JPH07331108A - ファーネスカーボンブラック - Google Patents

ファーネスカーボンブラック

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JPH07331108A
JPH07331108A JP15154694A JP15154694A JPH07331108A JP H07331108 A JPH07331108 A JP H07331108A JP 15154694 A JP15154694 A JP 15154694A JP 15154694 A JP15154694 A JP 15154694A JP H07331108 A JPH07331108 A JP H07331108A
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carbon black
dst
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furnace carbon
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明弘 榊原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い反発弾性と耐摩耗性を同時にバランスよ
く付与することができる省燃費タイヤトレッド用として
好適なファーネスカーボンブラックを提供する。 【構成】 CTAB吸着比表面積(CTAB)が60〜140m2/g
、圧縮DBP吸油量(24M4DBP)が95〜125ml/100g、沃
素吸着量(IA)に対するCTABの比(CTAB/IA) が0.98〜
1.20、凝集体ストークス相当径分布のモード径(Dst) が
60〜130nm 、前記モード径(Dst) に対する凝集体ストー
クス相当径分布の半値巾 (ΔDst)の比 (ΔDst/Dst)が0.
65〜0.90の範囲で、かつ含水量が熱処理または黒鉛化処
理等の二次処理を施すことなしに下記(1) 式の関係を満
たすファーネスカーボンブラック。 Wm×104 ≦1.25CTAB2 +55CTAB …(1) 但し、Wmはグリセリン50% 水溶液の温度20℃、相対湿
度80% 雰囲気中で3日間放置した後におけるカーボンブ
ラックの含水率 (重量%) を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、配合ゴムに高耐摩耗性
および高反発弾性を同時にバランスよく付与することが
でき、主に自動車用タイヤや工業用のホース、ベルト等
の用途分野、とりわけ省燃費タイヤトレッド用として好
適なファーネスカーボンブラックに関する。
【0002】
【従来の技術】タイヤトレッドを構成するゴム性能とし
ては、従来から高耐摩耗性と高反発弾性の同時付与が重
要課題とされているが、特に省燃費タイアヤトレッドの
対象とする場合にはこれらの両性能を高水準で満足する
ことが必要不可欠の要件とされている。一般に、これら
のゴム性能を配合カーボンブラックの面から付与するた
めには、耐摩耗性の増大に対しては可及的に粒子径が小
さく(比表面積を大きく)、ストラクチャーの大きなカ
ーボンブラックを多い配合比率でゴム成分に配合するこ
とが有効であり、その逆に高い反発弾性を与えるには、
粒子径が大きく(比表面積の小さい)、ストラクチャー
の小さなカーボンブラックを少ない配合比率でゴム成分
に配合することが有効であるとされている。しかし、こ
のような二律背反の関係にあるカーボンブラックの基本
的特性を単純に組み合わせて配合ゴムに高い耐摩耗性な
らびに反発弾性の同時付与を期待することは不可能であ
る。
【0003】そこで、粒子径、比表面積、ストラクチャ
ー等の基本的特性に加えて、凝集体の分布巾、真比重、
凝集体の空隙容積あるいは粒間空隙径など新たな評価尺
度によってカーボンブラックの特性側面を捕らえ、それ
らの選択的特性を一定範囲に制御して前記ゴム性能を付
与する研究開発が盛んに進められている。本出願人もこ
の関係の研究を系統的に継続しており、これまで既に下
記の開発提案を行っている。 (1) 窒素吸着比表面積(N2SA)65〜84m2/g、該窒素吸
着比表面積(N2SA)と沃素吸着量(IA)の比(N2SA/IA) が
1.10〜1.35で、沃素吸着量、圧縮DBP吸油
量、黒色度(ブラックネス)および凝集体モード径によ
り構成される関数が一定値以上にあるカーボンブラック
(特開昭63−225639号公報) 。 (2) 窒素吸着比表面積(N2SA)が60m2/g以上、圧縮DB
P吸油量112ml/100g以上で、凝集体モード径および
同分布を一定値以上としたカーボンブラック(特公平1
−53978 号公報) 。 (3) 窒素吸着比表面積(N2SA)が75〜105m2/g、圧縮
DBP吸油量110ml/1/100g 以上で、一定比表面積当
たりの真比重を公知のカーボンブラックのそれよりも小
さい範囲に設定し、かつ凝集体空隙直径を大きく設定す
るとともに凝集体モード径当たりの分布巾を一定値以上
としたカーボンブラック(特開平1−201367号公報) 。 (4) 窒素吸着比表面積(N2SA)が60〜160m2/g、DB
P吸油量90〜150ml/100g で、一定DBP吸油量当
たりの凝集体空隙容積Vp(ml/g)が公知のカーボンブラ
ックよりも大きい範囲にある特性のカーボンブラック
(特開平2−32136号公報) 。 (5) 窒素吸着比表面積(N2SA)が58〜139m2/g、DB
P吸油量90〜150ml/100g で、一定比表面積当たり
の凝集体粒間空隙径Dp(nm)が公知のカーボンブラック
よりも大きい範囲にあるカーボンブラックを一定範囲の
割合で配合したゴム組成物(特開平3−50249 号公報)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近時、
低燃費化指向の趨勢からタイヤ等のゴムに対する品質要
求はますます厳しくなっており、従来技術レベルの品質
ではその要求特性を十分に達成できなくなってきてい
る。
【0005】本発明者らは、先行技術とは別異の視点に
立ち、従来の形態的な物理特性だけでなくゴムポリマー
とカーボンブラックの表面相互作用を中心に配合ゴムの
耐摩耗性および反発弾性とカーボンブラック特性との相
関性について鋭意研究を重ねたところ、CTAB吸着比
表面積およびこれと沃素吸着量の比、圧縮DBP吸油
量、凝集体ストークス相当径分布のモード径(Dst) およ
びそれと半値巾 (ΔDst)の比が特定範囲にあるファーネ
スカーボンブラックにおいて、表面相互作用性の間接的
要因と考えられる一定条件下の含水率がCTAB吸着比
表面積の関数で示される一定水準以下にある場合には、
配合ゴムに対し高度の耐摩耗性と反発弾性を併有させる
ことが可能であることを確認した。
【0006】本発明は、上記の知見に基づいて開発され
たもので、配合ゴムに高水準の耐摩耗性ならびに反発弾
性を同時にバランスよく付与させることができ、特に省
燃費タイヤトレッドゴム用として好適なファーネスカー
ボンブラックの提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるファーネスカーボンブラックは、CT
AB吸着比表面積(CTAB)が60〜140m2/g、圧縮DB
P吸油量(24M4DBP) が90〜125ml/100g 、沃素吸着
量(IA)に対するCTAB吸着比表面積の比(CTAB/IA) が
0.98〜1.20、凝集体ストークス相当径分布のモ
ード径(Dst) が60〜130nm、前記モード径(Dst) に
対する凝集体ストークス相当径分布の半値巾 (ΔDst)の
比 (ΔDst/Dst)が0.65〜0.90の範囲にあり、か
つ含水率(Wm)が熱処理または黒鉛化処理等の二次処理を
施すことなしに下記(1) 式の関係を満たすことを構成上
の特徴とするものである。 Wm×104 ≦1.25CTAB2 +55CTAB…(1) 但し、Wmはグリセリン50重量%水溶液の温度20
℃、相対湿度80%雰囲気中で3日間放置した後におけ
るカーボンブラックの含水率(重量%)を示すものとす
る。
【0008】本発明に係るカーボンブラックの特性は、
以下の測定方法によるものとする。 CTAB吸着比表面積(以下「CTAB」という);A
STM D3765−80“Standard Test Method for
Carbon Black-CTAB(CETYLTRIMETHYL AMMONIUM BROMID
E)Surface Area"による。 圧縮DBP吸油量(以下「24M4DBP」という);AS
TM D3493−91“Standard Test Method for C
arbon Black-Dibu-tyl Phthalate Absorption Number o
f Compressed Sample ”による。 沃素吸着量(以下「IA」という);JIS K622
1−82「ゴム用カーボンブラックの試験方法」6.
1.1項による。
【0009】Dstモード径(以下「Dst」という) と半
値巾(以下「ΔDst」という);JIS K6221(1
982)5「乾燥試料の作り方」に基づいて乾燥したカーボ
ンブラック試料を少量の界面活性剤を含む20容量%エ
タノール水溶液と混合してカーボンブラック濃度50mg
/lの分散液を作製し、これを超音波で十分に分散させて
試料とする。ディスク・セントリフュージ装置(英国Jo
yes Lobel 社製)を8000rpm の回転数に設定し、ス
ピン液(2重量%グリセリン水溶液、25℃)を10ml加
えたのち、1mlのバッファー液(20容量%エタノール水
溶液、25℃)を注入する。ついで、温度25℃のカーボ
ンブラック分散液0.5mlを注射器で加えた後、遠心沈
降を開始し、同時に記録計を作動させて図1に示す分布
曲線(横軸:カーボンブラック分散液を注射器で加えて
からの経過時間、縦軸:カーボンブラックの遠心沈降に
伴い変化した特定点での吸光度)を作成する。この分散
曲線より各時間Tを読み取り、次式(数1)に代入して
各時間に対応するストークス相当径を算出する。
【0010】
【数1】
【0011】数1において、ηはスピン液の粘度(0.935
cp) 、Nはディスク回転スピード(8000)、r1 はカーボ
ンブラック分散液注入点の半径(4.56cm)、r2 は吸光度
測定点までの半径(4.82cm)、ρCBはカーボンブラックの
密度(g/cm3) 、ρl はスピン液の密度(1.00178g/cm3)で
ある。
【0012】このようにして得られたストークス相当径
と吸光度の分布曲線(図2)における最大頻度のストー
クス相当径をDstモード径(nm)とし、最大頻度の50%
の頻度が得られる大小2点のストークス相当径の差(半
値巾)をΔDstとする。この測定方法によるASTM
D−24 Standard Reference Black C-3(N234) のDst
は80nm、ΔDstは60nmである。
【0013】含水率(以下「Wm」という);JIS
K6221−82「ゴム用カーボンブラックの試験方
法」6・2・1項A法に従って乾燥し、精秤採取したカ
ーボンブラック試料10gを相対湿度80%のデシケー
ター中で三日間放置後におけるカーボンブラックの吸湿
量を測定する。Wm(重量%)は、〔(相対湿度80%
のデシケーター中で三日間放置後におけるカーボンブラ
ックの重量−JIS乾燥後の初期カーボンブラック重
量)×100/JIS乾燥後の初期カーボンブラック重
量〕により算出される。
【0014】本発明を構成するカーボンブラックの特性
項目のうち、CTAB60〜140m2/g、24M4DBP9
0〜125ml/100g 、CTAB/IA比0.98〜1.
20、Dst60〜130ml/100g 、ΔDst/Dst比0.
65〜0.90の範囲は、配合ゴムに高反発弾性と高耐
摩耗性を両立付与するための前提条件となるものであ
る。CTABが60m2/g未満では高度の耐摩耗性が付与
されず、140m2/gを越えると高度の反発弾性が得られ
なくなる。より好ましいCTABの範囲は、65〜12
5m2/gである。24M4DBPが90ml/100g を下廻ると耐
摩耗性が減退し、125ml/100g を越えると配合ゴムの
粘度が増加し、加工性が著しく低下する。より好ましい
24M4DBPの範囲は、95〜120ml/100g である。C
TAB/IA比が、0.98未満では高度な反発弾性が
得られず、1.20を越えると配合ゴムの粘度が増加し
て加工性が損なわれる。また、Dstが60nm未満では反
発弾性が向上せず、130nmを上廻ると耐摩耗性が後退
する。より好ましいDstの範囲は、70〜120nmであ
る。更に、ΔDst/Dst比が0.65未満では高反発弾
性が得られず。0.90を越えると耐摩耗性が減退す
る。
【0015】本発明の目的を達成するためには、これら
の前提条件に加えて熱処理または黒鉛化処理等の二次処
理を施さないカーボンブラックのWmが上記(1) 式の関
係を満たす選択的特性を備えることが必須要件となる。
すなわち、Wm×104 値が〔1.25CTAB2 +5
5CTAB〕値を上廻る場合には、耐摩耗性および反発
弾性のいずれか一方が不十分な改良度合となり、要求ゴ
ム特性を達成することができなくなる。Wmは、下記
(2) 式の関係を満たす場合に、前記両ゴム性能のより優
れた両立化が達成される。 Wm×104 ≦1.25CTAB+40CTAB …(2)
【0016】本発明のカーボンブラックは、頭部に燃焼
バーナーおよび原料油噴射ノズルを備える燃焼室とこれ
に連続する熱分解導管とから構成された発生部を二系列
設け、両発生部の熱分解導管を円筒状の主反応ゾーンに
収斂会合したY字型構造のオイルファーネス炉を用い、
別系列で発生したカーボンブラック中間生成ガス流を主
反応ゾーンに同時に高速導入して相互衝突させる方法
(特開昭59−49267 号公報)によって製造される。この
際、各発生系列の炉頭から導入する燃焼用空気に酸素を
全空気中の酸素濃度が23〜26容量%になるように添
加し、更に収斂会合後の主反応ゾーン前段に反応後の生
成カーボンブラックをバッグフィルター等で分離した後
の残ガスを炉内燃焼ガス流量に対して10〜30容量%
の割合で導入し、各発生系列の条件および生成カーボン
ブラック流の炉内滞留時間を制御することによって本発
明のファーネスカーボンブラックを得ることができる。
【0017】本発明のファーネスカーボンブラックを配
合して高水準の耐摩耗性ならびに反発弾性をバランスよ
く同時付与することができるゴム成分としては、スチレ
ンブタジエンゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、イ
ソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−
ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、その他カ
ーボンブラックにより補強可能な常用の各種合成ゴム、
混合ゴムなどを挙げることができる。カーボンブラック
の配合量は、ゴム成分100重量部に対し10〜150
重量部、好ましくは20〜100重量部の割合に設定
し、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、加硫助剤、軟化
剤、可塑剤等の必要成分と共に混練してゴム組成物を得
る。
【0018】
【作用】一般に、カーボンブラックの含水率(Wm)はCT
ABとの相関が強く、CTABが大きいほどWmが多く
なる傾向を示すことが知られている。本発明は、カーボ
ンブラックとポリマー分子との表面相互作用の観点か
ら、その間接的要因の一つと考えられる水分吸着量に着
目し、上記の特性要件を満たすファーネスカーボンブラ
ックをゴムに配合した際に従来より改善された高耐摩耗
性と高反発弾性を兼備するエラストマーが得られる事実
を解明して完成されたものである。本出願人がこれまで
に提案してきた省燃費タイヤ用の改良カーボンブラック
は、表面相互作用が強く、水分吸着量が高い傾向にあっ
たが、本発明のファーネスカーボンブラックは優れた物
性機能により表面相互作用は高いにも拘らず、一定表面
積当たりの水分吸着量が相対的に少ない点で相違し、こ
の特異な物性に最大の特徴がある。このような物性が高
水準の耐摩耗性と反発弾性の両立に寄与する理由につい
ては未だ詳しく解明するに至ってないが、物性的に従来
特性のカーボンブラックに比べて耐摩耗性と発熱とのバ
ランス関係が改善されることが本発明により明らかに実
証された。
【0019】一定CTAB当たりのWmが少ないカーボ
ンブラックは、例えばカーボンブラックに熱処理や黒鉛
化処理等の二次処理を施すことによって得ることができ
るが、この場合には不活性雰囲気下での熱処理で表面官
能基が離脱するため、表面活性の低い状態(究極的には
黒鉛の表面状態)となって含水率が低くなるものと推測
される。このため、Wmが低くなっても、表面活性が不
足してゴム成分に対する補強性を著しく減退させる。
【0020】熱処理や黒鉛化処理等の二次処理を施さな
い状態でWmが少ない本発明のファーネスカーボンブラ
ックは、従来のカーボンブラックに比べて水分吸着に関
与する表面官能基(親水性)が相対的に少ないと考える
ことができる。しかしながら、全表面官能基(疎水性表
面官能基を含む)の量が同様に少ないかどうかは定かで
ない。一般に、ゴムポリマーとカーボンブラックとの表
面相互作用性はポリマー種によって相当に影響を受ける
が、本発明のWm特性要件を満たすファーネスカーボン
ブラックはあらゆる種類のポリマーに対して従来の改良
カーボンブラックと比べかなり優位な改良度合を発揮す
る。この理由は、本発明のファーネスカーボンブラック
はポリマー分子との表面相互作用に有効な表面官能基
(疎水性官能基の種類)が多いか、もしくはポリマー分
子との表面相互作用に有益でない表面官能基(親水性官
能基の種類)が少なく、この特異な表面性状が前提とな
る特性要件と相俟って配合ゴムに優れた耐摩耗性ならび
に反発弾性の両面に好影響を及ぼし、その結果として両
特性を同時にバランスよく付与する作用が発現されるも
のと推測される。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して詳
細に説明する。
【0022】実施例1〜7、比較例1〜6、参考例1〜
4 頭部にウインドボックスを介して燃焼バーナーと原料油
噴射ノズルを装着した内径300mm、長さ400mm (う
ち円錐部分150mm)の燃焼室および内径60mm、長さ85
0mmの熱分解導管を備える二系列の発生部を、内径15
0mm、長さ4000mmの前段広径部位と内径200mm、
長さ3000mmの後段広径部位に連設して主反応ゾーン
の前面に交角60°で収斂結合させたY字型構造のオイ
ルファーネス炉を設置した。この反応炉を用い、両発生
系列の炉頭から導入する燃焼用空気に一定量の酸素を添
加するか添加せず、また収斂結合後の主反応ゾーン前段
(結合点から 150〜300mm の位置)にユニットバッグで
生成カーボンブラックを分離した後の高温残ガス(200〜
300 ℃)を導入するか導入しない変動条件を適用してフ
ァーネスカーンブラックを製造した(実施例1〜7、比
較例1〜6)。
【0023】原料油としては、比重1.073、粘度(
エングラー40/20 ℃) 2.10、トルエン不溶分0.0
3%、相関係数(BMCI) 140、初期沸点103℃の芳
香族炭化水素油を用い、また燃料油には、比重(15/4
℃) 0.903、粘度(Cst/50℃) 16.1、残炭分
5.4%、硫黄分1.8%、引火点96℃の炭化水素油
を使用した。
【0024】表1および表2に製造時の発生条件を示し
た。なお、発生条件のうち、炉内滞留時間は生成カーボ
ンブラック生成ガスの水冷点までの滞留時間である。表
3(実施例)および表4(比較例)に製造された各ファ
ーネスカーボンブラックの特性を示した。なお、特性の
うち、Tint はIRB #3を基準試料として場合の着色
力 (%) である。表5には参考例としてASTMグレー
ドによるカーボンブラック市販品の特性を示した。ま
た、図3に実施例および比較例におけるCTABと〔W
m×104 /CTAB〕の関係グラフを示した。このグ
ラフから、本発明の要件を満たす実施例の特性は比較例
に比べてCTAB当たりのWmが相対的に少ないことが
判明する。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】表3〜表5の各ファーネスカーボンブラッ
クを用いて表6に示す配合割合で天然ゴム(RSS#1) と配
合し、配合物を145℃の温度で40分加硫処理してゴ
ム組成物を作製した。
【0031】
【表6】
【0032】得られた各ゴム組成物につき各種のゴム特
性を測定し、その結果を表7(実施例)、表8(比較
例)および表9(参考例)に示した。なお、各測定試験
のうち損失係数および摩耗量の測定は下記の方法でおこ
ない、その他は全てJIS K6301「加硫ゴム物理
試験法」によった。
【0033】損失係数(tanδ);Visco Elastic Sp
ectrometer〔(株)岩本製作所製〕を用い、次の条件で
測定した。なお、表示の数値は参考例2(N339)を100
とした場合の指数であり、指数値が小さいほど低い発熱
性であることを示す。 試験片:厚さ2mm、長さ35mm、幅5mm 周波数:50Hz 温 度:60℃ 動的歪率:1.2% ランボーン摩耗量(LA);ランボーン摩耗試験機(機
械式スリップ機構)を用い、次の条件で測定した。な
お、表示の耐摩耗量は参考例2(N339)を100とした場
合の指数であり、指数値が大きいほど高い耐摩耗性を示
す。 試験片:厚さ10mm、外径44mm エメリーホイール:GCタイプ、粒度 #80、硬度H 添加カーボランダム粉:粒度 #80、添加量 9g/min. エメリーホイール面と試験片の相対スリップ率:24
%、60% 試験片回転数:535rpm 試験荷重:4kg
【0034】また、図4に実施例と比較例における反発
弾性と耐摩耗性(LA24%) の関係図、図5に同様の反発弾
性と耐摩耗性(LA60%) の関係図を示し、図6に実施例と
比較例における損失係数(tanδ) と耐摩耗性(LA24%) の
関係図、図7に同様の損失係数と耐摩耗性(LA60%) の関
係図を示した。
【0035】
【表7】
【0036】
【表8】
【0037】
【表9】
【0038】表7〜表9および図4〜7を考察して明ら
かなように、本発明の特性要件を満たすファーネスカー
ボンブラックを配合したゴム組成物は、CTABおよび
24M4DBPが同一レベルにある比較例のカーボンブラッ
ク配合ゴムと比べて相対的に反発弾性と耐摩耗性が共に
向上しており、これら両特性が同時にバランスよく付与
されていることが認められる。なお、参考例3および参
考例4は、Wmについては本発明の特性範囲にあるが、
いずれも表面活性度の指標となるCTAB/IAが低
く、かつDBP、24M4DBPが本発明の要件を外れるた
め、反発弾性および耐摩耗性が劣る結果を示している。
【0039】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば配合ゴム
に対して高度の耐摩耗性ならびに反発弾性を同時にバラ
ンスよく兼備し得るファーネスカーボンブラックを提供
することができる。したがって、自動車の省燃費タイヤ
トレッドゴムをはじめ、特に苛酷な条件下で使用される
工業用のホース、ベルト等を対象とするゴム補強用カー
ボンブラックとして極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Dstの測定時におけるカーボンブラック分散液
を加えてからの経過時間とカーボンブラックの遠心沈降
による吸光度の変化を示した分布曲線である。
【図2】Dstの測定時に得られるDstと吸光度の関係を
示した分布曲線である。
【図3】実施例および比較例におけるCTABと〔Wm
×104 /CTAB〕との関係を示したグラフである。
【図4】実施例および比較例における反発弾性と耐摩耗
性(LA24%) の関係を示したグラフである。
【図5】実施例および比較例における反発弾性と耐摩耗
性(LA60%) の関係を示したグラフである。
【図6】実施例および比較例における損失係数と耐摩耗
性(LA24%) の関係を示したグラフである。
【図7】実施例および比較例における損失係数と耐摩耗
性(LA60%) の関係を示したグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年9月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CTAB吸着比表面積(CTAB)が60〜1
    40m2/g、圧縮DBP吸油量(24M4DBP) が90〜125
    ml/100g 、沃素吸着量(IA)に対するCTAB吸着比表面
    積の比(CTAB/IA) が0.98〜1.20、凝集体ストー
    クス相当径分布のモード径(Dst) が60〜130nm、前
    記モード径(Dst) に対する凝集体ストークス相当径分布
    の半値巾 (ΔDst)の比 (ΔDst/Dst)が0.65〜0.9
    0の範囲にあり、かつ含水率(Wm)が熱処理または黒鉛化
    処理等の二次処理を施すことなしに下記(1) 式の関係を
    満たすことを特徴とするファーネスカーボンブラック。 Wm×104 ≦1.25CTAB2 +55CTAB…(1) 但し、Wmはグリセリン50重量%水溶液の温度20
    ℃、相対湿度80%雰囲気中で3日間放置した後におけ
    るカーボンブラックの含水率(重量%)を示すものとす
    る。
  2. 【請求項2】 含水率(Wm)が下記(2) 式の関係を満たす
    請求項1記載のファーネスカーボンブラック。 Wm×104 ≦1.25CTAB2 +40CTAB…(2)
  3. 【請求項3】 CTAB吸着比表面積(CTAB)が65〜1
    25m2/gの範囲にある請求項1又は2記載のファーネス
    カーボンブラック。
  4. 【請求項4】 圧縮DBP吸油量(24M4DBP) が95〜1
    20ml/100g の範囲にある請求項1、2又は3記載のフ
    ァーネスカーボンブラック。
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