JPH0735399B2 - 変性ヒトインシュリン - Google Patents

変性ヒトインシュリン

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JPH0735399B2
JPH0735399B2 JP4290556A JP29055692A JPH0735399B2 JP H0735399 B2 JPH0735399 B2 JP H0735399B2 JP 4290556 A JP4290556 A JP 4290556A JP 29055692 A JP29055692 A JP 29055692A JP H0735399 B2 JPH0735399 B2 JP H0735399B2
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insulin
human insulin
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ester
reaction
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アクゾ・エヌ・ヴエー
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    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/575Hormones
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  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、新規な変性ヒトインシュリンに
関するものである。
【0002】血液中のインシュリン欠乏の結果生ずる低
血糖症(糖尿病)は、たとえば注射により或いは投与用
ポンプを用いてインシュリンを投与することにより処置
することができる。この目的には、たとえば豚または牛
のような動物の膵臓から単離されたインシュリンが使用
される。
【0003】この種のインシュリン製剤は、或る場合に
は抗原性もしくはアレルギー性の活性を示す。これは一
部、不純物[たとえばプロインシュリン、その部分分解
生成物、アルギニン−インシュリン、インシュリン−エ
チルエステル、モノデアミノ−インシュリンまたはイン
シュリン集合体(アグレゲート)]が存在する結果とし
て生ずる。さらに、抗原性の活性は動物インシュリンと
ヒトインシュリンとの間の構造上の差に関するものであ
り、その結果動物から得られる蛋白質は人体により拒否
される。たとえば、豚とヒトのインシュリンは1個のア
ミノ酸、すなわちいわゆるB−連鎖のカルボキシ末端ア
ミノ酸が異なっている。このいわゆるB30アミノ酸
は、豚インシュリンにおいてはアラニンであるが、ヒト
インシュリンにおいてはスレオニンである。
【0004】したがって、豚インシュリンはこのB30
アミノ酸をスレオニンで交換することによりヒトインシ
ュリンに変換することができ、これを行なうための多く
の方法が知られている。
【0005】勿論、殆ど全ての公知方法はB30アミノ
酸を除去することから出発し、豚インシュリンの場合は
したがってアラニンが除去される。この結果、デス(B
30)インシュリン[これはしばしばデス(Ala)イ
ンシュリン、簡単にはDAIと呼ばれる]が生ずる。そ
の後の工程については、ヒトインシュリンの生成をもた
らす多くの方法が知られている。これらはスレオニンの
酵素的もしくは非酵素的に結合させることを包含するも
のであり、この場合カルボキシル基をたとえばエステル
によりデス(B30)インシュリンに対し保護する。こ
の保護基はスレオニンの結合後に除去されねばならな
い。一般に使用される保護基は第3ブトキシ基であり、
これを除去するには特に極端なpHのような極めて過酷
な反応条件が必要とされ、これはインシュリン分子の残
部にも影響を及ぼす。その結果、インシュリンの部分的
分解生成物が生じ、これは所望生成物すなわちヒトイン
シュリンから実質的に分離することができない。したが
って、極めて不純なインシュリン製剤が得られる。さら
に、初期の段階において、スレオニン結合工程実施後の
反応混合物から反応生成物および未反応デス(B30)
インシュリンを分離することを含む精製工程に大きな問
題がある。この分離では、特に大規模の製造に際し、極
めて大きな損失を伴なわない限り、大して純粋でない物
質が生ずるのである。
【0006】しかしながら、本発明によれば、収率を減
少させるような多くの分離および精製工程を用いること
なく、高純度のヒトインシュリンを製造することができ
る。
【0007】本発明による方法は、一般式:
【0008】
【化2】
【0009】[式中、RはHまたは酵素的に分離しうる
糖残基もしくはそのエステルであり、R1 は酵素的に分
離しうる糖残基もしくはそのエステル、またはアミノ酸
もしくはペプチド、または該アミノ酸もしくはペプチド
のアミドもしくはエステルであり、またはR1 は、Rが
HでなければOHである]の変性ヒトインシュリンか
ら、上記Rおよび/またはR1 により規定された糖およ
び/またはアミノ酸もしくはペプチドを酵素的に分離し
て天然ヒトインシュリンを生成させ、その後にヒトイン
シュリンを媒体から単離することを特徴とするものであ
る。
【0010】式(I)により示される変性ヒトインシュ
リンは、デス(B30)インシュリンへ式 II :
【0011】
【化3】
【0012】の化合物を結合させるか、或いはデス(B
29,B30)インシュリンへ式 III:
【0013】
【化4】
【0014】[式中、RおよびR1 は上記両化合物にお
いて上記した意味を有する]の化合物を結合させること
によって有利に製造することができる。
【0015】デス(B30)インシュリンは、B30ア
ミノ酸以外は全ゆる点でヒトインシュリンと同一の動物
インシュリンを適当な酵素たとえばカルボキシペプチダ
ーゼAによって、またはアクロモバクター・リチクス
(Achromobacter lyticus )からのリシルエンドペプチ
ダーゼによって処理することにより別途に製造すること
ができる。
【0016】しかしながら、デス(B30)インシュリ
ン残基はその場で生成させることもでき、この場合B3
0アミノ酸の除去および化合物IIの結合は、単一の酵素
たとえばトリプシンにより、いわゆるトランスペプチダ
ーゼ反応で達成される。
【0017】同様に、デス(B29,B30)インシュ
リンは、ジペプチダーゼを用いて、或いはプロリン−リ
ジンペプチド結合を特異的に開裂させるペプチダーゼを
用いて、適当な動物インシュリンから製造することがで
きる。
【0018】化合物IIは、前記で調製されたデス(B3
0)インシュリンのB29−リジンへ、たとえばトリプ
シンを用いて或いはたとえばリシルエンドペプチダーゼ
のようなトリプシン状の作用を有する任意その他の酵素
によって結合させることができる。キャリヤ結合した酵
素を使用することもでき、そしてこの場合には、酵素と
変性インシュリンを含む溶液とを、反応が完結した後に
簡単に分離することができる。
【0019】基Rおよび/またはR1 とヒトインシュリ
ンとの間の共有結合は、酵素的に開裂させることができ
る。
【0020】この条件は、基Rおよび/またはR1 を形
成するアミノ酸または糖の選択の際に考慮しなければな
らない重要な事項である。
【0021】R1 がアミノ酸からなる場合、好ましくは
選択は1個のアミノ酸残基についてまたはジ−もしくは
トリペプチドについて行なわれる。これらは、たとえば
疎水性アミノ酸(たとえばフェニルアラニンまたはトリ
プトファン)および/または帯電アミノ酸(たとえばア
ルギニンもしくはリジン)からなるものであってよい。
疎水性アミノ酸を使用する場合、精製は疎水性条件下で
著しく促進されるのに対し、極性もしくはイオン化条件
下における分離および精製は、たとえば帯電アミノ酸を
結合させることにより改善される。
【0022】基Rおよび/またはR1 として本発明に使
用しうる糖は単糖類、二糖類、または多糖類である。特
に、たとえばグルコース、フラクトース、マンノース、
ガラクトース、シュークロース、マルトースおよびラク
トースのような単糖類および二糖類が好適である。それ
らの強い極性により、インシュリンと結合した糖は当該
蛋白質の分離および精製に対し極めて好ましい作用を示
す。
【0023】ヒトインシュリンを製造するには、一般式
(I)を有する変性ヒトインシュリンから残基Rおよび
/またはR1 を酵素的に除去せねばならない。前記残基
の選択は、どの酵素或いはどの酵素の組合せがこの目的
に適しているかを決定する。すなわち、残基の種類を考
慮して使用酵素を選択するのが好ましい。
【0024】基R1 が1種もしくはそれ以上のアミノ酸
から構成される場合、これは有利にはカルボキシペプチ
ダーゼを用いて除去することができる。カルボキシペプ
チダーゼはカルボキシ末端から出発するペプチド鎖から
1種類のアミノ酸を順次に除去しうるエキソペプチダー
ゼであり、すなわち或る種のアミノ酸に対して選択性を
示す。
【0025】カルボキシペプチダーゼA(CPA)は疎
水性アミノ酸を開裂し、そしてこれは特に芳香族アミノ
酸たとえばフェニルアラニン、チロシンおよびトリプト
ファンに対して大なる選択性を示す。他方、カルボキシ
ペプチダーゼB(CPB)は、好ましくは塩基性アミノ
酸を開裂する。基R1 における適当に選択されたアミノ
酸との組合せにおいて、CPAおよび/またはCPBは
本発明の方法に使用するための極めて適する蛋白質分解
酵素であるが、他のカルボキシペプチダーゼまたはジペ
プチル−カルボキシペプチダーゼも同じ目的に適してい
る。
【0026】基R1 がエステル結合を介して結合された
糖よりなる場合、この糖の開裂はエステラーゼにより達
成することができ、また基Rがエーテル結合を介して結
合された糖よりなる場合、この種のO−グリコシド化合
物に対し特異的な酵素たとえばガラクトシダーゼのよう
な酵素を開裂用に使用することができる。
【0027】さらに、本発明はまた、一般式(I)を有
する変性ヒトインシュリンにも関する。
【0028】以下、実施例により本発明をさらに説明す
る。
【0029】以下の実施例においては、E.W.Sch
mitt等(Hoppe Seyler′s Z.Ph
ysiol.Chemie、第359巻、第799頁
(1978))により記載された方法で豚インシュリン
から製造されるデス(B30)インシュリン、いわゆる
デス(ala)インシュリン(DAI)を各場合におい
て原料として使用した。
【0030】
【実施例】実施例 1〜6 DAIに対するジ−およびトリペプチドの結合 種々の基質(ジ−およびトリペプチド、ならびにトリペ
プチドの塩酸塩)を結合させる操作を、種々の酵素系
(トリプシンおよびキャリヤ結合したトリプシンならび
にリシルエンドペプチダーゼ)を用いて行なった。
【0031】この結合操作は次のようにして行なう: (a) 緩衝剤(緩衝媒質)は次のものから構成する。
【0032】−ジメチルホルムアミドとエタノールと
の1:1混合物(いわゆる有機フラクション)、および− 濃度0.5モル・l-1のトリスHCl緩衝液の所定
量。
【0033】(b) 秤量した所定量の基質をこの緩衝
液中に所定量のDAIと共に溶解させる。
【0034】(c) この混合物を濃NaOH(1モル
・l-1)によって所望pHまで上昇させる。
【0035】(d) 所定量の結合酵素(bondin
g enzyme)を加え、その後結合反応を開始さ
せ、次いで37℃にてこれを継続させる。
【0036】(e) 反応期間の終了後、反応生成物を
クロマトグラフィーによって分離し、結合生成物の収率
をクロマトグラムから決定し、それを理論値の%として
表記する。
【0037】実施例1〜6における反応条件および収率
を第1表に示す。
【0038】
【表1】
【0039】実施例 7 結合反応の生成物のクロマトグラフ分離 ペプチド結合したDAIとエステル結合したDAIとの
クロマトグラフ上の挙動につき比較を行なった。
【0040】この目的で、DAIとthr−O−メチ
ル,thr−O−tBu,thr−phe−O−メチル
およびthr−phe−pheとの結合反応の生成物
を、実施例1〜4に記載した方法で調製した。
【0041】結合反応の条件は次の通りであった:DA
I濃度14g・l-1、基質濃度0.06モル・l-1、ト
リプシン濃度2.5g・l-1、媒体中の有機フラクショ
ン67%、pH6.4、および反応時間30分。
【0042】結合生成物を分析用HPLCカラム(Micr
o-bondapak, 10μm, waters)で分離し、そして保持値
(Rf)を測定した。この分離の結果を、DAIのRf
値(2200秒)と結合反応の生成物のRf値との差
(ΔRf)として第2表に示す。尚、分析用HPLCカ
ラムの溶媒としては0.5mol/lのTrisを用
い、アセトニトリルのグラジエント(20〜40%)に
て、1ml/分及び35℃の条件で溶出させた。
【0043】
【表2】第 2 表 DAIに結合したもの ΔRf(秒) thr−O−メチル 220 thr−O−tBu 1000 thr−phe−O−メチル 1400 thr−phe−phe 1700実施例8 DAI−thr−phe−pheからの結合基phe−
pheの除去 結合反応の生成物すなわち結合生成物DAI−thr−
phe−pheから未変換DAIを疎水性カラムで分離
した後、0.85mg・ml-1の結合生成物を含有する
23mlのフラクションが得られた。この結合生成物を
凍結乾燥し、次いで0.2モル・l-1の重炭酸アンモニ
ウム緩衝液(pH8.5)中へ約2.8mg・ml-1
最終濃度において溶解させた。この溶液へ2μlのカル
ボキシペプチダーゼを加えた(2.3E)。反応を、同
容量の0.5モル・l-1のクエン酸を添加して30分後
に停止させた。次いで、この物質を結晶化させた。
【0044】検査の結果、結合生成物は、アミノ酸分析
により示されるように完全にヒトインシュリンまで変換
されていることが示された。結晶化の後、フェニルアラ
ニン以外の他のアミノ酸は、アミノ酸分析のときに上澄
液中には見出されなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 99:26

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式: [式中、RはHであり、Rはアミノ酸もしくはペプチ
    ド、またはアミノ酸もしくはペプチドのアミドもしくは
    エステルであり、該アミノ酸もしくはペプチドのα−ア
    ミノ基はペプチド結合を介してスレオニンのカルボキシ
    ル基と結合している]を有することを特徴とする変性ヒ
    トインシュリン。
JP4290556A 1982-04-21 1992-10-28 変性ヒトインシュリン Expired - Lifetime JPH0735399B2 (ja)

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