JPH07267365A - 静電搬送装置及び静電搬送方法 - Google Patents

静電搬送装置及び静電搬送方法

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JPH07267365A
JPH07267365A JP8224094A JP8224094A JPH07267365A JP H07267365 A JPH07267365 A JP H07267365A JP 8224094 A JP8224094 A JP 8224094A JP 8224094 A JP8224094 A JP 8224094A JP H07267365 A JPH07267365 A JP H07267365A
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JP
Japan
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voltage
electrode
linear
electrostatic
linear electrodes
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Application number
JP8224094A
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English (en)
Inventor
Susumu Yashiro
進 屋代
Toshiro Higuchi
俊郎 樋口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粉体又は薄葉体等の軽物体を省エネルギの下
で搬送集積することができると共に、軽物体を同時に複
数方向に搬送できるようにする。 【構成】 個々の線状電極111,112,113,…と
電源回路81との間には、専用のスイッチング素子82
1,822,823,…が介挿されている。制御回路83
は、スイッチング素子821,822,823,…の個別
制御を行う。すなわち、粉体等の軽物体の搬送に実質的
に寄与できる線状電極111,112,113,…に直結
するスイッチング素子に対しては、電圧の印加制御、切
り替え制御を行い、一方、搬送に実質的に寄与しない大
多数の線状電極111,112,113,…に直結するス
イッチング素子に対しては、電圧の遮断制御を行う。そ
れ故、被搬送体から現在は遠く離れている多くの線状電
極に対しては、電源の投入は行われないので、省エネル
ギ化を達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、粉体、粒体、繊維屑
又は薄葉体等を搬送集積する手段として好適な静電搬送
装置及び静電搬送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置としては、複数の線
状電極からなる電極群配列体に多相交流電圧を相順に印
加して"進行波交番電界(進行波不平等電界)カーテン"を
形成し、この"進行波交番電界カーテン"の電気力学的搬
送力で帯電粉体を搬送するようにした電界カーテン式粉
体搬送装置という静電搬送装置が知られている(特開昭
63−12528号公報、特公昭54−12667号公
報等参照)。しかしながら、進行波交番電界カーテンを
利用する装置では、移動中の粉体を任意の目標位置でピ
タリ止めたり、あるいは、粉体を微小距離進めては止
め、進めては止めたりすることを、位置サーボ機構や制
動機構等の装備なしで、正確に実現することは、大変困
難である。
【0003】粉体の位置決め搬送を、高価なフィードバ
ック制御系の助けを借りずに、正確かつ簡易に行うに
は、特開平02−285978号公報記載の静電アクチ
ュエータの技術を当該粉体搬送技術に適用することが考
えられる。上記公報記載の静電アクチュエータは、絶縁
体内に線状(帯状)の3相電極を多数持つ固定子と、極
めて高い抵抗率の抵抗体層を持つフィルム状の移動子と
からなり、固定子電極(3相電極)への電圧の切り替え
により、その切り替え回数に応じた電極ピッチ分だけ移
動子を進めることができるもので、移動子を負荷なしで
駆動すれば、移動子は搬送装置上を移動する被搬送体と
みなすことができるからである。
【0004】そこで、この出願に係る発明者は、図18
に示すように、静電アクチュエータにおける固定子1の
絶縁体2表面に、フィルム状の移動子に代えて、アルミ
等の金属粉体3,3,…を載置し、固定子電極4a,4
b,4c,…への電圧の切り替えを行ったところ、実際
に、金属粉体3,3,…が移動し、しかも、特別の位置
決め機構を設けていないにもかかわらず、所定の位置で
ピタリ停止することが確認された。さらに、銅粉や鉄粉
等の他の金属粉体、半導体粉体、抵抗体粉体、誘電体粉
体についても同様の実験を行ったところは、材質に関係
なく、同様の搬送効果及び位置決め効果が得られること
を確認した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な静電アクチュエータの固定子は、同図に示すように、
搬送又は駆動に実質的に寄与できるか否かに関係なく、
すなわち、粉体の近傍に存在するか否かを問わず、配線
された固定子電極の全てに3相の電源が供給されるよう
になっている。このような配線構造は、駆動方向に対し
て、粉体に較べてはるかに大きな広がりを有するフィル
ム状の移動子の場合には、取り立てて問題とする程のこ
とではない。しかしながら、粉体の場合には、特に、粉
体の個数が少なくかつ局在している場合には、搬送に寄
与しない固定子電極が余りにも多くなり、このような固
定子電極にまでも画一的に3相の電源を供給するのは、
多大のエネルギロスを招いて、不経済である。加えて、
上述の配線構造では、複数の粉体に対して同一方向にし
か搬送できないので、使い勝手が良くないという問題が
ある。
【0006】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
もので、粉体、粒体、繊維屑又は薄葉体等の軽物体を省
エネルギの下で搬送集積することができると共に、軽物
体を同時に複数方向に搬送集積することもできる静電搬
送装置及び静電搬送方法を提供することを目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、複数の線状電極が一方向に
配列されてなる縞状の電極群の少なくとも一方側が絶縁
層で被覆され、該絶縁層の表面が単数又は複数の被搬送
体を搬送する搬送面となる搬送用固定子と、上記各線状
電極に対して、所定のタイミングで変動する所定の電圧
を印加することにより、上記搬送面近傍の空間に進行波
型の静電界を発生させて、上記各被搬送体を上記搬送面
上の出発位置から目的位置まで静電搬送する電圧印加手
段とを備えてなる静電搬送装置であって、上記電圧印加
手段は、レベルの異なる複数の電圧を出力する電源回路
と、各線状電極と上記電源回路との間に介挿され、該電
源回路から出力される所定の電圧の印加、切り替え又は
遮断をそれぞれ行う複数のスイッチング素子と、これら
のスイッチング素子の作動を個別に制御する制御回路と
からなることを特徴としている。
【0008】また、請求項2記載の発明は、複数の線状
電極が一方向に配列されてなる縞状の電極群の少なくと
も一方側が絶縁層で被覆され、該絶縁層の表面が単数又
は複数の被搬送体を搬送する搬送面となる搬送用固定子
と、上記各線状電極に対して、所定のタイミングで変動
する所定の電圧を印加することにより、上記搬送面近傍
の空間に進行波型の静電界を発生させて、各被搬送体を
搬送面上の出発位置から目的位置まで静電搬送する電圧
印加手段とを備えてなる静電搬送装置であって、上記電
圧印加手段は、レベルの異なる複数の電圧を出力する電
源回路と、互いに共通の電圧が同時に印加される任意の
個数の線状電極からなる各線状電極束と上記電源回路と
の間に介挿され、該電源回路から出力される所定の電圧
の印加、切り替え又は遮断をそれぞれ行う複数のスイッ
チング素子と、これらのスイッチング素子の作動を個別
に制御する制御回路とからなることを特徴としている。
【0009】また、請求項3記載の発明は、複数の線状
電極が縦横に配列されてなる格子状の電極群の少なくと
も一方側が絶縁層で被覆され、該絶縁層の表面が単数又
は複数の被搬送体を搬送する搬送面となる搬送用固定子
と、上記各線状電極に対して、所定のタイミングで変動
する所定の電圧を印加することにより、上記搬送面近傍
の空間に進行波型の静電界を発生させて、上記各被搬送
体を上記搬送面上の出発位置から目的位置まで静電搬送
する電圧印加手段とを備えてなる静電搬送装置であっ
て、上記電圧印加手段は、レベルの異なる複数の電圧を
出力する電源回路と、各線状電極と上記電源回路との間
に介挿され、該電源回路から出力される所定の電圧の印
加、切り替え又は遮断をそれぞれ行う複数のスイッチン
グ素子と、これらのスイッチング素子の作動を個別に制
御する制御回路とからなることを特徴としている。
【0010】また、請求項4記載の発明は、複数の線状
電極が縦横に配列されてなる格子状の電極群の少なくと
も一方側が絶縁層で被覆され、該絶縁層の表面が単数又
は複数の被搬送体を搬送する搬送面となる搬送用固定子
と、上記各線状電極に対して、所定のタイミングで変動
する所定の電圧を印加することにより、上記搬送面近傍
の空間に進行波型の静電界を発生させて、各被搬送体を
搬送面上の出発位置から目的位置まで静電搬送する電圧
印加手段とを備えてなる静電搬送装置であって、上記電
圧印加手段は、レベルの異なる複数の電圧を出力する電
源回路と、互いに共通の電圧が同時に印加される任意の
個数の線状電極からなる各線状電極束と上記電源回路と
の間に介挿され、該電源回路から出力される所定の電圧
の印加、切り替え又は遮断をそれぞれ行う複数のスイッ
チング素子と、これらのスイッチング素子の作動を個別
に制御する制御回路とからなることを特徴としている。
【0011】また、請求項5記載の発明は、請求項1又
は2記載の静電搬送装置であって、上記搬送用固定子
は、上記線状電極となる導電性線材と、絶縁性繊維と
が、互いに縦糸・横糸となって織り込まれた電極織物
と、該電極織物の少なくとも表面を被覆する上記絶縁層
とを有してなることを特徴としている。
【0012】また、請求項6記載の発明は、請求項3又
は4記載の静電搬送装置であって、上記搬送用固定子
は、上記線状電極となる第1の導電性線材と、同じく上
記線状電極となる第2の導電性線材とが、互いに縦糸・
横糸となって織り込まれた電極織物と、該電極織物の少
なくとも表面を被覆する上記絶縁層とを有してなり、か
つ、上記第1及び第2の導電性線材のうち、少なくとも
一方は、絶縁被覆されていることを特徴としている。
【0013】さらにまた、請求項7記載の発明は、請求
項1,2,3又は4記載の静電搬送装置を用いて単数又
は複数の被搬送体を静電搬送する静電搬送方法であっ
て、制御回路をして、被搬送体の現在通過位置にある線
状電極及びその近傍の線状電極に対応する複数のスイッ
チング素子のみを作動させて、これらの線状電極に対し
てのみ、所定のタイミングで変動する所定の電圧を印加
することにより、上記被搬送体を静電搬送することを特
徴としている。
【0014】
【作用】請求項1記載の構成において、各線状電極(固
定子電極)と電源回路との間には、専用のスイッチング
素子が介挿されている。これらのスイッチング素子は制
御回路によって個別に制御される。それ故、制御回路を
して、被搬送体の現在通過位置にある線状電極及びその
近傍の線状電極(すなわち、有効な静電搬送力を発生で
きる線状電極)に対してのみ電圧の印加・切り替えを行
うようにすることができる(請求項7記載)。このよう
にすれば、被搬送体から現在は遠く離れている多くの線
状電極に対しては、電源の投入は行われないので、省エ
ネルギ化を達成できる。また、複数の被搬送体(被搬送
体グループ)を、互いに離反させたり、接近させたり、
同時に複数方向に搬送することもできる。
【0015】なお、請求項1記載の構成は、線状電極と
スイッチング素子とが1対1に対応する構成となってい
るが、これに限らず、互いに共通の電圧が同時に印加さ
れる任意の個数の線状電極からなる線状電極束とスイッ
チング素子とが1対1に対応するように構成しても良い
(請求項2参照)。言い換えれば、N個(Nは複数)の
線状電極に対して1個のスイッチング素子が割り当てら
れる構成になっていても良い。このようにすれば、スイ
ッチング素子の設置個数を削減できる。
【0016】また、線状電極を、一方向に限らず、互い
に直交する二方向に配列するようにすれば、2次元搬送
に対しても、1次元搬送において上述したと同一の効果
を得ることができる(請求項3又は4参照)。
【0017】また、線状電極として断面円形の導電性線
材を用い、該導電性線材と絶縁性繊維とを互いに縦糸・
横糸として所定のピッチで織り込んで行き電極織物の形
態にすることで、線状電極の配線をなすようにすれば、
長尺の搬送装置が容易に得られる上、線状電極の周縁が
滑らかなので絶縁破壊を回避できる(請求項5又は
6)。また、任意の曲面の処理面を容易に得ることもで
きる。また、任意の曲面の搬送面を容易に得ることもで
きる。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例につ
いて説明する。 ◇第1実施例 図1は、この発明の第1実施例である誘導電荷形の静電
搬送装置の構成を示す斜視図、図2は、同静電搬送装置
の模式的構成を示す概念図、図3は、同静電搬送装置に
おける搬送用固定子の電極構造を示す平面図、図4は同
分解斜視図、また、図5は同断面図である。この例の静
電搬送装置は、粉体5や薄葉体6等の軽物体を移動させ
るための静電搬送力を発生させる搬送用固定子7と、該
搬送用固定子に静電界生成用電源を投入する電気回路部
8とから構概略構成されている。
【0019】まず、図1乃至図5を参照して、搬送用固
定子7から説明する。上記搬送用固定子7は、複数の線
状電極111,112,113,…が一方向にかつ所定の
ピッチで配列された電極配列体10と、該電極配列体1
0を上下面から挟持する一対の絶縁フィルム20,20
と、フィルム間充填材30とから構成されている。上記
電極配列体10は、複数の導電性線材(この例では、線
径40μmの銅線を使用)11'1,11'2,11'3,…
を縦糸とし、絶縁性繊維(この例では、線径40μmの
ポリエステル繊維を使用)12,12,…を横糸(直交
糸)として、1本ずつ互い違いに平織して形成されたも
ので、複数の導電性線材11'1,11'2,11'3,…
が、このように織り込まれることによって、互いに所定
のピッチ(この例では、80μm)で規則的に並べられ
た線状電極111,112,113,…が形成される。
【0020】上記絶縁フィルム20,20には、例え
ば、表面抵抗率が1015Ω/□以上で無帯電処理のなさ
れたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムが
用いられ、この例においては、上部側の絶縁フィルム2
0の表面が、粉体5,5,…や薄葉体6等の軽物体(被
搬送体)を搬送する搬送面20aとして利用される。ま
た、上記フィルム間充填材(この例では、ニッシリ製エ
ポキシ樹脂”プラキャスト”を使用)30は、電極配列
体10に生じた織目を埋めて電極ピッチを固定すると共
に、電極配列体10を挟んで対向する一対の絶縁フィル
ム20,20を互いに接合するために用いられる。
【0021】上記構成の搬送用固定子7を作製するに
は、まず、図示せぬ織機を用いて、電極配列体10を織
りあげ、織りあげた電極配列体10を(この静電分級装
置が組み込まれる装置、システムの規模に応じた)所定
の寸法に裁断した後、片方の絶縁フィルム20の上に重
ねて置く。次に、絶縁フィルム20上の電極配列体10
の上から流動状態のフィルム間充填材30を塗布する。
塗布されたフィルム間充填材30は、電極配列体10の
織目から下方の絶縁フィルム20の内面にまで到達す
る。この後、もう片方の絶縁フィルム20を電極配列体
10の上に重ねて置く。最後に、圧着機を用いて、一対
の絶縁フィルム20,20の両側から圧力を加え、各絶
縁フィルム20と電極配列体10とを密着状態にしてフ
ィルム間充填材30を硬化させて、搬送用固定子7を完
成させる。
【0022】次に、電気回路部8の電気的構成について
説明する。この例の電気回路部8は、所定の複数電圧を
出力する電源回路81と、線状電極111,112,11
3,…毎に設けられたスイッチング素子821,822
823,…と、制御回路83とを備え、各線状電極1
1,112,113,…に対する電圧の印加、切り替え
を個別に行う構成になされている。上記電源回路81
は、3つの出力端子を有し、正電圧+V、負電圧−V、
ゼロ電圧0Vを常時出力する。各スイッチング素子82
1,822,823,…は、対応する線状電極111,11
2,113,…と電源回路81との間に介挿され、制御回
路83から送出される制御信号に基づいて、電源回路8
1からの出力電圧の印加、切り替え又は遮断をそれぞれ
行う。なお、このようなスイッチング素子821,8
2,823,…は、ブロック毎にアレー状に配列されて
一体的に構成されている。
【0023】また、制御回路83は、CPU(中央処理
装置)、ROM、RAM等を備え、スイッチング素子8
1,822,823,…の個別制御を始めとする装置各
部の制御を行う。例えば、粉体5や薄葉体6等の軽物体
の搬送に実質的に寄与できる線状電極111,112,1
3,…に直結するスイッチング素子に対しては、電圧
の印加制御、切り替え制御を行い、一方、搬送に実質的
に寄与しない大多数の線状電極111,112,113
…に直結するスイッチング素子に対しては、電圧の遮断
制御を行う。
【0024】次に、この例の動作について説明する。 [1] フィルムの搬送例(その1) まず、図6乃至図8を参照して、フィルム等の薄葉体を
搬送する例について述べる。なお、簡単のため、線状電
極の総本数を17本として説明する。まず、図6(a)
に示すように、短尺のフィルム(表面抵抗率:1012Ω
/□〜1014Ω/□)61を搬送用固定子7表面(搬送
面20a)の出発位置(図7のA'参照)に載置する。
このとき、操作者は、フィルム61の大きさ(長さ)、
出発位置及び目的位置等に関する設定データを図示せぬ
キーボードを操作して電気回路部8に入力する。制御回
路83は、キーボードから入力された設定データに基づ
いて、搬送すべきフィルム61が、現在、線状電極11
1〜116の直上にあることを認識する。そして、これら
の線状電極111〜116に、進行方向近傍の線状電極1
7に対してのみ電圧が印加されるように、例えば、図
8に示すような電圧印加パターンAを作成する。この作
成に基づき、制御回路83は、スイッチング素子821
〜8217を制御して、線状電極111,114,117
正電圧+V,線状電極112,115に負電圧−V、線状
電極113,116にゼロ電圧0Vを印加する。これら以
外の線状電極18〜1117には電圧を印加しない(これ
は、ゼロ電圧0Vの印加と等価である)。すると、図6
(b)に示すように、始めは電荷の存在していなかった
フィルム61内に微弱な電流が流れ、各線状電極111
〜116と近接して対向するフィルムの部位に、当該対
向する線状電極111〜116の電荷と逆符号の電荷が誘
導(充電)されて平衡状態になる。このとき、フィルム
61には、図中垂直下向きの吸引力が働くので、フィル
ム61は、摩擦により保持される。
【0025】次に、図6(c)に示すように、制御回路
83は、電圧を印加する線状電極を例えば図中右にずら
す(詳細は、図8の電圧印加パターンB参照)。すなわ
ち、電圧を切り替えて、線状電極112,115,118
に正電圧+V、線状電極113,116に負電圧−V、線
状電極114,117にゼロ電圧0Vを印加する(これら
以外の線状電極111,119〜1117には電圧を印加し
ない)と、線状電極111〜118の電荷は瞬時に入れ替
わるが、フィルム61の電荷は、抵抗率が高いため変化
に時間を要し、電圧を切り替えた直後は、元の電荷の状
態を保持する。このとき、搬送用固定子7・フィルム6
1の電荷間の静電力により、フィルム61に対し右向き
の搬送力が発生する。しかも、垂直吸引力は減少ないし
反発力となり、摩擦が減少する上、フィルム61の質量
が小さいので、この結果、図6(d)に示すように、フ
ィルム61は迅速に右(図7のB'参照)に動く。
【0026】次に、図6(e)に示すように、電圧を印
加する線状電極をさらに右にずらす(詳細は、図8の電
圧印加パターンC参照)。すなわち、電圧を切り替え
て、線状電極113,116,119に正電圧+V、線状
電極114,117に負電圧−V、線状電極115,118
にゼロ電圧0Vを印加する(これら以外の線状電極11
1,112,1110〜1117には電圧を印加しない)と、
線状電極112〜1191の電荷は瞬時に入れ替わるが、
フィルム61の電荷は、このときも、抵抗率が高いため
変化に時間を要し、電圧を切り替えた直後は、元の電荷
の状態を保持する。それ故、このときも、搬送用固定子
7・フィルム61の電荷間の静電力により、フィルム6
1に対し右向きの搬送力が発生する。しかも、上記した
ように、垂直吸引力は減少ないし反発力となり、摩擦が
減少する上、移動子3の質量は小さいので、この結果、
図6(f)に示すように、フィルム61はさらに右(図
7のC'参照)に素早く動く。以下、制御回路83が、
電圧を印加する線状電極を右にずらす電圧切り替え操作
を繰り返す度に、フィルム61は順次電極1ピッチずつ
右に移動し、電圧の切り替え操作を停止すると、垂直下
向きの吸引力が働いて、フィルム61は、摩擦により保
持されるので、正確に位置決めされて停止する。一方、
制御回路83が、電圧を印加する線状電極を左にずらす
電圧切換操作を繰り返すと、フィルム61は順次電極1
ピッチずつ左に移動する。フィルム61は、軽量な上、
単位質量当たりの誘導荷電量が多いので、加速され易
く、したがって、電圧切り替え周波数を高くすることに
より、高速搬送を達成できる。
【0027】このように、この例の静電搬送装置によれ
ば、フィルム直下の線状電極と近辺の線状電極にのみ、
電圧が印加され、フィルムから電界的に遠く離れた線状
電極には、電圧が印加されないので、省エネルギ化を達
成できる。
【0028】[2] フィルムの搬送例(その2) 次に、図9及び図10を参照して、搬送用固定子7に2
枚のフィルムを載置して、互いに異なる向きへ搬送する
例について述べる。まず、図9に示すように、2枚の短
尺のフィルム(表面抵抗率:1012Ω/□〜101 4Ω/
□)61a,61bを搬送用固定子7表面のそれぞれの
出発位置に載置する(同図A')。このとき、操作者
は、フィルム61a,61bのそれぞれの大きさ(長
さ)、出発位置及び目的位置等に関する設定データを図
示せぬキーボードを操作して電気回路部8に入力する。
制御回路83は、キーボードから入力されたデータに基
づいて、搬送すべきフィルム61aが、現在、線状電極
111〜114の直上にあり、また、もう1つのフィルム
61bが、現在、線状電極1114〜1117の直上にある
ことを認識する。そして、これらの線状電極111〜1
4,1114〜1117に、進行方向近傍の線状電極1
5,1113を加えた、実質的に搬送に寄与できる線状
電極111〜115,1113〜1117に対してのみ電圧が
印加されるように、例えば、図10に示すような電圧印
加パターンAを作成する。この作成に基づき、制御回路
83は、スイッチング素子821〜8217を制御して、
線状電極111,114,1113,1116に正電圧+V,
線状電極112,115,1114,1117に負電圧−V、
線状電極113,1115にゼロ電圧0Vを印加する。こ
れら以外の線状電極116〜1112には電圧は印加され
ない。すると、始めは電荷の存在していなかったフィル
ム61a,61b内に微弱な電流が流れ、各線状電極1
1〜114,1114〜1117と近接して対向するフィル
ム61a,61bの部位に、当該対向する線状電極11
1〜114,1114〜1117の電荷と逆符号の電荷が誘導
(充電)されて平衡状態になる。
【0029】次に、制御回路83は、電圧を印加する線
状電極を例えば図9中の中央にずらす(詳細は、図10
の電圧印加パターンB参照)。すなわち、図9中左側に
おいては、線状電極111〜115に印加されている電圧
を右にずらして線状電極112〜116に電圧を印加に
し、図9中右側においては、線状電極1113〜1117
印加されている電圧を左にずらして線状電極1112〜1
16に電圧を印加するようにする。この結果、フィルム
の搬送例(その2)において説明した原理により、左側
のフィルム61aは電極1ピッチ分右に移動し、右側の
フィルム61bは電極1ピッチ分左に移動する。以下、
制御回路83が、電圧を印加する線状電極を中央にずら
す電圧切り替え操作を繰り返す度に、フィルム61aは
順次電極1ピッチずつ右に移動し、一方、フィルム61
bは順次電極1ピッチずつ左に移動する。言い換えれ
ば、中央にずらす電圧切り替え操作を繰り返す度に、両
フィルム61a,61bは、順次電極2ピッチずつ接近
する(図9のA'→B'→C'→D'→E')。
【0030】一方、両フィルム61a,61bが図9の
E'の位置関係にまで接近してきた後、制御回路83
が、電圧を印加する線状電極を図9中周辺にずらす電圧
切換操作を繰り返すと、フィルム61aは順次電極1ピ
ッチずつ左に移動し、フィルム61bは順次電極1ピッ
チずつ右に移動する。言い換えれば、図9中周辺にずら
す電圧切り替え操作を繰り返す度に、両フィルム61
a,61bは、順次電極2ピッチずつ離反する(図9の
A'→F'→G'→H'→I')。このように、この例の静
電搬送装置によれば、例えば、複数の被搬送体グループ
を、互いに離反させたり、接近させたりできる。
【0031】[3] 粉体の搬送例(その1) 次に、図11を参照して、粉体の搬送原理について説明
する。まず、図11(a)に示すように、直径300μ
mのアルミニウム球の粉体51a,51bを搬送用固定
子7表面(搬送面20a)の出発位置に載置する。な
お、この原理説明では、簡単のため、粉体51a,51
bが2個接触して載置された場合について説明する。こ
のとき、操作者は、粉体51a,51b全体の広がり、
出発位置及び目的位置等に関する設定データを図示せぬ
キーボードを操作して電気回路部8に入力する。制御回
路83は、キーボードから入力された設定データに基づ
いて、線状電極に対する電圧印加パターンを作成する。
この作成に基づき、制御回路83は、スイッチング素子
821〜8217を制御して、線状電極111に正電圧+
V,線状電極112にゼロ電圧0V、線状電極113に負
電圧−Vを印加する。これら以外の線状電極14〜11
17には電圧を印加しない。すると、同図(b)に示すよ
うに、始めは電荷の存在していなかった粉体51a,5
1b間に微弱な電流が流れ、左側の粉体51aに負の電
荷が誘導され、一方、右側の粉体51bには正の電荷が
誘導される。この結果、同図(c)に示すように、左側
の粉体51aには線状電極111の向きに(すなわち右
側の粉体51bから離反する向きに)静電吸引力が働
き、一方、右側の粉体51bには線状電極113の向き
に(すなわち左側の粉体51bから離反する向きに)静
電吸引力が働く。それ故、2つの粉体51a,51b
は、互いに正負の誘導電荷に分かれたまま離反し、この
結果、右側の粉体61aは、負極に帯電し、左側の粉体
は正極に帯電することとなる。
【0032】次に、同図(d)に示すように、制御回路
83は、電圧を印加する線状電極を例えば図中右にずら
す。すなわち、電圧を切り替えて、線状電極112に正
電圧+V、線状電極113にゼロ電圧0V、線状電極1
1,114に負電圧−Vを印加する(これら以外の線状
電極115〜1117には電圧を印加しない)と、線状電
極111〜118の電荷は入れ替わるが、粉体51a,5
1bの電荷は、帯電しているので、元の電荷の状態を保
持する。このとき、搬送用固定子7・粉体51a,51
bの電荷間の静電力により、いずれの粉体51a,51
bに対しても右向きの搬送力が発生する。この結果、同
図(e)に示すように、粉体51a,51bは迅速に右
に動く。
【0033】次に、同図(f)に示すように、電圧を印
加する線状電極をさらに右にずらすと、搬送用固定子7
・粉体51a,51bの電荷間の静電力により、同図
(g)に示すように、粉体51a,51bはさらに右
(図7のC'参照)に素早く動く。以下、制御回路83
が、電圧を印加する線状電極を右にずらす電圧切り替え
操作を繰り返す度に、粉体51a,51bは順次電極1
ピッチずつ右に移動し、電圧の切り替え操作を停止する
と、垂直下向きの吸引力が働いて、粉体51a,51b
は、摩擦により保持されるので、正確に位置決めされて
停止する。一方、制御回路83が、電圧を印加する線状
電極を左にずらす電圧切換操作を繰り返すと、粉体51
a,51bは順次電極1ピッチずつ左に移動する。
【0034】[4] 粉体の搬送例(その2) 上述の搬送原理では、粉体がわずか2個の場合を例に採
り説明したが、粉体が多数が集合して存在する場合でも
基本的には同じである。粉体が多数混在する場合には、
各粉体は、他の多数の粉体の何れかに必ず接触している
し、あるいは、衝突により接触する可能性は非常に高
い。この状態で、固定子電極群に電圧が印加されると、
相互に接触する多数の粉体間に誘導電流が流れ(つま
り、電荷のやり取りが行われ)、線状電極に近接する粉
体には当該線状電極の電荷と逆極の誘導電荷が発生す
る。したがって、線状電極と粉体との間で静電吸引力が
働くので、粉体同士が離反して帯電する機会は著しく高
くなる。図12及び図13は、多数の粉体52,52,
…を搬送する際の搬送動作及び電圧印加手順を示す図で
ある。今、搬送用固定子7表面(搬送面20a)に散在
している多数の粉体52,52,…の全てを搬送用固定
子7の図中右端に搬送し、右端から下方に落として集積
する場合について述べる。なお、個々の粉体52,5
2,…の所在は、制御回路83によってある程度認識さ
れていて、その移動は、制御回路83によってコントロ
ールされるようになっている。また、各粉体52,5
2,…は、図12に示すように、帯電しているものと考
える。帯電の極性が逆であっても、また、無帯電であっ
ても、上述した理由により、それほどの支障は生じな
い。
【0035】粉体分布パターンがA'(図12)のとき
に、線状電極に115〜1117対して図13の電圧印加
パターンBを投入すれば、粉体52,52,…は、全体
として、図中右に略電極1ピッチだけ移動する(粉体分
布パターンがB'(図12)となる)。以下、電圧印加パ
ターンの投入をC→D→E→F…(図13参照)の順に
切り替えて行くにつれて、粉体52,52,…は、略電
極1ピッチずつ図中右に移動する(粉体分布パターン
は、図12に示すように、C'→D'→E'→F'…の順に
移行して行く)。そして、図13に示されるように、搬
送集積が進行し、搬送面20aの空き部分が目立つにつ
れて、電圧が印加されない線状電極が増加する。
【0036】[4] 粉体の搬送例(その3) 図14及び図15は、多数の粉体52,52,…を複数
方向に移動させる際の移動動作及び電圧印加手順を示す
図である。図15に示す電圧印加パターンA,B,C,
…を線状電極115〜1117に順次投入して行けば、こ
れに伴い、粉体分布パターンも、図14に示すように、
A',B',C',…の順に変化する。これらの図に示す
ように、左右に分散している粉体52,52,…を(電
圧印加パターンAからHまでを順次線状電極115〜1
17に投入することによって)搬送面20a中央部に集
積したり、逆に、搬送面20a中央部に集中する粉体5
2,52,…を(電圧印加パターンJからLまでを線状
電極115〜1117に投入することによって)図中左右
に離散させることもできる。なお、図15に示されるよ
うに、中央部への搬送集積が進行し、線状電極の空き部
分が目立ってくると、電圧が印加されない線状電極が増
加するよう制御されるので、省エネルギ化を達成でき
る。
【0037】◇第2実施例 図16は、この発明の第2実施例である誘導電荷形の静
電搬送装置の構成を示す斜視図である。この第2実施例
の静電搬送装置が、上記第1実施例の構成と大きく異な
るところは、複数の線状電極111,112,113,…
が一方向に配列された縞状の電極配列体10に代えて、
複数の線状電極111,112,131,132,…(導電
性線材11'1,11'2,11'3,…)が縦横に配列され
た格子状の電極配列体10aを用いるようにした点及び
これに伴い 電気回路部8aを増設した点である。な
お、絶縁性繊維12,12,…(第1実施例)に代えて
用いられる線状電極131,132,133,…は、ポリ
イミド等の絶縁材料で絶縁被覆されたものが使用され
る。なお、図16において、図1と同一の構成各部につ
いては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0038】この第2実施例の構成によれば、簡易な織
物技術の転用のみで、容易に2次元電極構造を作成で
き、これにより、移動子は2次元の移動が可能となる。
また、第1実施例の構成と同様に、被搬送体から現在は
遠く離れている多くの線状電極に対しては、電源の投入
は行われないので、省エネルギ化を達成できる。また、
複数の被搬送体(被搬送体グループ)を、互いに離反さ
せたり、接近させたり、同時に複数方向に搬送すること
もできる。
【0039】◇変形例 上述の第1実施例においては、線状電極1本に付き1個
のスイッチング素子を対応させる構成としたが、図17
に示すように、同相の電圧が印加される近隣の線状電極
同士(線状電極束141,142,143,…)を共通の
電力線で接続し、この電力線を任意の1個のスイッチン
グ素子に接続するようにすれば、省エネルギ化をある程
度確保した状態で、スイッチング素子を削減できる。な
お、図17には、線状電極束141,142,143,…
が2本の線状電極からなる場合について示しているが、
必要に応じて、増加できる。また、図17は、第1実施
例の変形例であるが、第2実施例のについても類推適用
できる。
【0040】以上、この発明の実施例を図面により詳述
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があってもこの発明に含まれる。例えば、線状電極
として利用される導電性線材は、銅線に限らず、金線、
銀線、ステンレス線、ニクロム線、アルミニウム線等を
使用しても良い。また、裸の導電性線材に限らず、ポリ
イミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポ
リ塩化ビニル等の絶縁材料で絶縁被覆された線材を使用
しても良い。また、絶縁性繊維は、ポリエステル繊維に
限らず、例えば、軟質ポリ塩化ビニル繊維、ポリエチレ
ン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリイミド繊維、ポリア
ミド繊維、ポリウレタン繊維、ポリアクリルニトリル繊
維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニリデン繊
維、ポリフッ化エチレン繊維等の合成繊維を使用しても
良い。また、各種線材の線径は40μmに限定されず、
必要に応じて、これより太線(例えば、80μm)、あ
るいは細線(30μm)を用いても良い。
【0041】また、電極ピッチは、80μmに限らず、
線径や織り方を変えることにより、電線の太さ〜2mm
の範囲で任意に設定される。なお、理論上は、電極ピッ
チが細かいほど、大きな力及びパワー密度が得られる。
また、絶縁フィルムは、PETフィルムに限らず、例え
ば、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、軟
質ポリ塩化ビニルフィルム等の高分子フィルムを用いて
も良い。また、フィルム間充填材は、エポキシ樹脂に限
らず、ブチルゴム、ブタジエン−スチレンゴム等の合成
ゴム、天然ゴム、アクリル系粘着剤、エポキシ系接着
剤、塩化ビニル樹脂等でも良い。
【0042】また、粉体は、アルミニウム球に限らず、
例えば鉄粉、銅粉、ジルコニア粉等でも良く、金属粉体
に限らず、半導体粉体、抵抗体粉体でも良く、さらに
は、例えばガラス、ポリエチレン、ポリカーボネート、
アクリル、セラミックス等の誘電体粉体でも良い。ま
た、上述の実施例では、電極織物である電極配列体の両
面に絶縁フィルムを設ける場合について述べたが、絶縁
被覆された導電性線材で線状電極を配列する場合には、
裏面の絶縁フィルムは省略できる。また、上述の実施例
においては、被搬送体の現在通過位置にある線状電極の
みならず、進行方向1つ先の線状電極にも電圧を印加す
る場合について述べたが、1つ先に限らず、必要に応じ
て、2つ先、3つ先、あるいはそれ以上先の線状電極に
静電吸引力が働くような電圧を印加しても良い。さらに
また、後方近傍の線状電極にも静電反発力が働くような
電圧を印加しても良い。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の構成に
よれば、各線状電極(固定子電極)は、専用のスイッチ
ング素子を介して、個別に制御される構成となっている
ので、被搬送体の現在通過位置にある線状電極及びその
近傍の線状電極(すなわち、有効な静電搬送力を発生で
きる線状電極)に対してのみ電圧の印加・切り替えを行
うことができる。それ故、被搬送体から現在は遠く離れ
ている多くの線状電極に対しては、電源の投入は行われ
ないので、省エネルギ化を達成できる。また、複数の被
搬送体(被搬送体グループ)を、互いに離反させたり、
接近させたり、同時に複数方向に搬送することもでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例である誘導電荷形の静電
搬送装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】同静電搬送装置の模式的構成を示す概念図であ
る。
【図3】同静電搬送装置における搬送用固定子の電極構
造を示す平面図である。
【図4】同搬送用固定子の構成を分解して示す分解斜視
図である。
【図5】同搬送用固定子の構成を示す断面図である。
【図6】フィルム(被搬送体)の搬送原理を説明するた
めの原理図である。
【図7】同フィルムの原理説明に供される図である。
【図8】同フィルムの搬送面上の位置と線状電極に対す
る電圧印加パターンとの関係を示す図である。
【図9】同実施例の使用例を示す図、具体的には、2枚
のフィルムを互いに異なる向きに搬送する例を説明する
図である。
【図10】同実施例の使用例を示す図、具体的には、2
枚のフィルムを互いに異なる向きに搬送する例を説明す
る図である。
【図11】粉体の搬送原理を説明するための原理図であ
る。
【図12】多数の粉体を搬送する際の搬送動作を示す図
である。
【図13】多数の粉体を搬送する際の電圧印加手順を示
す図である。
【図14】多数の粉体を複数方向に移動させる際の移動
動作を示す図である。
【図15】多数の粉体を複数方向に移動させる際の電圧
印加手順を示す図である。
【図16】この発明の第2実施例である誘導電荷形の静
電搬送装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図17】第1実施例の変形である静電搬送装置概略構
成を示す概念図である。
【図18】従来技術を説明するための説明図である。
【符号の説明】
5 粉体(被搬送体) 6 薄葉体(被搬送体) 7 搬送用固定子 8,8a 電気回路部(電圧印加手段) 81 電源回路 821,822,823,… スイッチング素子 83 制御回路 10,10a 電極配列体(電極群、電極織物) 111,112,113,… 線状電極 12 絶縁性繊維 131,132,133,… 線状電極 11'1,11'2,11'3,… 導電性線材(第1の
導電性線材) 13'1,13'2,13'3,… 導電性線材(第2の
導電性線材) 141,142,143,… 線状電極束 20 絶縁フィルム(絶縁層) 20a 搬送面

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の線状電極が一方向に配列されてな
    る縞状の電極群の少なくとも一方側が絶縁層で被覆さ
    れ、該絶縁層の表面が単数又は複数の被搬送体を搬送す
    る搬送面となる搬送用固定子と、前記各線状電極に対し
    て、所定のタイミングで変動する所定の電圧を印加する
    ことにより、前記搬送面近傍の空間に進行波型の静電界
    を発生させて、前記各被搬送体を前記搬送面上の出発位
    置から目的位置まで静電搬送する電圧印加手段とを備え
    てなる静電搬送装置であって、 前記電圧印加手段は、レベルの異なる複数の電圧を出力
    する電源回路と、各線状電極と上記電源回路との間に介
    挿され、該電源回路から出力される所定の電圧の印加、
    切り替え又は遮断をそれぞれ行う複数のスイッチング素
    子と、これらのスイッチング素子の作動を個別に制御す
    る制御回路とからなることを特徴とする静電搬送装置。
  2. 【請求項2】 複数の線状電極が一方向に配列されてな
    る縞状の電極群の少なくとも一方側が絶縁層で被覆さ
    れ、該絶縁層の表面が単数又は複数の被搬送体を搬送す
    る搬送面となる搬送用固定子と、前記各線状電極に対し
    て、所定のタイミングで変動する所定の電圧を印加する
    ことにより、前記搬送面近傍の空間に進行波型の静電界
    を発生させて、前記各被搬送体を前記搬送面上の出発位
    置から目的位置まで静電搬送する電圧印加手段とを備え
    てなる静電搬送装置であって、 前記電圧印加手段は、レベルの異なる複数の電圧を出力
    する電源回路と、互いに共通の電圧が同時に印加される
    任意の個数の線状電極からなる各線状電極束と上記電源
    回路との間に介挿され、該電源回路から出力される所定
    の電圧の印加、切り替え又は遮断をそれぞれ行う複数の
    スイッチング素子と、これらのスイッチング素子の作動
    を個別に制御する制御回路とからなることを特徴とする
    静電搬送装置。
  3. 【請求項3】 複数の線状電極が縦横に配列されてなる
    格子状の電極群の少なくとも一方側が絶縁層で被覆さ
    れ、該絶縁層の表面が単数又は複数の被搬送体を搬送す
    る搬送面となる搬送用固定子と、前記各線状電極に対し
    て、所定のタイミングで変動する所定の電圧を印加する
    ことにより、前記搬送面近傍の空間に進行波型の静電界
    を発生させて、前記各被搬送体を前記搬送面上の出発位
    置から目的位置まで静電搬送する電圧印加手段とを備え
    てなる静電搬送装置であって、 前記電圧印加手段は、レベルの異なる複数の電圧を出力
    する電源回路と、各線状電極と上記電源回路との間に介
    挿され、該電源回路から出力される所定の電圧の印加、
    切り替え又は遮断をそれぞれ行う複数のスイッチング素
    子と、これらのスイッチング素子の作動を個別に制御す
    る制御回路とからなることを特徴とする静電搬送装置。
  4. 【請求項4】 複数の線状電極が縦横に配列されてなる
    格子状の電極群の少なくとも一方側が絶縁層で被覆さ
    れ、該絶縁層の表面が単数又は複数の被搬送体を搬送す
    る搬送面となる搬送用固定子と、前記各線状電極に対し
    て、所定のタイミングで変動する所定の電圧を印加する
    ことにより、前記搬送面近傍の空間に進行波型の静電界
    を発生させて、前記各被搬送体を前記搬送面上の出発位
    置から目的位置まで静電搬送する電圧印加手段とを備え
    てなる静電搬送装置であって、 前記電圧印加手段は、レベルの異なる複数の電圧を出力
    する電源回路と、互いに共通の電圧が同時に印加される
    任意の個数の線状電極からなる各線状電極束と上記電源
    回路との間に介挿され、該電源回路から出力される所定
    の電圧の印加、切り替え又は遮断をそれぞれ行う複数の
    スイッチング素子と、これらのスイッチング素子の作動
    を個別に制御する制御回路とからなることを特徴とする
    静電搬送装置。
  5. 【請求項5】 前記搬送用固定子は、前記線状電極とな
    る導電性線材と、絶縁性繊維とが、互いに縦糸・横糸と
    なって織り込まれた電極織物と、該電極織物の少なくと
    も表面を被覆する前記絶縁層とを有してなることを特徴
    とする請求項1又は2記載の静電搬送装置。
  6. 【請求項6】 前記搬送用固定子は、前記線状電極とな
    る第1の導電性線材と、同じく前記線状電極となる第2
    の導電性線材とが、互いに縦糸・横糸となって織り込ま
    れた電極織物と、該電極織物の少なくとも表面を被覆す
    る前記絶縁層とを有してなり、かつ、前記第1及び第2
    の導電性線材のうち、少なくとも一方は、絶縁被覆され
    ていることを特徴とする請求項3又は4記載の静電搬送
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項1,2,3又は4記載の静電搬送
    装置を用いて単数又は複数の被搬送体を静電搬送する静
    電搬送方法であって、 制御回路をして、被搬送体の現在通過位置にある線状電
    極及びその近傍の線状電極に対応する複数のスイッチン
    グ素子のみを作動させて、これらの線状電極に対しての
    み、所定のタイミングで変動する所定の電圧を印加する
    ことにより、前記被搬送体を静電搬送することを特徴と
    する静電搬送方法。
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