JPH07331998A - 地下空洞の構築工法 - Google Patents

地下空洞の構築工法

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JPH07331998A
JPH07331998A JP6130586A JP13058694A JPH07331998A JP H07331998 A JPH07331998 A JP H07331998A JP 6130586 A JP6130586 A JP 6130586A JP 13058694 A JP13058694 A JP 13058694A JP H07331998 A JPH07331998 A JP H07331998A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 地表面からの開削部分を低減し、かつ掘削土
量を当該地下空洞部分に相当する最小限のものに留めつ
つ、強固かつ大断面の地下空洞を経済的に構築すること
を可能とする。 【構成】 構築すべき地下空洞10を挾んでこれの両端
に、導坑13,15の掘削用及び角型鋼管17の推進作
業用の坑道としての発進用及び到達用の立坑12を掘削
形成し、この発進用の立坑12より地下空洞10の左右
両側に側壁14を形成する一方、その天端部においては
地下空洞10の縦断方向に角型鋼管17を多数列推進設
置してアーチシェルを構成するとともに中詰コンクリー
ト19を打設して側壁14と天端部とが一体の外殻体1
8を構築し、この外殻体により覆われた内部を本坑20
として掘削する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地下空洞の構築工法に
関し、特に、地表面より下方に構築設置される、トンネ
ルやその他の地下構造物からなる地下空洞の構築工法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、地表面より下方に構築設置さ
れる地下空洞、例えば地下トンネルやその他の地下構造
物からなる地下空洞の構築工法として、一般に、開削工
法やシールド工法が知られている。
【0003】開削工法は、鋼矢板や地中連続壁などによ
る各種の山留支保工を併用しつつ、地表面からトンネル
等の地下構造物を設置する深さまで地盤を開削し、地下
構造物を構築した後に、これの上方に土砂を埋戻して地
盤を復旧するものである。
【0004】一方、シールド工法は、主として、都市部
等において、開削工法に必要な作業領域が確保できない
場合や、地下水を多く含む軟弱な地盤に対して採用され
るトンネル工法で、地中所定深度まで掘削形成した発進
立坑から到達立坑に向けて、筒状のシールド掘進機を地
中に掘削推進させるとともに、掘進機の後方にセグメン
トと呼ばれる覆工体を筒状に設置することにより、当該
覆工体により周囲を強固に覆われたトンネルすなわち地
下空洞を構築するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
地下空洞を構築する工法では、上記開削工法による場合
には、特に都市部等においては、地表面の交通が遮断さ
れること等により付近の住民の環境を害することになる
ため、地表面に広大な作業領域を確保することが困難で
あるとともに、地上から地下空洞の設置位置まで広範囲
に亘って多量の地盤を掘削しかつ埋戻す必要を生じるた
め、地下空洞を構築する位置が深くなるに従って不経済
になり、またその作業に危険が伴うことになる。
【0006】また、上記シールド工法による場合には、
開削部分として発進立坑及び到達立坑のみの領域を確保
し、掘削することができれば良いため、近隣住民の環境
に与える影響を極力回避することができるとともに、掘
削土量等の低減を図ることができるが、その一方で、ト
ンネルの掘削断面に応じた高価な専用のシールド掘進機
を製作する必要があるため、特に断面形状が大きいトン
ネルや円形以外の変形断面のトンネルを構築する場合に
は不経済になるともに、構築作業に困難が伴うことにな
る。
【0007】一方、地中深部に構築形成される地下構造
物は、その頂面をアーチ型に形成することが、周囲から
の土圧に耐える構造として有利であることが一般に知ら
れている。
【0008】そこで、本発明は、かかる課題に鑑みてな
されたもので、地表面からの開削部分を低減し、かつ掘
削土量を当該地下空洞部分に相当する最小限のものに留
めることができるとともに、専用の掘削機械を用いるこ
となく既存のトンネル工法を組み合わせて、アーチ状の
天頂面を有する強固かつ大断面の地下空洞を経済的に構
築することのできる地下空洞の構築工法を提供すること
を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の地下空洞の構築工法は、地下空洞の構築予
定箇所を挾んでその両端に導坑掘削用及び角型鋼管の推
進作業用の坑道を掘削形成する工程と、該各坑道から地
下空洞の左右両側壁ラインに沿って一対の導坑を掘削形
成する工程と、構築すべき地下空洞の天端部において上
記掘削形成した一方の坑道から他方の坑道に向かって地
下空洞の縦断方向に角型鋼管をアーチ状の横断面に沿っ
て多数列推進設置することにより、地下空洞の天端部分
を覆って当該角型鋼管を密接状態でアーチ状に配置する
とともに、前記導坑内に側壁コンクリートを打設しかつ
前記設置した角型鋼管内に中詰コンクリートを打設し
て、側壁部と天端部とが一体となって地下空洞の本坑部
分を覆う外殻体を構築形成する工程と、該外殻体により
覆われた本坑部分を掘削するとともに、該本坑部分に地
下空洞の本体を構築する工程とからなるものである。
【0010】
【作用】本発明は、構築すべき地下空洞の両端に導坑掘
削用及び角型鋼管の推進作業用の坑道を掘削形成し、こ
の坑道より地下空洞の左右両側壁の導坑を形成し、また
角型鋼管及び中詰コンクリートにより天端部に構築した
アーチ状の外殻体の内部にて本坑の掘削を行うものであ
るため、天端部より上方の地盤をも開削する場合に比
べ、地上からの開削部分を坑道と地上とを連通する立坑
に相当する領域のみに留めることができる。また、天端
部に角型鋼管を推進設置する作業は坑道から行うため場
所をとらず、掘削環境の影響を最小限に抑さえることが
できるとともに、アーチ状の横断面に沿った多数の列に
多数の角型鋼管をトンネル縦断方向に直線推進して設置
することにより、アーチ状の天頂面を有する地下空洞を
容易に形成することができる。そして、地下空洞の本坑
部分の掘削作業は、天端部と側壁部が一体となって本坑
部分を覆う、予め構築形成された強固なアーチ状の外殻
体の内方において行われることとなるため、周囲の地盤
の崩壊を生じることなく安全かつ容易に掘削作業を行な
うことができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明を図示の実施例に基づいて説明
する。
【0012】この実施例において構築すべき地下空洞1
0は、図1に示すように、2つのトンネル11を連ねて
成るいわゆる2連式の大断面トンネルである。
【0013】この実施例の構築工法においては、まず、
地下空洞10の構築予定箇所を挾んで、図2に示すよう
に、二連式のトンネル11の両端側に、地表面12から
トンネルを構築する深さまで、導坑掘削用及び角型鋼管
の推進作業用の坑道としての発進用及び到達用の立坑1
2を掘削形成する。各立坑12は、例えば、地中連続壁
工法やシートパイル工法等により周囲の地盤を山留した
後に、当該山留壁を補強しながらこれの内部の地盤を順
次下方に掘り下げてゆくことにより、容易に所定の深度
まで掘削形成することができる。
【0014】立坑12を所定深度まで構築したら、次
に、この発進側の立坑12内より、構築すべき地下空洞
10の左右の側壁14と、左右の各トンネル11の側壁
14を兼ねるとともに地下空洞10を左右のトンネル1
1に分割する中央の側壁14とを構築するための三列の
一段目の導坑13を、各々到達側の立坑12に向かって
掘削形成し、該導坑13から適宜基礎杭を下方に打設設
置するとともに、図示してない型枠を設けて側壁コンク
リート21を打設して、側壁14の下段部分を構築した
後、側壁14の上段部分を構築するための二段目の導坑
15を掘削形成する。この実施例の場合、側壁14の上
段部分のコンクリート21はこの時点ではまだ打設しな
い。なお、この実施例では、構築する地下空洞10の高
さ等に鑑みて、二段の導坑13,15に分割して導坑を
掘削するが、地架空洞10の大きさ等によっては必ずし
も分割する必要はない。
【0015】第二段目の導坑15の掘削終了後、構築す
べき地下空洞10の縦断方向すなわち各トンネル11の
天端部の縦断方向に、予め立坑12内に搬入可能なサイ
ズに形成された略矩形断面のブロック状の角型鋼管17
を、各トンネル11の天頂部分のアーチ状の横断面に沿
った多数の列において、トンネルの縦断方向に直線推進
することにより、多数の角型鋼管17が縦横にマトリッ
クス状に密接配置されて一体化した、トンネル11を覆
う外殻体18のアーチ状の天端部16が形成される。
【0016】即ち、角型鋼管17を密接状態で設置する
には、例えば、まずアーチ状の天端横断面の始端に位置
する第1列目の角型鋼管17aを、既存のトンネル工法
である推進工法により、発進側の立坑12に設置した推
進ジャッキを用いて、後方にブロック状の角型鋼管17
aを順次連設しつつ到達側の立坑12に向かってトンネ
ル11の縦断方向に掘削推進することにより、発進側の
立坑12から到達側の立坑12まで直線状に連設する第
1列目の鋼管列が設置される。次いで、アーチ状の天端
横断面に沿った第2列目の角型鋼管17bを、設置され
た第1列目の角型鋼管17aに隣接して、発進側の立坑
12から到達側の立坑12まで同様の方法により推進設
置する。以下アーチ状の天端横断面上の各列について、
同様の操作を順次繰り返し、最後にアーチの終端に属す
る最終列の角型鋼管17kを推進設置して、各トンネル
11のアーチ状の天端部16を形成する。
【0017】なお、各ブロック状の角型鋼管17は、そ
の側面に開口が形成されたものを用いることが好まし
く、かかる角型鋼管17によれば、各鋼管列を横断して
補強用の鉄筋を配筋することができ、また、内部に打設
される中詰コンクリートは、各鋼管列を横断して流通す
ることになるため、各角型鋼管17が一体化してさらに
強固なアーチ状の天端部16が形成されることになる。
【0018】上記の後、アーチ状の天端部16を構成す
る各角型鋼管17の内部に中詰コンクリート19を打設
するとともに、二段目の導坑15内には、かかる天端部
16の端部を巻き込みつつ、一段目の導坑13内に形成
された上記側壁14の下段部分の上方に、これと一体化
して側壁14の上段部分の側壁コンクリート21を打設
する。これによって、地下空洞10の外周には、アーチ
状の天端部16と側壁14が一体となって強固に地下空
洞10の本坑20の部分を覆う、外殻体18すなわちア
ーチシェルが形成される。
【0019】最後に、上記アーチ状の外殻体18で囲ま
れた本坑20の部分を掘削し、以て目的とする地下空洞
10の構築を図る。この本坑20の掘削作業は、予め構
築形成された強固な外殻体18の内方において行われる
ので、周囲の地盤の崩壊を生じることがなく、安全かつ
迅速に行うことができる。なお、発生する掘削土砂は、
各立坑12を介して地上に搬出される。
【0020】本坑20の掘削作業が完了したら、形成さ
れた作業空間内で地下空洞10の本体の構築作業を行
う。すなわち、図1に示すように、地下空洞10の底版
70及びインバート部73を形成するとともに、外殻体
18の側壁14と天端部16の内側に二次覆工としての
内側壁71及び上床版72を形成し、さらに種々の内装
を施工する。
【0021】なお、底版70は、角型鋼管17を、立坑
12の底部から、上述の外殻体18の天端部16におけ
る推進設置作業と同様の作業によって設置することによ
り設けることもできる。かかる方法によれば、本坑20
は、掘削作業に先立って、底面を含むその全周が外殻体
18によって覆われることになるため、より安全に本坑
20の掘削作業を行なうことができる。
【0022】そして、上記地下空洞10の構築工法によ
れば、地上からの開削部分を最小限発進立坑12に相当
する領域のみとすることができる。また、天端部16に
角型鋼管17を推進設置する作業は発進側の立坑12か
ら行うため場所をとらず、掘削環境の影響を最小限に抑
さえることができる。また、各立坑12を介して、施工
箇所への資機材の搬入搬出作業及び掘削土砂の搬出作業
等を行うことができる。更に、導坑13,15内におけ
る側壁コンクリート21の打設構築作業や角型鋼管17
内への中詰コンクリート19の打設作業も、コンクリー
トポンプ等により既存の技術を用いて容易に行なうこと
ができる。そして、地下空洞10の本坑20の部分の掘
削作業は、天端部16と側壁部14が一体となって本坑
20の部分を覆う、予め構築形成された強固な外殻体1
8の内方において、周囲の地盤の崩壊を生じることなく
安全かつ容易に行なうことができる。
【0023】なお、上記実施例では、角型鋼管17を推
進設置した後に上段部分の側壁14のコンクリート21
を打設したが、二段目の導坑15を掘削形成した後、角
型鋼管17の推進設置の前に側壁コンクリート21を打
設しておいて、この側壁14を、第1列目の角型鋼管1
7a及び最終列の角型鋼管17kを推進設置する際のガ
イドとして機能させてもよい。
【0024】また、上記実施例では、導坑13,15の
掘削用及び角型鋼管17の推進作業用の坑道して、トン
ネル11の両端側において地表面からトンネル11を構
築する深さまで開削形成した発進用及び到達用の立坑1
2を使用したが、この発明はこれに限定されるものでは
なく、たとえば、トンネル11の両端側の地表面に各立
坑12のための開削領域を確保することができない場合
には、図3に示すように、トンネル11の両端側から離
れて開削作業に支障のない位置に立坑30を掘削形成
し、ここから側方に掘り進んだ水平トンネル31を介し
て、トンネル11の両端側に導坑13,15の掘削用及
び角型鋼管17の推進作業用の坑道32を掘削形成する
こともできる。
【0025】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、地表面からの開削部分は、坑道と地上とを連通す
る立坑に相当する領域のみとなり、この坑道より地下空
洞の左右両側壁の導坑を形成し、また角型鋼管及び中詰
コンクリートにより天端部に構築したアーチ状外殻体の
内部にて本坑の掘削を行うものであるため、天端部から
上方の地盤をも開削する場合に比べ掘削土量を極めて少
なく抑えることができる。また、天端部に角型鋼管を推
進設置する作業は坑道から行うため場所をとらず、作業
中の周囲の環境への影響を最小限に抑さえることができ
る。
【0026】また、地下空洞の天端部は、角型鋼管及び
中詰コンクリートによりアーチ状の外殻体として構築さ
れるので、強固かつ大断面の地下空洞を経済的に構築す
ることができる。そして、地下空洞の本坑部分の掘削作
業は、この天端部と側壁部が一体となって本坑部分を覆
う予め強固に構築形成された外殻体の内方において行わ
れるため、周囲の地盤の崩壊を生じることなく安全かつ
容易に作業を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の工法により構築される地下空洞を例示
した横断面図である。
【図2】本発明の工法における立坑及び導坑の平面的な
位置関係を例示した概略平面図である。
【図3】地下空洞の両端側から離れて掘削形成した立坑
から掘り進んで導坑掘削用の坑道を形成する場合の一実
施例を示す説明図である。
【符号の説明】
10 地下空洞 11 トンネル 12 立坑(導坑) 13 一段目の導坑 14 側壁 15 二段目の導坑 16 天端部 17 角型鋼管 17a 第1列目の角型鋼管 17b 第2列目の角型鋼管 17k 最終列の角型鋼管 18 外殻体 19 中詰コンクリート 20 本坑 21 側壁コンクリート 32 坑道
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 保岡 哲治 東京都千代田区神田司町2丁目3番地 株 式会社大林組東京本社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地下空洞の構築予定箇所を挾んでその両
    端に導坑掘削用及び角型鋼管の推進作業用の坑道を掘削
    形成する工程と、該各坑道から地下空洞の左右両側壁ラ
    インに沿って一対の導坑を掘削形成する工程と、構築す
    べき地下空洞の天端部において上記掘削形成した一方の
    坑道から他方の坑道に向かって地下空洞の縦断方向に角
    型鋼管をアーチ状の横断面に沿って多数列推進設置する
    ことにより、地下空洞の天端部分を覆って当該角型鋼管
    を密接状態でアーチ状に配置するとともに、前記導坑内
    に側壁コンクリートを打設しかつ前記設置した角型鋼管
    内に中詰コンクリートを打設して、側壁部と天端部とが
    一体となって地下空洞の本坑部分を覆う外殻体を構築形
    成する工程と、該外殻体により覆われた本坑部分を掘削
    するとともに、該本坑部分に地下空洞の本体を構築する
    工程とからなることを特徴とする地下空洞の構築工法。
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