JPH0733672B2 - ニューマチックケーソン用土砂搬出装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ニューマチックケーソ
ン工法の掘削土砂を大気圧に搬出する土砂搬出装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】ケーソンは通常、地上において鉄筋コン
クリートで製作され、作業室に圧縮空気を送って地下水
を排除しながら掘削し、土砂バケットでマテリアルロッ
クを通して大気圧下へ搬出されている。この場合、マテ
リアルロックで加圧、減圧を行うので時間がかかり、圧
縮空気も消費され能率が低下するという問題がある。ま
た、減圧時、マテリアルロックからの圧縮空気の排気に
よる騒音が発生するという問題もある。

【０００３】これらの問題を解決するため、特開昭５８
−２０８２９号、特開昭６３−１１０３２２、特開昭６
３−２０６５２４号、特開昭６０−１８１４２２号が提
案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来例の
うち、特開昭５８−２０８２９号、特開昭６３−１１０
３２２、特開昭６３−２０６５２４号によると、土砂は
ケーソン作業室スラブ上に搬出され、沈下促進のためケ
ーソン内に荷重となる水を入れた場合、水中に排出され
た土砂は、地上搬出機、土砂と水を分離しなければなら
ず、また、いずれも設備が非常に大きくなる。

【０００５】更に、従来例のうち、特開昭５８−２０８
２９号、特開昭６０−１８１４２２号においては、シャ
フトの最高所に移動可能なクレーンが設置され、土砂搬
出の度に移動をしなければならず、シャフト全体の強度
上の不安がある。更にまた、ケーソンの沈下に伴い、シ
ャフトを継ぎ足す作業が必要であるが、従来例の場合、
重量のある頂部のシャフトを外して継ぎ足し作業を行わ
なければならない。

【０００６】本発明は、斯かる課題を解決するためにな
されたもので、その目的とするところは、作業室におけ
るクラムシェルバケットの着地時の転倒を防止しつつ、
掘削した土砂を少ない圧縮空気の消費でそのまま搬出で
きるようにすると共に、ケーソンの沈下に伴うシャフト
の継ぎ足しを容易に行うことができるニューマチックケ
ーソン用土砂搬出装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前述目的を達成するため
に、本発明は、ケーソン本体のスラブ上に立設された圧
力容器と、スラブの下部に形成され開口部を介して前記
圧力容器と連通する作業室とを備え、作業室にて掘削し
た土砂を外部に搬出するニューマチックケーソン用土砂
搬出装置において、前記圧力容器の近傍に該圧力容器と
気密に連通するオーブンシャフトを立設すると共に、圧
力容器内に、クラムシェルバケットを案内に沿いあるい
は複数のワイヤロープで昇降・移動させるバケット移送
手段と、前記クラムシェルバケットから受取った土砂
を、圧力容器側からオープンシャフト側に向け移送する
土砂移送手段とを設けたことを特徴とする。

【０００８】

【作用】前記構成により、本発明においては、高気圧下
の作業室で掘削した土砂をクラムシェルバケットにより
圧力容器内に持ち上げ、この土砂を一旦オープンシャフ
トに移してから外部に搬出するものであるが、クラムシ
ェルバケットを案内に沿ってあるいは複数のワイヤロー
プで昇降・移動させるバケット移送手段を設けたことに
より、クラムシェルバケットの着地時の転倒を防ぐと共
に、搬出スペースの有効利用を図ることができる。ま
た、掘削した土砂を圧力容器から直接外部に搬出しよう
とすると、圧力容器および作業室内を高気圧に維持する
必要から、圧縮空気量の消費も多くハッチの開閉作業も
煩雑となるため、前記圧力容器の近傍に該圧力容器と気
密に連通するオープンシャフトを立設し、圧力容器側の
土砂を土砂移送手段により、一旦オープンシャフト側に
移送してから外部に搬出することで、掘削した土砂をそ
のまま搬出可能とし、更にケーソンの沈下に伴うシャフ
トの継ぎ足し等をも容易にすることができる。

【０００９】

【実施例】以下、図面に基づき本発明の好ましい実施例
を説明する。図１に、本発明に係るニューマチックケー
ソン用土砂搬出装置の全体構成を示す。同図において、
ケーソン本体１のスラブ２の上部に鋼製の圧力容器３を
立設し、この圧力容器３の上部にハッチ４を介してシャ
フト５を設けている。また、スラブ２の下部に、その略
中央位置に穿設された開口部６を介して作業室７を形成
している。この作業室７で掘削された土砂を、クラムシ
ェルバケット８により圧力容器３内に持ち上げ、後述の
オープンシャフト１０側に向け移送し外部に搬出する。

【００１０】圧力容器３の内部は高気圧に保持されてい
て、作業室７の内部も高気圧に保たれている。また、ス
ラブ２の内側裏面には、前記開口部５を閉じるためのハ
ッチ９が設けられていて、圧力容器３と作業室７とが仕
切れるようになっている。なお、ケーソン本体１内に
は、該ケーソンの沈下を促進するための荷重として水が
満たされている。

【００１１】以上において、図１および図２に示すよう
に、スラブ２上で圧力容器３の近傍に、該圧力容器３と
接続管１８を介して気密に連通するオープンシャフト１
０を立設している。このオープンシャフト１０は大気圧
状態になっていて、その内部に、前記とは別体のクラム
シェルバケット１１を設けている。また、圧力容器３内
に、クラムシェルバケット８を案内に沿って昇降自在に
移動させるバケット移送手段と、圧力容器３内に持ち上
げた土砂をオープンシャフト１０側に移送する土砂移送
手段を設けている。

【００１２】バケット移送手段は、クラムシェルバケッ
ト８を巻き上げ・巻き下げするウィンチ１２と、クラム
シェルバケット８を圧力容器３から作業室７に至るまで
移動自在にガイドする固定ガイドレール１３、およびこ
の固定ガイドレール１３に接続されたスライドガイドレ
ール１４とから成る。そして、クラムシェルバケット８
は、この固定ガイドレール１３およびスライドガイドレ
ール１４に沿って昇降する。これにより、作業室７にお
けるクラムシェルバケット８の着地時の転倒を防止する
と共に、搬出スペースを小さくしてスペースの有効利用
を図ることができる。

【００１３】固定ガイドレール１３は、土砂移送手段と
の干渉を避けるため一部をカーブさせている。また、ス
ライドガイドレール１４は、図３に示すように、内外に
伸縮自在な２本のレール１４ａ，１４ｂを有していて、
クラムシェルバケット８の降下と共に伸長し、クラムシ
ェルバケット８が上昇すれば縮小する。

【００１４】土砂移送手段は、クラムシェルバケット８
からの土砂を受け入れるホッパ１５と、該ホッパ１５か
らの土砂を気密なロータリフィーダ１６を介してオープ
ンャフト１０側に移送するスクリュフィーダ１７とから
成る。すなわち、気密なロータリーフィーダ１６を用い
ることにより、圧力容器３内を高気圧に保持しつつ、土
砂を大気圧下のオープンシャフト１０側に移送すること
ができる。

【００１５】図４（ａ）（ｂ）は、スライドガイドレー
ル１４の詳細を示す図である。同図において、外側のレ
ール１４ａはスラブ２の開口部６に固定されたガイドロ
ーラ１９に沿い上下移動可能とされ、ワイヤ２３により
シーブ２０を介してウェイト２１と接続されている。ま
た、内側のレール１４ｂはその下端部にクラムシェルバ
ケット８に当接するストッパ２２を有している。

【００１６】動作を説明すると、図４（ａ）のように、
クラムシェルバケット８が降下してスライドガイドレー
ル１４ｂの下端に到達し、ストッパ２２に当たると、ス
ライドガイドレール１４にクラムシェルバケット８の自
重が加わって、ウェイト２１よりも重くなり、スライド
ガイドレール１４はガイドローラ１９に沿って下降す
る。

【００１７】こうして、図４（ｂ）のように、クラムシ
ェルバケット８が作業室７の掘削面に着地し、土砂をか
き込む。その後、ウィンチ１２を巻き上げてクラムシェ
ルバケット８が上昇するときは、スライドガイドレール
１４からクラムシェルバケット８の自重が除かれるた
め、スライドガイドレール１４はウェイト２１よりも軽
くなり、クラムシェルバケット８と共に上昇して元の位
置に戻る。

【００１８】図５は、ウェイト２１の代わりにシリンダ
２４を用いた実施例を示すものである。すなわち、外側
のレール１４ａはワイヤ２３によりシーブ２０を介して
シリンダ２４と接続している。これによれば、自重によ
ることなく、より確実にスライドガイドレール１４を昇
降制御することができる。

【００１９】図６は、図１〜図５に示した各々の装置を
夫々他の装置に置き換えた場合の全体構成を示す。この
実施例では、前記バケット移送手段１２，１３，１４の
代わりに、図６および図７（ａ）のように、クラムシェ
ルバケット８を巻上げるウィンチ１１２ａと、このウィ
ンチ１１２ａを載置する台車１１２ｃ、およびこの台車
１１２ｃを走行レール１１２ｂに沿いホッパ１５位置に
移動させるモータ１１２ｄと、直線状の固定ガイドレー
ル１１３とを用いたものであり、前記ウィンチ１１２ａ
が巻上げ位置Ａとホッパ１５への排出位置Ｂとの間を走
行することができる。なお、図７（ｂ）のように、台車
１１２ｃの駆動源として、前記モータ１１２ｄの代わり
に、その作動杆が往復摺動するシリンダ１１２ｅを用
い、このシリンダ１１２ｅによって台車１１２ｃを走行
させる構成とすることもできる。

【００２０】図８は、クラムシェルバケット８を巻上げ
る巻上ウィンチとして、バケット８の回転を防ぐために
複数（２本）のワイヤロープで吊る形式の巻上ウィンチ
２１０（ドラム２１０ａとモータ２１０ｂとから成る）
を用いた実施例を示している。この実施例によれば、前
に述べた実施例と比較して、ガイドを必要としないので
構造が簡単であり、また、コストが低くメンテナンスも
容易である。

【００２１】以上において、図６に示した代用装置を用
い、作業室７で掘削した土砂を搬出するときは、図７
（ａ）の台車１１２ｃを作業室開口部６の真上に移動さ
せ、クラムシェルバケット８を降ろし、このバケット８
に土砂を積載してからウィンチ１１２ａ（または２１
０）で巻上げる。更に、このバケット８を台車１１２ｃ
によりホッパ１５上に移動させ、バケット８を開放す
る。

【００２２】次に、前記バケット移送手段により圧力容
器３内に持ち上げられた土砂を、オープンシャフト１０
を介して外部に搬出するまでの動作について、図１に基
づき説明する。作業室７にて土砂を取り込んだクラムシ
ェルバケット８は、ウィンチ１２により巻き上げられて
スライドガイドレール１４および固定ガイドレール１３
に沿い圧力容器３の上部に持ち上げられ、ここで土砂は
ホッパ１５に放出される。ホッパ１５内の土砂は、気密
なロターリーフィーダ１６を通ってスクリューフィーダ
１７により接続管１８からオープンシャフト１０内に蓄
積される。オープンシャフト１０内の土砂は、クラムシ
ェルバケット１１により上方に持ち上げられ、外部に排
出される。なお、圧力容器３内の装置を修理あるいは撤
去するときは、スラブ２裏面に設けたハッチ９を締め、
圧力容器３内を減圧して大気圧下で作業を行うことがで
きる。

【００２３】次に、図９（ａ）（ｂ）は、前記ロータリ
ーフィーダ１６の代わりに、反転式のロータリーフィー
ダ１１６を用いた場合の実施例を示している。この実施
例では、ホッパ１５の下部に膨大状のケーシング１１６
ｂを有し、このケーシング１１６ｂ内には回転可能なバ
ケット１１６ａが収容されている。また、このケーシン
グ１１６ｂは、その下部がシュート１１７に連通してお
り、かつケーシング１１６ｂの上下部には、圧気を逃が
さないようにハッチ１１６ｃ，１１６ｄを設けている。

【００２４】このロータリーフィーダ１１６の動作は、
図９（ａ）のように、まず上部のハッチ１１６ｃを開
き、下部のハッチ１１６ｄを閉めた状態で、クラムシェ
ルバケット８からホッパ１５に土砂を投入する。続い
て、図９（ｂ）のように、上部のハッチ１１６ｃを閉
め、下部のハッチ１１６ｄを開く。そして、バケット１
１６ａをモータ（図示せず）により１８０°反転させ、
土砂をシュート１１７内に落とす。土砂を落とし終えた
ら、更にバケット１１６ａを１８０°回転させ、元の状
態に戻る。すなわち、この実施例によれば、少ない圧縮
空気の消費で効率良く土砂をオープンシャフト１０側に
移送することができる。

【００２５】なお、前記スクリューコンベア１７の代わ
りに、図１０のように、シュート１１７の勾配を大きく
とることにより、重力を利用して土砂を搬出することも
できる。これによれば、駆動源を必要とせず簡単な構成
とすることができる。更に、前記スクリューコンベア１
７の代わりに、図１１に示すように、プレートフィーダ
により土砂の搬出を行うこともできる。すなわち、プレ
ートフイーダ１１７は、ホッパ１１７ａとプレーチ１１
７ｂおよびシリンダ１１７ｄを含み、プレート１１７ｂ
は略直線状に配置されたローラ１１７ｃに沿って摺動す
るようになっている。

【００２６】このプレートフイーダ１１７の動作は、図
１２（ａ）〜（ｄ）のように、シリンダ１１７ｄの作動
杆を縮めた状態から（図１２（ａ））、作動杆を伸ばし
てプレート１１７ｂを後方（矢印方向）に移動させるこ
とで土砂を蓄積し（図１２（ｂ））、次に作動杆を縮め
てプレート１１７ｂを前方（矢印方向）に移動させ（図
１２（ｃ））、このプレート１１７ｂと共に土砂を前方
に移動させる。更に、作動杆を伸ばしてプレート１１７
ｂを後方（矢印方向）に移動させ（図１２（ｄ））、前
記と同様の動作を繰り返すことにより、土砂を順次前方
に移動させれば、土砂はやがてプレート１１７ｂから下
方へ落下する。

【００２７】

【発明の効果】本発明は以上説明した通り、ケーソン本
体のスラブ上に立設された圧力容器と、スラブの下部に
形成され開口部を介して前記圧力容器と連通する作業室
とを備え、作業室にて掘削した土砂を外部に搬出するニ
ューマチックケーソン用土砂搬出装置において、前記圧
力容器の近傍に該圧力容器と気密に連通するオープンシ
ャフトを立設すると共に、圧力容器内に、クラムシェル
バケットを案内に沿いあるいは複数のワイヤロープで昇
降・移動させるバケット移送手段と、前記クラムシェル
バケットから受取った土砂を、圧力容器側からオープン
シャフト側に向け移送する土砂移送手段とを設けたこと
で、作業室におけるクラムシェルバケットの着地時の転
倒を防止しつつ、掘削した土砂をそのまま搬出すること
ができる。また、ケーソンの沈下に伴うシャフトの継ぎ
足しも極めて容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るニューマチックケーソン用土砂搬
出装置の断正面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線に沿う断面図である。

【図３】図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿う断面図である。

【図４】（ａ）（ｂ）は、夫々スライドガイドレールの
動作状態を示す図である。

【図５】スライドガイドレールを昇降させる場合の他の
実施例を示す図である。

【図６】図１の土砂搬出装置に、夫々の代用装置を組合
わせた場合の断正面図を示すものである。

【図７】（ａ）は巻上げたバケットをモータにより移動
させる状態を示す図、（ｂ）は巻上げたバケットをシリ
ンダにより移動させる状態を示す図である。

【図８】複数のワイヤロープでバケットを巻上げる実施
例を示す図である。

【図９】（ａ）（ｂ）は、ロータリーフィーダの動作状
態を示す図である。

【図１０】重力利用のシュートにより土砂を搬出する状
態を示す図である。

【図１１】プレートフィーダの構成を示す図である。

【図１２】（ａ）〜（ｄ）は、プレートフィーダの動作
状態を示す図である。

【符号の説明】

１ ケーソン本体 ２ スラブ ３ 圧力容器 ４ ハッチ ５ シャフト ６ 開口部 ７ 作業室 ８，１１ クラムシェルバケット １０ オープンシャフト １２，１１２ａ ウィンチ １３，１１３ 固定ガイドレール １４ スライドガイドレール １５ ホッパ １６，１１６ ロータリーフィーダ １７ スクリューフィーダ １１７ シュート ２０ シーブ ２１ ウェイト ２３ ワイヤ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000219406 東亜建設工業株式会社 東京都千代田区四番町５ (71)出願人 000222668 東洋建設株式会社 大阪府大阪市中央区高麗橋４丁目１番１号 (72)発明者 岡原 美知夫 茨城県つくば市大字旭１番地 建設省土木 研究所内 (72)発明者 糠沢 宏二 東京都文京区音羽２丁目10番２号 財団法 人 先端建設技術センター内 (72)発明者 平田 忠積 岡山県岡山市内山下１丁目１番13号 株式 会社 大本組内 (72)発明者 角田 治郎 東京都中央区新川１丁目24番４号 大豊建 設株式会社内 (72)発明者 植村 比三彦 東京都千代田区四番町５ 東亜建設工業株 式会社内 (72)発明者 北井 元 大阪府大阪市中央区高麗橋４丁目１番１号 東洋建設株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーソン本体（１）のスラブ（２）上に
   立設された圧力容器（３）と、スラブ（２）の下部に形
   成され開口部（６）を介して前記圧力容器（３）と連通
   する作業室（７）とを備え、作業室（７）にて掘削した
   土砂を外部に搬出するニューマチックケーソン用土砂搬
   出装置において、 前記圧力容器（３）の近傍に該圧力容器（３）と気密に
   連通するオープンシャフト（１０）を立設すると共に、
   圧力容器（３）内に、クラムシェルバケット（８）を案
   内に沿いあるいは複数のワイヤロープで昇降・移動させ
   るバケット移送手段と、前記クラムシェルバケット
   （８）から受取った土砂を、圧力容器（３）側からオー
   プンシャフト（１０）側に向け移送する土砂移送手段
   と、を設けたことを特徴とするニューマチックケーソン
   用土砂搬出装置。