JPH0733882A - ポリ(シリレン)ジアセチレン類およびその製造方法 - Google Patents

ポリ(シリレン)ジアセチレン類およびその製造方法

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JPH0733882A
JPH0733882A JP17970993A JP17970993A JPH0733882A JP H0733882 A JPH0733882 A JP H0733882A JP 17970993 A JP17970993 A JP 17970993A JP 17970993 A JP17970993 A JP 17970993A JP H0733882 A JPH0733882 A JP H0733882A
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reaction
group
polymer
chemical formula
poly
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JP17970993A
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English (en)
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Masahiko Mitsuzuka
雅彦 三塚
Kenji Iwata
健二 岩田
Koji Inoue
浩二 井上
Masayoshi Ito
正義 伊藤
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱・耐燃焼性ポリマーとして有用な、新規
な有機ケイ素高分子を提供する。 【構成】 化学式(1) (式中、Rは水素、炭素数が1〜10のアルキル基、炭
素数が1〜10のアルケニル基または炭素数が1〜10
のアルキニル基)で表される繰り返し単位をもち、ゲル
透過クロマトグラフィーによる分子量がポリスチレンを
基準として200〜1,000,000であるポリ(シ
リレン)ジアセチレン類。および有機マグネシウム試薬
とジクロルシラン類をエーテル系溶媒の存在下で反応さ
せることにより化学式(1)で表されるポリ(シリレ
ン)ジアセチレン類を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性および耐燃焼性
ポリマーとして、また導電性ポリマーとして、またプレ
セラミックポリマーとして有用な、新規な有機ケイ素高
分子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは化学式(1)(化5)
【0003】
【化5】 (式中、Rは水素、アルキル基、アルケニル基またはア
ルキニル基)で表される構造をもつ有機ケイ素高分子
を、主鎖にジアセチレン基およびSi−H基をもつこと
から、高い耐熱性、耐燃焼性や導電性など従来のポリマ
ーにない新しい機能性材料として注目してきたが、その
Si−H結合の特殊な反応性のために、文献等に記載さ
れた既知の方法では合成できなかった。
【0004】一例を挙げれば、T.J.バートンはジア
セチレンジリチウム塩とジクロルシラン類の反応によ
り、Si上の置換基が両方ともメチル基であるポリ(ジ
メチルシリレン)ジアセチレンやSi上の置換基がメチ
ル基とフェニル基であるポリ(メチルフェニルシリレ
ン)ジアセチレン等を合成している(公表特許公報平3
−502712)。本発明者らはこのバートンの開示し
た方法を基に、Siの置換基が水素とメチル基であるポ
リ(メチルシリレン)ジアセチレンやSi上の置換基が
ふたつとも水素であるポリ(シリレン)ジアセチレンな
どの合成を試みたが満足な結果は得られなかった。得ら
れた生成物は分子量が1000以下のオリゴマーであ
り、さらには窒素シール下で保管したにもかかわらず数
時間でゲル化し不溶不融の固体となるなど不安定な特性
を有していた。これらの原因を検討したところ、主な問
題点として、反応性の高いジアセチレンジリチウム塩が
Si−H結合の一部と反応すること、および反応液の加
水分解時にSi−H結合の一部がシラノール基(Si−
OH)になることを見いだした。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは充
分に分子量が高く、シラノール基などの構造欠陥のない
ポリ(シリレン)ジアセチレン類を高収率で得る製造方
法を鋭意検討した。化学式(1)(化6)
【0006】
【化6】 (式中、Rは水素、アルキル基、アルケニル基またはア
ルキニル基)で表される高分子は従来満足な合成方法が
知られておらず合成できなかった。本発明者らは新規な
合成方法を開発し、これによって目的の高分子を製造す
る方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、化学式(1)
(化7)
【0008】
【化7】 (式中、Rは水素、炭素数が1〜10のアルキル基、炭
素数が1〜10のアルケニル基または炭素数が1〜10
のアルキニル基であり、アルキル基とアルケニル基はア
ルコキシル基、カルボキシル基、アルキルアミノ基、シ
リル基、ハロゲン等の置換基を含んでも良い)で表され
る繰り返し単位をもち、ゲル透過クロマトグラフィーに
よる分子量がポリスチレンを基準として200〜1,0
00,000であるポリ(シリレン)ジアセチレン類で
ある。また本発明は化学式(2)(化8)
【0009】
【化8】 (式中、XはCl、BrまたはIのいずれかの元素であ
る)で表される有機マグネシウム試薬とジクロルシラン
類をエーテル系溶媒の存在下に反応させることを特徴と
するポリ(シリレン)ジアセチレン類の製造方法であ
る。また本発明は化学式(2)(化9)
【0010】
【化9】 (式中、XはCl、BrまたはIのいずれかの元素であ
る)で表される有機マグネシウム試薬とジクロルシラン
類をエーテル系溶媒の存在下に反応させた後に、化学式
(3)(化10)
【0011】
【化10】 (式中、R1〜R3は水素、炭素数が1〜10のアルキル
基またはフェニル基のいずれかであり互いに異なってい
ても同じでもよい)で表されるモノクロルシラン類を添
加し、この反応液を酸性水溶液を用いて加水分解するこ
とを特徴とするポリ(シリレン)ジアセチレン類の製造
方法である。
【0012】本発明に用いられるジクロルシラン類には
メチルジクロルシラン(MeSiHCl2)、エチルジ
クロルシラン(EtSiHCl2)、シクロヘキシルジ
クロルシラン((C611)SiHCl2)、デシルジク
ロルシラン((C1021)SiHCl2)などのモノア
ルキルジクロルシラン類、ビニルジクロルシラン((C
2=CH)SiHCl2)などのモノアルケニルジクロ
ルシラン類、エチニルジクロルシラン((HC≡C)S
iHCl2)などのモノアルキニルジクロルシラン類と
ジクロルシラン(SiH2Cl2)がある。本発明に用い
られる有機マグネシウム試薬には化学式(4)(化1
1)
【0013】
【化11】 化学式(5)(化12)
【0014】
【化12】 化学式(6)(化13)
【0015】
【化13】 で表される化合物などがある。本発明で製造されるポリ
(シリレン)ジアセチレン類としては化学式(7)(化
14)
【0016】
【化14】 で表される繰り返し単位を有するポリ(メチルシリレ
ン)ジアセチレンや化学式(8)(化15)
【0017】
【化15】 で表される繰り返し単位を有するポリ(エチルシリレ
ン)ジアセチレンや化学式(9)(化16)
【0018】
【化16】 で表される繰り返し単位を有するポリ(シクロヘキシル
シリレン)ジアセチレンや化学式(10)(化17)
【0019】
【化17】 で表される繰り返し単位を有するポリ(デシルシリレ
ン)ジアセチレンや化学式(11)(化18)
【0020】
【化18】 で表される繰り返し単位を有するポリ(ビニルシリレ
ン)ジアセチレンや化学式(12)(化19)
【0021】
【化19】 で表される繰り返し単位を有するポリ(エチニルシリレ
ン)ジアセチレンや化学式(13)(化20)
【0022】
【化20】 で表される繰り返し単位を有するポリ(シリレン)ジア
セチレンや化学式(14)(化21)
【0023】
【化21】 で表される繰り返し単位を有するポリ(3,3,3,−
トリフロロプロピルシリレン)ジアセチレンや化学式
(15)(化22)
【0024】
【化22】 で表される繰り返し単位を有するポリ(N,N−ジメチ
ルアミノメチルシリレン)ジアセチレンなどがある。原
料のジクロルシラン類にモノアルキルジクロルシラン類
を用いると対応するポリ(モノアルキルシリレン)ジア
セチレン類が、モノアルケニルジクロルシラン類を用い
ると対応するポリ(モノアルケニルシリレン)ジアセチ
レン類が、モノアルキニルジクロルシラン類を用いると
対応するポリ(モノアルキニルシリレン)ジアセチレン
類が、ジクロルシランを用いるとポリ(シリレン)ジア
セチレンが製造される。
【0025】本発明で用いられる溶媒としては、テトラ
ヒドロフラン(以下THFと略称する)、ジエチルエー
テル、ジオキサン、n−ブチルエーテルなどの、グリニ
ャール反応に通常用いられるようなエーテル系溶媒が有
効に用いられる。本発明に用いられるモノクロルシラン
類にはトリメチルクロルシラン(Me3SiCl)、ジ
メチルクロルシラン(Me2SiHCl)、メチルクロ
ルシラン(MeSiH2Cl)、トリエチルクロルシラ
ン(Et3SiCl)、ジエチルクロルシラン(Et2
iHCl)、エチルクロルシラン(EtSiH2
l)、シクロヘキシルクロルシラン(c−HexSiH
2Cl)、オクチルクロルシラン((C817)SiH2
Cl)、フェニルクロルシラン(PhSiH2Cl)等
がある。
【0026】製造方法を説明する。反応装置は、例えば
原料の貯蔵容器、原料の流量を制御しつつ反応容器に供
給する部分、溶媒を反応容器に供給する部分、反応容
器、反応容器の内圧を一定の圧力に保つ装置、反応容器
内から蒸発した溶媒や原料を冷却し反応容器内へ還流さ
せる装置、反応容器内部の攪拌装置、反応容器の温度を
測定し制御する装置などからなる。操作は、前述の反応
容器内に乾燥した溶媒と、原料である有機マグネシウム
試薬かジクロルシラン類の何れか一方を満たし、反応容
器内の温度を反応温度に制御し、反応容器内部を十分に
攪拌しつつ、もう一方の原料を反応温度が上昇し過ぎな
い様に流量を制御しつつ導入する。または、前述の反応
容器内に乾燥した溶媒を満たし、反応容器内の温度を反
応温度に制御し、反応容器内部を十分に攪拌しつつ、原
料である有機マグネシウム試薬およびジクロルシラン類
の各々を、反応温度が上昇し過ぎない様に流量を制御し
つつ反応容器内に導入する。両原料の混合が終了した
ら、反応容器の温度を後反応温度(両原料の混合を終了
してから後の、更に反応を続けて反応を完結させるとき
の反応温度を後反応温度と定義する)に制御しつつさら
に攪拌を続ける。所定の反応時間後反応液に所定の後処
理を施た後、反応生成物と副成物、溶媒等とを分離、精
製する。
【0027】原料として用いる有機マグネシウム試薬は
ジアセチレン化合物のグリニャール試薬として一般に広
くしられており、その合成方法も通常のグリニャール反
応に用いる場合と同様であり、特に限定するものではな
い。原料として用いる有機マグネシウム試薬とジクロル
シラン類の比率は、有機マグネシウム試薬の1molに
対してジクロルシラン類0.5〜2mol、より好まし
くは0.8〜1.2molが適当である。反応に用いる
溶媒としては、THF、ジエチルエーテル、ジオキサ
ン、n−ブチルエーテルなどの、グリニャール反応に通
常用いられるようなエーテル系溶媒が有効に用いられ
る。また溶媒中の水分は反応を阻害するので、反応に用
いる溶媒は予め脱水し、蒸留したものを用いることが好
ましい。脱水方法は特に限定するものではないが、例え
ば金属水素化物などの乾燥剤を用いるなどの常用手段に
より脱水乾燥する。溶媒の量は原料のジクロルシラン類
1gに対して5〜200mlが適当である。
【0028】反応温度は、原料の反応容器への導入時に
は−80゜〜80℃、より好ましくは−40゜〜40℃
が適当である。高収率で高分子量の高分子を得るには、
原料の反応容器への導入時には反応熱のために反応液の
温度が上昇するので、急激に液温が上昇しないように、
また局所的に反応が進行しないように、反応液の攪拌を
充分に行いながら原料の反応容器への導入速度を調節す
ることが好ましい。主にこの理由によって、原料の反応
容器への導入に要する時間は、反応のスケールによって
も異なるが、5分〜2時間が好ましい。後反応時の反応
温度は−80゜〜120℃、より好ましくは−30゜〜
80℃が適当である。高収率で高分子量の高分子を得る
には、原料の反応容器への導入後、所定の後反応温度に
達するまでゆっくりと液温を上昇させることが好まし
い。また後反応の時間中ゆっくりと更に温度を上昇させ
て室温〜溶媒のリフラックス温度に達して後反応を終了
することも可能である。後反応に要する時間は仕込んだ
原料、溶媒の量や後反応温度などにより異なるが、1〜
100時間が適当である。 反応圧力は減圧、常圧、加
圧いずれでも良いが、常圧が好ましい。
【0029】後処理について説明する。後処理とは反応
液を加水分解して生成物の活性な末端を安定化し、副成
した塩類と生成物を分離する工程である。通常のグリニ
ャール反応の後処理においては後反応終了後直ちに塩化
アンモニウム水溶液や塩酸水溶液などを用いて加水分解
を行うことが一般的であるが、高分子の合成においては
特に以下の点に注意しなければならない。後反応の終了
した反応液中には若干の未反応のジクロルシラン類が残
存している。また生成した高分子の末端にもまだ加水分
解性の高いクロル基が残っている。そのために、通常の
グリニャール反応の後処理である加水分解処理により高
分子中にシロキサンが取り込まれる恐れがある。そこで
加水分解処理に先だって、メタノールなどのアルコール
類やメチルリチウム等の有機金属試薬を小量キャップ剤
として加えて−30℃〜室温で数分〜数時間反応させ、
未反応高分子末端を安定化し、しかる後に塩化アンモニ
ウム水溶液や塩酸水溶液などを用いて加水分解を行うと
効果のあることが文献等で知られている(参考文献:J.
L.Brefort et al.,Organometallics,1992,11,2500
等)。しかし、本発明によって製造されるポリ(シリレ
ン)ジアセチレン類の場合は生成した高分子の主鎖に特
に反応活性の高いSi−H基があるために、これらのキ
ャップ剤が高分子主鎖のSi−H基と反応して高分子の
構造に欠陥を生じることを本発明者らは見いだした。一
例を挙げると、メタノールをキャップ剤として用いた場
合には高分子主鎖のSi−H基の一部がメトキシ化し易
い。主鎖の一部がメトキシ化した高分子は分離精製中
に、または保存中に縮合することにより分子量が増加
し、ついにはゲル化することもある。またアルキルリチ
ウムをキャップ剤として用いた場合には高分子主鎖のS
i−H基の一部がアルキル化し易い。またアルキルリチ
ウムが生成した高分子主鎖のSi−C結合を解裂させる
ことにより分子量が低下し易い。これらの問題を回避す
るために本発明者らは以下の方法を見いだした。
【0030】この新しい後処理方法は、後反応終了後の
反応液に化学式(3)(式中、R1〜R3は水素、炭素数
が1〜10のアルキル基またはフェニル基のいずれかで
あり互いに異なっていても同じでもよい)で表されるモ
ノクロルシラン類を添加し、しかる後にこの反応液を酸
性水溶液を用いて加水分解処理を行うことを特徴として
いる。反応液中には若干の未反応のジクロルシラン類が
残存しているが、これらは酸性水溶液により加水分解さ
れシランジオールを生成する。モノクロルシラン類を添
加していない場合にはこれらのシランジオールは互いに
縮合してシリコーンを形成し、さらに高分子末端の未反
応のクロルシリル基が同様に加水分解して生成した高分
子末端のシラノール基と縮合する。その結果、得られた
高分子の主鎖中には本来意図しなかったシリコーン結合
が混入することになり、高分子の本来の特性を損なう場
合がある。未反応のジクロルシラン類が残存しておらず
シランジオールが生成しない場合においても、高分子末
端のシラノール基同士が縮合することにより高分子の主
鎖中には本来意図しなかったシリコーン結合が混入する
ことになり、やはり高分子の本来の特性を損なう場合が
ある。これに対して、モノクロルシラン類を添加した場
合には、モノクロルシラン類が加水分解して生成したシ
ラノールが、高分子末端のシラノール基と縮合すること
により、高分子末端とシランジオールの縮合および高分
子末端同士の縮合を抑制する効果がある。モノクロルシ
ラン類の代わりに、そのモノクロルシラン類に対応する
シラノールを添加しても同様の効果がある。しかしシラ
ノールは保存中に容易に縮合しシリルエーテルになり易
いので、モノクロルシラン類を用いる方が取扱い上便利
である。
【0031】モノクロルシラン類の添加にはもう一つの
効果がある。それは保存中の高分子の安定性を増加させ
る効果である。モノクロルシラン類の添加なしに加水分
解して得られた高分子は保存中にゆっくりと高分子量化
し、ついにはゲル化する場合もある。モノクロルシラン
類を添加した後に加水分解することにより精製後の高分
子の安定性を向上させることができる。原因としては以
下のように考えられる。主鎖に反応性の高いSi−H結
合をもつ高分子は、酸性水溶液による加水分解であって
もそのSi−H結合の極一部が加水分解されて、高分子
の主鎖中にシラノール基を生成する場合がある。本発明
により得られるポリ(シリレン)ジアセチレン類は特に
Si−H結合の反応性が高いために主鎖中のシラノール
基を形成し易い。高分子主鎖中のシラノール基の縮合
は、高分子末端のシラノール基の縮合よりも反応が遅
く、高分子を精製した後も僅かに残存し保存中にゆっく
りと縮合するために、高分子は保存中にゆっくりと高分
子量化し、ついにはゲル化する場合もある。モノクロル
シラン類を添加した後に加水分解することにより、モノ
クロルシラン類から生成したシラノール基が高分子主鎖
中に生成したシラノール基と速やかに縮合し、精製後の
高分子の安定性が向上する。
【0032】添加するモノクロルシラン類は、対応する
シラノールの縮合速度が高分子末端や高分子主鎖中のシ
ラノール基の縮合速度と大きく異ならないことが好まし
い。そのためにモノクロルシラン類の置換基としては水
素や炭素数が1〜10のアルキル基やフェニル基が好ま
しい。添加するモノクロルシラン類の種類は単一で用い
ても、複数のモノクロルシラン類を混合して用いてもよ
い。添加するモノクロルシラン類の量は原料のジクロル
シラン類の1molに対して0.01〜100mol、
より好ましくは0.1〜10molが適当である。添加
量が少なすぎると高分子のシラノールとの縮合が充分に
進まないおそれがある。添加量が多すぎると多量のシリ
ルエーテルが副成し経済的でない。必須の操作ではない
が、モノクロルシラン類の添加後に10分〜10時間程
度の時間、後反応温度〜溶媒のリフラックス温度程度の
温度で反応液を攪拌し、しかる後に加水分解処理を行う
ことも可能である。この操作によって高分子末端の未反
応のC≡CMgX基がモノクロルシラン類と反応するこ
とにより高分子末端のアセチレン基がシリル化される。
この操作を省いた場合には高分子末端の未反応のC≡C
MgX基は加水分解によりC≡CH基となる。いずれの
場合にも良好な高分子を得ることができる。
【0033】反応液の酸性水溶液による加水分解処理に
ついては特に限定するものではなく、一般的なグリニャ
ール反応の酸性水溶液による加水分解処理と同様の方法
が有効に用いられる。用いる酸性水溶液は、酸の種類を
特に限定するものではない。一般的にグリニャール反応
の加水分解に用いられる酸性水溶液が有効に用いられ
る。例を挙げれば塩酸、硫酸、硝酸等の水溶液が挙げら
れる。用いられる酸性水溶液の濃度についても特に限定
するものではないが、一般的には0.01〜5規定、よ
り好ましくは0.1〜1規定の水溶液が用いられる。後
反応後に、モノクロルシラン類を用いずに、反応液をそ
のまま酸性水溶液を用いて加水分解することももちろん
可能である。この場合には原料の有機マグネシウム試薬
に対して原料のジクロルシラン類を等量ないし若干過剰
に用いることが好ましい。ただしその場合は若干のシロ
キサンを高分子の主鎖中に含むポリマーが得られること
がある。
【0034】反応生成物の分離、精製方法は特に限定す
るものではなく、通常のグリニャール反応による生成物
の分離、精製と同様な方法で行うことができる(前記の
参考文献等)。一例をあげて説明する。後処理後の反応
液は有機相と水相とに相分離するので、有機相を分別す
るのは容易である。相分離が不十分の場合は、反応液に
ベンゼンやn−ヘキサンなどの極性の低い有機溶剤を混
合することにより相分離をさらに容易にすることができ
る。分別した有機相は硫酸ナトリウムなどの中性ないし
弱酸性の乾燥剤により脱水する等の通常の乾燥処理を施
した後、乾燥剤を濾過などにより除去し、溶媒を減圧留
去などの手段により分離し粗ポリマーを得る。この粗ポ
リマーはアルコール類などの貧溶媒に分散、沈澱させる
ことにより精製することができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。 実施例1 ポリ(メチルシリレン)ジアセチレンの製造例を示す。
まず有機マグネシウム試薬の合成について述べる。勿論
有機マグネシウム試薬の合成方法は以下に述べる方法に
限定されるものではない。滴下ロートを装着した200
mlの四口フラスコにビス(トリメチルシリル)ジアセ
チレン1.94g(10mmol)を入れ、乾燥Arガ
スでフラスコ内を置換した。水素化リチウムアルミニウ
ムで乾燥し単蒸留したTHFを60mlとりフラスコ内
に仕込んだ。これにメチルリチウムの1.5Mエーテル
溶液13.3ml(20mmol)を室温でゆっくり
(約20分間)滴下し、さらに室温で3時間反応させ
て、白色スラリー状のジアセチレンジリチウム塩(Li
C≡C−C≡CLi)を得た。これに、攪拌しながら室
温で、臭化マグネシウム(MgBr2・THF)の粉末
10gを装入し、さらに室温で攪拌しながら3時間反応
させると溶液は黄色透明になり、目的の有機マグネシウ
ム試薬(BrMgC≡C−C≡CMgBr)10mmo
lが得られた。
【0036】つぎにポリマーの合成について述べる。反
応は前述の有機マグネシウム試薬の合成に引き続き行っ
た。前述の有機マグネシウム試薬の入ったフラスコに、
室温で攪拌しながら、メチルジクロルシラン1.15g
(10mmol)を20分間かけて滴下した。滴下中に
一旦白色の沈澱が生じたが、さらに滴下を続けると再び
透明な溶液になった。さらに室温で16時間後反応させ
た。続いて後処理を行った。トリメチルクロルシラン
1.44g(13mmol)を添加し、室温で2時間攪
拌した。別の300mlフラスコに0.5規定塩酸水溶
液を満たし氷冷した。このフラスコに滴下ロートを装着
し、この滴下ロートに前述の200mlフラスコ内の反
応液をシリンジを用いて移液し、塩酸水溶液を攪拌しな
がら、この反応液を10分間かけて滴下した。分液ロー
トで有機相を分離しさらに2回水洗した。有機相を硫酸
ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾過により除き、溶媒
を減圧留去すると粗収量0.92gで粗生成物を得た。
これをTHFに溶解し、メタノール中で析出させること
により精製した。収量は0.85g(収率92%)であ
った。生成物は白色固体であり、ゲル透過クロマトグラ
フィー(以下GPCと略称する)による重量平均分子量
は140,000 数平均分子量は53,000であっ
た。ドライボックス内で一か月保管した後に分子量を再
度測定したが、分子量の変化は認められなかった。
【0037】以下に製造されたポリマーの分析値を記
す。 (1)元素分析(C5H4Si) C:65.12%(理論値65.16%)、H:
4.32%(理論値4.37%)、Si:30.41%(理論値30.47%)。 (2)IR(cm-1) 2968(w),2173(s),2074(s),1259(m),878
(s),842(s). 2968cm-1、842cm-1はメチル基の、2173cm-1、878cm-1
Si-H結合の、2074cm-1はジアセチレン基の特性振動数で
ある。 (3)1H-NMR(ppm,CDCl3) 4.27(q,1H),0.34(d,3H). 4.27ppmはSi-Hの水素、0.34ppmはメチル基の水素であ
る。 (4)13C-NMR(ppm,CDCl3) 89.9 ,78.9 ,-3.8 .89.9ppm、7
8.9ppmはアセチレン基の炭素、-3.8ppmはメチル基の炭
素である。 (5)29Si-NMR(ppm,CDCl3) -58.9ppm .29 Si-NMRのプロトン−ノンデカップリング測定では二重
項(JSi-H=234Hz)であることから、ケイ素に直接結合
する水素は1個であり、ポリマー構造と一致する。
【0038】実施例2 後処理にトリメチルクロルシランを用いないことを除け
ば実施例1と同様の操作で、ポリ(メチルシリレン)ジ
アセチレンを合成した。生成物は白色固体であり、GP
Cによる重量平均分子量は200,000 数平均分子
量は65,000であった。以下に製造されたポリマー
の分析値を記す。 (1)元素分析(C5H4Si) C:65.10%(理論値65.16%)、H:
4.31%(理論値4.37%)、Si:30.42%(理論値30.47%)。 (2)IR、1H-NMR、13C-NMR、29Si-NMRの分析結果は実施
例1の分析結果とほぼ一致したが、IRの測定において
1070cm-1付近に僅かながらSi-O結合に起因する特性吸収
が観測された。僅かながらポリマー中にシロキサン結合
が生成している。 本発明により製造されたポリマーの特性は、GPCによ
る分子量については200〜1,000,000の範囲
にあり、重量平均分子量はおよそ1,000〜200,
000の範囲であった。また溶媒溶解性があり、THF
等の有機溶媒に可溶であった。後処理にトリメチルクロ
ルシラン等のモノクロルシラン類を用いなかった場合に
も同様に良好な特性のポリマーが得られた。ただし、後
処理にモノクロルシラン類を用いなかった場合には、若
干高分子量のポリマーが得られる傾向があった。またそ
の場合にはIRの測定により、ポリマーに若干のシロキ
サン結合が含まれることが多かった。同時に収率も若干
低いことが多かった。製品として得られたポリマーの安
定性に関しては、後処理にトリメチルクロルシラン等の
モノクロルシラン類を用いた場合には安定性は高く、例
えば窒素を満たしたドライボックス中に室温で一か月保
存しても分子量等の特性に変化はなかった。後処理にモ
ノクロルシラン類を用いなかった場合には、保存中に分
子量が若干増加することがしばしばあった。その場合で
も溶媒溶解性等に大きな影響はなかった。
【0039】比較例1 前述した公表特許公報平3−502712の方法に準じ
てポリ(メチルシリレン)ジアセチレンの合成を試み
た。以下にその一例を示す。滴下ロートを装着した50
0mlの四口フラスコ内を乾燥Arガスで置換し、蒸留
したベンゼン60mlを入れた。ドライアイス−メタノ
ールを冷媒に用いてフラスコ内を−78℃に冷却した。
滴下ロートから濃度が2.5Mのn−ブチルリチウム
(ヘキサン溶液)を84ml(0.21mol)、フラ
スコ内を攪拌しながら滴下した。さらに蒸留したエチル
エーテル60mlを滴下ロートを通して加えた。溶液が
−75℃まで冷却した後に、溶液を攪拌しながら、滴下
ロートからヘキサクロロブタジエン13.0g(0.0
5mol)のエーテル(20ml)溶液を30分間で滴
下した。滴下後フラスコから冷媒を外し、溶液が室温に
戻るまで3時間攪拌を続けて、白色スラリー状のジアセ
チレンジリチウム塩(LiC≡C−C≡CLi)を得
た。再びフラスコ内を−78℃に冷却し、溶液を攪拌し
ながら、滴下ロートからメチルジクロルシラン(MeS
iHCl2)5.75g(0.05mol)を5分間で
滴下した。滴下後フラスコから冷媒を外し、攪拌しなが
ら5時間かけてゆっくりとフラスコ内を室温に戻した。
0.5規定の塩酸水溶液を用いて3回洗浄した。硫酸ナ
トリウムを用いて乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得
られた粗生成物(粗収量4.5g)は褐色の液体であ
り、メタノール中に滴下しても沈澱を生じなかった。G
PCにより分子量を測定したところ、重量平均分子量は
1,000であり、分子量が10,000を越える成分
は殆どなかった。この生成物を窒素シールした容器に封
入し、ドライボックス内で保管したにもかかわらず、2
日後には生成物はゲル化し、クロロホルムやTHFなど
の溶媒に不溶となった。また、用いる溶媒の量、試薬の
量、反応温度、反応時間を変更しても、より高分子量の
生成物は得られなかった。
【0040】溶媒留去直後の生成物を重クロロホルムに
溶かし1H-NMRを測定したところ、4.27ppm、0.34ppm以外
にも、3.62ppm、3.34ppm、1.72ppmなどを含め、多数の
帰属できない余分なシグナルが観測された。13C-NMR、
29Si-NMRの測定でも同様に余分なシグナルが観測され
た。またIRの測定では1070cm-1に幅の広い強い吸収が
観測された。このIRの結果はSi−O結合の存在を示
している。分子量が小さいこと、NMR測定において余
分なシグナルが観測されること、IR測定においてSi
−O結合の存在が示唆されることなどを合わせて考慮す
ると、前述した公表特許公報の方法に準じてポリ(メチ
ルシリレン)ジアセチレンを合成した場合には、Si−
H結合の一部がジアセチレンジリチウム塩と反応し4級
ケイ素が生成し、さらにこの副反応で副成したLiH塩
がC≡C結合の一部を還元したことなどが推察される。
また副成したLiH塩が加水分解されると強塩基を生成
し、これがSi−H結合を加水分解してSi−O結合が
生成したことも充分考えられる。以上から、本発明の製
造方法によって初めてポリ(シリレン)ジアセチレン類
が、好ましくない構造欠陥を含まずに合成できることが
示された。
【0041】
【発明の効果】新規な合成方法を発見したことにより、
耐熱性及び耐燃焼性ポリマーとして有用な有機ケイ素高
分子を得る製造方法が確立された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 正義 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学式(1)(化1) 【化1】 (式中、Rは水素、炭素数が1〜10のアルキル基、炭
    素数が1〜10のアルケニル基または炭素数が1〜10
    のアルキニル基であり、アルキル基とアルケニル基はア
    ルコキシル基、カルボキシル基、アルキルアミノ基、シ
    リル基、ハロゲン等の置換基を含んでも良い)で表され
    る繰り返し単位をもち、ゲル透過クロマトグラフィーに
    よる分子量がポリスチレンを基準として200〜1,0
    00,000であるポリ(シリレン)ジアセチレン類。
  2. 【請求項2】 化学式(2)(化2) 【化2】 (式中、XはCl、BrまたはIのいずれかの元素であ
    る)で表される有機マグネシウム試薬とジクロルシラン
    類をエーテル系溶媒の存在下に反応させることを特徴と
    する請求項1記載のポリ(シリレン)ジアセチレン類の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 化学式(2)(化3) 【化3】 (式中、XはCl、BrまたはIのいずれかの元素であ
    る)で表される有機マグネシウム試薬とジクロルシラン
    類をエーテル系溶媒の存在下に反応させた後に、化学式
    (3)(化4) 【化4】 (式中、R1〜R3は水素、炭素数が1〜10のアルキル
    基またはフェニル基のいずれかであり互いに異なってい
    ても同じでもよい)で表されるモノクロルシラン類を添
    加し、この反応液を酸性水溶液を用いて加水分解するこ
    とを特徴とする請求項1記載のポリ(シリレン)ジアセ
    チレン類の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002020491A (ja) * 2000-04-19 2002-01-23 General Electric Co <Ge> ジアセチレン系ポリオルガノシロキサン、その中間体およびその硬化組成物

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JP2002020491A (ja) * 2000-04-19 2002-01-23 General Electric Co <Ge> ジアセチレン系ポリオルガノシロキサン、その中間体およびその硬化組成物

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