JPH07322647A - 静電アクチュエータ - Google Patents
静電アクチュエータInfo
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- JPH07322647A JPH07322647A JP13096094A JP13096094A JPH07322647A JP H07322647 A JPH07322647 A JP H07322647A JP 13096094 A JP13096094 A JP 13096094A JP 13096094 A JP13096094 A JP 13096094A JP H07322647 A JPH07322647 A JP H07322647A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 移動子の厚さ(例えば、75μm)等を考慮
して、未だ電極ピッチの定まらない汎用固定子の電極
を、最大の駆動力が取り出せる最適の電極ピッチ(例え
ば、300μm)に設定する。 【構成】 汎用固定子は、例えば、40μm幅の線状電
極8,8,…が互いに平行にかつ100μmピッチで多
数配列された電極織物として予め作成される。固定子9
Aを作成するには、汎用固定子を構成する多数の線状電
極8,8,…のうち、相隣る2本の線状電極8,8同士
を同相接続して3相の駆動電極8a,8b,8c,…と
する。駆動電極と隣の駆動電極との間には、1本の線状
電極8を3相給電線のいずれにも接続しない状態のまま
で残しておく。こうして、最大の駆動力を取り出せる電
極ピッチ(約300μm)に設定された駆動電極8a,
8b,8c,…が形成される。
して、未だ電極ピッチの定まらない汎用固定子の電極
を、最大の駆動力が取り出せる最適の電極ピッチ(例え
ば、300μm)に設定する。 【構成】 汎用固定子は、例えば、40μm幅の線状電
極8,8,…が互いに平行にかつ100μmピッチで多
数配列された電極織物として予め作成される。固定子9
Aを作成するには、汎用固定子を構成する多数の線状電
極8,8,…のうち、相隣る2本の線状電極8,8同士
を同相接続して3相の駆動電極8a,8b,8c,…と
する。駆動電極と隣の駆動電極との間には、1本の線状
電極8を3相給電線のいずれにも接続しない状態のまま
で残しておく。こうして、最大の駆動力を取り出せる電
極ピッチ(約300μm)に設定された駆動電極8a,
8b,8c,…が形成される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、静電力を利用して電
気から力を取り出す静電アクチュエータに関する。
気から力を取り出す静電アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】静電アクチュエータは、電磁力の代わり
に、静電力、すなわち、電荷と電荷との間の吸引・反発
力を利用して駆動力を発生する装置であるので、構造が
単純なため、小型化・軽量化が容易である。加えて、電
極ピッチを微細にして小型化すればするほど、原理的
に、大きな力及び力密度を抽出し得るという特性を有す
ることから、近年、ロボット、OA機器、搬送機械、光
学機器、玩具等の小型駆動源として、高い関心を集めて
いる(日本機械学会ロボティクスメカトロニクス講演会
'93講演論文集 PP.436-PP.439 「静電人工筋の開発
とロボットへの適用」等参照)。
に、静電力、すなわち、電荷と電荷との間の吸引・反発
力を利用して駆動力を発生する装置であるので、構造が
単純なため、小型化・軽量化が容易である。加えて、電
極ピッチを微細にして小型化すればするほど、原理的
に、大きな力及び力密度を抽出し得るという特性を有す
ることから、近年、ロボット、OA機器、搬送機械、光
学機器、玩具等の小型駆動源として、高い関心を集めて
いる(日本機械学会ロボティクスメカトロニクス講演会
'93講演論文集 PP.436-PP.439 「静電人工筋の開発
とロボットへの適用」等参照)。
【0003】従来の静電アクチュエータは、図17に示
すように、絶縁体1内に複数の帯状電極2a,2b,2
c,…を持つ固定子3と、この固定子3の表面に接する
ように配置された絶縁体層4と極めて高い抵抗率の抵抗
体層5を持つ移動子6とからなっている(平成2年電気
学会全国大会予稿集 No.783 「フィルム静電アク
チュエータ」等参照)。上記帯状電極2a,2b,2
c,…は、所定の電極ピッチで相順に繰り返し配列され
て3相電極を構成する。駆動力を取り出すには、まず、
同図(a)に示すように、固定子電極(帯状電極)2
a,2b,2c,…に正負の電圧を印加する。すると、
移動子6の抵抗体層5内で電荷が移動し、同図(b)に
示すように移動子6に固定子電極と逆符号の電荷が誘導
(充電)される。なお、図中、移動子6上部の破線は、
抵抗体層5の下面に対する固定子電極2a,2b,2
c,…の鏡像を表している。移動子6の電荷は、この鏡
像の位置に置いた電荷で置き換えることができる。次
に、同図(c)に示すように、電圧を印加する固定子電
極を右にずらすと、固定子電極2a,2b,2c,…の
電荷は瞬時に入れ替わるが、移動子6の電荷は、抵抗率
が高いため変化に時間を要し、電圧を切り替えた直後
は、元の状態を保持する。このとき、固定子・移動子の
電荷間の静電力により、移動子6に対し右向きの駆動力
が発生する。また、垂直吸引力は減少ないしは反発力と
なり、移動子6を浮上させるので、摩擦が減少する。こ
の結果、同図(d)に示すように、移動子6は電極1ピ
ッチ分右に動く。
すように、絶縁体1内に複数の帯状電極2a,2b,2
c,…を持つ固定子3と、この固定子3の表面に接する
ように配置された絶縁体層4と極めて高い抵抗率の抵抗
体層5を持つ移動子6とからなっている(平成2年電気
学会全国大会予稿集 No.783 「フィルム静電アク
チュエータ」等参照)。上記帯状電極2a,2b,2
c,…は、所定の電極ピッチで相順に繰り返し配列され
て3相電極を構成する。駆動力を取り出すには、まず、
同図(a)に示すように、固定子電極(帯状電極)2
a,2b,2c,…に正負の電圧を印加する。すると、
移動子6の抵抗体層5内で電荷が移動し、同図(b)に
示すように移動子6に固定子電極と逆符号の電荷が誘導
(充電)される。なお、図中、移動子6上部の破線は、
抵抗体層5の下面に対する固定子電極2a,2b,2
c,…の鏡像を表している。移動子6の電荷は、この鏡
像の位置に置いた電荷で置き換えることができる。次
に、同図(c)に示すように、電圧を印加する固定子電
極を右にずらすと、固定子電極2a,2b,2c,…の
電荷は瞬時に入れ替わるが、移動子6の電荷は、抵抗率
が高いため変化に時間を要し、電圧を切り替えた直後
は、元の状態を保持する。このとき、固定子・移動子の
電荷間の静電力により、移動子6に対し右向きの駆動力
が発生する。また、垂直吸引力は減少ないしは反発力と
なり、移動子6を浮上させるので、摩擦が減少する。こ
の結果、同図(d)に示すように、移動子6は電極1ピ
ッチ分右に動く。
【0004】このとき、固定子電極から移動子6の抵抗
体層5下面までの距離G(以下、簡単のため、ギャップ
Gという(固定子電極・鏡像電極間距離dはギャップG
の2倍である))が、電極ピッチ(固定子3の電極間距
離)の約1/4のときに、外部に取り出せる正味の駆動
力が最大になることが報告されている(日本機械学会ロ
ボティクスメカトロニクス講演会 '90講演論文集 PP.
371-PP.372 「静電フィルムアクチュエータの特
性」)。
体層5下面までの距離G(以下、簡単のため、ギャップ
Gという(固定子電極・鏡像電極間距離dはギャップG
の2倍である))が、電極ピッチ(固定子3の電極間距
離)の約1/4のときに、外部に取り出せる正味の駆動
力が最大になることが報告されている(日本機械学会ロ
ボティクスメカトロニクス講演会 '90講演論文集 PP.
371-PP.372 「静電フィルムアクチュエータの特
性」)。
【0005】これは、ギャップGが、電極ピッチの約1
/4のときに、移動子6を浮上させる垂直方向の反発力
が最大となり、電極ピッチの1/4以下では、固定子電
極2a,2b,2c,…に移動子6の電荷と逆符号の電
荷を誘導する効果が強く現れてきて、垂直方向の反発力
は減少し、ついには逆に吸引力になることと深く関係し
ている。すなわち、ギャップGが小さくなるほど、横方
向の駆動力は増大するのであるが、移動子6の抵抗体層
5が固定子電極2a,2b,2c,…に接近し過ぎる
と、上記したように、垂直方向の反発力が減少し、つい
には逆に吸引力となって、固定子・移動子間の摩擦が増
大するので、外部に取り出せる正味の駆動力は減少す
る。それ故、ギャップGが、電極ピッチの約1/4のと
きに、垂直方向の反発力が最大となり、固定子・移動子
間の摩擦が減少するので、外部に取り出せる正味の駆動
力も最大になる。
/4のときに、移動子6を浮上させる垂直方向の反発力
が最大となり、電極ピッチの1/4以下では、固定子電
極2a,2b,2c,…に移動子6の電荷と逆符号の電
荷を誘導する効果が強く現れてきて、垂直方向の反発力
は減少し、ついには逆に吸引力になることと深く関係し
ている。すなわち、ギャップGが小さくなるほど、横方
向の駆動力は増大するのであるが、移動子6の抵抗体層
5が固定子電極2a,2b,2c,…に接近し過ぎる
と、上記したように、垂直方向の反発力が減少し、つい
には逆に吸引力となって、固定子・移動子間の摩擦が増
大するので、外部に取り出せる正味の駆動力は減少す
る。それ故、ギャップGが、電極ピッチの約1/4のと
きに、垂直方向の反発力が最大となり、固定子・移動子
間の摩擦が減少するので、外部に取り出せる正味の駆動
力も最大になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、移動子6
は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等
を絶縁体層4とし、この上にカーボンやウレタン樹脂等
の混合物を塗布して抵抗体層として形成され、この際、
絶縁体層4は、結合される負荷の大きさ、装置の用途、
耐久性要求、駆動環境等を考慮してその最適の厚さが決
定される。ここで、移動子(絶縁体層4)の厚さが変化
すると、一般にギャップGも変化するので、外部に取り
出せる正味の駆動力を最大とするためには、移動子の厚
さの変更に伴い、固定子3の電極ピッチに対しても、ギ
ャップGの約4倍になるように変更を加える必要があ
る。しかしながら、上記従来の静電アクチュエータにあ
っては、固定子は、例えば銅箔を接着したフレキシブル
プリント基板に、マスク・エッチングによって、3相電
極となる互いに平行な帯状電極を多数形成した後、その
上に絶縁フィルムを接着して作成されていたため、移動
子の厚さを変更する度に、最適の電極ピッチ及び電極幅
を持つ印刷用マスクを新たに作成用意することから始め
なくてはならないという、製造上不都合な問題があっ
た。
は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等
を絶縁体層4とし、この上にカーボンやウレタン樹脂等
の混合物を塗布して抵抗体層として形成され、この際、
絶縁体層4は、結合される負荷の大きさ、装置の用途、
耐久性要求、駆動環境等を考慮してその最適の厚さが決
定される。ここで、移動子(絶縁体層4)の厚さが変化
すると、一般にギャップGも変化するので、外部に取り
出せる正味の駆動力を最大とするためには、移動子の厚
さの変更に伴い、固定子3の電極ピッチに対しても、ギ
ャップGの約4倍になるように変更を加える必要があ
る。しかしながら、上記従来の静電アクチュエータにあ
っては、固定子は、例えば銅箔を接着したフレキシブル
プリント基板に、マスク・エッチングによって、3相電
極となる互いに平行な帯状電極を多数形成した後、その
上に絶縁フィルムを接着して作成されていたため、移動
子の厚さを変更する度に、最適の電極ピッチ及び電極幅
を持つ印刷用マスクを新たに作成用意することから始め
なくてはならないという、製造上不都合な問題があっ
た。
【0007】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
もので、移動子の厚さが異なる静電アクチュエータを数
種類作成する場合に好適な静電アクチュエータを提供す
ることを目的としている。
もので、移動子の厚さが異なる静電アクチュエータを数
種類作成する場合に好適な静電アクチュエータを提供す
ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、複数相に接続される複数の
駆動電極が一方向又は互いに直交する二方向に所定の電
極ピッチで相順に繰り返し配列されてなる固定子と、該
固定子の表面に配置され、上記複数の駆動電極に相毎に
印加する電圧を変化させることで静電駆動力を付与され
る移動子とを備えてなる静電アクチュエータであって、
上記固定子は、複数の線状電極が一方向又は互いに直交
する二方向に所定のピッチで配設されてなると共に、上
記各駆動電極は、連続する複数本の上記線状電極を同相
に接続してなることを特徴としている。
に、請求項1記載の発明は、複数相に接続される複数の
駆動電極が一方向又は互いに直交する二方向に所定の電
極ピッチで相順に繰り返し配列されてなる固定子と、該
固定子の表面に配置され、上記複数の駆動電極に相毎に
印加する電圧を変化させることで静電駆動力を付与され
る移動子とを備えてなる静電アクチュエータであって、
上記固定子は、複数の線状電極が一方向又は互いに直交
する二方向に所定のピッチで配設されてなると共に、上
記各駆動電極は、連続する複数本の上記線状電極を同相
に接続してなることを特徴としている。
【0009】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の静電アクチュエータであって、上記固定子が、上記
一方向に配列された複数の上記線状電極となる裸の又は
絶縁被覆付きの導電性線材と、絶縁性線材又は上記一方
向に直交する方向に配列された複数の線状電極ともなる
絶縁被覆付きの導電性線材とが互いに縦糸・横糸となっ
て織り込まれた電極織物からなることを特徴としてい
る。
載の静電アクチュエータであって、上記固定子が、上記
一方向に配列された複数の上記線状電極となる裸の又は
絶縁被覆付きの導電性線材と、絶縁性線材又は上記一方
向に直交する方向に配列された複数の線状電極ともなる
絶縁被覆付きの導電性線材とが互いに縦糸・横糸となっ
て織り込まれた電極織物からなることを特徴としてい
る。
【0010】また、請求項3記載の発明は、複数相に接
続される複数の駆動電極が一方向又は互いに直交する二
方向に所定の電極ピッチで相順に繰り返し配列されてそ
れぞれなる固定子と移動子とを有し、これら固定子と移
動子とにおける複数の駆動電極に相毎に印加する電圧を
変化させることで上記移動子に静電駆動力を付与する静
電アクチュエータであって、上記固定子及び移動子は、
それぞれ、複数の線状電極が一方向又は互いに直交する
二方向に所定のピッチで配設されてなると共に、上記各
駆動電極は、連続する複数本の上記線状電極を同相に接
続してなることを特徴としている。
続される複数の駆動電極が一方向又は互いに直交する二
方向に所定の電極ピッチで相順に繰り返し配列されてそ
れぞれなる固定子と移動子とを有し、これら固定子と移
動子とにおける複数の駆動電極に相毎に印加する電圧を
変化させることで上記移動子に静電駆動力を付与する静
電アクチュエータであって、上記固定子及び移動子は、
それぞれ、複数の線状電極が一方向又は互いに直交する
二方向に所定のピッチで配設されてなると共に、上記各
駆動電極は、連続する複数本の上記線状電極を同相に接
続してなることを特徴としている。
【0011】また、請求項4記載の発明は、請求項3記
載の静電アクチュエータであって、少なくとも上記移動
子が、上記一方向に配列された複数の線状電極となる裸
の又は絶縁被覆付きの導電性線材と、絶縁性線材又は上
記一方向に直交する方向に配列された複数の線状電極と
もなる絶縁被覆付きの導電性線材とが互いに縦糸・横糸
となって織り込まれた電極織物からなることを特徴とし
ている。
載の静電アクチュエータであって、少なくとも上記移動
子が、上記一方向に配列された複数の線状電極となる裸
の又は絶縁被覆付きの導電性線材と、絶縁性線材又は上
記一方向に直交する方向に配列された複数の線状電極と
もなる絶縁被覆付きの導電性線材とが互いに縦糸・横糸
となって織り込まれた電極織物からなることを特徴とし
ている。
【0012】また、請求項5記載の発明は、請求項2又
は4記載の静電アクチュエータであって、上記電極織物
の少なくとも移動子と相対向する側の面又は固定子と相
対向する側の面には絶縁層が設けられていることを特徴
としている。
は4記載の静電アクチュエータであって、上記電極織物
の少なくとも移動子と相対向する側の面又は固定子と相
対向する側の面には絶縁層が設けられていることを特徴
としている。
【0013】さらにまた、請求項6記載の発明は、請求
項1,2,3,4又は5記載の静電アクチュエータであ
って、上記駆動電極と隣の上記駆動電極との間には単数
又は複数本の線状電極が介挿され、これら線状電極の両
端は、電気的に開端状態になされていることを特徴とし
ている。
項1,2,3,4又は5記載の静電アクチュエータであ
って、上記駆動電極と隣の上記駆動電極との間には単数
又は複数本の線状電極が介挿され、これら線状電極の両
端は、電気的に開端状態になされていることを特徴とし
ている。
【0014】
【作用】請求項1記載の構成において、固定子には、線
状電極が、一方向又は互いに直交する二方向に、かつ所
定のピッチで多数配列された汎用固定子が用いられる。
この汎用固定子の線状電極を連続する複数本毎に”束ね
る”(同相接続する)ことによって、特定の電極幅を有
し、特定の電極ピッチで配列された駆動電極が形成され
る。すなわち、汎用固定子の特定固定子化が行われる。
駆動電極の電極ピッチ及び電極幅は、元となる線状電極
の”束ねる”個数を増減することによって、広狭が調整
できる。したがって、電極パターン印刷用マスクを新た
に作成しなくとも、電極ピッチをギャップの約4倍に設
定することが可能となる。それ故、汎用固定子の線状電
極を”何本かに束ねる”ことにより、外部に取り出せる
正味の駆動力が最大となる特定固定子を容易に作成する
ことができる。
状電極が、一方向又は互いに直交する二方向に、かつ所
定のピッチで多数配列された汎用固定子が用いられる。
この汎用固定子の線状電極を連続する複数本毎に”束ね
る”(同相接続する)ことによって、特定の電極幅を有
し、特定の電極ピッチで配列された駆動電極が形成され
る。すなわち、汎用固定子の特定固定子化が行われる。
駆動電極の電極ピッチ及び電極幅は、元となる線状電極
の”束ねる”個数を増減することによって、広狭が調整
できる。したがって、電極パターン印刷用マスクを新た
に作成しなくとも、電極ピッチをギャップの約4倍に設
定することが可能となる。それ故、汎用固定子の線状電
極を”何本かに束ねる”ことにより、外部に取り出せる
正味の駆動力が最大となる特定固定子を容易に作成する
ことができる。
【0015】また、請求項3記載の構成においては、固
定子に加えて、移動子も駆動電極を有している。この移
動子にも、線状電極が、一方向又は互いに直交する二方
向にそれぞれ所定のピッチで配列された汎用移動子が用
いられる。したがって、電極パターン印刷用のマスクを
新たに作成しなくとも、汎用移動子の線状電極を”何本
かに束ねれば”、移動子の厚さに対応した電極ピッチの
駆動電極を持つ特定移動子を容易に作成できる。
定子に加えて、移動子も駆動電極を有している。この移
動子にも、線状電極が、一方向又は互いに直交する二方
向にそれぞれ所定のピッチで配列された汎用移動子が用
いられる。したがって、電極パターン印刷用のマスクを
新たに作成しなくとも、汎用移動子の線状電極を”何本
かに束ねれば”、移動子の厚さに対応した電極ピッチの
駆動電極を持つ特定移動子を容易に作成できる。
【0016】なお、請求項2又は4記載の電極織物から
なる汎用固定子又は汎用移動子を用いるようにすれば、
線状電極(導電性線材)を”束ね易い”ので、特定固定
子又は特定移動子の作成が容易となる。この場合におい
て、電極織物の表面に請求項5記載の絶縁層を設けるよ
うにすれば、電極ピッチが固定されるので、一段と安定
した駆動力を得ることができる。また、上記駆動電極と
隣の上記駆動電極との間に、単数又は複数本の線状電極
を電気的に開端状態のまま残しておくようにすれば、移
動子の厚さに対応した電極ピッチを一段と容易に得るこ
とができる。
なる汎用固定子又は汎用移動子を用いるようにすれば、
線状電極(導電性線材)を”束ね易い”ので、特定固定
子又は特定移動子の作成が容易となる。この場合におい
て、電極織物の表面に請求項5記載の絶縁層を設けるよ
うにすれば、電極ピッチが固定されるので、一段と安定
した駆動力を得ることができる。また、上記駆動電極と
隣の上記駆動電極との間に、単数又は複数本の線状電極
を電気的に開端状態のまま残しておくようにすれば、移
動子の厚さに対応した電極ピッチを一段と容易に得るこ
とができる。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例につ
いて説明する。 ◇第1実施例 図1は、この発明の第1実施例である誘導電荷形の静電
アクチュエータの構成を示す斜視図、図2は同平面図、
また、図3は同断面図である。これらの図に示すよう
に、この例の静電アクチュエータ7は、3相電極を構成
する駆動電極8a,8b,8c,…が、互いに平行にか
つ相順に繰り返し配列された固定子9Aと、この固定子
9Aの表面に接するように配置された絶縁体層4と極め
て高い抵抗率の抵抗体層5を持つ移動子6とからなって
いる。この例において、(固定子)駆動電極8a,8
b,8c,…は、電極幅が約140μmに設定され、電
極ピッチが、(移動子)絶縁体層4の厚さの約4倍に相
当する約300μmに設定されている。ここで、電極ピ
ッチを(移動子)絶縁体層4の厚さの約4倍としたの
は、この例の駆動電極8a,8b,8c,…表面には、
絶縁体が被覆されておらず、したがって、(移動子)絶
縁体層4の厚さがギャップ(固定子電極・移動子抵抗体
層間距離)Gに相当することとなるからである。
いて説明する。 ◇第1実施例 図1は、この発明の第1実施例である誘導電荷形の静電
アクチュエータの構成を示す斜視図、図2は同平面図、
また、図3は同断面図である。これらの図に示すよう
に、この例の静電アクチュエータ7は、3相電極を構成
する駆動電極8a,8b,8c,…が、互いに平行にか
つ相順に繰り返し配列された固定子9Aと、この固定子
9Aの表面に接するように配置された絶縁体層4と極め
て高い抵抗率の抵抗体層5を持つ移動子6とからなって
いる。この例において、(固定子)駆動電極8a,8
b,8c,…は、電極幅が約140μmに設定され、電
極ピッチが、(移動子)絶縁体層4の厚さの約4倍に相
当する約300μmに設定されている。ここで、電極ピ
ッチを(移動子)絶縁体層4の厚さの約4倍としたの
は、この例の駆動電極8a,8b,8c,…表面には、
絶縁体が被覆されておらず、したがって、(移動子)絶
縁体層4の厚さがギャップ(固定子電極・移動子抵抗体
層間距離)Gに相当することとなるからである。
【0018】上記固定子9Aは、汎用固定子9から作成
される。この汎用固定子9は、駆動電極の電極ピッチ及
び電極幅が未だ定まっていない状態の固定子であり、こ
の例では、40μm電極幅の線状電極8,8,…が互い
に平行にかつ100μmピッチで多数配列されてなって
いる。上記汎用固定子9は、図4及び図5に示すよう
に、線径40μmの裸の導電性線材8',8',…と、同
じく線径40μmの絶縁性繊維10,10,…とを、互
いに縦糸・横糸として、図示せぬ織機を用いて、100
μmピッチで1本ずつ互い違いに織り込んで形成され、
織り込まれた導電性線材8',8',…によって線状電極
8,8,…が構成される。
される。この汎用固定子9は、駆動電極の電極ピッチ及
び電極幅が未だ定まっていない状態の固定子であり、こ
の例では、40μm電極幅の線状電極8,8,…が互い
に平行にかつ100μmピッチで多数配列されてなって
いる。上記汎用固定子9は、図4及び図5に示すよう
に、線径40μmの裸の導電性線材8',8',…と、同
じく線径40μmの絶縁性繊維10,10,…とを、互
いに縦糸・横糸として、図示せぬ織機を用いて、100
μmピッチで1本ずつ互い違いに織り込んで形成され、
織り込まれた導電性線材8',8',…によって線状電極
8,8,…が構成される。
【0019】ここで、好適な導電性線材8',8',…
(線状電極8,8,…の素材)としては、銅線、アルミ
線、ステンレス線、ニクロム線、金線、銀線、あるいは
チタン線等を挙げることができ、また、好適な絶縁性繊
維11,11,…としては、ポリエステル繊維、軟質ポ
リ塩化ビニル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン
繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン
繊維、ポリアクリルニトリル繊維、ポリビニルアルコー
ル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、あるいはポリフッ化
エチレン繊維を挙げることができる。なお、線状電極
8,8,…のピッチは、導電性線材8',8',…が"縦
糸"とされる場合には、"縦糸"を織機にかけ、"縦糸"を
通す糸孔のピッチを変えることで調節され、また、導電
性線材8',8',…が"横糸"とされる場合には、巻取り
速度を変えることで調節される。すなわち、巻取り速度
を速めれば速めるほど、線状電極8,8,…のピッチは
狭くなり、逆に、巻取り速度を遅くすれば、ピッチは広
くなる。
(線状電極8,8,…の素材)としては、銅線、アルミ
線、ステンレス線、ニクロム線、金線、銀線、あるいは
チタン線等を挙げることができ、また、好適な絶縁性繊
維11,11,…としては、ポリエステル繊維、軟質ポ
リ塩化ビニル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン
繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン
繊維、ポリアクリルニトリル繊維、ポリビニルアルコー
ル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、あるいはポリフッ化
エチレン繊維を挙げることができる。なお、線状電極
8,8,…のピッチは、導電性線材8',8',…が"縦
糸"とされる場合には、"縦糸"を織機にかけ、"縦糸"を
通す糸孔のピッチを変えることで調節され、また、導電
性線材8',8',…が"横糸"とされる場合には、巻取り
速度を変えることで調節される。すなわち、巻取り速度
を速めれば速めるほど、線状電極8,8,…のピッチは
狭くなり、逆に、巻取り速度を遅くすれば、ピッチは広
くなる。
【0020】このような構成の汎用固定子9からこの例
の固定子9Aを作成するには、図1乃至図3に示すよう
に、汎用固定子9を構成する多数の線状電極8,8,…
のうち、相隣る2本の線状電極8,8同士を同相接続し
て駆動電極8a,8b,8c,…を得ると共に、駆動電
極と隣の駆動電極との間に、1本の線状電極8を3相給
電線のいずれにも接続しない状態のままで残すようにす
る。こうして、電極幅約140μmで、電極ピッチ約3
00μmの駆動電極8a,8b,8c,…が多数配列さ
れた固定子9Aが得られる。これらの駆動電極8a,8
b,8c,…は、相順に、3相給電線11a,11b,
11cを介して駆動装置12に接続される。なお、駆動
電極8a,8a,…は、3相電極のうち、A相の電極を
構成し、同様に、駆動電極8b,8b,…はB相の電極
を、駆動電極8c,8c,…は、C相の電極をそれぞれ
構成する。また、上記移動子6において、絶縁体層4に
は、厚さ約75μmのPETフィルム、PVC(ポリ塩
化ビニル)フィルム、ポリプロピレンフィルム、あるい
はポリイミドフィルム等の高分子フィルムが用いられ、
この上にカーボンやウレタン樹脂等の混合物が塗布され
て表面抵抗率が1014Ω/□の抵抗体層5が形成されて
いる。
の固定子9Aを作成するには、図1乃至図3に示すよう
に、汎用固定子9を構成する多数の線状電極8,8,…
のうち、相隣る2本の線状電極8,8同士を同相接続し
て駆動電極8a,8b,8c,…を得ると共に、駆動電
極と隣の駆動電極との間に、1本の線状電極8を3相給
電線のいずれにも接続しない状態のままで残すようにす
る。こうして、電極幅約140μmで、電極ピッチ約3
00μmの駆動電極8a,8b,8c,…が多数配列さ
れた固定子9Aが得られる。これらの駆動電極8a,8
b,8c,…は、相順に、3相給電線11a,11b,
11cを介して駆動装置12に接続される。なお、駆動
電極8a,8a,…は、3相電極のうち、A相の電極を
構成し、同様に、駆動電極8b,8b,…はB相の電極
を、駆動電極8c,8c,…は、C相の電極をそれぞれ
構成する。また、上記移動子6において、絶縁体層4に
は、厚さ約75μmのPETフィルム、PVC(ポリ塩
化ビニル)フィルム、ポリプロピレンフィルム、あるい
はポリイミドフィルム等の高分子フィルムが用いられ、
この上にカーボンやウレタン樹脂等の混合物が塗布され
て表面抵抗率が1014Ω/□の抵抗体層5が形成されて
いる。
【0021】次に、図6を参照して、上記構成の静電ア
クチュエータ1の動作について説明する。まず、同図
(a)に示すように、駆動装置12(図1)を作動させ
て、A相の電極(駆動電極8a,8a,…)に正電圧+
Vを、B相の電極(駆動電極8b,8b,…)に負電圧
−Vを、C相の電極(駆動電極8c,8c,…)にゼロ
電圧0Vを印加する。すると、同図(b)に示すよう
に、始めは電荷の存在していなかった移動子6の抵抗体
層5内に微弱な電流が流れ、駆動電極8a,8b,8
c,…と相対向する移動子6の抵抗体層5内の部位に、
駆動電極8a,8b,8c,…の電荷と逆符号の電荷が
誘導(充電)されて平衡状態になる。この電荷は、同図
(b)に示す鏡像電荷で置き換えることができる。それ
故、移動子6には、図中垂直下向きの吸引力が働くの
で、移動子6は、摩擦により固定子9A上に保持され
る。
クチュエータ1の動作について説明する。まず、同図
(a)に示すように、駆動装置12(図1)を作動させ
て、A相の電極(駆動電極8a,8a,…)に正電圧+
Vを、B相の電極(駆動電極8b,8b,…)に負電圧
−Vを、C相の電極(駆動電極8c,8c,…)にゼロ
電圧0Vを印加する。すると、同図(b)に示すよう
に、始めは電荷の存在していなかった移動子6の抵抗体
層5内に微弱な電流が流れ、駆動電極8a,8b,8
c,…と相対向する移動子6の抵抗体層5内の部位に、
駆動電極8a,8b,8c,…の電荷と逆符号の電荷が
誘導(充電)されて平衡状態になる。この電荷は、同図
(b)に示す鏡像電荷で置き換えることができる。それ
故、移動子6には、図中垂直下向きの吸引力が働くの
で、移動子6は、摩擦により固定子9A上に保持され
る。
【0022】次に、同図(c)に示すように、正電圧、
負電圧、ゼロ電圧を印加する駆動電極8a,8b,8
c,…を例えば図中右にずらす。すなわち、電圧を切り
替えて、A相の電極(駆動電極8a,8a,…)にゼロ
電圧0Vを、B相の電極(駆動電極8b,8b,…)に
正電圧+Vを、C相の電極(駆動電極8c,8c,…)
に負電圧−Vをそれぞれ印加すると、駆動電極8a,8
b,8c,…の電荷は瞬時に入れ替わるが、移動子6の
抵抗体層5内の電荷は、抵抗率が高いため変化に時間を
要し、電圧を切り替えた直後は、元の電荷の状態を保持
する。それ故、固定子9A・移動子6の電荷間の静電力
により、移動子6に対し右向きの駆動力が発生する。こ
のとき、垂直吸引力は減少ないし反発力となる。それ
故、移動子6は浮上でき、摩擦が減少するので、同図
(d)に示すように、移動子6は電極1ピッチ分(約3
00μm)右に動く。
負電圧、ゼロ電圧を印加する駆動電極8a,8b,8
c,…を例えば図中右にずらす。すなわち、電圧を切り
替えて、A相の電極(駆動電極8a,8a,…)にゼロ
電圧0Vを、B相の電極(駆動電極8b,8b,…)に
正電圧+Vを、C相の電極(駆動電極8c,8c,…)
に負電圧−Vをそれぞれ印加すると、駆動電極8a,8
b,8c,…の電荷は瞬時に入れ替わるが、移動子6の
抵抗体層5内の電荷は、抵抗率が高いため変化に時間を
要し、電圧を切り替えた直後は、元の電荷の状態を保持
する。それ故、固定子9A・移動子6の電荷間の静電力
により、移動子6に対し右向きの駆動力が発生する。こ
のとき、垂直吸引力は減少ないし反発力となる。それ
故、移動子6は浮上でき、摩擦が減少するので、同図
(d)に示すように、移動子6は電極1ピッチ分(約3
00μm)右に動く。
【0023】以下、駆動装置12が、正電圧、負電圧、
ゼロ電圧を印加する駆動電極8a,8b,8c,…を右
にずらす態様の電圧切換操作を繰り返す度に、移動子6
は順次電極1ピッチ(約300μm)ずつ右に移動し、
電圧の切換操作を停止すると、垂直下向きの吸引力が働
いて、移動子6は、摩擦により保持されるので、正確に
位置決めされて停止する。一方、正電圧、負電圧、ゼロ
電圧を印加する駆動電極8a,8b,8c,…を左にず
らす電圧切換操作を繰り返すと、移動子6は順次電極1
ピッチ(約300μm)ずつ左に移動する。移動子6
は、軽量な上、単位質量当たりの誘導荷電量が多いの
で、加速され易く、したがって、電圧切替操作の繰り返
しを早めることにより、高速移動を達成できる。
ゼロ電圧を印加する駆動電極8a,8b,8c,…を右
にずらす態様の電圧切換操作を繰り返す度に、移動子6
は順次電極1ピッチ(約300μm)ずつ右に移動し、
電圧の切換操作を停止すると、垂直下向きの吸引力が働
いて、移動子6は、摩擦により保持されるので、正確に
位置決めされて停止する。一方、正電圧、負電圧、ゼロ
電圧を印加する駆動電極8a,8b,8c,…を左にず
らす電圧切換操作を繰り返すと、移動子6は順次電極1
ピッチ(約300μm)ずつ左に移動する。移動子6
は、軽量な上、単位質量当たりの誘導荷電量が多いの
で、加速され易く、したがって、電圧切替操作の繰り返
しを早めることにより、高速移動を達成できる。
【0024】上記構成によれば、固定子9Aには、汎用
固定子9が用いられ、この汎用固定子9の線状電極8,
8,…を、1本置きに、相隣る2本ずつ”束ねる”(同
相に接続する)ことで、所望の電極ピッチ(約300μ
m)で配列された所望の電極幅(約140μm)の駆動
電極8a,8b,8c,…が形成されるので、電極パタ
ーン印刷用マスクを新たに作成しなくとも、容易に、電
極ピッチをギャップの約4倍に設定することができる
(汎用固定子の特定固定子化)。それ故、外部に取り出
せる正味の駆動力が最大となる特定固定子を容易に作成
することができる。
固定子9が用いられ、この汎用固定子9の線状電極8,
8,…を、1本置きに、相隣る2本ずつ”束ねる”(同
相に接続する)ことで、所望の電極ピッチ(約300μ
m)で配列された所望の電極幅(約140μm)の駆動
電極8a,8b,8c,…が形成されるので、電極パタ
ーン印刷用マスクを新たに作成しなくとも、容易に、電
極ピッチをギャップの約4倍に設定することができる
(汎用固定子の特定固定子化)。それ故、外部に取り出
せる正味の駆動力が最大となる特定固定子を容易に作成
することができる。
【0025】なお、上記構成の汎用固定子9を用いれ
ば、この例の固定子9の他にも、駆動電極の電極ピッチ
あるいは電極幅が異なる様々の”特定”固定子を作成で
きる。例えば、図7に示すように、汎用固定子9の線状
電極を、相隣る2本ずつ連続して”束ねれば”、電極ピ
ッチ約200μmで配列された電極幅約140μmの駆
動電極を有する”特定”固定子を得ることができる。ま
た、図8に示すように、汎用固定子9の線状電極を、2
本置きに、相隣る3本ずつ”束ねれば”、電極ピッチ約
500μmで配列された電極幅約240μmの駆動電極
を有する”特定”固定子を得ることができる。さらに、
ピッチ100μmで配列された線状電極(電極幅40μ
m)を有する汎用固定子9に代えて、ピッチ50μmで
配列された線状電極(電極幅20μm)を有する汎用固
定子9を用いるようにすれば、図2の構成では、電極ピ
ッチ約150μmで配列された電極幅約70μmの駆動
電極を有する”特定”固定子となり、図7の構成では、
電極ピッチ約100μmで配列された電極幅約70μm
の駆動電極を有する”特定”固定子となり、また、図8
の構成では、電極ピッチ約250μmで配列された電極
幅約120μmの駆動電極を有する”特定”固定子とな
る。
ば、この例の固定子9の他にも、駆動電極の電極ピッチ
あるいは電極幅が異なる様々の”特定”固定子を作成で
きる。例えば、図7に示すように、汎用固定子9の線状
電極を、相隣る2本ずつ連続して”束ねれば”、電極ピ
ッチ約200μmで配列された電極幅約140μmの駆
動電極を有する”特定”固定子を得ることができる。ま
た、図8に示すように、汎用固定子9の線状電極を、2
本置きに、相隣る3本ずつ”束ねれば”、電極ピッチ約
500μmで配列された電極幅約240μmの駆動電極
を有する”特定”固定子を得ることができる。さらに、
ピッチ100μmで配列された線状電極(電極幅40μ
m)を有する汎用固定子9に代えて、ピッチ50μmで
配列された線状電極(電極幅20μm)を有する汎用固
定子9を用いるようにすれば、図2の構成では、電極ピ
ッチ約150μmで配列された電極幅約70μmの駆動
電極を有する”特定”固定子となり、図7の構成では、
電極ピッチ約100μmで配列された電極幅約70μm
の駆動電極を有する”特定”固定子となり、また、図8
の構成では、電極ピッチ約250μmで配列された電極
幅約120μmの駆動電極を有する”特定”固定子とな
る。
【0026】◇第2実施例 図9は、この発明の第2実施例である誘導電荷形の静電
アクチュエータの構成を示す斜視図である。この例の静
電アクチュエータ7Aでは、固定子13Aは、複数の駆
動横電極14a,14b,14c,…と複数の駆動縦電
極14x,14y,14z,…とが横縦(格子状)にそ
れぞれ相順に配列されて構成され、第1実施例と同一構
成の移動子6を2次元駆動できるようにしている。この
例において、(固定子)駆動横電極14a,14b,1
4c,…、及び(固定子)駆動縦電極14x,14y,
14z,…は、いずれも、電極幅が約140μmに設定
され、それぞれの電極ピッチが、(移動子)絶縁体層4
の厚さの約4倍に相当する約300μmに設定されてい
る。ここで、縦横の電極ピッチを(移動子)絶縁体層4
の厚さの約4倍としたのは、第1実施例において述べた
と同一の理由からである。
アクチュエータの構成を示す斜視図である。この例の静
電アクチュエータ7Aでは、固定子13Aは、複数の駆
動横電極14a,14b,14c,…と複数の駆動縦電
極14x,14y,14z,…とが横縦(格子状)にそ
れぞれ相順に配列されて構成され、第1実施例と同一構
成の移動子6を2次元駆動できるようにしている。この
例において、(固定子)駆動横電極14a,14b,1
4c,…、及び(固定子)駆動縦電極14x,14y,
14z,…は、いずれも、電極幅が約140μmに設定
され、それぞれの電極ピッチが、(移動子)絶縁体層4
の厚さの約4倍に相当する約300μmに設定されてい
る。ここで、縦横の電極ピッチを(移動子)絶縁体層4
の厚さの約4倍としたのは、第1実施例において述べた
と同一の理由からである。
【0027】上記固定子13Aは、汎用固定子13から
作成される。この汎用固定子13は、駆動横電極及び駆
動縦電極の電極ピッチや電極幅が未だ定まっていない状
態の固定子であり、この例では、40μm電極幅の多数
の線状電極14,14…が縦横に、かつそれぞれ100
μmピッチで配列されてなっている。上記汎用固定子1
3は、図10に示すように、線径40μmの導電性線材
14',14',…を縦糸・横糸として、縦横100μm
ピッチで1本ずつ互い違いに平織して形成され、縦横に
織り込まれた導電性線材14',14',…によって全体
として格子状の線状電極14,14,…が形成される。
ここで、導電性線材14',14',…として、線径40
μmの絶縁被覆電線が用いられている。なお、好適な絶
縁被覆電線としては、テフロン被覆電線、ポリエステル
被覆電線、ポリ塩化ビニル被覆電線、ポリエチレン被覆
電線、ポリプロピレン被覆電線、ポリイミド被覆電線、
ポリアミド被覆電線、ポリウレタン被覆電線、ポリフッ
化エチレン被覆電線、あるいは絶縁ワニス被覆電線等を
挙げることができる。
作成される。この汎用固定子13は、駆動横電極及び駆
動縦電極の電極ピッチや電極幅が未だ定まっていない状
態の固定子であり、この例では、40μm電極幅の多数
の線状電極14,14…が縦横に、かつそれぞれ100
μmピッチで配列されてなっている。上記汎用固定子1
3は、図10に示すように、線径40μmの導電性線材
14',14',…を縦糸・横糸として、縦横100μm
ピッチで1本ずつ互い違いに平織して形成され、縦横に
織り込まれた導電性線材14',14',…によって全体
として格子状の線状電極14,14,…が形成される。
ここで、導電性線材14',14',…として、線径40
μmの絶縁被覆電線が用いられている。なお、好適な絶
縁被覆電線としては、テフロン被覆電線、ポリエステル
被覆電線、ポリ塩化ビニル被覆電線、ポリエチレン被覆
電線、ポリプロピレン被覆電線、ポリイミド被覆電線、
ポリアミド被覆電線、ポリウレタン被覆電線、ポリフッ
化エチレン被覆電線、あるいは絶縁ワニス被覆電線等を
挙げることができる。
【0028】このような構成の汎用固定子13からこの
例の固定子13Aを作成するには、図9及び図10に示
すように、汎用固定子13を構成する多数の線状電極1
4,14,…のうち、相隣る2本の線状電極14,14
同士を同相接続して駆動横電極14a,14b,14
c,…及び駆動縦電極14x,14y,14z,…を得
ると共に、駆動横(縦)電極と隣の駆動横(縦)電極と
の間に、1本の線状電極14を3相給電線のいずれにも
接続しない状態のままで残すようにする。こうして、電
極幅約140μmで、電極ピッチ約300μmの駆動横
電極14a,14b,14c,…及び駆動縦電極14
x,14y,14z,…が格子状に配列された固定子1
3Aが得られる。これらの駆動横電極14a,14b,
14c,…は、相順に、3相給電線15a,15b,1
5cを介して駆動装置12Aに接続される。一方、駆動
縦電極14x,14y,14z,…は、相順に、3相給
電線15x,15y,15zを介して駆動装置12Bに
接続される。
例の固定子13Aを作成するには、図9及び図10に示
すように、汎用固定子13を構成する多数の線状電極1
4,14,…のうち、相隣る2本の線状電極14,14
同士を同相接続して駆動横電極14a,14b,14
c,…及び駆動縦電極14x,14y,14z,…を得
ると共に、駆動横(縦)電極と隣の駆動横(縦)電極と
の間に、1本の線状電極14を3相給電線のいずれにも
接続しない状態のままで残すようにする。こうして、電
極幅約140μmで、電極ピッチ約300μmの駆動横
電極14a,14b,14c,…及び駆動縦電極14
x,14y,14z,…が格子状に配列された固定子1
3Aが得られる。これらの駆動横電極14a,14b,
14c,…は、相順に、3相給電線15a,15b,1
5cを介して駆動装置12Aに接続される。一方、駆動
縦電極14x,14y,14z,…は、相順に、3相給
電線15x,15y,15zを介して駆動装置12Bに
接続される。
【0029】上記構成において、移動子6を縦方向に移
動させるには、駆動装置12Aのみを作動させ、3相の
駆動電圧を駆動横電極14a,14b,14c,…に印
加する。この後、電圧切換操作を行う毎に移動子6は縦
方向に電極1ピッチ分移動する。移動子6を横方向に移
動させるには、駆動装置12Bのみを作動させ、3相の
駆動電圧を駆動縦電極14x,14y,14z,…に印
加する。この後、電圧切換操作を行う毎に移動子6は横
方向に電極1ピッチ分移動する。また、移動子を斜め方
向に移動させるには、駆動装置12A,12Bを作動さ
せて、3相の駆動電圧を駆動横電極14x,14y,1
4z,…と駆動縦電極14x,14y,14z,…とに
印加する。この後、駆動横電極14a,14b,14
c,…に対して電圧切換操作をM回行うと、移動子6は
縦方向に電極Mピッチ分移動し、駆動縦電極14x,1
4y,14z,…に対して電圧切換操作をN回行うと、
移動子6は横方向に電極Nピッチ分移動する。
動させるには、駆動装置12Aのみを作動させ、3相の
駆動電圧を駆動横電極14a,14b,14c,…に印
加する。この後、電圧切換操作を行う毎に移動子6は縦
方向に電極1ピッチ分移動する。移動子6を横方向に移
動させるには、駆動装置12Bのみを作動させ、3相の
駆動電圧を駆動縦電極14x,14y,14z,…に印
加する。この後、電圧切換操作を行う毎に移動子6は横
方向に電極1ピッチ分移動する。また、移動子を斜め方
向に移動させるには、駆動装置12A,12Bを作動さ
せて、3相の駆動電圧を駆動横電極14x,14y,1
4z,…と駆動縦電極14x,14y,14z,…とに
印加する。この後、駆動横電極14a,14b,14
c,…に対して電圧切換操作をM回行うと、移動子6は
縦方向に電極Mピッチ分移動し、駆動縦電極14x,1
4y,14z,…に対して電圧切換操作をN回行うと、
移動子6は横方向に電極Nピッチ分移動する。
【0030】上記構成によれば、固定子13Aには、格
子電極構造の汎用固定子13が用いられ、この汎用固定
子13の縦横の線状電極14,14,…を、それぞれ1
本置きに、相隣る2本ずつ”束ねる”(同相に接続す
る)ことによって、所望の電極ピッチ(約300μm)
で縦横に配列された所望の電極幅(約140μm)の駆
動横(縦)電極が形成されるので、電極パターン印刷用
マスクを新たに作成しなくとも、容易に、縦横の電極ピ
ッチをギャップの約4倍に設定することができる(汎用
固定子の特定固定子化)。それ故、外部に2次元的に取
り出せる正味の駆動力が最大となる特定固定子を容易に
作成することができる。
子電極構造の汎用固定子13が用いられ、この汎用固定
子13の縦横の線状電極14,14,…を、それぞれ1
本置きに、相隣る2本ずつ”束ねる”(同相に接続す
る)ことによって、所望の電極ピッチ(約300μm)
で縦横に配列された所望の電極幅(約140μm)の駆
動横(縦)電極が形成されるので、電極パターン印刷用
マスクを新たに作成しなくとも、容易に、縦横の電極ピ
ッチをギャップの約4倍に設定することができる(汎用
固定子の特定固定子化)。それ故、外部に2次元的に取
り出せる正味の駆動力が最大となる特定固定子を容易に
作成することができる。
【0031】◇第3実施例 図11は、この発明の第3実施例である誘導電荷形の静
電アクチュエータの構成を示す斜視図であり、この例の
静電アクチュエータ7Bが、第1実施例のそれ(図1)
と大きく異なるところは、第1実施例の固定子9Aを両
側から一対の絶縁フィルムで挟持してこの例の固定子9
Bとした点である。一方、細かな点では、この例の移動
子6Aは、第1実施例における絶縁体層4よりも、20
μm程薄い絶縁体層4Aによって構成されている。
電アクチュエータの構成を示す斜視図であり、この例の
静電アクチュエータ7Bが、第1実施例のそれ(図1)
と大きく異なるところは、第1実施例の固定子9Aを両
側から一対の絶縁フィルムで挟持してこの例の固定子9
Bとした点である。一方、細かな点では、この例の移動
子6Aは、第1実施例における絶縁体層4よりも、20
μm程薄い絶縁体層4Aによって構成されている。
【0032】この例の固定子9Bは、図11及び図12
に示すように、第1実施例の固定子9Aと、この固定子
9Aをその両面から挟持する一対の絶縁フィルム92
a,92aと、これらの絶縁フィルム92a,92aを
接着して電極ピッチを不動状態にするための接着剤93
とから構成されている。
に示すように、第1実施例の固定子9Aと、この固定子
9Aをその両面から挟持する一対の絶縁フィルム92
a,92aと、これらの絶縁フィルム92a,92aを
接着して電極ピッチを不動状態にするための接着剤93
とから構成されている。
【0033】この例において、(固定子)駆動電極8
a,8b,8c,…は、電極幅が約140μmに設定さ
れ、電極ピッチが、ギャップGの約4倍に相当する約3
00μmに設定されている。ここで、ギャップGは、上
述したように、(固定子)駆動電極8a,8b,8c,
…から(移動子)抵抗体層5下面までの距離であり、
(移動子)絶縁体層4の厚さ(55μm)と(固定子)
絶縁フィルム92aの厚さ(20μm)との和に相当す
る。
a,8b,8c,…は、電極幅が約140μmに設定さ
れ、電極ピッチが、ギャップGの約4倍に相当する約3
00μmに設定されている。ここで、ギャップGは、上
述したように、(固定子)駆動電極8a,8b,8c,
…から(移動子)抵抗体層5下面までの距離であり、
(移動子)絶縁体層4の厚さ(55μm)と(固定子)
絶縁フィルム92aの厚さ(20μm)との和に相当す
る。
【0034】上記絶縁フィルム92a,92aには、表
面抵抗率が1015Ω/□以上で厚さ約20μmの高分子
フィルム、好適にはPETフィルム、ポリプロピレンフ
ィルム、ポリイミドフィルム、軟質ポリ塩化ビニルフィ
ルム、ポリエチレンフィルム等が用いられる。また、接
着剤93としては、エポキシ系接着剤、アクリル系接着
剤、ブチルゴム、ブタジエン−スチレンゴム等の合成ゴ
ム、あるいは天然ゴム等が好適である。
面抵抗率が1015Ω/□以上で厚さ約20μmの高分子
フィルム、好適にはPETフィルム、ポリプロピレンフ
ィルム、ポリイミドフィルム、軟質ポリ塩化ビニルフィ
ルム、ポリエチレンフィルム等が用いられる。また、接
着剤93としては、エポキシ系接着剤、アクリル系接着
剤、ブチルゴム、ブタジエン−スチレンゴム等の合成ゴ
ム、あるいは天然ゴム等が好適である。
【0035】この例の固定子9Bを作成するには、図1
3に示すように、第1実施例の汎用固定子9に相当する
電極織物91を絶縁フィルム92aの上面に重ね、この
上から接着剤93を微量塗布する。塗布された接着剤9
3は、電極織物91の織目から下方の絶縁フィルム92
aの図中上面にまで浸透する。次に、別の絶縁フィルム
92aを電極織物91の上に重ね、圧着機を用いて、こ
の積層体(絶縁フィルム92a/電極織物91/絶縁フ
ィルム92a)を加圧接着する。この後、多数の線状電
極8,8,…のうち、相隣る2本の線状電極8,8同士
を同相接続して駆動電極8a,8b,8c,…を得ると
共に、駆動電極と隣の駆動電極との間に、1本の線状電
極8を3相給電線のいずれにも接続しない状態のままで
残すようにする。こうして、電極幅約140μmで、電
極ピッチ約300μmの駆動電極8a,8b,8c,…
が多数配列された固定子9Bが完成する。
3に示すように、第1実施例の汎用固定子9に相当する
電極織物91を絶縁フィルム92aの上面に重ね、この
上から接着剤93を微量塗布する。塗布された接着剤9
3は、電極織物91の織目から下方の絶縁フィルム92
aの図中上面にまで浸透する。次に、別の絶縁フィルム
92aを電極織物91の上に重ね、圧着機を用いて、こ
の積層体(絶縁フィルム92a/電極織物91/絶縁フ
ィルム92a)を加圧接着する。この後、多数の線状電
極8,8,…のうち、相隣る2本の線状電極8,8同士
を同相接続して駆動電極8a,8b,8c,…を得ると
共に、駆動電極と隣の駆動電極との間に、1本の線状電
極8を3相給電線のいずれにも接続しない状態のままで
残すようにする。こうして、電極幅約140μmで、電
極ピッチ約300μmの駆動電極8a,8b,8c,…
が多数配列された固定子9Bが完成する。
【0036】この例の構成によれば、電極織物91の織
目が絶縁フィルム等によって固定され、固定子9Bの電
極ピッチが不動の状態になるので、一段と安定した駆動
力を抽出し得る。また、(固定子)絶縁フィルム92a
の厚さを調節することで、ギャップGと電極ピッチとの
適正な関係を維持できる。なお、一対の絶縁フィルム9
2a,92aのうち、いずれか一方の絶縁フィルムにつ
いては、必要に応じて、省略しても良い。
目が絶縁フィルム等によって固定され、固定子9Bの電
極ピッチが不動の状態になるので、一段と安定した駆動
力を抽出し得る。また、(固定子)絶縁フィルム92a
の厚さを調節することで、ギャップGと電極ピッチとの
適正な関係を維持できる。なお、一対の絶縁フィルム9
2a,92aのうち、いずれか一方の絶縁フィルムにつ
いては、必要に応じて、省略しても良い。
【0037】◇第4実施例 図14は、この発明の第4実施例である交流駆動形の静
電アクチュエータの構成を示す斜視図、また、図15は
同断面図である。この例の静電アクチュエータ7Cに
は、同図に示すように、固定子7Aのみならず、移動子
6Bにも駆動電極を設けた点、及び、これに伴い、3相
交流駆動方式を採用した点で、上述の第1実施例の静電
アクチュエータと大きく異なっている。この例の移動子
6Bは、第3実施例の固定子9Bと略同一構成とされ、
図14及び図15に示すように、(後述する汎用移動子
から形成される)駆動電極の配列体をその両面から挟持
する一対の絶縁フィルム61a,61aと、これらの絶
縁フィルム61a,61aを接着して電極ピッチを不動
状態にするための図示せぬ接着剤とから構成されてい
る。また、移動子6Bの駆動電極16a,16b,16
c,…も、固定子9Aの駆動電極8a,8b,8c,…
と同様に、電極幅が約140μmに設定され、電極ピッ
チが、(移動子)絶縁フィルム61aの厚さの約4倍に
相当する約300μmに設定されている。ここで、電極
ピッチを(移動子)絶縁フィルム61aの厚さの約4倍
としたのは、この例の(固定子)駆動電極8a,8b,
8c,…表面には、絶縁体が被覆されておらず、したが
って、(移動子)絶縁フィルム61aの厚さがギャップ
(固定子電極・移動子抵抗体層間距離)Gに相当するこ
ととなるからである。
電アクチュエータの構成を示す斜視図、また、図15は
同断面図である。この例の静電アクチュエータ7Cに
は、同図に示すように、固定子7Aのみならず、移動子
6Bにも駆動電極を設けた点、及び、これに伴い、3相
交流駆動方式を採用した点で、上述の第1実施例の静電
アクチュエータと大きく異なっている。この例の移動子
6Bは、第3実施例の固定子9Bと略同一構成とされ、
図14及び図15に示すように、(後述する汎用移動子
から形成される)駆動電極の配列体をその両面から挟持
する一対の絶縁フィルム61a,61aと、これらの絶
縁フィルム61a,61aを接着して電極ピッチを不動
状態にするための図示せぬ接着剤とから構成されてい
る。また、移動子6Bの駆動電極16a,16b,16
c,…も、固定子9Aの駆動電極8a,8b,8c,…
と同様に、電極幅が約140μmに設定され、電極ピッ
チが、(移動子)絶縁フィルム61aの厚さの約4倍に
相当する約300μmに設定されている。ここで、電極
ピッチを(移動子)絶縁フィルム61aの厚さの約4倍
としたのは、この例の(固定子)駆動電極8a,8b,
8c,…表面には、絶縁体が被覆されておらず、したが
って、(移動子)絶縁フィルム61aの厚さがギャップ
(固定子電極・移動子抵抗体層間距離)Gに相当するこ
ととなるからである。
【0038】上記移動子6Bは、図4に示す汎用固定子
9と略同一構成の図示せぬ汎用移動子から作成される。
この汎用移動子は、駆動電極の電極ピッチ及び電極幅が
未だ定まっていない状態の移動子であり、この例では、
同図に示す汎用固定子9と同様に、40μm電極幅の多
数の線状電極16,16,…(図15参照)が互いに平
行にかつ100μmピッチで配列されてなっている。上
記汎用移動子は、汎用固定子9と同様に、線径40μm
の裸の導電性線材と、同じく線径40μmの絶縁性繊維
とを、互いに縦糸・横糸として、図示せぬ織機を用い
て、100μmピッチで1本ずつ互い違いに織り込んで
電極織物として形成される。なお、移動子6Bの作成
は、固定子9B(図13)を作成する場合(第3実施例
参照)と略同一の方法によって行われるので、その説明
を省略する。ただし、絶縁フィルム61aの厚さは、7
5μmのものが用いられている。移動子6Bの駆動電極
16a,16b,16c,…は、相順に、3相給電線1
7a,17b,17cを介して駆動装置12Cに接続さ
れ、一方、固定子9Aの駆動電極8a,8b,8c,…
は、相順に、3相給電線11a,11b,11cを介し
て駆動装置12Cに接続される。
9と略同一構成の図示せぬ汎用移動子から作成される。
この汎用移動子は、駆動電極の電極ピッチ及び電極幅が
未だ定まっていない状態の移動子であり、この例では、
同図に示す汎用固定子9と同様に、40μm電極幅の多
数の線状電極16,16,…(図15参照)が互いに平
行にかつ100μmピッチで配列されてなっている。上
記汎用移動子は、汎用固定子9と同様に、線径40μm
の裸の導電性線材と、同じく線径40μmの絶縁性繊維
とを、互いに縦糸・横糸として、図示せぬ織機を用い
て、100μmピッチで1本ずつ互い違いに織り込んで
電極織物として形成される。なお、移動子6Bの作成
は、固定子9B(図13)を作成する場合(第3実施例
参照)と略同一の方法によって行われるので、その説明
を省略する。ただし、絶縁フィルム61aの厚さは、7
5μmのものが用いられている。移動子6Bの駆動電極
16a,16b,16c,…は、相順に、3相給電線1
7a,17b,17cを介して駆動装置12Cに接続さ
れ、一方、固定子9Aの駆動電極8a,8b,8c,…
は、相順に、3相給電線11a,11b,11cを介し
て駆動装置12Cに接続される。
【0039】上記構成の移動子6Bを駆動させるには、
(固定子)駆動装置12Cを作動させて、固定子9Aの
駆動電極8a,8b,8c,…を周波数ω1/2π(角
速度ω1)の3相交流電圧で励起させると共に、移動子
6Bの駆動電極16a,16b,16c,…を周波数ω
2/2π(角速度ω2)の3相交流電圧で励起させる。こ
の励起により、固定子9Aと移動子6Bとのそれぞれの
対向面上には、進行する電位の波が発生して、静電駆動
力が生じる。
(固定子)駆動装置12Cを作動させて、固定子9Aの
駆動電極8a,8b,8c,…を周波数ω1/2π(角
速度ω1)の3相交流電圧で励起させると共に、移動子
6Bの駆動電極16a,16b,16c,…を周波数ω
2/2π(角速度ω2)の3相交流電圧で励起させる。こ
の励起により、固定子9Aと移動子6Bとのそれぞれの
対向面上には、進行する電位の波が発生して、静電駆動
力が生じる。
【0040】この第4実施例の構成によれば、移動子の
電荷を高速に制御できる上、帯電粒子の付着等によるノ
イズにも強いため、移動子の高速移動を達成でき、大出
力を一段と確実に抽出し得る。
電荷を高速に制御できる上、帯電粒子の付着等によるノ
イズにも強いため、移動子の高速移動を達成でき、大出
力を一段と確実に抽出し得る。
【0041】なお、この第4実施例の変形例として、図
16に示すように、(移動子)駆動電極16a,16
b,16cの配列体(織物)を、例えば厚さ20μmの
一対の絶縁フィルム61b,61bで挟持して移動子6
Cを構成すると共に、(固定子)駆動電極8a,8b,
8c,…の配列体(織物)を、例えば厚さ55μmの一
対の絶縁フィルム92b,92bで挟持して固定子9C
を構成するようにしても良い。
16に示すように、(移動子)駆動電極16a,16
b,16cの配列体(織物)を、例えば厚さ20μmの
一対の絶縁フィルム61b,61bで挟持して移動子6
Cを構成すると共に、(固定子)駆動電極8a,8b,
8c,…の配列体(織物)を、例えば厚さ55μmの一
対の絶縁フィルム92b,92bで挟持して固定子9C
を構成するようにしても良い。
【0042】以上、この発明の実施例を図面により詳述
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があってもこの発明に含まれる。線材は、単線に限
らず、撚り線でも良い。固定子又は移動子の織り方は、
平織に限定されない。導電性線材の線径は、40μmに
限定されない。導電性線材は、金属線に限らず、導電性
高分子材料又は導電性ガラス繊維でも良い。同様に、絶
縁性線材の線径も40μmに限定されない。
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があってもこの発明に含まれる。線材は、単線に限
らず、撚り線でも良い。固定子又は移動子の織り方は、
平織に限定されない。導電性線材の線径は、40μmに
限定されない。導電性線材は、金属線に限らず、導電性
高分子材料又は導電性ガラス繊維でも良い。同様に、絶
縁性線材の線径も40μmに限定されない。
【0043】また、上述の実施例においては、導電性線
材を織り込むことによって、汎用固定子を作成する場合
について述べたが、これに限定するものではなく、例え
ば、絶縁フィルムの表面に接着剤を塗布した後、この表
面に、多数の導電性線材を所定のピッチで配列して行
き、接着剤が硬化するまで、各導電性線材を緊張状態に
保つことでも汎用固定子を得ることができる。
材を織り込むことによって、汎用固定子を作成する場合
について述べたが、これに限定するものではなく、例え
ば、絶縁フィルムの表面に接着剤を塗布した後、この表
面に、多数の導電性線材を所定のピッチで配列して行
き、接着剤が硬化するまで、各導電性線材を緊張状態に
保つことでも汎用固定子を得ることができる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の静電ア
クチュエータによれば、一方向又は互いに直交する二方
向に、かつ所定のピッチで多数配列された汎用固定子を
用いて固定子が作成される。したがって、電極パターン
印刷用マスクを新たに作成しなくとも、汎用固定子の線
状電極を”何本かに束ねる”ことにより、電極ピッチを
ギャップの約4倍に設定できる。それ故、汎用固定子作
成用の印刷マスクを1枚用意するだけで、移動子の厚さ
等の変化に応じて、電極ピッチも異なる数種類の特定固
定子を容易に作成できる。
クチュエータによれば、一方向又は互いに直交する二方
向に、かつ所定のピッチで多数配列された汎用固定子を
用いて固定子が作成される。したがって、電極パターン
印刷用マスクを新たに作成しなくとも、汎用固定子の線
状電極を”何本かに束ねる”ことにより、電極ピッチを
ギャップの約4倍に設定できる。それ故、汎用固定子作
成用の印刷マスクを1枚用意するだけで、移動子の厚さ
等の変化に応じて、電極ピッチも異なる数種類の特定固
定子を容易に作成できる。
【0045】また、駆動電極を有する移動子にも、この
発明の構成が適用できる。
発明の構成が適用できる。
【図1】この発明の第1実施例である誘導電荷形の静電
アクチュエータの構成を示す斜視図である。
アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図2】同静電アクチュエータの構成を示す平面図であ
る。
る。
【図3】同静電アクチュエータの構成を示す断面図であ
る。
る。
【図4】同静電アクチュエータを構成する固定子の完成
前の姿である汎用固定子の構成を示す平面図である。
前の姿である汎用固定子の構成を示す平面図である。
【図5】同汎用固定子の構成を示す部分拡大斜視図であ
る。
る。
【図6】同静電アクチュエータの動作原理を説明するた
めの説明図である。
めの説明図である。
【図7】同実施例の変形例である静電アクチュエータを
示す図である。
示す図である。
【図8】同実施例の変形例である静電アクチュエータを
示す図である。
示す図である。
【図9】この発明の第2実施例である誘導電荷形の静電
アクチュエータの構成を示す斜視図である。
アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図10】同静電アクチュエータを構成する固定子の完
成前の姿である汎用固定子の構成を示す平面図である。
成前の姿である汎用固定子の構成を示す平面図である。
【図11】この発明の第3実施例である誘導電荷形の静
電アクチュエータの構成を示す斜視図である。
電アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図12】同静電アクチュエータの構成を示す断面図で
ある。
ある。
【図13】同静電アクチュエータを構成する固定子を分
解して示す分解斜視図である。
解して示す分解斜視図である。
【図14】この発明の第4実施例である交流駆動形の静
電アクチュエータの構成を示す斜視図である。
電アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図15】同静電アクチュエータの構成を示す断面図で
ある。
ある。
【図16】同実施例の変形例である静電アクチュエータ
の構成を示す断面図である。
の構成を示す断面図である。
【図17】従来における静電アクチュエータの構成を動
作原理を説明するための説明図である。
作原理を説明するための説明図である。
4 絶縁体層 5 抵抗体層 6,6A,6B,6C 移動子 7,7A,7B,7C 静電アクチュエータ 8a,8b,8c 固定子の駆動電極 8 汎用固定子の線状電極 8' 導電性線材 9,13 汎用固定子(電極織物) 9A,9B,9C,13A 固定子 10 絶縁性繊維(絶縁性線材) 11a,11b,11c,17a,17b,17c
3相給電線 12,12A,12B,12C 駆動装置 14a,14b,14c 駆動横電極 14x,14y,14z 駆動縦電極 14 絶縁被覆付きの線状電極 14' 絶縁被覆付きの導電性線材 15a,15b,15c,15x,15y,15z
3相給電線 16 汎用移動子の線状電極 16a,16b,16c 移動子の駆動電極 61a,61b 移動子の絶縁フィルム(絶縁層) 91 電極織物(汎用固定子9に相当) 92a,92b 固定子の絶縁フィルム(絶縁層)
3相給電線 12,12A,12B,12C 駆動装置 14a,14b,14c 駆動横電極 14x,14y,14z 駆動縦電極 14 絶縁被覆付きの線状電極 14' 絶縁被覆付きの導電性線材 15a,15b,15c,15x,15y,15z
3相給電線 16 汎用移動子の線状電極 16a,16b,16c 移動子の駆動電極 61a,61b 移動子の絶縁フィルム(絶縁層) 91 電極織物(汎用固定子9に相当) 92a,92b 固定子の絶縁フィルム(絶縁層)
Claims (6)
- 【請求項1】 複数相に接続される複数の駆動電極が一
方向又は互いに直交する二方向に所定の電極ピッチで相
順に繰り返し配列されてなる固定子と、該固定子の表面
に配置され、前記複数の駆動電極に相毎に印加する電圧
を変化させることで静電駆動力を付与される移動子とを
備えてなる静電アクチュエータであって、 前記固定子は、複数の線状電極が一方向又は互いに直交
する二方向に所定のピッチで配設されてなると共に、前
記各駆動電極は、連続する複数本の前記線状電極を同相
に接続してなることを特徴とする静電アクチュエータ。 - 【請求項2】 前記固定子は、前記一方向に配列された
複数の前記線状電極となる裸の又は絶縁被覆付きの導電
性線材と、絶縁性線材又は前記一方向に直交する方向に
配列された複数の前記線状電極ともなる絶縁被覆付きの
導電性線材とが互いに縦糸・横糸となって織り込まれた
電極織物からなることを特徴とする請求項1記載の静電
アクチュエータ。 - 【請求項3】 複数相に接続される複数の駆動電極が一
方向又は互いに直交する二方向に所定の電極ピッチで相
順に繰り返し配列されてそれぞれなる固定子と移動子と
を有し、これら固定子と移動子とにおける複数の駆動電
極に相毎に印加する電圧を変化させることで前記移動子
に静電駆動力を付与する静電アクチュエータであって、 前記固定子及び移動子は、それぞれ、複数の線状電極が
一方向又は互いに直交する二方向に所定のピッチで配設
されてなると共に、前記各駆動電極は、連続する複数本
の前記線状電極を同相に接続してなることを特徴とする
静電アクチュエータ。 - 【請求項4】 少なくとも前記移動子は、前記一方向に
配列された複数の前記線状電極となる裸の又は絶縁被覆
付きの導電性線材と、絶縁性線材又は前記一方向に直交
する方向に配列された複数の前記線状電極ともなる絶縁
被覆付きの導電性線材とが互いに縦糸・横糸となって織
り込まれた電極織物からなることを特徴とする請求項3
記載の静電アクチュエータ。 - 【請求項5】 前記電極織物の少なくとも移動子と相対
向する側の面又は固定子と相対向する側の面には絶縁層
が設けられていることを特徴とする請求項2又は4記載
の静電アクチュエータ。 - 【請求項6】 前記駆動電極と隣の前記駆動電極との間
には単数又は複数本の線状電極が介挿されていて、これ
ら線状電極の両端は、電気的に開端状態になされている
ことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の静
電アクチュエータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13096094A JPH07322647A (ja) | 1994-05-21 | 1994-05-21 | 静電アクチュエータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13096094A JPH07322647A (ja) | 1994-05-21 | 1994-05-21 | 静電アクチュエータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07322647A true JPH07322647A (ja) | 1995-12-08 |
Family
ID=15046660
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13096094A Pending JPH07322647A (ja) | 1994-05-21 | 1994-05-21 | 静電アクチュエータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07322647A (ja) |
-
1994
- 1994-05-21 JP JP13096094A patent/JPH07322647A/ja active Pending
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