JPH07330988A - 熱可塑性エラストマーの製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマーの製造方法

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JPH07330988A
JPH07330988A JP12862994A JP12862994A JPH07330988A JP H07330988 A JPH07330988 A JP H07330988A JP 12862994 A JP12862994 A JP 12862994A JP 12862994 A JP12862994 A JP 12862994A JP H07330988 A JPH07330988 A JP H07330988A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (a)エチレン−α・オレフィン−非共役ジ
エン共重合体ゴム (b)メルトフローレートの値が10g/10min以
下のポリオレフィン樹脂 (c)分子内にSiH基を2つ以上持つ有機オルガノシ
ロキサン系架橋剤 (d)ハイドロシリル化触媒 (e)メルトフローレートの値が(b)成分の値より
1.5倍以上であるポリプロピレン樹脂 上記の(a)〜(e)を溶融混練して動的に加硫する熱
可塑性エラストマーの製造方法。 【効果】 得られる熱可塑性エラストマー組成物は柔軟
性、耐熱クリ−プ性能、低温耐衝撃性、機械的強度、更
に流れ特性、成形性に優れ、広い温度範囲にわたって優
れたゴム弾性を示し、更に耐油性が良好、調色が自由な
ため、耐油性、ゴム弾性、機械強度及び成形速度、成形
歩留まり、調色自由度等の改善が望まれている自動車部
品、家電部品、各種電線被覆(絶縁、シ−ス)及び各種
工業部品に好適に成形し用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性エラストマーの
製造方法に関するものである。更に詳しくは柔軟性に富
み、広い温度範囲にわたるゴム弾性、高温クリ−プ性
能、低温耐衝撃性、機械強度、成形加工性に優れ、かつ
熱可塑性エラストマーでありながら、耐油性、耐光変色
性が良好で調色性に非常に優れているので、各種成形物
の素材として使用できる新規な熱可塑性エラストマーの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ゴム的な軟質材料であり、且つ加
硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性
を有する熱可塑性エラストマーが自動車品、家電部品、
電線被覆剤、医療部品、雑貨、履物等の分野で利用され
ている。熱可塑性エラストマーの構造の代表的な例とし
ては特開昭61−34050等に開示されているように
共重合体鎖中にハ−ドセグメント及びソフトセグメント
を交互に含有している種類のものがある。そして、これ
らは各セグメントの割合を変えることにより柔軟性に富
むものから、剛性のあるものまで各種のグレ−ドが製造
されている。更に、安価でそして容易に入手できる原料
物質から導かれた別種類の熱可塑性エラストマーもあ
る。即ち、特公昭53−21021号公報等に開示され
ているように有機過酸化物を用いて部分架橋したモノオ
レフィン共重合体ゴムとポリオレフィン樹脂との熱可塑
性ブレンドあるいはモノオレフィン共重合体ゴムとポリ
オレフィン樹脂に架橋助剤として有機過酸化物を用いて
溶融混練を行い、部分架橋した組成物がこれに該当す
る。しかしながら、前者の共重合体鎖中にハ−ドセグメ
ント及びソフトセグメントを交互に含有している構造を
持つ熱可塑性エラストマーの場合、柔軟性のある熱可塑
性エラストマーとするためにはソフトセグメントを多量
に含むことが必要となる。通常、ソフトセグメントは引
張強度が弱く、耐熱性、流動性、耐油性が悪いことから
このようなソフトセグメントを多量に含む柔軟性のある
熱可塑性エラストマー組成物はやはり、引張強度が弱
く、耐熱性、流動性、耐油性が悪いといった欠点を持
ち、広範囲にわたっての各種用途に用いる事が出来な
い。また、柔軟性グレ−ドを多段合成法により合成する
場合は、ハ−ドセグメントとソフトセグメントを別々に
合成する必要があるため、重合装置が非常に複雑になる
とともに、重合段階での各セグメントの性状や割合のコ
ントロ−ルが非常に難しく、またグレ−ドの切り替え時
に不良品が発生する事もある。さらに生成したポリマ−
の回収もゴム的な性状のものが多量に含まれることから
非常に困難である。
【0003】後者の、成分中のモノオレフィン共重合体
ゴムに部分架橋を施した構造の熱可塑性エラストマーの
場合は、部分架橋であるために耐油性及び高温下での形
状回復性等が不十分であるために広範囲にわたっての各
種用途に用いる事が出来ない。また、有機過酸化物を用
いているために、架橋と同時に有機過酸化物に起因する
ラジカルによりポリマ−鎖の切断が起こり機械的強度の
低下もみられるという欠点も有している。この欠点を克
服する手段が特公昭58−46138号公報等に開示さ
れている。即ち架橋剤として熱反応性アルキルフェノ−
ル樹脂を用いる事によりモノオレフィン共重合体ゴムの
架橋のみを優先的に進めるという手段である。この手段
で得られる熱可塑性エラストマーは完全架橋であるため
耐油性及び高温下での形状回復性等は十分であるが、ア
ルキルフェノ−ル樹脂を用いているため耐光変色性が著
しく悪く、調色の自由度が求められる自動車部品、家電
用部品、電線被覆等の用途に用いる事が出来ない。又、
架橋剤としてアルキルフェノ−ル樹脂の代わりに有機オ
ルガノシロキサン化合物を用いる手法がUSP4803
244に提案されている。この手法ではアルキルフェノ
−ル樹脂架橋と同様にモノオレフィン共重合体ゴムの架
橋のみを優先的に進めることができ、耐油性、高温下で
の形状回復性及び耐光変色性等に非常に優れた材料が得
られるので、調色の自由度が求められる自動車部品、家
電用部品、電線被覆等の用途に用いる事ができる。しか
しながら、この手法では相溶化剤を添加していないた
め、混練時のゴムと樹脂の界面張力が十分低下されてい
ないため、ゴム成分の微細化が妨げられ、結果として得
られるエラストマーの流れ特性が満足できないレベルと
なり、その結果成形性が十分でないばかりか、低温耐衝
撃性も満足できないレベルのものとなり、低温耐衝撃性
が要求される用途−例えば自動車のエア−バッグ用材料
等−には使用できないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来の熱可塑
性エラストマー組成物では困難であった問題を解決する
ためになされたものであり、広い温度範囲にわたって良
好なゴム特性を維持しつつ、低温耐衝撃性、広い着色自
由度、低い残留重金属物等の特徴を有しているため、調
色が求められる用途、衛生性が求められる用途も含めて
の高範囲にわたっての各種用途に用いることが出来る熱
可塑性エラストマーの製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、架橋剤として耐光
変色性及び生体適合性に優れ、ゴムを選択的に架橋する
特性を有する分子内にSiH基を2つ以上持つ有機オル
ガノシロキサン化合物類を、また、ハイドロシリル化触
媒を用いて溶融混練しながら架橋させることによりゴム
の選択的な架橋を行い、更に、ゴムにも樹脂にも分子相
溶することによりゴム成分と樹脂成分との界面張力を低
下させ、ゴム成分を微細化させ、ゴム成分と樹脂成分の
界面の接着性を向上させるという技術思想のもとに研究
を展開し、その結果、広い温度範囲にわたって良好なゴ
ム特性を有しつつ、流れ特性、低温耐衝撃性、調色が求
められる用途も含めての広範囲にわたっての各種用途に
適用するという課題を達成できるという知見を見いだ
し、その知見に基づき、更に種々の研究を進めて本発明
を完成するに至ったものである。即ち本発明は、 (a)エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合
体ゴム (b)メルトフローレート(以下MFRと略記する)
[JIS K 6758、230℃×2.16Kgf]
の値が10g/10min以下のポリプロピレン樹脂 (c)分子内にSiH基を2つ以上持つ有機オルガノシ
ロキサン系架橋剤 (d)ハイドロシリル化触媒 (e)MFRの値が(b)成分の値より1.5倍以上で
あるポリプロピレン樹脂上記の(a)〜(e)を溶融混
練して動的に加硫することを特徴とする熱可塑性エラス
トマーの製造方法であり、好ましくはエチレン−α・オ
レフィン−非共役ジエン共重合ゴム(a)100重量部
に対し、ポリプロピレン系樹脂(b)5〜300重量
部、分子内にSiH基を2つ以上持つ有機オルガノシロ
キサン系架橋剤(c)0.5〜30重量部、ハイドロシ
ロキサン化触媒(d)0.001〜5重量部、更にポリ
プロピレン樹脂(e)をゴム成分(a)+樹脂成分
(b)の合計100重量部に対して、0.5重量部〜2
0重量部添加してなる上記記載の熱可塑性エラストマー
の製造方法である。
【0006】本発明で用いられるエチレン−α・オレフ
ィン−非共役ジエン共重合体ゴム(a)はその組成にお
けるα・オレフィンは炭素数3〜15のものが適する。
非共役ジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、エチリ
デンノルボルネン、及びメチレンノルボルネン等が使用
できる。本発明においては入手の容易さ、耐衝撃性改良
の観点からα・オレフィンとしてはポリプロピレンが適
する。従って、EPDMが好適となる。共重合ゴムのエ
チレン/α・オレフィン比は重量比で50/50〜90
/10、更に好適には60/40〜80/20が適す
る。ここで、用いられるゴムのム−ニ粘度、ML1+4
(100℃)は10〜120、好ましくは40〜100
の範囲から好適に選ぶ事が出来る。このム−ニ粘度が1
0未満のものを用いた場合、好ましい架橋が得られず高
温での圧縮永久歪の改良が期待できず好ましくない。ま
た、120を超えたものは成形加工性が著しく悪化し、
更に成形品の外観が悪化するため好ましくない。またこ
のゴムのヨウ素価は5〜30、特に10〜20のものが
好ましい。
【0007】次に、本発明に用いられているポリプロピ
レン樹脂(b)は、得られる組成物の加工性、耐熱性を
向上させるため、分子量が大きい、具体的にはMFRの
値が10g/10min以下のポリプロピレン樹脂を使
用する。ポリプロピレン樹脂の種類としては、ホモポリ
マー或いはエチレン−プロピレン共重合体であるブロッ
ク又はランダムのいずれのコポリマーでもよい。ポリプ
ロピレン樹脂(b)の配合量は、ゴム成分(a)100
重量部に対し5〜300重量部が好ましく、更に好まし
くは10〜200重量部である。300重量部を超えた
配合では、得られるエラストマー状組成物の硬度が高く
なり柔軟性が失われる傾向にあり、5重量部未満の配合
では加工性が悪くなる傾向にある。
【0008】次に本発明で用いられるゴムの架橋剤
(c)はSiH基を2つ以上持つ有機オルガノシロキサ
ン化合物である。この架橋法はSiH基のゴム成分中の
不飽和炭化水素への選択的な付加反応(ハイドロシリル
化)を利用したものである。架橋剤となり得るためには
2分子以上のゴムに付加することが必要条件であるから
分子中に2つ以上のSiH基を持つ必要がある。具体的
な化合物例は下記に示すように環状ポリシロキサン類、
線状ポリシロキサン類、四面体シロキサン類の構造を持
つ化合物が代表的である。また、該化合物から誘導され
た化合物及びまたはポリマ−を用いても良い。 ここでm は3〜30の整数、n は0から200までの整
数、Rは、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリ−ル
基またはアリ−ルオキシ基であり、且つ珪素原子に結合
している少なくとも1個のRが水素である珪素原子が分
子中に2個以上存在するものである。上記のような構造
を持つ有機オルガノシロキサンがゴムに対して選択的な
架橋を行うことができる。
【0009】本発明に用いられる架橋反応触媒(d)は
ハイドロシリル化反応を促進する触媒全般を指す。触媒
の例としては、貴金属系触媒または過酸化物がよく用い
られる。最も一般的な触媒とすれば塩化白金酸等が挙げ
られる。ここで動加硫された熱可塑性エラストマー組成
物とは、本発明で得られた組成物1gを沸騰キシレンを
用いてソックスレ−抽出機で10時間リフラックスし、
残留物を80メッシュの金網で濾過し、メッシュ上に残
留した不溶物乾燥重量(g)/組成物1g中に含まれる
a成分の重量の比を100倍した値で示されるゲル含量
が少なくとも30%、好ましくは50%以上(但し、無
機充填物等の不要成分はこれに含まない)となるように
加硫したものであり、且つ該加硫が熱可塑性エラストマ
ー組成物の溶融混練中に行われることを特徴とする。こ
のような動加硫された熱可塑性エラストマー組成物を得
るため、成分(d)の配合量は、成分a100重量部に
対して0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部
の中から好適に選ぶことができ、そのゲル含量を調節す
ることができる。また触媒の添加量はゴム成分100重
量部に対して0.001〜5重量部の触媒を任意に添加
することができる。ここで、0.001未満の場合、実
用的速度で架橋が進まない。また、5重量部超では増量
する効果がないばかりか失活した触媒が黒色状ブツとな
り外観不良となったり、熱処理をすると好ましくない副
反応(未反応のSiH基の分解等)を引き起こす傾向が
ある。
【0010】本発明で用いられる成分(e)は相溶化剤
として用いられるものであり、本発明により得られるエ
ラストマーの樹脂成分であるポリプロピレン樹脂より分
子量が低いポリプロピレンである。ここでいう分子量と
はMFRの値にて表すことができる、即ち、MFRの値
が大きければ大きい程分子量は小さく、MFRの値が小
さければ小さい程分子量は大きいのである。本発明によ
るゴム成分(a)と樹脂成分(b)は元来相溶性は良い
が、両成分とも非常に高分子量であるため、ゴム成分の
分散性、界面の接着性ともに限界がある。そこで分子相
溶できる低分子量ポリプロピレン樹脂を添加すると、ゴ
ム成分とポリプロピレン樹脂との界面張力を低下させる
ことができ、結果としてゴム成分が微細化し、ゴム成分
と樹脂成分の界面の接着性が向上する。そのため得られ
るエラストマーの流れ特性を向上させ、成形性を向上さ
せ、更には、低温耐衝撃性を向上させることができる。
本発明にて用いられる相溶化剤であるポリプロピレンの
MFRの値は、(b)成分の値の1.5倍以上が望まし
く、MFRの値が1.5倍より小さければ、流動性が落
ち、その結果、本来の相溶化効果が低下し、発明の効果
は望めない。また、相溶化剤に用いるポリプロピレン樹
脂の種類としては、ホモポリマー或いはエチレン−プロ
ピレン共重合体であるブロック又はランダムのいずれの
コポリマーでもよい。相溶化剤(e)の添加量はゴム成
分(a)+樹脂成分(b)の合計100重量部に対して
0.5重量部〜20重量部、好適には1重量部〜15重
量部の範囲で配合される。0.5重量部未満の場合、界
面張力を低下させる効果がほとんど見られず、本発明の
熱可塑性エラストマーに対する良好な流れ特性及び成形
性が得られず、更には低温耐衝撃性の改良効果が不十分
となる傾向にある。また、20重量部超では本発明の熱
可塑性エラストマーの耐熱保形性に代表されるような機
械強度が低下するばかりか、エラストマーとしてのゴム
弾性を示さなくなる傾向にある。
【0011】本発明で用いるパラフィン系オイル(f)
は、得られる組成物の硬度を調整し、柔軟性を与える作
用を持ち、必要に応じて添加される。一般にゴムの軟
化、増容、加工性向上に用いられるプロセスオイルまた
はエクステンダ−オイルとよばれる鉱物油系ゴム用軟化
剤は芳香族環、ナフテン環、パラフィン環の3者が組わ
さった混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素数
の50%以上占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフ
テン環炭素数が30〜45%のものがナフテン系、芳香
族炭素数が30%を超えるものが芳香族系とされる。本
発明で用いられるオイルは上記区分でパラフィン系のも
のが好ましく、ナフテン系、芳香族系のものは分散性、
溶解性の点で好ましくない。パラフィン系ゴム用軟化剤
の性状は37.8℃における動粘度が20〜500cs
t、流動点が−10〜−15℃及び引火点が170〜3
00℃を示す。パラフィン系オイル(f)の好ましい配
合量はゴム成分(a)100重量部に対して30〜30
0重量部であり、更に好ましくは30〜250重量部で
ある。300重量部を超えた配合のものは、軟化のブリ
−ドアウトを生じやすく、最終製品に粘着性を生じる恐
れがあり、機械的性質を低下させる傾向がある。また、
30重量部未満だと添加する意味がない。
【0012】本発明の製法で得られる熱可塑性エラスト
マー組成物は公知技術の有機過酸化物を用いて部分架橋
した熱可塑性エラストマー組成物に比べ、機械強度及び
高温での圧縮永久歪に優れた性能を示す組成物を与え
る。また、公知技術の熱反応性アルキルフェノ−ル樹脂
を用いて完全架橋した熱可塑性エラストマー組成物に比
べ、耐光変色性に著しく優れた組成物を与える。また界
面張力を低下させての混練により、ゴム成分が微細化さ
れており、公知技術のように、塩化白金酸のような重金
属触媒を用いてハイドロシリル化することにより架橋さ
せて得ただけの熱可塑性エラストマー組成物に比べ、流
れ特性及び成形性が良好であり、且つ低温衝撃性が著し
く向上する。上記した成分のほかに、本発明の組成物は
更に必要に応じて、特に調色が不必要な用途には、無機
充填剤を配合することも可能である。この無機充填剤
は、増量剤として製品コストの低下をはかることの利益
があるばかりでなく、品質改良(耐熱保形、難燃性付与
等)に積極的効果を付与する利点もある。無機充填剤と
しては、例えば炭酸カルシウム、カ−ボンブラック、タ
ルク、水酸化マグネシウム、マイカ、硫酸バリウム、天
然ケイ酸、合成ケイ酸(ホワイトカ−ボン)、酸化チタ
ン等があり、カ−ボンブラックとしてはチャンネルブラ
ック、ファ−ネスブラック等が使用できる。これらの無
機充填剤のうちタルク、炭酸カルシウムは経済的にも有
利で好ましいものである。更に必要に応じて造核剤、外
滑剤、内滑剤、ヒンダ−ドアミン系光安定剤、ヒンダ−
ドフェノ−ル系酸化防止剤、着色剤、シリコンオイル等
を添加しても良い。また、スチレン系ブロックコポリマ
−(SBC)、熱可塑性ウレタン樹脂のような他の熱可
塑性樹脂をブレンドすることもできる。
【0013】本発明の組成物を製造する方法としては、
通常の樹脂組成物、ゴム組成物の製造に用いられる一般
的な全ての方法を採用できる。基本的には機械的溶融混
練方法であり、これらには単軸押出機、二軸押出機、バ
ンバリ−ミキサ−、各種ニ−ダ−、ブラベンダ−、ロ−
ル等が用いられる。この際、各成分の添加順序には制限
がなく、例えば、ゴム、樹脂成分を前もってヘンシェル
ミキサ−、ブレンダ−等の混合機で予備混合し上記の混
練機で溶融混練し、次いで架橋剤、触媒成分を添加し動
加硫したり、使用するゴムのスコ−チ時間が十分長い場
合は触媒以外の成分を前もって溶融混練し、更に触媒を
添加し溶融する等の添加方法も採用できる。また、この
際溶融混練する温度は180℃〜300℃の中から好適
に選ぶことができる。ここで得られた動加硫したエラス
トマー組成物は熱可塑性であるので一般に使用される熱
可塑性樹脂用成形機を用いて成形することが可能であっ
て、射出成形、押出成形、カレンダ−成形、ブロ−成形
等の各種の成形方法が適応可能である。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。以下に示す実施例及び比較例において配合した各
成分は以下の通りである。 <成分a>日本合成ゴム製エチレン−プロピレン−エチ
リデンノルボルネン共重合体ゴム EP57C[プロピレン含量:28重量%ム−ニ粘度M
L1+4(100℃):90 ヨウ素価:15 Tg:−
40℃] <成分b(1)>旭化成工業製ポリプロピレン樹脂、M
1500 [MFR(230℃)=8.0g/10分 熱変形温
度:117℃] <成分b(2)>旭化成工業製ポリプロピレン樹脂、M
3500 [MFR(230℃)=9/0g/10分 熱変形温
度:108℃] <成分c(1)>東レ・ダウコ−ニング・シリコ−ン株
式会社製1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシ
ロキサン <成分c(2)>東レ・ダウコ−ニング・シリコ−ン株
式会社製1,1,3,3−テトラメチルジテトラシロキ
サン <成分d>安田薬品工業(株)製塩化白金酸6水和物 <成分e−1>旭化成工業製ポリプロピレン樹脂、M1
700(ホモポリプロピレン) [MFR(230℃)=31g/10分 熱変形温度:
119℃] <成分e−2>旭化成工業製ポリプロピレン樹脂、M7
646(ブロックポリプロピレン) [MFR(230℃)=15g/10分 熱変形温度:
120℃] <成分e−3>旭化成工業製ポリプロピレン樹脂、M7
300(ランダムポリプロピレン) [MFR(230℃)=4.0g/10分 熱変形温
度:112℃] <成分f>出光興産製ダイアナプロセスオイルPW−3
80[パラフィン系プロセスオイル、動粘度:381.
6cst(40℃)、30.1(100℃)、平均分子
量746」、環分析値:CA=0%、CN=27%、CP
=73%]
【0015】《実施例1〜13及び比較例1〜8》c成
分及びd成分を除く全ての成分を十分ドライブレンドし
た後、ニ軸混練機を用いて樹脂温190〜230℃にな
るような条件で溶融混練し押し出し動加硫する前の熱可
塑性組成物を得、これをペレタイズ化した。このペレッ
トに相当量のc成分及びd成分を添加配合し再びニ軸混
練機を使用して樹脂温190〜230℃になるように混
練して動加硫した熱可塑性エラストマー組成物を得た。
この組成物を用い射出成形を行い、以下の諸物性の評価
を行い、実施例については表1、表2に示し、比較例に
ついては表3、表4に示した。また、比較例も実施例と
同様な方法で行った。この結果から、本発明の有機オル
ガノシロキサン化合物を用いて動加硫した熱可塑エラス
トマー組成物は公知技術の有機ペルオキシド系を配合し
て動加硫した熱可塑性エラストマー組成物よりも機械強
度及び70℃の圧縮永久歪更に耐油性に優れた組成物を
与えることが明らかになった。そして更に、本発明の組
成物は耐光変色性が良好であるので調色の自由度が大き
いことが判明した。また、MFR、成形性、低温耐衝撃
性が著しく改善されていることがわかった。
【0016】(1)硬度(JIS K6301 Aタイ
プ) (2)引張強度TS[MPa]及び伸びEb[%](J
IS K6301、3号ダンベル) (3)圧縮永久歪CS[%](JIS K6301、2
5%圧縮 70℃×22hr) (4)低温耐衝撃性(75×75×t1の試験片を−6
0℃のドライアイス−メタノ−ル溶液に10分間浸漬
後、デュポン式落球衝撃試験を行い、試験後亀裂が生じ
なかった場合は○、亀裂が生じたものは×とした。[試
験条件錘り重量:500g、先端球R:3/16、落下
高さ:1m]) (5)耐油性[%](JIS K6301、No.3試験
油(潤滑油)を使用し、70℃で2時間、50×50×
t2の試験片を浸漬し、浸漬前後の重量変化(%)を求
めた) (6)耐光変色性試験 (ナチュラルの組成物をサンシ
ャインウェザ−オメ−タ−を用いて、88℃×1000
hr処理を施し、色差を測定した。) (7)MFR試験[g/10min](JIS K67
58、230℃×2.16Kg) (8)成形性試験(エンプラ産業製20mmφ単軸押出
機を用いてL/D=20のスクリュ、25×0.5mm
のテ−プダイを用い、C/R=3.0、温度条件C1:
190℃、C2:200℃、H:210℃、D:220
℃、回転数90rpm.にて25×150mmのテ−プ
を作成し、目視にて表面を観察し、直径100μm以上
のブツを1つ以上観察した場合は×、観察しなかった場
合は○とした)
【0017】 表 1 実 施 例 1 2 3 4 5 6 7 組成(重量部) 成分a 100 100 100 100 100 100 100 成分b(1) 100 200 95 195 100 100 100 成分b(2) 成分c(1) 3 3 3 6 3 3 成分c(2) 3 成分d 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 成分e−1 10 10 10 10 10 5 20 成分f 100 200 190 280 100 100 100 特性 硬度 81 88 78 89 84 79 81 TS(MPa) 20 19 15 14 20 19 20 Eb(%) 630 600 630 510 610 620 590 CS(%) 37 39 29 44 33 33 39 低温耐衝撃性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 耐油性(%) 15 8 16 8 15 12 13 耐光変色性 8 6 7 8 8 8 9 MFR(g/10min) 1.0 3.0 1.1 3.1 1.2 1.1 1.0 成形品評価 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
【0018】 表 2 実 施 例 8 9 10 11 12 13 組成(重量部) 成分a 100 100 100 100 100 100 成分b(1) 100 100 100 成分b(2) 100 100 100 成分c(1) 3 3 3 3 成分c(2) 3 3 成分d 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 成分e−2 10 10 5 10 10 5 成分f 100 100 100 100 100 100 特性 硬度 83 84 84 83 83 84 TS(MPa) 18 18 18 17 18 18 Eb(%) 570 570 590 540 580 600 CS(%) 35 34 32 31 33 35 低温耐衝撃性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 耐油性(%) 10 9 12 11 10 12 耐光変色性 9 10 10 10 9 10 MFR(g/10min) 1.1 1.2 1.1 1.0 1.2 1.1 成形品評価 ○ ○ ○ ○ ○ ○
【0019】
【0020】
【0021】
【発明の効果】本発明の製造方法によって得られる熱可
塑性エラストマー組成物は柔軟性、耐熱クリ−プ性能、
低温耐衝撃性、機械的強度、更に流れ特性、成形性に優
れ、広い温度範囲にわたって優れたゴム弾性を示し、更
に耐油性が良好、調色が自由なため、耐油性、ゴム弾
性、機械強度及び成形速度、成形歩留まり、調色自由度
等の改善が望まれている自動車部品、家電部品、各種電
線被覆(絶縁、シ−ス)及び各種工業部品に好適に成形
し用いることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)エチレン−α・オレフィン−非共役
    ジエン共重合体ゴム (b)メルトフローレートの値が10g/10min以
    下のポリオレフィン樹脂 (c)分子内にSiH基を2つ以上持つ有機オルガノシ
    ロキサン系架橋剤 (d)ハイドロシリル化触媒 (e)メルトフローレートの値が(b)成分の値より
    1.5倍以上であるポリプロピレン樹脂 上記の(a)〜(e)を溶融混練して動的に加硫するこ
    とを特徴とする熱可塑性エラストマーの製造方法。
  2. 【請求項2】 エチレン−α・オレフィン−非共役ジエ
    ン共重合ゴム(a)100重量部に対し、ポリオレフィ
    ン系樹脂(b)5〜300重量部、分子内にSiH基を
    2つ以上持つ有機オルガノシロキサン系架橋剤(c)
    0.5〜30重量部、ハイドロシロキサン化触媒(d)
    0.001〜5重量部、更にポリプロピレン樹脂(e)
    をゴム成分(a)+樹脂成分(b)の合計100重量部
    に対して、0.5重量部〜20重量部添加してなる請求
    項1記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン系樹脂(b)が結晶性ポ
    リオレフィン樹脂である請求項1又は2記載の熱可塑性
    エラストマーの製造方法。
  4. 【請求項4】 エチレン−α・オレフィン−非共役ジエ
    ン共重合体ゴム(a)100重量部当たり30〜300
    重量部のパラフィン系オイル(f)を含む請求項1、2
    又は3記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
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