JPH07330779A - 有機ケイ素基を有するベンザルマロネート誘導体及びその製造法並びにこれを含有する紫外線吸収剤及び化粧料 - Google Patents

有機ケイ素基を有するベンザルマロネート誘導体及びその製造法並びにこれを含有する紫外線吸収剤及び化粧料

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JPH07330779A
JPH07330779A JP6128743A JP12874394A JPH07330779A JP H07330779 A JPH07330779 A JP H07330779A JP 6128743 A JP6128743 A JP 6128743A JP 12874394 A JP12874394 A JP 12874394A JP H07330779 A JPH07330779 A JP H07330779A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 次の一般式(1) 【化1】 〔式中、R1 及びR2 は炭化水素基を示し、R3 はアル
キル基を示し、R4 、R 5 及びR6 は炭素数1〜8のア
ルキル基又はフェニル基を示し、Aはアルキレン基を示
し、nは0〜2の数を示す〕で表わされるベンザルマロ
ネート誘導体。 【効果】 優れた紫外線吸収作用を有し、光に安定でシ
リコーン油に対しての相溶性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた紫外線吸収作用
と良好な光安定性を有し、かつシリコーン油への溶解性
に優れた化粧料原料として有用な新規な有機ケイ素基を
有するベンザルマロネート誘導体及びその製造方法、並
びにこれを含有する紫外線吸収剤及び化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、オゾン層の破壊による紫外線強化
及び皮膚科学の発達により、紫外線の皮膚への影響が危
惧されている。
【0003】紫外線は、皮膚科学的には作用波長によ
り、400〜320nmの長波長紫外線(UV−A)、3
20〜290nmの中波長紫外線(UV−B)及び290
nm以下の短波長紫外線(UV−C)に分けることができ
る。これらのうち、オゾン層において吸収され、地上に
はほとんど到達しないUV−Cを除くUV−A及びUV
−Bは、種々の皮膚障害を引き起こすことが知られてい
る。例えば、UV−Aを浴びると直ちに皮膚が黒化され
(即時黒化作用)、そのエネルギーが真皮にまで到達す
ることにより、血管壁や結合組織中の弾性繊維にも変化
を及ぼす。一方、UV−Bを過度に浴びると紅斑や水泡
が生じ、またメラニン形成が亢進され、色素沈着などの
障害をもたらす。更に、UV−A及びUV−Bともに過
度に浴びると、皮膚の老化が促進され、しみ、しわ、そ
ばかすなどの発生原因になり、長期的には皮膚癌の原因
にもなると考えられている。
【0004】また、紫外線は毛髪に対しても褪色、きめ
の変化、水の吸収の減少、弾力の喪失及びケラチン構造
の変化などのダメージを与えることが知られている。
【0005】このように紫外線がヒトの皮膚・毛髪に及
ぼす影響が明らかになるにともない、これを防ぐために
UV−A及びUV−Bを吸収する化合物(紫外線吸収
剤)の開発が行われるようになってきている。例えば、
UV−Aの吸収剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイ
ルメタンなどの誘導体を含むものが知られており、UV
−Bの吸収剤としては、桂皮酸、ベンゾフェノン、4−
アミノ安息香酸、サリチル酸などの誘導体を含むものが
知られている。
【0006】しかし、これらは、(a)UV−A及びU
V−Bを可能な限り吸収すること、(b)光や熱に対し
て安定であること、(c)皮膚に対する毒性、刺激性、
その他の有害作用がないこと、(d)効果が持続するこ
と、(e)化粧品基剤との相溶性に優れていることなど
の皮膚及び毛髪を保護する紫外線吸収剤として要求され
る各性質をすべて満足するものはない。従来の紫外線吸
収剤はこれらの性質の中でも特に光(紫外線)に対する
安定性が不十分であり、紫外線による分解や反応が起こ
ることが知られている〔例えば、Int.J.Cosm
etic Science.10,53(1988)参
照〕。このような紫外線吸収剤の分解は、効果の持続の
低下を招くのみならず、分解物自体又は分解物と配合物
との反応による生成物が皮膚に与える影響も無視できな
い〔フレグランス ジャーナル,84,32(198
7)〕。
【0007】また、紫外線吸収剤を配合した化粧料は、
暑い夏に使用される頻度が高いために、汗や皮脂による
流れ落ちを防ぎ、持続性を高めることへのニーズが高ま
ってきている。そのため、近年、化粧料の耐水性(撥水
性)を高めるために、種々のシリコーン油基剤が使用さ
れるようになってきた。ところが、従来の紫外線吸収剤
はシリコーン油基剤への溶解性が著しく低い。
【0008】そこでシリコーン油基剤との相溶性向上あ
るいは紫外線吸収剤自身の耐水性を高める目的で、紫外
線吸収基をシリコーンあるいは有機ケイ素基に結合させ
る試みが、特公昭63−16416号公報、特開平1−
299210号公報、特開平2−167291号、特開
平2−217622号公報、特開平2−270816号
公報、特開平2−270817号公報、特開平3−28
7588号公報、特開平3−287589号公報、特開
平4−182421号公報、特開平4−368392号
公報、特開平5−43585号公報、特開平5−590
69号公報、特開平5−178865号公報等に提案さ
れている。
【0009】しかしながら、これら提案されている紫外
線吸収剤は紫外線吸収剤に要求される上記(a)〜
(e)の条件をすべて満足するものはなく、特に光(紫
外線)に対する安定性が不十分であるという欠点を有す
る。また、ベンザルマロネート官能基を有するシリコー
ン(ポリシロキサン)が、特開平2−270816号公
報及び特表平6−500125号公報に提案されてい
る。しかしながら、これらのシリコーンは、酸性条件下
ではシロキサン結合の分解が起こるために不安定であ
り、化粧料などに配合する場合に大きな制約となるとい
う問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、紫外線吸収剤に要求される上記の(a)〜(e)の
条件、特に従来不十分であったシリコーン油基剤への溶
解性が良好であり、光安定性及び化粧料への配合安定性
に優れている新規な物質を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる実情
に鑑み鋭意検討した結果、後記一般式(1)で表わされ
る新規な有機ケイ素基を有するベンザルマロネート誘導
体が、優れた紫外線吸収作用及び優れた光安定性を有
し、更にシリコーン油への溶解性も良好でかつ他の化粧
品基剤との相溶性にも優れており、化粧料等に好適に使
用でき、これを含有する紫外線吸収剤及び化粧料は持続
時間の長い優れた紫外線防御作用を示すことを見出し本
発明を完成した。
【0012】すなわち本発明は、次の一般式(1)
【0013】
【化4】
【0014】〔式中、R1 及びR2 は同一又は異なって
いてもよい炭化水素基を示し、R3 は同一又は異なって
いてもよいアルキル基を示し、R4 、R5 及びR6 は同
一又は異なっていてもよい炭素数1〜8のアルキル基又
はフェニル基を示し、Aはアルキレン基を示し、nは0
〜2の数を示す〕で表わされるベンザルマロネート誘導
体及びその製造法、並びにこれを含有する紫外線吸収剤
及び化粧料を提供するものである。
【0015】本発明のベンザルマロネート誘導体は、前
記一般式(1)で表わされるものであるが、式中R1
びR2 で示される炭化水素基としては、炭素数1〜20
のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、
n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−
ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル
基、n−オクタデシル基などの直鎖アルキル基;イソプ
ロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、2,2−ジメ
チルプロピル基、2−メチルブチル基、2−メチルペン
チル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチ
ル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチル
ヘキシル基、2−プロピルヘプチル基、3,7−ジメチ
ルオクチル基、2−ヘキシルウンデシル基、5,7,7
−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)
ヘキシル基などの分岐鎖アルキル基;シクロヘキシル基
などの環状アルキル基;アリル基、3−ブテニル基、1
0−ウンデセニル基などの直鎖アルケニル基、1−メチ
ル−2−プロペニル基、3−メチル−3−ブテニル基な
どの分岐鎖アルケニル基;ベンジル基などのアルアルキ
ル基などをあげることができる。これらのなかでも、直
鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、シリコーン油へ
の溶解性の面から特に炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖
のアルキル基が好ましい。なお、R1 とR2 は同一でも
異なってもよいが、入手の容易さから同一である場合が
好ましい。
【0016】また、一般式(1)中、R3 で示されるア
ルキル基は、直鎖のものでも分岐鎖のものでも用いるこ
とができるが、シリコーン油への溶解性の特徴を高める
ためには炭素数1〜5のものが好ましく、例えばメチル
基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペ
ンチル基などの直鎖アルキル基;イソプロピル基、イソ
ブチル基、t−ブチル基、2,2−ジメチルプロピル
基、2−メチルブチル基、2−メチルペンチル基などの
分岐鎖アルキル基などを挙げることができるが、入手の
容易さから特にメチル基が好ましい。
【0017】一般式(1)中のR4 、R5 及びR6 で示
される炭素数1〜8のアルキル基は、直鎖のものでも分
岐鎖のものでも用いることができるが、入手の容易さか
ら直鎖のものが好ましく、更にシリコーン油への溶解性
の面から特に炭素数1〜6のものが好ましく、例えば、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、
n−ヘキシル基を挙げることができ、R4 、R5 、R6
は同一であっても異なっていてもよい。また、フェニル
基も好ましいものとして挙げることができる。
【0018】一般式(1)中のAで示されるアルキレン
基は、直鎖のものでも分岐鎖のもので用いることができ
るが、製造におけるヒドロシリル化反応での反応性、選
択性及び収率の面からSiに結合する炭素原子がメチレ
ン(-CH2-)であるものが好ましく、更にシリコーン油へ
の溶解性の面から特に炭素数2〜6のものが特に好まし
く、例えば次式で表わされる
【0019】
【化5】
【0020】nは0〜2の数を示し、芳香族環への置換
位置については制限はないが、n=0の化合物が305
〜320nmに極大吸収(λmax)を示して極めて強い紫
外線吸収作用を有することから特に好ましく、n=1で
-CH=C(CO2R1)(CO2R2) 基に対してメタ位すなわち3位に
置換した化合物は320〜335nmに極大吸収を示して
強い紫外線吸収作用を有し、n=2で-CH=C(CO2R1)(CO2
R2) 基に対して3位と5位に置換した化合物は305〜
320nmに極大吸収を示して強い紫外線吸収作用を有
し、これらの化合物も好ましい例として挙げることがで
きる。
【0021】本発明のベンザルマロネート誘導体(1)
は、例えば次の反応式に従って製造することができる。
【0022】
【化6】
【0023】〔式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
6 、A及びnは前記と同じものを示し、A1 はアルケ
ニル基を示す〕 すなわち、4−ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体
(7)とハロゲン化アルケニル(6)とを、アルカリ金
属水素化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭
酸塩などの塩基の存在下で反応させて、化合物(5)に
変換後、マロネート誘導体(4)と触媒の存在下でKn
oevenagel縮合することにより化合物(3)を
得、これにシラン類(2)を触媒の存在下反応させるこ
とにより目的とするベンザルマロネート誘導体(1)を
得ることができる。
【0024】化合物(5)とマロネート誘導体(4)と
の縮合反応の触媒としては、アミン、酸、カルボン酸塩
等が挙げられ、これらは適宜組み合せて用いることがで
きる。更に、この縮合反応は、加熱し、かつ反応により
生じた水を反応系外に除去しながら行うことが好まし
い。またここで用いるマロネート誘導体はマロン酸とR1
OH及びR2OH(R1 及びR2 は前記と同じものを示す)で
表わされるアルコールとを酸触媒を用いた通常のエステ
ル化反応させることにより得ることができ、アルコール
の種類を変えることにより種々のマロネート誘導体
(4)、更に本発明のベンザルマロネート誘導体(1)
を得ることができる。
【0025】また、化合物(6)、(5)及び(3)中
のA1 で示されるアルケニル基は、直鎖のものでも分岐
鎖のものでも用いることができ、オレフィン性二重結合
が末端にあっても内部にあってもよいが、ヒドロキシル
化反応での反応性、選択性及び収率の面から、オレフィ
ン性二重結合が末端にあるものが好ましく、更に化合物
(1)のシリコーン油への溶解性の面から炭素数2〜6
のものが特に好ましく、例えば CH2=CH-、CH2=CHCH2-、
CH2=CHCH2CH2-、CH2=CHCH2CH2CH2-、CH2=CHCH2CH2CH2CH
2-などの直鎖アルケニル基;
【0026】
【化7】
【0027】アルケニルオキシベンザルマロネート誘導
体(3)とシラン類(2)との反応は、無溶媒又は溶媒
中、触媒の存在下で行う。ここで用いられる触媒として
は、一般にヒドロシリル化に用いられるもの、例えば遊
離ラジカル開始剤;ルテニウム、ロジウム、パラジウ
ム、オスミウム、イリジウム、白金等の金属の錯体化合
物;これらをシリゲル又はアルミナに担持させたものな
どが挙げられる。これらのうち、特に塩化白金酸、Sp
eier試薬(塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶
液)、Organometallics,,191
(1987)に記載のビニルシロキサン白金触媒等が好
ましい。触媒の使用量は反応を促進するのに十分な量で
あればよく、特に限定されないが、化合物(3)1mol
に対して10 -6〜10-1mol の範囲が好ましい。本反応
においては反応溶媒の使用は必須ではないが、必要に応
じて適当な溶媒中で反応を行ってもよい。反応溶媒とし
ては、反応を阻害しないものであれば特に限定されない
が、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭
化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のベン
ゼン系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ
ル等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、イソ
プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶媒
などが好ましい。
【0028】本反応は、0〜200℃で進行するが、反
応速度や生成物の着色などを考え、40〜150℃で行
うのが好ましい。また、反応時間は0.5〜24時間程
度とするのが好ましい。
【0029】本発明の紫外線吸収剤は、上記の如くして
得られたベンザルマロネート誘導体(1)をそのまま用
いたものであってもよいが、これを適当な担体に担持さ
せたものが好ましい。ここで用いる担体は、ベンザルマ
ロネート誘導体(1)に対し不活性なものであれば特に
制限されず、固体、液体、乳状体、ゲル等いずれの形態
のものでもよい。具体的には、水、アルコール、油脂
(炭化水素オイル、フッ素系油剤、脂肪酸エステル、高
級アルコール、シリコーンオイルなど)、澱粉、タルク
などの微粉末、エアゾール噴射剤として使用される低沸
点炭化水素又はハロゲン化炭化水素などを挙げることが
できる。
【0030】また、本発明の紫外線吸収剤には、他の紫
外線吸収剤を配合することもできる。この他の紫外線吸
収剤としては、p−メチルベンジリデン−D,L−ショ
ウノウ又はそのスルホン酸ナトリウム塩、2−フェニル
ベンズイミダゾール−5−スルホン酸ナトリウム塩、
3,4−ジメチルフェニルグリオキシル酸ナトリウム
塩、4−フェニルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾ
フェノン−2′−カルボン酸イソオクチルエステル、4
−メトキシ桂皮酸エステル、2−フェニル−5−メチル
ベンズオキサゾール、4−ジメチルアミノ安息香酸エス
テル、4−メトキシ−2′−カルボキシジベンゾイルメ
タン、4−メトキシ−4′−t−ブチルジベンゾイルメ
タン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、1−
(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−
1,3−ペンタンジオン、2−ヒドロキシ−4−メトキ
シベンゾフェノン又はジベンジリデンカンファー類など
を挙げることができる。更に、本発明の紫外線吸収剤に
は、必要に応じて他の成分、例えば、防腐剤、香料、着
色料、界面活性剤を配合することができる。
【0031】本発明のベンザルマロネート誘導体(1)
は、皮膚及び毛髪の紫外線防御に用いられるのみなら
ず、プラスチック等の紫外線により影響を受ける物質に
配合する紫外線防御剤として使用することもできる。
【0032】本発明の化粧料は、ベンザルマロネート誘
導体(1)を公知の化粧料基剤、各種配合成分とともに
配合することにより得ることができる。化粧料の剤型は
特に制限されるものではなく、クリーム、化粧水、溶
液、油剤、スプレー、スティック、乳液、ファンデーシ
ョン、軟膏、シャンプー、リンスなどの所望の剤型にす
ることができる。
【0033】公知の化粧料基剤としては、固体状又は液
状パラフィン、クリスタルオイル、セレシン、オゾケラ
イト、モンタンロウなどの炭化水素類;オリーブ、地ロ
ウ、カルナウバロウ、ラノリン、鯨ロウなどの植物もし
くは動物性油脂及びロウ;ステアリン酸、パルミチン
酸、オレイン酸、グリセリンモノステアリン酸エステ
ル、グリセリンジステアリン酸エステル、グリセリンモ
ノオレイン酸エステル、イソプロピルミリスチン酸エス
テル、イソプロピルステアリン酸エステル、ブチルステ
アリン酸エステルなどの脂肪酸及びそれらのエステル
類;メチルポリシロキサン、メチルポリシクロシロキサ
ン、メチルフェニルポリシロキサン、シリコーンポリエ
ーテルコポリマーなどのシリコーン類;パーフルオロポ
リエーテル、フッ素変性シリコーンなどのフッ素系油
剤;エタノール、イソプロピルアルコール、セチルアル
コール、ステアリルアルコール、パルミチルアルコー
ル、ヘキシルドデシルアルコールなどのアルコール類;
グリコール、グリセリン、ソルビトールなどの保湿作用
を有する多価アルコール類などを挙げることができる。
【0034】粉体基剤としては、マイカ、タルク、セリ
サイト、カオリン、ナイロンパウダー、ポリメチルシル
セスキオキサン、硫酸バリウムなどの体質顔料;赤色2
02号、226号、黄色4号、アルミニウムレーキなど
の有機顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などの紫外
線散乱剤などを用いることができる。これらのうち酸化
チタン、酸化亜鉛としては、粒子径が100nm以下の微
粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、特開平1−1759
21号公報の特許請求の範囲の欄に記載の薄片状酸化亜
鉛を用いることができる。また、これらの体質顔料、有
機顔料、紫外線散乱剤は、公知の方法でメチルハイドロ
ジェンポリシロキサンなどのシリコーン、パーフルオロ
アルキルリン酸エステルなどのフッ素化合物、金属石
鹸、N−アシルグルタル酸、シリカ、アルミナ、シリカ
・アルミナなどで表面処理したものを用いることもでき
る。
【0035】更に本発明の化粧料には、上記した公知の
紫外線吸収剤、W/O又はO/W型乳化剤、各種シリコ
ーンオイルを乳化させるためのポリエーテル変性シリコ
ーン、ポリエーテル・アルキル変性シリコーン、グリセ
リルエーテル変性シリコーン、更にメチルセルロース、
エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ
アクリル酸、トラガント、寒天、ゼラチンなどの増粘
剤、香料、防腐剤、保湿剤、乳化安定剤、各種薬効成
分、生理的に許容できる着色剤などを配合することもで
きる。
【0036】化粧料中における式(1)で表わされるベ
ンザルマロネート誘導体の含有割合は化粧料の種類に応
じて適宜決定することができるが、一般には0.1〜2
0重量%が好ましく、0.5〜10重量%が特に好まし
い。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれらにより制限されるものではな
い。
【0038】実施例1 下記に示す方法により、次式;
【0039】
【化8】
【0040】で表わされる化合物(1a)を製造した。
まず、100ml2口フラスコにジエチル 4−アリルオ
キシベンザルマロネート3.65g(12.0mmol)を
入れ、これをトルエン10mlに溶解させた。次に、ジエ
チルメチルシラン1.47g(14.4mmol)を加え、
フラスコ内温度を50℃に昇温したのち、塩化白金酸の
2%イソプロピルアルコール溶液19.7μl(6.0
0×10-4mmol)を加え、50℃で10時間攪拌した。
反応混合物を冷却後ヘキサン50ml及び活性炭0.12
gを加えて室温で1時間攪拌したのち、活性炭を濾別
し、溶液を減圧濃縮して無色透明油状物を得た。この油
状物をヘキサン+酢酸エチル(40:1)を展開溶媒と
して用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより
精製し、目的化合物(1a)4.44g(収率91%)
を無色透明油状物として得た。
【0041】IR(νneat, cm-1):2955, 2880, 1730,
1630, 1605, 1515, 1470, 1430,1380, 1305, 1255, 121
0, 1175, 1060, 1015, 960, 890, 795
【0042】1H-NMR(CDCl3,δppm):0.04(3H,s), 0.45-
0.65(6H,m),0.97(6H,t,J=8.8Hz), 1.35(3H,t,J=7.1Hz),
1.36(3H,t,J=7.1Hz),1.70-1.95(2H,m), 3.97(2H,t,J=
6.8Hz), 4.36(2H,q,J=7.1Hz),4.39(2H,q,J=7.1Hz), 6.9
0(2H,d,J=8.8Hz), 7.44(2H,d,J=8.8Hz),7.70(1H,s)
【0043】実施例2 下記に示す方法により、次式:
【0044】
【化9】
【0045】で表わされる化合物(1b)を製造した。
製造方法は、ジ(2−エチルヘキシル) 4−アリルオ
キシベンザルマロネート1.42g(3.00mmol)、
ジエチルメチルシラン0.368g(3.60mmol)、
塩化白金酸の2%イソプロピルアルコール溶液4.9μ
l(1.50×10-4mmol)及びトルエン5mlを用いた
ほかは、実施例1と同様にした。このようにして目的化
合物(1b)1.34g(収率78%)を無色透明油状
物として得た。
【0046】IR(νneat, cm-1):2960, 2880, 1735,
1630, 1605, 1515, 1470, 1425,1385, 1305, 1260, 120
0, 1170, 1120, 1060, 1010, 960, 830, 790
【0047】1H-NMR(CDCl3,δppm):0.03(3H,s), 0.40-
0.75(6H,m),0.75-1.10(18H,m), 1.10-1.55(16H,m), 1.5
5-1.95(4H,m),3.96(2H,t,J=6.8Hz), 4.15-4.20(4H,m),
6.89(2H,d,J=8.8Hz),7.43(2H,d,J=8.8Hz), 7.69(1H,s)
【0048】試験例1 実施例1及び2で得られた本発明化合物(1a)及び
(1b)からなる紫外線吸収剤と、現在汎用されている
紫外線吸収剤である2−ヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノン(比較例1)及び4−メトキシ桂皮酸2−エ
チルヘキシル(比較例2)を用い、下記の方法により紫
外線吸収効果(吸光度)を測定した。結果を表1に示
す。
【0049】(測定方法)各紫外線吸収剤をエタノール
(99.5%試薬特級)に溶解して、2.5×10-5mo
l/l濃度の溶液を調製し、これを石英セル(1×1c
m)に入れたのち、自記分光光度計(日立社製U−34
10型)により吸光度を測定した。
【0050】
【表1】
【0051】表1から明らかなとおり、本発明の化合物
からなる紫外線吸収剤は、比較例1及び2と比べても同
等又はそれ以上の吸収効果を示した。
【0052】試験例2 実施例1及び2で得られた本発明化合物(1a)及び
(1b)からなる紫外線吸収剤と、4−メトキシ桂皮酸
2−エチルヘキシル(比較例2)及び同じく現在汎用さ
れている紫外線吸収剤である4−ジメチルアミノ安息香
酸2−エチルヘキシル(比較例3)を用い、下記の方法
により光に対する安定性を測定した。結果を表2に示
す。
【0053】(測定方法)各紫外線吸収剤をエタノール
(99.5%試薬特級)に溶解して、1.0×10-4mo
l/l濃度の溶液を調製し、これを石英セル(1×1c
m)に入れたのち、自記分光光度計(日立社製U−34
10型)により吸光度を測定した。次に、この石英セル
に入れた各溶液に、キセノン耐光試験機(Heraeu
s社製;SUNTEST CPS型)を用いて2時間又
は6時間、夏期の太陽光に近似した波長及び強度の光を
照射後、再び前記と同様にして吸光度を測定した。これ
らの吸光度の値から、紫外線吸収効果の残存率を求め、
光安定性を評価した。なお、残存率は、光照射後のλ
maxにおける吸光度の値を光照射前のλmaxにおける吸光
度の値で除したものの百分率である。
【0054】
【表2】
【0055】表2から明らかなとおり、本発明の紫外線
吸収剤は比較例の紫外線吸収剤に比べて、2時間又は6
時間の光照射後においても高い紫外線吸収効果を維持し
ており、また時間の経過による吸収効果の低下も非常に
小さかった。
【0056】試験例3 実施例1及び2で得られた本発明化合物(1a)及び
(1b)からなる紫外線吸収剤と、ポリマー用紫外線吸
収剤として用いられるジメチル 4−メトキシベンザル
マロネート(比較例4)のシリコーン油剤への溶解性を
評価した。
【0057】(評価方法)各紫外線吸収剤を、オクタメ
チルシクロテトラシロキサンに5重量%添加した時の溶
解性を観察した。結果を表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】表3から明らかなとおり、本発明化合物は
比較例の紫外線吸収剤に比べてシリコーン油剤への溶解
性に優れていた。更に、本発明化合物(1a)及び(1
b)は、それぞれをエタノールあるいはスタワランに5
重量%添加した場合にも溶解し、化粧品基剤との相溶性
に優れていた。
【0060】実施例3 常法により、下記組成のパウダーファンデーションを製
造した。
【0061】
【表4】 (組成) (配合割合;重量%) マイカ 残量 タルク 20 酸化チタン 10 ベンガラ 1 黄酸化鉄 2 黒酸化鉄 1 流動パラフィン 10 ミツロウ 2 防腐剤 適量 本発明化合物(1a) 5 香料 適量 計 100.0
【0062】更に、本発明化合物(1a)の代わりに本
発明化合物(1b)を使用する以外は同様の組成でパウ
ダーファンデーションを製造した。
【0063】実施例4 常法により、下記組成のクリーム状ファンデーションを
製造した。
【0064】
【表5】 (組成) (配合割合;重量%) ステアリン酸 5 親油型モノステアリン酸グリセリン 3 セトステアリルアルコール 1 モノラウリン酸プロピレングリコール 3 スクワラン 7 オリーブ油 8 精製水 残量 防腐剤 適量 トリエタノールアミン 1.2 ソルビット 3 酸化チタン 10 タルク 5 着色顔料 適量 本発明化合物(1a) 7 香料 適量 計 100.0
【0065】更に、本発明化合物(1a)の代わりに本
発明化合物(1b)を使用する以外は同様の組成でクリ
ーム状ファンデーションを製造した。
【0066】実施例5 常法により、下記組成の油性ファンデーションを製造し
た。
【0067】
【表6】 (組成) (配合割合;重量%) 本発明化合物(1a) 5 タルク 残量 カオリン 12 酸化チタン 13 ベンガラ 1.5 黄酸化鉄 20 黒酸化鉄 0.5 流動パラフィン 15 パルミチン酸イソプロピル 10 ラノリンアルコール 3 ミクロクリスタリンワックス 7 オゾケライト 8 防腐剤 適量 香料 適量 計 100.0
【0068】更に、本発明化合物(1a)の代わりに本
発明化合物(1b)を使用する以外は同様の組成で油性
ファンデーションを製造した。
【0069】実施例6 常法により、下記組成のO/W型クリームを製造した。
【0070】
【表7】 (組成) (配合割合;重量%) ミツロウ 6 セチルアルコール 5 水添ラノリン 7 スクワラン 33 脂肪酸グリセリン 3.5 親油型モノステアリン酸グリセリンポリオキシ エチレン(EO 20 )ソルビタン 2 モノラウリン酸エステル 2 本発明化合物(1a) 6 香料 微量 防腐剤 適量 酸化防止剤 適量 精製水 残量 計 100.0
【0071】更に、本発明化合物(1a)の代わりに本
発明化合物(1b)を使用する以外は同様の組成でO/
W型クリームを製造した。
【0072】実施例7 常法により、下記組成のO/W型クリームを製造した。
【0073】
【表8】 (組成) (配合割合;重量%) 本発明化合物(1a) 5 4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 2 シリコーン処理酸化チタン 1 親油型モノオレイン酸グリセリン 2 ポリオキシエチレン(EO 20 )ソルビタンモノ ラウリン酸エステル 1 スクワラン 10 シリコーン処理タルク 5 グリセリン 5 防腐剤 適量 香料 適量 酸化防止剤 適量 精製水 残量 計 100.0
【0074】更に、本発明化合物(1a)の代わりに本
発明化合物(1b)を使用する以外は同様の組成でO/
W型クリームを製造した。
【0075】実施例8 常法により、下記組成のW/O型クリームを製造した。
【0076】
【表9】 (組成) (配合割合;重量%) 本発明化合物(1a) 4 シリコーン処理薄片状酸化亜鉛 2 4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 4 ジメチルポリシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン) シロキサン共重合体 3 メチルポリシロキサン 10 メチルポリシクロポリシロキサン 10 スクワラン 4 硫酸マグネシウム 0.5 グリセリン 7 香料 微量 防腐剤 適量 酸化防止剤 適量 精製水 残量 計 100.0
【0077】更に、本発明化合物(1a)の代わりに本
発明化合物(1b)を使用する以外は同様の組成でW/
O型クリームを製造した。
【0078】実施例9 常法により、下記組成のO/W型乳液を製造した。
【0079】
【表10】 (組成) (配合割合;重量%) 本発明化合物(1a) 4 シリコーン処理酸化チタン 1 4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 4 ソルビタンセスキオレイン酸エステル 0.8 ポリオキシエチレン(EO 20 )オレイルエーテル 1.2 スクワラン 5 ワセリン 2 ミツロウ 0.5 シリコーン処理タルク 5 プロピレングリコール 5 エタノール 5 カルボキシビニルポリマー10%水溶液 20 水酸化カリウム 0.1 精製水 残量 計 100.0
【0080】更に、本発明化合物(1a)の代わりに本
発明化合物(1b)を使用する以外は同様の組成でO/
W型乳液を製造した。
【0081】
【発明の効果】本発明の有機ケイ素基を有するベンザル
マロネート誘導体(1)は、優れた紫外線吸収作用を有
しており、光に対しても安定で、ヒトが日常的に浴びる
量の太陽光によってはほとんど分解しない。このため、
分解生成物等による皮膚への影響もほとんどない。ま
た、毒性、刺激性などの問題もない。更に、他の化粧品
基剤、特にシリコーン油との相溶性にも優れている。よ
って本発明の有機ケイ素基を有するベンザルマロネート
誘導体を含有する紫外線吸収剤及び化粧料は、いずれも
優れた使用感及び優れた紫外線防御作用の持続性を発揮
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芋川 玄爾 栃木県宇都宮市氷室町1022−89

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(1) 【化1】 〔式中、R1 及びR2 は同一又は異なっていてもよい炭
    化水素基を示し、R3 は同一又は異なっていてもよいア
    ルキル基を示し、R4 、R5 及びR6 は同一又は異なっ
    ていてもよい炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基
    を示し、Aはアルキレン基を示し、nは0〜2の数を示
    す〕で表わされるベンザルマロネート誘導体。
  2. 【請求項2】 一般式(1)中、nが0である請求項1
    記載のベンザルマロネート誘導体。
  3. 【請求項3】 次の一般式(3) 【化2】 〔式中、R1 及びR2 は同一又は異なっていてもよい炭
    化水素基を示し、R3 は同一又は異なっていてもよいア
    ルキル基を示し、A1 はアルケニル基を示し、nは0〜
    2の数を示す〕で表わされるアルケニルオキシベンザル
    マロネート誘導体と、次の一般式(2) 【化3】 〔式中、R4 、R5 及びR6 は同一又は異なって炭素数
    1〜8のアルキル基又はフェニル基を示す〕で表わされ
    るシラン類とを触媒の存在下反応させることを特徴とす
    る請求項1記載のベンザルマロネート誘導体の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のベンザルマロネー
    ト誘導体を含有する紫外線吸収剤。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載のベンザルマロネー
    ト誘導体を含有する化粧料。
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