JPH07330981A - 防汚性樹脂組成物及び肉薄成形体 - Google Patents

防汚性樹脂組成物及び肉薄成形体

Info

Publication number
JPH07330981A
JPH07330981A JP12385194A JP12385194A JPH07330981A JP H07330981 A JPH07330981 A JP H07330981A JP 12385194 A JP12385194 A JP 12385194A JP 12385194 A JP12385194 A JP 12385194A JP H07330981 A JPH07330981 A JP H07330981A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ethylene
weight
radical
copolymer
polymerizable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12385194A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Nagaoka
孝司 長岡
Akiyuki Fujii
昭幸 藤井
Hirotaka Takoshi
宏孝 田越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP12385194A priority Critical patent/JPH07330981A/ja
Publication of JPH07330981A publication Critical patent/JPH07330981A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた防汚性を有し、柔軟性や高周波シール
性等にも優れた樹脂組成物及び該組成物を用いた肉薄成
形体を提供する。 【構成】 (A)エチレンとラジカル重合性酸無水物及
びこれ以外のラジカル重合性コモノマーからなる多元共
重合体であって、該多元共重合体中のラジカル重合性酸
無水物に由来する単位の割合が0.1〜5重量%で、こ
れ以外のラジカル重合性コモノマーに由来する単位の割
合が3〜50重量%であるエチレン系共重合体100重
量部及び、(B)25℃で3000cps以下の粘度を
有し、沸点170℃以上であるカルボン酸エステル化合
物から選ばれる少なくとも1種の化合物0.1〜10重
量部を含むことを特徴とする防汚性樹脂組成物及び該組
成物を用いた肉薄成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は汚れ性が改善された、柔
軟で高周波シール加工の容易なシート用材料、及び該材
料を用いた肉薄成形物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題への関心の高まりから、
特に従来軟質塩化ビニルが使用されていた透明性、柔軟
性、高周波シール加工性等が求められるシート分野で
は、塩素を含まないポリオレフィン系の材料に軟質塩化
ビニルを代替しようとする動きが高まってきている。そ
のような動きの中で、エチレン−酢酸ビニル共重合体
(EVA)やエチレン−アルキル(メタ)アクリレート
共重合体等が代替材料として検討されている。しかしな
がら、EVAは溶融成形の際、脱酢酸を起こす問題で代
替材料としての期待は小さい。エチレン−アルキル(メ
タ)アクリレート共重合体は、透明性、強度等の点では
改善することができるが、高周波シール加工性が軟質塩
化ビニルに比べて著しく劣るという問題点がある。
【0003】それに対して、酸無水物モノマーを構成単
位として含有するエチレン系軟質共重合体(以下、酸無
水物含有エチレン系共重合体と略称する)は、透明性、
柔軟性に優れる上、他のエチレン系軟質材料に比べて高
周波シール加工が極めて容易であるという特徴を有して
いる。このような特徴から、酸無水物モノマーを構成単
位として含有するエチレン系軟質共重合体は、従来用い
られてきた接着性材料としての用途の他に、軟質塩化ビ
ニルに変わる柔軟性シート用材料としても期待されてき
ている。 しかし、酸無水物含有エチレン共重合体は、
そのままでは、手の脂や垢が付着しやすく、実際に該樹
脂を用いて加工した製品を長期間使用していると汚れが
目立つという問題があり、特に軟質塩化ビニル代替のシ
ート用途では大きな問題として指摘されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来技術における種々の問題点を解決し、使用にあたっ
て手の脂や手垢等の汚れが付着しにくい軟質塩化ビニル
樹脂代替シートおよび該材料を用いた肉薄成形体を提供
することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の組成を有す
るエチレン系共重合体に特定の構造を有する化合物を添
加した樹脂組成物が、汚れが付着しにくいことを見いだ
した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものであ
る。
【0006】即ち、本発明の課題は、(A)エチレンと
ラジカル重合性酸無水物及びこれ以外のラジカル重合性
コモノマーからなる多元共重合体であって、該多元共重
合体中のラジカル重合性酸無水物に由来する単位の割合
が0.1〜5重量%で、これ以外のラジカル重合性コモ
ノマーに由来する単位の割合が3〜50重量%であるエ
チレン系共重合体100重量部及び、(B)25℃で3
000cps以下の粘度を有し、沸点が170℃以上で
あるカルボン酸エステル化合物0.1〜10重量部を含
むことを特徴とする防汚性樹脂組成物及び該組成物を用
いた肉薄成形体によって解決することができる。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
樹脂組成物の(A)成分を構成するエチレン系共重合体
は、エチレン、ラジカル重合性酸無水物及びそれ以外の
ラジカル重合性コモノマーからなる多元共重合体であ
る。
【0008】ここで、ラジカル重合性酸無水物とは、分
子中にラジカル重合可能な不飽和結合と酸無水物基を各
々1個以上有し、重合によって酸無水物基を分子中に導
入できるような化合物を意味する。酸無水物基は環状の
ものが好ましい。このような化合物としては、例えば、
無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、
無水エンディック酸、ドデセニル無水コハク酸,1−ブ
テン−3,4−ジカルボン酸無水物,炭素数が多くとも
18である末端に二重結合を有するアルカジエニル無水
コハク酸等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2
種類以上を組み合わせて用いても差し支えない。これら
のなかでは、無水マレイン酸、無水イタコン酸が特に好
ましい。
【0009】(A)成分中のラジカル重合性酸無水物に
由来する単位の割合は、0.1〜5重量%の範囲であ
り、好ましくは0.5〜4.5重量%の範囲、更に好ま
しくは1.0〜4.0重量%の範囲である。ここで、ラ
ジカル重合性酸無水物の割合が0.1重量%未満では、
高周波シール性能が不足して良好な接着強度が得られな
い。また、5重量%を超えると、経済性や成形性の低下
を招いて商業的生産が困難となり、実用上意味がない。
【0010】ラジカル重合性酸無水物以外のラジカル重
合性コモノマーとしては、様々な化合物があり、例え
ば、エチレン系不飽和エステル化合物、エチレン系不飽
和アミド化合物、エチレン系不飽和酸化合物、エチレン
系不飽和エーテル化合物、エチレン系不飽和炭化水素化
合物、その他の化合物等をあげられる。
【0011】これらを具体的に記すと、エチレン系不飽
和エステル化合物としては、例えば、酢酸ビニル、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチ
ル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸
オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アク
リル酸ベンジル、フマル酸メチル、フマル酸エチル、フ
マル酸プロピル、フマル酸ブチル、フマル酸ジメチル、
フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチ
ル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、マレイン
酸メチル、マレイン酸エチル、マレイン酸プロピル、マ
レイン酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエ
チル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル等が
挙げられる。
【0012】エチレン系不飽和アミド化合物としては、
例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)
アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、
N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メ
タ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルア
ミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−
ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル
(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。エチレン系不
飽和酸化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸、マ
レイン酸、フマル酸等が挙げられる。
【0013】エチレン系不飽和エーテル化合物として
は、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエー
テル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテ
ル、オクタデシルビニルエーテル、フェニルビニルエー
テル等が挙げられる。
【0014】エチレン系不飽和炭化水素化合物として
は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ノルボル
ネン、ブタジエン等が挙げられる。
【0015】その他の化合物としては、例えば、(メ
タ)アクリロニトリル、アクロレイン、クロトンアルデ
ヒド、トリメトキシビニルシラン、塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、N−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
【0016】これらの中では、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブ
チルが、特に好ましい化合物として挙げられる。そし
て、これらのモノマーは、単独で、あるいは2種類以上
を併用しても差し支えない。
【0017】(A)成分中のラジカル重合性コモノマー
に由来する単位の割合は、3〜50重量%の範囲であ
り、好ましくは5〜40重量%の範囲である。特に軟質
塩化ビニルの代替材料として透明性や高周波シール加工
性が要求される用途に対しては、10〜35重量%の範
囲であることが好ましい。ここで、ラジカル重合性コモ
ノマーの割合が3重量%未満では、エチレン系多元共重
合体の結晶融点が充分に低くならず、低温接着性を充分
に発揮することができない。また、50重量%を超える
と、樹脂の取扱いが困難になるとともに、製品の耐熱性
が低下する。
【0018】本発明に関わるエチレン系共重合体の製造
にあたっては、基本的には通常の低密度ポリエチレンの
製造設備及び技術を利用することができる。一般的には
塊状重合であり、700〜3000気圧の圧力下で10
0〜300℃の温度範囲でラジカル重合で製造される。
好ましい重合圧力、重合温度の範囲としては1000〜
2500気圧、反応器内の平均温度が150〜270℃
とすることができる。700気圧以下では重合体の分子
量が低くなり、成形性、組成物の樹脂物性が悪化する。
3000気圧以上の圧力は実質的に無意味であり、製造
コストを高めるだけである。平均重合温度が100℃以
下では重合反応が安定せず、共重合体への転化率が低下
し、経済的に問題がある。300℃を越えると共重合体
の分子量が低下すると同時に暴走反応の危険性が生じ
る。
【0019】製造する装置としてはベッセル型の反応器
を使用する事が望ましい。特にラジカル重合性酸無水物
は重合安定性が乏しいため、高度の反応器内の均一化が
必要である。また必要に応じて複数個の反応器を直列ま
たは並列に接続し多段重合を行う事も可能である。さら
に反応器の内部を複数のゾーンに仕切る事により、より
緻密な温度制御を行う事も可能である。本発明で用いる
エチレン系共重合体の製造は、上記の反応条件にて少な
くとも1種のフリーラジカル開始剤の存在下で行われ
る。該フリーラジカル開始剤としては、一般に知られて
いるジアシルパーオキシド類、パーオキシカーボネート
類、パーオキシエステル類、ケトンパーオキシド類、パ
ーオキシケタール類等の他アゾ化合物類等が用いられ
る。また重合にあたって、分子量調節剤として種々の連
鎖移動剤を使用する事が可能である。
【0020】次に、本発明で用いられる(B)成分は2
5℃で3000cps以下の粘度を有し、沸点が170
℃以上であるカルボン酸エステル化合物であることが必
要である。その粘度は、5〜2500cpsが好まし
く、10〜2000cpsが更に好ましい。3000c
psを越えると表面へ遍在しにくくなり防汚効果が発現
しにくくなるので好ましくない。また、沸点は、200
℃以上が好ましく、230℃以上が更に好ましい。沸点
が170℃未満であると成分(A)中に溶融混練する温
度以下になり揮発して樹脂中に分散しにくくなる上、揮
発した成分(B)の引火の危険性が高くなるため好まし
くない。
【0021】また、本発明で用いられる(B)成分を構
成するカルボン酸エステル化合物の具体例を示せば、フ
タル酸ジエステル;フタル酸ジメチル,フタル酸ジエチ
ル,フタル酸ジブチル,フタル酸ジヘプチル,フタル酸
ジ−2−エチルヘキシル,フタル酸ジイソノニル,フタ
ル酸ジイソデシル,フタル酸ブチルベンジル等、脂肪酸
エステル;オレイン酸ブチル,オレイン酸エチル,オレ
イン酸テトラヒドロフルフリル,アセチルリシノール酸
メチル,アビエチン酸メチル,ステアリン酸ブチル,五
塩化ステアリン酸メチル等、グリコールエステル;ジエ
チレングリコールベンゾエート,トリエチレングリコー
ル−2−エチルブチラート,ペンタエリスリトールヘキ
サエステル等、脂肪族二塩基酸エステル;アジピン酸ジ
ブチル,アジピン酸ジ−n−ヘキシル,アジピン酸ジ−
2−エチルヘキシル,アゼライン酸ジ−2−エチルヘキ
シル,セバシン酸ジブチル,セバシン酸ジ−2−エチル
ヘキシル,ヒドロフタル酸ジ−n−オクチル,ヒドロフ
タル酸−2−エチルヘキシル,ヒドロフタル酸イソデシ
ル等、マレイン酸ジブチル,マレイン酸ジ−n−ヘキシ
ル,マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル,フマル酸ジブ
チル等、トリメリット酸エステル;トリメリット酸トリ
スブチル,トリメリット酸トリス−2−エチルヘキシ
ル、エポキシ系可塑剤;エポキシ化大豆油,エポキシス
テアリン酸ブチル,エポキシステアリン酸オクチル,エ
ポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル等、オキシ酸エ
ステル;アセチルリシノール酸メチル,アセチルリシノ
ール酸ブチル,ブチルフタリルブチルグリコレート,ア
セチルクエン酸トリエチル,アセチルクエン酸トリブチ
ル等、ポリエステル樹脂;アジピン酸,アゼライン酸,
セバシン酸,フタル酸等の二塩基酸とグリコール,グリ
セリン類及び一塩基酸等との重合体、が挙げられる。こ
れらの中フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸
ジ−2−エチルヘキシル、ポリエステル樹脂が好まし
い。
【0022】本発明で用いられる、(B)成分の使用量
はエチレン系共重合体100重量部に対して0.1〜1
0重量部の範囲、好ましくは0.5重量部〜5重量部の
範囲である。0.1重量部より少ない場合には、防汚性
が発現されなくなる。逆に10重量部を越えて使用して
も、防汚効果の向上はそれ以上は望めず、成形性を低下
させる上、製品の表面にブリードによる問題を起こすこ
とになるため、好ましくない。
【0023】本発明の防汚性樹脂組成物は、上述のよう
に(A)成分であるエチレン系共重合体及び(B)成分
であるカルボン酸エステルを配合することによって得ら
れるが、使用する目的に応じてポリオレフィン系樹脂や
有機カルボン酸の金属塩等を配合することも可能であ
る。
【0024】用いられるポリオレフィン系樹脂として
は、(A)成分であるエチレン系共重合体を除いて、様
々なポリオレフィン系重合体を用いることができる。例
えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリイソプレン、ポリブテン、ポリ−3−
メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポ
リブタジエン、及び上記各樹脂の構成単位又はこれら以
外のオレフィンの共重合体、例えばエチレン−プロピレ
ン共重合体;ブテン,ヘキセン,オクテン,4−メチル
ペンテン等をコモノマーとした直鎖状低密度ポリエチレ
ン;プロピレン−エチレンのブロック共重合体;エチレ
ン以外のコモノマーの含有割合が10重量%以下のエチ
レン−酢酸ビニル又はアルキル(メタ)アクリレート共
重合体;更に、これらの樹脂の混合物等を挙げることが
できる。この中で、特に好ましいポリオレフィン系樹脂
としては、低密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン等
が挙げられる。
【0025】また、本発明の防汚性樹脂組成物に配合し
得る有機カルボン酸の金属塩としては、具体的には例え
ば、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等の低級カルボン
酸の金属塩;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カ
ルシウム等の高級カルボン酸の金属塩;一般にアイオノ
マーと呼称される高分子カルボン酸の金属塩等を挙げる
ことができる。この中で、特に好ましいカルボン酸の金
属塩としては、アイオノマー等が挙げられる。
【0026】また、本発明の防汚性樹脂組成物はその特
徴を損なわない範囲で、各種の添加剤、配合剤、充填剤
等を配合することができる。具体的には例えば、酸化防
止剤(耐熱安定剤)、紫外線吸収剤(光安定剤)、防曇
剤、難燃剤、滑剤(スリップ剤、アンチブロッキング
剤)、ガラスフィラー等の無機充填剤、有機充填剤、補
強材、着色剤(染料、顔料)、発泡剤、架橋剤、香料等
が挙げられる。これらの添加剤等は、本発明の樹脂組成
物を製造する際に添加してもよいし、(A)成分或いは
(B)成分に初めから配合されていてもよい。
【0027】本発明の防汚性樹脂組成物は、前記の
(A)成分及び(B)成分を各配合比率に従って混合す
ることによって調製される。各成分の混合にあたって
は、通常知られている種々の混合方法を用いることがで
きる。具体的には例えば、各成分を高温のトルエンのよ
うな溶媒に溶解、再沈させる方法、各成分を溶融状態で
混合する方法、すなわち一般的に用いられている加圧ニ
ーダー、ロール、バンバリーミキサー、スタティックミ
キサー、スクリュー式押出機等を用いる方法等が挙げら
れる。また、場合によっては、各成分をドライブレンド
し成形時に組成物化することも可能である。
【0028】上記のような防汚性樹脂組成物を用いるこ
とによって、防汚性に優れたシートもしくはフィルム等
の肉薄成形体を製造することができる。本発明の肉薄成
形体は、従来から知られている方法で成形することによ
って得ることができる。そのような成形方法としては例
えば、(共)押出成形法,インフレーション成形法,射
出成形法,熱プレス成形法,カレンダー成形法等を挙げ
ることができる。成形する際の温度は、通常のエチレン
系共重合体を成形する温度条件、すなわち100〜20
0℃の範囲とすることができる。本発明の肉薄成形体の
厚みは、製品の使用目的に応じて自由に選択できるが、
一般的にはフィルムでは0.005〜0.15mm、シ
ートでは0.15〜2mmの範囲で選択される。
【0029】また、本発明の肉薄成形体、特にシートの
場合は、その表面は成形時叉は成形後にマットロール加
工,エンボス加工等を施すことにより、表面を粗面化し
たり立体的な模様を付したりすることができる。
【0030】さらに本発明の肉薄成形体は、必要に応じ
て種々の基材と積層することができる。ここで基材の種
類、状態、形状等については、特に制限を受けるもので
はないが、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポ
リスチレン,ポリエステル,ポリカーボネート,ナイロ
ン,エチレン−ビニルアルコール共重合体,ポリ塩化ビ
ニリデン等の熱可塑性樹脂のシート叉はフィルム、フェ
ノール樹脂,メラミン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂等
の熱硬化性樹脂のシート叉はフィルム、鉄,アルミニウ
ム等の金属板叉は金属箔、ケント紙,コート紙,和紙等
の紙、発泡ポリスチレン,発泡ポリプロピレン,発泡ポ
リエチレン,発泡ポリウレタン等の発泡シート、レジン
ボード,レジンフェルト,ガラス入りフェノール樹脂
板,ガラス強化ポリプロピレン板,ポリプロピレンハニ
カム,石膏ボード等の板材、プラスチック製ダンボー
ル,紙製ダンボール等のダンボール類、木製合板等の木
材、ポリアクリロニトリル,ポリプロピレン,ポリエチ
レン,ポリエステル,ナイロン等の熱可塑性樹脂を用い
た織布,不織布或いはクロス、木綿不織布等を挙げるこ
とができる。
【0031】積層方法についても特に制限を受けること
無く、従来から知られている方法を適用することができ
る。そのような積層方法としては、例えば、共押出成形
法,押出ラミネート法,熱ロール法の他、溶剤系接着
剤,反応性接着剤,ホットメルト接着剤或いは熱接着樹
脂等を用いた熱プレス接着法,熱ロール接着法,真空成
形接着法等を挙げることができる。
【0032】
【実施例】更に、本発明を実施例及び比較例によって、
具体的に説明する。無論本発明はこれらの例に制限され
ることなく、種々の態様をとり得る。
【0033】(実施例1)エチレン系共重合体として、
エチレン−メチルアクリレート−無水マレイン酸3元共
重合体を使用した。共重合体は、高圧法低密度ポリエチ
レンプラント設備を使用し、重合温度240℃、重合圧
力1900Kg/cm2 の条件で製造した。この共重合
体のMFR(JIS−K7210、190℃、荷重2.
16Kg、以下MFRは、すべてこの条件で測定し
た。)は、10g/10分、メチルアクリレートに由来
する単位の含量は、16重量%、無水マレイン酸に由来
する単位の含有量は2.5重量%であった。なお、エチ
レン以外の組成は赤外吸収スペクトルにより決定した。
該エチレン系共重合体にカルボン酸エステルとして表1
に示すようにジ(2−エチルヘキシルフタレート)を
1.0重量部ドライブレンドした後、50mmφ押出機
で170℃で溶融混練し樹脂組成物のペレットを得た。
次に該樹脂組成物を90mmφの押出機を有するTダイ
成形機(ダイ幅=1350mm、ダイリップ幅=2m
m)で、成形温度150℃で200μmの厚みのシート
を成形した。成形したシートについて防汚性を評価し
た。評価はカーボンブラック:グリース=2:10のペ
ーストを塗布し布で拭き取った後の汚れの付いている程
度を5段階(1〜5、1が良、5が悪)で評価した。評
価結果を表2に示す。この結果から、後述のカルボン酸
エステルを添加していないものに比べ防汚性が良好であ
った。
【0034】(実施例2〜6)エチレン系共重合体とし
て、表1に示す配合量からなるエチレン−メチルアクリ
レート−無水マレイン酸3元共重合体を用い、表1に示
すカルボン酸エステルを使用し、実施例1と同様の方法
でシート成形をし評価した。結果を表2に示す。実施例
1と同様に良好な結果が得られた。
【0035】(実施例7)エチレン系共重合体としてメ
チルメタアクリレートの含有量が15重量%、無水マレ
イン酸の含有量が2.5重量%、MFR(190℃)=
15g/10分、のエチレン−メチルメタアクリレート
−無水マレイン酸を用い、表1に示すカルボン酸エステ
ルを使用し実施例1と同様の方法でシートを成形し評価
した。結果を表2に示す。実施例1と同様に良好な結果
が得られた。
【0036】(実施例8)エチレン系共重合体としてブ
チルアクリレート含量が18重量%、MAh含量が1.
3重量%、MFR(190℃)=7.0のエチレン−ブ
チルアクリレート−無水マレイン酸共重合体を用い、表
1に示すカルボン酸エステルを使用し、実施例と同様の
方法でシート評価した。結果を表2に示す。実施例1と
同様に良好な結果が得られた。
【0037】(実施例9)エチレン系共重合体として、
メチルアクリレート含量が18重量%、無水イタコン酸
含量が1.5重量%、MFR(190℃)=8.0のエ
チレン−メチルアクリレート−無水イタコン酸共重合体
を用い、表1に示すカルボン酸エステルを使用し、実施
例1と同様の方法でシート成形し評価した。結果を表2
に示す。実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0038】(比較例1)表1に示すカルボン酸エステ
ルを使用し、実施例1と同じエチレン系共重合体を使用
し、実施例と同様の方法でシートを評価した。結果を表
2に示す。表2から明らかなように、カルボン酸エステ
ルの添加量が0.1重量部未満では、良好な防汚性が得
られない。
【0039】(比較例2)表1に示すカルボン酸エステ
ルを使用し、実施例1と同じエチレン系共重合体を使用
し、実施例と同様の方法でシートを評価した。結果を表
2に示す。表2から明らかなように、良好な防汚性を発
現するものの添加量が10重量部を超えているためシー
ト表面に添加剤がブリードアウトし、ベタつきが認めら
れた。
【0040】(比較例3)エチレン系共重合体のかわり
にメチルアクリレートの含有量が18重量%、MFR
(190℃)=5g/10分のエチレン−メチルメタア
クリレートを用い、表1に示すカルボン酸エステルを使
用し実施例1と同様の方法でシート評価した。結果を表
2に示す。表2から明らかなように、良好な防汚性が得
られるが、ラジカル重合性酸無水物を含有していない場
合は、高周波シール性が不十分であった。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明の組成物及び肉薄
成形体は、エチレン系共重合体が従来獲得していた透明
性、柔軟性、高周波シール性等を損なうことなく防汚性
を有する。従って、例えば、手帳用カバー、小物入れ、
デスクマット、テーブルカバー、自動車,車両,船舶等
の内装用表皮材料、椅子,ソファ等の表皮材料等用シー
トとして好適に用いられる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)エチレンとラジカル重合性酸無水
    物及びこれ以外のラジカル重合性コモノマーからなる多
    元共重合体であって、該多元共重合体中のラジカル重合
    性酸無水物に由来する単位の割合が0.1〜5重量%
    で、これ以外のラジカル重合性コモノマーに由来する単
    位の割合が3〜50重量%であるエチレン系共重合体1
    00重量部及び、(B)25℃で3000cps以下の
    粘度を有し、かつ沸点が170℃以上であるカルボン酸
    エステル化合物0.1〜10重量部を含むことを特徴と
    する防汚性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 成分(B)が芳香族カルボン酸エステル
    化合物であることを特徴とする請求項1記載の防汚性樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 成分(B)がポリエステル樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の防汚性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか一つに記載
    の防汚性樹脂組成物を用いた肉薄成形体。
JP12385194A 1994-06-06 1994-06-06 防汚性樹脂組成物及び肉薄成形体 Pending JPH07330981A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12385194A JPH07330981A (ja) 1994-06-06 1994-06-06 防汚性樹脂組成物及び肉薄成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12385194A JPH07330981A (ja) 1994-06-06 1994-06-06 防汚性樹脂組成物及び肉薄成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07330981A true JPH07330981A (ja) 1995-12-19

Family

ID=14870974

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12385194A Pending JPH07330981A (ja) 1994-06-06 1994-06-06 防汚性樹脂組成物及び肉薄成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07330981A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0613487B1 (en) Thermoplastic polymer alloy composition
JPS59135142A (ja) セルロ−ス質充填剤を充填したエチレン共重合体から製造した木材類似製品
NO834818L (no) Laerlignende gjenstander fremstilt fra ethyleninterpolymerer fylt med cellulosefyllstoff
JPS6225141A (ja) 充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物
JPS63500179A (ja) エチレンと無水マレイン酸との共重合体を含む熱可塑性組成物
JP3264379B2 (ja) 自動車内装用材料
US5296554A (en) Adhesive resin composition
WO1998045367A1 (en) Blends of and methods of blending evoh polymers and ethylene based polymers having improved environmental stress cracking or environmental fatigue resistance, and products therefrom
JPH07330981A (ja) 防汚性樹脂組成物及び肉薄成形体
JP3404114B2 (ja) 帯電防止性樹脂組成物及び肉薄成形体
KR100422733B1 (ko) 자동차 내장표피재용 폴리프로필렌계 수지 조성물
EP0483736A2 (en) Resin composition
JP3380580B2 (ja) 積層体
JP2572345B2 (ja) 塩化ビニル樹脂系端材を用いた再生樹脂組成物
KR20190125016A (ko) 복합 가소제 조성물 및 이를 이용한 고분자 수지 조성물
JPH06182922A (ja) 積層体
JP3086327B2 (ja) 積層体及びその製造方法
JP3128171B2 (ja) 自動車ドア内装材用積層体及びその製造方法
JPS6131445A (ja) 樹脂組成物
JP3296613B2 (ja) 樹脂組成物
JP3207557B2 (ja) 積層体
JP3243297B2 (ja) エチレン系共重合体組成物及び肉薄成形物
CA3229234A1 (en) Dynamically crosslinkable polymeric compositions, articles, and methods thereof
JPH08217925A (ja) 感熱接着フィルム及び該接着フィルムを用いる多層積層体
KR20220102392A (ko) 친환경 가소제 조성물, 및 이를 포함하는 염화비닐 수지 조성물