JPH0735618A - 熱電変換素子 - Google Patents

熱電変換素子

Info

Publication number
JPH0735618A
JPH0735618A JP5178182A JP17818293A JPH0735618A JP H0735618 A JPH0735618 A JP H0735618A JP 5178182 A JP5178182 A JP 5178182A JP 17818293 A JP17818293 A JP 17818293A JP H0735618 A JPH0735618 A JP H0735618A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoelectric conversion
thin film
conversion material
substrate
sintered body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5178182A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Amano
隆 天野
Makoto Okabayashi
真 岡林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Technova Inc
Original Assignee
Technova Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Technova Inc filed Critical Technova Inc
Priority to JP5178182A priority Critical patent/JPH0735618A/ja
Publication of JPH0735618A publication Critical patent/JPH0735618A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Radiation Pyrometers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】素子作成の際の結晶化のための熱処理時または
素子使用の際の加熱時においても、微小な亀裂が生じる
ことがなく、抵抗率も低く抑えた熱電変換素子。 【構成】セラミックス焼結体、該焼結体の表面に形成し
た誘電体の薄膜、及び該薄膜の上に形成した熱電変換材
料の薄膜を含むことを特徴とする、熱電変換素子用基板
であって、誘電体の薄膜は好ましくはゾル・ゲル法で形
成されている。本発明の素子は、例えば、p型熱電変換
材料とn型熱電変換材料とが、基板表面で直接接合され
た少なくとも一か所の部分と、両者が絶縁されている少
なくとも一か所の部分とを有しており、直接接合された
部分を高温端または低温端とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱電変換材料の薄膜を
利用する熱電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】熱電変換素子は、p型,n型熱電半導体
を直接または金属電極を介して接合することによりなる
素子であり、ゼーベック効果、ペルチェ効果またはトム
ソン効果等の熱電効果を利用して、熱起電力または吸熱
もしくは発熱を素子内で起こすものである。かかる素子
は熱電変換デバイスとして、熱電冷却または熱電発電に
応用されている。
【0003】従来の熱電変換素子は、熱電変換材料の焼
結体を用いていたが、赤外線センサー等への応用という
観点から、デバイスの小型化、軽量化が必要となり、熱
電変換材料の薄膜化が望まれている。
【0004】従来より、薄膜熱電変換素子としては、熔
融法で作られた石英等よりなる緻密な基板の上に熱電変
換材料の薄膜を形成してなるもの、及び焼結法で作られ
たアルミナ等よりなる多孔質の基板の上に熱電変換材料
の薄膜を形成してなるものが知られている。しかし、こ
れらの薄膜熱電変換素子は、その熱電変換性能におい
て、同一成分の材料の焼結体を用いた素子よりも劣って
いる場合が多く、焼結体と同程度の性能を発揮させるこ
とが極めて難しかった。その原因として、薄膜と焼結体
の結晶構造や酸化度の違いなどが挙げられるが、より重
要なものとして、熱電変換材料と基板との適合性が挙げ
られる。この適合性には、熱電変換材料と基板材料との
接合親和性のほかに、(i ) 基板表面が平坦で連続
的な熱電変換材料の膜を形成できること、(ii) 熱
電効果を利用する際に基板にかなり大きな温度差が生じ
るために熱電変換材料と基板材料の熱膨張率が近いこ
と、及び(iii ) 加熱条件下で使用するので耐熱性に
優れていることが挙げられる。
【0005】一般には、薄膜の熱電変換材料のための基
板として、平坦性等の観点から、石英ガラスやアルミノ
けい酸ガラス等のガラスの基板またはアルミナなどのセ
ラミックスの基板が使用されている。たとえば、日本セ
ラミックス協会1991年会講演予稿集第527頁及び
ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジ
クス(Japanese Journal of Applied Physics)、第30
巻、第2号、1991年、第331−333頁を参照。
【0006】石英ガラスやアルミノけい酸ガラス等のガ
ラスの基板は表面の平坦性に優れているので、連続的な
熱電変換材料の薄膜を形成し、薄膜の抵抗率を低くする
ことができるという利点がある。しかしながら、例え
ば、石英ガラスの熱膨張率は約5x10-7/℃と低いの
に対し、FeSi2 系熱電変換材料の熱膨張率は約10
0x10-7/℃、PbTe系熱電変換材料の熱膨張率は
約130x10-7/℃というように、石英ガラスに比べ
て極めて大きい。このように熱膨張率が異なると、素子
作成の際の結晶化のための熱処理時または素子使用の際
の加熱時において、薄膜に熱応力が発生し、微小な亀裂
が生じてしまい、熱電変換材料の抵抗率が見かけ上非常
に大きくなるので、熱電変換性能も極端に低下してしま
うのである。アルミノけい酸ガラスは、その熱膨張率が
熱電変換材料と比較的近いので、亀裂の問題は生じにく
い。しかし、アルミノけい酸ガラスは、融点が600℃
以下と低いので、FeSi2 系熱電変換材料のように結
晶化のために約800℃で熱処理をしたり、使用時に9
00℃以上に加熱をしたりしなければならない高温用熱
電変換材料には使用することができなかった。
【0007】耐熱性の点からは、アルミナなどのセラミ
ックスの焼結体の基板が優れている。しかし、セラミッ
クス焼結体はその表面が多孔質であるため、そのままで
その上に熱電変換材料の薄膜を形成すると、焼結粒子間
に存在する空隙のために、薄膜が途切れて不連続とな
り、その結果、薄膜の抵抗率が見かけ上大きくなって、
熱電変換性能が低下してしまうという問題があった。
【0008】セラミックス焼結体を基板として用いる場
合は、その表面を鏡面研磨して平坦化することも有効で
ある。しかし、硬度の高い材料を機械的に研磨するので
焼結粒子の脱落やクラックが生じやすく、また表面研磨
に費用がかかるなどの問題があった。
【0009】一方、アルミナ基板の平坦性を上げるため
に、非晶質のガラスを数十μmの厚さに焼き付けるグレ
ーズ処理が行われている(特開平3−146437、特
開平3−290382、特開平1−290280)。し
かしながら、このグレーズ処理は、本発明の技術分野や
本発明の目的・効果とは全く異なる、ファクシミリのサ
ーマルヘッドやプリンタヘッドのための基板を製造する
技術分野において行われていたに過ぎず、薄膜熱電変換
素子の製造において、グレーズ処理を施したセラミック
ス基板を使用した例は全く見られなかった。
【0010】以上説明したように、従来の薄膜熱電変換
素子は、薄膜の抵抗率、基板と薄膜との間の熱膨張率の
差、基板の耐熱性等、基板とその上に設ける熱電変換材
料のさまざまな性質に応じて異なった構成を採用しなけ
ればならなかった。したがって、いかなる熱電変換材料
にも対応できる熱電変換素子の登場が望まれていた。
【0011】ところで、従来の焼結体を用いた熱電変換
素子の基本的構造は、図1に示すように、p型及びn型
熱電半導体11及び12を金属電極でギリシャ文字のパ
イ(π)型に接合し、負荷または直流電源13で閉回路
としたものである。しかし、薄膜材料を用いた熱電変換
素子においては、薄膜が薄くなるにつれ、かかるπ型の
接合の構成を採ることが難しくなり、素子の信頼性が低
下するという問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
問題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、多孔質のセ
ラミックス焼結体の表面に、ゾル・ゲル法、グレーズ処
理等により誘電体の薄膜を形成し、その上に熱電変換材
料の薄膜を形成すれば、素子作成の結晶化のための熱処
理時または素子使用の際の加熱時においても微小な亀裂
が生じず、かつ抵抗率の低い熱電変換素子を作製するこ
とができることを見いだし、本発明を完成した。また、
本発明者らは、上記の基板の表面に、p型熱電変換材料
及びn型熱電変換材料を用いて両者を直接接合した部分
と、両者を分離させた部分とをそれぞれ一か所以上形成
し、上記直接接合した部分を高温端または低温端とする
ことにより、熱電変換材料薄膜の膜厚いかんに関わら
ず、信頼性に優れた熱電変換素子を構成することができ
ることを見いだし、本発明を完成した。
【0013】本発明は、加熱条件下でも微小な亀裂が生
じず、かつ抵抗率の低い熱電変換素子を提供することを
目的とする。本発明の他の目的は、熱電変換材料の膜厚
いかんに関わらず、熱電変換素子の信頼性を維持するこ
とである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、セラミックス
焼結体、該焼結体の表面に形成した誘電体の薄膜、及び
該薄膜の上に形成した熱電変換材料の薄膜を含むことを
特徴とする、熱電変換素子に関する。本発明は、また、
p型熱電変換材料とn型熱電変換材料とが、直接接合さ
れた少なくとも一か所の部分と、両者が絶縁されている
少なくとも一か所の部分とを有し、直接接合された部分
を高温端または低温端とした熱電変換素子に関する。
【0015】本発明において、セラミックス焼結体と
は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケ
イ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の耐熱性
セラミックスの焼結体をいう。これらの焼結体は、微細
な無機物の結晶を公知の手段で成型後、焼結することに
より製造することができるが、その表面は亀裂や谷間を
有する多孔質の粗い表面となっている。加熱条件下で
は、熱電変換材料薄膜と誘電体薄膜の熱膨張率の差によ
って熱応力が発生するが、この熱応力は本発明の素子に
おいては、セラミックスの焼結体の中の隙間(微細孔)
により緩和され、微細な亀裂の発生を防いでいるものと
考えられている。上記セラミックス焼結体の粗い表面
は、耐熱性を有する誘電体の薄膜で被覆される。
【0016】誘電体としては、二酸化ケイ素(Si
2 )、酸化アルミニウム(Al2 3)、酸化マグネ
シウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO2 )等が
挙げられる。この誘電体の薄膜を形成する方法として
は、スパッタリング、蒸着、グレージング等の乾式法の
他に、ゾル・ゲル法のような湿式法が挙げられる。好ま
しくは、ゾル・ゲル法またはグレージングを用い、より
好ましくはゾル・ゲル法を用いる。
【0017】ゾル・ゲル法とは、出発原料として金属ア
ルコキシドを用い、これにアルコール・水を加えて加水
分解とこれに引き続く脱水縮合反応により析出した金属
酸化物のゾルを凝集させてゲルを形成するという方法で
ある。この方法は、湿式法であるため、スピンコーティ
ング、スプレー法、ディッピングにより、薄膜を形成す
ることができる。ディッピングは、基材の両表面を同時
に薄膜で被覆することができ、また、その膜厚を任意に
調整することができるので、操作の点で、また経済的に
も有利である。また、セラミックス焼結体の粗い表面に
は、亀裂または谷間の部分があるため、このような表面
を誘電体の薄膜で連続的に被覆するためには、被膜組成
物が、亀裂または谷間の部分の内部に十分に流れ込むこ
とが必要である。そのためにも、液状の原料を用いて、
セラミックス粒子間の亀裂または谷間の部分に表面張力
で液が溜まり、その部分が優先的に埋められていくゾル
・ゲル法は有利である。このように形成した誘電体の薄
膜は、セラミックス焼結体の表面の亀裂や谷間の部分を
消失させ、その表面を連続的に被覆している。
【0018】誘電体薄膜の膜厚は、ゾル・ゲル法により
SiO2 薄膜を形成した場合のように、セラミックス焼
結体薄膜と誘電体薄膜の熱膨張率が大きく異なる場合に
は、0.3μm以上2μm以下、好ましくは0.4μm
以上1μm以下である。膜厚が0.3μm未満である
と、セラミックス焼結体の粗い表面上の亀裂または谷間
の部分を誘電体が埋めることができず、その上に形成し
た熱電変換材料の薄膜は不連続となってしまう。膜厚が
2μmを超えると、熱電変換材料薄膜と誘電体薄膜との
熱膨張率の差により発生する熱応力を、セラミックス焼
結体中の微細孔によって緩和することができなくなり、
本発明の効果が発揮されない。ゾル・ゲル法により、セ
ラミックス焼結体薄膜と誘電体薄膜の熱膨張率をほぼ等
しくすることができる場合には、誘電体薄膜の膜厚は特
に限定する必要はないが、通常0.3μm以上50μm
以下である。また、グレーズ処理により非晶質のガラス
を焼き付ける場合のように、セラミックス焼結体薄膜と
誘電体薄膜の熱膨張率をほぼ等しくすることができる場
合も、誘電体薄膜の膜厚は特に限定する必要はないが、
通常0.3μm以上50μm以下である。
【0019】誘電体の薄膜の上に熱電変換材料の薄膜を
形成する。上述のように、誘電体薄膜はセラミックス焼
結体の表面を連続的に被覆しているので、その上に形成
される熱電変換材料の薄膜も連続的なものとなり、抵抗
率の上昇を抑えることができるのである。熱電変換材料
は、本発明においては特に限定されず、FeSi系、C
oSi系、MnSi系、CrSi系、PbTe系、Bi
Te系、SiB系、SiGe系のものを目的に応じて使
用することができる。熱電変換材料の薄膜の形成方法
は、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング等の
一般的なPVD法、気相熱分解のようなCVD法により
行うことができる。
【0020】このようにして製造された熱電変換素子に
おいては、図2に示すように、アルミナ基板1にSiO
2 被膜2を設けてあり、これにp型熱電変換材料の薄膜
3の一部がn型熱電変換材料4の薄膜の一部と重なるよ
うにしてpn直接接合部5を形成してある。pn両材料
の一端にNi層6を形成し、これにリード線7を付けて
ある。図2では、pn型の両材料を積層しているが、p
型熱電変換材料又はn型熱電変換材料のいずれか一種類
のみを基板上に積層したり、またはpn型の両材料を離
間させて形成し、一端のみを適当な低抵抗材料で電気的
に接続することも可能である。
【0021】
【作用】本発明の熱電変換素子においては、多孔質であ
るセラミックス焼結体の表面に、たとえばゾル・ゲル法
により誘電体薄膜を薄く形成し、その上に熱電変換材料
を形成しているために、素子作成の際の結晶化のための
熱処理時または素子使用の際の加熱時において、熱電変
換材料と誘電体薄膜の熱膨張率の差によって生じる水平
方向の引張り張力(熱応力)が、多孔質基板中の隙間
(微細孔)によって緩和されるように作用するものと推
定されている。
【0022】
【実施例】次に、例によって本発明をさらに詳細に説明
する。例1 基材としてアルミナ基板を用い、これに以下のようにゾ
ル・ゲル法により、基板表面全体にSiO2 の薄膜を形
成した。まず、テトラエトキシシラン100.0gをエ
タノール853.2gに溶解させ、A液とした。一方、
0.1NHCl 52.7gを水42.5gに溶解さ
せ、B液とした。A液中にB液を混合し、2時間十分に
撹拌した。得られた混合液を室温で5−15日間放置す
ることによってエージングを施した。この液に上記アル
ミナ基板を、引き上げ速度60mm/分でディッピング
により成膜を行った。一回の引き上げで約500ÅのS
iO2 の薄膜が形成された。液の調製方法や引き上げ速
度及び塗布方法などを適宜調整することにより、一回に
つき0.5μmまでの所望の膜厚を一回の塗布で得るこ
ともできる。いったん引き上げた基板を乾燥後大気中5
00℃で30−60分間焼成し空冷した。上記の成膜か
ら空冷までの工程を繰り返して、基板表面全体に2μm
の膜厚のSiO2 の薄膜を形成した。
【0023】図3は粒径約3μmのアルミナ粒子を焼成
することにより製造された市販のアルミナ基板を用い
て、(a)無処理基板、(b)ゾル・ゲル法によりSi
2 を0.4μmまで塗布した基板、(c)グレーズ処
理を施した基板、(d)鏡面研磨を施した基板につい
て、その表面粗さを測定した結果である。本実施例で
は、ゾル・ゲル法によりSiO2 薄膜を最大で約2μm
の膜厚にまで形成しても、粗さ測定器の検出感度の範囲
内では、表面粗さに変化は見られなかった。しかし、図
4に示すようにSEMによる表面観察によると、無処理
基板(a)にゾル・ゲル法によりSiO2 薄膜を設け、
膜厚を0.2μm(b)から0.4μm(c)へと大き
くするほど、アルミナ粒子の間の隙間が埋められていく
ことがわかる。表面処理を行った後、p型熱電変換材料
としてFeSiMn系材料を片面にスパッタ法により約
1μmの膜厚に積層し、残りの片面にn型熱電変換材料
としてFeSiCo系材料をp型材と同様に積層した。
その後、真空雰囲気で760℃の温度で5時間保持して
熱電変換材料の結晶化のための熱処理を行い、薄膜をβ
相に変態させた。さらに、高温側に相当する部分以外の
pn両材料を絶縁させるために基板周囲の端面を切り落
とし、高温側の反対側の一端の両面にNi層をスパッタ
法で約0.5μmの膜厚に形成し、リード線をハンダ付
けし低温端とした。このように作製した熱電変換素子8
の熱電特性を図5に示す測定系で測定した。高温端と低
温端との二極にヒーター9とヒートシンク10とを用い
て温度差を設け、熱起電力、平均比抵抗、有効最大出力
などの熱電特性を測定した。その結果を比較例の結果と
ともに表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1からゾル・ゲル法による塗布の回数の
増加とともに、熱電変換膜の抵抗率は次第に減少し、膜
厚約0.3μm以上でほぼ抵抗率は飽和し、熱電変換材
料スパッタ膜の連続性が改善されていることがわかる。
このようにpn接合部を直接接合で形成すると極めて信
頼性の高い高温端を容易に形成することができる。比較
のために、無処理アルミナ基板、表面粗さ(Rmax
0.05μm未満まで鏡面研磨したアルミナ基板及び石
英ガラス基板を用いて、例1と同様に熱電変換素子を作
製した。これらの素子の熱電特性を例1と同様にして測
定し、その結果を表1に示す。
【0026】鏡面研磨基板、グレーズ基板を用いた素子
と比較すると、膜厚0.3μm以上のSiO2 薄膜を形
成した例1の素子は低い抵抗率を有しており、極めてよ
い熱電特性を示した。これに対し、熱膨張率が熱電変換
材料の薄膜と全く異なる石英ガラスでは膜に亀裂が生じ
るため抵抗率が極めて大きくなり、高い電力は得られな
い。また、鏡面研磨基板を用いた素子と比較すると、本
発明の素子は耐熱性も極めて良好である。本発明の素子
において形成されたSiO2 膜の熱膨張率は、アルミナ
基板と比べてかなり小さく、その上に形成した熱電変換
材料ともかなり異なるが、アルミナ基板が多孔質である
ために、上述のように熱応力が減殺されて亀裂の発生を
防いでいると考えられる。本実施例の素子の熱電特性の
測定では、高温端を最高940℃にまで熱したが、熱電
変換材料薄膜に亀裂は全く生じず、その劣化は見られな
かった。
【0027】例2 例1と同じ方法でSiO2 被膜2で表面処理を行ったア
ルミナ基板1にL字型の窓を設けたマスクを重ね、窓部
にのみ図6のようにn型熱電変換材料4の膜を形成し
た。その形成方法と材料は例1と全く同じである。次
に、最初のマスクと逆のパターンで窓を設けたマスクを
重ね、一部がn型熱電変換材料4と線状に重なるように
p型熱電変換材料の薄膜3を形成した。pn両材料の重
なった部分を高温側のpn直接接合部5とする。次い
で、熱処理後、低温端を形成するために、pn両材料の
一端にNi層6を形成し、リード線7をハンダ付けし
た。熱電特性を例1と同様に測定したが、その特性は例
1の場合とほとんど等しく、そのわずかな差は測定誤差
の範囲内であった。
【0028】
【効果】本発明の熱電変換素子は、熱電変換材料と誘電
体との熱膨張率の差の如何によらず、いかなる熱電変換
材料であっても使用することができ、加熱条件下におい
ても微小な亀裂が生じることなく、抵抗率も低く維持す
ることができるという効果を有する。したがって、熱伝
導率を大きくしたい場合は、窒化アルミニウム基板、小
さくしたい場合はアルミナ基板を選定するなどして、素
子の目的に沿った最適なセラミックス焼結体の基板を選
ぶことができる。これにより、熱電変換材料の特性を最
大限に引き出すことができる。さらに、本発明の熱電変
換素子は、熱電変換材料の膜厚に無関係に、即ち膜厚を
薄くしても、その信頼性を維持することができるという
効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の熱電変換素子の構造。
【図2】本発明の一例の熱電変換素子の構造。(a)は
正面断面図、(b)は側面図。
【図3】各種アルミナ基板の表面の粗さ。(a)は無処
理基板、(b)はゾル・ゲル法によりSiO2 薄膜を
0.4μmまで塗布した基板、(c)はグレーズ処理を
施した基板、(d)は鏡面研磨を施した基板。
【図4】ゾル・ゲル法により形成したSiO2 薄膜表面
のSEM写真。(a)は無処理基板、(b)は膜厚0.
2μmの薄膜、(c)は膜厚0.4μmの薄膜。
【図5】熱電変換素子の熱電特性の測定系。
【図6】本発明の熱電変換素子の構造。(a)は平面
図、(b)は(a)のA−A断面図。
【符号の説明】 1 アルミナ基板 2 SiO2 被膜 3 p型熱電変換材料 4 n型熱電変換材料 5 pn直接接合部 6 Ni層 7 リード線 8 熱電変換素子 9 ヒーター 10 ヒートシンク

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス焼結体、該焼結体の表面に
    形成した誘電体の薄膜、及び該薄膜の上に形成した熱電
    変換材料の薄膜を含むことを特徴とする、熱電変換素
    子。
  2. 【請求項2】 前記誘電体薄膜はゾル・ゲル法により形
    成されたものである請求項1に記載の熱電変換素子。
  3. 【請求項3】 前記誘電体薄膜はグレーズ処理により形
    成されたものである請求項1に記載の熱電変換素子。
  4. 【請求項4】 前記熱電変換材料は、p型熱電変換材料
    とn型熱電変換材料であり、両者が直接接合された少な
    くとも一か所の部分と、両者が絶縁されている少なくと
    も一か所の部分とを有し、直接接合された部分を高温端
    または低温端とした請求項1に記載の熱電変換素子。
JP5178182A 1993-07-19 1993-07-19 熱電変換素子 Pending JPH0735618A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5178182A JPH0735618A (ja) 1993-07-19 1993-07-19 熱電変換素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5178182A JPH0735618A (ja) 1993-07-19 1993-07-19 熱電変換素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0735618A true JPH0735618A (ja) 1995-02-07

Family

ID=16044039

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5178182A Pending JPH0735618A (ja) 1993-07-19 1993-07-19 熱電変換素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0735618A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6043423A (en) * 1997-04-28 2000-03-28 Sharp Kabushiki Kaisha Thermoelectric device and thermoelectric module
WO2010083705A1 (zh) * 2009-01-20 2010-07-29 深圳大学 一种薄膜温差电池及其制作方法
EP2410584A1 (en) * 2009-01-20 2012-01-25 Shenzhen Caihuang Enterprise & Development Co., Ltd Thermoelectric cell and the manufacturing method thereof

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6043423A (en) * 1997-04-28 2000-03-28 Sharp Kabushiki Kaisha Thermoelectric device and thermoelectric module
WO2010083705A1 (zh) * 2009-01-20 2010-07-29 深圳大学 一种薄膜温差电池及其制作方法
EP2410584A1 (en) * 2009-01-20 2012-01-25 Shenzhen Caihuang Enterprise & Development Co., Ltd Thermoelectric cell and the manufacturing method thereof
JP2012516031A (ja) * 2009-01-20 2012-07-12 シェンジェン ツェイ ホアン エンタープライズ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド 熱電発電機の製造方法
EP2410584A4 (en) * 2009-01-20 2014-01-22 Shenzhen Caihuang Entpr & Dev Co Ltd THERMOELECTRIC CELL AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR900003830B1 (ko) 실리콘판 또는 이산화실리콘판의 접착방법
JP2021502701A (ja) 加工基板構造物を使用して実現された電力デバイスおよびrfデバイス
CN103180266A (zh) 静电卡盘
US5296260A (en) Method of manufacturing inorganic insulation
JPH0735618A (ja) 熱電変換素子
JP2000103689A (ja) アルミナ質焼結体およびその製造方法、並びに耐プラズマ部材
JP2533679B2 (ja) 盤状セラミックスヒ―タ―及びその製造方法
JP2007329189A (ja) 薄膜コンデンサ及びその製造方法
JP2000143349A (ja) 窒化アルミニウム質焼結体およびそれを用いた静電チャック
JPS62222616A (ja) 耐熱性電極薄膜
JPH11330569A (ja) 熱電変換素子およびその製造方法
US5786097A (en) Assembly substrate and method of making
JP4044245B2 (ja) 窒化ケイ素セラミックヒータ
JP3942441B2 (ja) 窒化アルミニウムの製造方法
JPH11100271A (ja) セラミック抵抗体およびそれを用いた静電チャック
JP3862864B2 (ja) セラミックスヒータ
JPH04152658A (ja) 放熱性絶縁部品
JP6994372B2 (ja) Pzt素子製造方法
JP2003318251A (ja) 静電チャック
JP2595670B2 (ja) 超電導膜形成基板の製造方法
JP2007036089A (ja) 下部電極構造
TW201801344A (zh) 半導體裝置用基材及使用其之半導體裝置
TWI232501B (en) Method of manufacturing electrothermal film
CN1415781A (zh) 一种用作集成电路封装基板材料的制造方法
JPH01321615A (ja) 電極