JPH07337038A - 静電アクチュエータ - Google Patents
静電アクチュエータInfo
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- JPH07337038A JPH07337038A JP14569594A JP14569594A JPH07337038A JP H07337038 A JPH07337038 A JP H07337038A JP 14569594 A JP14569594 A JP 14569594A JP 14569594 A JP14569594 A JP 14569594A JP H07337038 A JPH07337038 A JP H07337038A
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- electrode
- insulating
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 作成容易で生産性に優れると共に、湿度にも
摩擦にも強い構造とし、低電圧で大出力を安定的に得る
ようにする。 【構成】 固定子5Aは、導電性線材21'a,21'
b,21'cと、絶縁性繊維22とが互いに縦糸・横糸
となって織り込まれた電極織物2Aと、微風を沸き出さ
せることができる多孔性基板3とを積層構造としたもの
である。駆動時、送風パイプ71を介して、送風装置7
から固定子5Aに乾燥空気Dが供給される。供給された
この乾燥空気Dは、多孔性基板3を経由して電極織物2
Aの織目の通孔M,M,…から均等に緩やかに吹き出し
て、移動子6Aを固定子5Aから適当量浮上させる。
摩擦にも強い構造とし、低電圧で大出力を安定的に得る
ようにする。 【構成】 固定子5Aは、導電性線材21'a,21'
b,21'cと、絶縁性繊維22とが互いに縦糸・横糸
となって織り込まれた電極織物2Aと、微風を沸き出さ
せることができる多孔性基板3とを積層構造としたもの
である。駆動時、送風パイプ71を介して、送風装置7
から固定子5Aに乾燥空気Dが供給される。供給された
この乾燥空気Dは、多孔性基板3を経由して電極織物2
Aの織目の通孔M,M,…から均等に緩やかに吹き出し
て、移動子6Aを固定子5Aから適当量浮上させる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、静電力を利用して電
気から力を取り出す静電アクチュエータに関する。
気から力を取り出す静電アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】静電アクチュエータは、電磁力の代わり
に、静電力、すなわち、電荷と電荷の間の吸引・反発力
を利用して駆動力を発生する装置であり、装置構成につ
いて言えば、絶縁体内に3相の帯状電極を複数有する固
定子と、高抵抗率のフィルム又は誘電フィルムからなる
移動子とから単純に構成されるため、小型化・軽量化が
容易である。加えて、固定子電極(3相の帯状電極)の
電極ピッチを微細にして小型化すればするほど、原理的
に、大きな力及び力密度を抽出し得るという特性を有す
ることから、近年、OA機器、ロボット、搬送機械、光
学機器、玩具等の小型駆動源として、高い関心を集めて
いる(日本機械学会ロボティクスメカトロニクス講演会
'93講演論文集 PP.436-PP.439 「静電人工筋の開発
とロボットへの適用」等参照)。
に、静電力、すなわち、電荷と電荷の間の吸引・反発力
を利用して駆動力を発生する装置であり、装置構成につ
いて言えば、絶縁体内に3相の帯状電極を複数有する固
定子と、高抵抗率のフィルム又は誘電フィルムからなる
移動子とから単純に構成されるため、小型化・軽量化が
容易である。加えて、固定子電極(3相の帯状電極)の
電極ピッチを微細にして小型化すればするほど、原理的
に、大きな力及び力密度を抽出し得るという特性を有す
ることから、近年、OA機器、ロボット、搬送機械、光
学機器、玩具等の小型駆動源として、高い関心を集めて
いる(日本機械学会ロボティクスメカトロニクス講演会
'93講演論文集 PP.436-PP.439 「静電人工筋の開発
とロボットへの適用」等参照)。
【0003】上記構成の静電アクチュエータから駆動力
を抽出するには、移動子を固定子の表面に接するように
配置した状態で、固定子電極に3相の電圧を印加する。
すると、移動子に正負の誘導電荷が発生する。次に、電
圧を切り換えると、固定子電極の電荷は瞬時に入れ替わ
るが、移動子の電荷は、抵抗率が高いため変化に時間を
要し、電圧を切り替えた直後は、元の状態を保持する。
このとき、固定子・移動子の電荷間に静電力が働くの
で、移動子は固定子表面に沿って移動する。
を抽出するには、移動子を固定子の表面に接するように
配置した状態で、固定子電極に3相の電圧を印加する。
すると、移動子に正負の誘導電荷が発生する。次に、電
圧を切り換えると、固定子電極の電荷は瞬時に入れ替わ
るが、移動子の電荷は、抵抗率が高いため変化に時間を
要し、電圧を切り替えた直後は、元の状態を保持する。
このとき、固定子・移動子の電荷間に静電力が働くの
で、移動子は固定子表面に沿って移動する。
【0004】ところで、電圧の切換直後には、移動子の
移動方向と垂直な方向に静電力による反発力が働き、移
動子を瞬間的に浮上させて摩擦を防止するので、大出力
が抽出されるというのである。しかしながら、移動子
は、上述したように、フィルム(薄葉体)であるため、
固定子と移動子との間に空気が充分には進入できず、両
者間に大きな摩擦力が残存したままとなって、移動子の
円滑移動が妨げられるのが、実情であった。加えて、移
動子・固定子の接触側表面には、常温、常湿状態でも、
少なくともnmオーダの厚さで水分が吸着されており、
この吸着水が粘着剤となって、移動子を、ますます、移
動しにくい状態としていた。摩擦力や粘着抵抗(表面張
力)に打ち勝つには、理論上は、固定子電極に高い駆動
電圧を印加すれば良いが、固定子電極間に絶縁破壊を多
発させ、装置の耐久性が損なわれるので、得策ではな
い。
移動方向と垂直な方向に静電力による反発力が働き、移
動子を瞬間的に浮上させて摩擦を防止するので、大出力
が抽出されるというのである。しかしながら、移動子
は、上述したように、フィルム(薄葉体)であるため、
固定子と移動子との間に空気が充分には進入できず、両
者間に大きな摩擦力が残存したままとなって、移動子の
円滑移動が妨げられるのが、実情であった。加えて、移
動子・固定子の接触側表面には、常温、常湿状態でも、
少なくともnmオーダの厚さで水分が吸着されており、
この吸着水が粘着剤となって、移動子を、ますます、移
動しにくい状態としていた。摩擦力や粘着抵抗(表面張
力)に打ち勝つには、理論上は、固定子電極に高い駆動
電圧を印加すれば良いが、固定子電極間に絶縁破壊を多
発させ、装置の耐久性が損なわれるので、得策ではな
い。
【0005】この問題を解消する手段として、例えば、
特開平5−191984号公報に記載されているよう
に、固定子に、移動子の移動方向と垂直な方向に小径の
貫通孔を多数形成し、これらの貫通孔に固定子の一面側
から空気を移動子側に送り込むようにした静電アクチュ
エータが提供されている。この公報記載の静電アクチュ
エータによれば、固定子・移動子間に充分に空気を送り
込むことができるので、上述の摩擦や粘着抵抗(表面張
力)の問題が回避され、低電圧大出力を達成できる。
特開平5−191984号公報に記載されているよう
に、固定子に、移動子の移動方向と垂直な方向に小径の
貫通孔を多数形成し、これらの貫通孔に固定子の一面側
から空気を移動子側に送り込むようにした静電アクチュ
エータが提供されている。この公報記載の静電アクチュ
エータによれば、固定子・移動子間に充分に空気を送り
込むことができるので、上述の摩擦や粘着抵抗(表面張
力)の問題が回避され、低電圧大出力を達成できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の固定子は、例えば銅箔を接着したポリイミドフィル
ム等のフレキシブルプリント基板の表面に、マスク・エ
ッチングによって、多数の帯状電極(例えば、電極幅1
20μm、電極ピッチ240μm)を形成した後、その
上に絶縁フィルムを接着し、さらに、スルーホール加工
によって、電極と電極との間の隙間(例えば、120μ
m)に送風用の貫通孔を多数穿設することによって作ら
れていたため、作成時困難を余儀なくされ、歩留まりが
悪く、このため、生産コストの高騰化を招いていた。
来の固定子は、例えば銅箔を接着したポリイミドフィル
ム等のフレキシブルプリント基板の表面に、マスク・エ
ッチングによって、多数の帯状電極(例えば、電極幅1
20μm、電極ピッチ240μm)を形成した後、その
上に絶縁フィルムを接着し、さらに、スルーホール加工
によって、電極と電極との間の隙間(例えば、120μ
m)に送風用の貫通孔を多数穿設することによって作ら
れていたため、作成時困難を余儀なくされ、歩留まりが
悪く、このため、生産コストの高騰化を招いていた。
【0007】また、帯状電極をエッチングで作成する従
来の電極作成方法では、帯状電極にひげ状突起が形成さ
れ易く、これに、絶縁強度の低下を招きかねないスルー
ホール不良も加われば、隣の電極との間で絶縁破壊が生
じて、早晩、駆動不能の状態に陥る虞がある。さらに
は、静電アクチュエータは、湿度の影響を受け易く、湿
度が高い場合、固定子表面の電荷が流れてしまい、移動
子が動作しない事態となる。
来の電極作成方法では、帯状電極にひげ状突起が形成さ
れ易く、これに、絶縁強度の低下を招きかねないスルー
ホール不良も加われば、隣の電極との間で絶縁破壊が生
じて、早晩、駆動不能の状態に陥る虞がある。さらに
は、静電アクチュエータは、湿度の影響を受け易く、湿
度が高い場合、固定子表面の電荷が流れてしまい、移動
子が動作しない事態となる。
【0008】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
もので、作成容易で生産性に優れると共に、湿度にも摩
擦にも強い静電アクチュエータを提供することを目的と
している。
もので、作成容易で生産性に優れると共に、湿度にも摩
擦にも強い静電アクチュエータを提供することを目的と
している。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、複数相に接続される複数の
線状電極が一方向又は互いに直交する二方向に所定の電
極ピッチで相順に繰り返し配列されてなる固定子と、該
固定子の表面に配置され、上記複数の線状電極に相毎に
印加する電圧を変化させることで静電駆動力を付与され
る移動子とを備えてなる静電アクチュエータであって、
上記固定子は、上記一方向に配列された複数の線状電極
となる裸の又は絶縁被覆付きの導電性線材と、絶縁性線
材又は上記一方向に直交する方向に配列された複数の線
状電極ともなる絶縁被覆付きの導電性線材とが互いに縦
糸・横糸となって織り込まれてなる電極織物からなり、
かつ、気体を、上記電極織物の織目の隙間を経由させ
て、上記固定子と移動子との間に送り込む送風手段が設
けられていることを特徴としている。
に、請求項1記載の発明は、複数相に接続される複数の
線状電極が一方向又は互いに直交する二方向に所定の電
極ピッチで相順に繰り返し配列されてなる固定子と、該
固定子の表面に配置され、上記複数の線状電極に相毎に
印加する電圧を変化させることで静電駆動力を付与され
る移動子とを備えてなる静電アクチュエータであって、
上記固定子は、上記一方向に配列された複数の線状電極
となる裸の又は絶縁被覆付きの導電性線材と、絶縁性線
材又は上記一方向に直交する方向に配列された複数の線
状電極ともなる絶縁被覆付きの導電性線材とが互いに縦
糸・横糸となって織り込まれてなる電極織物からなり、
かつ、気体を、上記電極織物の織目の隙間を経由させ
て、上記固定子と移動子との間に送り込む送風手段が設
けられていることを特徴としている。
【0010】また、請求項2記載の発明は、複数相に接
続される複数の線状電極が一方向又は互いに直交する二
方向に所定の電極ピッチで相順に繰り返し配列されてな
る固定子と、該固定子の表面に配置され、上記複数の線
状電極に相毎に印加する電圧を変化させることで静電駆
動力を付与される移動子とを備えてなる静電アクチュエ
ータであって、上記固定子は、上記一方向に配列された
複数の線状電極となる裸の又は絶縁被覆付きの導電性線
材と、絶縁性線材又は上記一方向に直交する方向に配列
された複数の線状電極ともなる絶縁被覆付きの導電性線
材とが互いに縦糸・横糸となって織り込まれてなる電極
織物と、該電極織物を両面側から挟持する一対の絶縁層
とからなり、上記移動子が対向配置される側の面に設け
られた上記絶縁層には複数の通孔が穿設され、かつ、気
体を、上記一対の絶縁層の間に供給し、上記通孔を経由
させて、上記固定子と移動子との間に送り込む送風手段
が設けられていることを特徴としている。ここで、絶縁
層には、フレキシブルな絶縁フィルムは勿論のこと、厚
膜の絶縁基板(例えばメタクリル樹脂基板)も含まれ
る。
続される複数の線状電極が一方向又は互いに直交する二
方向に所定の電極ピッチで相順に繰り返し配列されてな
る固定子と、該固定子の表面に配置され、上記複数の線
状電極に相毎に印加する電圧を変化させることで静電駆
動力を付与される移動子とを備えてなる静電アクチュエ
ータであって、上記固定子は、上記一方向に配列された
複数の線状電極となる裸の又は絶縁被覆付きの導電性線
材と、絶縁性線材又は上記一方向に直交する方向に配列
された複数の線状電極ともなる絶縁被覆付きの導電性線
材とが互いに縦糸・横糸となって織り込まれてなる電極
織物と、該電極織物を両面側から挟持する一対の絶縁層
とからなり、上記移動子が対向配置される側の面に設け
られた上記絶縁層には複数の通孔が穿設され、かつ、気
体を、上記一対の絶縁層の間に供給し、上記通孔を経由
させて、上記固定子と移動子との間に送り込む送風手段
が設けられていることを特徴としている。ここで、絶縁
層には、フレキシブルな絶縁フィルムは勿論のこと、厚
膜の絶縁基板(例えばメタクリル樹脂基板)も含まれ
る。
【0011】
【作用】請求項1記載の構成において、上記固定子は、
線状電極が織り込められた電極織物からなり、駆動時、
空気等の気体は、上記電極織物の織目の隙間を経由し
て、上記固定子と移動子との間に送り込まれる。それ
故、請求項1記載の構成によれば、微細加工技術を用い
て送風用の貫通孔を別途形成する手間を省くことができ
るので、低電圧大出力用の固定子の作成が極めて容易と
なる。
線状電極が織り込められた電極織物からなり、駆動時、
空気等の気体は、上記電極織物の織目の隙間を経由し
て、上記固定子と移動子との間に送り込まれる。それ
故、請求項1記載の構成によれば、微細加工技術を用い
て送風用の貫通孔を別途形成する手間を省くことができ
るので、低電圧大出力用の固定子の作成が極めて容易と
なる。
【0012】なお、気体を電極織物の多数の織目から均
一かつ安定的に吹き出させるためには、電極織物を通孔
性に優れる多孔性の基板の表面に積層状態に設置すると
共に、この基板を経由させて空気等の気体を送り込むよ
うにするのが良い。また、湿度に強い固定子とするため
には、上記多孔性の基板を、水分子吸着性に優れる素材
から形成するのが良い。
一かつ安定的に吹き出させるためには、電極織物を通孔
性に優れる多孔性の基板の表面に積層状態に設置すると
共に、この基板を経由させて空気等の気体を送り込むよ
うにするのが良い。また、湿度に強い固定子とするため
には、上記多孔性の基板を、水分子吸着性に優れる素材
から形成するのが良い。
【0013】また、固定子へ空気を供給する他の手段と
して、請求項2記載の構成のように、上記電極織物を一
対の絶縁層で挟持すると共に、上記移動子が対向配置さ
れる側の面に設けられた上記絶縁層には複数の通孔を設
けて固定子を構成し、これら一対の絶縁層の間に空気等
の気体を供給するようにしても良い。請求項2記載の構
成によれば、電極織物の両面が一対の絶縁層によって保
護されるので、耐久性が向上する。加えて、固定子表面
の平滑性も確保されるので、移動子の移動が円滑に行わ
れる。
して、請求項2記載の構成のように、上記電極織物を一
対の絶縁層で挟持すると共に、上記移動子が対向配置さ
れる側の面に設けられた上記絶縁層には複数の通孔を設
けて固定子を構成し、これら一対の絶縁層の間に空気等
の気体を供給するようにしても良い。請求項2記載の構
成によれば、電極織物の両面が一対の絶縁層によって保
護されるので、耐久性が向上する。加えて、固定子表面
の平滑性も確保されるので、移動子の移動が円滑に行わ
れる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例につ
いて説明する。 ◇第1実施例 図1は、この発明の第1実施例である織物組織を利用し
た誘導電荷形の静電アクチュエータの構成を示す斜視
図、また、図3は同概略断面図である。これらの図に示
すように、この例の静電アクチュエータ1Aは、電極織
物2Aと多孔性基板3と空気導入板4との積層構造体で
ある固定子5Aと、この固定子5Aの表面(接触側表
面)に接触状態に配置される移動子6Aと、多孔性基板
3を経由させて固定子5Aと移動子6Aとの間に空気を
送り込む送風装置7と、固定子5Aに3相電源を供給す
る駆動装置8Aとからなっている。
いて説明する。 ◇第1実施例 図1は、この発明の第1実施例である織物組織を利用し
た誘導電荷形の静電アクチュエータの構成を示す斜視
図、また、図3は同概略断面図である。これらの図に示
すように、この例の静電アクチュエータ1Aは、電極織
物2Aと多孔性基板3と空気導入板4との積層構造体で
ある固定子5Aと、この固定子5Aの表面(接触側表
面)に接触状態に配置される移動子6Aと、多孔性基板
3を経由させて固定子5Aと移動子6Aとの間に空気を
送り込む送風装置7と、固定子5Aに3相電源を供給す
る駆動装置8Aとからなっている。
【0015】上記固定子5Aにおいて、電極織物2A
は、図2に示すように、線径60μmの裸の導電性線材
21'a,21'b,21'c,…と、同じく線径60μ
mの絶縁性繊維22とを、互いに"縦糸・横糸"として、
図示せぬ織機を用いて、所定のピッチ(この例では縦横
とも400μmピッチ)で1本ずつ互い違いに織り込ん
で、所定の大きさの織目の通孔(この例では、約340
μm角の通孔)M,M,…を有するものとして形成さ
れ、ストライプ状に織り込まれた導電性線材21'a,
21'b,21'c,…が3相の給電線に接続されて、3
相の線状電極21a,21b,21c,…とされてい
る。図では、A相の固定子電極群に属する線状電極には
21aの符号が、B相の固定子電極群に属する線状電極
には21bの符号が、また、C相の固定子電極群に属す
る線状電極には21cの符号が付されている。
は、図2に示すように、線径60μmの裸の導電性線材
21'a,21'b,21'c,…と、同じく線径60μ
mの絶縁性繊維22とを、互いに"縦糸・横糸"として、
図示せぬ織機を用いて、所定のピッチ(この例では縦横
とも400μmピッチ)で1本ずつ互い違いに織り込ん
で、所定の大きさの織目の通孔(この例では、約340
μm角の通孔)M,M,…を有するものとして形成さ
れ、ストライプ状に織り込まれた導電性線材21'a,
21'b,21'c,…が3相の給電線に接続されて、3
相の線状電極21a,21b,21c,…とされてい
る。図では、A相の固定子電極群に属する線状電極には
21aの符号が、B相の固定子電極群に属する線状電極
には21bの符号が、また、C相の固定子電極群に属す
る線状電極には21cの符号が付されている。
【0016】ここで、好適な導電性線材21'a,21'
b,21'c,…(線状電極21a,21b,21c,
…)としては、銅線、アルミ線、ステンレス線、ニクロ
ム線、金線、銀線、あるいはチタン線等を挙げることが
でき、また、好適な絶縁性繊維22としては、ポリエス
テル繊維、軟質ポリ塩化ビニル繊維、ポリエチレン繊
維、ポリプロピレン繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド
繊維、ポリウレタン繊維、ポリアクリルニトリル繊維、
ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、
あるいはポリフッ化エチレン繊維を挙げることができ
る。また、"縦糸"のピッチは、"縦糸"を織機にかける際
に、"縦糸"を通す糸孔のピッチを変えることで、ま
た、"横糸"のピッチは、巻取り速度を加減することで、
それぞれ所望の設定値に調節される。
b,21'c,…(線状電極21a,21b,21c,
…)としては、銅線、アルミ線、ステンレス線、ニクロ
ム線、金線、銀線、あるいはチタン線等を挙げることが
でき、また、好適な絶縁性繊維22としては、ポリエス
テル繊維、軟質ポリ塩化ビニル繊維、ポリエチレン繊
維、ポリプロピレン繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド
繊維、ポリウレタン繊維、ポリアクリルニトリル繊維、
ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、
あるいはポリフッ化エチレン繊維を挙げることができ
る。また、"縦糸"のピッチは、"縦糸"を織機にかける際
に、"縦糸"を通す糸孔のピッチを変えることで、ま
た、"横糸"のピッチは、巻取り速度を加減することで、
それぞれ所望の設定値に調節される。
【0017】次に、上記多孔性基板3は、表面抵抗率が
1015Ω/□以上ある多孔性の無機材材料又は有機材料
からなり、その多孔度は、電極織物2Aが接着される側
の面から微風を沸き出させることができる程度である。
空気導入板4は、メタクリル樹脂板(株式会社クラレ
製、パラグラス)等の硬質プラスチック板からなり、4
方の周縁部に配置されたスペーサ(厚さ0.5〜1.0
mm)41,41,…を介して、多孔性基板3の下面に
接着されることによって、多孔性基板3と空気導入板4
とスペーサ41,41,…とで高さ0.5〜1.0mm
の半密閉の空隙を構成する。この半密閉の空隙は金属製
又はプラスチック製の送風パイプ(この例では、外径3
10μm、内径130μm)71を介して送風装置7に
連通されている。
1015Ω/□以上ある多孔性の無機材材料又は有機材料
からなり、その多孔度は、電極織物2Aが接着される側
の面から微風を沸き出させることができる程度である。
空気導入板4は、メタクリル樹脂板(株式会社クラレ
製、パラグラス)等の硬質プラスチック板からなり、4
方の周縁部に配置されたスペーサ(厚さ0.5〜1.0
mm)41,41,…を介して、多孔性基板3の下面に
接着されることによって、多孔性基板3と空気導入板4
とスペーサ41,41,…とで高さ0.5〜1.0mm
の半密閉の空隙を構成する。この半密閉の空隙は金属製
又はプラスチック製の送風パイプ(この例では、外径3
10μm、内径130μm)71を介して送風装置7に
連通されている。
【0018】送風装置7は、図示せぬ送風ポンプ及びこ
れを制御する駆動制御回路とからなり、アクチュエータ
駆動時、送風パイプ71を介して、多孔性基板3と空気
導入板4との間の空隙に(シリカゲルを通して除湿され
た)乾燥空気Dを供給する。供給されたこの乾燥空気D
は、多孔性基板3と空気導入板4との間で一旦空気バッ
ファ層4aを形成した後、多孔性基板3を経由して電極
織物2Aの織目の通孔M,M,…から均等に緩やかに吹
き出して、移動子6Aを固定子5Aから適当量(この例
では、5μm〜10μm)浮上させる。
れを制御する駆動制御回路とからなり、アクチュエータ
駆動時、送風パイプ71を介して、多孔性基板3と空気
導入板4との間の空隙に(シリカゲルを通して除湿され
た)乾燥空気Dを供給する。供給されたこの乾燥空気D
は、多孔性基板3と空気導入板4との間で一旦空気バッ
ファ層4aを形成した後、多孔性基板3を経由して電極
織物2Aの織目の通孔M,M,…から均等に緩やかに吹
き出して、移動子6Aを固定子5Aから適当量(この例
では、5μm〜10μm)浮上させる。
【0019】なお、多孔性基板3としては、水分子吸着
性に優れる素材を用いるようにすれば、湿度の高い雰囲
気下でも、除湿された空気を絶えず沸き出させることが
でき、固定子表面の電荷の流れを阻止できるので、好ま
しい。また、多孔性基板3と電極織物2Aとの接着、及
び多孔性基板3と空気導入板4との接着には、エポキシ
系接着剤、ポリイミド系接着剤、アクリル系接着剤等が
用いられ、超音波接着も可能である。
性に優れる素材を用いるようにすれば、湿度の高い雰囲
気下でも、除湿された空気を絶えず沸き出させることが
でき、固定子表面の電荷の流れを阻止できるので、好ま
しい。また、多孔性基板3と電極織物2Aとの接着、及
び多孔性基板3と空気導入板4との接着には、エポキシ
系接着剤、ポリイミド系接着剤、アクリル系接着剤等が
用いられ、超音波接着も可能である。
【0020】また、上記移動子6Aは、固定子5Aの表
面に接するように配置された絶縁体層61と極めて高い
抵抗率(例えば、表面抵抗率1014Ω/□)の抵抗体層
62を有し、具体的には、例えば縦15cm×横12c
mのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、
PVC(ポリ塩化ビニル)フィルム、ポリプロピレンフ
ィルム、あるいはポリイミドフィルム等の上にカーボン
やウレタン樹脂等の高抵抗性混合物を塗布してなってい
る。
面に接するように配置された絶縁体層61と極めて高い
抵抗率(例えば、表面抵抗率1014Ω/□)の抵抗体層
62を有し、具体的には、例えば縦15cm×横12c
mのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、
PVC(ポリ塩化ビニル)フィルム、ポリプロピレンフ
ィルム、あるいはポリイミドフィルム等の上にカーボン
やウレタン樹脂等の高抵抗性混合物を塗布してなってい
る。
【0021】次に、図4を参照して、上記構成の静電ア
クチュエータ1Aの動作について説明する。まず、同図
(a)に示すように、駆動装置8A(図1)を作動させ
て、A相の固定子電極群(線状電極21a,21a,
…)に正電圧+Vを、B相の固定子電極群(線状電極2
1b,21b,…)に負電圧−Vを、C相の固定子電極
群(線状電極21c,21c,…)にゼロ電圧0Vをそ
れぞれ印加する。すると、同図(b)に示すように、始
めは電荷の存在していなかった移動子6A内に微弱な電
流が流れ、線状電極21a,21b,21c,…と相対
向する移動子6Aの部位に、線状電極21a,21b,
21c,…の電荷と逆符号の電荷が誘導(充電)されて
平衡状態になる。この電荷は、説明の都合上、同図
(b)に示す鏡像電荷で置き換えることができる。
クチュエータ1Aの動作について説明する。まず、同図
(a)に示すように、駆動装置8A(図1)を作動させ
て、A相の固定子電極群(線状電極21a,21a,
…)に正電圧+Vを、B相の固定子電極群(線状電極2
1b,21b,…)に負電圧−Vを、C相の固定子電極
群(線状電極21c,21c,…)にゼロ電圧0Vをそ
れぞれ印加する。すると、同図(b)に示すように、始
めは電荷の存在していなかった移動子6A内に微弱な電
流が流れ、線状電極21a,21b,21c,…と相対
向する移動子6Aの部位に、線状電極21a,21b,
21c,…の電荷と逆符号の電荷が誘導(充電)されて
平衡状態になる。この電荷は、説明の都合上、同図
(b)に示す鏡像電荷で置き換えることができる。
【0022】一方、送風装置7も作動させて、送風パイ
プ71を介して、固定子5Aの多孔性基板3と空気導入
板4との間の空隙に乾燥空気Dを送り込む。空隙に送り
込まれた乾燥空気Dは、同図に縦向き矢印↑で示すよう
に、多孔性基板3と空気導入板4との間で一旦空気バッ
ファ層4aを形成した後、多孔性基板3を経由して電極
織物2Aの織目の通孔M,M,…から均等に緩やかに吹
き出すが、移動子6Aには、図中垂直下向きの静電吸引
力が働くので、移動子6Aは、固定子5A上に保持され
たままである(吸引フェイズ)。
プ71を介して、固定子5Aの多孔性基板3と空気導入
板4との間の空隙に乾燥空気Dを送り込む。空隙に送り
込まれた乾燥空気Dは、同図に縦向き矢印↑で示すよう
に、多孔性基板3と空気導入板4との間で一旦空気バッ
ファ層4aを形成した後、多孔性基板3を経由して電極
織物2Aの織目の通孔M,M,…から均等に緩やかに吹
き出すが、移動子6Aには、図中垂直下向きの静電吸引
力が働くので、移動子6Aは、固定子5A上に保持され
たままである(吸引フェイズ)。
【0023】次に、同図(c)に示すように、正電圧、
負電圧、ゼロ電圧を印加する線状電極21a,21b,
21c,…を例えば図中右にずらす。すなわち、電圧を
切り替えて、A相の固定子電極群(線状電極21a,2
1a,…)にゼロ電圧0Vを、B相の固定子電極群(線
状電極21b,21b,…)に正電圧+Vを、C相の固
定子電極群(線状電極21c,21c,…)に負電圧−
Vをそれぞれ印加すると、線状電極21a,21b,2
1c,…の電荷は瞬時に入れ替わるが、移動子6Aの電
荷は、抵抗率が高いため変化に時間を要し、電圧を切り
替えた直後は、元の電荷の状態を保持する。それ故、固
定子5A・移動子6Aの電荷間の静電力により、移動子
6Aに対し右向きの駆動力が発生する。このとき、静電
力の垂直成分は減少ないし反発力となる(反発フェイ
ズ)。それ故、移動子6Aは、乾燥空気Dが、多孔性基
板3を経由して電極織物2Aの織目の通孔M,M,…か
ら均等に緩やかに吹き出していることにも助けられて、
固定子5A上から適当量(この例では、5μm〜10μ
m)浮上する。これにより、摩擦が減少するので、同図
(d)に示すように、移動子6Aは迅速に電極1ピッチ
分右に動く。
負電圧、ゼロ電圧を印加する線状電極21a,21b,
21c,…を例えば図中右にずらす。すなわち、電圧を
切り替えて、A相の固定子電極群(線状電極21a,2
1a,…)にゼロ電圧0Vを、B相の固定子電極群(線
状電極21b,21b,…)に正電圧+Vを、C相の固
定子電極群(線状電極21c,21c,…)に負電圧−
Vをそれぞれ印加すると、線状電極21a,21b,2
1c,…の電荷は瞬時に入れ替わるが、移動子6Aの電
荷は、抵抗率が高いため変化に時間を要し、電圧を切り
替えた直後は、元の電荷の状態を保持する。それ故、固
定子5A・移動子6Aの電荷間の静電力により、移動子
6Aに対し右向きの駆動力が発生する。このとき、静電
力の垂直成分は減少ないし反発力となる(反発フェイ
ズ)。それ故、移動子6Aは、乾燥空気Dが、多孔性基
板3を経由して電極織物2Aの織目の通孔M,M,…か
ら均等に緩やかに吹き出していることにも助けられて、
固定子5A上から適当量(この例では、5μm〜10μ
m)浮上する。これにより、摩擦が減少するので、同図
(d)に示すように、移動子6Aは迅速に電極1ピッチ
分右に動く。
【0024】移動子6Aは、電極1ピッチ分右に動く
と、消えかけた電荷(同図(c))が、再び充電されて
平衡状態になるので、図中垂直下向きの吸引力が働き、
固定子5Aに接触する(吸引フェイズ)。次に、同図
(e)に示すように、正電圧、負電圧、ゼロ電圧を印加
する線状電極21a,21b,21c,…をさらに右に
ずらす操作を行う。すなわち、電圧を切り替えて、A相
の固定子電極群(線状電極21a,21a,…)に負電
圧−Vを、B相の固定子電極群(線状電極21b,21
b,…)に0Vを、C相の固定子電極群(線状電極21
c,21c,…)に正電圧+Vをそれぞれ印加すると、
線状電極21a,21b,21c,…の電荷は再び瞬時
に入れ替わるが、移動子6Aの電荷は、このときも、抵
抗率が高いため変化に時間を要し、電圧を切り替えた直
後は、元の電荷の状態を保持するので、このときも、固
定子5A・移動子6Aの電荷間の静電力により、移動子
6Aに対し右向きの駆動力が発生する。
と、消えかけた電荷(同図(c))が、再び充電されて
平衡状態になるので、図中垂直下向きの吸引力が働き、
固定子5Aに接触する(吸引フェイズ)。次に、同図
(e)に示すように、正電圧、負電圧、ゼロ電圧を印加
する線状電極21a,21b,21c,…をさらに右に
ずらす操作を行う。すなわち、電圧を切り替えて、A相
の固定子電極群(線状電極21a,21a,…)に負電
圧−Vを、B相の固定子電極群(線状電極21b,21
b,…)に0Vを、C相の固定子電極群(線状電極21
c,21c,…)に正電圧+Vをそれぞれ印加すると、
線状電極21a,21b,21c,…の電荷は再び瞬時
に入れ替わるが、移動子6Aの電荷は、このときも、抵
抗率が高いため変化に時間を要し、電圧を切り替えた直
後は、元の電荷の状態を保持するので、このときも、固
定子5A・移動子6Aの電荷間の静電力により、移動子
6Aに対し右向きの駆動力が発生する。
【0025】同時に、静電力の垂直成分は減少ないし反
発力となる(反発フェイズ)。それ故、移動子6Aは、
乾燥空気Dが、多孔性基板3を経由して電極織物2Aの
織目の通孔M,M,…から均等に緩やかに吹き出してい
ることにも助けられて、固定子5A上から適当量(この
例では、5μm〜10μm)浮上する。これにより、摩
擦が減少するので、同図(f)に示すように、移動子6
Aはさらに電極1ピッチ分右に動く。移動子6Aは、さ
らに電極1ピッチ分右に動くと、消えかけた電荷(同図
(e))が、再び充電されて平衡状態になるので、図中
垂直下向きの吸引力が働き、固定子5Aに接触する(吸
引フェイズ)。
発力となる(反発フェイズ)。それ故、移動子6Aは、
乾燥空気Dが、多孔性基板3を経由して電極織物2Aの
織目の通孔M,M,…から均等に緩やかに吹き出してい
ることにも助けられて、固定子5A上から適当量(この
例では、5μm〜10μm)浮上する。これにより、摩
擦が減少するので、同図(f)に示すように、移動子6
Aはさらに電極1ピッチ分右に動く。移動子6Aは、さ
らに電極1ピッチ分右に動くと、消えかけた電荷(同図
(e))が、再び充電されて平衡状態になるので、図中
垂直下向きの吸引力が働き、固定子5Aに接触する(吸
引フェイズ)。
【0026】以下、駆動装置8Aが、正電圧、負電圧、
ゼロ電圧を印加する線状電極21a,21b,21c,
…を右にずらす態様の電圧切換操作を繰り返す度に、移
動子6Aは順次電極1ピッチずつ右に移動し、電圧の切
換操作を停止すると、垂直下向きの吸引力が働いて、移
動子6Aは、摩擦により保持されるので、正確に位置決
めされて停止する。一方、正電圧、負電圧、ゼロ電圧を
印加する線状電極21a,21b,21c,…を左にず
らす電圧切換操作を繰り返すと、移動子6Aは順次電極
1ピッチずつ左に移動する。移動子6Aは、軽量で、単
位質量当たりの誘導荷電量が多い上、上記したように、
乾燥空気が、多孔性基板3を経由して電極織物2Aの織
目の通孔M,M,…から均等に緩やかに吹き出している
ことにも助けられて、加速され易く、したがって、電圧
切替操作の繰り返しを早めることにより、高速移動を達
成できる。
ゼロ電圧を印加する線状電極21a,21b,21c,
…を右にずらす態様の電圧切換操作を繰り返す度に、移
動子6Aは順次電極1ピッチずつ右に移動し、電圧の切
換操作を停止すると、垂直下向きの吸引力が働いて、移
動子6Aは、摩擦により保持されるので、正確に位置決
めされて停止する。一方、正電圧、負電圧、ゼロ電圧を
印加する線状電極21a,21b,21c,…を左にず
らす電圧切換操作を繰り返すと、移動子6Aは順次電極
1ピッチずつ左に移動する。移動子6Aは、軽量で、単
位質量当たりの誘導荷電量が多い上、上記したように、
乾燥空気が、多孔性基板3を経由して電極織物2Aの織
目の通孔M,M,…から均等に緩やかに吹き出している
ことにも助けられて、加速され易く、したがって、電圧
切替操作の繰り返しを早めることにより、高速移動を達
成できる。
【0027】上記構成の静電アクチュエータを用いて、
駆動実験を行って見たところ、において、固定子・移動
子間に空気を送風した場合には、駆動電圧500Vで、
単位面積あたり0.1gを牽引できた。これに対して、
固定子・移動子間に空気を送風しない場合には、駆動電
圧600Vでも0.1g/cm2の力密度を得ることが
できなかった。
駆動実験を行って見たところ、において、固定子・移動
子間に空気を送風した場合には、駆動電圧500Vで、
単位面積あたり0.1gを牽引できた。これに対して、
固定子・移動子間に空気を送風しない場合には、駆動電
圧600Vでも0.1g/cm2の力密度を得ることが
できなかった。
【0028】この例の構成によれば、電極織物の織目の
隙間が、送風用の貫通孔として利用できる。それ故、微
細加工技術を用いて送風用の貫通孔を別途形成する手間
を省くことができるので、低電圧大出力用の固定子の作
成が極めて容易となる。また、電極織物を通孔性に優れ
る多孔性基板の表面に積層状態に接着固定すると共に、
この多孔性基板を経由させて空気等の気体を送り込む構
成としたので、気体を電極織物の多数の織目から均一か
つ安定的に吹き出させることができる。
隙間が、送風用の貫通孔として利用できる。それ故、微
細加工技術を用いて送風用の貫通孔を別途形成する手間
を省くことができるので、低電圧大出力用の固定子の作
成が極めて容易となる。また、電極織物を通孔性に優れ
る多孔性基板の表面に積層状態に接着固定すると共に、
この多孔性基板を経由させて空気等の気体を送り込む構
成としたので、気体を電極織物の多数の織目から均一か
つ安定的に吹き出させることができる。
【0029】◇第2実施例 図5は、この発明の第2実施例である織物組織を利用し
た誘導電荷形の静電アクチュエータの構成を示す斜視図
である。この例の静電アクチュエータ1Bが、第1実施
例の静電アクチュエータ1Aと大きく異なるところは、
第1実施例の構成では、移動子6Aは1方向にしか移動
できないのに対し、この実施例では、移動子6Bが2次
元移動できる構成とした点である。なお、この例(図
5)において、第1実施例(図1)と同一の構成各部に
ついては同一の符号を付してその説明を省略する。
た誘導電荷形の静電アクチュエータの構成を示す斜視図
である。この例の静電アクチュエータ1Bが、第1実施
例の静電アクチュエータ1Aと大きく異なるところは、
第1実施例の構成では、移動子6Aは1方向にしか移動
できないのに対し、この実施例では、移動子6Bが2次
元移動できる構成とした点である。なお、この例(図
5)において、第1実施例(図1)と同一の構成各部に
ついては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0030】この例の固定子5Bにおいて、電極織物2
Bは、図5に示すように、線径60μmの絶縁被覆付き
導電性線材23'a,23'b,23'cと、同じく線径
6μmの絶縁被覆付き導電性線材23'x,23'y,2
3'z,…とを互いに"縦糸・横糸"として、図示せぬ織
機を用いて、所定のピッチ(この例では縦横とも400
μmピッチ)で1本ずつ互い違いに織り込んで、所定の
大きさの織目の通孔(この例では、約340μm角の通
孔)M,M,…を有するものとして形成され、横方向に
織り込まれた導電性線材23'a,23'b,23'c,
…、及び、縦方向に織り込まれた導電性線材23'x,
23'y,23'z,…が、3相の給電線に接続されて、
それぞれ、3相の線状横電極23a,23b,23c,
…、線状縦電極23x,23y,23z,…とされてい
る。図では、A相の固定子横(縦)電極群に属する線状
横(縦)電極には23a(23x)の符号が、B相の固
定子横(縦)電極群に属する線状横(縦)電極には23
b(23y)の符号が、また、C相の固定子横(縦)電
極群に属する線状横(縦)電極には23c(23z)の
符号が付されている。
Bは、図5に示すように、線径60μmの絶縁被覆付き
導電性線材23'a,23'b,23'cと、同じく線径
6μmの絶縁被覆付き導電性線材23'x,23'y,2
3'z,…とを互いに"縦糸・横糸"として、図示せぬ織
機を用いて、所定のピッチ(この例では縦横とも400
μmピッチ)で1本ずつ互い違いに織り込んで、所定の
大きさの織目の通孔(この例では、約340μm角の通
孔)M,M,…を有するものとして形成され、横方向に
織り込まれた導電性線材23'a,23'b,23'c,
…、及び、縦方向に織り込まれた導電性線材23'x,
23'y,23'z,…が、3相の給電線に接続されて、
それぞれ、3相の線状横電極23a,23b,23c,
…、線状縦電極23x,23y,23z,…とされてい
る。図では、A相の固定子横(縦)電極群に属する線状
横(縦)電極には23a(23x)の符号が、B相の固
定子横(縦)電極群に属する線状横(縦)電極には23
b(23y)の符号が、また、C相の固定子横(縦)電
極群に属する線状横(縦)電極には23c(23z)の
符号が付されている。
【0031】ここで、好適な絶縁被覆付き導電性線材2
3'a,23'x,…として、テフロン被覆電線、ポリエ
ステル被覆電線、ポリ塩化ビニル被覆電線、ポリエチレ
ン被覆電線、ポリプロピレン被覆電線、ポリイミド被覆
電線、ポリアミド被覆電線、ポリウレタン被覆電線、ポ
リフッ化エチレン被覆電線、あるいは絶縁ワニス被覆電
線等を挙げることができる。
3'a,23'x,…として、テフロン被覆電線、ポリエ
ステル被覆電線、ポリ塩化ビニル被覆電線、ポリエチレ
ン被覆電線、ポリプロピレン被覆電線、ポリイミド被覆
電線、ポリアミド被覆電線、ポリウレタン被覆電線、ポ
リフッ化エチレン被覆電線、あるいは絶縁ワニス被覆電
線等を挙げることができる。
【0032】次に、第2実施例の動作について説明す
る。上記構成において、固定子5B上の移動子6Bを縦
方向(線状横電極23a,23b,23c,…に直交す
る方向)に所定の距離移動させるには、横電極駆動装置
8Bを作動させて、3相の駆動電圧を線状横電極23
a,23b,23c,…に印加する。一方、送風装置7
も作動させて、送風パイプ71を介して、固定子5Bの
多孔性基板3と空気導入板4との間の空隙に乾燥空気D
を送り込む。空隙に送り込まれた乾燥空気Dは、多孔性
基板3と空気導入板4との間で一旦空気バッファ層4a
を形成した後、多孔性基板3を経由して電極織物2Bの
織目の通孔M,M,…から均等に緩やかに吹き出す。こ
のとき、静電力の垂直成分が、吸引フェーズ(第1実施
例参照)の場合には、移動子6Bには、垂直下向きの静
電吸引力が働くので、移動子6Bは、固定子5B上に保
持されたままである。これに対して、静電力の垂直成分
が、反発フェーズ(第1実施例参照)の場合には、移動
子6Bは、乾燥空気Dが、多孔性基板3を経由して電極
織物2Aの織目の通孔M,M,…から均等に緩やかに吹
き出していることにも助けられて、固定子5B上から適
当量(この例では、5μm〜10μm)浮上する。それ
故、移動子6Bは充分に浮上でき、摩擦が減少するの
で、例えば、電圧切換操作を10回行えば、迅速に電極
10ピッチ分連続移動する。
る。上記構成において、固定子5B上の移動子6Bを縦
方向(線状横電極23a,23b,23c,…に直交す
る方向)に所定の距離移動させるには、横電極駆動装置
8Bを作動させて、3相の駆動電圧を線状横電極23
a,23b,23c,…に印加する。一方、送風装置7
も作動させて、送風パイプ71を介して、固定子5Bの
多孔性基板3と空気導入板4との間の空隙に乾燥空気D
を送り込む。空隙に送り込まれた乾燥空気Dは、多孔性
基板3と空気導入板4との間で一旦空気バッファ層4a
を形成した後、多孔性基板3を経由して電極織物2Bの
織目の通孔M,M,…から均等に緩やかに吹き出す。こ
のとき、静電力の垂直成分が、吸引フェーズ(第1実施
例参照)の場合には、移動子6Bには、垂直下向きの静
電吸引力が働くので、移動子6Bは、固定子5B上に保
持されたままである。これに対して、静電力の垂直成分
が、反発フェーズ(第1実施例参照)の場合には、移動
子6Bは、乾燥空気Dが、多孔性基板3を経由して電極
織物2Aの織目の通孔M,M,…から均等に緩やかに吹
き出していることにも助けられて、固定子5B上から適
当量(この例では、5μm〜10μm)浮上する。それ
故、移動子6Bは充分に浮上でき、摩擦が減少するの
で、例えば、電圧切換操作を10回行えば、迅速に電極
10ピッチ分連続移動する。
【0033】次に、移動子6Bを横方向(線状縦電極2
3x,23y,23z,…に直交する方向)に所定の距
離移動させるには、縦電極駆動装置8Cを作動させて、
3相の駆動電圧を線状縦電極23x,23y,23z,
…に印加する。同時に、送風装置7も作動させて、固定
子5Bと移動子6Bとの間に乾燥空気Dを送り込んで、
摩擦を減少させる。それ故、例えば、電圧切換操作を2
0回行えば、移動子6Bは20電極ピッチ分だけ横方向
に移動する。
3x,23y,23z,…に直交する方向)に所定の距
離移動させるには、縦電極駆動装置8Cを作動させて、
3相の駆動電圧を線状縦電極23x,23y,23z,
…に印加する。同時に、送風装置7も作動させて、固定
子5Bと移動子6Bとの間に乾燥空気Dを送り込んで、
摩擦を減少させる。それ故、例えば、電圧切換操作を2
0回行えば、移動子6Bは20電極ピッチ分だけ横方向
に移動する。
【0034】今度は、移動子6Bを斜め方向に所定の距
離移動させるには、横電極駆動装置8B及び縦電極駆動
装置8Cを同時に作動させて、3相の駆動電圧を線状横
電極23a,23b,23c,…及び線状縦電極23
x,23y,23z,…に印加する。同時に、送風装置
7も作動させて、固定子5Bと移動子6Bとの間に乾燥
空気Dを送り込んで、摩擦を減少させる。それ故、例え
ば、線状横電極23a,23b,23c,…に対する電
圧切換操作を10回、線状縦電極23x,23y,23
z,…に対する電圧切換操作を20回行えば、移動子6
Bは10電極ピッチ分だけ縦方向に進むと同時に、20
電極ピッチ分だけ横方向に進む。
離移動させるには、横電極駆動装置8B及び縦電極駆動
装置8Cを同時に作動させて、3相の駆動電圧を線状横
電極23a,23b,23c,…及び線状縦電極23
x,23y,23z,…に印加する。同時に、送風装置
7も作動させて、固定子5Bと移動子6Bとの間に乾燥
空気Dを送り込んで、摩擦を減少させる。それ故、例え
ば、線状横電極23a,23b,23c,…に対する電
圧切換操作を10回、線状縦電極23x,23y,23
z,…に対する電圧切換操作を20回行えば、移動子6
Bは10電極ピッチ分だけ縦方向に進むと同時に、20
電極ピッチ分だけ横方向に進む。
【0035】このように、この第2実施例の構成によれ
ば、第1実施例で述べたと略同様の効果を得ることがで
き、加えて、移動子の2次元移動が可能となる。
ば、第1実施例で述べたと略同様の効果を得ることがで
き、加えて、移動子の2次元移動が可能となる。
【0036】◇第3実施例 図6は、この発明の第3実施例である誘導電荷形の静電
アクチュエータの構成を示す斜視図、図7は、同静電ア
クチュエータに用いられる固定子の構成を分解して示す
分解斜視図、また、図8は、同静電アクチュエータの駆
動時における概略断面図である。この例の静電アクチュ
エータ1Cが、第1実施例の静電アクチュエータ1A
(図1)と大きく異なるところは、第1実施例の固定子
5Aから多孔性基板3と空気導入板4とを除去し、代わ
りに、電極織物2Aを絶縁基板91と通孔92a,92
a,…を多数有する絶縁フィルム92とで挟持すると共
に、絶縁基板91と絶縁フィルム92との間に送風パイ
プ71を差し込み、これらを接着剤93で相互に接合す
ることによって、この例の固定子5Cを構成するように
した点である。
アクチュエータの構成を示す斜視図、図7は、同静電ア
クチュエータに用いられる固定子の構成を分解して示す
分解斜視図、また、図8は、同静電アクチュエータの駆
動時における概略断面図である。この例の静電アクチュ
エータ1Cが、第1実施例の静電アクチュエータ1A
(図1)と大きく異なるところは、第1実施例の固定子
5Aから多孔性基板3と空気導入板4とを除去し、代わ
りに、電極織物2Aを絶縁基板91と通孔92a,92
a,…を多数有する絶縁フィルム92とで挟持すると共
に、絶縁基板91と絶縁フィルム92との間に送風パイ
プ71を差し込み、これらを接着剤93で相互に接合す
ることによって、この例の固定子5Cを構成するように
した点である。
【0037】送風装置7は、アクチュエータ駆動時、送
風パイプ71を介して、電極織物2A内の織目等の空隙
に乾燥空気Dを供給する。供給されたこの乾燥空気D
は、絶縁フィルム92の表面に穿孔された多数の通孔9
2a,92a,…から緩やかに吹き出して、移動子6A
を固定子5Cから適当量(この例では、5μm〜10μ
m)浮上させる。なお、織目は、"縦糸・横糸"が、1本
ずつ互い違いに上下して、浮沈しながら交錯して織り込
まれることにより形成されるので、孤立することなく互
いに連通状態となっている。
風パイプ71を介して、電極織物2A内の織目等の空隙
に乾燥空気Dを供給する。供給されたこの乾燥空気D
は、絶縁フィルム92の表面に穿孔された多数の通孔9
2a,92a,…から緩やかに吹き出して、移動子6A
を固定子5Cから適当量(この例では、5μm〜10μ
m)浮上させる。なお、織目は、"縦糸・横糸"が、1本
ずつ互い違いに上下して、浮沈しながら交錯して織り込
まれることにより形成されるので、孤立することなく互
いに連通状態となっている。
【0038】この例において、絶縁基板91には表面抵
抗率が1015Ω/□以上あるメタクリル樹脂板(例え
ば、株式会社クラレ製、パラグラス)が用いられる。ま
た、絶縁フィルム92には同じく表面抵抗率が1015Ω
/□以上あって、表面に多数の通孔(直径500μm)
92a,92a,…が散在するPETフィルム(厚さ1
2μm)が用いられる。また、接着剤93としては、エ
ポキシ系接着剤(例えば、チバガイギー社製、アラルダ
イト)が用いられる。
抗率が1015Ω/□以上あるメタクリル樹脂板(例え
ば、株式会社クラレ製、パラグラス)が用いられる。ま
た、絶縁フィルム92には同じく表面抵抗率が1015Ω
/□以上あって、表面に多数の通孔(直径500μm)
92a,92a,…が散在するPETフィルム(厚さ1
2μm)が用いられる。また、接着剤93としては、エ
ポキシ系接着剤(例えば、チバガイギー社製、アラルダ
イト)が用いられる。
【0039】なお、素材は上記のものに限定されない。
例えば、絶縁基板91は、メタクリル樹脂板に限らず、
ガラスエポキシ樹脂積層板、ガラスフェノール樹脂積層
板、ベークライト樹脂板でも良く、絶縁フィルム92
は、表面抵抗率が1015Ω/□以上である限り、ポリプ
ロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、軟質ポリ塩化
ビニルフィルム、ポリエチレンフィルムでも良い。同様
に、接着剤93は、アクリル系接着剤、ポリイミド系接
着剤でも良い。また、絶縁フィルム92の通孔92a,
92a,…は、フィルム成形時に同時に成形しても良
く、あるいは、フィルム成形後にレーザ加工、プレス加
工を施して穿孔しても良い。
例えば、絶縁基板91は、メタクリル樹脂板に限らず、
ガラスエポキシ樹脂積層板、ガラスフェノール樹脂積層
板、ベークライト樹脂板でも良く、絶縁フィルム92
は、表面抵抗率が1015Ω/□以上である限り、ポリプ
ロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、軟質ポリ塩化
ビニルフィルム、ポリエチレンフィルムでも良い。同様
に、接着剤93は、アクリル系接着剤、ポリイミド系接
着剤でも良い。また、絶縁フィルム92の通孔92a,
92a,…は、フィルム成形時に同時に成形しても良
く、あるいは、フィルム成形後にレーザ加工、プレス加
工を施して穿孔しても良い。
【0040】固定子5Cを作成するには、縦横寸法を略
同一に揃えられた方形の電極織物2A、絶縁基板91、
絶縁フィルム92及び外径310μm、内径130μm
の送風パイプ71を用意する。そして、まず、図7に示
すように、絶縁基板91の上面周縁部と上面内側の適当
な数箇所とに接着剤93を線形に塗布する。ここで、4
方の周縁部には、供給された空気が漏れ出ないようにす
るために、接着剤93を切れ目なくコの字ループ状に塗
布する。一方し、内側には、供給された空気が電極織物
2A内の隙間の隅々まで行きわたり易くするために、接
着剤93を途切れ途切れに塗布する。次に、絶縁基板9
1の接着剤93が塗布された面に電極織物2Aを重ね置
き、さらに、送風パイプ71の一端部を周縁部の接着剤
93と交差状態に置いて接着する。この後、絶縁フィル
ム92を電極織物2Aの上に重ね置く。そして、最後
に、絶縁基板91・絶縁フィルム92間のギャップを一
定にするために、全体を加圧して、固定子5Cを完成さ
せる。
同一に揃えられた方形の電極織物2A、絶縁基板91、
絶縁フィルム92及び外径310μm、内径130μm
の送風パイプ71を用意する。そして、まず、図7に示
すように、絶縁基板91の上面周縁部と上面内側の適当
な数箇所とに接着剤93を線形に塗布する。ここで、4
方の周縁部には、供給された空気が漏れ出ないようにす
るために、接着剤93を切れ目なくコの字ループ状に塗
布する。一方し、内側には、供給された空気が電極織物
2A内の隙間の隅々まで行きわたり易くするために、接
着剤93を途切れ途切れに塗布する。次に、絶縁基板9
1の接着剤93が塗布された面に電極織物2Aを重ね置
き、さらに、送風パイプ71の一端部を周縁部の接着剤
93と交差状態に置いて接着する。この後、絶縁フィル
ム92を電極織物2Aの上に重ね置く。そして、最後
に、絶縁基板91・絶縁フィルム92間のギャップを一
定にするために、全体を加圧して、固定子5Cを完成さ
せる。
【0041】上記構成の静電アクチュエータを用いて、
駆動実験を行って見たところ、送風状態では、駆動電圧
500Vで、単位面積あたり0.1gを牽引できた。こ
れに対して、無送風状態では、駆動電圧600Vでも
0.1g/cm2の力密度を得ることができなかった。
次に、移動子を代えて実験を行って見た。まず、表面抵
抗率1014Ω/□、厚さ20μm、大きさ15cm×1
2cmのポリプロピレンフィルムの移動子を用いた実験
では、送風状態で、0.08g/cm2の力密度を得る
ことができたが、無送風状態では、駆動電圧600Vで
も0.08g/cm2の力密度を得ることができなかっ
た。帯電防止剤がコーティングされたA4サイズのポリ
エステルフィルム(3M社製、OHP用PPCフィル
ム、732タイプ)の移動子を用いた実験では、送風状
態で、0.04g/cm2の力密度を得ることができた
が、無送風状態では、駆動電圧600Vで0.04g/
cm2の力密度を得ることができた。さらに、表面抵抗
率1013Ω/□、厚さ20μm、大きさ15cm×12
cmのポリカーボネートフィルムの移動子を用いた実験
では、送風状態で、0.1g/cm2の力密度を得るこ
とができたが、無送風状態では、駆動電圧600Vで
0.1g/cm2の力密度を得ることができた。
駆動実験を行って見たところ、送風状態では、駆動電圧
500Vで、単位面積あたり0.1gを牽引できた。こ
れに対して、無送風状態では、駆動電圧600Vでも
0.1g/cm2の力密度を得ることができなかった。
次に、移動子を代えて実験を行って見た。まず、表面抵
抗率1014Ω/□、厚さ20μm、大きさ15cm×1
2cmのポリプロピレンフィルムの移動子を用いた実験
では、送風状態で、0.08g/cm2の力密度を得る
ことができたが、無送風状態では、駆動電圧600Vで
も0.08g/cm2の力密度を得ることができなかっ
た。帯電防止剤がコーティングされたA4サイズのポリ
エステルフィルム(3M社製、OHP用PPCフィル
ム、732タイプ)の移動子を用いた実験では、送風状
態で、0.04g/cm2の力密度を得ることができた
が、無送風状態では、駆動電圧600Vで0.04g/
cm2の力密度を得ることができた。さらに、表面抵抗
率1013Ω/□、厚さ20μm、大きさ15cm×12
cmのポリカーボネートフィルムの移動子を用いた実験
では、送風状態で、0.1g/cm2の力密度を得るこ
とができたが、無送風状態では、駆動電圧600Vで
0.1g/cm2の力密度を得ることができた。
【0042】この第3実施例の構成によれば、第1実施
例で示した略同様の効果を得ることができる。加えて、
固定子の構成が、第1実施例のそれよりも簡易である。
また、負荷(送風抵抗)が小さいので、送風装置の省電
化が可能である。
例で示した略同様の効果を得ることができる。加えて、
固定子の構成が、第1実施例のそれよりも簡易である。
また、負荷(送風抵抗)が小さいので、送風装置の省電
化が可能である。
【0043】以上、この発明の実施例を図面により詳述
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述の各
種線材は、単線に限らず、撚り線でも良い。固定子又は
移動子の織り方は、平織に限定されない。導電性線材及
び絶縁性繊維の線径は、60μmのものに限定されな
い。同様に、絶縁フィルムの通孔の個数及び直径も任意
である。導電性線材は、金属線に限らず、導電性高分子
材料又は導電性ガラス繊維でも良い。
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述の各
種線材は、単線に限らず、撚り線でも良い。固定子又は
移動子の織り方は、平織に限定されない。導電性線材及
び絶縁性繊維の線径は、60μmのものに限定されな
い。同様に、絶縁フィルムの通孔の個数及び直径も任意
である。導電性線材は、金属線に限らず、導電性高分子
材料又は導電性ガラス繊維でも良い。
【0044】また、上述の実施例においては、送風用空
気として乾燥空気を用いるようにしたが、静電アクチュ
エータが密閉系で用いられる限り、高誘電率を有する気
体を循環させて用いるようにすれば、絶縁破壊を防止で
きると共に、低電力大出力化を一段と達成することがで
きる。
気として乾燥空気を用いるようにしたが、静電アクチュ
エータが密閉系で用いられる限り、高誘電率を有する気
体を循環させて用いるようにすれば、絶縁破壊を防止で
きると共に、低電力大出力化を一段と達成することがで
きる。
【0045】また、上述の第3実施例においては、絶縁
基板91の4方の周縁部には、供給された空気が漏れ出
ないようにするために、接着剤93を切れ目なくコの字
ループ状に塗布するようにした場合について述べたが、
絶縁フィルム92の通孔92a,92a,…から適当量
の乾燥空気Dの流出がある限り、必要に応じて、図9に
示すように、絶縁基板91の4方の周縁部であっても、
接着剤93を切れ目切れ目に塗布するようにしても良
い。
基板91の4方の周縁部には、供給された空気が漏れ出
ないようにするために、接着剤93を切れ目なくコの字
ループ状に塗布するようにした場合について述べたが、
絶縁フィルム92の通孔92a,92a,…から適当量
の乾燥空気Dの流出がある限り、必要に応じて、図9に
示すように、絶縁基板91の4方の周縁部であっても、
接着剤93を切れ目切れ目に塗布するようにしても良
い。
【0046】また、移動子にも線状電極を設け、3相交
流駆動方式で駆動するようにしても、上述したと同様の
効果を得ることができる。
流駆動方式で駆動するようにしても、上述したと同様の
効果を得ることができる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の静電ア
クチュエータは、固定子が電極織物からなるものなの
で、駆動時、空気等の気体を、上記電極織物の織目の隙
間を経由して、固定子と移動子との間に送り込むことが
できる。それ故、微細加工技術を用いて送風用の貫通孔
を別途形成する手間を省くことができるので、低電圧大
出力用の固定子の作成が極めて容易となる。
クチュエータは、固定子が電極織物からなるものなの
で、駆動時、空気等の気体を、上記電極織物の織目の隙
間を経由して、固定子と移動子との間に送り込むことが
できる。それ故、微細加工技術を用いて送風用の貫通孔
を別途形成する手間を省くことができるので、低電圧大
出力用の固定子の作成が極めて容易となる。
【0048】なお、気体を電極織物の多数の織目から均
一かつ安定的に吹き出させるためには、電極織物を通孔
性に優れる多孔性の基板の表面に積層状態に設置すると
共に、この基板を経由させて空気等の気体を送り込むよ
うにするのが良い。また、湿度に強い固定子とするため
には、上記多孔性の基板を、水分子吸着性に優れる素材
から形成するのが良い。
一かつ安定的に吹き出させるためには、電極織物を通孔
性に優れる多孔性の基板の表面に積層状態に設置すると
共に、この基板を経由させて空気等の気体を送り込むよ
うにするのが良い。また、湿度に強い固定子とするため
には、上記多孔性の基板を、水分子吸着性に優れる素材
から形成するのが良い。
【0049】また、請求項2記載の構成によれば、電極
織物の両面が一対の絶縁層によって保護されるので、耐
久性が向上する。加えて、固定子表面の平滑性も確保さ
れるので、移動子の移動が円滑に行われる。
織物の両面が一対の絶縁層によって保護されるので、耐
久性が向上する。加えて、固定子表面の平滑性も確保さ
れるので、移動子の移動が円滑に行われる。
【図1】この発明の第1実施例である織物組織を利用し
た誘導電荷形の静電アクチュエータの構成を示す斜視図
である。
た誘導電荷形の静電アクチュエータの構成を示す斜視図
である。
【図2】同静電アクチュエータの固定子を構成する電極
織物を部分的に拡大して示す概略斜視図である。
織物を部分的に拡大して示す概略斜視図である。
【図3】同静電アクチュエータの構成を示す概略断面図
である。
である。
【図4】同静電アクチュエータの動作原理を説明するた
めの説明図である。
めの説明図である。
【図5】この発明の第2実施例である織物組織を利用し
た誘導電荷形の静電アクチュエータの構成を示す斜視図
である。
た誘導電荷形の静電アクチュエータの構成を示す斜視図
である。
【図6】この発明の第3実施例である誘導電荷形の静電
アクチュエータの構成を示す斜視図である。
アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図7】同静電アクチュエータに用いられる固定子の構
成を分解して示す分解斜視図である。
成を分解して示す分解斜視図である。
【図8】同静電アクチュエータの駆動時における概略断
面図である。
面図である。
【図9】第3実施例の変形例に係る固定子の構成を分解
して示す分解斜視図である。
して示す分解斜視図である。
1A,1B,1C 静電アクチュエータ 2A,2B 電極織物 21a,21b,21c 線状電極 21'a,21'b,21'c 導電性線材(裸の導
電性線材) 22 絶縁性繊維(絶縁性線材) M 織目の隙間(織目の通孔) 23a,23b,23c 線状横電極(線状電極) 23x,23y,23z 線状縦電極(線状電極) 23'a,23'b,23'c 絶縁被覆付き導電性
線材 23'x,23'y,23'z 絶縁被覆付き導電性
線材 3 多孔性基板(多孔性の基板) 4 空気導入板 5A,5B,5C 固定子 6A,6B 移動子 7 送風手段(送風手段) 71 送風パイプ 8A 駆動装置 91 絶縁基板(絶縁層) 92 絶縁フィルム(絶縁層) 92a 通孔 93 接着剤
電性線材) 22 絶縁性繊維(絶縁性線材) M 織目の隙間(織目の通孔) 23a,23b,23c 線状横電極(線状電極) 23x,23y,23z 線状縦電極(線状電極) 23'a,23'b,23'c 絶縁被覆付き導電性
線材 23'x,23'y,23'z 絶縁被覆付き導電性
線材 3 多孔性基板(多孔性の基板) 4 空気導入板 5A,5B,5C 固定子 6A,6B 移動子 7 送風手段(送風手段) 71 送風パイプ 8A 駆動装置 91 絶縁基板(絶縁層) 92 絶縁フィルム(絶縁層) 92a 通孔 93 接着剤
Claims (2)
- 【請求項1】 複数相に接続される複数の線状電極が一
方向又は互いに直交する二方向に所定の電極ピッチで相
順に繰り返し配列されてなる固定子と、該固定子の表面
に配置され、前記複数の線状電極に相毎に印加する電圧
を変化させることで静電駆動力を付与される移動子とを
備えてなる静電アクチュエータであって、 前記固定子は、前記一方向に配列された複数の線状電極
となる裸の又は絶縁被覆付きの導電性線材と、絶縁性線
材又は前記一方向に直交する方向に配列された複数の線
状電極ともなる絶縁被覆付きの導電性線材とが互いに縦
糸・横糸となって織り込まれてなる電極織物からなり、
かつ、気体を、前記電極織物の織目の隙間を経由させ
て、前記固定子と移動子との間に送り込む送風手段が設
けられていることを特徴とする静電アクチュエータ。 - 【請求項2】 複数相に接続される複数の線状電極が一
方向又は互いに直交する二方向に所定の電極ピッチで相
順に繰り返し配列されてなる固定子と、該固定子の表面
に配置され、前記複数の線状電極に相毎に印加する電圧
を変化させることで静電駆動力を付与される移動子とを
備えてなる静電アクチュエータであって、 前記固定子は、前記一方向に配列された複数の線状電極
となる裸の又は絶縁被覆付きの導電性線材と、絶縁性線
材又は前記一方向に直交する方向に配列された複数の線
状電極ともなる絶縁被覆付きの導電性線材とが互いに縦
糸・横糸となって織り込まれてなる電極織物と、該電極
織物を両面側から挟持する一対の絶縁層とからなり、前
記移動子が対向配置される側の面に設けられた前記絶縁
層には複数の通孔が穿設され、かつ、 気体を、前記一対の絶縁層の間に供給し、前記通孔を経
由させて、前記固定子と移動子との間に送り込む送風手
段が設けられていることを特徴とする静電アクチュエー
タ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14569594A JPH07337038A (ja) | 1994-06-04 | 1994-06-04 | 静電アクチュエータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14569594A JPH07337038A (ja) | 1994-06-04 | 1994-06-04 | 静電アクチュエータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07337038A true JPH07337038A (ja) | 1995-12-22 |
Family
ID=15390973
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14569594A Pending JPH07337038A (ja) | 1994-06-04 | 1994-06-04 | 静電アクチュエータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07337038A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10038611C2 (de) * | 2000-08-08 | 2003-08-07 | Karlsruhe Forschzent | Fördereinrichtung für den berührungslosen Transport von Bauteilen aus Kunststoff, Halbleitermaterial oder Metall |
CN109525140A (zh) * | 2018-10-23 | 2019-03-26 | 东华大学 | 透气的针织间隔织物摩擦发电机及其制备方法 |
-
1994
- 1994-06-04 JP JP14569594A patent/JPH07337038A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10038611C2 (de) * | 2000-08-08 | 2003-08-07 | Karlsruhe Forschzent | Fördereinrichtung für den berührungslosen Transport von Bauteilen aus Kunststoff, Halbleitermaterial oder Metall |
CN109525140A (zh) * | 2018-10-23 | 2019-03-26 | 东华大学 | 透气的针织间隔织物摩擦发电机及其制备方法 |
CN109525140B (zh) * | 2018-10-23 | 2020-02-11 | 东华大学 | 透气的针织间隔织物摩擦发电机及其制备方法 |
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