JPH07330806A - 中性多糖体及びその用途 - Google Patents

中性多糖体及びその用途

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JPH07330806A
JPH07330806A JP6148771A JP14877194A JPH07330806A JP H07330806 A JPH07330806 A JP H07330806A JP 6148771 A JP6148771 A JP 6148771A JP 14877194 A JP14877194 A JP 14877194A JP H07330806 A JPH07330806 A JP H07330806A
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JP
Japan
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residues
glucopyranoside
neutral polysaccharide
cell wall
water
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Application number
JP6148771A
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English (en)
Inventor
Tomohiro Toida
知宏 樋田
Yukiko Shimokawa
由紀子 下川
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ビフィドバクテリウム属に属する微生物の細
胞壁から単離される顆粒球誘導作用を有する新規な中性
多糖体及び該中性多糖体を有効成分とする顆粒球誘導剤
を提供する。 【構成】 ビフィドバクテリウム属に属する微生物の細
胞壁及び/又は細胞壁破砕物から単離され、β−ガラク
トピラノシドとα−ガラクトフラノシドから成る1−3
ガラクタンを主鎖とし、β−ガラクトピラノシド5残基
につき4残基の割合、及びα−ガラクトフラノシド3残
基につき1残基の割合でβ−グルコピラノシドが1−6
結合した側鎖を有し、平均分子量9,400ダルトン等
の理化学的性質を有する中性多糖体、及び該中性多糖体
を有効成分として含有する顆粒球誘導剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、顆粒球誘導効果を有す
る新規な中性多糖体及び該中性多糖体を有効成分とする
顆粒球誘導剤に関する。更に詳しくは、本発明は、ビフ
ィドバクテリウム(Bifidobacterium) 属に属する微生物
(以下ビフィズス菌と記載することがある)の細胞壁か
ら単離され、顆粒球誘導作用を有する新規な中性多糖体
及び該中性多糖体を有効成分とする顆粒球誘導剤に関す
る。本明細書において、百分率は、特に断りのない限
り、重量による値である。
【0002】
【従来の技術】グラム陽性細菌の細胞壁を構成する多糖
としては、テイコ酸 (teichoic acid)、テイクロン酸(t
eichuronic acid)、莢膜多糖(capsular polysaccharid
e) 等が知られている(今堀和友・山川民夫監修、「生
化学辞典」、第2版、第865ページ、1990年)。
ビフィドバクテリウム属に属する微生物の細胞壁を構成
する多糖においても、従来、テイコ酸様ポリマーの構造
[ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリ
ー(European Journal of Biochemistry),第165巻,
第647〜652ページ,1987年及びジャーナル・
オブ・バクテリオロジー(Journal of Bacteriology) ,
第172巻,第845〜852ページ,1990年]、
中性多糖の構造[ジャーナル・オブ・バイオケミストリ
ー(Journal of Biochemistry) ,第102巻,第142
3〜1432ページ,1987年及びジャーナル・オブ
・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry) ,第
103巻,第618〜621ページ,1988年]が報
告されているが、ガラクトフラノシドを構成成分とする
中性多糖類に関する報告は皆無である。
【0003】ガラクトフラノシドは、真菌由来の糖鎖中
に存在することは知られているが[グリココンジュゲー
ト・ジャーナル(Glycoconjugate Journal),第9巻、第
229〜234ページ,1992年]、ガラクトースポ
リマーとしては存在せず、グラム陽性菌の中性多糖類に
おける存在も知られていない。
【0004】一方、ビフィズス菌は、ヒト腸内常在菌で
あり、腸内菌叢におけるビフィズス菌の割合を適度に保
持することがヒトの健康にとって重要であることが知ら
れている(本間道・光岡知足共編、「ビフィズス菌」、
第110〜143ページ、1978年)。更に、ビフィ
ズス菌の細胞壁そのもの及び細胞壁破砕物が、制がん作
用を有することは既に知られているが[特公昭56−4
2271号公報、特公昭62−36006号公報(これ
らの公報のものは、本発明者らの発明に係るものであ
る)及びキャンサー・リサーチ(Cancer Research) ,第
45巻、第1300〜1307ページ,1985年]、
その他の生理作用については知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、このよ
うな状況の中で、ビフィズス菌の細胞壁破砕物の中に存
在する生理活性作用を有する物質について鋭意研究を行
った結果、ビフィズス菌の表層物質が生理活性に重要な
役割を果たしていることを発見し、更に、ビフィズス菌
の細胞壁破砕物の中に存在する特定の理化学的性状を有
する中性多糖体が、顆粒球誘導作用を呈することを見い
出し、本発明を完成した。
【0006】本発明の目的は、ビフィズス菌の細胞壁及
び/又は細胞壁破砕物から単離された顆粒球誘導作用を
有する中性多糖体を提供することである。
【0007】本発明の他の目的は、ビフィズス菌の細胞
壁及び/又は細胞壁破砕物から単離された中性多糖体を
有効成分とする顆粒球誘導剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の第1の発明は、次の化3に示される主鎖からなり、
【0009】
【化3】
【0010】(ただし、化3においてnは13〜27)
該主鎖を構成するα−ガラクトフラノシド3残基に対し
て1残基の割合で1−6結合したβ−グルコピラノシド
側鎖及び該主鎖を構成するβ−ガラクトピラノシド5残
基に対して4残基の割合で1−6結合したβ−グルコピ
ラノシド側鎖を有することを特徴とする中性多糖体に係
るものであり、また、中性多糖体が、ビフィドバクテリ
ウム属に属する微生物の細胞壁及び/又は細胞壁破砕物
から単離され、ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定
した平均分子量が、9,400ダルトンであること、比
旋光度が、+2.7(c0.4、水)であること、核磁
気共鳴スペクトルにおけるアノメリックプロトンのシグ
ナルの化学シフトが4.51〜4.53ppm(β−グ
ルコピラノシド)、5.10ppm(α−ガラクトピラ
ノシド)、5.24ppm(β−ガラクトフラノシド)
であること、室温の水に少なくとも100mg/ml溶
解すること、及びグルコースとガラクトースのモル比が
1:1.8であること、を望ましい態様としてもいる。
【0011】前記課題を解決する本発明の第2の発明
は、次の化4に示される主鎖からなり、
【0012】
【化4】
【0013】(ただし、化4においてnは13〜27)
該主鎖を構成するα−ガラクトフラノシド3残基に対し
て1残基の割合で1−6結合したβ−グルコピラノシド
側鎖及び該主鎖を構成するβ−ガラクトピラノシド5残
基に対して4残基の割合で1−6結合したβ−グルコピ
ラノシド側鎖を有することを特徴とする中性多糖体を有
効成分とする顆粒球誘導剤に係るものであり、また、中
性多糖体が、ビフィドバクテリウム属に属する微生物の
細胞壁及び/又は細胞壁破砕物から単離され、平均分子
量が9,400ダルトン(ゲル濾過クロマトグラフィー
により測定)であること、比旋光度が+2.7(c0.
4、水)であること、核磁気共鳴スペクトルにおけるア
ノメリックプロトンのシグナルの化学シフトが4.51
〜4.53ppm(β−グルコピラノシド)、5.10
ppm(α−ガラクトピラノシド)、5.24ppm
(β−ガラクトフラノシド)であること、室温の水に少
なくとも100mg/ml溶解すること、及びグルコー
スとガラクトースのモル比が1:1.8であること、を
望ましい態様としてもいる。
【0014】次に本発明について更に詳述する。まず、
本発明の中性多糖体の製造例について記載する。本発明
の中性多糖体は、例えば、ビフィズス菌を出発原料とし
て製造されるが、この出発原料となるビフィズス菌は、
ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium) 属に属する微
生物、例えば、ビフィドバクテリウム・インファンティ
ス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム
・ブレーベ(Bifidobacterium breve) 、ビフィドバクテ
リウム・ロンガム(Bifidobacterium lomgum)等、であ
り、これらは、市販されているか又は寄託機関から容易
に入手し得る菌株である。
【0015】該ビフィズス菌から中性多糖体を製造する
には、まず、該ビフィズス菌を、単独又は2種以上を混
合して、公知の方法により培養し、培地から菌体を分離
し、菌体を洗浄し、湿菌体を得る。この場合、この湿菌
体を公知の方法により凍結乾燥することもできる。得ら
れた湿菌体又は凍結乾燥菌体を公知の方法により破砕
し、該破砕物から細胞壁成分を分離する。
【0016】次に、得られた細胞壁成分を、例えば、冷
5%トリクロロ酢酸溶液、冷0.5M水酸化ナトリウム
溶液等の水系溶媒で抽出し、抽出画分を水に対して透析
し、のち透析内液を凍結乾燥する。得られた水溶性画分
を、公知のゲル濾過クロマトグラフィー(例えば、セフ
ァクリルS−400等を使用)により精製し、得られる
低分子画分を凍結乾燥し、中性多糖体を得ることができ
る。本発明の中性多糖類は、ビフィズス菌の細胞壁を構
成する細胞壁成分として、該細胞壁及び/又は細胞壁破
砕物から上記の方法により好適に単離されるが、該方法
に限らず、それと同効のものであれば適宜の方法を使用
することが可能である。
【0017】次に前記のようにして製造された本発明の
中性多糖体の物理化学的性状について記載する。 (1)分子量 分子量は、プルラン(Shodex社製)を標準物質と
して使用したゲル濾過クロマトグラフィーにより、次の
条件により測定した。 カラム:TSK−GEL G3000SWXL(TOS
O社製)を充填した0.8×30cmカラム 溶離液:0.15M塩化ナトリウム 流 速:0.5ml/min 検出器:示差屈折計(エルマー社製) 測定温度:室温 その結果、中性多糖体の分子量は、7,000〜13,
000ダルトンであり、平均分子量は9,400ダルト
ンであった。
【0018】(2)比旋光度 凍結乾燥した中性多糖体40mgを、10mlの精製水
に溶解し、光路長10cmのセル(日本分光社製)を用
いて25℃の温度で測定した。その結果、中性多糖体の
比旋光度は、+2.7°(c0.4、水)であった。
【0019】(3)核磁気共鳴スペクトル 核磁気共鳴スペクトル[ 1H−NMR(500MH
z)]は、中性多糖体30mgを重水600μlに溶解
し、30℃でALPHA−500装置(日本電子社製)
を用いて測定した。その結果は、図1に示すとおりであ
る。図1において、縦軸及び横軸は、それぞれ共鳴シグ
ナルの強度及び化学シフト(δ)である。図1から、本
発明の中性多糖体は、β−ヘキソフラノシド(δ=5.
24ppm)、α−ヘキソピラノシド(δ=5.10p
pm)、β−ヘキソピラノシド(δ=4.53ppm、
4.52ppm)を含むことが判明した。
【0020】(4)構成成分 中性多糖体を2Mトリクロロ酢酸中で105℃、6時間
加水分解し、乾燥窒素ガスを噴射してトリクロロ酢酸を
除去し、得られた単糖類を次の測定条件により高速液体
クロマトグラフィーで分析した。 カラム:IONPAK KS−801(Shodex社
製、0.8×30cm) 溶離液:水 流速:0.5ml/min 検出器:示差屈折計(エルマー社製) 測定温度:70℃ その結果、構成成分は、中性多糖体1mg当たりグルコ
ース0.34mg及びガラクトース0.61mgであ
り、そのモル比は約1:1.8であった。
【0021】(5)構成単糖の結合位置 中性多糖体の構成単糖の結合位置を調べるためにメチル
化分析[ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journ
al of Biochemistry) ,第55巻,第205〜208ペ
ージ,1964年]を行った。メチル化分析は、多糖体
及びオリゴ糖の構造解析に汎用される手法の1つであ
り、多糖体及びオリゴ糖の水酸基をメチル化した後の加
水分解で生ずる部分メチル化単糖の構造から、元の多糖
体及びオリゴ糖に存在したグリコシド結合の位置、分岐
の有無、各構成単糖の環状構造に関する情報が得られ
る。通常は、部分メチル化糖からアルジトールアセテー
ト等の誘導体を合成し、ガスクロマトグラフィーで分析
を行う。
【0022】I.Ciucauらの方法[カーボハイド
レイト・リサーチ(Carbohydrate Research),第131
巻,第209〜217ページ,1984年]により、中
性多糖体をメチル化、加水分解、還元、アセチル化し
て、部分メチル化アルジトールアセテートを合成し、分
析した。分析は、DB−17キャピラリーカラム(J&
W SCIENTIFIC社製。0.32mm×30
m)を用いた昇温ガスクロマトグラフィー(80〜28
0℃、8℃/min)により行った。各ピークの同定
は、市販標準品(Biocarb社製)との保持時間の
比較によって行い、必要に応じてマススペクトルで確認
した。
【0023】この結果は、表1に示すとおりであり、テ
トラメチル誘導体として、2,3,4,6−OMe−グ
ルコースが検出されたことから、中性多糖体は、グルコ
ピラノースを非還元末端とする側鎖を有するものと認め
られた。また、トリメチル誘導体として、2,5,6−
OMe−ガラクトース及び2,4,6−OMe−ガラク
トースが生成したことから、中性多糖体には、3結合ガ
ラクトフラノ−スと3結合ガラクトピラノースが含まれ
ること、ジメチル誘導体として、2,5−OMe−ガラ
クトース及び2,4−OMe−ガラクトースが生成した
ことから、分岐部分の糖残基は、3,6結合ガラクトフ
ラノースと3,6結合ガラクトピラノースであることが
判明した。
【0024】次に中性多糖体の主鎖部分の構造を調べる
ために緩和スミス分解[ジャーナル・オブ・ジ・アメリ
カン・ケミカル・ソサイアティー(Journal of The Amer
icanChemical Society),第74巻,第4970〜49
71ページ,1952年]を行った。その結果、側鎖の
グルコース残基は分解され、ガラクトースのみから成る
主鎖が得られた。この糖鎖について再度メチル化分析を
行った結果、2,5,6−OMe−ガラクトースと2,
4,6−OMe−ガラクトースがモル比1:1の割合で
存在し、他の糖は検出されなかったことから、中性多糖
の主鎖は3結合ガラクトフラノースと3結合ガラクトピ
ラノースから構成されていることが判明した。
【0025】この主鎖の 1H−NMR測定において、α
−ヘキソピラノ−スとβ−ヘキソフラノ−スのアノマー
水素のシグナルが検出されたが、先のメチル化分析の結
果と合わせて、それぞれα−ガラクトピラノースとβ−
ガラクトフラノースのアノマー水素であることが同定さ
れた。
【0026】また、ガラクトフラノースの1位の水素と
ガラクトピラノースの3位の水素、及びガラクトピラノ
ースの1位の水素とガラクトフラノースの3位の水素間
に、近距離に存在する水素間で観察される核オーバーハ
ウザー効果が認められたことから、これらの水素は互い
に立体的に近い位置に存在することが示唆され、β−ガ
ラクトピラノシドとα−ガラクトフラノシドが交互に1
−3結合しているものと同定された。
【0027】以上の結果から、本発明の中性多糖体は、
β−ガラクトピラノシドとα−ガラクトフラノシドが交
互に結合した1−3ガラクタンを主鎖とし、側鎖として
β−グルコピラノシドが1−6結合した構造を有するこ
とが判明した。尚、表1に示した部分メチル化糖のモル
比から、主鎖のガラクトース残基には側鎖が100%結
合しておらず、側鎖が結合している割合はβ−ガラクト
ピラノシド5残基につき4残基、α−ガラクトフラノシ
ド3残基につき1残基であり、次の化5に示す構造を有
することが確認された。尚、化5においてnは13〜2
7である。
【0028】
【表1】
【0029】
【化5】
【0030】(6)溶解性 常法により、中性多糖体の溶解性を測定した結果、室温
の水1ml当たり少なくとも100mg溶解した。本発
明の中性多糖体は、高い水溶性を示すものであり、それ
自体で又は製薬上許容される種々の単体、賦形剤等と混
合し、錠剤、カプセル剤、注射剤等の形態の剤型の医薬
として好適に用いることができる。本発明の中性多糖体
を有効成分とする医薬は、人間及び動物に経口的に、又
は非経口的に投与することができ、非経口的投与は、例
えば、皮下、筋肉、静脈注射、点滴等である。
【0031】本発明の中性多糖体の投与量は、動物か人
間により、また年齢、個人差、症状などに影響される
が、人間を対象とする場合の非経口投与量は、一般に成
人1日当たり、1〜1000mgが適当である。また、
本発明の中性多糖体を他の顆粒球誘導剤と併用すること
もできる。
【0032】次に試験例を示して本発明を詳述する。 試験例 この試験は、本発明の中性多糖体の顆粒球誘導効果を調
べるために行った。 1)試料の調製 実施例1と同一の方法により中性多糖体を調製した。
【0033】2)試験方法 7週齢のC3H/HeN系雄マウス(日本チャールス・
リバー社から入手)15匹を無作為に1群5匹に分け、
生理食塩液に溶解した中性多糖体を1匹当たり1μg又
は10μgの割合で尾静脈に投与し、投与4時間後に尾
静脈から採血し、血球カウンターで末梢血中の白血球数
を測定し、ライト−ギムザ染色により白血球中の顆粒
球、単球、リンパ球の割合を観察した。尚、対照として
生理食塩液のみを投与し、同様に試験を行った。
【0034】3)試験結果 この試験の結果は、表2に示すとおりである。表2から
明らかなように、中性多糖体を投与した群においては、
白血球中の顆粒球の割合が顕著に増加し、中性多糖体が
顆粒球誘導活性を有することが立証された。尚、中性多
糖体及び動物の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の
結果が得られた。
【0035】
【表2】
【0036】次に実施例を示して本発明を更に具体的に
詳述するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。
【実施例】
実施例1 ビフィドバクテリウム・インファンティス・ロイター(B
ifidobacterium infantis Reuter) ATCC15697
(ATCCから入手)を、25lの半合成培地(SE培
地。組成は次に示す)中で撹拌しながらジャーファーメ
ンターで37℃、20時間培養し、冷却後加熱殺菌し
た。 SE培地組成:カゼイン分解物 25 (g/l) 乳糖 25 リン酸2水素1カリウム 5 リン酸1水素2ナトリウム 5 酢酸アンモニウム 1 ピルビン酸ナトリウム 0.1 システイン塩酸塩1水和物 0.04 アラニン 0.01 アスパラギン 0.01 グルタミン 0.01 トリプトファン 0.01 パントテン酸カルシウム 0.0002 ビオチン 0.0001 pH 6.6±0.1 (注:使用した物質はいずれも市販品である)
【0037】菌体懸濁液を4℃で5000g、15分間
高速遠心機により遠心して沈殿させ、得られた菌体を生
理食塩液6lに再懸濁し、同条件で遠心分離を5回反復
して洗浄した。更に、水で十分に洗浄し、分離した菌体
を真空凍結乾燥機により凍結乾燥し、約750gの乾燥
菌体を得た。
【0038】この凍結乾燥菌体10gを1400mlの
生理食塩液に懸濁し、液温を10℃以下に保持しながら
100mlずつ超音波破砕機(オリンパス社製、出力3
00W、周波数20kHz)で30分間処理して菌体を
破壊した。その後、4℃で12,000g、20分間遠
心し、沈殿を回収した。この沈殿をトリプシン(シグマ
社製)0.8g、DNase(シグマ社製)0.05
g、RNase(シグマ社製)0.12gを含む50m
Mトリス塩酸緩衝液(pH7.4)800mlに懸濁
し、37℃で一晩反応させ、酵素を含まない同緩衝液を
用いて上記条件で遠心洗浄し、のちトリプシン(シグマ
社製)0.5g、キモトリプシン(シグマ社製)0.4
gを含む同緩衝液800mlに懸濁し、37℃で一晩酵
素処理を行った。
【0039】次いで同様の遠心操作で懸濁液を0.01
N塩酸に置換し、ペプシン(フナコシ社製)0.5gを
含む0.01N塩酸500mlに懸濁し、37℃で一晩
処理した。遠心洗浄後、沈殿をアクチナーゼE(科研製
薬社製)0.5gを含む50mMトリス塩酸緩衝液(p
H7.4)500mlに再懸濁し、37℃にて一晩反応
させた。アクチナーゼE処理を更に3回反復し、蒸留水
で十分遠心洗浄し、得られた沈殿を真空凍結乾燥機(ラ
ブコンコ社製)で凍結乾燥し、精製細胞壁約7.5gを
得た。
【0040】この精製細胞壁300mgを冷5%トリク
ロロ酢酸溶液50mlに懸濁し、4℃で一晩撹拌し、の
ち25000gで15分間遠心し、得られた上清45m
lを、透析膜(スペクトラム社製、分画分子量350
0)を用いて水に対して透析し、透析内液を凍結乾燥し
た。この可溶性画分を5mlの水に溶解してセファクリ
ルS−400HR(ファルマシア社製。2.5cm×1
20cm)カラムによるゲル濾過クロマトグラフィーに
かけ、2つのピークに分かれて溶出した。このうち低分
子画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥
し、中性多糖体約80mgを得た。
【0041】得られた中性多糖体を、前記試験方法と同
一の方法により理化学的性状を試験した結果、平均分子
量9,400、比旋光度+2.7(c0.4、水)、中
性多糖体1mg当たりグルコース0.34mg及びガラ
クトース0.61mgであり、そのモル比は約1:1.
8、β−ヘキソフラノシド(δ=5.24ppm)、α
−ヘキソピラノシド(δ=5.10ppm)、β−ヘキ
ソピラノシド(δ=4.53ppm、4.52ppm)
を含み、β−ガラクトピラノシドとα−ガラクトフラノ
シドから成る1−3ガラクタンの主鎖のβ−ガラクトピ
ラノシド5残基につき4残基、α−ガラクトフラノシド
3残基につき1残基の割合で側鎖が結合していた。
【0042】実施例2 ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium lon
gum)ATCC15707を2lの半合成培地(実施例1
と同一のSE培地)中で撹拌しながらジャーファーメン
ターで37℃、16時間培養し、冷却後加熱殺菌した。
菌体懸濁液を4℃で5000g、15分間高速遠心機に
より遠心し、沈殿させた菌体を生理食塩液3lに再懸濁
し、同条件で遠心分離を5回反復して洗浄した。更に、
水で十分に洗浄し、得られた菌体を真空凍結乾燥機(ラ
ブコンコ社製)により凍結乾燥し、約40gの乾燥菌体
を得た。
【0043】この凍結乾燥菌体10gを1400mlの
生理食塩液に懸濁し、液温を10℃以下に保持しながら
100mlずつ超音波破砕機(オリンパス社製、出力3
00W、周波数20kHz)で30分間処理し、菌体を
破壊した。その後、4℃で12,000g、20分間遠
心して沈殿を回収した。この沈殿をトリプシン(シグマ
社製)0.8g、DNase(シグマ社製)0.05
g、RNase(シグマ社製)0.12gを含む50m
Mトリス塩酸緩衝液(pH7.4)800mlに懸濁
し、37℃で一晩反応させ、酵素を含まない同緩衝液を
用いて上記条件で遠心洗浄し、のちトリプシン(シグマ
社製)0.5g、キモトリプシン(シグマ社製)0.4
gを含む同緩衝液800mlに懸濁し、37℃で一晩酵
素処理を行った。
【0044】次いで同様の遠心操作により懸濁液を0.
01N塩酸に置換し、ペプシン(フナコシ社製)0.5
gを含む0.01N塩酸500ml中で37℃にて一晩
処理した。遠心洗浄後、沈殿をアクチナーゼE(科研製
薬社製)0.5gを含む50mMトリス塩酸緩衝液(p
H7.4)500mlに再懸濁し、37℃で一晩反応さ
せた。アクチナーゼE処理を更に3回反復し、蒸留水で
十分遠心洗浄した沈殿を真空凍結乾燥機で凍結乾燥し
て、精製細胞壁7gを得た。
【0045】精製細胞壁500mgを冷0.5M水酸化
ナトリウム溶液100mlに懸濁し4℃で一晩撹拌し、
のち10℃で32000g、25分間遠心し、上清95
mlを得た。液温の上昇を防止するために氷水で冷却し
ながら、この上清に20%塩酸7.5mlを徐々に添加
して中和した。中和後の上清を透析膜(スペクトラ社
製、分画分子量3500)を用いて水に対して透析し、
透析内液をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾
燥し、実施例1と同様にセファクリルS−400HRカ
ラムによるゲル濾過クロマトグラフィーを行い、中性多
糖体約150mgを得た。
【0046】得られた中性多糖体を、前記試験方法と同
一の方法により理化学的性状を試験した結果、平均分子
量9,400、比旋光度+2.7(c0.4、水)、中
性多糖体1mg当たりグルコース0.34mg及びガラ
クトース0.61mgであり、そのモル比は約1:1.
8、β−ヘキソフラノシド(δ=5.24ppm)、α
−ヘキソピラノシド(δ=5.10ppm)、β−ヘキ
ソピラノシド(δ=4.53ppm、4.52ppm)
を含み、β−ガラクトピラノシドとα−ガラクトフラノ
シドから成る1−3ガラクタンの主鎖のβ−ガラクトピ
ラノシド5残基につき4残基、α−ガラクトフラノシド
3残基につき1残基の割合で側鎖が結合していた。
【0047】実施例3 ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium b
ifidum) ATCC29521を用いたことを除き、実施
例1と同一の方法により中性多糖体約70mgを得た。
得られた中性多糖体を、前記試験方法と同一の方法によ
り理化学的性状を試験した結果、平均分子量9,40
0、比旋光度+2.7(c0.4、水)、中性多糖体1
mg当たりグルコース0.34mg及びガラクトース
0.61mgであり、そのモル比は約1:1.8、β−
ヘキソフラノシド(δ=5.24ppm)、α−ヘキソ
ピラノシド(δ=5.10ppm)、β−ヘキソピラノ
シド(δ=4.53ppm、4.52ppm)を含み、
β−ガラクトピラノシドとα−ガラクトフラノシドから
成る1−3ガラクタンの主鎖のβ−ガラクトピラノシド
5残基につき4残基、α−ガラクトフラノシド3残基に
つき1残基の割合で側鎖が結合していた。
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、ビフィ
ズス菌の細胞壁から得られる新規な中性多糖体及びその
用途に係るものであり、本発明によって奏せられる効果
は次のとおりである。 1)本発明の中性多糖体は、従来報告されているビフィ
ズス菌の細胞壁そのもの及び細胞壁破砕物とは異なり、
高い水溶性を示すものであるため、大量投与が可能であ
る。 2)本発明の中性多糖体は、腸内常在菌であるビフィズ
ス菌から得られることから、安全性の高い医薬成分とし
て有用である。 3)本発明を有効成分とする顆粒球誘導剤は、白血球中
の顆粒球の割合を増す作用を有することから、これによ
り、細菌感染に対する抵抗性を増強することが期待され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の中性多糖体の核磁気共鳴スペ
クトルの一例を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の化1に示される主鎖からなり、 【化1】 (ただし、化1においてnは13〜27)該主鎖を構成
    するα−ガラクトフラノシド3残基に対して1残基の割
    合で1−6結合したβ−グルコピラノシド側鎖及び該主
    鎖を構成するβ−ガラクトピラノシド5残基に対して4
    残基の割合で1−6結合したβ−グルコピラノシド側鎖
    を有することを特徴とする中性多糖体。
  2. 【請求項2】 中性多糖体が、ビフィドバクテリウム属
    に属する微生物の細胞壁及び/又は細胞壁破砕物から単
    離され、次のa)〜e)の理化学的性質; a)ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した平均分
    子量が、9,400ダルトンであること、 b)比旋光度が、+2.7(c0.4、水)であるこ
    と、 c)核磁気共鳴スペクトルにおけるアノメリックプロト
    ンのシグナルの化学シフトが4.51〜4.53ppm
    (β−グルコピラノシド)、5.10ppm(α−ガラ
    クトピラノシド)、5.24ppm(β−ガラクトフラ
    ノシド)であること、 d)室温の水に少なくとも100mg/ml溶解するこ
    と、 e)グルコースとガラクトースのモル比が1:1.8で
    あること、を有する請求項1に記載の中性多糖体。
  3. 【請求項3】 次の化2に示される主鎖からなり、 【化2】 (ただし、化2においてnは13〜27)該主鎖を構成
    するα−ガラクトフラノシド3残基に対して1残基の割
    合で1−6結合したβ−グルコピラノシド側鎖及び該主
    鎖を構成するβ−ガラクトピラノシド5残基に対して4
    残基の割合で1−6結合したβ−グルコピラノシド側鎖
    を有することを特徴とする中性多糖体を有効成分とする
    顆粒球誘導剤。
  4. 【請求項4】 中性多糖体が、ビフィドバクテリウム属
    に属する微生物の細胞壁及び/又は細胞壁破砕物から単
    離され、次のa)〜e)の理化学的性質; a)ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した平均分
    子量が、9,400ダルトンであること、 b)比旋光度が、+2.7(c0.4、水)であるこ
    と、 c)核磁気共鳴スペクトルにおけるアノメリックプロト
    ンのシグナルの化学シフトが4.51〜4.53ppm
    (β−グルコピラノシド)、5.10ppm(α−ガラ
    クトピラノシド)、5.24ppm(β−ガラクトフラ
    ノシド)であること、 d)室温の水に少なくとも100mg/ml溶解するこ
    と、 e)グルコースとガラクトースのモル比が1:1.8で
    あること、を有する請求項3に記載の顆粒球誘導剤。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007007562A1 (ja) 2005-07-08 2007-01-18 Morishita Jintan Co., Ltd. ビフィドバクテリウム属の微生物が産生する多糖
WO2007122885A1 (ja) 2006-03-31 2007-11-01 Morinaga Milk Industry Co., Ltd. インターロイキン産生調節剤、該インターロイキン産生調節剤を含む医薬組成物及び飲食品、並びにその製造方法
JP2011032218A (ja) * 2009-08-03 2011-02-17 Morishita Jintan Co Ltd フィルム製剤およびその製造方法
CN102181505A (zh) * 2011-01-31 2011-09-14 温州医学院 一种双歧杆菌多糖分离纯化的方法

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