JPH07336137A - 正弦波発振回路 - Google Patents

正弦波発振回路

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JPH07336137A
JPH07336137A JP14556094A JP14556094A JPH07336137A JP H07336137 A JPH07336137 A JP H07336137A JP 14556094 A JP14556094 A JP 14556094A JP 14556094 A JP14556094 A JP 14556094A JP H07336137 A JPH07336137 A JP H07336137A
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electrodes
sine wave
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毅 池田
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  • Semiconductor Integrated Circuits (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 より少ない種類の部品を組み合わせて簡単に
正弦波を発生でき、しかも半導体基板上に一体形成が可
能な正弦波発振回路を提供すること。 【構成】 正弦波発振回路1は、反転増幅器として機能
するインバータ論理回路10と、半導体基板上に形成さ
れたLC素子12とを含んでいる。LC素子12は、半
導体基板上であってほぼ同心状にほぼ平行に形成された
渦巻き形状の第1および第2のスパイラル電極と、これ
らの電極のそれぞれにp領域とn領域とが接続された渦
巻き形状のpn接合層を含んでいる。各電極がインダク
タ導体として機能するとともに電磁結合されてトランス
の捲線の機能を有し、各インダクタ導体間にはpn接合
層による分布定数的なキャパシタが形成されている。こ
のように、正弦波発振回路1の各構成部品は半導体基板
上に形成可能であり、全体を一体形成することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、LC共振を利用して所
定周波数の正弦波信号を得る正弦波発振回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、通信等各種分野において正弦
波が使われており、この正弦波を得る発振回路も種々の
ものが知られている。例えば高周波の正弦波を得ること
ができる代表的な回路として、コルピッツ型,ハートレ
ー型あるいはベース同調型等のLC共振を利用した各種
正弦波発振回路が知られている。
【0003】これらの各種正弦波発振回路は、いずれも
原理的にはトランジスタ等の増幅器とLC回路を組み合
わせて構成されており、所望の発振周波数の正弦波を得
るために各素子定数を決定する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の正弦
波発振回路は、LC回路を構成するインダクタとキャパ
シタとを個別に用意して組み合わせていたため、設計の
自由度が増す反面、設計者等が決定する素子定数が多く
て設計が複雑になる。特に、正弦波を使用する装置によ
っては、より少ない種類の部品を組み合わせるだけで簡
単に所望の発振周波数を有することができれば便利であ
る。
【0005】また、LC回路を構成するインダクタはコ
アやボビンに巻線を施すものが多く、一般には集積化に
不向きである。したがって、LC回路を含む正弦波発振
回路の全体をIC化しようとした場合であっても、イン
ダクタのみは外付けしなければならないという不都合が
あり、回路全体を半導体基板上に一体形成することがで
きないという問題があった。
【0006】本発明は、このような点に鑑みて創作され
たものであり、その目的はより少ない種類の部品を組み
合わせて簡単に正弦波を発生させることができる正弦波
発振回路を提供することにある。
【0007】また、本発明の他の目的は、回路全体を半
導体基板上に一体形成可能な正弦波発振回路を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1の正弦波発振回路は、入力信号を増幅
するとともに位相反転を行う反転増幅器と、半導体基板
上にほぼ並行に形成されて一次および二次捲線としての
機能を有する2本のインダクタ導体を有し、これら2本
のインダクタ導体による2本のインダクタとそれらの間
のキャパシタとが分布定数的に形成されているLC素子
と、を備え、前記反転増幅器の出力側を前記LC素子の
一次側に接続するとともに、前記LC素子の二次側を一
次側と逆相となるように前記反転増幅器の入力側に接続
することを特徴とする。
【0009】請求項2の正弦波発振回路は、請求項1の
正弦波発振回路において、前記反転増幅器をインバータ
論理回路により構成することを特徴とする。
【0010】請求項3の正弦波発振回路は、請求項1の
正弦波発振回路において、前記反転増幅器をソース接地
回路あるいはエミッタ接地回路により構成することを特
徴とする。
【0011】請求項4の正弦波発振回路は、請求項1〜
3のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC素子
は、同一平面内でほぼ同心状で隣接して配置されてお
り、前記2本のインダクタ導体として機能する渦巻き形
状の2つの電極と、前記半導体基板の表面近傍であって
前記2つの電極に沿った位置に形成され、これら2つの
電極のいずれか一方にp領域が、他方にn領域が電気的
に接続されており、逆バイアス電圧を印加することによ
り前記キャパシタとして動作する渦巻き形状のpn接合
層と、を備えることを特徴とする。
【0012】請求項5の正弦波発振回路は、請求項1〜
3のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC素子
は、前記半導体基板を挟んでほぼ対向して配置されてお
り、前記2本のインダクタ導体として機能する渦巻き形
状の2つの電極と、前記半導体基板内であって前記2つ
の電極に挟まれた位置に形成され、これら2つの電極の
いずれか一方にp領域が、他方にn領域が電気的に接続
されており、逆バイアス電圧を印加することにより前記
キャパシタとして動作する渦巻き形状のpn接合層と、
を備えることを特徴とする。
【0013】請求項6の正弦波発振回路は、請求項1〜
3のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC素子
は、同一平面内でほぼ平行に隣接して配置されており、
前記2本のインダクタ導体として機能する蛇行形状の2
つの電極と、前記半導体基板の表面近傍であって前記2
つの電極に沿った位置に形成され、これら2つの電極の
いずれか一方にp領域が、他方にn領域が電気的に接続
されており、逆バイアス電圧を印加することにより前記
キャパシタとして動作する蛇行形状のpn接合層と、を
備えることを特徴とする。
【0014】請求項7の正弦波発振回路は、請求項1〜
3のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC素子
は、前記半導体基板を挟んでほぼ対向して配置されてお
り、前記2本のインダクタ導体として機能する蛇行形状
の2つの電極と、前記半導体基板内であって前記2つの
電極に挟まれた位置に形成され、これら2つの電極のい
ずれか一方にp領域が、他方にn領域が電気的に接続さ
れており、逆バイアス電圧を印加することにより前記キ
ャパシタとして動作する渦巻き形状のpn接合層と、を
備えることを特徴とする。
【0015】請求項8の正弦波発振回路は、請求項4〜
7のいずれかの正弦波発振回路において、前記2つの電
極のいずれか一方の長さを他方に比べて短く形成するこ
とを特徴とする。
【0016】請求項9の正弦波発振回路は、請求項4〜
8のいずれかの正弦波発振回路において、前記pn接合
層に印加する逆バイアス電圧を変更することにより、前
記LC素子内に分布定数的に形成されるキャパシタの容
量値を変えることを特徴とする。
【0017】請求項10の正弦波発振回路は、請求項1
〜3のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC素
子は、MOS構造におけるゲートを形成する渦巻き形状
の電極と、前記渦巻き形状の電極と前記半導体基板との
間に形成された絶縁層と、前記半導体基板内にあって、
前記渦巻き形状の電極に対応して形成されるチャネルの
両端付近に形成されてソースおよびドレインとして機能
する第1および第2の拡散領域と、を備え、前記渦巻き
形状の電極とこれに対応して形成されるチャネルのそれ
ぞれを前記2本のインダクタ導体として使用することを
特徴とする。
【0018】請求項11の正弦波発振回路は、請求項1
〜3のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC素
子は、MOS構造におけるゲートを形成する蛇行形状の
電極と、前記蛇行形状の電極と前記半導体基板との間に
形成された絶縁層と、前記半導体基板内にあって、前記
蛇行形状の電極に対応して形成されるチャネルの両端付
近に形成されてソースおよびドレインとして機能する第
1および第2の拡散領域と、を備え、前記蛇行形状の電
極とこれに対応して形成されるチャネルのそれぞれを前
記2本のインダクタ導体として使用することを特徴とす
る。
【0019】請求項12の正弦波発振回路は、請求項1
〜3のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC素
子は、MOS構造におけるゲートを形成する渦巻き形状
の第1の電極と、渦巻き形状の前記第1の電極と前記半
導体基板との間に形成された絶縁層と、前記半導体基板
表面であって、前記第1の電極と同心状で隣接して形成
された渦巻き形状の第2の電極と、前記半導体基板内に
あって、渦巻き形状の前記第1の電極に対応して形成さ
れるチャネルの両端付近に形成されてソースおよびドレ
インとして機能する第1および第2の拡散領域と、を備
え、渦巻き形状の前記第1の電極に対応して形成される
チャネルと前記第2の電極のそれぞれを前記2本のイン
ダクタ導体として使用することを特徴とする。
【0020】請求項13の正弦波発振回路は、請求項1
〜3のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC素
子は、MOS構造におけるゲートを形成する蛇行形状の
第1の電極と、蛇行形状の前記第1の電極と前記半導体
基板との間に形成された絶縁層と、前記半導体基板表面
であって、前記第1の電極に沿ってほぼ平行に隣接して
形成された蛇行形状の第2の電極と、前記半導体基板内
にあって、蛇行形状の前記第1の電極に対応して形成さ
れるチャネルの両端付近に形成されてソースおよびドレ
インとして機能する第1および第2の拡散領域と、を備
え、蛇行形状の前記第1の電極に対応して形成されるチ
ャネルと前記第2の電極のそれぞれを前記2本のインダ
クタ導体として使用することを特徴とする。
【0021】請求項14の正弦波発振回路は、請求項1
〜3のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC素
子は、前記半導体基板の一方の面側に形成され、MOS
構造におけるゲートを形成する渦巻き形状の第1の電極
と、渦巻き形状の前記第1の電極と前記半導体基板との
間に形成された絶縁層と、前記半導体基板の他方の面側
に形成され、前記第1の電極とほぼ対向する位置に形成
された渦巻き形状の第2の電極と、前記半導体基板内に
あって、渦巻き形状の前記第1の電極に対応して形成さ
れるチャネルの両端付近に形成されてソースおよびドレ
インとして機能する第1および第2の拡散領域と、を備
え、渦巻き形状の前記第1の電極に対応して形成される
チャネルと前記第2の電極のそれぞれを前記2本のイン
ダクタ導体として使用することを特徴とする。
【0022】請求項15の正弦波発振回路は、請求項1
〜3のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC素
子は、前記半導体基板の一方の面側に形成され、MOS
構造におけるゲートを形成する蛇行形状の第1の電極
と、蛇行形状の前記第1の電極と前記半導体基板との間
に形成された絶縁層と、前記半導体基板の他方の面側に
形成され、前記第1の電極とほぼ対向する位置に形成さ
れた蛇行形状の第2の電極と、前記半導体基板内にあっ
て、蛇行形状の前記第1の電極に対応して形成されるチ
ャネルの両端付近に形成されてソースおよびドレインと
して機能する第1および第2の拡散領域と、を備え、蛇
行形状の前記第1の電極に対応して形成されるチャネル
と前記第2の電極のそれぞれを前記2本のインダクタ導
体として使用することを特徴とする。
【0023】請求項16の正弦波発振回路は、請求項1
0または11のいずれかの正弦波発振回路において、前
記半導体基板表面近傍であって前記チャネルが形成され
る位置の少なくとも一部に予めキャリアを注入するとと
もに、前記渦巻き形状あるいは前記蛇行形状の電極に対
して前記チャネルの長さを長くあるいは短く設定するこ
とにより、渦巻き形状あるいは蛇行形状の前記電極と前
記チャネルとを部分的に対向させることを特徴とする。
【0024】請求項17の正弦波発振回路は、請求項1
2〜15のいずれかの正弦波発振回路において、前記第
1および第2の電極のいずれか一方の長さを他方に比べ
て短く形成することにより、渦巻き形状あるいは蛇行形
状の前記第2の電極と前記チャネルとを部分的に対向さ
せることを特徴とする。
【0025】請求項18の正弦波発振回路は、請求項1
0〜15,17のいずれかの正弦波発振回路において、
前記半導体基板表面近傍であって前記チャネルが形成さ
れる位置に、予めキャリアを注入することを特徴とす
る。
【0026】請求項19の正弦波発振回路は、請求項1
0〜18のいずれかの正弦波発振回路において、前記ゲ
ートを形成する電極に印加するゲート電圧を変更するこ
とにより、前記チャネルが有する抵抗値を可変に制御す
ることを特徴とする。
【0027】請求項20の正弦波発振回路は、請求項1
〜3のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC素
子は、前記半導体表面に直接あるいは第1の絶縁層を挟
んで形成された渦巻き形状の第1の電極と、前記第1の
電極の表面に形成された第2の絶縁層と、前記第1の電
極とほぼ対向する位置に前記第2の絶縁層を挟んで形成
された渦巻き形状の第2の電極と、を備え、前記第1お
よび第2の電極のそれぞれを前記2本のインダクタ導体
として使用することを特徴とする。
【0028】請求項21の正弦波発振回路は、請求項1
〜3のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC素
子は、前記半導体表面に直接あるいは第1の絶縁層を挟
んで形成された蛇行形状の第1の電極と、前記第1の電
極の表面に形成された第2の絶縁層と、前記第1の電極
とほぼ対向する位置に前記第2の絶縁層を挟んで形成さ
れた蛇行形状の第2の電極と、を備え、前記第1および
第2の電極のそれぞれを前記2本のインダクタ導体とし
て使用することを特徴とする。
【0029】請求項22の正弦波発振回路は、請求項2
0または21の正弦波発振回路において、前記第2の絶
縁層は、前記第1の電極を酸化することにより形成され
た酸化膜であることを特徴とする。
【0030】請求項23の正弦波発振回路は、請求項2
0または21の正弦波発振回路において、前記第2の絶
縁層は、化学気相法により形成された半導体酸化膜ある
いは窒化膜であることを特徴とする。
【0031】請求項24の正弦波発振回路は、請求項2
0〜23のいずれかの正弦波発振回路において、前記第
1および第2の電極のいずれか一方の長さを他方に比べ
て短く形成することを特徴とする。
【0032】請求項25の正弦波発振回路は、請求項1
〜24のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC
素子と前記反転増幅器を共通する前記半導体基板上に一
体形成することを特徴とする。
【0033】
【作用】請求項1の正弦波発振回路は、反転増幅器の出
力を半導体基板上に形成されたLC素子の一次側に入力
するとともに、このLC素子の二次側から出力される逆
相の信号を再び反転増幅器に入力している。したがっ
て、信号の位相のみに着目すると、LC素子において1
80度位相がずれ、さらに反転増幅器によって位相が1
80度位相がずれるため、出力される信号の位相と一巡
して戻ってくる信号の位相とが一致する。しかも、上述
したLC素子は、2本のインダクタ導体がほぼ並行して
それらの間に分布定数的なキャパシタが形成されるよう
に配置されているため、これらのインダクタンスおよび
キャパシタンスにより決定される特定周波数が選択的に
伝達され、この特定周波数の信号のみが増幅されて正弦
波発振が行われる。
【0034】このように、請求項1の発明によれば、反
転増幅器とLC素子とを接続するだけで正弦波発振が行
われており、より少ない種類の部品を組み合わせるだけ
で簡単に正弦波を発生させることができる。
【0035】さらに、上述したLC素子は半導体基板上
に形成さているため、反転増幅器を含む全ての部品を半
導体基板上に形成することが可能であり、半導体製造技
術を利用した大量生産や回路の小型化が可能となる。特
に、これら各部品は1つの半導体基板上に形成すること
もでき、この場合は回路全体を半導体基板上に一体形成
することになるため、大量生産や回路の小型化がさらに
容易になる。
【0036】また、請求項2または3の正弦波発振回路
は、上述した反転増幅器をインバータ論理回路やトラン
ジスタを利用したソース接地回路あるいはエミッタ接地
回路により構成している。すなわち、これらはいずれも
入力信号の論理を反転させて出力すると同時に入力信号
の電圧レベルを増幅するものであり、このような構造が
単純な反転増幅器とLC素子とを組み合わせるだけで、
簡単に正弦波を発生させることができる。特に、上述し
たインバータ論理回路やソース接地回路あるいはエミッ
タ接地回路は一般には半導体基板上に形成されるもので
あり、他の部品とともに一体形成する場合にさらに好都
合となる。
【0037】請求項4〜7の正弦波発振回路は、上述し
た請求項1〜3で用いたLC素子の具体的構成を示した
第1の例を示したものである。
【0038】請求項4の発明によれば、半導体基板上で
あって同心状に隣接して配置された渦巻き形状の2つの
電極と、これら2つの電極に沿って形成された渦巻き形
状のpn接合層とにより上述したLC素子が形成されて
いる。このpn接合層に逆バイアス電圧を印加すること
により、渦巻き形状のキャパシタが形成される。したが
って、2つの電極のそれぞれにより形成されるインダク
タとこのキャパシタとが半導体基板上に分布定数的に形
成されることになる。特に、このLC素子は、半導体製
造技術を用いて半導体基板に形成されるため、反転増幅
器等のそれ以外の部品とともに半導体基板上に一体形成
する際に好都合となる。
【0039】また、請求項5の発明によれば、請求項4
において半導体基板上に同心状に設けられていた渦巻き
形状の2つの電極を互いに半導体基板を挟んで対向配置
することによりLC素子を形成しており、これにより各
電極によるインダクタとその間のpn接合層によるキャ
パシタとが分布定数的に形成されることになる。請求項
4のLC素子と同様に、このLC素子は半導体製造技術
を用いて半導体基板に形成されるため、反転増幅器等の
それ以外の部品とともに一体形成する際に好都合とな
る。
【0040】また、請求項6,7の発明によれば、請求
項4,5における電極を渦巻き形状から蛇行形状に置き
換えることによりLC素子が形成されている。一般に
は、導体を渦巻き形状に形成することによりインダクタ
として機能させることができるが、使用する周波数帯域
によっては導体を蛇行形状とした場合でもインダクタと
して機能させることができる。すなわち、電極を蛇行形
状に形成した場合には、各凹凸部の1つ1つが約1/2
ターンのコイルとなってこれらが直列に接続されるた
め、電極全体が所定のインダクタンスを有するインダク
タとして機能する。特に、使用する信号の周波数が高周
波領域に達するような場合には小さなインダクタンスで
足りるため、蛇行形状のインダクタで足りる場合があ
る。
【0041】特に、電極を蛇行形状に形成した場合に
は、電極の一方端あるいは両端に配線を施す場合に、こ
の配線を電極の一部と交差せずに引き出せる利点があ
り、正弦波発振回路全体の製造工程の簡略化が可能とな
る。
【0042】また、請求項8の発明によれば、2つの電
極のいずれか一方を短く形成することにより、インダク
タ導体が部分的に対向したLC素子が形成されている。
一般に、正弦波発振回路全体の発振周波数は、分布定数
的に形成されたインダクタンスとキャパシタンスとによ
り決定されるため、一方の電極を短く形成することによ
りキャパシタンスを小さくすれば、それに伴って発振周
波数も変更されることになる。したがって、部分対向さ
せる電極の割合等を変えることにより発振周波数をある
範囲で調整することができ、正弦波発振回路の設計の自
由度が増すことにもなる。
【0043】また、このように2つの電極の長さを変え
て、特に二次側の電極を相対的に長くして捲線比が1対
n(n>1)のLC素子を形成した場合には、トランス
として動作するLC素子を介して信号が帰還される際に
信号の電圧レベルの増幅が行われるため、増幅率の低い
反転増幅器を用いることができ、部品選択の幅が広がる
ことにもなる。
【0044】また、請求項9の発明によれば、pn接合
層に印加する逆バイアス電圧を変更することにより、分
布定数的に形成されるキャパシタの容量値が変更可能な
LC素子が形成されている。一般に、pn接合層は可変
の逆バイアス電圧を印加することによりバリキャップと
して動作する。したがって、印加する逆バイアス電圧を
可変に制御して渦巻き形状あるいは蛇行形状を有するp
n接合層の全域をバリキャップとして動作させることに
より、ある範囲で周波数特性を変更可能なLC素子とす
ることができる。したがって、このLC素子によって選
択される周波数も変更され、電圧制御型の正弦波発振回
路を容易に実現することができる。
【0045】請求項10〜15の正弦波発振回路は、上
述した請求項1〜3で用いたLC素子の具体的構成を示
した第2の例を示したものである。
【0046】請求項10または11の発明によれば、ゲ
ートが渦巻き形状あるいは蛇行形状を有するMOS構造
のLC素子が形成されており、ゲート電極とこれに対応
して形成されるチャネルとがそれぞれインダクタ導体と
して機能するとともにこれらの間に分布定数的なキャパ
シタが形成されている。これらの各LC素子は、マスク
の形状等を変更するだけで通常のMOSトランジスタを
製造する工程を利用して製造可能であり、反転増幅器等
のそれ以外の部品とともに半導体基板上に一体形成する
際に好都合となる。特に、反転増幅器もMOS構造を有
する場合、例えばMOSトランジスタやCMOS等のイ
ンバータ論理回路により構成した場合には、正弦波発振
回路全体をMOS構造とすることができることから、製
造工程の簡略化や各部品の高密度実装化が可能となり、
ICやLCIの一部として組み込む場合に特に好都合と
なる。
【0047】請求項12〜15の発明によれば、上述し
た請求項10または11のLC素子のゲート電極にほぼ
平行に、あるいはほぼ対向するように第2の電極を設け
ることによりMOS構造のLC素子が形成されており、
ゲート電極は独立して逆バイアス印加用に用いられてい
る。したがって、ゲート電極への電圧印加とチャネルや
第2の電極を介した信号の伝送とを切り離すことがで
き、LC素子のバイアスの制御が容易となる。
【0048】また、請求項16の発明によれば、請求項
10または11におけるゲート電極とチャネルとを部分
的に対向させることによりLC素子が形成されている。
一般に、ゲート電極に対応する半導体基板表面にチャネ
ルが形成されるが、予めこのチャネルが形成される位置
の少なくとも一部にキャリアを注入しておくことによ
り、所定のゲート電圧が印加されたときにゲート電極に
対応する一部の領域にのみチャネルが形成されるように
することもできる。
【0049】また、請求項17の発明によれば、請求項
12〜15における2つの電極のいずれか一方を短くし
てチャネルと電極とを部分的に対向させることによりL
C素子が形成されている。
【0050】このように、MOS構造を有するLC素子
においてもチャネルあるいは電極により形成されるイン
ダクタ導体を部分的に対向させることが可能であり、部
分対向させる割合等を変えることにより発振周波数をあ
る範囲で調整することができ、正弦波発振回路の設計の
自由度が増すことにもなる。
【0051】また、二次側の捲線に相当するチャネルあ
るいは電極を相対的に長くして捲線比が1対n(n>
1)のLC素子を形成した場合には、トランスとして動
作するLC素子を介して信号が帰還される際に信号の電
圧レベルの増幅が行われるため、増幅率の低い反転増幅
器を用いることができ、部品選択の幅が広がることにも
なる。
【0052】また、請求項18の発明によれば、上述し
たチャネルが形成される位置に予めキャリアを注入して
おくことによりLC素子が形成されており、デプレショ
ン型のMOS構造を有するLC素子となっている。特
に、予め注入するキャリアの量を調整することによりチ
ャネル抵抗やソース・ドレイン間電流を変えることがで
きるため、LC素子の特性をある範囲で調整することが
でき、正弦波発振回路の設計の自由度が増すことにもな
る。
【0053】また、請求項19の発明によれば、請求項
10〜18の各ゲート電圧を変えることによりチャネル
抵抗が変更可能なLC素子が形成されている。このよう
に一方のインダクタ導体の抵抗であるチャネル抵抗を可
変に制御した場合には、この可変の程度に伴ってLC素
子の周波数特性も変更されることになるため、電圧制御
型の正弦波発振回路を容易に実現することができる。
【0054】また、請求項20または21の発明によれ
ば、半導体基板上に直接あるいは第1の絶縁層を形成し
た後に、第1の電極,第2の絶縁層,第2の電極を積層
するように形成することによりLC素子が形成されてい
る。しかも、これら第1および第2の電極をほぼ対向さ
せることにより、インダクタ導体として機能するこれら
2つの電極の間には分布定数的なキャパシタが形成され
る。このLC素子は、上述した請求項4〜19において
示したLC素子が半導体基板の内部も利用しているのに
対し、半導体基板表面を利用している点で異なるが、こ
の半導体基板を利用して反転増幅器等の他の部品ととも
に一体形成できることに変わりはなく、正弦波発振回路
の大量生産や小型化に適している。
【0055】また、請求項22または23の発明によれ
ば、2つの電極間に形成する絶縁層を、電極の酸化ある
いは化学気相法による酸化物や窒化物により構成したL
C素子が形成されている。このようにして絶縁層を形成
する工程や渦巻きあるいは蛇行形状の電極を形成する工
程は一般的な半導体製造技術によって実現されるもので
あり、他の部品とともに正弦波発振回路の全体を一体形
成する際に好都合となる。
【0056】また、請求項24の発明によれば、請求項
20〜23における2つの電極のいずれか一方を短くし
てこれらの電極を部分的に対向させることによりLC素
子が形成されている。
【0057】このように、半導体基板の表面を利用して
形成されたLC素子においても2つの電極により形成さ
れるインダクタ導体を部分的に対向させることが可能で
あり、部分対向させる割合等を変えることにより発振周
波数をある範囲で調整するとともに帰還される信号の増
幅を同時に行うことができ、正弦波発振回路の設計の自
由度が増すことにもなる。
【0058】また、請求項25の発明によれば、正弦波
発振回路の全体が半導体基板上に一体形成されている点
が明確になっている。すなわち、上述したように各請求
項のLC素子は半導体基板を利用して形成されるもので
あり、インバータ論理回路あるいはソース接地回路やエ
ミッタ接地回路により構成される反転増幅器やその他の
部品とともに1つの半導体基板に一体形成した正弦波発
振回路を実現することは容易である。
【0059】
【実施例】以下、本発明を適用した一実施例の正弦波発
振回路について、図面を参照しながら具体的に説明す
る。
【0060】〔第1実施例〕図1は、本発明を適用した
第1実施例の正弦波発振回路1の詳細な構成を示す図で
ある。
【0061】同図に示すように、第1実施例の正弦波発
振回路1は、反転増幅器として機能するインバータ論理
回路10と、トランスと考えた場合に一次および二次捲
線に相当する2つのインダクタ導体を有しておりしかも
これら2つのインダクタ導体間にpn接合を利用したキ
ャパシタが分布定数的に形成されたLC素子12と、イ
ンバータ論理回路10の入力側を交流的に接地するため
のキャパシタ14と、所定のバイアス電圧をインバータ
論理回路10の入力側に印加するための帰還抵抗16と
を含んで構成されている。
【0062】インバータ論理回路10は、入力信号の論
理を反転、すなわち位相を180度ずらして出力すると
ともに、増幅器として動作する。このインバータ論理回
路10は、TTLロジック等任意のロジックを用いて実
現することができるが、入力インピーダンスが高くて回
路設計が容易なCMOSロジック、その中でも高周波の
正弦波を発振させる場合には高速タイプである74HC
シリーズ等のCMOSロジックが適している。
【0063】LC素子12は、半導体基板上に2本のイ
ンダクタ導体を有しており、これらのインダクタ導体を
2つの電極とし、その間のpn接合層によりて分布定数
的にキャパシタが形成されている。また、LC素子12
は、これら2本のインダクタ導体が電磁結合することに
より、全体としてトランスの機能も兼ね備えており、一
方のインダクタ導体が一次捲線に、他方のインダクタ導
体が二次捲線に相当している。LC素子12の詳細構造
については後述する。
【0064】キャパシタ14は、LC素子12の二次側
のインダクタ導体とインバータ論理回路10の入力側と
を交流的に接続するとともに直流的に分離するためのも
のであり、所定の周波数領域において位相のずれを生じ
ないような大きなキャパシタンスを有する。
【0065】抵抗16は、インバータ論理回路10の入
力側に所定のバイアス電圧を印加するためのものであ
る。一般に、インバータ論理回路10は、入力電圧が所
定のしきい値近傍となるように使用することにより反転
増幅器として動作する。そのため、この所定のしきい値
に相当するバイアス電圧を抵抗16により印加してい
る。
【0066】上述したLC素子12の一次側のインダク
タ導体の一方端がインバータ論理回路10の出力端に、
他方端が電源ラインに接続されている。また、LC素子
12の二次側のインダクタ導体の一方端がキャパシタ1
4を介してインバータ論理回路の入力端に、他方端が直
接接地されている。ところで、LC素子12の各インダ
クタ導体間に形成されたpn接合層は、一次側に対応し
てn領域が、二次側に対応してp領域が形成されており
(詳細は後述する)、電源ラインからLC素子12の一
次側に所定の正電圧が印加されている場合には、このp
n接合層に逆バイアス電圧が印加されるようになってお
り、このpn接合層がキャパシタとして動作する。ま
た、インバータ論理回路10の出力端と入力端の間に、
すなわちインバータ論理回路10と並列に抵抗16が接
続されている。
【0067】次に、半導体基板に形成された本実施例の
LC素子12の具体的一例について詳細を説明する。
【0068】図2は、半導体基板上に渦巻き形状のスパ
イラル電極を形成することによりLC素子12を構成し
た場合の平面図である。また、図3は図2に示したA−
A線拡大断面図である。
【0069】本実施例のLC素子12は、半導体基板で
あるp型シリコン基板(p−Si基板)34の表面付近
に形成された渦巻き形状のn+ 領域32と、さらにその
一部に形成された渦巻き形状のp+ 領域30とを含んで
おり、これらのn+ 領域32とp+ 領域30とがpn接
合層36を形成している。また、上述したp−Si基板
34に比べて、n+ 領域32およびp+ 領域30のそれ
ぞれは不純物濃度が高めに設定されており、このp−S
i基板34とn+ 領域32との間に逆バイアス電圧を印
加することにより、このp−Si基板34が良好なアイ
ソレーション領域として機能するようになっている。実
際は、p−Si基板34と後述する第2のスパイラル電
極22とを同電位とすることにより、p−Si基板34
とn+ 領域32との間に確実に逆バイアス電圧を印加す
ればよい。
【0070】また、本実施例のLC素子12は、上述し
たn+ 領域32の表面側であって、このn+ 領域32に
沿った位置に一次捲線に相当する渦巻き形状の第1のス
パイラル電極20が形成されている。同様に、p+ 領域
30の表面側であって、p+領域30に沿った位置に二
次捲線に相当する第2のスパイラル電極22が形成され
ている。そして、第1のスパイラル電極20の両端には
2つの入出力電極24,26が設けられている。第2の
スパイラル電極22の両端には2つの入出力電極28,
29が設けられている。第1および第2のスパイラル電
極20,22に対する入出力電極24,26,28,2
9の取り付けは、図2に示すように薄いn+ 領域32あ
るいはp+ 領域30を傷つけないように能動領域の外側
で行われる。
【0071】このような構造を有する本実施例のLC素
子12は、渦巻き形状を有している第1および第2のス
パイラル電極20,22のそれぞれがインダクタ導体と
して機能することになる。また、第1および第2のスパ
イラル電極20,22のそれぞれに電気的に接続された
pn接合層36が逆バイアスの状態で使用されると渦巻
き形状のキャパシタとして機能する。したがって、第1
および第2のスパイラル電極20,22により形成され
るインダクタとpn接合層36によって形成されるキャ
パシタとが分布定数的に存在するLC素子12が形成さ
れる。
【0072】図4は、上述した構造を有するLC素子1
2の等価回路を示す図である。同図(A)に示すよう
に、第1のスパイラル電極20がインダクタンスL1を
有するインダクタとして機能するとともに、第2のスパ
イラル電極22がインダクタンスL2を有するインダク
タとして機能する。また、これら第1および第2のスパ
イラル電極20,22は、同心状に巻き回されるため、
それぞれが一次捲線および二次捲線に相当するトランス
としての機能も兼ね備えている。
【0073】このような等価回路を有するLC素子12
において、第1のスパイラル電極20側の電位を第2の
スパイラル電極22側の電位より高く設定した場合に
は、渦巻き形状に形成されたpn接合層36に対して逆
バイアスとなるため、このpn接合層36の全体がキャ
パシタンスCを有するキャパシタとして機能する。ま
た、このキャパシタは、第1のスパイラル電極20と第
2のスパイラル電極22の全長にわたって分布定数的に
形成されている。
【0074】図4(B)は、上述した逆バイアスを印加
するための構成である。具体的には、入出力電極24と
入出力電極28との間に所定の逆バイアス電圧を印加す
るためのバイアス用電源38を接続する。
【0075】また、同図(C)に示すように、このバイ
アス用電源38の代わりに、逆バイアスの電圧レベルを
任意に変更することができる可変バイアス用電源44を
接続することにより、渦巻き形状に形成されたpn接合
層36のキャパシタンスCを任意に変化させることもで
きる。
【0076】一般に、pn接合層36に印加される逆バ
イアス電圧の大小に応じてpn接合面に生じる空乏層の
幅が変化するため、これに伴いキャパシタンスCの値も
変動する。したがって、第1および第2のスパイラル電
極20,22を介してpn接合層36に印加される逆バ
イアス電圧を変えることにより、分布定数的に形成され
るキャパシタンスCを任意に変化させ、LC素子12全
体としての周波数特性を変更することができる。
【0077】なお、実際の回路内において、固定あるい
は可変の逆バイアス電圧をpn接合層36に印加するに
は、図1あるいは後述する図6に示すような手法を用い
ればよい。
【0078】図5は、本実施例のLC素子12の製造工
程を示す図である。図2のB−B線断面の各製造工程毎
の状態が示されている。
【0079】(1)エピタキシャル層の成長:まず最初
に、p−Si基板34(ウエハ)表面の酸化膜を除去し
た後に、p−Si基板34の表面全体にn+ 型エピタキ
シャル層35を成長させる(同図(A))。
【0080】(2)アイソレーション領域の形成:次
に、図2に示したn+ 領域32およびp+ 領域30を除
く領域をアイソレーション領域とするために、p型不純
物の拡散あるいはイオン注入を行う。
【0081】具体的には、まずエピタキシャル層35の
表面を熱酸化して酸化膜40を形成する。そして、フォ
トリソグラフィによってp領域を形成すべき位置の酸化
膜40を除去した後に、p型不純物を熱拡散あるいはイ
オン注入により選択的に添加することにより、p領域が
選択的に形成される。このようにして形成されたp領域
は、p−Si基板34の一部となってアイソレーション
領域を形成する(同図(B))。
【0082】このようにしてアイソレーション領域の形
成が行われた結果、残されたエピタキシャル層35によ
って渦巻き形状のn+ 領域32が形成される。
【0083】(3)pn接合層の形成:次に、渦巻き形
状に形成されたn+ 領域32の一部にp型不純物を熱拡
散あるいはイオン注入により導入することにより、渦巻
き形状のp+ 領域30を形成する(同図(D))。
【0084】具体的には、まずn+ 領域32を含むp−
Si基板34の表面を熱酸化して酸化膜42を形成す
る。そして、フォトリソグラフィによってp+ 領域30
を形成すべき位置の酸化膜42を除去した後に、p型不
純物を熱拡散あるいはイオン注入により選択的に添加す
ることにより、p+ 領域30が選択的に形成される。
【0085】このp+ 領域30は、先に形成されたn+
領域32中に形成する必要があるため、既に導入されて
いるn型不純物の量以上のp型不純物を添加することに
より、p+ 領域30が形成される。
【0086】このようにして、n+ 領域32とp+ 領域
30とからなる渦巻き形状のpn接合層36が形成され
る。
【0087】(4)スパイラル電極の形成:次に、熱酸
化により表面に酸化膜43を形成した後にフォトリソグ
ラフィによってn+ 領域32とp+ 領域30のそれぞれ
の表面に渦巻き形状の孔あけを行い、その後この渦巻き
形状に孔あけされた部分に、例えばアルミニウムを蒸着
することにより第1および第2のスパイラル電極20,
22を形成する(同図(D))。また、その後入出力電
極24,26,28,29のそれぞれをアルミニウムの
蒸着により形成する。
【0088】本実施例のLC素子12を製造する工程
は、基本的には通常のバイポーラトランジスタあるいは
ダイオードを製造する工程と類似しており、pn接合層
36やその間のアイソレーション領域の形状等が異なる
ものである。したがって、一般のバイポーラトランジス
タを製造する工程においてフォトマスクの形状を変更す
ることにより対応することができ、製造が容易になると
ともに小型化にも適している。
【0089】なお、上述した本実施例のLC素子12の
製造工程においては、最初にエピタキシャル成長により
+ 領域を表面全体に形成した後にアイソレーションを
行う場合を例にとり説明したが、p−Si基板34の表
面に酸化膜を形成した後にフォトリソグラフィにより渦
巻き形状のn+ 領域32に対応する窓あけを行い、この
部分に熱拡散あるいはイオン注入によりn型不純物を導
入することによりn+領域32を形成した後に、同様の
方法により直接的にp+ 領域30を形成してもよい。ま
た、pn接合層を形成する方法については、一般的な半
導体製造技術を用いることができる。
【0090】このように、本実施例のLC素子12は、
第1および第2のスパイラル電極20,22のそれぞれ
がインダクタを形成するとともに、これらの電極間に形
成された渦巻き形状のpn接合層36が逆バイアスで使
用されることによりキャパシタとして機能する。しか
も、第1および第2のスパイラル電極20,22の全長
にわたってpn接合層36が形成されているため、第1
および第2のスパイラル電極20,22に形成されるイ
ンダクタンスL1,L2とpn接合層36によって形成
されるキャパシタンスCとが分布定数的に存在してい
る。
【0091】本実施例の正弦波発振回路1は、このよう
な構造を有するLC素子12がトランスとして使用され
ており、しかもこのトランスの一次側と二次側のそれぞ
れに入出力される信号の位相が反転するように配線が行
われている。
【0092】具体的には、第1のスパイラル電極20の
一方端に設けられた入出力電極24がインバータ論理回
路10の出力端に、他方端に設けられた入出力電極26
が所定の電圧ラインに接続されているとともに、第2の
スパイラル電極22の一方端に設けられた入出力電極2
8が接地されており、他方端に設けられた入出力電極2
9がインバータ論理回路10の入力端に接続されてい
る。
【0093】このように、LC素子12は一次側と二次
側とが互いに逆相となるように配線されているため、L
C素子12の一次側(第1のスパイラル電極20側)に
インバータ論理回路10の出力信号が入力されると、そ
の出力信号とは逆相の関係にある信号がキャパシタ14
を介してインバータ論理回路10の入力側に帰還される
ことになる。
【0094】ところで、上述したLC素子12は、第1
および第2のスパイラル電極20,22のそれぞれがイ
ンダクタンスL1,L2を有するインダクタ導体である
と同時に、これらインダクタ導体間には渦巻き形状のp
n接合層36が形成されている。しかも、第1のスパイ
ラル電極20側が入出力電極26を介して電源ラインに
接続されているとともに第2のスパイラル電極22側が
入出力電極28を介して接地されており、pn接合層3
6には固定の逆バイアス電圧が印加されている。このた
め、第1および第2のスパイラル電極20、22間に
は、pn接合層36によって、キャパシタンスCを有す
る分布定数的なキャパシタが形成されている。
【0095】したがって、LC素子12によってこれら
インダクタンスL1,L2およびキャパシタンスCを有
するインダクタあるいはキャパシタとにより構成される
共振回路が構成されており、特定周波数の信号のみが伝
搬されやすい特性を有している。
【0096】このため、LC素子12によってこの特性
周波数の信号が選択されるとともに位相の反転が行わ
れ、出力信号とは位相が反転、すなわち180度ずれた
信号がインバータ論理回路10に再び入力される。イン
バータ論理回路10ではさらに入力信号の位相を反転し
て180度位相をずらして出力する。したがって、イン
バータ論理回路10の増幅度をある値以上にしてループ
ゲインを1以上に設定した場合には、一巡して戻ってく
る特定周波数信号の位相のずれが0度あるいは360度
となって発振が行われる。すなわち、LC素子12によ
り選択された特定周波数で発振が行われる。
【0097】このように、本実施例の正弦波発振回路1
は、原理的にはインバータ論理回路10とLC素子12
といった少ない種類の部品を組み合わせるだけで、簡単
に正弦波を発生させることができる。特に、共振回路と
して機能するLC素子12は、従来のLC直列共振回路
やLC並列共振回路等と異なり、1つの素子内にインダ
クタとキャパシタとが分布定数的に形成されたものであ
るため、発振回路を構成する際にインダクタとキャパシ
タとを別々に用意して素子定数を決定して接続する手間
がなくなる。
【0098】例えば、所定のLとCを有するインダクタ
とキャパシタを個別に用意してLC共振回路を構成して
正弦波発振回路を製造する場合には、異なった材料およ
び異なった工程により製造された各部品を回路設計者が
任意に組み合わせることができるため、回路設計者に多
くの自由度を与える反面、設計・製造について大きな負
担を強いることになる。
【0099】一方、図2に示したLC素子12は、イン
ダクタとキャパシタとが同一工程で同時に製造すること
ができるため、回路設計者の負担を軽減できると同時に
製造も容易になる利点がある。また、同一工程でインダ
クタとキャパシタとが一体的に形成されているため、配
線の手間が低減できることは勿論であるが、特性も安定
化することになる。
【0100】したがって、このような数々の利点を有す
るLC素子12を用いて正弦波発振回路を構成すること
ができれば、その利点はそのまま正弦波発振回路全体の
利点でもあり、本実施例の正弦波発振回路1は、従来の
正弦波発振回路よりも設計および製造が容易であり、特
性が安定しているといえる。
【0101】また、本実施例のLC素子12はトランス
の機能も兼ね備えており、本実施例の正弦波発振回路1
はLC素子12を用いてインバータ論理回路10の入出
力端子間を分離することにより大きな出力振幅、例えば
電源電圧と同程度の大きな出力振幅を得ることができる
という利点もある。そのため、本実施例の正弦波発振回
路1は、特に大きな振幅を有する正弦波が必要な用途に
適している。
【0102】また、本実施例の正弦波発振回路1は、イ
ンダクタ成分を有するLC素子12が半導体基板(p−
Si基板34)上に形成されている点に大きな特徴があ
る。しかも、当然ながら図1に示したインバータ論理回
路10やキャパシタ14も同一の半導体基板上に形成す
ることができるため、正弦波発振回路1の全体を1つの
半導体基板上に一体形成することができ、回路全体の大
量生産や小型化が可能になる。また、この半導体基板上
への回路の一体形成は、現在の半導体製造技術を用い、
フォトマスクの形状の変更等を行うだけで容易に行うこ
とができるので、大量生産や小型化に伴う大幅なコスト
ダウンも可能になる。
【0103】また、図2および図3に構造を示したLC
素子12は、pn接合層36に印加する逆バイアス電圧
の値を変更するだけで、分布定数的に形成されるキャパ
シタンスCの値を変更することができる。一般に、LC
素子12の共振特性は第1および第2のスパイラル電極
20,22のインダクタンスL1,L2と、pn接合層
36のキャパシタンスCに基づいて決定されるため、p
n接合層36に印加する逆バイアス電圧を変えてキャパ
シタンスCを変更することにより、その変更の度合いに
応じて正弦波発振回路1の発振周波数自体が変わること
になる。
【0104】このように、本実施例の正弦波発振回路1
は、LC素子12のpn接合層36に印加する逆バイア
ス電圧を変えることにより、容易に電圧制御型の発振回
路とすることができる。しかも、このような電圧制御型
の発振回路とした場合であっても、周波数変更用の素子
を追加する必要もなく、正弦波発振回路1の構成部品を
最小限に押さえることができる。
【0105】図6は、本実施例の変形例を示す図であ
り、周波数可変の電圧制御型発振器とした場合の構成が
示されている。図1に示した正弦波発振回路1ではLC
素子12の二次側が接地されていたため、LC素子12
のpn接合層36には電源ラインから印加される電圧が
そのまま逆バイアス電圧として印加されていたのに対
し、図6に示した正弦波発振回路ではLC素子12の二
次側の電位を可変に制御し、これによりpn接合層36
に印加する逆バイアス電圧を変更可能に構成した点に特
徴がある。
【0106】具体的には、LC素子12の第2のスパイ
ラル電極22の一方端に設けられた入出力電極28を充
分大きなキャパシタンスを有するキャパシタ18を介し
て接地するとともに、この入出力電極に可変抵抗52と
充分に大きな抵抗値を有する抵抗54とからなるバイア
ス回路を接続する。すなわち、可変抵抗52によって0
Vから電源ラインの間にある所定のバイアス電圧を作り
出し、このバイアス電圧を抵抗54を介して入出力電極
28に印加する。抵抗54は充分に大きな抵抗を有して
いるため、LC素子12の二次側である第2のスパイラ
ル電極22に流れる信号の交流成分に影響を与えること
なく、所定のバイアス電圧の印加が可能となる。
【0107】このように、入出力電極28を介して第2
のスパイラル電極22側の電位を可変に上げ下げするこ
とにより、この電位と第1のスパイラル電極20の電位
との差で決まる逆バイアス電圧が変化し、それに伴いp
n接合層36のキャパシタンスCもある範囲で任意に変
更することができる電圧制御型の正弦波発振回路とな
る。
【0108】〔第2実施例〕図7は、本発明を適用した
第2実施例の正弦波発振回路2の構成を示す図である。
同図(A)に示す本実施例の正弦波発振回路2は、上述
した第1実施例の正弦波発振回路1が反転増幅器として
インバータ論理回路10を使用していたのに対し、反転
増幅器としてMOS型のFETによるソース接地回路を
使用している点に特徴がある。
【0109】すなわち、正弦波発振回路2は、図1に示
すインバータ論理回路10を、ソース側が接地されたF
ET56に置き換えた構成を有しており、このFET3
2とそのドレイン側に接続されたLC素子12の第1の
スパイラル電極20とにより、反転増幅器として機能す
るソース接地回路が構成されている。また、抵抗46,
48による分圧回路により、FET56のゲートに所定
のバイアス電圧が印加されており、適切な動作点が確保
されている。
【0110】正弦波発振回路2の動作原理は、上述した
正弦波発振回路1と同じであり、LC素子12とソース
接地回路とを介して一巡した信号の位相のずれが0度あ
るいは360度になるとともにLC素子12によって特
定周波数の信号が選択され、この周波数で発振が行われ
る。
【0111】また、LC素子12については、図2およ
び図3に示したようなp−Si基板34に第1および第
2のスパイラル電極20,22とpn接合層36を形成
することにより構成することができ、回路内の接続方法
もFET56によるソース接地回路を反転増幅器として
使用している他は図1に示した正弦波発振回路1と変わ
るところはない。
【0112】このように、反転増幅器としてFET56
によるソース接地回路を用いるとともに、LC素子12
を共振回路および反転信号を取り出すためのトランスと
して使用しており、簡単な構成によって正弦波を発生さ
せることができる。
【0113】特に、ソース接地回路により反転増幅器を
構成した場合には、本実施例の正弦波発振回路2の全体
を一般的な半導体技術により製造することができるた
め、半導体基板上に一体形成する際にさらに好都合とな
り、回路の高密度実装化やIC化,LSI化に適してい
る。
【0114】図7(B)は、本実施例の変形例を示す図
である。同図に示す正弦波発振回路は、pn接合層36
に印加する逆バイアス電圧を変えたものである。すなわ
ち、図7(A)に示した正弦波発振回路2ではLC素子
12の第2のスパイラル電極22側を接地していたのに
対し、同図(B)に示した正弦波発振回路ではこの第2
のスパイラル電極22側に抵抗46,48からなる分圧
回路によって固定のバイアス電圧を印加するとともに、
この第2のスパイラル電極22側を直流成分分離回路と
して機能するキャパシタ50を介して接地している。こ
のため、pn接合層36に印加される逆バイアス電圧は
小さくなるが、分布定数的にキャパシタが形成される点
に変わりはない。
【0115】このように、LC素子12のpn接合層3
6に逆バイアス電圧を印加する方法については種々の方
法が考えられるが、pn接合層36に確実に逆バイアス
電圧が印加されるならばどのような方法を用いてもよ
い。
【0116】図8は、本実施例の他の変形例を示す図で
ある。図7(A)に示した正弦波発振回路2は、LC素
子12のpn接合層36に印加される逆バイアス電圧が
固定であったのに対し、図8に示した正弦波発振回路で
はこの逆バイアス電圧が可変に制御できる点に特徴があ
る。具体的には、図6に示した正弦波発振回路と同様
に、LC素子12の第2のスパイラル電極22側をキャ
パシタ18を介して接地するとともに、この第2のスパ
イラル電極22に対して可変抵抗42と抵抗54によっ
て作り出される可変電圧を印加している。したがって、
LC素子12のpn接合層36に印加される逆バイアス
が変更され、容易に電圧制御型の正弦波発振回路を実現
することができる。
【0117】図9は、本実施例の他の変形例を示す図で
ある。図7および図8に示した正弦波発振回路がMOS
型のFET56を用いているのに対し、図9に示した正
弦波発振回路は、接合型のFET58を用いるととも
に、このFET58のソース側に抵抗60とキャパシタ
62からなる並列回路を挿入することによりゲートに対
して相対的に所定のバイアス電圧を印加した点に特徴が
ある。
【0118】この並列回路を構成する抵抗60は、比較
的小さな抵抗値を有している。これは、あまり抵抗値が
大きなものであると抵抗60による電圧降下が大きくな
るため、FET58のソース・ドレイン間電圧が小さく
なり、適切な動作点が確保できなくなるおそれがあるか
らである。また、キャパシタ62は、交流的にFET5
8のソースを接地するためのものである。
【0119】また、図9(A)はLC素子12のpn接
合層36に固定の逆バイアス電圧を印加した場合であ
り、FET58については、LC素子12の第2のスパ
イラル電極22を介してゲートを直流的に接地してお
り、ソースおよびドレインの電位がゲートの電位より高
くなって適切な逆バイアス状態となっている。
【0120】また、同図(B)は、図8に示した正弦波
発振回路と同様に、LC素子12の第2のスパイラル電
極22側をキャパシタ18を介して接地するとともに、
可変抵抗52と抵抗54によって作り出される可変電圧
を第2のスパイラル電極22側に印加しており、これに
よりpn接合層36に可変の逆バイアス電圧を印加して
電圧制御型の正弦波発振回路を実現している。
【0121】なお、キャパシタ14はLC素子12の第
2のスパイラル電極22とFET58のゲートとを直流
的に分離するためのものであり、FET58のゲート
は、抵抗60を介して直流的に接地されている。また、
この抵抗60は充分大きな抵抗値を有しており、FET
58のゲートに入力される帰還信号の交流成分に影響を
与えないようになっている。
【0122】〔第3実施例〕図10は、本発明を適用し
た第3実施例の正弦波発振回路3の構成を示す図であ
る。同図(A)に示す本実施例の正弦波発振回路3は、
上述した第1実施例の正弦波発振回路1が反転増幅器と
してインバータ論理回路10を、第2実施例の正弦波発
振回路2が反転増幅器としてFET56,58を用いた
ソース接地回路を使用していたのに対し、反転増幅器と
してバイポーラトランジスタ66によるエミッタ接地回
路を使用している点に特徴がある。
【0123】すなわち、正弦波発振回路3は、図7に示
す正弦波発振回路2のFET56をバイポーラトランジ
スタ66に置き換えた構成を有しており、このバイポー
ラトランジスタ66とそのコレクタ側に接続されたLC
素子12の一次側インダクタ導体とにより、反転増幅器
として機能するエミッタ接地回路が構成されている。
【0124】正弦波発振回路3の動作原理は、図7に示
した第2実施例の正弦波発振回路2と同じであり、LC
素子12とエミッタ接地回路とを介して一巡した信号の
位相のずれが0度あるいは360度となるとともにLC
素子12によって特定周波数の信号が選択され、この周
波数で発振が行われる。
【0125】また、LC素子12については、第1実施
例および第2実施例と同様に、図2および図3に示した
ようなp−Si基板34に第1および第2のスパイラル
電極20,22とpn接合層36を形成することにより
構成することができ、回路の接続方法もバイポーラトラ
ンジスタ66によるエミッタ接地回路を反転増幅器とし
て使用している他は図7に示した正弦波発振回路2と変
わるところはない。
【0126】このように、反転増幅器としてバイポーラ
トランジスタ66によるエミッタ接地回路を用いるとと
もに、LC素子12を共振回路および反転信号を取り出
すためのトランスとして使用しており、簡単な構成によ
って正弦波を発生させることができる。
【0127】また、図2および図3に示したLC素子1
2は、バイポーラトランジスタと類似した断面構造を有
しているため、このLC素子12とバイポーラトランジ
スタ66とを含む正弦波発振回路3の全体を同一の半導
体製造技術を用いて形成することが可能であり、一体形
成による大量生産および小型化にさらに好都合である。
【0128】また、図10(B)に示した正弦波発振回
路では、抵抗46と48からなる分圧回路によってバイ
ポーラトランジスタ66のベースに印加されるバイアス
電圧をそのままLC素子12の第2のスパイラル電極2
2側にも印加するようにしたものであり、図7(B)に
対応する。
【0129】図11は、本実施例の変形例を示す図であ
る。図10に示した正弦波発振回路3が抵抗46,48
からなる分圧回路をバイアス回路として用いて安定した
バイアス電圧をバイポーラトランジスタ66のベースに
印加しているのに対し、図11(A)に示した正弦波発
振回路は、この分圧回路の代わりに、抵抗68をバイポ
ーラトランジスタ66のベース・コレクタ間に挿入する
とともに、LC素子12の第1のスパイラル電極20と
電源ラインとの間に抵抗70とキャパシタ72からなる
並列回路を挿入することにより所定のバイアス電圧を印
加するようになっている。
【0130】この抵抗68は、トランジスタ66のベー
スに所定のバイアス電圧を印加するためのフィードバッ
ク用抵抗であるが、LC素子12の一次側抵抗が小さい
ため(図2に示すようにLC素子12の一次側(第1の
スパイラル電極20)が例えば金属材料を所定ターン数
巻き回すことにより形成されているため)、有効に作用
しない場合がある。このため、バイアス電流検出用の抵
抗70とパスコンとして動作するキャパシタ72からな
る並列回路がLC素子12の一次側と電源ラインとの間
に挿入されている。このような構成により、トランジス
タ66のコレクタに流れる電流が抵抗70によって検出
され、抵抗68を介してベースに帰還されて所定のバイ
アス設定がなされる。特に、この構成によれば、電源ラ
インの電圧変動に応じてバイアス調整を行うセルフバイ
アスとなるため、トランジスタ66の安定した動作が確
保される。
【0131】また、図11(B)は、同図(A)がLC
素子12のpn接合層36に印加する逆バイアスが固定
であったのに対し、このpn接合層36に印加する逆バ
イアスを可変に制御し、これにより電圧制御型の正弦波
発振回路を実現するものである。逆バイアス可変の方法
については、図9(B)等に示したものと同じであり、
可変抵抗52と抵抗54とによってLC素子12の第2
のスパイラル電極22側の電位を上げ下げして、pn接
合層36に印加する逆バイアス電圧を可変に制御してい
る。
【0132】〔その他の実施例〕次に、本発明を適用し
た他の実施例について説明する。以下に説明する各種実
施例は、上述した第1実施例〜第3実施例において使用
したLC素子12を他の構造によって実現したものであ
る。
【0133】図12は、他の実施例におけるLC素子の
概略構造を示す平面図である。また、図13は図12に
示したA−A線拡大断面図である。
【0134】これらの図に示す本実施例のLC素子12
aは、半導体基板であるp−Si基板134の表面付近
にn領域130を形成することにより、n領域130と
p領域132からなるpn接合層136が形成されてい
る。
【0135】また、本実施例のLC素子12aは、上述
したn領域130の表面側に渦巻き形状の第1のスパイ
ラル電極120が形成されている。同様に、p領域13
2の表面側、すなわち第1のスパイラル電極120に対
してpn接合層136を挟んだ反対側であって、第1の
スパイラル電極120とほぼ対向する位置に第2のスパ
イラル電極122が形成されている。そして、第1のス
パイラル電極120の両端には2つの入出力電極24,
26が設けられている。第2のスパイラル電極122の
両端には2つの入出力電極28,29が設けられてい
る。
【0136】このような構造を有する本実施例のLC素
子12aは、図2および図3に示したLC素子12と同
様に、渦巻き形状を有する第1および第2のスパイラル
電極120,122のそれぞれがインダクタ導体として
機能することになる。
【0137】また、第1および第2のスパイラル電極1
20,122の間に形成されたpn接合層136が逆バ
イアスの状態で使用されるとキャパシタとして動作す
る。なお、図13に示すように、pn接合層136は大
きな対向電極(n領域130とp領域132のそれぞれ
が対向電極に相当する)を有する1つのキャパシタと考
えられる。しかし、一般にn領域130とp領域132
のそれぞれは第1および第2のスパイラル電極120,
122に比べて比抵抗が大きいため、第1および第2の
スパイラル電極120,122間に交流信号を流した場
合には、対向する第1および第2のスパイラル電極12
0,122間の渦巻き形状のキャパシタを介してのみ交
流信号が流れ、第1および第1のスパイラル電極12
0,122の異なる周回部分間に形成されるキャパシタ
にはほとんど交流信号が流れない。そのため、第1およ
び第2のスパイラル電極120,122の各周回部分以
外のpn接合層136はキャパシタとしてほとんど機能
することなく、第1および第2のスパイラル電極12
0,122の周回部分に沿った渦巻き形状部分のみが実
質的にキャパシタとして動作すると考えることができ
る。
【0138】したがって、第1および第2のスパイラル
電極120,122により形成されるインダクタとpn
接合層136により形成される渦巻き形状のキャパシタ
とが分布定数的に存在するLC素子12aが構成され
る。
【0139】このような構造を有するLC素子12aの
等価回路は、図4に示したものをそのまま適用すること
ができる。また、固定あるいは可変の逆バイアス電圧を
印加するバイアス用電源38あるいは可変バイアス用電
源44を接続することにより、固定あるいは可変の所定
の逆バイアス電圧を印加でき、これにより所定のキャパ
シタを設定できる点も同様である。
【0140】なお、上述した第1および第2のスパイラ
ル電極120,122をほぼ対向させて形成したLC素
子は、p−Si基板134の全体をn領域130とp領
域132からなるpn接合層136とした場合を例にと
り説明したが、図14に示すように、n領域130(あ
るいはp領域132でもよい)を第1のスパイラル電極
120に沿った渦巻き形状としてもよい。この場合に
は、渦巻き形状に沿って形成されたn領域130とp領
域132との境界面(pn接合面)に空乏層が生じて渦
巻き形状のキャパシタが形成されることになるため、図
13に示した構造よりも確実に渦巻き形状のキャパシタ
を形成することができる。
【0141】また、実際にp−Si基板134をn領域
130とp領域132とからなるpn接合層136とす
る場合には、p−Si基板134の厚みをウエハの状態
よりも薄くする必要がある。また、一般にはn型ウエハ
の方が入手しやすいことを考慮して、図15に示すよう
な構造としてもよい。
【0142】すなわち、同図(A)に示すように、n−
Si基板144の表面にエピタキシャル成長等によりp
領域132を形成した後にn−Si基板144の裏面側
にエッチングをおこない、このエッチングを行った部分
に第1および第2のスパイラル電極120,122を形
成する。また、同図(B)に示すように、n−Si基板
144の表面側に順にp+ 領域146およびn+ 領域1
48を形成した後にn−Si基板144のエッチングを
行い、このエッチングを行った部分に第1および第2の
スパイラル電極120,122を形成する。また、同図
(C)に示すように、n−Si基板144の一部に第1
のスパイラル電極120にほぼ沿うように渦巻き形状の
+ 領域146を形成した後に、さらにその上に渦巻き
形状のn+ 領域148を形成し、その後n−Si基板1
44の裏面側であって第2のスパイラル電極122に対
応する部分のエッチングを行い、このエッチングを行っ
た部分に第1および第2のスパイラル電極120,12
2を形成する。
【0143】また、上述した各変形例のLC素子は第1
のスパイラル電極120と第2のスパイラル電極122
とを完全に対向するように図示したが、第1および第2
のスパイラル電極120,122がpn接合層136に
よって形成されるキャパシタの電極として機能すればよ
いため、これらのスパイラル電極120,122をほぼ
対向するように少しずらして配置してもよい。
【0144】図16は、LC素子の他の例を示す図であ
る。同図に示すLC素子12bは、図2に示したLC素
子12の第1および第2のスパイラル電極20,22の
形状を変更した点に特徴がある。具体的には本実施例の
LC素子12bは、図2において渦巻き形状を有する第
1および第2のスパイラル電極20,22に代えて蛇行
形状を有する第1および第2の電極150,152を有
しており、これら2つの電極150,152に沿うよう
に蛇行形状を有するpn接合層154が形成されてい
る。
【0145】図17は、蛇行形状を有する第1および第
2の電極150,152によって形成されるインダクタ
の原理を示す図である。同図に示すように、凹凸状に屈
曲した蛇行形状を有する電極150あるいは152に電
流を流した場合には、隣接する凹凸部分で向きが反対と
なるような磁束が交互に発生し、あたかも1/2ターン
のコイルが直列に接続された状態になる。したがって、
第1および第2の電極150,152のそれぞれは所定
のインダクタンスを有するインダクタとして機能し、等
価回路については図4に示したものをそのまま適用する
ことができる。
【0146】また、渦巻き形状の電極とした場合には電
極の両端部のいずれか一方が中心部に位置し、他方が周
辺部に位置するのに対し、蛇行形状の電極150,15
2ではその両端が周辺部に位置することになるので、入
出力電極24,26,28,29を外部に引き出す際に
好都合となる。
【0147】また、図18は、LC素子の他の例を示す
図である。図18に示すLC素子12cは、蛇行形状を
有する第1および第2の電極160,162をp−Si
基板134を挟んでほぼ対向するように形成したもので
あり、図12に対応するものである。すなわち、図12
に示したLC素子12aは、渦巻き形状の第1および第
2のスパイラル電極120,122を対向させたもので
あるのに対し、本実施例のLC素子12cは第1および
第2の電極160,162の形状を蛇行形状とした点に
特徴がある。したがって、蛇行形状を有する第1および
第2の電極160,162のそれぞれが所定のインダク
タンスを有するインダクタとして機能するとともに、こ
れらに挟まれた蛇行形状のpn接合層136(断面構造
は図13に示したものと同じ)が分布定数的に形成され
たキャパシタとして機能することになる。
【0148】このように、pn接合層136が形成され
たp−Si基板134を挟んで蛇行形状の第1および第
2の電極160,162を対向させた場合であっても、
インダクタとキャパシタとが分布定数的に形成されたL
C素子を形成することができ、このLC素子を用いて図
1等に示した正弦波発振回路を構成することができる。
しかも、LC素子12cが形成されたp−Si基板13
4上に併せてインバータ論理回路10等を形成すること
が可能であり、一体形成による大量生産や小型化も容易
に実現することができる。
【0149】図19はLC素子の他の例を示す図であ
る。また、図20は図19のA−A線拡大断面図、図2
1は図19のB−B線拡大断面図、図22は図19のC
−C線拡大断面図である。
【0150】これらの図に示す本実施例のLC素子12
dは、p−Si基板34の表面付近の隔たった位置に形
成された拡散領域であるソース212とドレイン214
の間をゲートとして機能する渦巻き形状のスパイラル電
極210に対する電圧の印加によって形成されるチャネ
ル222によって接続することに特徴がある。
【0151】上述したソース212およびドレイン21
4は、p−Si基板34を反転させてn+ 層の拡散領域
として形成される。例えば、As+ イオンを熱拡散ある
いはイオン打ち込みにより注入して不純物濃度を高める
ことにより形成される。
【0152】また、ゲートとして機能するスパイラル電
極210は、渦巻き形状の一方の端部がソース212の
一部に、他方の端部がドレイン214の一部にオーバー
ラップするように、p−Si基板34の表面に形成され
た絶縁層226を挟んで形成されている。スパイラル電
極210は、例えばアルミニウムや銅あるいは銀等の薄
膜を形成することによって、あるいは拡散またはイオン
注入でPを多量にドープすることにより形成する。
【0153】また、絶縁層226は、p−Si基板34
の表面において、このp−Si基板34とスパイラル電
極210とを絶縁するためのものである。p−Si基板
34の全表面(あるいは少なくともスパイラル電極21
0に対応する部分)がこの絶縁層226により覆われて
おり、さらにこの絶縁層226の表面に上述したスパイ
ラル電極210が形成される。この絶縁層226は、例
えばPを添加したSiO2 (P−ガラス)によって形成
されている。
【0154】また、上述したスパイラル電極210,ソ
ース212,ドレイン214のそれぞれには、図19〜
図22に示すように、入出力電極24,26,28,2
9が接続されている。すなわち、スパイラル電極210
に対する入出力電極24,26の取り付けは、図19に
示すように、薄いゲート膜(絶縁層226)を傷付けな
いように能動領域の外側で行われる。また、ソース21
2への入出力電極28の取り付け、およびドレイン21
4への入出力電極29の取り付けは、図22あるいは図
20に示すように、ソース212およびドレイン214
の一部を露出させた後に、アルミニウムや銅あるいは金
や銀等の金属膜を付けることにより行われる。また、渦
巻き形状のほぼ中心部分に位置するドレイン214に接
続された入出力電極29およびスパイラル電極210の
内側端部から引き出された入出力電極26は、図21に
示すように、スパイラル電極210の各周回部分と絶縁
状態を保つように外周側に引き出されている。
【0155】上述したMOS構造を有する本実施例のL
C素子12dは、nチャネルエンハンスメント型の構造
を有しているものとすれば、スパイラル電極210に正
の電圧が印加されたときにはじめてn型のチャネル22
2が形成されることになる。そして、このチャネル22
2と上述したスパイラル電極210のそれぞれが渦巻き
形状のインダクタ用導体として機能するとともに、これ
らチャネル222およびスパイラル電極210の間には
分布定数的なキャパシタが形成される。
【0156】図23は、チャネル222が形成される状
態を示す断面図であり、スパイラル電極210の渦巻き
方向に対して垂直方向にとった断面が示されている。ス
パイラル電極210に対して、すなわちスパイラル電極
210に接続された入出力電極24または26に正のゲ
ート電圧が印加されていない状態では、同図(A)に示
すようにp−Si基板34の表面にはチャネル222が
現れない。したがって、この状態では図19に示したソ
ース212とドレイン214とが絶縁された状態にあ
る。
【0157】ところが、スパイラル電極210に対して
正のゲート電圧を印加すると、図23(B)に示すよう
に、スパイラル電極210に対応するp−Si基板34
の表面付近にn領域からなるチャネル222が出現す
る。このチャネル222は、スパイラル電極210の全
長にわたって形成されるため、スパイラル電極210と
チャネル222のそれぞれに蓄積される電荷によりこれ
らの間には分布定数的なキャパシタが形成されることに
なる。
【0158】図24は、本実施例のLC素子12dの断
面構造であり、スパイラル電極210の渦巻き方向に沿
った断面が示されている。同図に示すように、スパイラ
ル電極210に平行にチャネル222が形成され、この
チャネル222によってソース212とドレイン214
とが導通状態になる。例えば、エンハンスメント型の場
合は、スパイラル電極210にゲート電圧に相当する電
圧を印加した状態ではじめてこのチャネル222が形成
されてソース212とドレイン214とが導通状態とな
るが、スパイラル電極210に印加するゲート電圧を変
えることによりチャネル222の幅および深さが変わる
ため、ソース212とドレイン214との間のチャネル
222の抵抗値を変化させることができる。
【0159】図25は、本実施例のLC素子12dの等
価回路を示す図である。同図(A)に示す等価回路は、
スパイラル電極210に所定のバイアス電圧を印加する
ことによりチャネル222が形成され、これらのそれぞ
れがインダクタンスL1およびL2を有するインダクタ
として機能する場合が示されている。また、これらスパ
イラル電極210とチャネル222とによりキャパシタ
Cを有する渦巻き形状のキャパシタが形成される。
【0160】なお、後述するように、チャネル222が
形成される位置にあらかじめn型のキャリアを注入して
おくデプレション型構造としてもよい。
【0161】このような等価回路を有する本実施例のL
C素子12dは、信号入出力路となるチャネル222が
渦巻き形状に形成されるため、インダクタンスL1を有
するインダクタ導体として機能する。同様に、スパイラ
ル電極210がインダクタンスL2を有するインダクタ
導体として機能する。また、これら2つのインダクタ導
体は、絶縁層226を挟んで配置されることになるた
め、これらスパイラル電極210とチャネル222によ
って所定のキャパシタンスCを有するキャパシタが分布
定数的に形成される。しかし、スパイラル電極210と
チャネル222とは同心状に巻き回されているため、電
磁結合されており、LC素子12dがトランスとしての
機能も兼ね備えている。
【0162】したがって、このLC素子12dは、図2
等に示したLC素子と同様に、インダクタとキャパシタ
とが分布定数的に形成されたものであり、図1に示した
正弦波発振回路1等のLC素子12に置き換えて使用す
ることができる。特に、このLC素子12dはMOS構
造を有しているため、製造工程が単純であり、しかもI
C化あるいはLSI化に際して好都合となる。
【0163】また、図25(B)は、スパイラル電極2
10に対して可変のゲート電圧Vgを印加する場合の構
成を示したものである。スパイラル電極210に印加さ
れるゲート電圧Vg(正確には図24においてスパイラ
ル電極210とサブストレート224との間に印加され
るゲート電圧)を相対的に変えることにより、チャネル
222の深さが変わるため、チャネル222の移動度が
変わって、結果的にチャネル222の抵抗値を任意に変
換させることができる。
【0164】これにより、LC素子12dにおける周波
数特性も変化するため、このLC素子12dを用いて図
1あるいは図7等に示した正弦波発振回路を構成した場
合には、印加するゲート電圧Vgに応じてその発振周波
数が変化する電圧制御型の正弦波発振回路を容易に実現
することができる。
【0165】なお、本実施例のLC素子12dを実際に
図1に示した正弦波発振回路1に適用する場合には、ス
パイラル電極210の一方端に設けられた入出力電極2
6が電圧固定の電源ラインに接続されているため、図2
4に示したサブストレート224側を接地、あるいは上
述した電源ラインよりも低電圧の固定電源に接続する。
このような接続を行うことにより、スパイラル電極21
0に固定の逆バイアス電圧が相対的に印加され、チャネ
ル222が形成される。また、チャネル抵抗を制御する
場合には、例えば図6に示す可変抵抗52と抵抗54を
追加して、このサブストレート224側の電位を上げ下
げして、このサブストレート224とスパイラル電極2
10との間の相対的な逆バイアス電圧を可変に制御すれ
ばよい。
【0166】また、上述したLC素子12dは、ソース
212とドレイン214の間にnチャネルを形成する場
合を説明したが、この場合はキャリアとして電子が使用
されるため移動度が大きく、チャネル222の抵抗が小
さくなる。これに対し、n−Si基板上にpチャネルを
形成することにより、上述したLC素子12dを形成す
るようにしてもよい。この場合は、キャリアとしてホー
ルが使用されるため、チャネル222の抵抗が比較的大
きくなり、上述したnチャネルの場合と比較すると異な
る特性を有することになる。
【0167】但し、この場合にはスパイラル電極210
とサブストレート224との間に印加する逆バイアス電
圧の極性を反対にする必要があり、例えばこのようなL
C素子を図1に示した正弦波発振回路1に適用する場合
には、LC素子12dの入出力電極28およびサブスト
レート224側の電位をスパイラル電極210の電位よ
りも高く設定すればよい。あるいは、逆バイアス電圧の
極性を変えずに、p−Si基板34に代えてn−Si基
板を使用してもよい。
【0168】さらに、上述したLC素子12dは、スパ
イラル電極210側を一次捲線として、チャネル222
側を二次捲線として使用しているが、反対に、スパイラ
ル電極210側を二次捲線として、チャネル222側を
一次捲線として使用してもよい。但し、このLC素子を
そのまま図1等に示した正弦波発振回路に適用すると、
LC素子の二次側となるスパイラル電極210側の電位
がチャネル222の両端に設けられた入出力電極28,
29およびサブストレート224の電位よりも低くなる
ため、p−Si基板34の代わりにn−Si基板を用い
るか、あるいはスパイラル電極210側の電位を相対的
に高く設定する必要がある。
【0169】また、上述したLC素子12dは、スパイ
ラル電極210がその渦巻き方向に長いため、確実にチ
ャネル222が形成されるようにするために、サブスト
レート224側の電位をスパイラル電極210の電位よ
り低く設定することが必要となる。
【0170】図26は、本実施例のLC素子12dの製
造工程を示す図であり、一例としてエンハンスメント型
の場合が示されている。なお、同図は、スパイラル電極
210の渦巻き方向に断面をとったものである。
【0171】(1)酸化膜の形成:まず最初に、p−S
i基板34の表面を熱酸化することにより、二酸化シリ
コンを形成する(同図(A))。
【0172】(2)ソース・ドレインの窓開け:次に、
p−Si基板34表面の酸化膜に対してフォトエッチン
グを行うことにより、ソース212およびドレイン21
4に対応する部分の窓開けを行う(同図(B))。
【0173】(3)ソース・ドレインの形成:次に、窓
開けした部分からn型不純物を注入することによりソー
ス212およびドレイン214を形成する(同図
(C))。例えば、n型不純物としてAs+が用いら
れ、この不純物が熱拡散によって注入される。また、こ
のn型不純物をイオン打ち込みにより注入する場合に
は、上述した(2)における窓開けは不要となる。
【0174】(4)ゲート領域の除去:次に、スパイラ
ル電極210を形成したい部分の酸化膜を除去すること
により、ゲート領域の開口部を形成する(同図
(D))。本実施例のLC素子12dの場合は、スパイ
ラル電極210を渦巻き形状に形成する必要があるた
め、このゲート領域開口部の形成も渦巻き形状になるよ
うに行われる。このようにしてスパイラル電極210に
対応する部分のみp−Si基板34が露出することにな
る。
【0175】(5)ゲート酸化膜の形成:次に、このよ
うにして部分的に露出したp−Si基板34に対して新
しい酸化膜、すなわち絶縁層226の形成を行う(同図
(E))。
【0176】(6)ゲートおよび電極の形成:次に、例
えばアルミニウム等を蒸着することにより、ゲートとし
て機能するスパイラル電極210を形成するとともに、
ソース212に接続される入出力電極28およびドレイ
ン214に接続される入出力電極29のそれぞれを形成
する(同図(F))。
【0177】このようにしてLC素子12dを製造する
工程は、基本的には通常のMOS−FETを製造する工
程と類似しており、スパイラル電極210の形状等が異
なるのみであるといえる。したがって、1つの半導体基
板上にLC素子12dとともに、インバータ論理回路1
0等の他の部品を一体形成した正弦波発振回路を形成す
る際に好都合となる。
【0178】また、図19に示したLC素子12dは、
スパイラル電極210に印加する電圧レベルをサブスト
レート224に比べて相対的に高くしたときにチャネル
222が形成されるエンハンスメント型の素子について
説明したが、デプレション型とすることもできる。すな
わち、図19に示したチャネル222の領域にあらかじ
めキャリアを注入することによりn型領域を形成してお
く。これにより、スパイラル電極210に印加する電圧
レベルを相対的に高くすることなくチャネル222を形
成することができ、あるいはスパイラル電極210に印
加する電圧レベルとチャネル幅等との関係を変えること
ができる。また、注入するキャリアはスパイラル電極2
10に沿った一部の領域のみに注入してもよい。
【0179】図27は、LC素子の他の例を示す図であ
り、上述したMOS構造のLC素子のゲート電極を蛇行
形状に形成した場合が示されている。具体的には、図2
7に示すLC素子12eは、図19に示した渦巻き形状
のスパイラル電極210を蛇行形状の電極210aに置
き換えた構造を有する。
【0180】このように、電極210aおよびチャネル
222を蛇行形状に形成した場合であっても、図17に
おいて示したように電極210a,チャネル222のそ
れぞれがインダクタとして機能し、しかも、これらの間
には分布定数的なキャパシタが形成される点に変わりは
なく、このような構造を有するLC素子を用いて図1に
示した正弦波発振回路1等を構成することができる。し
かも、これらのLC素子はp−Si基板34上にMOS
製造技術を用いて形成することが可能であり、図1に示
した正弦波発振回路1等の他の構成部品(例えばインバ
ータ論理回路10)とともに一体成形する場合に適して
おり、正弦波発振回路全体の大量生産や小型化を容易に
実現できる。
【0181】図28は、LC素子の他の例を示す図であ
る。また、図29は図28のA−A線拡大断面図、図3
0は図28のB−B線拡大断面図、図31は図28のC
−C線拡大断面図、図32は図28のD−D線拡大断面
図である。
【0182】これらの図に示すLC素子12fは、図1
9に示したLC素子12dがスパイラル電極210をイ
ンダクタ導体とゲート電極の機能を兼用していたのに対
し、これらの機能を分離した点に特徴がある。
【0183】具体的には本実施例のLC素子12fは、
半導体基板であるp−Si基板34の表面付近の隔たっ
た位置に形成されたソース212とドレイン214の間
を渦巻き形状の第1のスパイラル電極310に対する電
圧の印加によって形成されるチャネル222によって接
続することにより形成されている。
【0184】上述したソース212およびドレイン21
4は、p−Si基板34を反転させたn+ 領域として形
成される。例えば、As+ イオンを熱拡散あるいはイオ
ン打ち込みにより注入して不純物濃度を高めることによ
り形成される。
【0185】第1のスパイラル電極310は、ゲートと
して機能するものであり、渦巻き形状の一方の端部(外
周側)がソース212の一部に、他方の端部(中心側)
がドレイン214の一部にオーバーラップするように、
p−Si基板34の表面側に形成された絶縁層226を
挟んで形成されている。第1のスパイラル電極310
は、例えばアルミニウム膜を成形することによって、あ
るいは拡散またはイオン注入でPを多量にドープするこ
とにより形成する。
【0186】また、上述した第1のスパイラル電極31
0とほぼ平行であって、ほぼ同心状に第2のスパイラル
電極312が形成されている。この第2のスパイラル電
極312と第1のスパイラル電極310との間に所定の
ゲート電圧を印加することにより、第1のスパイラル電
極310に対向するp−Si基板34の表面にチャネル
222が形成されるようになっている。
【0187】また、上述した第1のスパイラル電極31
0の一方端,ソース212,ドレイン214,第2のス
パイラル電極312の両端のそれぞれには、図28〜図
32に示すように、制御用電極228,入出力電極2
4,26,28,29が接続されている。すなわち、第
1のスパイラル電極310に対する制御用電極228の
取り付けは、図28に示すように、薄いゲート膜を傷付
けないように能動領域の外側で行われる。また、ソース
212への入出力電極24の取り付けおよびドレイン2
14への入出力電極26の取り付けは、図32および図
30に示すように、ソース212およびドレイン214
の一部を露出させた後に、アルミニウム等の金属膜を付
けることにより行われる。さらに、第2のスパイラル電
極312に対する入出力電極28,29の取り付けは、
制御用電極228と同様に薄いゲート膜を傷付けないよ
うに能動領域から隔たった位置で行われる。
【0188】上述した構造を有する本実施例のLC素子
12fは、nチャネルエンハンスメント型の構造を有し
ているものとすれば、第1のスパイラル電極310に正
の電圧(第2のスパイラル電極312よりも高い電圧)
が印加された時にはじめてチャネル222が形成される
ことになる。
【0189】図29(A)および(B)は、チャネル2
22が形成される状態を示す図である。第1のスパイラ
ル電極310に対して、すなわち第1のスパイラル電極
310に接続された制御用電極228に正のゲート電圧
が印加されていない状態では、同図(A)に示すように
p−Si基板34の表面にはチャネル222が現れな
い。したがって、この状態では図28に示したソース2
12とドレイン214とが絶縁された状態にある。
【0190】ところが、第1のスパイラル電極310に
対して相対的に正のゲート電圧が印加されると、図29
(B)に示すように第1のスパイラル電極310に対応
するp−Si基板34の表面付近にn領域からなるチャ
ネル222が出現する。また、p−Si基板34の内部
であってこのチャネル222の外側には、第1のスパイ
ラル電極310に印加された正のゲート電圧によって正
孔が排除された空乏層が形成される。したがって、この
空乏層を挟んでチャネル222内の電子とp−Si基板
34内の正孔とが対向して配置され、チャネル222と
その外側に空乏層を挟んで存在するp−Si基板34と
によりキャパシタが形成される。しかも、このキャパシ
タは第1のスパイラル電極310のほぼ全長にわたって
形成されるため、p−Si基板34に接続された第2の
スパイラル電極312とチャネル222との間には分布
定数的に渦巻き形状のキャパシタが形成されることにな
る。
【0191】図33は、本実施例のLC素子12fの等
価回路を示す図である。同図に示す等価回路は、制御用
電極228に所定のゲート電圧を印加することによりチ
ャネル222を形成し、このチャネル抵抗がゲート電圧
の変更により可変に制御可能であることを示している。
【0192】また、このLC素子12fを逆バイアスの
状態で使用する場合には、制御電極228の電位を第2
のスパイラル電極312の電位によりも高く設定すれば
よく、チャネル222の両端に設けられた入出力電極2
4,26の電位はその中間あるいは第2のスパイラル電
極312と同電位であってもよい。
【0193】図34は、このように各電極の電位を考慮
して、図1に示す正弦波発振回路に本実施例のLC素子
fを適用した具体例を示す図である。
【0194】同図に示すように、ゲートである第1のス
パイラル電極310に接続された制御電極228を電源
ラインに接続するとともに、入出力電極28を接地す
る。また、ドレイン214(あるいはソース212でも
よい)に設けられた入出力電極26を抵抗84を介して
入出力電極28に接続することにより、このドレイン2
14およびソース212を第2のスパイラル電極312
側と同電位に設定する。この抵抗84は、交流成分を通
過させないような充分大きな抵抗値を有している。ま
た、チャネル222の両端に設けられた2つのキャパシ
タ80,82は、直流成分を分離するためのものであ
り、充分大きな容量を有している。
【0195】このようにして、適切な逆バイアス電圧が
第1および第2のスパイラル電極310,312間に印
加されたLC素子12fを帰還ループ内に挿入すること
ができるため、本実施例のLC素子12fとインバータ
論理回路10等を組み合わせて構造が簡単な正弦波発振
回路を構成することができる。なお、図7に示した正弦
波発振回路2等についても同様であり、必要に応じてF
ET56やバイポーラトランジスタ66とLC素子12
fとの間に直流分離用のキャパシタを挿入することによ
り、LC素子12fに適切な逆バイアス電圧を印加すれ
ばよい。
【0196】なお、図34に示した正弦波発振回路にお
いては、LC素子12fの第1および第2のスパイラル
電極310,312間に電源ラインから印加される固定
の逆バイアス電圧が印加されるが、この逆バイアス電圧
を可変に制御する場合には、図6に示した可変抵抗52
と抵抗54からなるバイアス回路等を用いて、制御電極
228の電位、あるいは入出力電極28の電位を可変に
制御すればよい。
【0197】このような構造を有する本実施例のLC素
子12fは、チャネル222がインダクタンスL1を有
するインダクタ導体として機能するとともに、第2のス
パイラル電極312がインダクタンスL2を有するイン
ダクタ導体として機能する。また、これら2つのインダ
クタ導体間には所定のキャパシタンスCを有するキャパ
シタが分布定数的に形成される。したがって、このLC
素子12fは、基本的には図2等に示したLC素子と同
様な特性を有しており、図1に示した正弦波発振回路1
等に用いることができる。また、図19に示したLC素
子12d等と同様にMOS構造を有していることから、
MOS製造技術による工程の簡略化が可能であり、しか
も、p−Si基板34上に他の部品とともに一体形成す
ることが可能であり、容易に大量生産および小型化を実
現することができる。
【0198】なお、図34に示した正弦波発振回路で
は、LC素子12fのチャネル222側を一次捲線とし
て使用し、第2のスパイラル電極312側を二次捲線と
して使用したが、これらの機能を入れ換えるようにして
もよい。
【0199】図35は、図28以降に示したLC素子の
部分的変形例を示す図であり、図29に対応する断面構
造が示されている。具体的には、図35(A)に示すよ
うに、n−Si基板144の一部に第1および第2のス
パイラル電極310,312に沿った渦巻き形状のp領
域からなる反転層232が形成されている。このような
断面構造を有するLC素子において、第1のスパイラル
電極310の一方端に設けられた制御用電極228に対
して所定のゲート電圧を印加すると、同図(B)に示す
ように、この第1のスパイラル電極310に対応するn
−Si基板144の表面近傍にチャネル222が形成さ
れる。しかも、n−Si基板144と反転層232との
間に逆バイアス電圧を印加しておくことにより、渦巻き
形状の反転層232が各周回部分において相互に電気的
に分離され、チャネル222と第2のスパイラル電極3
12との間に確実に分布定数的なキャパシタが形成され
るようになる。
【0200】図36は、図28以降に示したLC素子の
変形例を示す図であり、ほぼ平行に配置されている第1
および第2のスパイラル電極310,312をp−Si
基板34を挟んでほぼ対向配置した場合が示されてい
る。また、図37は、図36のA−A線拡大断面図であ
り、図29に示した断面構造に対応するものである。
【0201】本実施例のLC素子12gは、図37にそ
の断面構造を示すように、第1および第2のスパイラル
電極310,312がp−Si基板34を挟んでほぼ対
向するように形成されており、第1のスパイラル電極3
10に対応して形成されるチャネル222とp−Si基
板34の裏面に形成された第2のスパイラル電極312
とにより渦巻き形状のキャパシタが分布定数的に形成さ
れている。
【0202】図38は、第1および第2のスパイラル電
極310,312をp−Si基板34を挟んでほぼ対向
配置した上記LC素子における部分的変形例を示す図で
ある。具体的には、第1および第2のスパイラル電極3
10,312の各周回部分の合間に渦巻き形状の反転層
が形成されている。すなわち、同図に示すようにp−S
i基板34の一部にn領域234からなる渦巻き形状の
反転層を形成する。このような構造を有するLC素子に
おいて、周回部分の異なる第2のスパイラル電極312
に接続されたp−Si基板34同士に着目すると、間に
n領域234が形成されているため電気的に分離されて
おり、確実に各周回部分のアイソレーションを行うこと
ができる。
【0203】また、実際にウエハの状態にあるp−Si
基板34を利用して上述したLC素子を製造する場合に
は、p−Si基板34の比抵抗が一般の金属に比べて高
いこと等を考慮して、p−Si基板34の厚みをウエハ
の状態よりも薄くする必要がある。また、上述したよう
に一般にはn型ウエハの方が入手しやすいことを考慮し
て、図39に示すような構造としてもよい。
【0204】すなわち、同図(A)に示すように、n−
Si基板144の一方の面に渦巻き形状のエッチングを
行い、このエッチングを行った部分に第1あるいは第2
のスパイラル電極310,312を形成する。また、同
図(B)に示すように、n−Si基板144の一部に第
1および第2のスパイラル電極310,312のそれぞ
れにほぼ沿うようにp+ 領域236を形成し、その後n
−Si基板144の裏面側であって第2のスパイラル電
極312に対応する部分のエッチングを行い、最後に第
1および第2のスパイラル電極310,312を形成す
る。
【0205】このようにほぼ対向するように形成された
第1および第2のスパイラル電極310,312間の間
隔を短くすることにより、ほぼ対向するチャネル222
と第2のスパイラル電極312との間にのみ分布定数的
なキャパシタが形成されることになる。しかも、同図
(B)に示すように第1および第2のスパイラル電極3
10,312に挟まれた部分に反転層を形成した場合に
は、第2のスパイラル電極312の異なる周回部分に接
してpnp構造が形成されるため、各周回部分において
良好なアイソレーションが行われる。
【0206】また、上述した図28以降の各図面におい
て説明したLC素子はいずれも第1および第2のスパイ
ラル電極310,312が渦巻き形状に形成されたもの
であるが、これらを蛇行形状に形成してもよい。図40
および図41は上述した第1および第2のスパイラル電
極310,312を蛇行形状を有する第1および第2の
電極310a,312aに置き換えたものであり、蛇行
形状を有する第1の電極310aに対応して形成される
チャネル222と第2の電極312aのそれぞれがイン
ダクタ導体として機能し、これらの間に分布定数的なキ
ャパシタが形成される点に変わりはない。
【0207】具体的には、図40にはほぼ同じ長さであ
って平行に形成された第1および第2の電極310a,
312aがp−Si基板34の一方の面に形成されたL
C素子12hが示されており、図41にはこれら第1お
よび第2の電極310a,312aがp−Si基板34
を挟んでほぼ対向するように形成されたLC素子12i
が示されている。
【0208】上述した各LC素子は、半導体基板の内部
を部分的に利用して分布定数的なキャパシタを形成する
とともに、LC素子の全体を半導体製造技術を用いて製
造可能にした点に特徴がある。これに対し、半導体基板
を利用する点は同じであるが、その内部を利用せずにそ
の表面に複数のインダクタ導体を重ねて形成することに
よりLC素子を構成することもできる。
【0209】図42は、LC素子の他の変形例を示す概
略図である。
【0210】同図に示すLC素子12iは、高純度の半
導体基板320とこの表面にほぼ重ねて形成された2本
のスパイラル電極322,324とを含んで構成されて
いる。第1のスパイラル電極322は、例えば図2に示
す第1のスパイラル電極20に対応しており、第2のス
パイラル電極324は図2に示す第2のスパイラル電極
22に対応している。また、これら第1および第2のス
パイラル電極322,324間には図示しない絶縁膜が
形成されている。
【0211】したがって、第1のスパイラル電極322
の両端に図2に示す入出力電極24,26に相当する端
子を設けることにより、この第1のスパイラル電極32
2を一方のインダクタ導体として機能させることができ
る。また、第2のスパイラル電極324は、この第1の
スパイラル電極322にほぼ重ねて形成されるため、こ
れら2つのスパイラル電極322,324間には分布定
数的なキャパシタが形成され、これらのインダクタ成分
とキャパシタ成分との関係は図2等に示したLC素子1
2とまったく同じとなる。
【0212】このため、図42に示すLC素子12jの
各スパイラル電極322,324をそれぞれ一次捲線お
よび二次捲線として用いることにより、図1に示した正
弦波発振回路1等と同様の正弦波発振回路を得ることが
できる。
【0213】特に、図42に示したLC素子12jは、
半導体基板320を利用して形成されているため、この
半導体基板320上に図1に示したその他の部品(例え
ばインバータ論理回路10等)も併せて一体形成するこ
とが可能であり、大量生産および小型化が容易に実現で
きる。
【0214】図43は、図42に概略構造を示したLC
素子の製造工程の一例を示す図である。同図は、LC素
子12jの断面構造を各工程順に示したものである。
【0215】(1)高純度の半導体基板320を用意す
る(同図(A))。この半導体基板320は、純度が低
い場合にはその表面に酸化膜等を形成することにより絶
縁基板として使用することもできる。
【0216】(2)この半導体基板320上に金属膜を
形成、例えばアルミニウム膜324aを蒸着する(同図
(B))。なお、金や銅などの他の材料により金属膜を
形成するようにしてもよい。
【0217】(3)アルミニウム膜324a上に渦巻き
形状のフォトレジスト330aのパターンを形成する
(同図(C))。このパターンの形成は、例えば写真蝕
刻法により行うことができる。
【0218】(4)このフォトレジスト330aをマス
クにしてアルミニウム膜324aを部分的に除去するこ
とにより第2のスパイラル電極324を形成する(同図
(D))。その後、フォトレジスト324aを洗い落と
す。
【0219】(5)このようにして形成された第2のス
パイラル電極324の両端をフォトレジスト330bに
よってマスクする(同図(E))。
【0220】(6)陽極酸化を行って、第2のスパイラ
ル電極324の残り部分(マスクされない部分)の表面
に絶縁性酸化皮膜326を形成する(同図(F))。
【0221】(7)再度、全表面に金属膜を形成、例え
ばアルミニウム膜322aを蒸着する(同図(G))。
【0222】(8)アルミニウム膜322a上に渦巻き
形状のフォトレジスト330cのパターンおよび第2の
スパイラル電極324の両端部に形成する引き出し電極
328に対応するフォトレジスト330dのパターンを
形成する(同図(H))。このパターンの形成は、例え
ば上述したフォトレジスト330aの場合と同様に写真
蝕刻法により行うことができる。
【0223】(9)これらのフォトレジスト330c,
330dをマスクにしてアルミニウム膜332aを部分
的に除去することにより、第1のスパイラル電極322
を形成するとともに、下層である第2のスパイラル電極
324の両端部に引き出し電極328を形成する。その
後、フォトレジスト330c,330dを洗い落とす。
【0224】図44は、このような工程を経て半導体基
板320上に形成されたLC素子12jの平面形状を示
す図である。同図に示すように、本実施例のLC素子1
2jは、表面に第1のスパイラル電極322が形成され
ているとともに、第2のスパイラル電極324の両端部
に設けられた2つの引き出し電極328が露出してい
る。この2つの引き出し電極328が図2に示した入出
力電極28,29に相当するものであり、第1のスパイ
ラル電極322の両端のそれぞれが図2に示した入出力
電極24,26のそれぞれに対応している。
【0225】図45は、図42に概略構造を示したLC
素子の製造工程の他の例を示す図である。図43に示し
た製造工程によれば、2つのスパイラル電極322,3
24の間を陽極酸化により形成された絶縁性酸化皮膜3
26により絶縁を行うLC素子が製造されるが、図45
に示した製造工程によれば、この絶縁性酸化皮膜326
を化学気相法(CVD)により形成されたシリコン酸化
膜(あるいは窒化膜)に置き換えたLC素子が製造され
る点が異なっている。以下、その製造工程を説明する。
【0226】(1)高純度の半導体基板320を用意す
る(同図(A))。そして、この半導体基板320上に
化学気相法により第1のシリコン酸化膜340を形成す
る(同図(B))。ただし、高純度の半導体基板320
を用いた場合には比抵抗が高いため、第1のシリコン酸
化膜340を省略することもできる。
【0227】(2)第1のシリコン酸化膜340上に、
次の化学気相法の工程に耐え得る金属、例えば金,タン
グステン,モリブデン,タンタル,ニオブなどの金属膜
324bを蒸着する(同図(C))。
【0228】(3)金属膜324b上に渦巻き形状のフ
ォトレジスト330aのパターンを形成する(同図
(D))。このパターンの形成は、例えば写真蝕刻法に
より行うことができる。
【0229】(4)このフォトレジスト330aをマス
クにして金属膜324bを部分的に除去することにより
第2のスパイラル電極324を形成する(同図
(E))。その後、フォトレジスト330aを洗い落と
す。
【0230】(5)第2のスパイラル電極324および
露出している第1のシリコン酸化膜340の上に、化学
気相法により第2のシリコン酸化膜342を形成する
(同図(F))。
【0231】(6)この第2のシリコン酸化膜342上
に金属膜322bを蒸着する(同図(G))。後工程に
化学気相法の工程がないことから、この金属膜322b
はアルミニウム膜とすることができるが、金や銅等の他
の金属材料で形成してもよい。
【0232】(7)金属膜322b上に渦巻き形状のフ
ォトレジスト330cのパターンを形成する(同図
(H))。このパターンの形成は、例えば上述したフォ
トレジスト330aの場合と同様に写真蝕刻法により行
うことができる。
【0233】(8)このフォトレジスト330cをマス
クにして、第1のスパイラル電極322を形成する(同
図(I))。その後、フォトレジスト330cを洗い落
とす。また、第2のスパイラル電極324の両端部に対
応する第2のシリコン酸化膜をエッチングにより削除し
て、その両端部を露出させる。この露出した端部が、入
出力電極として使用される。
【0234】このような工程を用いることによっても、
図42に平面構造を示したLC素子12jを製造するこ
とができる。このように、上述した本実施例のLC素子
12jは、半導体基板320の表面に形成されているた
め、この半導体基板320を用いて図1に示した正弦波
発振回路1等のその他の部品(例えばインバータ論理回
路10)を形成することができ、一体形成による大量生
産および回路全体の小型化を容易に実現することができ
る。
【0235】なお、図42に概略構造を示したLC素子
12jは、第1および第2のスパイラル電極322,3
24を渦巻き形状に形成したが、これら2つの電極を図
16等に示したような蛇行形状に形成してもよい。ま
た、これらの電極は、ほぼ対向させるだけでなく、一方
の電極の各周回部分の合間に他の電極の各周回部分の中
心がくるように部分的に各電極を重ねるようにしてもよ
い。
【0236】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が
可能である。
【0237】例えば、上述した各実施例におけるLC素
子は、一次捲線および二次捲線として機能する2つの導
体(2つの電極あるいは電極とチャネルの組み合わせ)
の長さをほぼ同じに設定したが、2つの導体のそれぞれ
を異なる長さに設定してもよい。この場合にも各導体が
インダクタとして機能するとともに各導体間に分布定数
的にキャパシタが形成されるとともに、2つの導体が電
磁結合することによりトランスとして動作する点に変わ
りはなく、このLC素子を用いて図1の正弦波発振回路
1等に適用することができる。また、2つの導体を部分
的に対応させた場合には、分布定数的に形成されるキャ
パシタンスが小さくなるため、正弦波発振回路を構成し
た場合の発振周波数も変わることになり、2つの導体の
相対的長さを変えることにより発振周波数を調整するこ
とができる。
【0238】さらに、二次捲線に相当する導体の長さを
相対的に長くして捲線比を1以上に設定した場合には一
次側に入力される信号の電圧レベルを昇圧することも可
能であり、その分だけ増幅率の低い反転増幅器を使用す
ることができるため、その分だけ部品選択の自由度が増
す。
【0239】また、上述した各LC素子は、インダクタ
導体として機能する電極やチャネルを渦巻き形状あるい
は蛇行形状に形成したが、この渦巻き形状には周回数が
ほぼ1周あるいは1周未満のものも含まれ、蛇行形状に
は波形や凹凸数が1あるいは2程度の非直線形状のもの
も含まれており、インダクタンスの大きさ等に応じて、
使用するLC素子の電極形状を適宜選択することができ
る。
【0240】また、上述した各実施例のLC素子は、主
にp−Si基板を利用して形成したが、同様にn型半導
体基板(n−Si基板)を利用して形成するようにして
もよい。また、半導体基板はゲルマニウム等のシリコン
以外の材料、あるいは非晶質材料であるアモルファスシ
リコン等を用いるようにしてもよい。
【0241】
【発明の効果】上述したように請求項1の発明によれ
ば、反転増幅器の出力をLC素子の一次側に入力すると
ともに、このLC素子の二次側から出力される逆相の信
号を再び反転増幅器に入力しており、反転増幅器とLC
素子とを接続するだけで正弦波発振が行われており、よ
り少ない種類の部品を組み合わせるだけで簡単に正弦波
を発生させることができる。また、上述したLC素子は
半導体基板上に形成されているため、反転増幅器を含む
全ての部品を半導体基板上に形成することが可能であ
り、半導体製造技術を利用した大量生産や回路の小型化
が可能となる。特に、これらの各部品は1つの半導体基
板上に形成することもでき、この場合を回路全体を半導
体基板上に一体形成することになるため、大量生産や回
路の小型化がさらに容易になる。
【0242】また、請求項2または3の発明によれば、
上述した反転増幅器をインバータ論理回路やトランジス
タを利用したソース接地回路あるいはエミッタ接地回路
により構成しており、このような構造が単純な反転増幅
器とLC素子とを組み合わせるだけで、簡単に正弦波を
発生させることができる。特に、上述したインバータ論
理回路やソース接地回路あるいはエミッタ接地回路は一
般には半導体基板上に形成されるものであり、他の部品
とともに一体形成する場合にさらに好都合となる。
【0243】また、請求項4の発明によれば、半導体基
板上であって同心状に隣接して配置された渦巻き形状の
2つの電極と、これら2つの電極に沿って形成された渦
巻き形状のpn接合層とにより上述したLC素子が形成
されており、特に、このLC素子は半導体製造技術を用
いて半導体基板に形成されるため、反転増幅器等のそれ
以外の部品とともに半導体基板上に一体形成する際に好
都合となる。
【0244】また、請求項5の発明によれば、請求項4
において半導体基板上に同心状に設けられていた渦巻き
形状の2つの電極を互いに半導体基板を挟んで対向配置
することによりLC素子が形成されており、このLC素
子も半導体製造技術を用いて半導体基板に形成されるた
め、反転増幅器等のそれ以外の部品とともに一体形成す
る際に好都合となる。
【0245】また、請求項6,7の発明によれば、請求
項4,5における電極を渦巻き形状から蛇行形状に置き
換えることによりLC素子が形成されており、電極の一
方端あるいは両端に配線を施す場合に、この配線を電極
の一部と交差せずに引き出せる利点があり、正弦波発振
回路全体の製造工程の簡略化が可能となる。
【0246】また、請求項8の発明によれば、2つの電
極のいずれか一方を短く形成することにより、インダク
タ導体が部分的に対向したLC素子が形成されており、
部分対向させる電極の割合等を変えることにより発振周
波数をある範囲で調整することができるため、正弦波発
振回路の設計の自由度が増すことにもなる。
【0247】また、このように2つの電極の長さを変え
て、特に二次側の電極を相対的に長くして捲線比が1対
n(n>1)のLC素子を形成した場合には、トランス
として動作するLC素子を介して信号が帰還される際に
信号の電圧レベルの増幅が行われるため、増幅率の低い
反転増幅器を用いることができ、部品選択の幅が広がる
ことになる。
【0248】また、請求項9の発明によれば、pn接合
層に印加する逆バイアス電圧を変更することにより、分
布定数的に形成されるキャパシタの容量値が変更可能な
LC素子が形成されており、このようなLC素子を用い
ることによりある範囲で発振周波数を制御可能な電圧制
御型の正弦波発振回路を容易に実現することができる。
【0249】また、請求項10,11の発明によれば、
ゲートが渦巻き形状あるいは蛇行形状を有するMOS構
造のLC素子が形成されており、これらの各LC素子は
マスクの形状等を変更するだけで通常のMOSトランジ
スタを製造する工程を利用して製造可能であり、反転増
幅器等のそれ以外の部品とともに半導体基板上に一体形
成する際に好都合となる。特に、反転増幅器もMOS構
造を有する場合、例えばMOSトランジスタやCMOS
等のインバータ論理回路により構成した場合には、正弦
波発振回路全体をMOS構造とすることができることか
ら、製造工程の簡略化や各部品の高密度実装化が可能と
なり、ICやLSIの一部として組み込む場合に特に好
都合となる。
【0250】また、請求項12〜15の発明によれば、
上述した請求項10または11の各LC素子のゲート電
極にほぼ平行に、あるいはほぼ対向するように第2の電
極を設けることによりMOS構造のLC素子が形成され
ており、ゲート電極は独立して逆バイアス印加用に用い
られている。したがって、ゲート電極への電圧印加とチ
ャネルや第2の電極を介した信号の伝送とを切り離すこ
とができ、LC素子のバイアスの制御が容易となる。
【0251】また、請求項16または17の発明によれ
ば、請求項10〜15におけるゲート電極とチャネル、
あるいは2つの電極を部分的に対向させることによりL
C素子が形成されており、この部分対向させる割合等を
変えることにより発振周波数をある範囲で調整すること
ができ、正弦波発振回路の設計の自由度が増すことにも
なる。また、二次捲線に相当する電極あるいはチャネル
を相対的に長くすることにより昇圧効果を持たせ、その
分増幅率の低い反転増幅器を用いることができ、部品選
択の幅も広がる。
【0252】また、請求項18の発明によれば、上述し
たチャネルが形成される位置に予めキャリアを注入して
おくデプレション型のLC素子が形成されており、予め
注入するキャリアの量を調整することによりチャネル抵
抗やソース・ドレイン間電流を変えることができるた
め、LC素子の特性をある範囲で調整することができ、
正弦波発振回路の設計の自由度が増すことにもなる。
【0253】また、請求項19の発明によれば、請求項
10〜18の各ゲート電圧を変えることによりチャネル
抵抗が変更可能なLC素子が形成されており、このチャ
ネル抵抗の変更の程度に応じてLC素子の周波数特性も
変更されることになるため、電圧制御型の正弦波発振回
路を容易に実現することができる。
【0254】また、請求項20または21の発明によれ
ば、半導体基板上に直接あるいは第1の絶縁層を形成し
た後に、第1の電極,第2の絶縁層,第2の電極を積層
するように形成することによりLC素子が形成されてお
り、半導体基板を利用してこのLC素子や反転増幅器等
の他の部品とともに一体形成できることに変わりはな
く、正弦波発振回路の大量生産や小型化に適している。
【0255】また、請求項22または23の発明によれ
ば、2つの電極間に形成する絶縁層を、電極の酸化ある
いは化学気相法による酸化物あるいは窒化物により構成
したLC素子が形成されており、このようにして絶縁層
を形成する工程や渦巻きあるいは蛇行形状の電極を形成
する工程は一般的な半導体製造技術によって実現される
ものであり、他の部品とともに正弦波発振回路の全体を
一体形成する際に好都合となる。
【0256】また、請求項24の発明によれば、請求項
20〜23における2つの電極のいずれか一方を短くし
てこれらの電極を部分的に対向させることによりLC素
子が形成されており、この部分対向させる割合等を変え
ることにより発振周波数をある範囲で調整することがで
き、正弦波発振回路の設計の自由度が増すことにもな
る。また、二次捲線に相当する電極を相対的に長くする
ことにより昇圧効果を持たせ、その分増幅率の低い反転
増幅器を用いることができ、部品選択の幅も広がる。
【0257】また、請求項25の発明によれば、正弦波
発振回路の全体を半導体基板上に一体形成できる点を明
確にしたものであり、半導体基板を利用して形成された
LC素子とともに半導体部品である反転増幅器等を一体
形成した正弦波発振回路を実現することは容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1実施例の正弦波発振回路
の構成を示す図である。
【図2】LC素子の一例を示す図である。
【図3】図2のA−A線拡大断面図である。
【図4】図2に示したLC素子の等価回路を示す図であ
る。
【図5】図2に示したLC素子の製造工程を示す図であ
る。
【図6】第1実施例の変形例を示す図である。
【図7】本発明を適用した第2実施例の正弦波発振回路
の構成を示す図である。
【図8】第2実施例の変形例を示す図である。
【図9】第2の実施例の他の変形例を示す図である。
【図10】本発明を適用した第3実施例の正弦波発振回
路の構成を示す図である。
【図11】第3実施例の変形例を示す図である。
【図12】LC素子の変形例を示す図である。
【図13】図12のA−A線拡大断面図である。
【図14】図12に示したLC素子の断面構造の部分的
変形例を示す図である。
【図15】図12に示したLC素子の断面構造の部分的
変形例を示す図である。
【図16】LC素子の他の変形例を示す図である。
【図17】蛇行形状を有するインダクタ導体の動作を説
明するための図である。
【図18】LC素子の他の変形例を示す図である。
【図19】LC素子の他の変形例を示す図である。
【図20】図19のA−A線拡大断面図である。
【図21】図19のB−B線拡大断面図である。
【図22】図19のC−C線拡大断面図である。
【図23】図19に示したLC素子においてチャネルが
形成される状態を説明するための図である。
【図24】図19に示したLC素子の渦巻き形状の電極
に沿った断面を示す図である。
【図25】図19に示したLC素子の等価回路を示す図
である。
【図26】図19に示したLC素子の製造工程を示す図
である。
【図27】LC素子の他の変形例を示す図である。
【図28】LC素子の他の変形例を示す図である。
【図29】図28のA−A線拡大断面図である。
【図30】図28のB−B線拡大断面図である。
【図31】図28のC−C線拡大断面図である。
【図32】図28のD−D線拡大断面図である。
【図33】図28に示したLC素子の等価回路を示す図
である。
【図34】図28に示したLC素子を正弦波発振回路に
適用する場合の具体的構成を示す図である。
【図35】図28に示したLC素子の断面構造の部分的
変形例を示す図である。
【図36】LC素子の他の変形例を示す図である。
【図37】図36に示したLC素子においてチャネルが
形成される状態を説明するための図である。
【図38】図36に示したLC素子の断面構造の部分的
変形例を示す図である。
【図39】図36に示したLC素子の断面構造の部分的
変形例を示す図である。
【図40】LC素子の他の変形例を示す図である。
【図41】LC素子の他の変形例を示す図である。
【図42】LC素子の他の変形例の概略を示す図であ
る。
【図43】図42に示したLC素子の製造工程の一例を
示す図である。
【図44】図42に示したLC素子の平面図である。
【図45】図42に示したLC素子の製造工程の他の例
を示す図である。
【符号の説明】
1 正弦波発振回路 10 インバータ論理回路 12 LC素子 14 キャパシタ 16 抵抗 20 第1のスパイラル電極 22 第2のスパイラル電極 24,26,28,29 入出力電極 34 p−Si基板(p型シリコン基板) 36 pn接合層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H03B 5/18 Z 8321−5J

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力信号を増幅するとともに位相反転を
    行う反転増幅器と、 半導体基板上にほぼ並行に形成されて一次および二次捲
    線としての機能を有する2本のインダクタ導体を有し、
    これら2本のインダクタ導体による2本のインダクタと
    それらの間のキャパシタとが分布定数的に形成されてい
    るLC素子と、 を備え、前記反転増幅器の出力側を前記LC素子の一次
    側に接続するとともに、前記LC素子の二次側を一次側
    と逆相となるように前記反転増幅器の入力側に接続する
    ことを特徴とする正弦波発振回路。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記反転増幅器をインバータ論理回路により構成するこ
    とを特徴とする正弦波発振回路。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 前記反転増幅器をソース接地回路あるいはエミッタ接地
    回路により構成することを特徴とする正弦波発振回路。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記LC素子は、 同一平面内でほぼ同心状で隣接して配置されており、前
    記2本のインダクタ導体として機能する渦巻き形状の2
    つの電極と、 前記半導体基板の表面近傍であって前記2つの電極に沿
    った位置に形成され、これら2つの電極のいずれか一方
    にp領域が、他方にn領域が電気的に接続されており、
    逆バイアス電圧を印加することにより前記キャパシタと
    して動作する渦巻き形状のpn接合層と、 を備えることを特徴とする正弦波発振回路。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記LC素子は、 前記半導体基板を挟んでほぼ対向して配置されており、
    前記2本のインダクタ導体として機能する渦巻き形状の
    2つの電極と、 前記半導体基板内であって前記2つの電極に挟まれた位
    置に形成され、これら2つの電極のいずれか一方にp領
    域が、他方にn領域が電気的に接続されており、逆バイ
    アス電圧を印加することにより前記キャパシタとして動
    作する渦巻き形状のpn接合層と、 を備えることを特徴とする正弦波発振回路。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記LC素子は、 同一平面内でほぼ平行に隣接して配置されており、前記
    2本のインダクタ導体として機能する蛇行形状の2つの
    電極と、 前記半導体基板の表面近傍であって前記2つの電極に沿
    った位置に形成され、これら2つの電極のいずれか一方
    にp領域が、他方にn領域が電気的に接続されており、
    逆バイアス電圧を印加することにより前記キャパシタと
    して動作する蛇行形状のpn接合層と、 を備えることを特徴とする正弦波発振回路。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記LC素子は、 前記半導体基板を挟んでほぼ対向して配置されており、
    前記2本のインダクタ導体として機能する蛇行形状の2
    つの電極と、 前記半導体基板内であって前記2つの電極に挟まれた位
    置に形成され、これら2つの電極のいずれか一方にp領
    域が、他方にn領域が電気的に接続されており、逆バイ
    アス電圧を印加することにより前記キャパシタとして動
    作する渦巻き形状のpn接合層と、 を備えることを特徴とする正弦波発振回路。
  8. 【請求項8】 請求項4〜7のいずれかにおいて、 前記2つの電極のいずれか一方の長さを他方に比べて短
    く形成することを特徴とする正弦波発振回路。
  9. 【請求項9】 請求項4〜8のいずれかにおいて、 前記pn接合層に印加する逆バイアス電圧を変更するこ
    とにより、前記LC素子内に分布定数的に形成されるキ
    ャパシタの容量値を変えることを特徴とする正弦波発振
    回路。
  10. 【請求項10】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記LC素子は、 MOS構造におけるゲートを形成する渦巻き形状の電極
    と、 前記渦巻き形状の電極と前記半導体基板との間に形成さ
    れた絶縁層と、 前記半導体基板内にあって、前記渦巻き形状の電極に対
    応して形成されるチャネルの両端付近に形成されてソー
    スおよびドレインとして機能する第1および第2の拡散
    領域と、 を備え、前記渦巻き形状の電極とこれに対応して形成さ
    れるチャネルのそれぞれを前記2本のインダクタ導体と
    して使用することを特徴とする正弦波発振回路。
  11. 【請求項11】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記LC素子は、 MOS構造におけるゲートを形成する蛇行形状の電極
    と、 前記蛇行形状の電極と前記半導体基板との間に形成され
    た絶縁層と、 前記半導体基板内にあって、前記蛇行形状の電極に対応
    して形成されるチャネルの両端付近に形成されてソース
    およびドレインとして機能する第1および第2の拡散領
    域と、 を備え、前記蛇行形状の電極とこれに対応して形成され
    るチャネルのそれぞれを前記2本のインダクタ導体とし
    て使用することを特徴とする正弦波発振回路。
  12. 【請求項12】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記LC素子は、 MOS構造におけるゲートを形成する渦巻き形状の第1
    の電極と、 渦巻き形状の前記第1の電極と前記半導体基板との間に
    形成された絶縁層と、 前記半導体基板表面であって、前記第1の電極と同心状
    で隣接して形成された渦巻き形状の第2の電極と、 前記半導体基板内にあって、渦巻き形状の前記第1の電
    極に対応して形成されるチャネルの両端付近に形成され
    てソースおよびドレインとして機能する第1および第2
    の拡散領域と、 を備え、渦巻き形状の前記第1の電極に対応して形成さ
    れるチャネルと前記第2の電極のそれぞれを前記2本の
    インダクタ導体として使用することを特徴とする正弦波
    発振回路。
  13. 【請求項13】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記LC素子は、 MOS構造におけるゲートを形成する蛇行形状の第1の
    電極と、 蛇行形状の前記第1の電極と前記半導体基板との間に形
    成された絶縁層と、 前記半導体基板表面であって、前記第1の電極に沿って
    ほぼ平行に隣接して形成された蛇行形状の第2の電極
    と、 前記半導体基板内にあって、蛇行形状の前記第1の電極
    に対応して形成されるチャネルの両端付近に形成されて
    ソースおよびドレインとして機能する第1および第2の
    拡散領域と、 を備え、蛇行形状の前記第1の電極に対応して形成され
    るチャネルと前記第2の電極のそれぞれを前記2本のイ
    ンダクタ導体として使用することを特徴とする正弦波発
    振回路。
  14. 【請求項14】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記LC素子は、 前記半導体基板の一方の面側に形成され、MOS構造に
    おけるゲートを形成する渦巻き形状の第1の電極と、 渦巻き形状の前記第1の電極と前記半導体基板との間に
    形成された絶縁層と、 前記半導体基板の他方の面側に形成され、前記第1の電
    極とほぼ対向する位置に形成された渦巻き形状の第2の
    電極と、 前記半導体基板内にあって、渦巻き形状の前記第1の電
    極に対応して形成されるチャネルの両端付近に形成され
    てソースおよびドレインとして機能する第1および第2
    の拡散領域と、 を備え、渦巻き形状の前記第1の電極に対応して形成さ
    れるチャネルと前記第2の電極のそれぞれを前記2本の
    インダクタ導体として使用することを特徴とする正弦波
    発振回路。
  15. 【請求項15】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記LC素子は、 前記半導体基板の一方の面側に形成され、MOS構造に
    おけるゲートを形成する蛇行形状の第1の電極と、 蛇行形状の前記第1の電極と前記半導体基板との間に形
    成された絶縁層と、 前記半導体基板の他方の面側に形成され、前記第1の電
    極とほぼ対向する位置に形成された蛇行形状の第2の電
    極と、 前記半導体基板内にあって、蛇行形状の前記第1の電極
    に対応して形成されるチャネルの両端付近に形成されて
    ソースおよびドレインとして機能する第1および第2の
    拡散領域と、 を備え、蛇行形状の前記第1の電極に対応して形成され
    るチャネルと前記第2の電極のそれぞれを前記2本のイ
    ンダクタ導体として使用することを特徴とする正弦波発
    振回路。
  16. 【請求項16】 請求項10または11のいずれかにお
    いて、 前記半導体基板表面近傍であって前記チャネルが形成さ
    れる位置の少なくとも一部に予めキャリアを注入すると
    ともに、前記渦巻き形状あるいは前記蛇行形状の電極に
    対して前記チャネルの長さを長くあるいは短く設定する
    ことにより、渦巻き形状あるいは蛇行形状の前記電極と
    前記チャネルとを部分的に対向させることを特徴とする
    正弦波発振回路。
  17. 【請求項17】 請求項12〜15のいずれかにおい
    て、 前記第1および第2の電極のいずれか一方の長さを他方
    に比べて短く形成することにより、渦巻き形状あるいは
    蛇行形状の前記第2の電極と前記チャネルとを部分的に
    対向させることを特徴とする正弦波発振回路。
  18. 【請求項18】 請求項10〜15,17のいずれかに
    おいて、 前記半導体基板表面近傍であって前記チャネルが形成さ
    れる位置に、予めキャリアを注入することを特徴とする
    正弦波発振回路。
  19. 【請求項19】 請求項10〜18のいずれかにおい
    て、 前記ゲートを形成する電極に印加するゲート電圧を変更
    することにより、前記チャネルが有する抵抗値を可変に
    制御することを特徴とする正弦波発振回路。
  20. 【請求項20】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記LC素子は、 前記半導体表面に直接あるいは第1の絶縁層を挟んで形
    成された渦巻き形状の第1の電極と、 前記第1の電極の表面に形成された第2の絶縁層と、 前記第1の電極とほぼ対向する位置に前記第2の絶縁層
    を挟んで形成された渦巻き形状の第2の電極と、 を備え、前記第1および第2の電極のそれぞれを前記2
    本のインダクタ導体として使用することを特徴とする正
    弦波発振回路。
  21. 【請求項21】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記LC素子は、 前記半導体表面に直接あるいは第1の絶縁層を挟んで形
    成された蛇行形状の第1の電極と、 前記第1の電極の表面に形成された第2の絶縁層と、 前記第1の電極とほぼ対向する位置に前記第2の絶縁層
    を挟んで形成された蛇行形状の第2の電極と、 を備え、前記第1および第2の電極のそれぞれを前記2
    本のインダクタ導体として使用することを特徴とする正
    弦波発振回路。
  22. 【請求項22】 請求項20または21において、 前記第2の絶縁層は、前記第1の電極を酸化することに
    より形成された酸化膜であることを特徴とする正弦波発
    振回路。
  23. 【請求項23】 請求項20または21において、 前記第2の絶縁層は、化学気相法により形成された半導
    体酸化膜あるいは窒化膜であることを特徴とする正弦波
    発振回路。
  24. 【請求項24】 請求項20〜23のいずれかにおい
    て、 前記第1および第2の電極のいずれか一方の長さを他方
    に比べて短く形成することを特徴とする正弦波発振回
    路。
  25. 【請求項25】 請求項1〜24のいずれかにおいて、 前記LC素子と前記反転増幅器を共通する前記半導体基
    板上に一体形成することを特徴とする正弦波発振回路。
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WO2001008290A1 (en) * 1999-07-26 2001-02-01 Niigata Seimitsu Co., Ltd. Lc oscillator
JP2003534726A (ja) * 2000-05-23 2003-11-18 ワイア21,インコーポレーテツド 各種電力線上の高周波数ネットワーク通信
CN111019814A (zh) * 2019-12-26 2020-04-17 中国科学院苏州生物医学工程技术研究所 一种基于纳米孔的核酸测序装置、核酸测序方法

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