JPH0733360Y2 - 偏向ヨーク装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、偏向磁界の分布を補正する磁性片が配置され
ている偏向ヨーク装置に関するものである。

〔従来の技術〕

近年、テレビジョン受像機やディスプレイ装置の陰極線
管の画面は高精細化の傾向にあり、これに伴い、偏向磁
界の精密な制御が望まれるようになってきている。この
ような要望に応えるために、業界では水平偏向コイルや
垂直偏向コイルの形状を変化させたり、磁界分布補正用
の補正コイルを設けたりすることによって偏向磁界の制
御を行っているが、これによっても偏向磁界を適切に制
御するには充分でなく、最近においては、偏向ヨークの
ボビン上に、磁性片を配置してより正確な偏向磁界の制
御が行われるようになっている。

第３図にはこの種の磁性片を設けた一般的な偏向ヨーク
装置の断面図が示されている。同図において、ボビン１
の内側には、該ボビン１の内周面に沿ってトップ側とボ
トム側に一対の水平偏向コイル2a,2bが配設されてお
り、同ボビン１の外側にはコア３が嵌め込まれ、このコ
ア３のトップ側とボトム側に捲線がトロイダル状に巻回
されて垂直偏向コイル4a,4bが形成されている。そし
て、垂直偏向コイル4a,4bとボビン３との間には偏向磁
界を制御するための磁性片5a,5bが配設されている。こ
の磁性片5a,5bはボビン３の湾曲方向と同方向に湾曲さ
せて形成されている。磁性片5a,5bはその底面側がボビ
ン１の外周面に当接され、その上側から綿テープ６を貼
ったり、接着剤を用いてボビン１に固定されている。と
ころで、最近、陰極線管の画面は大型化の傾向にあり、
このように画面が大型化して広角偏向になると、磁界分
布をさらにきめ細かに制御する必要があり、前記磁性片
5a,5bの形状も大きなものが使用されるようになってい
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、この磁性片5a,5bを大型にすると、それだけ
偏向ヨークの磁界の影響を強く受けることとなり、この
磁界のエネルギーにより磁性片5a,5bが振動を起こし、
磁性片5a,5b自体から唸り音が発生したり、あるいは磁
性片5a,5bとボビン１との空間部７から唸り音が発生し
たり、さらには磁性片5a,5bの振動によってボビン１が
たたかれ、ボビン１からも唸り音が発生するという現象
が生じ、特に、深夜静かな環境でテレビを見ているとき
に、その唸り音が耳障りになるという問題があった。

本考案は上記従来の課題を解決するためになされたもの
であり、その目的は、簡易な構成で唸り音の抑制を効果
的に図ることができる偏向ヨーク装置を提供することに
ある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記目的を達成するために、次のように構成さ
れている。すなわち、本考案は、ボビンの内周面に沿っ
て水平偏向コイルが配設され、ボビンの外側には垂直偏
向コイルが配設され、ボビンと垂直偏向コイルの間に磁
界分布を補正する磁性片が配置されている偏向ヨーク装
置において、前記磁性片は振動吸収材の袋に入れられ、
この振動吸収材の袋に入れられた状態でボビンに固定さ
れていることを特徴として構成されている。

〔作用〕

磁性片が偏向ヨークからの磁性を受けて振動を起こす
と、この磁性片自体の振動は袋の振動吸収材に規制され
て減衰する。また、磁性片からボビン側に伝わる振動は
振動吸収材により吸収されてほぼ消失する。さらに磁性
片の振動の空中伝播も磁性片全体が振動吸収材の袋に覆
われているので防止される。このため、たとえ、磁性片
が振動を起こしても、この振動によって磁性片自体から
唸り音が発生するということはほとんどなく、また、ボ
ビン自体からの唸り音や振動の空中伝播による唸り音を
発生するということもほとんどなくなる。

〔実施例〕

以下、本考案に係る偏向ヨーク装置の一実施例を図面に
基づいて説明する。なお、この実施例の説明において、
従来例と同一の部分には同一符号を付し、その重複説明
は省略する。

第１図には本考案に係る偏向ヨーク装置の一実施例の断
面構成が示されている。本実施例が従来例と異なる特徴
的なことは、磁性片5aと5bをそれぞれ振動吸収材10の袋
に入れ、磁性片5a,5bを袋ごとボビン１に固定したこと
である。本実施例ではこの袋の振動吸収材10は水平偏向
周波数を通常の15.75KHzよりも高い周波数にしたときの
高温に対しても劣化しない耐熱性を有するゴムによって
構成されている。

第１図および第２図に示すように、前記磁性片5a,5bは
振動吸収材10の袋に入れられてボビン１に載置されてお
り、この磁性片5a,5bを入れた袋の上側から粘着テープ1
1を貼ることによって、磁性片5a,5bは袋に入れられた状
態でボビン１に固定されている。

本実施例は上記のように、磁性片5a,5bを振動吸収材10
の袋に入れてボビン１に固定したものであるから、偏向
ヨークの磁界の影響を受けて磁性片5a,5bが振動して
も、この振動は振動吸収材10により規制されて減衰さ
れ、磁性片5a,5b自体から唸り音がほとんど発生するこ
とがない。

また、磁性片5a,5b側からボビン１側に伝わろうとする
振動も振動吸収材10により減衰されてほとんどボビン１
に伝わることがなく、また、磁性片5a,5bによってボビ
ン１が強くたたかれることもないから、ボビン１の振動
によって当該ボビン１自体から唸り音が発生するという
こともほとんどない。

さらに、本実施例では、振動吸収材10を介して磁性片5
a,5bをボビン１に固定するときに、振動吸収材10が弾性
変形してボビン１との隙間を埋めるから、この隙間から
唸り音が発生するという不都合も防止できる。さらに、
磁性片5a,5bは全体がすっぽりと振動吸収材10の袋に入
れられているので、磁性片5a,5bの振動が外部へ空中伝
播することが防止され、空中伝播の振動による唸り音も
生じることがない。

上記唸り音の防止に関し本実施例の効果を従来例と比較
したところ、従来の第３図に示す装置に較べ、唸り音を
約50％も低下させることができた。本実施例では振動吸
収材10を耐熱性を有するゴムにより構成しているから、
高温での高周波による使用に対しても充分な耐久性を有
し、上記防音に対する長期の信頼性を確保できる。

なお、本考案は上記実施例に限定されることはなく、様
々な実施の態様を採り得る。例えば、上記実施例では、
振動吸収材10を耐熱性のゴムにより構成したが、この振
動吸収材は磁性片5a,5bの振動を吸収する機能を有する
材料であれば他の材料でもよく、例えば、スポンジ等を
用いて形成することもできる。

さらに、上記実施例では、トロイダル巻の垂直偏向コイ
ルを使用した偏向ヨークを対象として説明したが、この
垂直偏向コイル4a,4bはくら型の垂直偏向コイルであっ
てもよい。

〔考案の効果〕 本考案は、偏向磁界を制御する磁性片を振動吸収材の袋
に入れてボビンに固定したものであるから、磁性片が偏
向磁界を受けて振動を起こしても、その振動を効果的に
減衰することが可能となり、磁性片の振動による唸り音
と、磁性片の振動がボビンに伝播したり、ボビンをたた
いたりすることによって生じるボビンの唸り音とを効果
的に抑制することが可能となる。しかも、磁性片は振動
吸収材の袋に入れられているから、磁性片の全外周面に
わたって振動吸収が行われるので振動減衰の効果は大き
く、これに伴う前記唸り音防止の効果が大である。その
上、磁性片は振動吸収材の袋に入れられて、磁性片全体
が袋に覆われるので、磁性片の振動が外部へ空中伝播す
ることが防止され、空中伝播の振動による唸り音も防止
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る偏向ヨーク装置の一実施例を示す
断面構成図、第２図は同実施例における磁性片の取り付
け部分の拡大断面図、第３図は従来例の偏向ヨーク装置
を示す断面図である。 １……ボビン、2a,2b……水平偏向コイル、３……コ
ア、4a,4b……垂直偏向コイル、5a,5b……磁性片、６…
…綿テープ、７……空間部、10……振動吸収材、11……
粘着テープ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ボビンの内周面に沿って水平偏向コイルが
   配設され、ボビンの外側には垂直偏向コイルが配設さ
   れ、ボビンと垂直偏向コイルの間に磁界分布を補正する
   磁性片が配置されている偏向ヨーク装置において、前記
   磁性片は振動吸収材の袋に入れられ、この振動吸収材の
   袋に入れられた状態でボビンに固定されていることを特
   徴とする偏向ヨーク装置。