JPH0734251Y2 - 空気調和機におけるドレンパン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は空気調和機におけるドレンパンに関する。

（従来の技術） 従来の分離型空気調和機の壁掛式室内ユニットの縦断面
図が第２図に示されている。

第２図において、１は本体、２は本体１の前面上部に設
けられた吸込グリル、３は熱交換器、４はファン、５は
本体１の前面下部に設けられた吹出グリル、６は吹出グ
リル５に配設された吹出ルーバ、７は熱交換器３の下に
配設されたドレンパン、８は吸込グリル２の背面に配設
されたエアフィルタ、９は本体１内に吸込グリル２から
吹出グリル５に至る空気通路10を形成するケーシングで
ある。

空気調和機の運転時、ファン４が回転し、熱交換器３に
は図示しない室外ユニットからの冷媒が循環する。

かくして、室内空気が実線矢印で示すように、吸込グリ
ル２から本体１内に吸入され、空気通路10を通る過程で
エアフィルタ８を流過する際その中に含まれる塵埃が除
去され、熱交換器３を流過する際冷媒と熱交換して冷却
又は加熱され、ファン４によって付勢され、しかる後、
吹出グリル５から吹出ルーバ６に案内されて室内に吹き
出される。

（考案が解消しようとする課題） 上記従来の空気調和機においては、その冷房運転時、室
内空気が熱交換器３を流過する過程で冷却されると、室
内空気中に含まれる水分が熱交換器３の伝熱管及びフィ
ンの表面に結露し、これがドレンとなってドレンパン７
内に滴下する。このドレンの温度は熱交換器３の表面の
温度とほぼ等しく室温より相当低いので、このドレンが
ドレンパン７内に流入すると、ドレンパン７の温度も室
温より低くなるため、ドレンパン７の外面に室内空気中
の水分が結露して付着しこれが室内に滴下して室内の床
を濡らすという不具合があった。

これに対処するため、ドレンパン７を断熱材で製作し、
又は、ドレンパン７の外面に断熱材を貼り付けていた
が、これらはコストが嵩むのみならず、ドレンパン７と
本体１の温度変化に伴う伸縮量の差異に基づいて取り付
面が剥がれたり、騒音が発生するという不具合があっ
た。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記課題を解決するために提案されたものであ
って、その要旨とするところは、熱交換器の下に設置さ
れこの熱交換器の表面に結露したドレンを受けるドレン
パンにおいて、上記ドレンパンをプラスチック製とし、
その下面及び上記熱交換器を流過する空気流の下流側に
位置する側面の外周に密閉された断熱空気層を形成する
プラスチック製の外周カバーを上記ドレンパンと一体成
形するとともに上記ドレンパンの上記空気流の上流側に
位置する側面の下部に一定量の露を溜める露受けを上記
ドレンパンと一体成形したことを特徴とする空気調和機
におけるドレンパンにある。

（作用） 本考案においては、上記構成を具えているため、ドレン
パンの内部に低温のドレンが滴下した時、ドレンパンの
下面及び熱交換器を流過する空気流の下流側に位置する
側面、即ち、下流側側面はその外周に形成された断熱空
気層によって断熱されているので、これら下面及び下流
側側面には露が付着することはない。また、ドレンパン
の上記空気流の上流側に位置する側面、即ち、上流側側
面には露が付着するが、この露はこの上流側側面の下部
に成形された露受け中に溜る。

（実施例） 本考案の第１実施例が第１図に示されている。

３は熱交換器で、伝熱管3aとフィン3bを具えている。室
内空気は矢印で示すように伝熱管3aとフィン3bの間を流
過する。

熱交換器３の下にはプラスチック製のドレンパン10が配
設され、熱交換器３の表面に結露したドレンを受け入れ
るようになっている。

11はドレンパン10と一体に成形されたプラスチック製の
外周カバー、12はプラスチック製の蓋である。

ドレンパン10、外周カバー11、蓋12は協働してドレンパ
ン10の下面10a及び熱交換器３を流過する空気流の下流
側に位置する側面10b、即ち、下流側側面の外周に密封
された断熱空気層13を形成している。熱交換器３を流過
する空気流の上流側に位置する側面10c、即ち、上流側
側面の下部には一定量の露を溜める露受け14がドレンパ
ン10と一体に成形されている。

なお、図示していないが、ドレンパン10の両端面の外周
には断熱空気層を形成しても良いが、その下部に露受け
を一体成形しても良い。

なお、15は熱交換器３の下端とドレンパン10との隙間を
遮断する遮風板である。

しかして、空気調和機の冷房運転時、室内空気が熱交換
器３を流過する過程で冷却されると、室内空気中の水分
が凝縮液化して熱交換器３の伝熱管3a及びフィン3bの表
面に付着し、これがドレンとなってフィン3bを伝ってド
レンパン10内に滴下する。そして、ドレンパン10内を流
れて図示しないドレンホースを経て排出される。ドレン
パン10はこの中を流れるドレンによって冷却されるが、
ドレンパン10の下面10a及び下流側側面10bの外周は密封
された断熱空気層13によって囲まれているため、外周カ
バー11、蓋12の外面が低温になることはなく、従って、
これらの外面に室内空気中の水分が結露することはな
い。ドレンパン10の上流側側面10cの外面に室内空気中
の水分が結露した場合、この露は上流側側面10cを伝っ
てその下部に形成された露受け14中に入るので、この露
が滴下して室内を汚損することはない。そして、露受け
14の温度は室温とほぼ同じ温度になっているので、露受
け14中に入った露は自然蒸発して室内に放散される。そ
して、外周カバー11及び蓋12の外面は熱交換器３を流過
することによって除湿された湿度の少ない空気の流路を
限界するので、これらの外面には結露し難い。そして、
これらの外面を適宜の形状とすれば、流路の抵抗を低減
し、かつ、空気流れに基づく騒音を低減できる。

また、断熱空気層13は密封されているので、室内空気が
断熱空気層13中に出入りすることなく、従って、断熱空
気層13を限界する内面に室内空気中の水分が結露するこ
とはない。

更に、ドレンパン10、外周カバー11及び露受け14はプラ
スチックの同時成形によって一体化されるので、安価、
かつ、迅速に製造できる。

（考案の効果） 本考案においては、ドレンパンの下面及び熱交換器を流
過する空気流の下流側に位置する側面の外周は密封され
た断熱空気層で被覆されるので、ドレンパンの内部に低
温のドレンが滴下しても外周カバーの外面に結露するこ
とはない。また、ドレンパンの空気流の上流側に位置す
る側面の下部に一定量の露を溜める露受けを設けたの
で、この側面に結露した露が室内に滴下するのを防止で
きる。

また、ドレンパンと外周カバーと露受けはプラスチック
によって一体成形されるため、安価に製造できるととも
に温度変化に伴う伸縮量の差がないため騒音の発生を防
止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例を示す要部縦断面図、第２図
は従来の空気調和機の縦断面図である。 熱交換器……３、ドレンパン……10、外周カバー……1
1、断熱空気層……13、露受け……14

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】熱交換器の下に設置されこの熱交換器の表
   面に結露したドレンを受けるドレンパンにおいて、上記
   ドレンパンをプラスチック製とし、その下面及び上記熱
   交換器を流過する空気流の下流側に位置する側面の外周
   に密閉された断熱空気層を形成するプラスチック製の外
   周カバーを上記ドレンパンと一体成形するとともに上記
   ドレンパンの上記空気流の上流側に位置する側面の下部
   に一定量の露を溜める露受けを上記ドレンパンと一体成
   形したことを特徴とする空気調和機におけるドレンパ
   ン。