JPH0737339B2 - 炭化ケイ素質−炭素質複合成形体の製造法 - Google Patents

炭化ケイ素質−炭素質複合成形体の製造法

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JPH0737339B2
JPH0737339B2 JP61166657A JP16665786A JPH0737339B2 JP H0737339 B2 JPH0737339 B2 JP H0737339B2 JP 61166657 A JP61166657 A JP 61166657A JP 16665786 A JP16665786 A JP 16665786A JP H0737339 B2 JPH0737339 B2 JP H0737339B2
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芳夫 大沢
典幸 西尾
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イ−グル工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、摺動材料その他治具などの機械部品として有
用な、表層部が主として炭化ケイ素からなり芯部が炭素
質である複合構造の成形体(以下、炭化ケイ素質−炭素
質複合成形体という)の製造法に関するものである。
従来の技術 炭素質成形体の表層部だけをケイ素またはその化合物と
反応させることにより炭化ケイ素質のものに変換して炭
化ケイ素質−炭素質複合成形体を得る方法は公知であ
る。この方法は大別して二つあり、一つは、基材となる
炭素質成形体を高温でケイ素化合物(たとえば一酸化ケ
イ素)の蒸気と接触させ、表層部の炭素を炭化ケイ素に
変換するものである。しかしながら、この方法によって
炭化ケイ素を生成させることができるのは、炭素質成形
体の表面からせいぜい1mmまでである。しかも、形成さ
れる炭化ケイ素質層は多孔質であるため、メカニカルシ
ール用摺動材料など液封性を要求されるのものを製造し
ようとする場合はその後に樹脂含浸を行う必要がある。
したがって、製品の炭化ケイ素質表層部は厚さにおいて
も物性においても満足できるものではない。いま一つの
方法は、基材となる炭素質成形体を、真空中または非酸
化性気体中で1450℃以上に加熱して溶融状態のケイ素と
接触させ、成形体中に浸透するケイ素と生成体の炭素と
の反応により成形体表層部を炭化ケイ素質のものに変換
する方法である。この液相法は、基材の炭素素材や密度
を適切に選ぶならばかなり厚い炭化ケイ素層が容易に形
成され、また、反応による体積膨脹があることと未反応
のケイ素が隙間を充填することにより、液封性のよい炭
化ケイ素質表層部が形成されるという特長がある。
発明が解決しようとする問題点 しかしながら、上述液相法により炭化ケイ素質表層部を
形成させる方法は、製品の芯部炭素質部品にも表層部炭
化ケイ素質部分にも亀裂を生じ易いという問題があっ
た。
本考案の目的は、この問題点を解決し、すぐれた品質の
炭化ケイ素質−炭素質複合成形体を高い歩留りで製造す
る方法を提供することにある。
問題点を解決するための手段 種々検討の結果、炭素質基材の表層部炭化ケイ素化にと
もなう亀裂発生は、炭化ケイ素化された表層部と芯部炭
素層との間で熱膨張率に差があるためであることが確認
され、この熱膨脹率の差を小さくすることによって亀裂
発生は防止できると予想された。
本発明はこのような観点から更に研究を進めた結果完成
されたものであって、ピッチコークスまたはこれとカー
ボンブラックとの混合物を骨材として炭素質成形体を製
造し、得られた炭素質成形体を、真空中または非酸化性
気体中1450℃以上に加熱して溶融状態のケイ素と接触さ
せ、成形体中に浸透するケイ素と成形体の炭素との反応
により成形体表層部を炭化ケイ素質のものに変換するこ
とを特徴とするものである。
本発明の製造において用いるピッチコークスは、コール
タールの蒸留残渣である石炭ピッチを熱分解して製造さ
れるもので、石油コークスと比較すると、灰分、イオウ
分、金属類等の不純物の含有量がきわめて少なく、また
熱膨脹率が低いという特徴がある。本発明の製法で用い
るものはその粉砕物であって、150メッシュの篩を通過
する程度に微細なものであることが望ましい。
またカーボンブラックは、特に限定されるものではない
が、ファーネス式製法により作られたものが好ましい。
炭素原料として上記のものを、好ましくは80:20ないし4
0:60の重量比で併用するほかは、従来の方法と特に異な
るところはない。すなわち、炭素原料にフェノール樹脂
やコールタールピッチなどを結合剤として加えて充分混
合したのち約200〜800Kg/cm2の成形圧で所望の形状に成
形し、次いで約1000〜2000℃で焼成してから、真空中ま
たは非酸化性気体中で1450℃以上に加熱して溶融状態の
ケイ素と接触させる。
作用 本発明の製法において炭素質基材製造原料としてピッチ
コークスを用いるのは、それにより、理由は定かでない
が、炭化ケイ素質表層部の熱膨張率と芯部炭素層の熱膨
張率とがほぼ一致し、亀裂が発生しなくなるからであ
る。この場合、前述のようにピッチコークスと共にカー
ボンブラックを80:20ないし40:60の比率で用いることが
好ましいが、その理由は、カーボンブラックの使用率が
0またはそれに近い炭化ケイ素を深部まで生成させるこ
とが困難であり、反対にカーボンブラックのほうが多す
ぎると、炭化ケイ素は深部まで形成されるが炭化ケイ素
質表面層と炭素質部分との間で熱膨脹率の差が大きくな
り、製品に亀裂が発生し易くなるからである。
実施例 以下実施例および比較例を示して本発明を説明する。
実施例1〜5 ピッチコークスとカーボンブラックを下記の重量比で混
合し、混合物に結合剤として20%のフェノール樹脂を加
えたものを500Kg/cm2の成形圧で7mm×7mm×45mmの棒状
に成形した。
実施例 ピッチコークス カーボンブラック 1 100 0 2 80 20 3 60 40 4 50 50 5 40 60 得られた成形物はさらに1500℃で焼成した後、非酸化性
ガス中で1500℃に加熱して溶融ケイ素と接触させ、表層
に炭化ケイ素を生成させた。得られた炭化ケイ素質−炭
素質複合成体について亀裂の有無を調べたが、表層部に
も芯部にも亀裂は認められなかった。
比較例1 ピッチコークスを用いず、カーボンブラックだけを骨材
に用いたほかは上記実施例と同様にして炭化ケイ素質−
炭素質複合成形体を製造したが、成形が困難であったば
かりか、亀裂が多数発生した。
以上の各例による成形体について物性等を調べた結果
を、第1表に示す。
なお、表中に示した炭化ケイ素質表層部の「厚さ」は成
形体の破断面について炭化ケイ素質層を肉眼で判定しな
がら測定した値であり、「曲げ強さ」は、炭化ケイ素質
表層部を表面から1mmの厚さで幅5mm、長さ40mmの短冊状
に切出してJIS−R1601に準じて測定した値である。また
「化学組成」および「熱膨脹率」は、表面から1mmの厚
さで切出した試料について測定した値であって、前者
は、試料全体が炭化ケイ素と炭素とからなると仮定しそ
れら単独の比重値と試料について測定された比重値から
算出した値であり、また後者は、40〜400℃における平
均値である。
比較例2 ピッチコークスにかえて石油コークスを用いたほかは上
記実施例2と同様にして炭化ケイ素質−炭化質複合成形
体を製造したが、ほとんどの成形体に内部亀裂が発生し
た。
発明の効果 上述のように、本発明によれば骨材にピッチコークスを
使うだけで、亀裂のない炭化ケイ素質−炭素質複合成形
体を容易に製造することができる。また、ピッチコーク
スと併用するカーボンブラックの量が多いほど炭化ケイ
素質表面層が厚く且つ炭化ケイ素含有率の高いものにな
る傾向を利用して、約1〜数mmの範囲ならば所望の厚さ
または組成の炭化ケイ素質表面層を有する成形体を製造
することができるから、不必要に炭化ケイ素質表面層を
厚くせず経済的に炭化ケイ素質−炭素質複合成形体を製
造したり、炭素含有率が高く自己潤滑性もある表面層を
持つものを製造したりすることが必要に応じて可能であ
る。したがって本発明によれば、材料費の面からみれば
全体が炭化ケイ素の成形体よりもはるかに有利でありな
がら製造歩留りや品質の点で問題が残されていた炭化ケ
イ素質−炭素質複合成形体を真に安価に、安定した品質
のものとして提供することが可能になったのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 41/88 V

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピッチコークスまたはこれとカーボンブラ
    ックとの混合物を骨材として炭素質成形体を製造し、得
    られた炭素質成形体を、真空中または非酸化性気体中で
    1450℃以上に加熱して溶融状態のケイ素と接触させ、成
    形体中に浸透するケイ素と成形体の炭素との反応により
    成形体表層部を炭化ケイ素質のものに変換することを特
    徴とする炭化ケイ素質−炭素質複合成形体の製造法。
  2. 【請求項2】ピッチコークスとカーボンブラックを80:2
    0ないし40:60の重量比で用いる特許請求の範囲第1項記
    載の製造法。
JP61166657A 1986-07-17 1986-07-17 炭化ケイ素質−炭素質複合成形体の製造法 Expired - Lifetime JPH0737339B2 (ja)

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JPS6325273A JPS6325273A (ja) 1988-02-02
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