JPH0733784A - 有機シリコン化合物 - Google Patents

有機シリコン化合物

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JPH0733784A
JPH0733784A JP5202474A JP20247493A JPH0733784A JP H0733784 A JPH0733784 A JP H0733784A JP 5202474 A JP5202474 A JP 5202474A JP 20247493 A JP20247493 A JP 20247493A JP H0733784 A JPH0733784 A JP H0733784A
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JP
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polysilane
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hexyl
organic
compound
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JP5202474A
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Inventor
Michiya Fujiki
道也 藤木
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アキラルな分岐構造を持つアルキル基を含む
有機クロロシラン類並びにその脱塩重合によって得られ
る、極めて主鎖吸収強度が強く、かつ極めて半値幅が狭
い有機ポリシランを提供する。 【構成】 一般式R1 2 SiCl2 又はR2 2 Si
Cl2 (式中R1 は直鎖アルキル基、R2 はアキラルな
分岐アルキル基を示す)で表される有機ジクロロシラン
類。一般式−〔(R1 )(R2 )Si−〕−又は−
〔(R2 )(R2 )Si−〕−(式中R1 及びR2 は上
記と同じ)で表される、シリコン繰返し単位を有する有
機ポリシラン。 【効果】 前記有機ポリシランは、一次元半導体・量子
細線構造の高分子標準物質として使用することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一次元半導体・量子細
線構造の物性研究のための高分子標準物質として期待で
きる有機ポリシランに関する。
【0002】
【従来の技術】有機シリコン化合物は産業上有用なもの
が多く、表面処理剤、はっ水はつ油剤、電気絶縁体、熱
媒体、セラミック材の前駆体など、いずれもシリコンを
骨格の一部に含む高分子である。近年、主鎖骨格がシリ
コンのみから構成される、溶媒に可溶な有機ポリシラン
が新しいタイプの機能材料として注目を集めてきてお
り、フォトレジスト、光導波路材料、シリコンカーバイ
ドの前駆体、電子写真感光体、非線形光学材料、発光材
料など、応用を指向した多くの研究例が進行している。
有機ポリシランは一般に300から400nm付近にSi
−Si連鎖に特有の主鎖骨格に基づく紫外吸収帯を持
つ。従来のポリシランの主鎖吸収は室温溶液中、分子吸
収係数約5000〜8000(モノマー単位)-1(リッ
トル)-1、半値幅0.5〜0.6eV(約40〜60nm)
程度であるのに対し、室温溶液中における主鎖発光半値
幅は0.1〜0.2eV(約10〜20nm)と、主鎖吸収
に比べてかなり狭い。すなわち、有機ポリシランの発光
スペクトル形状と吸収スペクトル形状は、通常有機物質
の吸収・発光現象で見られるような鏡像関係にはない。
この原因としてこれまで多くの研究者が考えている描像
は、有機ポリシランの一本の主鎖には、コンフォメーシ
ョン性欠陥を介して、長さの種々異なるトランスジグザ
グあるいはそれに近いゆるやかなヘリックス性セグメン
トの鎖状連結体であるというものである。すなわち、通
常観測される有機ポリシランの主鎖吸収幅は、種々の吸
収極大を持つこれらセグメント主鎖吸収の重ね合せの現
われであり、主鎖吸収帯を光励起すると励起エネルギー
の最も低いセグメントにエネルギー移動を起こし、そこ
から発光するというものである。したがって、従来の有
機ポリシランに対して光学吸収・発光スペクトル、ホー
ル移動度、非線形光学定数などの光学的性質・電気的性
質が報告されていたが、これは、有機ポリシラン物質固
有の物性ではなく、実は主鎖中の多くの欠陥によって特
性が変化していた可能性があった。有機ポリシランは、
主鎖自身がシリコンのみから構成される高分子であるた
め、紫外線照射により容易に主鎖分解を起こし、低分子
量化、あるいはシロキサン化が容易に進行する。実際に
これを利用したフォトレジストとしての応用例が報告さ
れている。したがって、有機ポリシラン類は電子写真感
光体、非線形光学材料、発光材料など、光関連の機能材
料としての応用には不適である。しかしながら、紫外域
に吸収・発光を示し、溶媒に可溶な高分子が比較的簡単
な化学合成で容易に得られるという点では、鎖間相互作
用を無視することのできる一次元半導体の光・電気物性
の基礎研究用モデル物質としては大変貴重で魅力的であ
り、高分子標準物質としての市場性が期待される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、鎖間相互作用を
無視できる一次元半導体のモデル物質、エキシトンの研
究用モデル物質は上記のように得られなかった。本発明
の目的は、β−位あるいはγ−位にアキラルな分岐構造
を持つアルキル基を含む有機クロロシラン類並びにその
脱塩重合によって得られる、極めて主鎖吸収強度が強
く、かつ極めて半値幅が狭い有機ポリシランを提供し、
上記研究用モデルを得ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明は有機シリコン化合物に関する発明で
あって、下記一般式(化1):
【0005】
【化1】
【0006】(式中R1 は直鎖アルキル基、R2 はアキ
ラルな分岐アルキル基を示す)で表される有機ジクロロ
シラン類であることを特徴とする。また、本発明の第2
の発明は、他の有機シリコン化合物に関する発明であっ
て、下記一般式(化2):
【0007】
【化2】
【0008】(式中R1 は直鎖アルキル基、R2 はアキ
ラルな分岐アルキル基を示す)で表される、シリコン繰
返し単位を有する有機ポリシランであることを特徴とす
る。
【0009】以下、本発明について詳細に説明する。ま
ず、本発明の第1の発明を合成例によって更に具体的に
説明する。本発明のアキラルな分岐アルキル基を含む非
対称置換型有機置換基を含むジクロロシラン類及びアキ
ラルな分岐アルキル基を含む対称置換型有機置換基を含
むジクロロシラン類は、以下に示す一般反応式(化3)
に基づいて合成される。なお、一般反応式は対称置換型
の例を挙げたが非対称置換型の反応式も同様である。
【0010】
【化3】
【0011】式中、Et2 Oはジエチルエーテル、TH
Fはテトラヒドロフランを意味する。基R1 としては、
2 5 、n−C3 7 、n−C4 9 、n−C
5 11、n−C6 13、n−C7 15、n−C8 17
n−C9 19、n−C1021、n−C1123、n−C12
25などが挙げられ、R2 の例としては、下記一般式
(化4)で表される基、i−ブチル、3−メチルブチ
ル、2−エチルブチル基が挙げられる。
【0012】
【化4】
【0013】これらの反応を通じて、前記の一般式(化
1)に示されるアキラルな分岐アルキル基を含む有機ジ
クロロシラン類が得られる。
【0014】本発明の第2の発明における、アキラルな
分岐アルキル基を含むジクロロシラン類を金属Naと共
に脱塩縮合して得られる有機ポリシラン類は、以下に示
す一般反応式(化5)、(化6)に基づいて合成され
る。
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】式(化5)、(化6)における基R1 及び
2 の例は式(化1)におけると同様である。ここで使
用するアキラルな分岐アルキル基を含むジクロロシラン
類としては合成の容易さから、基R1 として、C
2 5 、n−C3 7 、n−C4 9 、n−C5 11
n−C6 13、n−C7 15、n−C8 17、n−C9
19、n−C1021、n−C1123、n−C1225など
の中から選ばれた構造と、基R2 として式(化4)のi
−ブチル、2−エチルブチルのβ−分岐構造の組合せが
最も適当である。また、基R1 として、C2 5 、n−
3 7 、n−C4 9 、n−C5 11、n−C
6 13、n−C7 15、n−C8 17、n−C9 19
n−C1021、n−C1123、n−C1225などの中か
ら選ばれた構造と、基R2 として式(化4)の3−メチ
ルブチルのγ−分岐構造の組合せも比較的良好な結果が
得られる。その理由は、β−分岐構造(又はγ−分岐構
造)とn−アルキル基の組合せ構造の有機ジクロロシラ
ンは、脱塩縮合反応時のシリコンモノマー間の立体障害
の程度が比較的小さいため、主鎖吸収強度が大きくかつ
高分子量の鎖状有機ポリシランが生成する。本発明にお
いて本発明者が得た知見では、β位炭素に比較的コンパ
クトなアルキル基であるメチル基やエチル基が配置して
いることによって、その立体的要請が式(化5)、(化
6)で得られる鎖状骨格の有機ポリシラン主鎖を一方向
でかつ一定ら旋ピッチに固定するように作用する。一
方、α位炭素の分岐構造、例えばi−プロピル基では逆
に立体的要請が極めて高く、結果的には式(化5)、
(化6)の方法から極めて低分子量、通常1000以下
でかつ主鎖吸収極大が300〜320nmで吸収幅が極め
て広い有機ポリシランしか得られないことが本発明で始
めて判明した。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0019】実施例1 n−ヘキシル(i−ブチル)ジクロロシランは、以下の
方法で調製した。マグネシウム5.0g(0.21モ
ル)を入れ、脱水脱気しアルゴンガス置換された反応容
器内に、脱水ジエチルエーテル125mlを入れ、極く少
量のヨウ素を静かに添加した。これに反応溶液がおだや
かに還流する程度にゆるやかにかくはんしながら、i−
ブチルブロミド25g(0.18モル)を徐々に滴下し
た。反応終了後、このグリニアル試薬を滴下漏斗に移し
た。脱水脱気しアルゴンガス置換された別の反応容器内
にn−ヘキシルトリクロロシラン64g(0.25モ
ル)と脱水ジエチルエーテル50ml/脱水テトラヒドロ
フラン50mlを入れ、かくはんしながら上述のグリニア
ル試薬を反応温度50〜60℃でゆっくりと滴下した。
滴下終了後、室温で更に一昼夜反応させた。反応混合物
にヘキサン500mlを加え、ヘキサンに可溶な成分の加
圧ろ過並びにろ液の分別蒸留によって、目的とする成分
を得た。主留:沸点86〜88℃/3.2mmHg、収量2
3g(収率53%)。29Si−NMR(重クロロホル
ム、テトラメチルシラン内部基準、ゲート付きプロトン
デカップリング法)32.64ppm 、13C−NMR(重
クロロホルム、テトラメチルシラン内部基準、WALT
Zプロトンノイズデカップリング法)32.24、3
1.40、30.49、25.65(強度2倍)、2
4.25、22.55、22.46、21.37、1
4.12ppm 。
【0020】実施例2 n−ヘキシル(3−メチルブチル)ジクロロシランは、
以下の方法で調製した。マグネシウム5.0g(0.2
1モル)を入れ、脱水脱気しアルゴンガス置換された反
応容器内に、脱水テトラヒドロフラン125mlを入れ、
極く少量のヨウ素を静かに添加した。これに反応溶液が
おだやかに還流する程度にゆるやかにかくはんしなが
ら、3−メチルブチルブロミド25g(0.17モル)
を徐々に滴下した。反応終了後、このグリニアル試薬を
滴下漏斗に移した。脱水脱気しアルゴンガス置換された
別の反応容器内にn−ヘキシルトリクロロシラン38g
(0.17モル)と脱水テトラヒドロフラン100mlを
入れ、かくはんしながら上述のグリニアル試薬を反応温
度60〜70℃でゆっくりと滴下した。滴下終了後、室
温で更に一昼夜反応させた。反応混合物にヘキサン50
0mlを加え、ヘキサンに可溶な成分の加圧ろ過並びにろ
液の分別蒸留によって、目的とする成分を得た。主留:
沸点80〜81℃/1.2mmHg、収量25g(収率59
%)。29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチル
シラン内部基準、ゲート付きプロトンデカップリング
法)34.01ppm 、13C−NMR(重クロロホルム、
テトラメチルシラン内部基準、WALTZプロトンノイ
ズデカップリング法)32.18、31.37、31.
16、30.19、22.52、22.38、21.9
8(強度2倍)、20.26、18.03、14.09
ppm 。
【0021】実施例3 n−ヘキシル(2−エチルブチル)ジクロロシランは、
以下の方法で調製した。マグネシウム5.0g(0.2
1モル)を入れ、脱水脱気しアルゴンガス置換された反
応容器内に、脱水ジエチルエーテル100mlを入れ、極
く少量のヨウ素を静かに添加した。これに反応溶液がお
だやかに還流する程度にゆるやかにかくはんしながら、
2−エチルブチルブロミド29.5g(0.18モル)
を徐々に滴下した。反応終了後、このグリニアル試薬を
滴下漏斗に移した。脱水脱気しアルゴンガス置換された
別の反応容器内にn−ヘキシルトリクロロシラン38g
(0.17モル)と脱水テトラヒドロフラン100mlを
入れ、かくはんしながら上述のグリニアル試薬を反応温
度60〜70℃でゆっくりと滴下した。滴下終了後、室
温で更に一昼夜反応させた。反応混合物にヘキサン50
0mlを加え、ヘキサンに可溶な成分の加圧ろ過並びにろ
液の分別蒸留によって、目的とする成分を得た。主留:
沸点82〜83℃/0.6mmHg、収量25g(収率52
%)。29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチル
シラン内部基準、ゲート付きプロトンデカップリング
法)33.61ppm 、13C−NMR(重クロロホルム、
テトラメチルシラン内部基準、WALTZプロトンノイ
ズデカップリング法)35.82、32.09、31.
25、27.61(強度2倍)、24.67、22.4
0、22.34、21.17、14、10.46(強度
2倍)ppm 。
【0022】同様にして合成された他のi−ブチル基、
3−メチルブチル基を含むn−ブチルジクロロシラン2
種類について、沸点、29Si−NMRの化学シフト(重
クロロホルム、テトラメチルシラン内部基準、ゲート付
きプロトンデカップリング法)、13C−NMRの化学シ
フト(重クロロホルム、テトラメチルシラン内部基準、
WALTZプロトンノイズデカップリング法)を表1に
まとめた。ここで13C−NMRデータ中、×2とあるの
はピーク強度が2倍であることを示す。これらのジクロ
ロシランの合成収率は、i−ブチル基、3−メチルブチ
ル基を基準にしておおむね45〜55%程度であった。
【0023】
【表1】
【0024】下記実施例4〜6において、n−アルキル
(アキラル分岐アルキル)ジクロロシランを例にとっ
て、主鎖吸収が強くかつ幅が狭い有機ポリシランの具体
的合成例を示す。アキラル分岐アルキル構造によって、
有機ポリシランの光学的性質が大きく異なることが、本
発明により明らかとなった。
【0025】実施例4 最初に、n−ヘキシル(i−ブチル)ポリシランの具体
的合成例を示す。反応容器内を十分に脱水脱気し、アル
ゴンガス置換した後、金属ナトリウム分散液(トルエン
30%)2.5g、15−クラウンエーテル−5の0.
05gと脱水トルエン50mlをフラスコに入れた。油浴
温度100℃において、n−ヘキシル(i−ブチル)ジ
クロロシラン4.8g(0.020モル)を添加し、5
時間反応させた。反応混合溶液を加圧ろ過し、ろ液にエ
チルアルコールを加えた。生じた白色沈殿を遠心分離機
で回収し、60℃で真空乾燥した。収量は0.42gで
あり、収率はn−ヘキシル(i−ブチル)ジクロロシラ
ンを基準にして15%であった。単分散ポリスチレンを
基準にしたゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下
GPCと略)法により、重量平均分子量18900、分
散度(=重量平均分子量/数平均分子量)1.84の単
峰性の高分子が得られた。得られた鎖状有機ポリシラン
29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチルシラ
ン内部基準、ゲート付きプロトンデカップリング法)を
図1に示す。1本のブロードなピークが−23ppm 付近
に出現した。n−ヘキシル(i−ブチル)ポリシランの
13C−NMR(重クロロホルム、テトラメチルシラン内
部基準、プロトンノイズデカップリング法)を図2に示
す。34、31、28、26、23、16、14ppm 付
近にピークが認められた。n−ヘキシル(i−ブチル)
ポリシランの紫外吸収スペクトルと発光スペクトル(i
−オクタン溶液中、20℃)を図3に示す。これら二つ
のスペクトルの比較によって吸収スペクトルと発光スペ
クトルとが鏡像関係にあることから、n−ヘキシル(i
−ブチル)ポリシランの3.9eV付近の主鎖骨格最低励
起状態は、均一ら旋状態にあることが示された。
【0026】実施例5 次に、n−ヘキシル(3−メチルブチル)ポリシランの
具体的合成例を示す。反応容器内を十分に脱水脱気し、
アルゴンガス置換した後、金属ナトリウム分散液(トル
エン30%)3.5g、15−クラウンエーテル−5の
0.08gと脱水トルエン50mlをフラスコに入れた。
油浴温度100℃において、n−ヘキシル(3−メチル
ブチル)ジクロロシラン5.1g(0.020モル)を
添加し、3時間反応させた。反応混合溶液を加圧ろ過
し、ろ液にエチルアルコールを徐々に加えることによっ
て、分別沈殿した。生じた白色沈殿を遠心分離機で回収
し、60℃で真空乾燥した。第1分別成分の収量は0.
10gで収率は2.3%、第2分別成分の収量は0.8
1gで収率は18.4%であった。GPC法により、第
1分別成分の重量平均分子量214400、分散度3.
29、第2分別成分の重量平均分子量28400、分散
度2.22であった。n−ヘキシル(3−メチルブチ
ル)ポリシランの29Si−NMR(重クロロホルム、テ
トラメチルシラン内部基準、ゲート付きプロトンデカッ
プリング法)を図4に示す。1本のブロードなピークが
−25ppm 付近に出現した。n−ヘキシル(3−メチル
ブチル)ポリシランの13C−NMR(重クロロホルム、
テトラメチルシラン内部基準、プロトンノイズデカップ
リング法)を図5に示す。36、34、32、28、2
3、22、15、14、12ppm 付近にピークが認めら
れた。n−ヘキシル(3−メチルブチル)ポリシランの
紫外吸収スペクトルと発光スペクトル(i−オクタン溶
液中、20℃)を図6に示す。これら二つのスペクトル
の比較によって吸収スペクトルと発光スペクトルとが鏡
像関係にあることから、n−ヘキシル(3−メチルブチ
ル)ポリシランの3.9eV付近の主鎖骨格最低励起状態
は、均一ら旋状態にあることが示された。図10に示し
たように、ポリ(メチルプロピルシラン)では吸収スペ
クトルと発光スペクトルとの間には鏡像関係が成り立た
ない。
【0027】実施例6 次に、n−ヘキシル(2−エチルブチル)ポリシランの
具体的合成例を示す。反応容器内を十分に脱水脱気し、
アルゴンガス置換した後、金属ナトリウム分散液(トル
エン30%)1.9g、15−クラウンエーテル−5の
0.05gと脱水トルエン50mlをフラスコに入れた。
油浴温度120℃において、n−ヘキシル(2−エチル
ブチル)ジクロロシラン2.05g(0.011モル)
を添加し、4時間反応させた。反応混合溶液を加圧ろ過
し、ろ液にエチルアルコールを加えた。生じた白色沈殿
を遠心分離機で回収し、60℃で真空乾燥した。収量は
0.45gで収率であった。GPC法により、重量平均
分子量12800、分散度2.2の単峰性の高分子が得
られた。n−ヘキシル(2−エチルブチル)ポリシラン
29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチルシラ
ン内部基準、ゲート付きプロトンデカップリング法)を
図7に示す。ほぼ1本のブロードなピークが−20.6
ppm 付近に出現した。n−ヘキシル(2−エチルブチ
ル)ポリシランの13C−NMR(重クロロホルム、テト
ラメチルシラン内部基準、プロトンノイズデカップリン
グ法)を図8に示す。38、34、32、28、23、
20〜16、14、11、10ppm 付近にピークが認め
られた。n−ヘキシル(2−エチルブチル)ポリシラン
の紫外吸収スペクトルと発光スペクトル(i−オクタン
溶液中、20℃)を図9に示す。これら二つのスペクト
ルの比較によって吸収スペクトルと発光スペクトルとが
鏡像関係にあることから、n−ヘキシル(2−エチルブ
チル)ポリシランの3.9eV付近の主鎖骨格最低励起状
態は、均一ら旋状態にあることが示された。
【0028】n−ヘキシル(i−ブチル)ポリシラン、
n−ヘキシル(3−メチルブチル)ポリシラン、n−ヘ
キシル(2−エチルブチル)ポリシランのこのような光
学的性質(主鎖吸収強度の増大化と先鋭化、吸収スペク
トルと発光スペクトルの鏡像性)は、n−ヘキシル(i
−ブチル)ポリシラン、n−ヘキシル(3−メチルブチ
ル)ポリシラン、n−ヘキシル(2−エチルブチル)ポ
リシランのn−ヘキシル部が、エチル基、n−プロピル
基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘプチル基、
n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウ
ンデシル基、n−ドデシル基の場合にも現われることは
自明である。その中で特にエチル基、n−プロピル基、
n−ブチル基、n−ペンチル基の場合には、重量平均分
子量3000〜5000、分散度1.1〜1.3の単分
散の高分子が得られる。
【0029】比較例1 比較例として、β−分岐構造(又はγ−分岐構造)を持
たない、n−アルキル基のみの組合せ、又はメチル基と
n−アルキル基との構造の有機ポリシランとして、メチ
ル(n−プロピル)ポリシラン並びにジ(n−ヘキシ
ル)ポリシランの紫外吸収・発光スペクトルを図10、
11に示す。4.0eV付近にあるn−ヘキシル(i−ブ
チル)ポリシランの主鎖骨格吸収は、対応するメチル
(n−プロピル)ポリシラン、ジ(n−ヘキシル)ポリ
シランと比較して、それぞれ吸収強度が4.5、3.5
倍、また半値幅が約1/5、1/4である。4.0eV付
近にあるn−ヘキシル(3−メチルブチル)ポリシラン
の主鎖骨格吸収は、対応するメチル(n−プロピル)ポ
リシラン、ジ(n−ヘキシル)ポリシランと比較して、
それぞれ吸収強度が2、1.5倍、また半値幅が約1/
3、1/2程度である。更に、4.0eV付近にあるn−
ヘキシル(2−エチルブチル)ポリシランの主鎖骨格吸
収は、対応するメチル(n−プロピル)ポリシラン、ジ
(n−ヘキシル)ポリシランと比較して、それぞれ吸収
強度が5.5、4.0倍、また半値幅が約1/6、1/
5である。n−ヘキシル(i−ブチル)ポリシラン、n
−ヘキシル(3−メチルブチル)ポリシラン、n−ヘキ
シル(2−エチルブチル)ポリシランの吸収・発光スペ
クトルファイルは、メチル(n−プロピル)ポリシラ
ン、ジ(n−ヘキシル)ポリシランのそれと比較して、
完全に鏡像関係にあり、発光が主鎖中の一部のセグメン
トからではなく、主鎖全体から起こっている証拠である
といえる。すなわち、β,γ−分岐アルキル置換基のコ
ンフォメーション固定化効果によって、主鎖骨格全体が
剛直で単一の電子状態にあることを示唆するものであ
る。
【0030】
【発明の効果】本発明で示したように、β−位あるいは
γ−位にアキラルな分岐構造を持つアルキル基を含む有
機クロロシラン類並びにその脱塩重合によって、極めて
主鎖吸収強度が強く極めて半値幅が極めて狭い有機ポリ
シランを提供することが可能となった。このような極め
て主鎖吸収の強い有機ポリシランは、一次元半導体・量
子細線構造の高分子標準物質としての利用が期待され
る。側鎖置換基を適切に選択することによって、従来の
有機ポリシランに比べ、主鎖吸収強度が飛躍的に強くか
つ幅が極めて狭い光学的特徴を有し、ある場合に分子量
が単分散であるという、一次構造、二次構造とも完全均
一で単一ら旋構造の鎖状有機ポリシランを提供すること
ができる。これらの均一・単一ら旋構造の鎖状有機ポリ
シラン類は、鎖間相互作用のない理想的な一次元半導体
や近い将来現実になるであろう原子レベルの極限的量子
細線構造の基本的な光物性、電気物性研究のための基本
的なモデル物質として極めて有用であり、高分子標準物
質として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で得られたn−ヘキシル(i−ブチ
ル)ポリシランの29Si−NMR(重クロロホルム、テ
トラメチルシラン内部基準、ゲート付きプロトンデカッ
プリング法)を示す図である。
【図2】実施例4で得られたn−ヘキシル(i−ブチ
ル)ポリシランの13C−NMR(重クロロホルム、テト
ラメチルシラン内部基準、プロトンノイズデカップリン
グ法)を示す図である。
【図3】実施例4で得られたn−ヘキシル(i−ブチ
ル)ポリシランの紫外吸収スペクトルと発光スペクトル
(i−オクタン溶液中、20℃)を示す図である。
【図4】実施例5で得られたn−ヘキシル(3−メチル
ブチル)ポリシランの29Si−NMR(重クロロホル
ム、テトラメチルシラン内部基準、ゲート付きプロトン
デカップリング法)を示す図である。
【図5】実施例5で得られたn−ヘキシル(3−メチル
ブチル)ポリシランの13C−NMR(重クロロホルム、
テトラメチルシラン内部基準、プロトンノイズデカップ
リング法)を示す図である。
【図6】実施例5で得られたn−ヘキシル(3−メチル
ブチル)ポリシランの紫外吸収スペクトルと発光スペク
トル(i−オクタン溶液中、20℃)を示す図である。
【図7】実施例6で得られたn−ヘキシル(2−エチル
ブチル)ポリシランの29Si−NMR(重クロロホル
ム、テトラメチルシラン内部基準、ゲート付きプロトン
デカップリング法)を示す図である。
【図8】実施例6で得られたn−ヘキシル(2−エチル
ブチル)ポリシランの13C−NMR(重クロロホルム、
テトラメチルシラン内部基準、プロトンノイズデカップ
リング法)を示す図である。
【図9】実施例6で得られたn−ヘキシル(2−エチル
ブチル)ポリシランの紫外吸収スペクトルと発光スペク
トル(i−オクタン溶液中、20℃)を示す図である。
【図10】比較例1で得られたメチル(n−プロピル)
ポリシランの紫外吸収スペクトルと発光スペクトル(i
−オクタン溶液中、20℃)を示す図である。
【図11】比較例1で得られたジ(n−ヘキシル)ポリ
シランの紫外吸収スペクトルと発光スペクトル(i−オ
クタン溶液中、20℃)を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(化1): 【化1】 (式中R1 は直鎖アルキル基、R2 はアキラルな分岐ア
    ルキル基を示す)で表される有機ジクロロシラン類であ
    ることを特徴とする有機シリコン化合物。
  2. 【請求項2】 下記一般式(化2): 【化2】 (式中R1 は直鎖アルキル基、R2 はアキラルな分岐ア
    ルキル基を示す)で表される、シリコン繰返し単位を有
    する有機ポリシランであることを特徴とする有機シリコ
    ン化合物。
JP5202474A 1993-02-23 1993-07-26 有機シリコン化合物 Pending JPH0733784A (ja)

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JP5202474A JPH0733784A (ja) 1993-07-26 1993-07-26 有機シリコン化合物
US08/198,787 US5710301A (en) 1993-02-23 1994-02-18 Organosilicon compounds
DE69418077T DE69418077T2 (de) 1993-02-23 1994-02-22 Organosiliziumverbindungen
EP94400377A EP0612756B1 (en) 1993-02-23 1994-02-22 Organosilicon compounds

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