JPH0735749A - O−アルキル化アミノグリカンを用いた免疫測定用標識試薬 - Google Patents

O−アルキル化アミノグリカンを用いた免疫測定用標識試薬

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JPH0735749A
JPH0735749A JP20040593A JP20040593A JPH0735749A JP H0735749 A JPH0735749 A JP H0735749A JP 20040593 A JP20040593 A JP 20040593A JP 20040593 A JP20040593 A JP 20040593A JP H0735749 A JPH0735749 A JP H0735749A
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aminoglycan
alkylated
chitosan
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solution
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JP20040593A
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Kenichi Shimada
憲一 島田
Kazue Oe
一江 大江
Hideki Yano
秀樹 矢野
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Ibiden Co Ltd
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Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】O−アルキル化アミノグリカンに免疫物質と標
識物質が結合した複合体よりなる免疫測定用標識試薬、
O−アルキル化アミノグリカンに免疫物質が結合し、か
つ反応特異性を有する複数の化合物を介して標識物質が
該O−アルキル化アミノグリカンに結合した複合体より
なる免疫測定用標識試薬、及びO−アルキル化アミノグ
リカンに免疫物質と反応特異性を有する一方の化合物が
結合した複合体と、該化合物との反応特異性を有する他
方の化合物が標識物質で標識された複合体よりなる免疫
測定用標識試薬。 【効果】本発明のO−アルキル化アミノグリカンは水に
対する溶解度が高く、高分子量アミノグリカンの適用が
可能となり、アミノグリカンの反応活性基の増加が可能
となる。また、アミノグリカンの導入数の増加により反
応活性基を増加させることも可能となる。これらにより
免疫測定の感度向上が達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、O−アルキル化アミノ
グリカンを用いた免疫測定用標識試薬、特に標識物質の
増感を可能とした免疫測定用標識試薬に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】本発明者
らは、免疫測定法の高感度化の手段として、1分子当た
り多数の反応活性基を有する化合物として、例えばキト
サン、ポリガラクトサミン、ポリノイラミン酸等のアミ
ノグリカンを用いて、これらに存在する反応活性基の大
部分を多数の標識物質で標識した化合物と免疫物質を結
合させ、免疫物質1分子当たりの標識物質量を増加させ
る方法を先に開発した(WO90/13029号公
報)。特に、反応活性基としてアミノ基を有するキトサ
ンは入手の容易な物質であることから、好適に用いられ
ている。しかし、この方法では例えば、キトサンを用い
た場合、その測定感度は1ng/ml程度であり、極め
て微量に存在する生理活性物質等の免疫測定には、必ず
しも充分とはいえないのが実情である。従って、さらな
る高感度化を図ることが要請されている。この方法とし
て、例えばさらに高分子量のキトサンを用いて反応活性
基の数を増加させる方法や免疫測定用標識試薬中でのキ
トサンの導入数を増加させて反応活性基を増加させる方
法等が考えられる。
【0003】しかしながら、キトサン等のアミノグリカ
ンは容易に分子間水素結合を形成してアグリゲートとな
るため、水に対する溶解度が低く、特に高分子量化によ
り溶解度が低下すること、またアミノグリカンの導入数
を増加させると最終的な標識試薬が水に対して高い溶解
度を有するとはいい難いことなどの問題点を有してい
る。そのため、キトサン等のアミノグリカンの高分子量
化やアミノグリカンの導入数の増加により高感度化を図
るとしても、適用できるアミノグリカンの分子量、アミ
ノグリカンの導入数に制限がある。従って、アミノグリ
カンを用いた免疫測定の感度の向上にも限界があるのが
実情である。
【0004】従って、本発明の目的は、キトサン等の高
分子量のアミノグリカンを用いたり、またアミノグリカ
ンの導入数を増加させて反応活性基の数を増加させた場
合でも、水に対して高い溶解度を保持させるために、分
子間水素結合の形成を妨げるようなアルキル基を導入し
たアミノグリカンを用いる、高感度測定の可能な免疫測
定用標識試薬を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題を
解決するために鋭意検討した。その結果、キトサン等の
アミノグリカンのヒドロキシル基特に水素結合を形成し
易い一級ヒドロキシル基に特定の置換基を導入して分子
間水素結合の形成を妨げることにより、水に対する溶解
度を高くすることが可能となること、また得られたO−
アルキル化アミノグリカンを免疫測定用標識試薬に適用
することにより前記の課題を解決できることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明の要旨は、(1)O−アルキ
ル化アミノグリカンに免疫物質と標識物質が結合した複
合体よりなる免疫測定用標識試薬、(2)O−アルキル
化アミノグリカンに免疫物質が結合し、かつ反応特異性
を有する複数の化合物を介して標識物質が該O−アルキ
ル化アミノグリカンに結合した複合体よりなる免疫測定
用標識試薬、並びに(3)O−アルキル化アミノグリカ
ンに免疫物質と反応特異性を有する一方の化合物が結合
した複合体と、該化合物との反応特異性を有する他方の
化合物が標識物質で標識された複合体よりなる免疫測定
用標識試薬に関する。
【0007】本発明に用いられるO−アルキル化アミノ
グリカンは、O−アルキル化をアルカリ性条件下で行う
ため、キトサン等のアミノグリカンを直接原料とするこ
とができない。従って、本発明においては、キチン、ポ
リN−アセチルガラクトサミン、ポリN−アセチルノイ
ラミン酸などのN−アセチルアミノグリカンを原料とし
て用い、それらが有するヒドロキシメチル基をアルコキ
シメチル基等に誘導し、次いで、N−アセチル基を除去
したものである。本発明におけるO−アルキル化アミノ
グリカンは、O−アルキル基等を導入することにより水
に対する溶解性が高まり、高分子量化したアミノグリカ
ンであっても充分な溶解性を示す。なお、本明細書にお
いて、O−アルキル化とはアルコールの酸素原子にアル
キル基(炭素原子数1〜3)、ヒドロキシアルキル基
(炭素原子数1〜3)、又はカルボキシアルキル基(炭
素原子数1〜5)等が導入されていることを意味する。
【0008】本発明においてN−アセチルアミノグリカ
ンは、特に限定されるものではないが、なかでもキチン
が好適に使用される。N−アセチルアミノグリカンとし
てキチンを用い、脱アセチル化した後のO−アルキル化
キトサンの構造は、次のように推定される。
【0009】
【化1】
【0010】(式中、Rはアルキル基、ヒドロキシアル
キル基またはカルボキシアルキル基を表す。) 本発明に用いられるO−アルキル化アミノグリカンは、
種々の公知の方法により調製することができ、その調製
方法は特に限定されるものではない。例えば、下記の方
法a〜方法dが挙げられる(Agric. Biol. Chem., 55
(10), 2627 〜2628(1991)、Carbohydrate Research, 22
5, 175 〜178(1992) 、Methods Enzymol., 161, 408〜4
10(1988))。即ち、方法aはアルカリ溶液中においてN
−アセチルアミノグリカンをハロゲン化アルキルで処理
してアルキル基を導入する方法、方法bはアルカリ溶液
中においてN−アセチルアミノグリカンをジアルキル硫
酸で処理してアルキル基を導入する方法、方法cはアル
カリ中、エチレンクロロヒドリンでN−アセチルアミノ
グリカンを処理することによりO−(2−ヒドロキシエ
チル)化アミノグリカンを製造する方法、方法dはアル
カリ中、モノクロロ酢酸でN−アセチルアミノグリカン
を処理することによりO−カルボキシメチル化アミノグ
リカンを製造する方法である。
【0011】具体的には、方法aではN−アセチルアミ
ノグリカンを35%水酸化ナトリウム水溶液に加え一夜
攪拌した後氷を加え、水酸化ナトリウム水溶液の最終濃
度を14%に調整してN−アセチルアミノグリカンのア
ルカリ溶液を得る。この溶液を氷冷しながらヨウ化メチ
ル、臭化エチル等のハロゲン化アルキルを滴下し、つい
で室温に戻して3時間攪拌する。これによりN−アセチ
ルO−アルキル化アミノグリカンを得ることができる。
得られた反応液を透析した後、水酸化ナトリウム水溶液
を加えて最終濃度が10%になるように調整し、100
℃で1時間加熱してN−アセチル基を遊離のアミノ基と
する。この反応液を冷却した後透析し、目的のO−アル
キル化アミノグリカンを得る。
【0012】方法bでは、N−アセチルアミノグリカン
を方法aと同様にしてアルカリ溶液とし、ついでこの溶
液を氷浴中、激しく撹拌しながら、時間をかけてゆっく
りとジメチル硫酸等のジアルキル硫酸を滴下する。反応
混合物を一夜室温に保った後、中和し、透析した後40
℃で減圧濃縮し、アセトンを添加して析出する沈澱物を
遠心分離により集め、乾燥する。次いで、方法aと同様
に脱アセチル化して、目的のO−アルキル化アミノグリ
カンを得ることができるが、アルキル化の程度のより高
い誘導体を得たいときは、ジアルキル硫酸処理を繰り返
す。
【0013】方法cでは、N−アセチルアミノグリカン
を方法aと同様にしてアルカリ溶液とし、ついでこの溶
液を氷浴中、激しく撹拌しながら、時間をかけてゆっく
りとエチレンヒドロクロリンのアルカリ溶液を滴下す
る。反応混合物を一夜室温に保った後、中和し、透析し
た後40℃で減圧濃縮し、アセトンを添加して析出する
沈澱物を遠心分離により集め、乾燥する。次いで、方法
aと同様に脱アセチル化して、目的のO−アルキル化ア
ミノグリカンを得ることができる。
【0014】また、方法dでは、N−アセチルアミノグ
リカンを方法aと同様にしてアルカリ溶液とし、ついで
この溶液を氷浴中、激しく撹拌しながら、時間をかけて
ゆっくりとモノクロロ酢酸の塩のアルカリ溶液を滴下す
る。反応混合物を一夜室温に保った後、中和し、透析し
た後40℃で減圧濃縮し、アセトンを添加して析出する
沈澱物を遠心分離により集め、乾燥する。次いで、方法
aと同様に脱アセチル化して、目的のO−アルキル化ア
ミノグリカンを得ることができる。
【0015】このO−アルキル化反応は、いずれも発熱
反応であるので、慎重に反応温度を制御することを要す
る。反応温度が50℃を越えるとアルキル化剤の分解が
起こり、10℃未満では反応速度が小さくなり、十分な
O−アルキル化が達成されない。N−アセチルアミノグ
リカンとして例えばキチンを用いた場合、キチンの分子
量は、通常104 〜105 程度であるが、本発明におい
ては、高分子量キチンを用いて反応活性基の数を増加さ
せることを目的とする点から、通常104 〜107 、好
ましくは105 〜106 程度のものが使用される。
【0016】キチン等のN−アセチルアミノグリカンを
14%水酸化ナトリウム水溶液に溶解する場合は、通常
0.1〜10mg/ml、好ましくは1〜3mg/ml
の濃度で用いる。N−アセチルアミノグリカンに対する
ハロゲン化アルキル、ジアルキル硫酸、エチレンクロロ
ヒドリンまたはモノクロロ酢酸の割合は、使用するN−
アセチルアミノグリカンの分子量や濃度にもよるが、N
−アセチルアミノグリカンのグルコサミン単位1mol
に対しておよそ1〜5モル程度である。5モルを越えて
用いると副反応やアルキル化剤の分解熱によるN−アセ
チルアミノグリカンの分解が起こり、1モル未満ではア
ルキル基の導入量が少なくなり効果が得られない。反応
時間は、反応温度にもよるが通常2〜12時間である。
このようにして得られるN−アセチルO−アルキル化ア
ミノグリカンの反応液からの単離は、常法により行うこ
とができ、例えばアルカリで中和後、反応液をpH10
に調整した水溶液に対して透析し、生じた沈澱を遠心除
去した後メタノール添加後に析出する沈澱物を濾取する
ことにより行うことができる。
【0017】次に、後の反応に遊離のアミノ基を必要と
することから、こうして得られる生成物を10%水酸化
ナトリウム水溶液に溶解し、加熱処理することにより、
N−アセチル基のみを脱離せしめ、アミノ基を遊離にす
ることができる。
【0018】本発明の免疫測定用標識試薬は、免疫物質
の結合したO−アルキル化アミノグリカンに直接または
間接的に標識物質が結合された複合体よりなるものであ
る。即ち、免疫物質の結合したO−アルキル化アミノグ
リカンの大部分の反応活性基(アミノ基)に、直接的に
標識物質が結合しているもの、あるいは標識物質で修飾
された化合物が結合して間接的に標識物質が結合してい
るものである。
【0019】まず、O−アルキル化アミノグリカンと標
識物質を直接的に結合させた本発明の免疫測定用標識試
薬を調製するには、例えば縮合剤として1−エチル−3
−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、
ジ−p−トレオイルカルボジイミド、1−シクロヘキシ
ル−3−(2−モルフォリノエチル)カルボジイミド
(CHMC)のような水溶性カルボジイミド、またはジ
シクロヘキシルカルボジイミドのようなカルボジイミド
類や、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ブロモスク
シンイミド等の存在下でO−アルキル化アミノグリカン
と標識物質を反応させることによって、O−アルキル化
アミノグリカンと標識物質の結合体(O−アルキル化ア
ミノグリカン−標識物質)が製造される。ここで標識物
質としては、フルオレセイン、ローダミン類、クマリン
系色素、シアニン系色素等の蛍光色素類、ペルオキシダ
ーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ等の酵素類等、免
疫測定において標識物質として通常使用されるものが例
示され、いずれでもよい。
【0020】次に、O−アルキル化アミノグリカン−標
識物質のO−アルキル化アミノグリカン部分と免疫物質
を結合させるには、縮合剤として前記と同様のカルボジ
イミド類、N−ブロモスクシンイミド類の存在下でO−
アルキル化アミノグリカン−標識物質と免疫物質を反応
させることによって、免疫物質がO−アルキル化アミノ
グリカン−標識物質のO−アルキル化アミノグリカン部
分に結合した複合体(免疫物質−O−アルキル化アミノ
グリカン−標識物質)を調製することができる。この縮
合反応は免疫物質分子中のカルボキシル基とO−アルキ
ル化アミノグリカン分子中のアミノ基が縮合するものと
考えられる。
【0021】また、免疫物質の結合したO−アルキル化
アミノグリカンに反応特異性を有する複数の化合物を介
して標識物質が結合した複合体よりなる免疫測定用標識
試薬を調製するには、O−アルキル化アミノグリカンと
標識物質の間に特異的に結合する通常2種類の化合物
(化合物Aおよび化合物B)を介在させる。即ち、免疫
物質が結合した複数の反応活性基(アミノ基)を有する
O−アルキル化アミノグリカンには化合物Bが結合し、
該化合物Bには標識物質で修飾された化合物Aが結合し
た複合体となる(免疫物質−O−アルキル化アミノグリ
カン−化合物B−化合物A−標識物質)。このような化
合物Aと化合物Bの組み合わせは、蛋白質と該蛋白質と
特異的に結合する化合物であることが望ましく、具体的
には、アビジンとビオチン、プロテインAと抗体、抗体
とプロテインAなどが好ましく、特にアビジンとビオチ
ンの組み合わせが最適である。即ち、例えば免疫物質の
結合したO−アルキル化アミノグリカンのアミノ基にビ
オチンが結合しており、該ビオチンには標識物質で標識
されたアビジンが結合した複合体が好適な例として挙げ
られる。
【0022】また、本発明の免疫測定用標識試薬は、免
疫物質と結合したO−アルキル化アミノグリカンに反応
特異性を有する一方の化合物が結合した複合体と、標識
物質で標識された該化合物と反応特異性を有する他方の
化合物の複合体よりなるものであってもよく、例えば免
疫物質の結合したO−アルキル化アミノグリカンのアミ
ノ基にビオチンが結合した複合体と、標識物質で標識さ
れたアビジンを組み合わせたものが好適な例として挙げ
られる。
【0023】本発明において、前記のような化合物Aお
よび化合物Bを介在させた複合体を用いて免疫測定用標
識試薬を調製するには、まず、化合物BをO−アルキル
化アミノグリカンの大部分の反応活性基と反応させて、
O−アルキル化アミノグリカン−化合物B複合体(O−
アルキル化アミノグリカン−化合物B)とした後、免疫
物質と反応させて複合体(免疫物質−O−アルキル化
アミノグリカン−化合物B)とし、一方化合物Aを標識
物質で標識し、複合体とする。次いで、複合体と複
合体を反応させて複合体(免疫物質−O−アルキル
化アミノグリカン−化合物B−化合物A−標識物質)と
する。このような方法により、本発明の免疫測定用標識
試薬である複合体および複合体の組み合わせ、ある
いは複合体を調製する。本発明においては、このよう
な反応順序が好ましく、この順序を変えた場合、副反応
がおき、収率が低下する。
【0024】以下に、O−アルキル化アミノグリカンと
してO−アルキル化キトサン(以下、a−キトサンと略
す)を、化合物Aとしてアビジンを化合物Bとしてビオ
チンを、また標識物質として蛍光色素を用いた免疫測定
用標識試薬の調製例について、さらに具体的に説明す
る。a−キトサンは分子中に多数のアミノ基を有してお
り、a−キトサンとビオチンを塩基性溶液中、水溶性カ
ルボジイミド(CHMC)、N−ヒドロキシスクシンイ
ミドのような縮合剤の存在下で反応させると、大部分の
a−キトサンのアミノ基にビオチンがアミド結合してビ
オチン化a−キトサンが得られる。このビオチン化a−
キトサンに免疫物質である蛋白質を上記と同様の縮合剤
を用いて反応させると、a−キトサンの残余の遊離アミ
ノ基に蛋白質(免疫物質)が結合したビオチン化a−キ
トサンが得られる。
【0025】一方、蛍光色素で修飾したアビジンを、蛍
光色素として、例えばシアニン色素のカルボキシル基と
蛋白質であるアビジンのアミノ基とを上記と同様の方法
で反応させて得ることができる。即ち、シアニン色素の
カルボキシル基は、アビジンのアミノ基と有機溶媒中
で、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドのような縮
合剤を用いて、常法により容易に縮合させてアミド結合
させることができる。シアニン色素とアビジンとの反応
終了後、未反応物はなるべく除去することが好ましく、
例えば透析法、遠心分離法、ゲル濾過法又は限外濾過法
などによって除くことができる。次に、上記の蛋白質
(免疫物質)が結合したビオチン化a−キトサンに上記
の蛍光色素で修飾したアビジンを反応させると、アビジ
ンはビオチンと選択的に非常に高い親和力を持って結合
することにより、本発明の免疫測定用標識試薬を得るこ
とができる。
【0026】通常のキチンはアセチル化したアミノ基を
複数個有する分子量104 〜7×105 程度の化合物で
あり、脱アセチル化すれば1分子当たりのアミノ基の数
は50〜3500個であるが、本発明におけるように、
例えば106 〜2×106 程度の高分子量キチンを使用
することにより、脱アセチル化後の1分子当たりのアミ
ノ基の数を5000〜10000個にすることができ
る。従って、O−アルキル化した高分子量キチンの脱ア
セチル化体(a−キトサン)を用いることより、免疫測
定の感度が2〜3倍上昇する。また、高感度化を図る方
法として、キトサンの導入部位を増加させる方法が挙げ
られる。例えば、免疫物質と結合したa−キトサンに間
接的に標識物質を結合させる場合、アビジンと標識物質
の間にさらにa−キトサンを介してもよい。即ち、免疫
物質−a−キトサン−ビオチン−アビジン−a−キトサ
ン−標識物質であってもよい。アビジンとa−キトサン
との結合は、前記と同様の縮合剤の存在下で反応させる
ことにより容易に行うことができる。このようにするこ
とにより免疫測定の感度を約100倍程度高めた免疫測
定用標識試薬を調製することができる。このような本発
明の免疫測定用標識試薬は、蛍光免疫測定、酵素免疫測
定等の公知の免疫測定方法において使用できる。
【0027】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。 実施例1(O−エチル化キトサン) (1)65mlの水に35gの水酸化ナトリウムを溶か
し、この水溶液に分子量約2×106 のキチン(一丸フ
ァルコス社製)0.5gを加え一夜撹拌した。 (2)得られたキチン膨潤液に150mlの氷水を加
え、アルカリキチン溶液を得た。
【0028】(3)前記のアルカリキチン溶液の中に、
氷冷しながら臭化エチル4mlをゆっくり滴下し、滴下
し終えた後室温に戻して3時間撹拌した。 (4)前記(3)の反応液を蒸留水に対して透析した
後、新たに水酸化ナトリウムを加えて最終濃度が10%
になるように調整した。さらに、この反応液を100℃
にて1時間加熱した。 (5)前記(4)の反応液を冷却した後、蒸留水に対し
て透析することによって6−位にエチル基の導入された
キトサン水溶液(a−キトサン水溶液)を得た。
【0029】(6)トリエチルアミン0.2mlとエタ
ノール1mlを混合し、ここへシアニン色素の一種NK
1160(日本感光色素研究所製)を2mg溶解した。 (7)前記(5)で得られたa−キトサン水溶液1ml
に前記(6)のNK1160の溶液を加え、さらに1−
エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボ
ジイミド(WSC)0.3mlを添加し、暗所下、室温
で一晩反応させた。 (8)前記(7)の反応物をエタノールで2回洗浄し、
未反応NK1160、WSCを除去した後、沈殿中に残
ったエタノールをアスピレータを用いて減圧除去した。 (9)前記(8)で得られた乾固物をリン酸緩衝生理食
塩水(PBS)2mlに溶解し、さらにヤギ由来抗ヒト
Ig抗体100μgを加え、さらに水溶性カルボジイミ
ド(CHMC)10mgを添加して4℃、6時間反応さ
せた。反応終了後、陰イオン交換カラムを用いて未反応
物を除去し、ヤギ由来抗ヒトIg抗体−a−キトサン−
NK1160を得た。
【0030】(10)ポリメタクリル酸メチル製の樹脂
製光ファイバー(三菱レイヨン(株)製)を3cmに切
り、両端面をエタノールを潤滑剤としてポリシングフィ
ルムで研磨した。 (11)0.5mlの水に10mgの硫酸ニッケルを溶
かし、次いで2.5mlのエタノールを加えた。この際
に生じる沈殿を遠心分離にて除去し、採取した上清をニ
ッケル−エタノール溶液とした。次にエタノール溶媒の
20mM水酸化カリウム溶液0.4mlにニッケル−エ
タノール溶液0.1mlと50%グルタルアルデヒド5
0μlを添加し混合して、処理溶液とした。
【0031】(12)前記(10)の光ファイバーの片
面を前記(11)の処理溶液中に、50℃で10分間浸
漬した後、20mM塩酸、次にPBSで洗浄した。次に
この光ファイバーを2mg/mlのヒト膵アミラーゼ溶
液に浸漬し、4℃で一晩放置した。 (13)光ファイバーを溶液から取り出し、1%水素化
ホウ素ナトリウム水溶液に15分間浸漬した後、PBS
で洗浄して、ヒト膵アミラーゼ固定化センサーとし、こ
れを検出部とした。 (14)濃度既知のヒト膵アミラーゼ抗体溶液の中に、
前記(13)の検出部を20分間浸漬し、前記(9)で
調製したヤギ由来抗ヒトIg抗体−a−キトサン−NK
1160の溶液中に20分間浸漬した。次いで、0.0
5%トゥイーン20含有PBS(Tween PBS)で洗浄後、
1個のレーザを使用する蛍光測定系である図1に示す装
置を用いて、ヘリウム−ネオンレーザ系で測定したとこ
ろ、ヒト膵アミラーゼ抗体の濃度を0.3ng/mlま
で測定することができた。
【0032】比較例1 (1)実施例1の(7)において、a−キトサンの代わ
りにO−アルキル化処理をしていないキトサンを用いた
場合、NK1160で修飾されたキトサンはPBSに不
溶性となり使用不能となった。
【0033】実施例2(O−エチル化ポリノイラミン
酸) (1)キチンの代わりに分子量約106 のポリN−アセ
チルノイラミン酸3mg/mlを使用する以外は、実施
例1の(1)〜(5)と同様の方法で、O−アルキル基
の導入されたポリノイラミン酸(a−ポリノイラミン
酸)の水溶液を得た。 (2)前記(1)のa−ポリノイラミン酸にペルオキシ
ダーゼ2mgを溶解し、さらに60mgのCHMCを加
えて4℃、5時間反応させた。反応終了後、陰イオン交
換カラムを用いて未反応物を除去し、さらにヤギ由来抗
ヒトIg抗体100μgを加えCHMC10mgを加え
て4℃、5時間反応させた。反応終了後、再び陰イオン
交換カラムを用いて精製し、ヤギ由来抗ヒトIg抗体−
a−ポリノイラミン酸−ペルオキシダーゼを得た。
【0034】(3)EIA用マイクロプレートウェルに
ヒト膵アミラーゼ溶液を注入し、ヒト膵アミラーゼを吸
着させた。 (4)濃度既知のヒト膵アミラーゼ抗体溶液を前記
(3)のウェルに注入し、30分間抗原抗体反応をさせ
た。 (5)前記(4)のウェルを Tween PBSで3回洗浄後、
前記(2)で得られたヤギ由来抗ヒトIg抗体−a−ポ
リノイラミン酸−ペルオキシダーゼを加えて30分間抗
原抗体反応をさせ、さらに Tween PBSで3回洗浄した。 (6)次に1mg/mlのルミノール水溶液をウェルに
注入し、15分間酵素反応をさせた。 (7)425nmの発光量をフォトンカウンターで測定
したところ、0.3ng/mlまでヒト膵アミラーゼ抗
体を検出できた。
【0035】実施例3(O−プロピル化キトサン) (1)実施例1の(1)〜(5)と同様の方法でヨウ化
プロピルを用い、プロピル基を導入したa−キトサン溶
液を得た。 (2)100μlの水に4mgの炭酸ナトリウムと10
mgのビオチンを溶かした。次いで、前記(1)で得ら
れたa−キトサン溶液2mlと混合し、更にCHMCを
60mg添加して、室温で2時間反応させた。反応後、
蒸留水に対して一晩透析した。透析後、回収された透析
物をビオチン化−a−キトサンとした。
【0036】(3)前記(2)のビオチン化−a−キト
サン懸濁液にウサギ由来ヒトカルシトニン抗体100μ
gを加え、さらに水溶性カルボジイミド10mgを添加
して、4℃、6時間反応させた。反応終了後、陰イオン
交換カラムを用いて未反応物を除去し、ウサギ由来ヒト
カルシトニン抗体が結合したビオチン化−a−キトサン
を得た。 (4)アビジン1mgおよびトリエチルアミン0.2m
lを1mlのエタノールに溶解させた。次いでNK11
60を加えて充分に溶解させ、ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド0.3mlを加えて室温で一晩反応させた。
【0037】(5)遠心分離でアビジンを沈殿回収後、
この沈殿をエタノールで2回洗浄し、遠心回収後、アス
ピレータで沈殿中に残っているエタノールを減圧除去し
た。この残留物を20mM酢酸緩衝液(pH6.5)に
溶解し、NK1160で修飾されたアビジンを得た。 (6)ポリメタクリル酸メチル製の樹脂製光ファイバー
(三菱レイヨン(株)製)を3cmに切り、両端面をエ
タノールを潤滑剤としてポリシングフィルムで研磨し
た。 (7)0.5mlの水に10mgの硫酸ニッケルを溶か
し、次いで2.5mlのエタノールを加えた。この際に
生じる沈殿を遠心分離にて除去し、採取した上清をニッ
ケル−エタノール溶液とした。次にエタノール溶媒の2
0mM水酸化カリウム溶液0.4mlにニッケル−エタ
ノール溶液0.1mlと50%グルタルアルデヒド50
μlを添加し混合して、処理溶液とした。
【0038】(8)前記(6)の光ファイバー片面を前
記(7)の処理溶液中に、50℃で10分間浸漬した
後、20mM塩酸、次いでPBSで洗浄した。次にこの
光ファイバーを2mg/mlのヤギ由来ヒトカルシトニ
ン抗体溶液に浸漬し、4℃で一晩放置した。 (9)光ファイバーを溶液から取り出し、1%水素化ホ
ウ素ナトリウム水溶液に15分間浸漬した後、PBSで
洗浄して、ヤギ由来ヒトカルシトニン抗体固定化センサ
ーを作製し、これを検出部とした。 (10)前記(3)のウサギ由来ヒトカルシトニン抗体
が結合したビオチン化−a−キトサンと前記(5)のN
K1160で修飾されたアビジンを混合し、凍結乾燥し
て2週間、−20℃に保存した。 (11)各濃度のカルシトニン溶液10μlに前記
(9)の検出部を浸漬し、室温で30分間放置後、前記
(10)の凍結乾燥粉末を蒸留水に懸濁した溶液に30
分間浸漬した。 (12)0.2%トゥイーン20含有1Mチオシアン酸
カリウム水溶液で洗浄後、実施例1と同様にして図1に
示す装置を用いて測定したところ、カルシトニンの濃度
を0.3ng/mlまで測定することができた。
【0039】比較例2 (1)実施例3の(3)において、a−キトサンの代わ
りに、未処理のキトサンを用いてウサギ由来ヒトカルシ
トニン抗体が結合したビオチン化キトサンを製造したと
き、キトサンは分子量が3×105 のものまでしか用い
ることができなかった。この場合、分子量が3×105
以上になると水に対して不溶性となるため使用不能とな
った。 (2)分子量3×105 の未処理キトサンを用いてウサ
ギ由来ヒトカルシトニン抗体が結合したビオチン化キト
サンを製造し、それ以外は実施例3と同様の方法でヒト
カルシトニンを測定したことろ、1ng/mlまでしか
測定できなかった。
【0040】実施例4(O−エチル化キトサン) (1)実施例1の(1)〜(8)と同様の方法でNK1
160の結合したa−キトサン(F−a−キトサン)を
得た。 (2)前記(1)で得られたF−a−キトサンの乾固物
をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)2mlに溶解し、さ
らにアビジン100μgを加え、さらに水溶性カルボジ
イミド(CHMC)10mgを添加して4℃、6時間反
応させた。反応終了後、陰イオン交換カラムを用いて未
反応物を除去し、アビジン−F−a−キトサン(A−F
−a−キトサン)を得た。 (3)実施例3の(2)〜(3)と同様の方法でウサギ
由来ヒトカルシトニン抗体が結合したビオチン化−a−
キトサンを得た。 (4)実施例3の(6)〜(9)と同様の方法でヤギ由
来ヒトカルシトニン抗体固定化センサーを作成し、これ
を検出部とした。
【0041】(5)各濃度のカルシトニン溶液10μl
に前記(4)の検出部を浸漬し、室温で30分放置後、
前記(3)のビオチン化−a−キトサン溶液に20分浸
漬した。 (6)PBSで洗浄後、前記(2)のA−F−a−キト
サン溶液に10分浸漬した。 (7)0.2%トゥイーン20含有1Mチオシアン酸カ
リウム水溶液で洗浄後、実施例1と同様にして図1に示
す装置で測定したところ、カルシトニンの濃度を5pg
/mlまで測定することができた。
【0042】実施例5(O−エチル化ポリガラクトサミ
ン) (1)キトサンの代わりに分子量105 のポリガラクト
サミンを用いて実施例4と同様の方法でカルシトニンを
測定した。 (2)図1に示す装置で測定したところ30pg/ml
まで測定できた。
【0043】実施例6(O−エチル化キトサン) (1)実施例1の(1)〜(5)と同様の方法でa−キ
トサン溶液を得た。 (2)実施例3の(2)〜(3)と同様の方法により、
ウサギ由来ヒトカルシトニン抗体が結合したビオチン化
−a−キトサンを、および実施例3の(4)〜(5)と
同様の方法により、NK1160で修飾されたアビジン
を得た。また、実施例3の(6)〜(9)と同様の方法
によりヤギ由来ヒトカルシトニン抗体固定化センサーを
作製し、これを検出部とした。 (3)各濃度のカルシトニン溶液10μlに前記(2)
の検出部を浸漬し、室温で30分間放置後、前記(2)
のウサギ由来ヒトカルシトニン抗体が結合したビオチン
化−a−キトサン溶液にさらに30分浸漬した。 (4)PBSで洗浄した後、前記(2)のNK1160
で修飾されたアビジンに10分間浸漬した。 (5)0.2%トゥイーン20含有1Mチオシアン酸カ
リウム水溶液で洗浄後、実施例1と同様にして図1に示
す装置を用いて測定したところ、カルシトニンの濃度を
0.3ng/mlまで測定することができた。
【0044】実施例7(O−エチル化キトサン) (1)カニ甲殻0.8gから調製したN−アセチルキト
サンゲル(d.s.1.0)を流水に対し2日間透析
し、ついで蒸留水に対し1日透析した。このゲルを蒸留
水中でホモゲナイズし、0.5%水酸化ナトリウム水溶
液で洗浄し、濾取して約18gのゼラチン様物質を得
た。この物質を46%水酸化ナトリウム水溶液の15.
5mlに懸濁し、室温で2時間撹拌した。得られる膨潤
物質に氷片を加えて撹拌し、液量を50mlに調整し
た。この操作で、14%水酸化ナトリウム水溶液中に2
%アルカリ性キチン溶液が得られた。
【0045】(2)得られたアルカリ性キチン溶液を氷
浴中、激しく撹拌しながら20分かけてジエチル硫酸
(GlcNに対し16モル等量)を滴下した。反応混合物を
一夜室温に保ち、酢酸水溶液で中和した後、激しく撹拌
しながら無水酢酸(2ml)を滴下した。ついで、水道
水に対し3日間透析し、さらに蒸留水に対し1日間透析
した。遠心分離(1500g×20分)により少量の不
溶物を除き、澄明な上清を40℃で減圧濃縮して約50
mlとする。これに約50mlのアセトンを添加し、遠
心分離により沈澱物を集め、乾燥した。 (3)得られたO−エチル化キチンを0.2gの水素化
ホウ素ナトリウムを含む10%水酸化ナトリウム水溶液
100mlに溶かし、80℃で9時間加熱した。次い
で、反応液を冷却し、酢酸で中和し、流水に対し3日つ
いで蒸留水に対し1日透析し、O−エチル化キトサン
(d.s0.7)の水溶液(a−キトサン水溶液)を得
た。
【0046】(4)得られたO−エチル化キトサンを用
いて実施例1(6)〜(14)と同様に処理して、濃度
既知のヒト膵アミラーゼ抗体の濃度を測定したところ、
0.3ng/mlまで測定することができた。
【0047】実施例8(O−ヒドロキシエチル化キトサ
ン) (1)0.2%ドデシル硫酸ナトリウムを含む42%水
酸化ナトリウム水溶液の80ml中に、粉末キチン(一
丸ファルコス社製)4gを懸濁し、この懸濁液を減圧下
(約20mmHg)に室温で4時間撹拌した。水酸化ナ
トリウム水溶液の濃度が42%よりも低い場合は、水溶
性キチンの収率が低下した。このアルカリキチンを濾取
し、少量の42%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、湿
重量14g以下になるまで圧縮した。こうして得られた
アルカリキチンのケーキをビーカーに移し、細氷60g
と激しく混合した。この混合物を氷浴中で30分間撹拌
すると、高度に粘ちょうなアルカリキチンが得られた。
このアルカリキチンを、112mlの水に28gの水酸
化ナトリウムを溶解して得られる水溶液で希釈した。水
酸化ナトリウム水溶液の濃度は14%となった。
【0048】(2)このアルカリキチン溶液を、氷浴中
で冷却し、これに氷浴中で70mlの14%水酸化ナト
リウム水溶液中に溶解したエチレンクロロヒドリン39
ml(N−アセチル−D−グルコサミン残基当たり24
等量)を30分間かけて攪拌しながら滴下した。つい
で、この混合物を一夜室温に放置した。反応混合物を冷
却しながら酢酸で中和した後、流水に対して2日間つい
で蒸留水に対して1日間透析した。不溶物を遠心分離
(5000rpm,20分)で除き、その上清に3倍量
のアセトンを加えて一夜放置し、生じた沈澱物を遠心分
離(5000rpm,20分)で集め、アセトンで洗浄
した。この生成物を約30mlのエタノール中に再懸濁
し、濾過により集めて風乾し、約3.5gのO−ヒドロ
キシエチル化キチンを得た。 (3)こうして得られたO−ヒドロキシエチル化キチン
を10%水酸化ナトリウム水溶液中に溶かし、100℃
で1時間加熱した後冷却し、酢酸で中和し、ついで流水
さらに蒸留水に対して順次透析した。こうしてO−ヒド
ロキシエチル化キトサン水溶液(a−キトサン水溶液)
を得た。
【0049】(4)得られたO−ヒドロキシエチル化キ
トサンを用いて実施例1(6)〜(14)と同様に処理
して、濃度既知のヒト膵アミラーゼ抗体の濃度を測定し
たところ、0.3ng/mlまで測定することができ
た。
【0050】実施例9(O−カルボキシメチル化キトサ
ン) (1)実施例8(1)と同様にして14%水酸化ナトリ
ウム水溶液に溶解したアルカリキチン溶液を調製した。 (2)このアルカリキチン溶液を氷浴中で冷却し、70
mlの14%水酸化ナトリウム水溶液中に溶解したモノ
クロロ酢酸ナトリウム28g(N−アセチル−D−グル
コサミン残基当たり12倍等量)を冷却下に30分かけ
て攪拌しつつ滴下した。この混合物を一夜室温に放置し
た。反応混合物を冷却しながら酢酸で中和した後、流水
に対して2日間ついで蒸留水に対して1日間透析した。
不溶物を遠心分離(5000rpm,20分)で除き、
その上清に3倍量のアセトンを加えて一夜放置し、生じ
た沈澱物を遠心分離(5000rpm,20分)で集
め、アセトンで洗浄した。この生成物を約30mlのエ
タノール中に再懸濁し、濾過により集めて風乾し、約
3.7gのO−カルボキシメチル化キチンを得た。
【0051】(3)こうして得られたO−カルボキシメ
チル化キチンを10%水酸化ナトリウム水溶液中に溶か
し、100℃で1時間加熱した後冷却し、酢酸で中和
し、ついで流水さらに蒸留水に対して順次透析した。こ
うしてO−カルボキシメチル化キトサン水溶液(a−キ
トサン水溶液)を得た。 (4)ついで、実施例1(6)〜(14)と同様にし
て、濃度既知のヒト膵アミラーゼ抗体溶液中の濃度を測
定したところ、0.3ng/mlまで測定することがで
きた。
【0052】
【発明の効果】本発明のO−アルキル化アミノグリカン
は、アミノグリカンのヒドロキシル基をO−アルキル基
等に変換したものであり、これにより水に対する溶解度
が高く、高分子量アミノグリカンの適用が可能となり、
アミノグリカンの反応活性基の増加が可能となる。ま
た、水に対する溶解度が高くなることから、アミノグリ
カンの導入数を増加させることにより反応活性基を増加
させることも可能となった。これらにより免疫測定の感
度向上が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は1個のレーザを使用する蛍光測定系の概
略図である。
【符号の説明】
1 光ファイバー 2 レーザ 3 光軸合わせのためのガイドレール 4 検出部 5 フィルター 6 蛍光検出器 7 ハーフミラー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 O−アルキル化アミノグリカンに免疫物
    質と標識物質が結合した複合体よりなる免疫測定用標識
    試薬。
  2. 【請求項2】 O−アルキル化アミノグリカンに免疫物
    質が結合し、かつ反応特異性を有する複数の化合物を介
    して標識物質が該O−アルキル化アミノグリカンに結合
    した複合体よりなる免疫測定用標識試薬。
  3. 【請求項3】 反応特異性を有する化合物がビオチンと
    アビジンであり、免疫物質の結合したO−アルキル化ア
    ミノグリカンのアミノ基にビオチンが結合しており、該
    ビオチンには標識物質で標識されたアビジンが結合した
    複合体よりなる請求項2記載の免疫測定用標識試薬。
  4. 【請求項4】 O−アルキル化アミノグリカンに免疫物
    質と反応特異性を有する一方の化合物が結合した複合体
    と、該化合物との反応特異性を有する他方の化合物が標
    識物質で標識された複合体よりなる免疫測定用標識試
    薬。
  5. 【請求項5】 反応特異性を有する化合物がビオチンと
    アビジンであり、免疫物質の結合したO−アルキル化ア
    ミノグリカンのアミノ基にビオチンが結合した複合体
    と、標識物質で標識されたアビジンよりなる請求項4記
    載の免疫測定用標識試薬。
JP20040593A 1993-07-19 1993-07-19 O−アルキル化アミノグリカンを用いた免疫測定用標識試薬 Pending JPH0735749A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1250092A4 (en) * 2000-01-18 2003-05-07 Mallinckrodt Inc NEW DYES

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