へ含有した有機ポリシ
ロキサンが繊維製品を製造する工程での熱履歴を受ける
過程で、繊維表面へ移行が進み、繊維製品風合上好まし
くないのみならず、肝心の摩擦防融性の耐久性が著しく
低下してしまうことがわかつた。
プラスチツク材料関係では、表明摩擦係数を軽減させる
ため有機ポリシロキサンを配合する例は多くあるが、有
機ポリシロキサン粘度が低くなると表面へのブリード性
が大きくなることが報告されており〔M.P.L.Hill,eta
l.,Advances in polymer friction and wear,ACS Sympo
sium,Plenum Press,469('74)〕、これと同様の現象が
本発明の検討過程で発生してきたと考えられた。
逆に、有機ポリシロキサンの粘度が高くなるほど、摩擦
防融性の効果は大きくなりかつ耐久性も良好になつてく
るが、10万センチストークスを越えると粘度が大きくな
りすぎ、作業上取扱性が著しく悪くなり好ましくない。
有機ポリシロキサンを含有したポリエステルの有機ポリ
シロキサンの配合量は、化合物の量として1.0重量%以
上、10重量%以下になるようにする必要があり、更に好
ましくは2.0重量%以上、8重量%以下になるようにす
る必要がある。含有量が1.0重量%未満では、コスト的
には好ましいが摩擦防融性の効果が十分とは言えないレ
ベルとなり好ましくない。10重量%を越えると摩擦防融
性の効果は含有量と比例して向上するが、繊維化する工
程性が極端に低下してくる。特に繊維の単糸デニールが
1.5デニール以下になると紡糸時の単糸切れ、延伸時の
羽毛発生が多発し、合格率が著しく悪くなり、1.5デニ
ールでは合格率が約70%以下、1.0デニールでは合格率
が約50%以下にまで低下し、生産性が非常に悪くなり好
ましくない。また有機ポリシロキサンが高含有量になる
程原料費が上昇しコストアップが大きくなりすぎ、総合
的に判断して含有量が10%以下に抑えることが好ましい
という結論に達つした。
本発明に言うポリエステル繊維とは、例えばテレフター
ル酸、イソフタール酸、ナフタリン2,6ジカルボン酸、
フタール酸、α,β−(4−カルボキシフエノキシ)エ
タン、4,4′−ジカルボキシジフエニル、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸もしく
はアジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、
またはこれらのエステル類とエチレングリコール、ジエ
チレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、
ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ルなどのジオール化合物とから合成される繊維形成性ポ
リエステルであり、構成単位の80モル%以上が、特には
90モル%以上がポリエチレンテレフタレート単位である
ポリエステルが好ましい。またポリエステル中には、少
量の添加剤、たとえば酸化チタンなどの艶消し剤、酸化
防止剤、螢光増白剤、安定剤あるいは紫外線吸収剤など
を含んでいても良い。
本発明で更に重要なことは、前記の如く粘度が10,000セ
ンチストークス以上の有機ポリシロキサンを1.0重量%
以上、10重量%以下ポリエステルへ含有せしめるととも
に、ポリエステル中での有機ポリシロキサンの分散状態
がある特定の状態に保たれた時摩擦防融性能がきわ立つ
た効果を発揮されることである。つまり、繊維横断面で
観て、有機ポリシロキサンが見かけ上島状態を形成し、
かつ繊維断面の外層部が微細島状態で内層部がそれより
大きい島状態を形成し、しかも該島は、外周部に高濃度
分散状態を呈し、なおかつ島と島が完全に分離した状態
ではなく、繊維横断面方向に島と島を結ぶ連絡路をラン
ダムに有する状態で分散している必要があることがわか
つた。このことは今迄知られていなかつた新しい事実で
ある。このような分散形態を実現させる手段について
は、後に詳細に説明するが、有機ポリシロキサンの粘
度、ポリエステル中含有量並びに有機ポリシロキサンと
ポリエステルの混練方法、の三者の相関関係により製造
することが可能となつたものでる。
本発明において、繊維外層部に微細な分散状態で、かつ
高濃度に有機ポリシロキサンを含有せしめることによ
り、ポリエステル中に練込んだ有機ポリシロキサンの効
果を少ない添加量でも十分に発揮させうる効果があるも
のと推定される。この外層部と内層部の濃度勾配につい
てさらに説明する。
本発明者等は、繊維中の有機ポリシロキサンの存在状態
の測定を島津製作所ESCA-750を用いて測定し、Si元素と
C元素の原子数比を求めることにより算出した。また内
層の存在状態についても、繊維をアルゴンイオンでエツ
チングしてやることにより繊維表面を所定量とりのぞ
き、同上ESCAにより測定した。
本発明繊維での有機ポリシロキサンの高濃度状態を呈す
る層は、繊維の半径をrとすると繊維表面から断面方向
に向つておよそ1/3・rの点までの円環外層部に存在す
るが、この円環外層部に存在する有機ポリシロキサンの
濃度を上記測定法で求めたところ、該外層部を除いた内
層部に存在する有機ポリシロキサンの濃度のおよそ2倍
以上になつており、そのような場合が目的とする摩擦防
融性の効果が顕著になつてくることがわかつた。従つ
て、繊維の半径をr、有機ポリシロキサンの使用量をA
とすると、繊維中に均一に分散している従来のもので
は、繊維の断面方向の有機ポリシロキサンの平均密度
(Aα)はA/πrで表わされる。一方、A量の有機ポ
リシロキサンをポリエステルへ混入しその結果繊維表面
から1/3・rの区域に内層に対して2:1の密度で存在して
いるとしたとき、この外周円環部内の有機ポリシロキサ
ン密度(Aβ)は次の如く表わされる。
ここでxは使用量Aのxパーセントが外周部に存在する
とした時の割合を示す。
内層部の有機ポリシロキサン密度(Aγ)は次の如く表
わされる。
ここでAβ=2Aγであるので、xを求めるとx≒0.71と
なり、使用ポリシロキサンの約7割以上が繊維外周層に
高密度に分散していることになる。
以上のことを整理してみると次の如くになる。
有機ポリシロキサンの量(A)が同じであつても、本
発明の場合外層部密度は2倍であり、使用した有機ポリ
シロキサンの7割以上が外層部に存在する。
添加量を減らしても単に均一に分散させた場合に比較
して外層部の高密度状態を保持させることにより、摩擦
防融性の効果が維持される。
また、本発明の外層部に存在する有機ポリシロキサンの
島が内層部に存在する島よりも小さい島状態で分散して
いる方が、即ち、外層部と内層部の有機ポリシロキサン
の島の大きさの比が、平均直径で比較しておよそ1対2
以上の差があることが、より摩擦防融性に効果を発揮す
ることがわかつたが、この理由については現時点では推
定の域を出ない。しかし有機ポリシロキサンがあまり偏
在化せず、できるだけ微分散している方が効果が発揮さ
れることは当然考えられることであり、また島の個数で
比較すると外層部と内層部では単位断面積当り8対1以
上の差で外周部の島数が多くなつていることからも本発
明の効果が有効に発揮される理由がわかる。
尚、ポリエステル中に存在している有機ポリシロキサン
の島の大きさを測定する方法は、紡糸後の繊維を数十ミ
リミクロンないし100ミリミクロン前後の厚みにウルト
ラミクロトームでスライスし、そのスライスした超薄切
片を透過型電子顕微鏡で高倍率に拡大すれば観察可能で
ある。簡便法としては、紡糸ノズルより吐出してきた捲
取る前の吐出放流糸を5ミクロン程度の厚さにミクロト
ームでスライスし、光学顕微鏡により高倍率で拡大して
も観察可能である。
また本繊維の構成においては、有機ポリシロキサンが繊
維の長さ方向に互いに完全に独立した島状態となつてい
るのでなく、該ポリシロキサンの島と島とが繊維の横断
面方向の連絡路で互いに結ばれていることが観察され
る。即ち、この連絡路の形成状態を判断する具体的な方
法としては、繊維を10分の1規定アルカリ溶液中に浸漬
し98℃下で処理することにより、繊維表面を所定量とり
のぞき、その後繊維表面を走査型電子顕微鏡で観察する
ことにより、判定することができるが、この連絡路が形
成されていることにより、繊維外層部での有機ポリシロ
キサンの島の密度が高い微分散状態の存在によるばかり
でなく、該外周部でのポリシロキサンの島と、内層部で
のポリシロキサンの島とが互いに結ばれ、内層部の大き
な島が有機ポリシロキサンを表層部へ供給するための貯
蔵タンクの役目をはたしていると考えられるこの構成と
が結びつき、本発明の繊維の実際上の効果に結びついて
いるものと考えられる。
上記の点について、連絡路が多くなればなる程効果が出
ることが確認され、この連絡路が繊維長さ1mm当り1ケ
以上、好ましくは4個以上存在した場合に摩擦防融効果
が発揮できることがわかつた。
本発明をさらに具体的に図面により説明すると、第1図
は本発明の摩擦防融繊維のスケツチ図で、ポリエステル
繊維中の有機ポリシロキサンの分散状態をわかりやすく
図示している。外層部の有機ポリシロキサンの島eと内
層部の有機ポリシロキサンの島dが存在し、外層部の島
は内層部の島より微細かつ個数が多く存在している。f
は内層部の有機ポリシロキサンの分散島より外層部の有
機ポリシロキサンの分散島への連絡路を示している。
第2図は本発明による摩擦防融繊維(単繊維2.1デニー
ル)を1/10規定アルカリ溶液に浸漬し、98℃下に保持し
て、30%アルカリ減量処理を施したものの繊維表面の電
子顕微鏡写真(×5,000)の一部を示す。ポリマーとし
てはポリエチレンテレフタレートを用い、有機ポリシロ
キサンとしてポリジメチルシロキサン粘度60,000センチ
ストークスのものを5.0重量%繊維に添加したものであ
る。繊維表面上に筋状の凹凸が見られるが、これはポリ
ジメチルシロキサンが集合体として存在していた部分で
ある。また、筋状の凹部分に所々黒色の穴が認められる
が、これが本発明で説明している繊維断面方向への連絡
路である。この連絡路は繊維内層に貯蔵されているポリ
ジメチルシロキサンのタンクとつながつているわけであ
り、摩擦防融効果を発揮させる重要な役割をはたしてい
るものと考えられる。
第3図は、第2図の電顕写真の糸と同じ条件で紡糸した
ものの紡糸ノズルより吐出してきた放流糸を5ミクロン
の厚さにミクロトームによりスライスし、透過型光学顕
微鏡により観察した写真の一部を示したものである。繊
維断面の外層部でのジメチルポリシロキサンの島が内層
部でのそれに比較して、高密度でなおかつ微細島が多数
の状態でポリエステル中で分散していることがわかる。
第3図には、ジメチルポリシロキサンを含有させたポリ
エステルポリマー単独での繊維断面の写真を一例として
示したが、繊維中心が全く有機ポリシロキサンを含有し
ない、いわゆる芯鞘構造や、背腹構造の複合繊維の場合
でも、有機ポリシロキサン含有ポリエステルが繊維断面
周率40%以上であり、なおかつ繊維断面占有面積が20%
以上であるならば、同様に摩擦防融性の効果があること
が認められた。有機ポリシロキサン含有ポリエステルの
繊維断面周率が少なくなる程摩擦防融性の効果は低下し
てくるのは当然であるが、40%以上であれば十分な効果
があつた。この場合、有機ポリシロキサン含有ポリエス
テル部分の有機ポリシロキサンの分散状態が、今迄説明
したきた状態で分散している必要があるのは、改めてく
りかえして言うまでもないことである。
またさらに本発明は、仮撚捲縮加工等の高次加工によ
り、5角、6角に類似した形状になつたり、紡糸時の異
形断面ノズルにより3葉形、T形、4葉形、5葉形、6
葉形、7葉形、8葉形等多葉形や各種の断面形状となつ
ても要は今迄説明してきた有機ポリシロキサンのポリエ
ステル中での分散状態がほぼ同じ状態で保たれていれ
ば、本発明の効果が十分に発現されることは言うまでも
ない。
次に本発明の摩擦防融ポリエステル繊維の製造例につい
て説明する。本発明で述べている摩擦防融性に効果的な
ポリエステル中での有機ポリシロキサンの分散状態を保
持した繊維を得るためには、有機ポリシロキサン粘度が
所定粘度以上であることと、ポリエステル中含有量が所
定量以上であることと、有機ポリシロキサンとポリエス
テルの混練方法の三者の相関関係により製造することが
可能となつた。
有機ポリシロキサン粘度は10,000センチストークス以上
であるものを、ポリエステル中に1.0重量%以上含有さ
せる必要があることは前述したが、それと同時に混練方
法が重要である。すなわち本発明を満足するための要件
の1つは、有機ポリシロキサンをポリエステルポリマー
の重合完了後紡糸直前までに添加し、その後混練した
後、ノズル孔より押出し、繊維化することである。
重合完了後一旦ペレツトの形状に成形する工程を終る場
合は、重合完了後重合釜中へ有機ポリシロキサンを添加
し、その後ペレツトにするよりも、紡糸時にポリエステ
ルポリマー溶融流体流れ中に有機ポリシロキサンを所定
量フイードし、その後スタチツクミキサーにより混練し
た後紡糸ノズル孔より押出し、繊維化する方が望まし
い。なぜならば、重合工程で有機ポリシロキサンを添加
する場合、本発明の分散状態を均一に保持したペレツト
を作成するためのコントロールが非常に難しく実質上不
可能である。
有機ポリシロキサンとポリエステルは相溶性が悪く相分
離しやすいため、たとえ重合末期に有機ポリシロキサン
を添加した後混練操作をしたとしても、ペレツト取出し
中の滞留時間中に重合釜内の残留ポリマー内部で有機ポ
リシロキサンとポリエステルポリマーの相分離が進行す
る。その結果、目的とする分散状態を維持できなくなる
のみならず、分散密度が不均一なペレツトが製造され、
繊維化した時の糸切れ等の工程性が悪くなると同時に斑
の問題が発生し好ましくない。
重合釜での均一分散性を保持するために界面活性剤等の
助剤の添加なども検討されているが、このような助剤を
添加すると確かに分散性は良くなるが、繊維化した後の
染色堅牢性が低下してくる欠点が現われてくるので好ま
しくない。すなわち、本発明は染色堅牢性が維持されて
かつ摩擦防融性があるポリエステル繊維を提供できるも
のである。
重合完了後ペレツト化する工程を経ず連続的に溶融ポリ
マーを紡糸ノズルへフイードして吐出させるような連続
プロセスにおいては、紡糸直前までの段階でポリエステ
ル溶融ポリマー流中へ有機ポリシロキサンを定量フイー
ドし、その後スタチツクミキサーで混練した後紡糸ノズ
ル孔より吐出させるとよい。
ポリエステルポリマーペレツトを用い押出機により紡糸
する場合には、溶融押出しされたポリエステルポリマー
溶融ライン中へ有機ポリシロキサンを所定量フイード
し、その後スタチツクミキサーで混練後紡糸ノズルより
吐出させるとよい。
スタチツクミキサーを用いて混練する場合に大切なこと
は、ある一定エレメント数以上のスタチツクミキサーを
用いて混練する必要があることである。現在実用化され
ている静止型混合器は数種類あるが、例えばケーニクス
(Kenics)社の180°左右にねじつた羽根を90°ずらし
て配列したnエレメント通過させると2n層分割するタイ
プのスタチツクミキサーを用いた場合は、エレメント数
が最低15エレメント以上ものを用いる必要がある。
15エレメントより少なくなると目的とする分散状態の繊
維が採取できず、有機ポリシロキサンがポリエステル中
で偏在化するのみならず、第3図で示すような微分散の
島状を形成せず大きな島状を形成し、従つて島数も少な
くなつてしまう。最終的には、耐久性のある摩擦防融性
能を発揮する上で重要な役割をはたす繊維断面方向の連
絡路の形成が少なくなり、繊維長さ1mm当り1ケ以下に
なつてしまい、十分な摩擦防融性が発現しない。連絡路
の形成を多くしようとすると、有機ポリシロキサンの添
加量を10重量%以上にしなければならず、コスト的にも
好ましくない。
またエレメント数が十分でないと有機ポリシロキサンと
ポリエステルの均一混練が十分でないため、紡糸時の断
糸、羽毛捲付の発生が多くなると同時に延伸性も低下
し、工程上好ましくない。工程性を向上させる点からも
エレメント数は15エレメント以上すなわち215層分割以
上は最低実施するのが好ましく、更に好ましくは20エレ
メント以上すなわち220層分割以上することが好まし
い。
ケーニクス社以外の静止型混合器を用いる場合も、215
層分割以上に相当するエレメント数に設定した混合器を
使用する必要があることは言うまでもない。東レ社製ハ
イミキサー(Hi-Mixer)やチヤールス・アンド・ロス
(Charless & Ross)社製のロスISGミキサーなどは、
nエレメント通過する時の層分割数は4n層分割であるの
で、エレメント数は8エレメント以上、更に好ましくは
10エレメント以上必要である。
本発明の繊維を製造する上で重要なことは、適正なエレ
メント数のスタチツクミキサーを用いて混練することで
あるが、それと同時にもう一つ重要なことは、紡糸ノズ
ル孔の直径とランド長の比を一定以上にする必要がある
ことである。すなわち、ノズル孔径をD、ランド長をL
とすると、L/Dを2.0以上に設定する必要があることであ
る。
L/Dが2.0未満であると、本発明で述べているポリエステ
ル繊維中の有機ポリシロキサンの分散状態が、外層部と
内層部での有機ポリシロキサンの存在密度が2対1以上
にならず高濃度に外層部に分散する濃度分布を維持しな
くなると共に、外層部の島の大きさと内層部の島の大き
さが1対2以上の差が発現せず島の個数の比は8対1以
下になつてしまい、外層部と内層部の分散状態が均一化
してしまうことがわかつた。
外層部と内層部の有機ポリシロキサンの存在状態が均一
化してしまうと、本発明の特徴である低添加量の有機ポ
リシロキサンで有効な摩擦防融性を発現しにくくなり、
有機ポリシロキサン添加量を多量にしなければ十分な摩
擦防融性が発揮されなくなり、コスト上好ましくないの
みならず工程性も悪化してくる。
驚くべきことにL/Dを2.0以上にすることにより耐久性の
ある摩擦防融性を発揮するために現想的な分散状態が形
成されることがわかつた。すなわち、外層部が内層部と
比較して2倍以上の高密度状態を保持した濃度勾配を持
ち、かつ有機ポリシロキサン島の大きさが外層部が内層
部と比較して1/2以下となり従つて島の個数が8倍以上
も多い状態を保持した分散状態で繊維化されることがわ
かつた。
L/Dを2.0以上更に大きくしてやると、有機ポリシロキサ
ンの分散状態は更に摩擦防融性には好都合の分散状態に
なつていくが、ある定常状態までいつたらほとんど同じ
状態が維持される。それに対してL/Dを大きくする程圧
損が飛躍的に増大し、剪断速度が大きくなりすぎて安定
な紡糸ができなくなると共に、紡糸パツク寿命も短かく
なり好ましくない。やはり、安定な紡糸性を考慮するな
らば適当なL/Dの範囲にとどめるのが良いと言える。
なぜノズル孔のL/Dが顕著にポリエステル繊維中での有
機ポリシロキサンの分散状態に大きな影響を与えるかと
いうことについては現時点では明確に説明することはで
きないが、おそらく管を流れる時のポリエステルと有機
ポリシロキサンの流動挙動に起因すると考えられる。
ポリエステルの紡糸温度である280〜300℃の高温下では
ポリエステルの溶融粘度が有機ポリシロキサンの溶融粘
度よりかなり大きいため、ノズル孔径を通過する時の孔
壁の抵抗に対してポリエステルは抵抗を軽減するため孔
の中央へ集中しようとし、比較的抵抗の少ない有機ポリ
シロキサンは壁へ流れる傾向が生じ、ある種の相分離現
象がノズル孔を通過する過程で発生するために濃度勾配
が出現してくると思われる。それと同時に孔壁へ流れよ
うとする有機ポリシロキサンは中央へ逆に流れようとす
るポリエステルポリマーの高溶融粘度流によつて更に微
細に混練作用を受けるために、外層部の有機ポリシロキ
サンの島が内層部よりも微細化した状態で分散する結果
となると推定される。L/Dが小さければ十分にこの作用
が行なわれることなくノズル孔より吐出されることにな
り、本発明の繊維が得られない結果となると考えられ
る。
異形ノズルを用いて、異形断面糸を紡糸する場合には、
丸孔ノズルの断面積 に相当する異形ノズル断面積(X)を求め、 より丸孔ノズル直径Dに相当する異形ノズルのD値を求
め、これよりランド長Lを設定すれば良い。
本発明の製造工程の一例を第4図に示す。溶融押出機1
により押出されたポリエステルポリマー溶融流は、計量
機2により所定計量される。一方有機ポリシロキサン
は、添加剤供給機4によりフイードされ、計量機3によ
り所定量計量された後、計量機2により計量されたポリ
エステルポリマー溶融ライン中へ添加される。その後所
定エレメント数を設置したスタチツクミキサー中で有機
ポリシロキサンとポリエステルが混練され、紡糸口金パ
ツク6より吐出されて繊維化される。
スタチツクミキサーはポリマー流ライン中に設置しても
良いし、あるいは紡糸口金パツク内に設置してもよい。
ポリマー流ライン中と紡糸口金パツク中に分割して設置
してもさしつかえはない。
(実施例) 次に本発明を実施例により具体的に説明するが、これに
よつて本発明はなんら限定されるものではない。実施例
中で記述している摩擦防融性についての測定値は、有機
ポリシロキサン含有ポリエステル繊維の仮撚糸150dr−4
0fをつくり、それを3段スムースに編んだ後荷重2.5Kg
の回転ローラーへ接触させて穴があくまでの時間を測定
した。穴があくまでの時間が長い程摩擦防融性の効果が
大きいと判断できる。
実施例1 〔η〕=0.65dl/g(フエノールとテトラクロルエタンの
等量混合溶媒を用い30℃恒温槽中でウーベローデ型粘度
計を用い測定した極限粘度)の、TiO2を0.5wt%添加し
たポリエチレンテレフタレートを40φ押出機にて押出
し、該ポリマーの溶融ポリマーライン中に、あらかじめ
120℃で絶乾した25℃下での粘度が60,000センチストー
クスのジメチルポリシロキサンをポリマーに対して3重
量%になるように注入し、その後ケーニクス社製の40エ
レメントスタチツクミキサーで混練し、L/D3.0の丸孔ノ
ズルより吐出し紡糸した。該紡糸原糸をローラープレー
ト方式で通常の条件により延伸し、更に通常の条件によ
り仮撚し、150dr-40fのマルチフイラメント仮撚加工糸
を得た。
得られた繊維中のジメチルポリシロキサン分散状態を調
べたところ、断面方向への連絡路形成頻度は6〜7ケ/1
mm繊維長外層部に存在するジメチルポリシロキサンの存
在濃度と内槽部に存在するジメチルポリシロキサンの存
在濃度との比は3.0倍で外層部の密度が高く、ジメチル
ポリシロキサンが形成している島の大きさは、内層部と
外層部では平均直径で比較して2.0倍と内層の島の直径
が大きかつた。
紡糸性、延伸性、仮撚性は良好で全く問題はなかつた。
得られた150dr-40fの仮撚加工糸を3段スムースに編ん
で摩擦防融性を測定したところ穴があくまでの時間が62
秒であつた。また、洗濯100回後の摩擦防融性を測定し
たところ全く変化なく同じ秒数であつた。
3段スムース編地を、以下の処方で染色した後、染色堅
牢度を調べたところ、第1表に示すように全く問題がな
いことがわかつた。
耐光堅牢度;JIS L−0842に準じカーボンアーク燈による
試料の変退色を評価。
洗濯堅牢度;JIS L−0844に準じ添付布としてエステルお
よび綿布を用い汚染度と変退色を評価。
マサツ堅牢度;JIS L−0849に準じ学振型マサツ堅牢試験
機にて荷重200gで100回マサツ後の綿布の汚染度を評
価。
比較例1 〔η〕=0.65dl/gの、TiO2を0.5wt%添加したポリエチ
レンテレフタレートを40φ押出機にて押出し、紡糸し
た。該紡糸原糸を通常の条件により延伸、仮撚し、150d
r-40fのマルチフイラメント仮撚加工糸を得た。該仮撚
加工糸を段スムースに編んで摩擦防融性を測定したとこ
ろ0.5秒で穴があいてしまつた。
比較例2 実施例1と同様の方法によりポリエチレンテレフタレー
トへジメチルポリシロキサン0.7重量%含有せしめた150
dr-40fの仮撚加工糸を得た。該仮撚加工糸を3段スムー
スに編んで摩擦防融性を測定したところ7.0秒で穴があ
いた。比較例1よりはやや摩擦防融性は認められたが、
実施例1と比較したら不十分であつた。
実施例2〜3 実施例と同一の方法によりジメチルポリシロキサン含有
繊維の仮撚加工糸を得た。実施例2では、25℃下での粘
度が30,000センチストークスのジメチルポリシロキサン
を用い5wt%添加した仮撚加工糸をつくつた。実施例3
では25℃下での粘度が20,000センチストークスのジメチ
ルポリシロキサンを用い5wt%添加した仮撚加工糸をつ
くつた。それぞれのポリエステル繊維でのジメチルポリ
シロキサン分散状態は第1表に示すとおりであつた。い
ずれも紡糸性、延伸性、仮撚性等の工程性は良好であつ
た。摩擦防融性、染色堅牢性も良好で品質評価は満足の
いくものであつた。
比較例3 25℃下での粘度が8,000センチストークスのジメチルポ
リシロキサンを用い、実施例1と同様の方法によりポリ
エステル中へ5wt%添加した仮撚加工糸を得た。繊維中
のジメチルポリシロキサン分散状態を調べたところ、断
面方向への連絡路形成頻度は3〜5ケ/1mm繊維長、外層
部に存在するジメチルポリシロキサンの存在濃度と内層
部に存在するジメチルポリシロキサンの存在濃度の比は
1.8倍で外層部の密度が高く、ジメチルポリシロキサン
が形成している島の大きさは、内層部と外層部では平均
直径で比較して1.7倍と内層の島の直径が大きかつた。
摩擦防融性を測定したところ6.0秒で穴があき、実施例
1と比較したら不十分な結果が得られた。実施例1と同
様の方法により染色堅牢度を調べたところ、洗濯堅牢性
と摩擦堅牢性がやや悪くなることがわかつた。
比較例4 25℃下での粘度が120,000センチストークスのジメチル
ポリシロキサンを用い、実施例1と同様の方法によりポ
リエステル中へ5wt%添加した仮撚加工糸を得た。ジメ
チルポリシロキサンの粘度が非常に高いため取り扱い性
が悪く、容器等に付着した回収不能ロス量がかなり多か
つた。また、紡糸時にポリエステル溶融ポリマー中へ計
量フイードする際脱泡が十分に行ないにくく、気泡混入
による紡糸時の単糸切れが多く発生し、紡糸性は不良で
あつた。
実施例4〜5 〔η〕=0.65dl/gの、TiO2を0.5wt%添加したポリエチ
レンテレフタレートを40φ押出機により押出し、該ポリ
マーの溶融ポリマーライン中に、あらかじめ120℃で絶
乾した25℃下での粘度が60,000センチストークスのジメ
チルポリシロキサンをポリマーに対して3重量%になる
ように注入した。その後実施例4ではケーニクス社製の
30エレメントスタチツクミキサーで混練し、L/D2.0の丸
孔ノズルより吐出し紡糸した。実施例5では20エレメン
トスタチツクミキサーで混練し、L/D2.0の丸孔ノズルよ
り吐出し紡糸した。実施例1と同様に150dr-40fの仮撚
加工糸による3段スムースを編み摩擦防融性を測定した
ところ、穴があくまでの時間は実施例4では55秒、実施
例5では50秒と良好な摩擦防融性能が認められた。
比較例5 〔η〕=0.65dl/gの、TiO2を0.5wt%含有したポリエチ
レンテレフタレートを40φ押出機により押出し、該ポリ
マーの溶融ポリマーライン中に、あらかじめ120℃で絶
乾した25℃下での粘度が60,000センチストークスのジメ
チルポリシロキサンをポリマーに対して3重量%になる
ように注入した。その後ケーニクス社製の14エレメント
のスタチツクミキサーで混練し、L/D2.0の丸孔ノズルよ
り吐出し紡糸した。ポリエステルポリマーとジメチルポ
リシロキサンの混練が不十分なため、繊維長さ方向に相
分離の不均一な部分が発生し、紡糸時の羽毛捲付が多発
した。
比較例6 〔η〕=0.65dl/gの、TiO2を0.5wt%含有したポリエチ
レンテレフタレートを40φ押出機により押出し、該ポリ
マーの溶融ポリマーライン中に、あらかじめ120℃で絶
乾した25℃下での粘度が60,000センチストークスのジメ
チルポリシロキサンをポリマーに対して3重量%になる
ように注入した。その後ケーニクス社製の30エレメント
のスタチツクミキサーで混練し、L/D1.5の丸孔ノズルに
より吐出し紡糸した。該紡糸原糸を通常の条件により延
伸、仮撚し150dr-40fのマルチフイラメント仮撚加工糸
を得た。
繊維中でのジメチルポリシロキサンの分散状態は、断面
方向への連絡路形成頻度は1〜2ケ/1mm繊維長、外層部
に存在するジメチルポリシロキサンの存在濃度と内層部
に存在するジメチルポリシロキサンの存在濃度の比は1.
8倍で外層部の密度が高く、ジメチルポリシロキサンが
形成している島の大きさは、内層部と外層部では平均直
径で比較して1.5倍と内層の島の直径が大きかつた。摩
擦防融性を測定したところ、9.0秒で穴があき、実施例
1と比較したら不十分な結果が得られた。
実施例6 重縮合反応装置を用い常法により280℃で重縮合反応を
行ない、テレフタル酸92モル、イソフタル酸8モル、エ
チレングリコール100モルよりなる共重合ポリエステル
を製造しペレツトを得た。得られた共重合ポリエステル
に対して、30,000センチストークスのジメチルポリシロ
キサンを2.0重量%添加した繊維を実施例1と同様の方
法により作製した。
摩擦防融性を測定したところ、穴があくまでの時間が30
秒であつた。また、洗濯100回後の摩擦防融性を測定し
たところ全く変化なく同じ秒数であつた。3段スムース
編地を実施例1と同じ方法により染色した後染色堅牢度
を調べたところ、第1表に示すように全く問題がないこ
とがわかつた。
実施例7 〔η〕=0.68のポリエチレンテレフタレートを押出機に
て押出し、該ポリマーの溶融ポリマーラインに、あらか
じめ120℃で絶乾した25℃下での粘度が60,000センチス
トークスのジメチルポリシロキサンをポリマーに対して
5重量%になるように注入し、その後ケーニクス社製の
40エレメントスタチツクミキサーで混練したポリマーを
鞘成分とし、別の押出機より押出した〔η〕=0.65のポ
リエチレンテレフタレートを芯成分とし、芯/鞘=40/6
0重量比で、L/D=3.0の丸孔ノズルより芯鞘複合紡糸を
行なつた。通常の方法により延伸仮撚を実施し150dr-40
fのマルチフイラメント仮撚加工糸を作製した。
鞘成分中のジメチルポリシロキサンの分散状態は第1表
に示すような分散状態であつた。繊維、延伸性、仮撚性
は良好で全く問題なかつた。得られた150dr-40fの仮撚
加工糸を3段スムースに編んで摩擦防融性を測定したと
ころ穴があくまでの時間が45秒であつた。また洗濯100
回後の摩擦防融性を測定したところ全く変化なく同じ秒
数であつた。
3段スムース編地を実施例1と同様の方法により染色し
た後染色堅牢度を調べたところ、第1表に示すように全
く問題がなかつた。
実施例8 25℃以下で粘度が60,000センチストークスのフエニルメ
チルポリシロキサンを実施例1と同様の方法によりポリ
エステル中へ3重量%添加し繊維化した。繊維中でのフ
エニルメチルポリシロキサンの分散状態は第1表に示す
ような分散状態であり、摩擦防融性測定値は61秒であつ
た。
比較例7 ポリエチレンテレフタレートの150dr-40f仮撚加工糸を
用い、3段スムース編物を作製した。粘度12,000センチ
ストークスのジメチルポリシロキサンと界面活性剤とを
添加し水エマルジヨン液とした15%溶液の一般の市販繊
維処理剤をデイツプニツプ方法により3段スムース編物
へ有効成分2重量%となるように繊維表面へ付着させ
た。
摩擦防融性を測定したところ25秒であつたが、洗濯100
回後再び測定したところ1秒以下となり、耐久性がない
ことがわかつた。また染色堅牢性は第1表に示すごとく
問題があることがわかつた。
比較例8 重縮合反応装置を用い常法により280℃で重縮合反応を
行ない、ポリエチレンテレフタレートポリマーを得た。
重合終了後重縮合反応器中へ25℃下で60,000センチスト
ークスのジメチルポリシロキサンを5重量%添加し、そ
の後攪拌翼により均一混合した。その後約40分間でペレ
ツトを採取した。該ペレットを40φ押出機により押出
し、L/D2.0の丸孔ノズルより吐出し紡糸した。紡糸時に
単糸切れが頻発し、紡糸性は不良であつた。
繊維中のジメチルポリシロキサンの分散状態を調べたと
ころ斑が激しく、正確な判定が難かしかつた。摩擦防融
性測定値も5〜30秒の範囲でバラツキが大きかつた。
(発明の効果) 以上本発明は、摩擦防融性に効果のある有機ポリシロキ
サンを、種々の条件を組合わせ特定な分散状態とするこ
とによつて、練込み型繊維で実質的な効果があるように
した点が大きな特徴であり、従つて本発明の繊維では、
効果の持続性が実質上永久的になると同時に、効果の耐
久性も十分である。また従来の後加工法における如く、
染色堅牢性に悪影響を及ぼす乳化剤等の助剤を用いるこ
となく本質的に繊維化する段階で繊維中に有機ポリシロ
キサンを練込んでいるため、染色堅牢性の低下が発生し
ないという優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の摩擦防融繊維のスケツチ図で、rは繊
維半径、eは外層部の有機ポリシロキサン分散の島、d
は内層部の有機ポリシロキサン分散の島、fは繊維断面
方向の連絡路をそれぞれ示す。 第2図は本発明の摩擦防融繊維をアルカリ減量した後の
走査型電子顕微鏡写真である。 第3図は本発明の摩擦防融繊維のノズルより吐出させた
直後の糸の透過型光学顕微鏡写真である。 第4図は本発明の製造工程の一例図で、1は溶融押出
機、2、3は計量機、4は添加剤供給機、5はスタチツ
クミキサー、6は紡糸口金パツクをそれぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横田 宜彦 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (56)参考文献 特開 昭59−115358(JP,A) 特開 昭53−103043(JP,A) 特開 昭50−90715(JP,A) 特公 昭59−53368(JP,B2)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粘度が10000センチストークス以上の有機
    ポリシロキサンがポリエステル繊維中で該繊維の長さ方
    向に伸びてみかけ上島状態の独立相を形成したポリエス
    テル繊維であって、 該有機ポリシロキサンの分散状態が繊維横断面で観て、 繊維表面から半径の1/3の点までの円環状外層部と該円
    環状外層部より内側の内層部との濃度分布が2対1以上
    で外層部が高濃度の濃度勾配を有し、 かつ有機ポリシロキサンの繊維横断面でみての島の大き
    さが内層部と外層部で直径が2対1以上で内層部の島が
    大きく、 さらに該島間を繊維の横断面方向に結ぶ連絡路が繊維長
    さ1mm当り1ヶ以上存在する、 ように構成されていることを特徴とする摩擦防融性に優
    れたポリエステル繊維。
  2. 【請求項2】有機ポリシロキサンをポリエステルポリマ
    ーの重合完了後から紡糸直前までの間に溶融流体中に添
    加し、その後15エレメント以上のスタチックミキサーで
    層分割混練した後、ノズル孔直径D、ランド長Lとした
    時L/Dが2.0以上有するノズル孔より吐出し、繊維化する
    ことを特徴とする摩擦防融性に優れたポリエステル繊維
    の製造法。
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