JPH07339B2 - 内部歪の少ない人工大理石の製造方法及び製造装置 - Google Patents

内部歪の少ない人工大理石の製造方法及び製造装置

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JPH07339B2
JPH07339B2 JP2327301A JP32730190A JPH07339B2 JP H07339 B2 JPH07339 B2 JP H07339B2 JP 2327301 A JP2327301 A JP 2327301A JP 32730190 A JP32730190 A JP 32730190A JP H07339 B2 JPH07339 B2 JP H07339B2
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molding
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筒中プラスチック工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、建築材料、洗面化粧台や流し台の天板等に使
用される人工大理石の製造方法、とくにアクリル系樹脂
マトリックス中に粉末状無機質充填材として水酸化アル
ミニウム粉末を分散させて天然大理石調の外観を付与し
た人工大理石であって、内部に応力の残留による内部歪
が少なく、熱的安定性に優れた人工大理石の製造方法
と、その製造装置に関する。
従来の技術 本発明者らは、先に、特願平2-274386号により、粉末無
機充填材に水酸化アルミニウム粉末を用いた人工大理石
の製法として、能率的に優れた押出成形法による製造方
法を提案した。
この先行提案に係る製造方法は、粉末状無機充填材に水
酸化アルミニウムを用いるものとしながら、連続的な押
出成形法による製造を可能にしたものである。即ち、本
来、水酸化アルミニウムは、マトリックス樹脂としての
アクリル系樹脂と屈折率が近似しているため、製品に透
明性と隠蔽性とを兼ね備えた深みのある外観を与え、か
つ切削加工も容易なものとなしうる点で、粉末充填材の
主材として最も好適であるが、一方において熱分解温度
が低く、180℃をこえると徐々に熱分解が進行して水と
アルミナになるため、アクリル樹脂の押出成形加工温度
(200〜250℃)では分解した水が発泡し所期する大理石
調の成形品を得ることができないことが予見されるた
め、押出成形の有利性は認識されつゝも採用が阻まれて
いた。
上記先行提案は、このような成形上の問題点に対し、押
出温度、フォーミングダイによる成形体の冷却温度を所
定範囲に設定し、かつ押出ダイ及びフォーミングダイに
付滑処理を施すことで解決し、充填材に水酸化アルミニ
ウム粉末を用いた人工大理石の押出成形による連続的な
製造を可能にしたものである。
発明が解決しようとする課題 ところが、上記先行提案による方法で得られる人工大理
石は、外観特性に優れているものゝ、成形時の内部歪の
残存によっていさゝか熱的安定性に劣る欠点のあること
が判明した。例えば流し台の天板に使用したような場
合、コンロ等の加熱源からの加熱、その後の冷却が繰返
されることで、成形時に内部に残存する応力歪の影響に
よるクラックを生じることがある、というような欠点が
あることが判明した。もとより、流し台用天板としての
用途の場合に限らず、人工大理石は一般建築材料として
使用されるような場合においても、内部歪は少ないもの
であることが強く望まれるところであり、先行提案によ
る人工大理石は、このような要請に必ずしも十分な満足
度を与えるものではなかった。
而して、この発明は、前記先行提案に係る人工大理石の
製造方法を基礎にしながら、更に上記のような内部歪に
基づく問題点を解決し、内部歪の少ない人工大理石を得
ることができる製造方法及びその製造装置を提供するこ
とを目的とする。
課題を解決するための手段 この発明は、先行提案に準じて成形材料を押出ダイによ
る押出し直後に冷却ジャケット付きフォーミングダイに
導通して固化状態で押出す固化押出し成形を行ったの
ち、該成形体を押出し成形の直後に、押出機に連接して
配設した加熱装置に導通して所定の処理条件で全面均一
に加熱処理することにより、成形体に有害な形状変化を
生じさせることなく、その内部応力歪をほとんど完全に
除去して、内部残留歪の極めて少ない人工大理石を得る
ことができることを見出すことにより完成したものであ
る。
即ち、この発明の1つは、内部歪の少ない人工大理石の
製造方法に関して、マトリックス樹脂としてのアクリル
系樹脂粉末と、粉末状無機充填材としての水酸化アルミ
ニウム粉末であって、平均粒子径10μm以上、比表面積
2m2/g以下で略球形をなす水酸化アルミニウム粉末と
を、上記アクリル系樹脂に対して相溶性を有する少量の
液状成形助剤と共に均一に混合した混合物を成形用材料
として用い、該成形用材料を押出成形機の押出ダイから
所定形状に押出した直後に冷却ジャケット付きフォーミ
ングダイに導通して固化状態に成形し、次いで得られた
成形体を直後に加熱処理するものとすると共に、前記押
出機による押出温度を180〜220℃、フォーミングダイに
よる成形体の冷却温度を150℃以下に設定制御し、か
つ、前記押出ダイ及びフォーミングダイの内面の成形用
材料との接触面の全体に、摩擦係数0.3以下、引張強度5
0kg・f/(10mm幅)以上の付滑材層を被覆形成せしめた
状態のもとに、前記固化押出成形操作を行い、また押出
成形後の成形体の前記加熱処理を80〜200℃で20分間以
上行うことを特徴とするものである。また、他の1つの
発明は、上記方法を実施する製造装置に関して、押出ダ
イ及びフォーミングダイを有する押出成形機と、その押
出方向の前方部位に連設された加熱装置とを具備し、前
記押出ダイ及びフォーミングダイは、その内面の成形材
料との接触面の全体に、摩擦係数0.3以下、引張強度50k
g・f/(10mm幅)以上の付滑材層が被覆形成されると共
に、前記加熱装置は、フォーミングダイから送り出され
てくる成形体が当該送り出し速度で20分間以上の通過時
間をかけて導通される長さの加熱炉本体と、該炉内を80
〜200℃の温度に制御する加熱手段と、成形体を炉本体
の入口側から出口側に向けて移送する移送手段とを具備
することを特徴とするものである。
次に、この発明に用いる成形材料の各成分、配合、製造
装置、成形工程及び成形条件のそれぞれについて更に具
体的に詳しく説明する。
(マトリックス樹脂) マトリックス樹脂としては、透明性、耐候性、硬度、耐
熱性等の諸特性に優れている点でアクリル系樹脂が用い
られる。該樹脂として具体的には、単量体組成が種々異
なる熱可塑性アクリル系樹脂、および熱可塑性メタクリ
ル系樹脂を使用できるが、特にメチルメタクリレートの
単独重合体、もしくはメチルメタクリレートが単量体全
体の50重量%以上、好ましくは70重量%以上でこれに他
のメタクリル酸エステル、その他メチルメタクリレート
と共重合可能なビニル系単量体の少なくとも1種を共重
合せしめてなる共重合体が好適であり、成形材料要素と
してはそれらのビーズもしくは粉砕した粉末が用いられ
る。その粒子径は特に制限されるものではないが、一般
に5〜400μm、特に好ましくは50〜300μm程度のもの
が好適に使用される。
上記アクリル系樹脂は、押出機内での溶融混練操作を支
障なく行うために、メルトフローレート(MFR、230℃、
3.8kg)(試験法・単位;ASTM D 1238)が0.5g/10min以
上で、かつ重量平均分子量wが300,000未満であるも
のを用いるべきである。メルトフローレート(MFR)が
0.5g/10min未満あるいは平均分子量wが30万をこえる
ものを用いると、押出機内での充填材との混練時、溶融
粘度が高まり、流動性が低下し、それに伴って押出機の
能力以上の動力負荷が発生し、運転が不本意に停止した
り、あるいは樹脂洩れやスクリューの破損等の問題が生
じ、円滑な押出成形が困難になる。もっとも重量平均分
子量wは、成形製品である人工大理石が耐熱性の要求
される用途に用いられるものである場合、下限値として
wが80,000以上のものを用いることが必要である。即
ちwが8万未満のアクリル系樹脂を用いると、耐熱性
の低下により、成形製品の上に高温の鍋を載せたり着火
している煙草を誤って落したような場合に表面が損われ
るおそれが生じる。メルトフローレート(MFR)及び重
量平均分子量(w)の最も好ましい範囲は、MFR:1.0g
/min以上、w12〜17万の範囲である。
(粉末状無機充填材) 粉末状無機充填材としては、特に水酸化アルミニウム粉
末を主材として用いることを必要とする。しかも該水酸
化アルミニウム粉末は、平均粒子径が10μm以上であ
り、かつ比表面積が2m2/g以下であるものを用いるべき
であり、更には粒子形状が略球形であるものを用いるこ
とが好ましい。
平均粒子径が10μm以下であると、シートの隠蔽性が高
すぎて、人工大理石としての風合いに劣るものとなる。
又、比表面積が2m2/gをこえて大きくなりすぎると、水
酸化アルミニウムとマトリックス樹脂の界面の微細な気
泡により、やはり隠蔽性が高くなりすぎる。さらには、
比表面積の増大により、汚染物性が吸着し易くなり、人
工大理石としての耐汚染性に問題が生じる。
上記の要件を満たす水酸化アルミニウム粉末を充填材に
用いることにより、外観の良好な人工大理石の押出によ
る連続的な成形を支障なく行いうるのは、水酸化アルミ
ニウムの硬度がモース硬度2.5と比較的低いこと、粒径
が大きくてしかも比表面積が小さいこと、マトリックス
樹脂と屈折率が近似していること、アクリル系樹脂に対
する漏れ性に劣ること等が相互に関連し相俟って有効に
作用しているものと考えられる。
(液状成形助剤) 成形助剤としては可塑剤又は鉱油であって、いずれもア
クリル樹脂に対して相溶性を示す液状であることを必要
とする。成形助剤が液状であることは、混練時にアクリ
ル系樹脂粉末を濡らし、これに水酸化アルミニウム粉末
を付着せしめて、均一な混合物を得られ易くするために
必要とするものであり、かつアクリル系樹脂の溶融粘度
を低下させ、成形性を向上させるために有用である。
使用する可塑剤としては例えばフタル酸エステル系のも
のとしてDMP、DOP、DBP等を、脂肪酸(二塩基性)エス
テル系のものとしてDIOA、DBS、DOS等を、またトリメリ
ット酸エステル系のものとしてTOTM等を挙示することが
できる。
また、鉱油としては、良質の原油を高度に精製分離して
得られる炭化水素系の流動パラフィンであり、粘度−比
重恒数(V、G、C)が0.9未満のものが好適に用いら
れる。この場合アクリル系樹脂の軟化点の低下の少ない
人工大理石を得ることが出来る。
(配合) 成形用材料の配合割合は、アクリル系樹脂粉末と水酸化
アルミニウム粉末との混合物の総量を基準としてこれを
100wt%とした場合、アクリル系樹脂粉末20〜50wt%、
水酸化アルミニウム粉末80〜50wt%の範囲とすべきであ
る。アクリル系樹脂粉末の配合割合が20wt%未満であ
り、従って水酸化アルミニウムの配合量が80wt%をこえ
ると、水酸化アルミニウム粉末中にマトリックス樹脂が
均一に分散されず、その結果押出成形機中で溶融軟化が
十分に進まず、押出成形が困難になる。一方、アクリル
系樹脂粉末配合量が50wt%をこえ、相対的に水酸化アル
ミニウム粉末の配合割合が50wt%未満になると、たとえ
押出成形操作は容易化されたとしても、成形品における
隠蔽性が不十分で透明感が強すぎるものとなり、天然大
理石に似た重量感を表出できなくなると共に、耐熱性も
不十分なものとなる。最も好ましい配合割合は、アクリ
ル系樹脂粉末において25〜40wt%の範囲である。
液状成形助剤、即ち可塑剤または鉱油の配合量は、上記
アクリル系樹脂と水酸化アルミニウム粉末との粉末混合
物の総量を基準として、それを10重量部とした場合、0.
5重量部未満では所期の添加効果を十分に得ることがで
きない。即ち、アクリル系樹脂を十分に漏らすことがで
きず、水酸化アルミニウム粉末が二次凝集したり、粗い
粒子が偏析し、均一な混合物を得ることができない。か
つ可塑化効率としての役目も十分に発揮されず、押出成
形時、押出流動性が安定せず長時間の均整な連続押出成
形が困難になると共に、押出成形したとしても成形製品
中において水酸化アルミニウム粉末の分布が不均一なも
のとなり、その凝集物が核となって外部からの衝撃に対
し極めて強度的に劣るものとなる欠点が派生する。一
方、成形助剤の配合量が5重量部をこえると、たとえ均
一混合物が得られたとしても、成形品の耐熱性が著しく
低下する。従って、成形助剤の配合量は0.5〜5重量部
の範囲とすべきであり、特に1.0〜3重量部の範囲で添
加することが好ましい。
この発明に用いる成形材料は、上記の必須配合成分のほ
か、着色人工大理石を得るために着色剤を添加するこ
と、また滑剤として少量のステアリン酸、パルミチン酸
等の高級脂肪酸、そのアルカリ土類金属塩(カルシウム
塩、マグネシウム塩等)、あるいはモンタン酸ワック
ス、高級脂肪酸のアミド類等を添加すること等は当然に
許容される。また、必要に応じて、水酸化アルミニウム
粉末を予め脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、チタ
ネートカップリング剤等で表面処理を行っても良い。更
にまた、この発明の効果を損わない範囲で、水酸化アル
ミニウム粉末の一部を、他の種類の粉末無機質充填材に
置換して、材料コストの低減、成形品外観の調整を行う
ものとすることも許容される。
(製造装置) この発明による人工大理石の製造装置は、成形に固化押
出成形装置を用いるものである。固化押出成形装置は、
一般に高分子材料を丸棒や板パイプあるいは異形品に押
出成形するのに用いられているもので、押出機で高分子
材料を溶融しながら押出し、続いて押出ダイに溶融した
高分子材料を必要に応じて分配し、その先端に取付けた
フォーミングダイを通しながら冷却することにより目的
の形状と寸法に固化成形するものである。このような装
置による固化押出し方法は、一般の樹脂はもとより、特
に溶融粘度が高く、流動性の悪い材料や、フィラー高充
填の材料の成形に好適使用しうるものである。即ち溶融
状態の材料をフォーミングダイ内で固化させて押出すた
め、ダイ内部は非常な高圧になり、この為、成形品にボ
イドや、気泡が発生するのを抑制でき、良好な品質が得
られる特長を有するものである。
このような上記固化押出成形装置を用いた人工大理石の
製造装置の代表的なものゝ一例を示せば第1図に示すと
おりである。同図中(1)は押出機本体、(2)はその
シリンダー、(3)はそれに内装した押出スクリュー、
(4A)(4B)(4C)(4D)はシリンダー(2)の第1な
いし第4加熱装置、(5)は材料供給ホッパー、(6)
は駆動装置、(7)はシリンダー(2)の先端の絞り
部、(8)はそれに続いて設けられた押出ダイ、(9)
は更にその前方に連設された水冷ジャケット(9a)付き
のフォーミングダイ、(10)はゴムロールとかキャタピ
ラ等よりなる成形体の引取装置、(11)(12)は上記絞
り部(7)及び押出ダイ(8)の加熱装置、(13)はシ
リンダー先端絞り部での樹脂圧力の測定器、(15)は上
記引取装置(10)に続いて配設された加熱装置である。
ところで、上記押出ダイ(8)及びフォーミングダイ
(9)の内面の押出材料との接触面には、成形用材料の
固着防止のために特定の付滑処理が施されている。この
付滑処理は、人工大理石の表面形状、風合を一定かつ良
好に保持しながら長時間の連続的な押出成形を可能とす
るために必須とするものであり、静ないし動摩擦係数が
0.3以下で、しかも引張強度が50kg・f/(10mm幅)以上
の付滑材層(14)を押出ダイ(8)及びフォーミングダ
イ(9)の内面の全体に貼着等によって付与することに
よって行うものである。付滑材層(14)は、その摩擦係
数が0.3をこえるものでは、成形用材料の押出圧力が高
まり、後述の好ましい所定圧力が保持できないものとな
って実際上成形が困難になる。好ましい摩擦係数は0.15
以下である。また、引張強度が50kg・f/(10mm幅)未満
では、押出成形時に成形用材料が強く摺擦されることに
よって付滑材層(14)は早期に破損し、潤滑効果がなく
なり、推進力が低下して連続的な成形が困難になる。好
ましくは、引張強度100kg・f/(10mm幅)以上のものと
するのが良い。
付滑材層(14)の構成材料は、上記摩擦係数及び引張強
度を有するものであれば、その材質や構成が特に限定さ
れるものではないが、低摩擦係数の点でフッ素系樹脂を
付滑材として用いるのが好適である。なかでも特に4フ
ッ化エチレン樹脂(PTFE)を用いるのが好適である。所
要の引張強度の付与は、上記付滑材とする樹脂フィルム
ないしはシートの厚みを増大する方法によって対処して
も良いが、付滑材とする樹脂フィルム自体に薄いものを
用いながら所要の強度を付与するために、ガラス繊維、
ケブラ繊維あるいは金属繊維等の抗張性繊維よりなる芯
層に上記樹脂フィルムをラミネートした複合材とするこ
とによって対応するのが有利である。
加熱装置(15)は、押出成形機におけるフォーミングダ
イの前方に近接して配設されたもので、フォーミングダ
イ(9)から送り出されてくる成形体(A)が所定時
間、即ち20分以上の時間かけて導通される長さの加熱炉
本体(16)と、該炉本体の周壁内部を熱風循環通路(1
7)とし、内壁に穿たれた多数の熱風吹出孔(18)から
熱風を吹き出すものとなされた加熱手段と、成形体
(A)を炉の入口側から出口側に向けて移送する多数の
ローラコンベヤからなる移送装置(19)とを具備し、上
記加熱手段により炉内を80〜200℃の所定温度に保持
し、成形体(A)を全面均一に加熱処理するものとなさ
れている。この実施例における加熱装置は、熱風を利用
する空気浴式のものとして示したが、温熱水を用いる水
浴式のものとして構成しても良い。もっとも、加熱処理
後の水分の除去等の後処理の繁雑さを考えれば、水浴式
のものより、空気浴式のものゝ方が有利である。
(成形工程及び成形条件) 成形に際しては先ず前配合材料の予備混合を行う。この
混合操作は、例えば攪拌羽根のあるヘンシェルミキサ
ー、リボンブレンダー、V型タンブラー等を用い、アク
リル系樹脂粉末、水酸化アルミニウム粉末、及び液状成
形助剤をそれぞれ前記配合割合に投入し、「まゝ粉」状
の塊状物がなくなるまで均一に混合することによって行
う。こゝに混合機として、攪拌羽根を有しないドライブ
レンダー等を使用することは長時間混合操作を行っても
「まゝ粉」状塊状物がなくならないため、不適当であ
る。また、混合機への該配合材料の投入順序はあまり問
題にならない。
予備混合した成形材料はホッパー(5)から投入され、
シリンダー(2)内において加熱作用を受けて溶融軟化
しながらスクリュー(3)により混練され、絞り部
(7)を経て押出ダイ(8)から所定形状に押出され
る。そして、押出ダイから押出された押出物は、フォー
ミングダイ(9)を通る間にそれに装備する水冷ジャケ
ット(9a)で冷却され、所定断面形状に賦形されて固化
状態の成形体(A)に付形され、続いてすぐさま加熱装
置(15)の加熱炉本体(16)内に導入される。そして、
こゝで所定時間加熱処理されたのち、室温で徐々に放冷
され、内部歪を除去された成形体、即ち製品としての内
部歪の少ない人工大理石に製造される。
ところで、前述のように、水酸化アルミニウムは、180
℃を超えると、徐々に分解が始まり水とアルミナに変化
するが、この水分が通常の押出成形法では発泡となり製
品の外観を著しく阻害する原因となる。これに対し、固
化押出法を用い、高圧下で成形することにより、充填材
として水酸化アルミニウムを用いても、発泡のない良好
な品質の人工大理石を得ることが可能となるが、固化押
出法を用いれば、どんな条件でも成形出来る訳ではな
く、限定された条件下においてのみ実施が可能となる。
その第1の条件は、押出温度である。即ち、該押出温度
は、押出機本体(1)のシリンダー(2)部分、シリン
ダー先端絞り部(7)、および押出ダイ(8)部分のい
ずれの部分においても、180〜220℃の範囲内、好ましく
は190〜210℃の範囲に設定されなければならない。この
設定温度が180℃未満の場合は、アクリル系樹脂の溶融
軟化が十分に進行しないため、押出機の背圧が大きくな
りすぎて押出成形が困難となる。一方、設定温度が220
℃を超える場合は、水酸化アルミニウムの分解が促進さ
れる為、固化押出法においても発泡を抑えることは出来
ず、製品の価値を著しく低下させてしまう。
また、第2の条件は、冷却ジャケット付フォーミングダ
イ(9)による成形体(A)の冷却温度である。即ち、
フォーミングダイ(9)の出口における成形体(A)の
温度が150℃以下、好ましくは120℃以下になるように十
分な冷却が行われなければならない。この冷却温度が15
0℃を超えると、冷却ジャケット付フォーミングダイ
(9)より押出される人工大理石成形体は軟化した状態
であり、その表面に発泡や、フクレ等の外観不良を発生
すると共に、賦形も困難なものとなる。
そしてまた、第3の条件は、前述のように押出ダイ
(8)及びフォーミングダイ(9)の内面の全体に所定
の物性を備えた付滑材層(14)の被覆形成による特定の
付滑処理を施した状態のもとに固化押出成形操作を行う
ことである。この付滑処理を有しない状況下では、表面
性状の安定した人工大理石の長時間の連続押出成形を行
うことができない。
更にまたその他の条件として、シリンダー絞り部(7)
での押出樹脂圧力は、50kg/cm2〜500kg/cm2、好ましく
は70kg/cm2〜350kg/cm2の範囲内で運転されなければな
らない。樹脂圧力が50kg/cm2未満では巣入りや発泡が発
生し易く製品の人工大理石としての品質を低下させてし
まう。又、500kg/cm2を超えると、機械的に限界であ
り、押出機や導通ダイフォーミグダイを破損する虞れが
ある。
フォーミングダイから送り出されてくる成形体(A)
は、未だ内部に歪が残っている場合が多く、特に加熱と
冷却が繰返される苛酷な使用条件下での使用、例えばコ
ンロ等の熱源の近くで使用される流し台の天板等の用途
では、上記内部歪の影響でクラックを発生することがあ
る。
このような欠陥を除くために、上記成形体は、成形の直
後に加熱装置(15)に導入され、加熱処理を施される。
こゝに、加熱処理条件は、温度において80〜200℃、時
間において20分以上であることが必要である。この温度
が80℃未満では、内在する歪を除去する効果において不
十分なものとなる。逆に200℃をこえて高すぎると、発
泡や変形等を生じて製品の外観品質を著しく低下させて
しまう。一方、加熱時間は、20分未満ではやはり内在す
る歪の除去効果に不十分である。最も好適な加熱処理条
件は、120〜150℃×30〜60分程度である。処理時間は、
フォーミングダイ(9)から送り出されてくる成形体
(A)の送り出し速度、即ちラインスピードに合せて、
加熱炉本体(16)の実質有効長さを適宜に設定すること
により定めるのが有利である。
ところで、上記のように固化押出し成形された成形体
(A)をその直後に上記条件で加熱処理することによ
り、加熱処理の前後において成形体(A)にほとんど寸
法変化を生じることがなく、有害な変形も生じさせない
ものとすることができる。即ち、第2図に示すように、
処理前の成形体(A)の寸法(W1)に対し、処理後にお
ける寸法(W2)をほとんど変化のないものとすることが
できる。これに対し、固化押出成形法によって連続成形
した成形体を、所定の寸法に切断し、単品の長方形板と
したものを、その後においてバッチ式に加熱処理を施し
た場合には、第3図に示すような加熱処理前の成形体
(B)に較べ、加熱処理後の成形体(B′)は、幅
(W)及び長さ(L)が共にW1>W2、L1>L2に収縮し、
かつ変形も生じる。このため、規定サイズの人工大理石
を得るためには、予めそれより大きめの成形体を用意
し、加熱処理後に規定寸法に切り出す必要があり、材料
の無駄を生じ、経済的損失が大きくなる。このような差
異を生じる理由は、定かではないが、本発明による場
合、固化押出直後の未だ完全に冷却されていない間に加
熱処理を行うこと、及び成形体が長さ方向に連続してお
り、四周辺が固定された実質拘束状態のもとに、しかも
一部分が加熱されることなく全体が徐々に連続して均一
加熱されることにより、上記相俟って成形体に寸法変化
を生じることなく内部歪の除去が可能であることによる
ものと考えられる。
発明の効果 この発明によれば、マトリックス樹脂として透明性、耐
熱性等に優れたアクリル系樹脂粉末を選択することのほ
か、特に粉末状無機充填材として水酸化アルミニウム粉
末を選択し、これらの粉末と液状成形助剤との混合物を
成形材料として用い、かつ、固化押出法の採用と、押出
温度条件及びフォーミングダイによる冷却温度条件の特
定範囲の設定と、更にまた押出ダイ及びフォーミングダ
イへの特定の付滑処理との組合せにより、従来、成形不
可能なものとされていた押出成形法により、支障なく成
形を行うことができるのはもとより、固化押出成形後に
おいて所定条件で成形体を連続的に加熱処理することに
より、内部歪の少ない、高品位の人工大理石を効率能に
得ることができる。
従って、任意に長尺の、かつ所要断面形状の人工大理石
を高能率に製造しうると共に、製造された人工大理石
は、透明性と隠蔽性とがうまく調和し、深み、重厚感に
優れて天然大理石に近似した外観を有し、かつ品質的に
も全体に均整で、内部残留歪の少ない高品位のものを得
ることが出来る。
実施例 マトリックス樹脂、粉末状無機充填材、及び液状成形助
剤として下記第1表のものを用意した。
一方、製造装置の固化押出成形装置として、第1図に示
したようなフルフライト型の成形機(口径:50mm、L/D=
32、スクリュー圧縮比:2.5)を用い、その押出ダイ
(8)及びフォーミングダイ(9)の内面の全体に、第
2表に示すような各種の材料からなる付滑材層(14)を
被覆形成せしめるものとした。また、押出装置に連設し
てその前方に第1図に示されるような熱風循環式加熱炉
による加熱装置(15)を設けるものとした。
上記第1表の材料を下記第3表に示す配合割合でヘンシ
ェルミキサーに投入し、30分間常温で混合した。
そしてその混合物を上記の固化押出成形機により、押出
条件と加熱処理条件を第3表に示すように各種に変更し
て固化押出成形し、かつ加熱処理を施して厚さ12mm、幅
790mmの各種板状成形品を得た。
そして、押出成形時における押出成形性を評価すると共
に、各成形品についてその製品外観を調べた。その評価
方法は下記のとおりとし、評価結果を第3表に併せて示
す。
〔評価方法〕
製品外観 ○…発泡による巣入りや、ボイドがなく平滑で美麗な表
面が得られたもの。
×…発泡により、内部に巣入りや、ボイドが生じたり、
表面が凹凸になったもの。
押出成形性 ○…押出機の負荷が定格値以内であり、安定して24時間
以上連続に押出できたもの。
×…押出機の負荷が過大となりスクリューが運転中停止
したり、変動が著しく大きく24時間以上の安定押出が出
来なかったもの。
内部歪み 本発明の実施例によるものと、加熱処理条件が本発明の
規定範囲から逸脱する比較例によるものとについて比較
した。評価方法は、次の(1)加熱収縮率と(2)加熱
後の変形度とを測定することで行った。
(1)加熱収縮率 JIS6735法に準じて行った。
但し、加熱条件:140℃×40分 (2)加熱後の変形度 JIS6735法に準じて行った。
但し、加熱条件:150℃×30分 試験体(A)の大きさ: 長さ(L)300mm 幅(W)760mm 変形後の測定:第4図に示すΔEの最大湾曲量 上掲第3表の評価に示すように、この発明の規定条件に
従う実施例1〜6の製造方法によるものにおいては、い
ずれも24時間以上の連続的な固化押出成形操作の継続が
可能であり、高能率に、しかも外観品質が良好でかつ内
部歪の少ない熱的安定性の優れた人工大理石を得ること
ができるものであった。
これに対し、押出温度条件が高すぎたり、あるいは低す
ぎる比較例7、8によるときは、押出機の負荷過大や変
動で製板ができなかったり、あるいは製板ができても発
泡やボイドを生じて良好な品質の成形品を得ることがで
きなかった。またフォーミングダイの水冷ジャケットに
よる成形体の冷却が不十分でダイ出口における成形体の
温度が高すぎる比較例9の場合、及び冷却ジャケットを
有しない(使用しない)フォーミングダイを用いて成形
した比較例10の場合は、いずれも発泡によるボンドやふ
くれの発生を抑えることができず、やはり品質的に優れ
た成形品を得ることができなかった。
更にまた、押出ダイ及びフォーミングダイに付滑材層を
付与しなかった比較例11によるときは、初期の時点から
全く押出成形を行うことができず、また付滑材層の物性
がこの発明の規定値から逸脱する比較例12、13による場
合は、いずれも運転開始後24時間未満で付滑材層の樹脂
フィルムが破損し、以降成形が困難になるものであっ
た。
更にまた、成形後の加熱処理条件がこの発明の規定範囲
から逸脱する比較例14、15、16による場合は、内部歪み
の除却が不十分で熱的安定性に劣るものであったり(比
較例14、16)、変形、反りが生じて(比較例15)満足す
べき人工大理石を得ることができないものであった。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の押出成形操作に用いる製造装置の一
例を示す概略縦断面図、第2図はこの発明による製造方
法における加熱処理前後の成形体の寸法の安定状態を示
す平面図、第3図は成形体をバッチ操作で加熱処理を行
った場合の寸法変化状態を示す説明図、第4図は内部歪
による加熱変形度の測定方法を示す説明図である。 (1)……押出機本体、(2)……シリンダー、(8)
……押出ダイ、(9)……フォーミングダイ、(9a)…
…水冷ジャケット、(14)……付滑材層、(15)……加
熱装置、(16)……加熱炉本体、(17)……熱風循環通
路、(18)……熱風吹出孔、(19)……移送装置。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マトリックス樹脂としてのアクリル系樹脂
    粉末と、粉末状無機充填材としての水酸化アルミニウム
    粉末であって、平均粒子径10μm以上、比表面積2m2/g
    以下で略球形をなす水酸化アルミニウム粉末とを、上記
    アクリル系樹脂に対して相溶性を有する少量の液状成形
    助剤と共に均一に混合した混合物を成形用材料として用
    い、 該成形用材料を押出成形機の押出ダイから所定形状に押
    出した直後に冷却ジャケット付きフォーミングダイに導
    通して固化状態に成形し、 次いで得られた成形体を直後に加熱処理するものとする
    と共に、 前記押出機による押出温度を180〜220℃、フォーミング
    ダイによる成形体の冷却温度を150℃以下に設定制御
    し、かつ、前記押出ダイ及びフォーミングダイの内面の
    成形用材料との接触面の全体に、摩擦係数0.3以下、引
    張強度50kg・f/(10mm幅)以上の付滑材層を被覆形成せ
    しめた状態のもとに、前記固化押出成形操作を行い、 また押出成形後の成形体の前記加熱処理を80〜200℃で2
    0分間以上行うことを特徴とする、内部歪の少ない人工
    大理石の製造方法。
  2. 【請求項2】押出ダイ及びフォーミングダイを有する押
    出成形機と、その押出方向の前方部位に連設された加熱
    装置とを具備し、 前記押出ダイ及びフォーミングダイは、その内面の成形
    材料との接触面の全体に、摩擦係数0.3以下、引張強度5
    0kg・f/(10mm幅)以上の付滑材層を被覆形成されると
    共に、 前記加熱装置は、フォーミングダイから送り出されてく
    る成形体が当該送り出し速度で20分間以上の通過時間を
    かけて導通される長さの加熱炉本体と、該炉内を80〜20
    0℃の温度に制御する加熱手段と、成形体を炉本体の入
    口側から出口側に向けて移送する移送手段とを具備する
    ことを特徴とする、内部歪の少ない人工大理石の製造装
    置。
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