JPH07336130A - 移動体用アンテナ装置 - Google Patents

移動体用アンテナ装置

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Publication number
JPH07336130A
JPH07336130A JP6151427A JP15142794A JPH07336130A JP H07336130 A JPH07336130 A JP H07336130A JP 6151427 A JP6151427 A JP 6151427A JP 15142794 A JP15142794 A JP 15142794A JP H07336130 A JPH07336130 A JP H07336130A
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JP
Japan
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signal
frequency
weighting
audio signal
antenna
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Application number
JP6151427A
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English (en)
Inventor
Yoshitoshi Fujimoto
美俊 藤元
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
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Publication of JPH07336130A publication Critical patent/JPH07336130A/ja
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  • Radio Transmission System (AREA)
  • Picture Signal Circuits (AREA)
  • Variable-Direction Aerials And Aerial Arrays (AREA)
  • Details Of Aerials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 走行中の移動体において、ゴーストや同期は
ずれのない良好なTV画像を得ること。 【構成】 複数のアンテナ素子はTV信号Xi を出力す
る。音声信号抽出手段40はTV信号より音声信号Ai
を抽出する。重み制御手段50は音声信号よりCMA
(コンスタント・モデュラス・アルゴリズム)に基づく
評価関数が最小となる重み係数Wi を算出する。重み付
け手段20は重み係数Wi により対応するTV信号Xi
の振幅および位相の重み付け処理を行う。合成手段30
はそれぞれ重み付け処理された信号を合成する。この合
成された信号では遅延波に含まれる音声信号が互いに打
ち消されているので、遅延波の到来方向にヌルが形成さ
れた指向性が得られる。これにより、音声信号およびそ
れとほぼ同一方向から到来する映像信号の遅延波をとも
に除去することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、移動体用アンテナ装置
に係わり、特に自動車等の移動体に搭載されたテレビジ
ョン受像機のゴーストの除去および同期はずれ等を防止
して画質の改善を可能にするアンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】地上の放送局から放射されたテレビジョ
ン(以下TVという)放送電波を受信するTV受像機に
おいて、その受信画像の画質を劣化させる主な要因は、
電波の反射や回折によって生じる遅延波である。放送局
から直接受信点に到来する直接波の他に、それとは異な
る経路を経て時間差をもって到来する遅延波が存在する
場合、受信画像上の遅延時間に相当する位置にゴースト
が現れ画質が劣化する。
【0003】この対策として従来、ゴースト・キャンセ
リング・チューナ(以下、GCTという)といわれるも
のが使用されている。このGCTは、受信したTV信号
に含まれるゴースト・キャンセリング・リファレンス
(以下、GCRという)信号の波形が、ゴーストが存在
する場合には歪んでしまうことを利用して遅延波の除去
を行っている。すなわち、GCTの動作原理の概略は以
下の通りである。まず放送局においてTVの電波を放送
する際に、TV画面の垂直帰線期間内にゴースト除去用
の基準信号(GCR信号)を重畳させておく。このGC
R信号は常に一定の波形であり、受信機側でも同じ波形
を用意しておく。受信信号中に直接波成分の他に遅延波
の成分が混入している場合には、遅延波の影響によって
GCR信号の波形が歪んでしまう。そこでトランスバー
サルフィルタを用いてゴースト成分を除去する。すなわ
ち、受信信号をトランスバーサルフィルタに入力し、フ
ィルタの出力信号の中から、GCR信号のみを抽出す
る。これとあらかじめ用意しておいた歪みのないGCR
信号とを比較し、両者が一致するようにトランスバーサ
ルフィルタのタップ係数を制御する。タップ係数はTV
信号よりGCR信号が抽出されるたびに、あるアルゴリ
ズムに従って逐次修正される。アルゴリズムが収束した
とき、トランスバーサルフィルタの出力にはゴースト成
分は現れず良好な受信画像が得られる。
【0004】以上がGCTの動作原理の概略であり、G
CTは既に家庭用TVにおけるゴースト除去装置として
実用化されている。しかし、このGCTを車載TVに適
用しても、以下の2つの理由からゴースト除去装置とし
ての十分な効果が得られない。
【0005】 自動車においてTVの電波を受信する
場合、自動車の移動に伴って直接波と遅延波の到来時刻
の差および位相差が激しく変化する。例えば、VHFの
第3チャネル(103.25MHz 、波長は約2.9
m)に関して、直接波が自動車の前方から、また遅延波
が後方からそれぞれ到来するものとする。このとき自動
車の速度を時速50km/hとすれば、直接波および遅延波
の間の位相差は約1/10秒で360°変化する。従っ
て電波の状況に応じて良好にタップ係数を追従させるた
めには少なくとも1/100秒に一回以上の頻度でタッ
プ係数を修正していく必要がある。UHFであれば波長
が短いため更に速くタップ係数を修正する必要がある。
しかしGCR信号はTV画面の垂直帰線期間内に挿入さ
れるため、1/30秒毎にしか送られない。従ってタッ
プ係数の修正は1/30秒毎にしか行えず、自動車の移
動に伴う電波状況の変化に対して十分に追従できない。
【0006】 GCTのタップ係数を制御するための
アルゴリズムが良好に動作するためには、直接波と良好
な受信を妨害する遅延波などの不要波との比(DU比)
が大きくなければならない。DU比が小さければ、すな
わち、遅延波の強度が直接波と同程度かそれに近い状態
であれば、受信信号からのGCR信号の抽出が正しく行
われず、タップ係数を制御するためのアルゴリズムが発
散してしまう。家庭でTV放送を受信する場合は、多少
DU比が悪い状態であっても八木アンテナなど指向性の
鋭いアンテナを家屋の屋根あるいはビルの屋上などに設
置し、その主ビームを放送局へ向ければある程度DU比
は改善されゴーストは弱くなる。そこでさらに、GCT
を用いることによってゴーストを完全に除去できる。ま
た航空機やその他の影響によって一時的に電波状況が激
しく変化する場合は、特開平4ー57576号に示され
ているように、一時的にアルゴリズムを停止させること
によってアルゴリズムの発散を防止することができる。
【0007】しかし自動車においてTV放送の電波を受
信しようとする場合、特に建物が密集している都市内で
は、放送局からの電波が直接自動車に到来することは希
であり、到来波のほとんどは反射波あるいは回折波とな
る。従ってDU比は非常に劣悪であり、また各々の電波
の到来方向も不明である。そのためタップ係数を制御す
るためのアルゴリズムは正常に動作せず、ゴーストの除
去は行われない。また、アルゴリズムが発散しない程度
のDU比を確保するためにダイバーシティ受信とGCT
を組み合わせた方式も考えられている(特開平4−16
0905号)が、前述のようにGCR信号が1/30秒
毎にしか送られないために電波状況の変化に十分追従す
ることは期待できない。
【0008】以上の理由から、GCTを車載TVにおけ
るゴースト除去に応用しても十分な画質改善効果は得ら
れない。
【0009】一方、移動通信一般における遅延波対策と
してアダプティブ・アレーアンテナというものが提案さ
れている。所望波と所望波以外の不要波とが同時に到来
する空間中にアレーアンテナが置かれているとき、不要
波を受信しないようにアレーアンテナの指向性を変化さ
せて、不要波の到来方向に自動的に受信アンテナの指向
性の零点(Null、ヌル)をつくる受信アンテナをアダプ
ティブアンテナと呼ぶ。
【0010】図2はアダプティブアンテナの一般的構成
を示したものである。アレーアンテナを構成するアンテ
ナ素子11 〜1K の出力信号X1 〜XK について重み付
け回路21 〜2K により振幅および位相の重みW1 〜W
K を付けた後、合成器3で合成する。
【0011】重み付け回路21 〜2K において各アンテ
ナ素子11 〜1K の出力X1 〜XKにそれぞれ掛けられ
る振幅および位相の重みW1 〜WK は、重み制御装置5
によって制御される。アンテナ素子の出力信号に重み付
けを行った後合成することによって、ある方向から到来
する波は互いに強め合うように合成し、同時に別の方向
から到来する波は逆に打ち消し合うように合成すること
ができる。重み付けの係数W1 〜WK を変えれば強め合
う方向および打ち消し合う方向が変化することから、重
み付けを制御することによって、アレーアンテナの指向
性を制御することができる。
【0012】重み付けの制御は、あるアルゴリズムに従
って各アンテナ素子11 〜1K の出力X1 〜XK を使っ
て合成器3の合成出力yを推定しながら行われる。重み
付けが最適に設定されたとき、合成器3では重み付け後
の信号に含まれる所望波成分が互いに同相で強め合うよ
うに合成され、不要波成分は互いに打ち消し合うように
合成される。この結果、図3のように、所望波の到来方
向には指向性パターンの主ビームが向けられ、不要波の
到来方向には零点(ヌル)が形成される。なお図2にお
ける合成器3の出力yがアダプティブアンテナの出力と
なる。
【0013】上記のような基本構成からなるアダプティ
ブアンテナでは、重み付けの制御方法として種々の手法
が考えられているが、本発明は、特に出力信号の振幅が
一定となるように重み付け回路を制御する、いわゆるコ
ンスタント・モデュラス・アルゴリズム(CMA:Cons
tant Modulus Algorithm)を用いて重み付けの制御を行
うものに関する。
【0014】このCMAアダプティブアンテナが不要波
除去に関して有効に機能するための条件は、「送信アン
テナから放射された信号は振幅が一定である」、すなわ
ち周波数変調や位相変調などの定包絡線変調された信号
であることのみであるため、到来波の到来方向に関する
情報を得ることが難しい陸上移動通信に適用可能と考え
られる。
【0015】このCMAアダプティブアンテナの動作に
ついては、J.R.Treichler and M.G.Larimore :"The Ton
e Capture Properties of CMA-Based Interference Sup
pressors",vol.4,IEEE Trans. Acoust., Speech & Sign
al Process., ASSP-33,pp. 946-958,(1985). に詳しく
述べられているが、簡単に述べると以下の通りである。
【0016】アダプティブアンテナの出力信号yはアン
テナ素子出力Xi (i=1,2, …,K) と重みWi との積の総
和であるから、
【数1】 となる。送信信号が定包絡線信号であり出力信号yが所
望信号のみであれば、(1)式の出力信号yの振幅は一定
となる。しかし、送信アンテナから放射され、異なる伝
搬経路を経て、遅延差を持って複数の到来波が到来する
場合、送信信号が一定振幅であってもアダプティブアン
テナの出力信号yは伝搬遅延歪みによって振幅が変動す
る。そこでCMAでは出力の強度が一定となるように重
み付け回路21 〜2K を制御する。具体的には、所定の
一定値と出力信号yの強度、例えば振幅が等しくなるよ
うに重み付け回路21 〜2K をそれぞれ制御する。
【0017】一般にアダプティブアルゴリズムを動作さ
せる場合は、何らかの評価関数を設定し、これが最大ま
たは最小となるように重み付け回路21 〜2K を制御す
る。出力信号yの振幅を一定とするCMAの評価関数Q
は次式で表される。
【0018】
【数2】
【0019】ここで、E〔 〕は時間平均をとる操作を
表す。また、σは出力信号の所望の振幅値(上述の一定
値)であり、適宜設定される定数である。すなわち、
(2) 式の評価関数Qが最小となるとき、出力信号yの振
幅は一定となり、結果的に不要波(遅延波)の到来方向
に指向性の零点が形成されるため、出力に不要波成分が
現れない。
【0020】このようにCMAアダプティブアンテナを
用いると電波の到来方向が不明である移動通信環境にお
いて、希望波のみを受信し、遅延波などの不要な波を受
信しないようにすることが可能である。ただし、前述の
ようにCMAアダプティブアンテナを使用するために
は、送信信号が定包絡線変調方式で変調された信号であ
る必要がある。
【0021】しかし、TV放送においては、映像の情報
は振幅変調および位相変調を、また音声の情報は周波数
変調を、それぞれ用いて伝送されている。TV放送の電
波はこれらの信号が混合されて送信されており、その振
幅は時間とともに常に変動している。従って、従来のC
MAアダプティブアンテナをそのままTVに適用しても
希望波のみを受信するような指向性は得られず、画質の
改善もなされない。
【0022】以上述べたように、走行中の自動車に搭載
された車載TVにおけるゴーストの除去および同期はず
れの防止を可能とし、TVの画質を大幅に改善する手段
は未だ提案されていない。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
に鑑みてなされたものであり、遅延波が到来している劣
悪な電波環境を走行中の移動体においても、良好にTV
放送を受信すること、すなわち、画質改善、特にゴース
トの除去および同期はずれ等を防止することを目的とす
る。
【0024】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、図1に示すように、互いに離間して配設されテレビ
ジョン放送電波を受信し映像信号と音声信号とからなる
テレビジョン信号を出力する複数のアンテナ素子11〜
1Kを有するアレーアンテナ部10と、前記各アンテナ
素子11〜1Kにより受信された映像信号と音声信号と
からなるテレビジョン信号X1 〜XK に、対応する重み
係数W1 〜WK によって振幅および位相の重み付けをす
る重み付け手段20と、前記重み付け手段20の各出力
信号を合成する合成手段30と、前記各アンテナ素子に
より受信されたテレビジョン信号X1 〜XK より、それ
ぞれ音声信号A1 〜AK を抽出する音声信号抽出手段4
0と、前記抽出された各音声信号の強度に応じて、コン
スタント・モデュラス・アルゴリズムにより前記合成手
段30における合成後の音声信号の振幅が一定となるよ
う前記各重み係数W1 〜WK を算出する重み制御手段5
0と、を含むことを特徴とする。
【0025】(作用)互いに離間して配設された複数の
アンテナ素子11〜1Kは、それぞれTV放送の電波を
受信し映像信号と音声信号とからなるTV信号を出力す
る。音声信号抽出手段40は各アンテナ素子により受信
したTV信号X1 〜XK の中から、それぞれ音声信号A
1 〜AK のみを抽出し出力する。重み制御手段50は音
声信号抽出手段40により抽出された信号A1 〜AK
りCMAに基づく評価関数が最小となる重み係数W1
K を算出する。重み付け手段20は、前記重み係数W
1 〜WK により、対応するアンテナ素子の映像信号と音
声信号とからなる出力信号X1 〜XK にそれぞれ重み付
け処理(Xi×Wi (i=1〜K))を行う。合成手段
30はそれぞれ重み付けされた信号を合成する(ΣXi
×Wi (i=1〜K))ことにより、本装置の出力yと
する。なお、各アンテナ素子で受信されたTV信号X1
〜XK および重み制御手段50が算出する重み係数W1
〜WK は一般に複素数で表され、上記合成手段30にお
ける合成とは複素数の加算演算をいう。
【0026】TV信号は前述のように振幅変調、位相変
調および周波数変調を複合して用いているため、各アン
テナ素子の出力X1 〜XK は遅延波が存在しなくても振
幅が変動している。しかし、音声信号A1 〜AK は周波
数変調を用いているため、遅延波が存在していなければ
その振幅は一定であり、また遅延波が存在している場合
には伝搬遅延歪みにより振幅が変動する。
【0027】そこで、重み制御手段50には音声信号抽
出手段40によって抽出された音声信号A1 〜AK を取
り込み、重み制御手段内でCMAに基づいて重み係数W
1 〜WK を算出する。音声信号A1 〜AK は前述のよう
に周波数変調信号、すなわち、定包絡線変調信号である
ため、CMAは良好に動作し、これによって決定される
振幅および位相に関する重み係数W1 〜WK を用いて重
み付けを行えば、合成手段30によって合成する際に、
遅延波に含まれる音声信号は互いに打ち消され良質な音
声信号が得られる。すなわち、遅延波の到来方向に零点
(ヌル)を向けるような指向性が得られる。このときの
重み係数W1 〜WK は音声信号A1 〜AK のみに基づい
て決定されたものであるが、映像信号と音声信号とはほ
ぼ同一の方向から到来してくることから、映像信号にも
音声信号と同一の重み係数W1 〜WK を掛けることによ
って映像信号の遅延波も除去できる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、各アンテナ素子が受信
したTV信号より音声信号のみを抽出し、該音声信号に
基づきCMAによって算出した重み係数でTV信号の映
像信号と音声信号とに振幅および位相の重み付けを行う
ので、重み付け後の各信号の合成出力において遅延波に
含まれる音声信号および音声信号とほぼ同一方向から到
来する映像信号はそれぞれ互いに打ち消され、結果的に
複数のアンテナ素子からなるアレーアンテナの指向性を
遅延波の到来方向にヌルを形成するように制御できる。
従って、重み付け処理および合成処理を行った後のTV
信号には遅延波成分は含まれず、これを通常のTV受信
機に入力すれば、ゴーストのない良質な受信画像を得る
ことができる。
【0029】また、重み係数は連続的に送られる音声信
号のみを用いて決定しているため、重み係数の更新周期
は重み制御手段での演算速度のみによって決定されるの
で、1/30秒毎にしか送られないGCR信号を用いる
従来の方式に比べ、はるかに速く重み係数を更新するこ
とができる。従って優れた追従性が得られ、移動体が高
速で移動している場合でも安定して良質の受信画像を得
ることができる。
【0030】
【その他の発明】請求項2に記載の発明は、請求項1に
記載の移動体用アンテナ装置において、前記重み制御手
段は同相成分の重み係数と直交成分の重み係数とを算出
し、前記重み付け手段が前記受信されたテレビジョン信
号を同相成分と直交成分とに分離して入力するととも
に、分離された同相成分および直交成分のテレビジョン
信号に対しそれぞれ前記同相成分および直交成分の重み
係数によって重み付けした後同相で合成することを特徴
とする。
【0031】請求項2に記載の発明においては、重み付
け制御手段が算出する重み係数は、上述のように複素数
で表されるので、その実数部および虚数部をそれぞれ同
相成分の重み係数および直交成分の重み係数とみなすこ
とができる。したがって、アンテナ素子が出力するテレ
ビジョン信号を同相成分および直交成分に分離し、その
分離された各成分に対しそれぞれ前記同相成分の重み係
数および直交成分の重み係数で重み付けし、重み付けさ
れた各信号を同相で合成すると、その合成出力は等価的
に前記テレビジョン信号の振幅と位相をCMAで算出さ
れた重み係数で重み付けられたこととなる。
【0032】請求項3に記載の発明は、請求項1または
請求項2に記載の移動体用アンテナ装置において、前記
アレーアンテナ部が前記受信された各テレビジョン信号
をテレビジョン放送電波よりも低周波側の予め設定され
た一定周波数帯にそれぞれ周波数変換する周波数変換手
段を有し、前記重み付け手段は該周波数変換されたテレ
ビジョン信号に重み付けすることを特徴とする。
【0033】請求項3に記載の発明においては、アレー
アンテナ部は、周波数変換手段により各アンテナ素子が
受信したテレビジョン信号のうち受信したいチャネルの
信号(6MHz の周波数帯域幅)を、放送電波の周波数
よりも低周波側の一定周波数帯にそれぞれ周波数変換す
る。重み付け手段は、その低周波側に周波数変換された
信号に対し振幅および位相の重み付けを行う。したがっ
て、重み付け手段が扱う信号の周波数が低くなるので、
重み付け手段は、比較的簡易なものとすることができ
る。
【0034】請求項4に記載の発明は、請求項1ないし
請求項3のいずれかに記載の移動体用アンテナ装置にお
いて、前記音声信号抽出手段が、前記受信されたテレビ
ジョン信号のスペクトラムを反転する反転手段と、前記
スペクトラムが反転されたテレビジョン信号の音声信号
成分を抽出する低域ろ波器とを有することを特徴とす
る。
【0035】請求項4に記載の発明においては、音声信
号抽出手段が有する反転手段が受信されたテレビジョン
信号、すなわち、映像信号の高周波側に音声信号が形成
されている信号スペクトラムを反転し、音声信号を映像
信号の低周波側に形成する。このような信号スペクトラ
ムから低域ろ波器によって音声信号を抽出する。したが
って、所望の音声信号を抽出する際に、構成が簡易な低
域ろ波器を用いることが可能になり、より複雑なバンド
パスフィルタを不要とする利点がある。
【0036】請求項5に記載の発明は、移動体に互いに
離間して配設されテレビジョン放送電波を受信し映像信
号と音声信号とからなるテレビジョン信号を出力する複
数のアンテナ素子を有するアレーアンテナ部と、前記各
アンテナ素子により受信された映像信号と音声信号とか
らなるテレビジョン信号に、対応する重み係数によって
振幅および位相の重み付けをする重み付け手段と、前記
重み付け手段の各出力信号を合成する合成手段と、前記
各アンテナ素子により受信されたテレビジョン信号を、
テレビジョン放送電波の周波数よりも高い周波数の局部
発振信号によって周波数変換することにより、該テレビ
ジョン信号の周波数スペクトラムを反転する周波数変換
手段と、前記周波数変換手段の各出力よりそれぞれ音声
信号のみを抽出する音声信号抽出手段と、前記抽出され
た各音声信号の強度に応じて、コンスタント・モデュラ
ス・アルゴリズムにより前記合成手段における合成後の
音声信号の振幅が一定となるよう前記各重み係数を算出
する重み制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0037】すなわち、移動体に互いに離間して配設さ
れた複数のアンテナ素子は、それぞれTV放送の電波を
受信し映像信号と音声信号とからなるTV信号を出力す
る。周波数変換手段は、前記各TV信号をTV放送電波
の周波数よりも高い周波数の局部発振信号によってそれ
ぞれ周波数変換することにより、各TV信号の周波数ス
ペクトラムを反転する。音声信号抽出手段は、周波数変
換によってスペクトラムが反転された各TV信号より、
それぞれ音声信号のみを抽出する。重み付け制御手段は
音声信号抽出手段により抽出された各音声信号よりCM
Aに基づく評価関数が最小となる重み係数をそれぞれ算
出する。重み付け手段は、前記各重み係数により、対応
するアンテナ素子の映像信号と音声信号とからなる出力
信号にそれぞれ重み付け処理を行う。合成手段はそれぞ
れ重み付けされた信号を合成することにより、本アンテ
ナ装置の出力とする。なお、各アンテナ素子で受信され
たTV信号および重み付け制御手段が算出する重み係数
は一般に複素数で表され、上記合成とは複素数の加算演
算をいう。
【0038】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明と同様に、遅延波に含まれる音声信号は互
いに打ち消され良質な音声信号が得られる、すなわち、
遅延波の到来方向にヌルを向けるような指向性が得られ
る。したがって、音声信号とほぼ同一の方向から到来し
てくる映像信号にも音声信号と同一の重み係数を掛けて
いるので映像信号の遅延波も除去できるという効果があ
る。これにより、重み付け処理および合成処理を行った
後のTV信号には遅延波成分は含まれず、これを通常の
TV受像機に入力すれば、ゴーストのない良好な受信画
像が得られる。
【0039】さらに、請求項5に記載の発明は、重み係
数算出の基礎となる音声信号をTV信号より抽出するに
際し、TV信号よりも高い周波数の局部発振信号によっ
て周波数変換することにより信号スペクトラムを反転さ
せるので、その反転されたTV信号の音声信号は映像信
号よりも低周波側に形成されるため、音声信号抽出手段
としては構成が複雑なバンドパスフィルタを用いる必要
がなく、簡易な構成の低域ろ波器を用いればよいという
効果がある。
【0040】
【実施例】以下、本発明を適用した実施例につき、図面
を参照して詳細に説明する。
【0041】〔第1実施例〕図4は第1実施例の全体構
成を示す図である。本第1実施例では、通常TV放送の
受信に用いる受像機と同じ機能を有するTV受像機10
0のアンテナ入力端子に第2周波数変換装置7の出力信
号を入力している。
【0042】アレーアンテナ部はそれぞれTV信号X1
〜XK を出力する複数のアンテナ素子10−1〜10−
Kよりなる。このアンテナ素子は、各受信信号間の相関
度が低くなるよう、受信波の0.2〜2波長(望ましく
は0.5波長)程度互いに離間して、図示しない自動車
等の移動体上に配置される。また、アンテナ素子の数K
は、指向性制御の自由度の観点より3以上が望ましく、
例えば、4個を矩形状に配置することができる。なお、
以下では、K個のアンテナ素子があるものとして説明す
る。
【0043】各アンテナ素子10−1〜10−Kの出力
1 〜XK はそれぞれ後述する重み付け回路20−1〜
20−Kによって重み付け処理された後、合成器31に
よって合成されアンテナ装置の出力となる。ただし、T
V信号の放送電波は約100MHz (VHF)から約7
70MHz (UHF)と非常に高く且つ広い周波数帯域
(以下、RF周波数あるいはRF信号という)を使用し
ており、この帯域のすべての信号に対して正確な重み付
けを行う回路を実現することは難しい。
【0044】そこで本実施例では、各アンテナ素子10
−1〜10−Kが受信したRF周波数の信号を第1局部
発振器8および第1周波数変換装置60−1〜60−K
を用いて、一旦、一定の中間周波数fIFに変換し、この
中間周波数で重み付け処理および合成処理を行った後、
第1局部発振器8および第2周波数変換装置7を用いて
RF周波数fRFに再変換し、TV受像機100の入力と
している。このとき、第1周波数変換装置60−1〜6
0−Kと第2周波数変換装置7における局部発振信号と
して同一の信号源である第1局部発振器8を用いること
により、希望するチャネル、すなわち、受信したいTV
のチャネル(以下、受信チャネルという)の信号に対し
ては重み付け処理および合成処理がRF周波数で行われ
たことと全く等価になる。
【0045】さらに、受信チャネルに応じて第1局部発
振器8の周波数を変えて、中間周波数fIFを常に一定と
することにより、重み付け回路20−1〜20−Kの扱
える帯域は1チャネル分(6MHz )であっても、任意
のチャネルに対して重み付けを行うことができる。以下
に、信号処理について詳述する。
【0046】第1周波数変換装置60−1〜60−K
は、それぞれ図5に示すように、各アンテナ素子の出力
信号に第1局部発振器8からの出力信号である周波数f
1LO の正弦波をそれぞれ掛け合わせる乗算器61−1〜
61−Kと、乗算器出力の中間周波成分のみを通過させ
る低域ろ波器62−1〜62−Kとよりなる。すなわ
ち、第1周波数変換回路60−1〜60−Kは以下のよ
うな信号処理を行う。なお、各系統i=1〜Kはいづれ
も同様に機能する。
【0047】アンテナ素子10−iの出力信号の周波数
をfRF、第1局部発振器8の出力信号の周波数をf1LO
とすると、アンテナ素子に対応する乗算器61−iの出
力信号は周波数(fRF+f1LO )の信号および周波数
(fRF−f1LO )の信号の合成信号となる。さらに低域
ろ波器62−iにより高周波成分(fRF+f1LO )を取
り除き、中間周波数fIFとしての低周波成分(fRF−f
1LO )のみを取り出す。なお、第1局部発振器8の出力
信号の周波数f1LO は、TV受像機100からの受信チ
ャネル(ch)を表すチャネル設定信号に応じて、図1
1に示すように、例えば第3chに対してはf1LO =4
3.25MHz に設定される。さらに、低域ろ波器62
−1〜62−Kは、いずれも同じ遮断周波数に設定され
ており、本実施例の場合、中間周波数fIF=60MHz
を抽出するために前記遮断周波数は、64.25MHz
である。このとき、受信チャネルに応じて第1局部発振
器8で発生する正弦波の周波数および振幅が一定である
ので、低域ろ波器62−1〜62−Kの出力に現れる信
号Z1 〜ZK (周波数fIF=fRF−f1LO )は、各アン
テナ素子の出力信号X1 〜XK (周波数fRF)に比べ周
波数が異なるだけで、波形は全く同じである。
【0048】重み付け回路20−iは、図6に1系統の
みを示すように、それぞれ中間周波数fIFに変換された
TV信号Zi (映像信号Vi +音声信号Ai )を同相成
分および直交成分に分離する90°ハイブリッド21
と、可変利得増幅器22および23と、同相合成器24
とからなる。可変利得増幅器22は後述する重み制御装
置51により演算された同相成分の重み係数WRi に基づ
く利得でTV信号の同相成分の振幅を制御し、可変利得
増幅器23は直交成分の重み係数WIi に基づく利得でT
V信号の直交成分の振幅を制御する。同相合成器24
は、可変利得増幅器22および23でそれぞれ同相成分
および直交成分の振幅が制御された信号を同相で合成す
る。これにより、信号の複素数的な重み付けが可能とな
り、同相合成器24の出力信号は、等価的に、映像信号
i と音声信号Ai とからなるTV信号Zi の振幅およ
び位相が重み付けされたものとなる。
【0049】なお、この重み付け回路20−iの帯域
は、90°ハイブリッド21の特性によって決まり、後
述の図13に示す構成と比べ広い帯域の信号を扱うこと
ができる。合成器31は、各重み付け回路20−1〜2
0−Kの出力を複素数的に加算する。
【0050】第2周波数変換装置7は乗算器で構成さ
れ、合成器31からの出力信号に第1局部発振器8から
の出力信号f1LO を掛け合わせることにより、周波数
(fIF+f1LO )の信号および周波数(fIF−f1LO
の信号の合成信号を出力する。このようにして、第2周
波数変換装置7は合成器31の中間周波数出力を再びR
F周波数に変換し、本実施例のアンテナ装置の出力とす
る。
【0051】上記のような構成とすれば、RF周波数
(約100MHz 〜770MHz )よりも低い中間周波
数fIFで重み付け処理および合成処理を行うことができ
るので、中間周波数fIFはなるべく低く設定した方が、
重み付け回路20−1〜20−Kおよび合成器31の製
作は容易となる。ただし、一般に、扱う信号の周波数が
低くなるほど、重み付け回路において正確に重み付けで
きる帯域幅は狭くなる。本実施例ではTV放送電波の1
チャネル分の帯域幅(6MHz )を持つ中間周波信号に
対して正確に重み付けを行う必要があることから、中間
周波数の下限は重み付け回路の比帯域により制限され
る。例えば、重み付け回路において正確に重み付けでき
る信号の比帯域を20%とすると中間周波数の下限は6
MHz ×(1/0.2)=30MHz となる。本実施例
では中間周波数fIFは60MHz としている。すなわ
ち、図11に示すように、第1局部発振器8の発振周波
数f1LOは、希望するTVのチャネルの映像信号のキャ
リア周波数よりも常に60MHz低い周波数としてい
る。
【0052】第3周波数変換装置90−1〜90−K
は、それぞれ、中間周波数fIFに変換された信号Z1
K に第2局部発振器9の出力信号である周波数f2LO
の正弦波を掛け合わせて、周波数(fIF+f2LO )の信
号および周波数(fIF−f2LO)の信号の合成信号を出
力する。このとき、第2局部発振器9の周波数f2LO
中間周波数fIFよりも高い64.75MHz とすること
により、受信チャネルのTV信号に対応する上記周波数
(fIF−f2LO )の信号は、図9に示すように、A/D
変換可能なベースバンド周波数に変換されるとともにス
ペクトラムも反転する。
【0053】上述のように第2局部発振周波数f
2LO を、中間周波数fIFよりも高く設定する理由は以下
の通りである。TV放送の電波は前述のように映像信号
および音声信号からなり、その周波数スペクトラムは第
3chを例にとって示すと図7のような構成となってい
る。これを中間周波数fIFに変換した後の波形は、RF
信号に比べ周波数が異なるだけで波形は全く同じである
ので、そのスペクトラムの形状も図7のRF信号のスペ
クトラムと同じである。この中間周波数信号を第3周波
数変換装置90−iによりベースバンドに変換する際、
第2局部発振器9の発振周波数f2LO を上記第1周波数
変換装置60−iと同様に中間周波数fIFよりも低く、
かつ折り返し現象による歪みが生じないように設定する
と、ベースバンド信号のスペクトラムは図8のように音
声信号の周波数は最低でも約6MHz となる。したがっ
て、このベースバンド信号から音声信号のみを抽出する
ためのフィルタは、急峻な特性を有する帯域ろ波器(バ
ンドパスフィルタ)である必要がある。
【0054】そこで本実施例では、音声信号抽出回路4
0−1〜40−Kは、それぞれ、遮断周波数0.5MH
z 程度の低域ろ波器で構成し、第3周波数変換装置90
−1〜90−Kからの出力信号であるベースバンド周波
数に変換された各信号より受信チャネルの音声信号Ai
のみを取り出す。すなわち、第3周波数変換装置90−
1〜90−K9において、中間周波信号のベースバンド
周波数への変換と同時に、スペクトラムの反転も行って
いるので、音声信号の抽出は単に低域ろ波器でよく、低
コストでかつ容易に実現できる。
【0055】重み制御装置51は、図10に示すよう
に、ベースバンドに変換された音声信号A1 〜AK を入
力し同相成分と直交成分とにそれぞれ分離する90°ハ
イブリッド501−1〜501−Kと、90°ハイブリ
ッド501−1〜501−Kから出力された音声信号A
i の同相成分A0iおよび直交成分A90i をそれぞれアナ
ログ−デジタル変換するA/D変換器502と、A/D
変換器502からの信号を入力し後述する処理により同
相成分および直交成分のそれぞれの重み係数を演算する
CPUで構成される重み係数演算装置503と、算出し
た重み係数をデジタル−アナログ変換するD/A変換器
504とからなる。
【0056】重み係数演算装置503のCPUは、以下
の手順でコンスタント・モデュラス・アルゴリズムによ
り重み係数を演算する。
【0057】各アンテナ素子10−iに対応する第N回
目の繰り返し計算後における重み係数をWi(N) 、ベー
スバンドに変換された音声信号をAi(N) とする。な
お、Ai(N) =A0i(N) +j・A90i(N) (ただし、j=
√(−1))である。
【0058】A1(N)〜AK(N) をそれぞれA/D変換器
502を介してCPUに取り込み、まず、音声信号A
1(N)〜AK(N) の平均受信電圧Pav(N) を次式により算
出するとともに、前記(1) 式と(2) 式とに基づき評価関
数Q(N) を計算する。ただし、(1) 式においてXi の代
わりにAi を用い、(2) 式においてσの代わりにPav
(N) を用いる。
【0059】
【数3】
【0060】なお、特願平4−338026号に開示さ
れているように、評価関数Qにおける所望の振幅値σを
上記の如く、各アンテナ素子に対応した各音声信号の平
均受信電圧とすることにより、平均受信電圧は到来波の
音声信号の振幅値の最大値以上であるので、到来波の強
度が強い場合にはσが大きく、到来波の強度が弱い場合
にはσが小さくなり、移動体の走行に伴って到来波の強
度がどのように変動しても、その時々で常に最も強い
波、すなわち所望波をとらえることが可能となる。
【0061】次に、Q(N) を重み係数W1(N)〜WK(N)
でそれぞれ微分し、評価関数Q(N)の最大傾斜方向∇
W1(N)Q〜∇WK(N) を計算する。
【0062】次に、下記の(4) 式により、最大傾斜方向
の反対方向、すなわち、評価関数Q(N) が最も効率よく
小さくなる方向に重み係数を修正する。
【0063】
【数4】
【0064】ここで、μはステップサイズと呼ばれる定
数であり、この値が大きすぎるとアルゴリズムの動作が
不安定となり、小さすぎると収束が遅くなる。通常、μ
の値として、0.01〜0.1程度に設定するのがよ
い。
【0065】以上が、第N回目の繰り返し計算操作であ
り、次の第(N+1) 回目の計算では新たなA1(N+1)〜A
k(N+1) を取り込み、同様の手順で上記演算を行う。
【0066】(4) 式により得られた重み係数Wi は複素
数(WRi +j・WIi )(i=1〜K)であり、その実数
部WRi が同相成分の重み係数、虚数部WIi が直交成分の
重み係数となっている。
【0067】なお、評価関数Qとして、前記(2) 式の代
わりに、以下の(5) 〜(7) 式のいずれかを用いても、ア
ルゴリズムの収束特性および収束後の安定性が多少異な
るものの、(2) 式の場合と同様の効果が得られる。
【0068】
【数5】
【数6】
【数7】
【0069】以上のように構成された第1実施例の動作
を、受信チャネルが第3chの場合を例にとり説明す
る。第1周波数変換装置60−iは、対応するアンテナ
素子10−iが受信したTV信号を、受信チャネルに応
じて設定された第1局部発振器8の出力信号である4
3.25MHz の正弦波により、映像キャリア周波数6
0MHz の中間周波数fIFに変換して、信号Zi を出力
する。
【0070】第3周波数変換装置90−iは、中間周波
数よりも高い64.75MHz の正弦波により、受信チ
ャネルの信号をベースバンドに変換するとともにスペク
トラム反転し(図9参照)出力する。遮断周波数0.5
MHz の低域ろ波器で構成される音声信号抽出回路40
−iは、ベースバンドに変換された音声信号Ai のみを
抽出する。重み制御装置51では各音声信号Ai に基づ
きCMAにより同相成分および直交成分からなる複素重
み係数Wi =WRi +j・WIi (i=1〜K)を演算す
る。
【0071】重み付け回路20−iは、第1周波数変換
装置60−iの出力信号である中間周波数の音声信号と
映像信号からなるTV信号Zi を、同相成分に対し重み
係数WRi および直交成分に対し重み係数WIi でそれぞれ
重み付けし、合成器31により合成する。これにより、
受信チャネルの信号に対して、不要波(遅延波)の到来
方向に零点が形成されるようにアレーアンテナ部の指向
性が制御される。
【0072】第2周波数変換装置7は、合成器31の出
力信号、すなわち、上記指向性が制御された状態で受信
した中間周波数のTV信号を、受信チャネルに応じた周
波数(43.25MHz )の第1局部発振器8の出力f
1LO により再び放送電波の周波数に変換し、TV受信機
100へ出力する。TV受像機100は、第2周波数変
換装置7の出力信号を受信チャネル(第3ch)の信号
として、映像および音声の信号処理を行って受信する。
【0073】以上のように、本第1実施例によれば、受
信チャネルの放送信号の音声信号のみを抽出し、その音
声信号に基づいてCMAにより決定された重み係数で映
像信号および音声信号からなるTV信号の振幅および位
相の重み付けを行うので、重み付け後の各信号の合成出
力において、受信チャネルの遅延波に含まれる音声信号
および音声信号とほぼ同一方向から到来する映像信号は
それぞれ互いに打ち消され、結果的に複数のアンテナ素
子の指向性を遅延波の到来方向にヌルを形成するように
制御できる。
【0074】本第1実施例の重み付け回路20−iは、
中間周波数に変換されたTV信号に対して重み付け処理
を行うので、受信チャネル分の帯域幅の信号に対して比
較的簡易な構成で正確に重み付けを行うことができる。
【0075】本第1実施例の音声信号抽出回路40−i
は、第3周波数変換装置90−iによってベースバンド
周波数に変換されかつ周波数スペクトラムが反転された
TV信号より音声信号を抽出するものであるため、バン
ドパスフィルタを用いる必要がなく、簡易な構成の低域
ろ波器を用いることができる。さらに、抽出された音声
信号はベースバンド周波数であるので、重み制御装置5
1のA/D変換器502は簡易な構成で容易にアナログ
−デジタル変換が可能である。
【0076】さらに、本第1実施例のアンテナ装置部分
の出力信号である第2周波数変換装置7の出力信号は、
放送電波と同じ周波数のRF信号となっているので、こ
の出力信号をそのまま通常のTV受像機100に入力す
ることができ、一般的に用いられるTV受像機を改造す
ることなく単に本第1実施例のアンテナ装置を外付けし
て用いることができる。
【0077】なお、上記に関連して、本第1実施例にお
いて第2周波数変換装置7を省略して合成器31の出力
信号をアンテナ装置の出力信号とすることも可能であ
る。この場合、上記出力信号は重み付け処理および合成
処理された中間周波数信号(周波数60MHz )である
ので、TV受像機100ではいわゆるチューナー部分を
省略することができ、装置がより簡易になるという効果
がある。
【0078】〔第2実施例〕前記第1実施例ではベース
バンドに変換された信号からの音声信号の抽出を容易と
するために、第2局部発振器9の発振周波数f2LO を中
間周波数fIFよりも高く設定しているが、第1局部発振
器8の周波数f1LO をRF信号の周波数fRFよりも高く
する第2実施例によっても同様な効果が得られる。
【0079】すなわち、本第2実施例は前記第1実施例
と同じブロック図として図4に示されるが、第1実施例
と異なる点は、図11に示すように、第1局部発振器8
の周波数f1LO を受信チャネルの映像キャリア周波数よ
りも常に60MHz 高く設定する(例えば、第3チャネ
ルに対しては、f1LO =163.25MHz )。これに
より、第1実施例と同一構成の第1周波数変換装置60
−iが出力する中間周波数fIFの信号のうち、特に受信
チャネルの信号は映像キャリア周波数が60MHz とな
り、しかも信号スペクトラムは反転する。
【0080】一方、第2局部発振器9の周波数f
2LO は、中間周波数よりも低い55.25MHz に設定
する。これにより、第1実施例と同一構成の第3周波数
変換装置90−iの出力信号は、受信チャネルにおいて
は図9に示すスペクトラム構成の信号となるので、第1
実施例と同様の音声信号抽出回路40−i(低域ろ波
器)によりベースバンドに変換された音声信号のみが抽
出できる。なお、重み制御装置51における抽出された
音声信号に基づく重み係数の演算、および、重み付け回
路20−iにおける重み係数による重み付け処理は、第
1実施例と同様である。
【0081】さらに、第1実施例と同一構成の第2周波
数変換装置7は、重み付け処理および合成処理後の信号
を受信チャネルよりも60MHz 高い第1局部発振周波
数f1LO により周波数変換し、その結果得られる周波数
(fIF−f1LO )の信号は、再度スペクトラムが反転す
る。これにより、本第2実施例装置の出力信号のスペク
トラムは到来するTV信号と同様となる。
【0082】〔変形例〕 (変形例1)非常に広帯域な重み付け回路が得られる場
合は、本装置を図12のように第3周波数変換装置を省
略した簡易な構成とすることもできる。すなわち、第1
周波数変換装置を用いて受信チャネルのRF信号をベー
スバンドに変換するとともに前述のように周波数(fRF
−f1LO )の信号のスペクトラムを反転させる。これ
は、第1局部発振器8の周波数を、例えば受信チャネル
が第3chの場合108MHz に設定することにより、
図9と同様の信号が得られる。重み付け回路の比帯域が
大きければ、ベースバンドにおける重み付け処理が可能
であり、重み付けされた信号は合成器31における合成
処理後、第2周波数変換装置7によりRF周波数に再変
換され、本装置の出力となる。音声信号を抽出する音声
信号抽出回路40−iおよび重み制御装置51は前記第
1実施例と同様である。
【0083】(変形例2)重み付け回路は、前記図6に
示した同相成分と直交成分とに分離する構成に代えて、
図13に1アンテナ素子分のみ示すように、振幅を制御
する可変利得増幅器201と位相を制御する可変移相器
202とからなる簡易な構成により、信号の振幅と位相
とを独立に制御することも可能である。この場合、可変
利得増幅器201の利得および可変移相器202の移相
量は、それぞれ重み制御装置51において演算された複
素数の重み係数(Wi =WRi +j・WIi )の絶対値|W
i |= √{(WRi)2+(WIi)2}およびtan(WIi /WR
i )で与えられる。
【0084】以上述べたような構成とすることで、遅延
波が存在する環境、特に都市内など劣悪な電波環境を走
行中の自動車においてTVを受信する場合でも、ゴース
トや同期はずれなどによる画質劣化のない、良好な受信
画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を示す図である。
【図2】アダプティブアンテナの一般的構成を示す図で
ある。
【図3】アダプティブアンテナの制御された指向性パタ
ーンを示す図である。
【図4】第1実施例の全体構成を示す図である。
【図5】第1実施例における第1周波数変換装置の構成
を示す図である。
【図6】第1実施例における重み付け回路の構成を示す
図である。
【図7】第3chの放送電波(RF信号)の周波数スペ
クトラムを示す図である。
【図8】ベースバンドに変換されたTV信号の周波数ス
ペクトラムを示す図である。
【図9】第1実施例における第2周波数変換装置の出力
信号の周波数スペクトラムを示す図である。
【図10】第1実施例における重み制御装置の構成を示
す図である。
【図11】第1実施例および第2実施例における受信チ
ャネルと設定される第1局部発振周波数および第2局部
発振周波数との関係を示す図である。
【図12】変形例1の全体構成を示す図である。
【図13】変形例2の重み付け回路の構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
10−1〜10−K…アンテナ素子 20−1〜20−K…重み付け回路 21…90°ハイブリッド 22,23,201…可変利得増幅器 24…同相合成器 202…可変移相器 31…合成器 40−1〜40−K…音声信号抽出回路 50,51…重み制御装置 501−1〜501−K…90°ハイブリッド 502…A/D変換器 503…重み係数演算装置 504…D/A変換器 60−1〜60−K…第1周波数変換装置 61−1〜61−K…乗算器 62−1〜62−K…低域ろ波器 7…第2周波数変換装置 8…第1局部発振器 9…第2局部発振器 90−1〜90−K…第3周波数変換装置 100…TV受像機

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに離間して配設されテレビジョン放
    送電波を受信し映像信号と音声信号とからなるテレビジ
    ョン信号を出力する複数のアンテナ素子を有するアレー
    アンテナ部と、 前記各アンテナ素子により受信された映像信号と音声信
    号とからなるテレビジョン信号に、対応する重み係数に
    よって振幅および位相の重み付けをする重み付け手段
    と、 前記重み付け手段の各出力信号を合成する合成手段と、 前記各アンテナ素子により受信されたテレビジョン信号
    より、それぞれ音声信号を抽出する音声信号抽出手段
    と、 前記抽出された各音声信号の強度に応じて、コンスタン
    ト・モデュラス・アルゴリズムにより前記合成手段にお
    ける合成後の音声信号の振幅が一定となるよう前記各重
    み係数を算出する重み制御手段と、を含むことを特徴と
    する移動体用アンテナ装置。
  2. 【請求項2】 前記重み制御手段は同相成分の重み係数
    と直交成分の重み係数とを算出し、前記重み付け手段が
    前記受信されたテレビジョン信号を同相成分と直交成分
    とに分離して入力するとともに、分離された同相成分お
    よび直交成分のテレビジョン信号に対しそれぞれ前記同
    相成分および直交成分の重み係数によって重み付けする
    ことを特徴とする請求項1に記載の移動体用アンテナ装
    置。
  3. 【請求項3】 前記アレーアンテナ部が前記受信された
    各テレビジョン信号をテレビジョン放送電波よりも低周
    波側の予め設定された一定周波数帯にそれぞれ周波数変
    換する周波数変換手段を有し、前記重み付け手段は該周
    波数変換されたテレビジョン信号に重み付けすることを
    特徴とする請求項1または請求項2に記載の移動体用ア
    ンテナ装置。
  4. 【請求項4】 前記音声信号抽出手段が、前記受信され
    たテレビジョン信号のスペクトラムを反転する反転手段
    と、前記スペクトラムが反転されたテレビジョン信号の
    音声信号成分を抽出する低域ろ波器とを有することを特
    徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の移
    動体用アンテナ装置。
  5. 【請求項5】 移動体に互いに離間して配設されテレビ
    ジョン放送電波を受信し映像信号と音声信号とからなる
    テレビジョン信号を出力する複数のアンテナ素子を有す
    るアレーアンテナ部と、 前記各アンテナ素子により受信された映像信号と音声信
    号とからなるテレビジョン信号に、対応する重み係数に
    よって振幅および位相の重み付けをする重み付け手段
    と、 前記重み付け手段の各出力信号を合成する合成手段と、 前記各アンテナ素子により受信されたテレビジョン信号
    を、テレビジョン放送電波の周波数よりも高い周波数の
    局部発振信号によって周波数変換することにより、該テ
    レビジョン信号の周波数スペクトラムを反転する周波数
    変換手段と、 前記周波数変換手段の各出力よりそれぞれ音声信号のみ
    を抽出する音声信号抽出手段と、 前記抽出された各音声信号の強度に応じて、コンスタン
    ト・モデュラス・アルゴリズムにより前記合成手段にお
    ける合成後の音声信号の振幅が一定となるよう前記各重
    み係数を算出する重み制御手段と、を含むことを特徴と
    する移動体用アンテナ装置。
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